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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】積層セラミックコンデンサ
(51)【国際特許分類】
   H01G 4/30 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H01G4/30 513
H01G4/30 516
H01G4/30 201F
H01G4/30 201G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020187978
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077225
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2022-06-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(72)【発明者】
【氏名】糸川 真樹
【審査官】田中 晃洋
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-117942(JP,A)
【文献】特開2020-056056(JP,A)
【文献】特開平08-306580(JP,A)
【文献】特開2013-110239(JP,A)
【文献】特開2013-149886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01G 4/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数の誘電体層を含み、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、高さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、高さ方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を含む積層体と、
前記複数の誘電体層上に配置され、前記第1の端面に露出する第1の内部電極層と、
前記複数の誘電体層上に配置され、前記第2の端面に露出する第2の内部電極層と、
前記第1の内部電極層に接続され、前記第1の端面上に配置される第1の外部電極と、
前記第2の内部電極層に接続され、前記第2の端面上に配置される第2の外部電極と、
を有する積層セラミックコンデンサであって、
前記第1の外部電極および前記第2の外部電極は、Niめっき層と、
前記Niめっき層上に位置するSnめっき層を有し、
前記Snめっき層は、前記Snめっき層を厚み方向に貫通するSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物を有
前記第1の外部電極および前記第2の外部電極は、前記積層体と前記Niめっき層との間に下地電極層を有しており、
前記下地電極層は焼付け層である、積層セラミックコンデンサ。
【請求項2】
前記金属間化合物は、NiとSnを主成分とする、請求項1に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項3】
前記金属間化合物は、NiSnである、請求項1または請求項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項4】
前記Niめっき層と前記Niめっき層上に位置する前記Snめっき層との界面には、NiSnの金属間化合物が存在する、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【請求項5】
前記Snめっき層の表面を波長分散型X線分析法(WDX)で分析した際のNi/(Ni+Sn)の面積比率は、3%以上50%以下である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の積層セラミックコンデンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層セラミックコンデンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、積層セラミックコンデンサが知られている。一般に、積層セラミックコンデンサは、チタン酸バリウムなどの誘電体セラミックスからなるセラミック焼結体を備える。このセラミック焼結体の内部には、セラミック層を介して重なり合うように複数の内部電極が配置されている。また、このセラミック焼結体の一方端面上および他方端面上には、内部電極に電気的に接続されるように外部電極が形成されている。例えば特許文献1には、外部電極としてめっき層を有する積層セラミックコンデンサが開示されている。特許文献1のめっき層は、半田食われを抑制するためのNiめっき層と、Niめっき層上に形成された、半田付け性を向上させるためのSnめっき層と、を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-306580号公報
【文献】特開2013-110239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、外部電極のめっき層として、はんだ付け性に優れた緻密なSnめっき層が求められている。しかしながら、緻密なSnめっき層は水素を透過しにくいため、めっき中に発生した水素がNiめっき層に吸蔵された状態で残存してしまう。この残存した水素により、積層セラミックコンデンサの電気特性、特に絶縁抵抗特性(IR特性)が劣化する可能性がある。そこで、特許文献2には、Niめっき層上に設けられたSn層に開孔部を設けることにより、Niめっき層中に吸蔵された水素を低減させる構成が開示されている。しかしながら、特許文献2の構成では、Sn層が開孔部を備えるため、水分がコンデンサ内部に浸入するおそれがあった。
【0005】
本発明の目的は、コンデンサ内部への水分の浸入を抑制しつつ、絶縁抵抗特性の低下を抑制することが可能な積層セラミックコンデンサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る積層セラミックコンデンサは、積層された複数の誘電体層を含み、高さ方向に相対する第1の主面および第2の主面と、高さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面および第2の側面と、高さ方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面および第2の端面と、を含む積層体と、前記複数の誘電体層上に配置され、前記第1の端面に露出する第1の内部電極層と、前記複数の誘電体層上に配置され、前記第2の端面に露出する第2の内部電極層と、前記第1の内部電極層に接続され、前記第1の端面上に配置される第1の外部電極と、前記第2の内部電極層に接続され、前記第2の端面上に配置される第2の外部電極と、を有する積層セラミックコンデンサであって、前記第1の外部電極および前記第2の外部電極は、Niめっき層と、前記Niめっき層上に位置するSnめっき層を有し、前記Snめっき層は、前記Snめっき層を厚み方向に貫通するSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、コンデンサ内部への水分の浸入を抑制しつつ、絶縁抵抗特性の低下を抑制することが可能な積層セラミックコンデンサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の積層セラミックコンデンサの外観斜視図である。
図2図1に示す積層セラミックコンデンサのII-II線に沿った断面図である。
図3図2に示す積層セラミックコンデンサのIII-III線に沿った断面図である。
図4図2に示す積層セラミックコンデンサのIV-IV線に沿った断面図である。
図5図2に示す積層セラミックコンデンサのV部の拡大図であって、外部電極の断面を模式的に示す拡大断面図である。
図6図2に示す積層セラミックコンデンサを矢印VIの方向から見たときの矢視図であり、外部電極の表面を模式的に示す矢視図である。
図7】上記実施形態のメカニズムを説明するための模式的な図である。
図8】Niめっき層とSnめっき層の界面付近を模式的に示す拡大断面図である。
図9】Ni/(Ni+Sn)の面積比率を確認する方法を説明するための図である。
図10】第2実施形態の積層セラミックコンデンサの外部電極の断面を模式的に示す拡大断面図であって、図5に対応する拡大断面図である。
図11A】2連構造の積層セラミックコンデンサを示す図である。
図11B】3連構造の積層セラミックコンデンサを示す図である。
図11C】4連構造の積層セラミックコンデンサを示す図である。
図12】第1実験例における、IRの評価試験の結果を示す図である。
図13】第2実験例における、IRの評価試験の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。図1は、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の外観斜視図である。図2は、図1の積層セラミックコンデンサ1のII-II線に沿った断面図である。図3は、図2の積層セラミックコンデンサ1のIII-III線に沿った断面図である。図4は、図2の積層セラミックコンデンサ1のIV-IV線に沿った断面図である。図5は、図2に示す積層セラミックコンデンサのV部の拡大図であって、外部電極の断面を模式的に示す拡大断面図である。図6は、図2に示す積層セラミックコンデンサを矢印VIの方向から見たときの矢視図であり、外部電極の表面を模式的に示す矢視図である。
【0010】
積層セラミックコンデンサ1は、積層体10と、外部電極40と、を有する。
【0011】
図1図4には、XYZ直交座標系が示されている。積層セラミックコンデンサ1および積層体10の長さ方向Lは、X方向と対応している。積層セラミックコンデンサ1および積層体10の幅方向Wは、Y方向と対応している。積層セラミックコンデンサ1および積層体10の高さ方向Tは、Z方向と対応している。ここで、図2に示す断面はLT断面とも称される。図3に示す断面はWT断面とも称される。図4に示す断面はLW断面とも称される。
【0012】
図1図4に示すように、積層体10は、高さ方向Tに相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、高さ方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、高さ方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む。
【0013】
図1に示すように、積層体10は、略直方体形状を有している。なお、積層体10の長さ方向Lの寸法は、幅方向Wの寸法よりも必ずしも長いとは限らない。積層体10の角部および稜線部には、丸みがつけられていることが好ましい。角部は、積層体の3面が交わる部分であり、稜線部は、積層体の2面が交わる部分である。なお、積層体10を構成する表面の一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
【0014】
積層体10の寸法は、特に限定されないが、積層体10の長さ方向Lの寸法をL寸法とすると、L寸法は、0.2mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層体10の高さ方向Tの寸法をT寸法とすると、T寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層体10の幅方向Wの寸法をW寸法とすると、W寸法は、0.1mm以上5mm以下であることが好ましい。
【0015】
図2および図3に示すように、積層体10は、内層部11と、高さ方向Tにおいて内層部11を挟み込むように配置された第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13と、を有する。
【0016】
内層部11は、複数の誘電体層20と、複数の内部電極層30と、を含む。内層部11は、高さ方向Tにおいて、最も第1の主面TS1側に位置する内部電極層30から最も第2の主面TS2側に位置する内部電極層30までを含む。内層部11では、複数の内部電極層30が誘電体層20を介して対向して配置されている。内層部11は、静電容量を発生させ実質的にコンデンサとして機能する部分である。
【0017】
複数の誘電体層20は、誘電体材料により構成される。誘電体材料は、例えば、BaTiO、CaTiO、SrTiO、またはCaZrOなどの成分を含む誘電体セラミックであってもよい。また、誘電体材料は、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものであってもよい。
【0018】
誘電体層20の厚みは、0.8μm以上10μm以下であることが好ましい。積層される誘電体層20の枚数は、15枚以上800枚以下であることが好ましい。なお、この誘電体層20の枚数は、内層部11の誘電体層の枚数と第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13の誘電体層の枚数との総数である。
【0019】
複数の内部電極層30は、複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32を有する。複数の第1の内部電極層31は、複数の誘電体層20上に配置されている。複数の第2の内部電極層32は、複数の誘電体層20上に配置されている。複数の第1の内部電極層31および複数の第2の内部電極層32は、積層体10の高さ方向Tに誘電体層20を介して交互に配置されている。第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、誘電体層20を挟むようにして配置されている。
【0020】
第1の内部電極層31は、第2の内部電極層32に対向する第1の対向部31Aと、第1の対向部31Aから第1の端面LS1に引き出される第1の引き出し部31Bとを有している。第1の引き出し部31Bは、第1の端面LS1に露出している。
【0021】
第2の内部電極層32は、第1の内部電極層31に対向する第2の対向部32Aと、第2の対向部32Aから第2の端面LS2に引き出される第2の引き出し部32Bとを有している。第2の引き出し部32Bは、第2の端面LS2に露出している。
【0022】
本実施形態では、第1の対向部31Aと第2の対向部32Aが誘電体層20を介して対向することにより容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。
【0023】
第1の対向部31Aおよび第2の対向部32Aの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、矩形形状のコーナー部が丸められていてもよいし、矩形形状のコーナー部が斜めに形成されていてもよい。第1の引出き出し部31Bおよび第2の引き出し部32Bの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、矩形形状のコーナー部が丸められていてもよいし、矩形形状のコーナー部が斜めに形成されていてもよい。
【0024】
第1の対向部31Aの幅方向Wの寸法と第1の引き出し部31Bの幅方向Wの寸法は、同じ寸法で形成されていてもよく、どちらか一方の寸法が小さく形成されていてもよい。第2の対向部32Aの幅方向Wの寸法と第2の引き出し部32Bの幅方向Wの寸法は、同じ寸法で形成されていてもよく、どちらか一方の寸法が狭く形成されていてもよい。
【0025】
第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成される。合金を用いる場合、第1の内部電極層31および第2の内部電極層32は、例えばAg-Pd合金等により構成されてもよい。
【0026】
第1の内部電極層31および第2の内部電極層32のそれぞれの厚みは、例えば、0.2μm以上2.0μm以下程度であることが好ましい。第1の内部電極層31および第2の内部電極層32の枚数は、合わせて15枚以上800枚以下であることが好ましい。
【0027】
第1の主面側外層部12は、積層体10の第1の主面TS1側に位置する。第1の主面側外層部12は、第1の主面TS1と最も第1の主面TS1に近い内部電極層30との間に位置する複数の誘電体層20の集合体である。第1の主面側外層部12で用いられる誘電体層20は、内層部11で用いられる誘電体層20と同じものであってもよい。
【0028】
第2の主面側外層部13は、積層体10の第2の主面TS2側に位置する。第2の主面側外層部13は、第2の主面TS2と最も第2の主面TS2に近い内部電極層30との間に位置する複数の誘電体層20の集合体である。第2の主面側外層部13で用いられる誘電体層20は、内層部11で用いられる誘電体層20と同じものであってもよい。
【0029】
なお、積層体10は、対向電極部11Eを有する。対向電極部11Eは、第1の内部電極層31の第1の対向部31Aと第2の内部電極層32の第2の対向部32Aが対向する部分である。対向電極部11Eは、内層部11の一部として構成されている。図4には、対向電極部11Eの幅方向Wおよび長さ方向Lの範囲が示されている。なお、対向電極部11Eは、コンデンサ有効部ともいう。
【0030】
なお、積層体10は、側面側外層部WGを有する。側面側外層部WGは、第1の側面側外層部WG1と、第2の側面側外層部WG2を有する。第1の側面側外層部WG1は、対向電極部11Eと第1の側面WS1との間に位置する誘電体層20を含む部分である。第2の側面側外層部WG2は、対向電極部11Eと第2の側面WS2との間に位置する誘電体層20を含む部分である。図3および図4には、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2の幅方向Wの範囲が示されている。なお、側面側外層部WGは、Wギャップまたはサイドギャップともいう。
【0031】
なお、積層体10は、端面側外層部LGを有する。端面側外層部LGは、第1の端面側外層部LG1と、第2の端面側外層部LG2を有する。第1の端面側外層部LG1は、対向電極部11Eと第1の端面LS1との間に位置する誘電体層20を含む部分である。第2の端面側外層部LG2は、対向電極部11Eと第2の端面LS2との間に位置する誘電体層20を含む部分である。図2および図4には、第1の端面側外層部LG1および第2の端面側外層部LG2の長さ方向Lの範囲が示されている。なお、端面側外層部LGは、Lギャップまたはエンドギャップともいう。
【0032】
外部電極40は、第1の端面LS1側に配置された第1の外部電極40Aと、第2の端面LS2側に配置された第2の外部電極40Bと、を有する。
【0033】
第1の外部電極40Aは、第1の端面LS1上に配置されている。第1の外部電極40Aは、第1の内部電極層31に接続されている。第1の外部電極40Aは、第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にも配置されていてもよい。本実施形態では、第1の外部電極40Aは、第1の端面LS1上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
【0034】
第2の外部電極40Bは、第2の端面LS2上に配置されている。第2の外部電極40Bは、第2の内部電極層32に接続されている。第2の外部電極40Bは、第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にも配置されていてもよい。本実施形態では、第2の外部電極40Bは、第2の端面LS2上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
【0035】
前述のとおり、積層体10内においては、第1の内部電極層31の第1の対向部31Aと第2の内部電極層32の第2の対向部32Aとが誘電体層20を介して対向することにより容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層31が接続された第1の外部電極40Aと第2の内部電極層32が接続された第2の外部電極40Bとの間でコンデンサの特性が発現する。
【0036】
第1の外部電極40Aは、第1の下地電極層50Aと、第1の下地電極層50A上に配置された第1のめっき層60Aと、を有する。
【0037】
第2の外部電極40Bは、第2の下地電極層50Bと、第2の下地電極層50B上に配置された第2のめっき層60Bと、を有する。
【0038】
第1の下地電極層50Aは、第1の端面LS1上に配置されている。第1の下地電極層50Aは、第1の内部電極層31に接続されている。本実施形態においては、第1の下地電極層50Aは、第1の端面LS1上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
【0039】
第2の下地電極層50Bは、第2の端面LS2上に配置されている。第2の下地電極層50Bは、第2の内部電極層32に接続されている。本実施形態においては、第2の下地電極層50Bは、第2の端面LS2上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
【0040】
第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層、導電性樹脂層、薄膜層等から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0041】
本実施形態の第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層である。焼付け層は、金属成分と、ガラス成分もしくはセラミック成分のどちらか一方を含んでいるか、その両方を含んでいることが好ましい。金属成分は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag-Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。ガラス成分は、例えば、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。セラミック成分は、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いてもよいし、異なる種のセラミック材料を用いてもよい。セラミック成分は、例えば、BaTiO、CaTiO、(Ba,Ca)TiO、SrTiO、CaZrO等から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0042】
焼き付け層は、例えば、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体に塗布して焼き付けたものである。焼き付け層は、内部電極および誘電体層を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時焼成したものでもよく、内部電極および誘電体層を有する積層チップを焼成して積層体を得た後に積層体に導電性ペーストを塗布して焼き付けたものでもよい。なお、内部電極および誘電体層を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼付け層は、ガラス成分の代わりにセラミック材料を添加したものを焼き付けて形成することが好ましい。この場合、添加するセラミック材料として、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いることが特に好ましい。焼き付け層は、複数層であってもよい。
【0043】
第1の端面LS1に位置する第1の下地電極層50Aの長さ方向の厚みは、第1の下地電極層50Aの高さ方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、3μm以上160μm以下程度であることが好ましい。
【0044】
第2の端面LS2に位置する第2の下地電極層50Bの長さ方向の厚みは、第2の下地電極層50Bの高さ方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、3μm以上160μm以下程度であることが好ましい。
【0045】
第1の主面TS1または第2の主面TS2の少なくも一方の面の一部にも第1の下地電極層50Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの高さ方向の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの長さ方向Lおよび幅方向Wの中央部において、例えば、3μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
【0046】
第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくも一方の面の一部にも第1の下地電極層50Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの幅方向の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層50Aの長さ方向Lおよび高さ方向Tの中央部において、例えば、3μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
【0047】
第1の主面TS1または第2の主面TS2の少なくも一方の面の一部にも第2の下地電極層50Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの高さ方向の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの長さ方向Lおよび幅方向Wの中央部において、例えば、3μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
【0048】
第1の側面WS1または第2の側面WS2の少なくも一方の面の一部にも第2の下地電極層50Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの幅方向の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層50Bの長さ方向Lおよび高さ方向Tの中央部において、例えば、3μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
【0049】
なお、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、焼き付け層に限らず、薄膜層であってもよい。薄膜層は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により形成される。薄膜層は、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
【0050】
第1のめっき層60Aは、第1の下地電極層50Aを覆うように配置されている。第1のめっき層60Aは、第1のNiめっき層61Aと、第1のNiめっき層61A上に位置する第1のSnめっき層62Aと、を有する。
【0051】
第2のめっき層60Bは、第2の下地電極層50Bを覆うように配置されている。第2のめっき層60Bは、第2のNiめっき層61Bと、第2のNiめっき層61B上に位置する第2のSnめっき層62Bと、を有する。
【0052】
Niめっき層は、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bが、積層セラミックコンデンサ1を実装する際のはんだによって侵食されることを防止する。また、Snめっき層は、積層セラミックコンデンサ1を実装する際のはんだの濡れ性を向上させる。これにより、積層セラミックコンデンサ1の実装を容易にする。Niめっき層とSnめっき層それぞれの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
【0053】
ここで、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bを構成する各層の基本的な構成は同じである。また、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bは、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央のWT断面に対して概ね面対称である。よって、第1の外部電極40Aと第2の外部電極40Bとを特に区別して説明する必要のない場合は、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bは、まとめて外部電極40と呼ばれる場合がある。また、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bを構成する各層についても同様である。例えば、第1の下地電極層50Aと第2の下地電極層50Bとを特に区別して説明する必要のない場合は、第1の下地電極層50Aおよび第2の下地電極層50Bは、まとめて下地電極層50と呼ばれる場合がある。また、第1のめっき層60Aと第2のめっき層60Bとを特に区別して説明する必要のない場合は、第1のめっき層60Aおよび第2のめっき層60Bは、まとめてめっき層60と呼ばれる場合がある。また、第1のNiめっき層61Aと第2のNiめっき層61Bとを特に区別して説明する必要のない場合は、第1のNiめっき層61Aおよび第2のNiめっき層61Bは、まとめてNiめっき層61と呼ばれる場合がある。また、第1のSnめっき層62Aと第2のSnめっき層62Bとを特に区別して説明する必要のない場合は、第1のSnめっき層62Aおよび第2のSnめっき層62Bは、まとめてSnめっき層62と呼ばれる場合がある。
【0054】
図5は、図2に示す積層セラミックコンデンサ1のV部の拡大図であり、外部電極40の断面を模式的に示す拡大断面図である。図6は、図2に示す積層セラミックコンデンサ1を矢印VIの方向から見たときの矢視図であり、外部電極40の表面を模式的に示す矢視図である。前述のとおり、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bの基本的な構成は同じである。よって、図5等を用いた以下の説明においては、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bは、外部電極40として説明される。なお、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bを構成する各層についても同様である。
【0055】
図5に示すように、積層体10上には、下地電極層50が配置されている。そして、下地電極層50を覆うように、めっき層60が配置されている。めっき層60は、Niめっき層61およびSnめっき層62を有する。図6は、積層セラミックコンデンサ1の端面に形成されたNiめっき層61の表面を示す図である。
【0056】
図5および図6に示すように、外部電極40は、Snめっき層62を厚み方向に貫通するSnよりも水素を通過しやすい金属間化合物622を有している。より具体的には、Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622は、Snめっき層62中において、Niめっき層61の表面からSnめっき層62の外表面まで伸展している。例えば、Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622の形状は、Niめっき層61の表面からSnめっき層62の外表面まで連続する針状の形状であることが好ましい。図5および図6に示すように、Snよりも水素を通過しやすい金属間化合物622は、Snめっき層62を厚み方向に貫通する貫通部として複数存在している。このSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物622は、Niめっき層61の表面からSnめっき層62の外表面まで水素を透過させる水素透過部の機能を有する。よって、めっき中に発生し、Niめっき層61中に吸蔵された水素は、Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622によって形成された水素透過部を通じて、積層セラミックコンデンサ1の外表面に放出される。これにより、積層セラミックコンデンサ1の絶縁抵抗特性の劣化が抑制される。
【0057】
図7は、吸蔵された水素を放出するメカニズムを模式的に示す図である。図7の左側の図は、比較例を示す図である。比較例においては、Snめっき層62は、Snめっき層62を厚み方向に貫通するSnよりも水素を通過しやすい金属間化合物622を備えていない。よって、Niめっき層61中に吸蔵された水素は、Snめっき層62を通過することができないため、外部電極40内に吸蔵された水素が残存してしまう。一方、図7の右側の図は、本実施形態の外部電極40の構成を示す図である。本実施形態においては、Snめっき層62は、Snめっき層62を厚み方向に貫通するSnよりも水素を通過しやすい金属間化合物622を備えている。本実施形態の構成の場合、Niめっき層61中に吸蔵された水素は、Snめっき層62中のSnよりも水素を通過しやすい金属間化合物622を通過することにより、外部電極40の外に放出される。
【0058】
なお、吸蔵した水素を除去する方法として、例えば加熱処理による方法も考えられる。しかしながら、加熱処理によって水素を除去する場合、高温の処理条件が必要となる。高温の加熱処理は、外部電極40の表面を酸化させてしまうため、はんだ付け性を低下させてしまうという新たな問題を引き起こす。これに対して、本実施形態の構成であれば、コンデンサ内部への水分の浸入を抑制しつつ、Niめっき層61中に吸蔵された水素を低減させることができる。さらに、本実施形態の構成であれば、基板実装性を良好に保つことができる。
【0059】
Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622は、Snめっき層62中のSnとSnめっき層62中に拡散したNiが一定の組成で再配列した結晶により構成されている。これにより、Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622を有するSnめっき層62は、厚み方向に貫通する貫通孔を有することなく、概ね一定の厚みの膜構造として形成される。Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622は、Niめっき層61中に吸蔵された水素をSnめっき層62の外に放出させつつ、積層セラミックコンデンサ1の内部への水分の浸入を抑制する機能を有する。そして、金属間化合物622を備えたSnめっき層62は概ね一定の厚みの膜構造として形成されているため、積層セラミックコンデンサ1の基板実装性は良好となる。
【0060】
Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622は、NiとSnを主成分とする化合物であることが好ましい。これにより、水素が通過しやすくなる。Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622は、NiSnであることが好ましい。NiSnは、扁平形状(板状)を有しているため、Snめっき層62を厚み方向に貫通する形状に成長しやすい。よって、本実施形態の効果をより顕著なものすることができる。
【0061】
なお、金属間化合物は、以下の方法により確認することができる。まず、積層セラミックコンデンサ1をW寸法の1/2の位置まで断面研磨し、特定のLT断面を露出させる。その後、特定のLT断面において、Snめっき層62中に、Snめっき層62の厚み方向に貫通する扁平形状(板状)の金属が存在していることを確認する。その後、確認された扁平形状(板状)の金属部分を対象に、EDXによる組成分析を行う。この組成分析の結果、NiとSnのモル比x:yのxとyが整数となる場合、その金属部分は、金属間化合物であると判断される。なお、NiとSnのモル比x:yが1:4であることを確認することにより、金属間化合物がNiSnであることを確認することができる。
【0062】
図8は、Niめっき層61とSnめっき層62の界面付近を模式的に示す拡大断面図である。Niめっき層61の表面は、図8の左側の図に示すような平坦な表面ではなく、図8の右側の図に示すような、凹凸を有する表面であってもよい。Niめっき層61の表面が凹凸を有する表面である場合、Niめっき層61の表面の算術平均粗さRaは、0.1um以上0.5um以下であることが好ましい。Niめっき層61の表面が凹凸を有する表面である場合、Niめっき層61の凸部の頂点において、Niめっき層61の表面からSnめっき層62の表面までの距離が短くなる部分が発生する。例えば、図8の左側の図に示される距離t1よりも、図8の右側の図に示される距離t2の方が短い。これにより、Niめっき層61からSnめっき層62表面まで伸長するNiSn金属間化合物の発生率が向上する。
【0063】
なお、Snめっき層62の表面を波長分散型X線分析法(WDX)で分析した際のNi/(Ni+Sn)の面積比率は、3%以上50%以下であることが好ましい。これにより、Niめっき層61からSnめっき層62の外表面まで貫通する金属間化合物622を十分に確保することができる。よって、十分に水素を透過させることができる。また、Snめっき層62の役割の一つであるはんだ濡れ性を確保することができる。なお、Ni/(Ni+Sn)の面積比率が3%よりも小さい場合は、Niめっき層61からSnめっき層62の外表面まで、水素が透過しにくくなる。よって、Niめっき層61中に水素が吸蔵された状態が維持されやすくなり、積層セラミックコンデンサの絶縁抵抗特性が劣化してしまうおそれがある。また、Ni/(Ni+Sn)の面積比率が50%よりも大きくなってしまった場合は、はんだ濡れ性が悪くなり、積層セラミックコンデンサの実装不良が発生しやすくなるおそれがある。
【0064】
なお、Ni/(Ni+Sn)の面積比率は、以下の方法により確認することができる。図9は、Ni/(Ni+Sn)の面積比率を確認する方法を説明するための図である。まず、図9に示されるように、積層体10の端面(第1の端面LS1、第2の端面LS2)に設けられた外部電極40の表面、すなわちSnめっき層62の表面において、面積比率を確認するための中央部が規定される。なお、図9の右側に拡大図として示される中央部は、図9の左側の図に示されるように、外部電極40のT寸法T1を3等分したときの中央部分と、外部電極40のW寸法W1を3等分したときの中央部分とによって規定される。この中央部をWDXで分析し、NiおよびSnのマッピング像を取得する。取得した画像に二値化処理を実施し、Niであるとして判定された部分の面積と、Snであるとして判定された部分の面積とから、Ni/(Ni+Sn)の面積比率を算出する。なお、図9は、外部電極40のW寸法W1よりも、外部電極40のT寸法T1が長いときの例を示す図である。両者の寸法が等しい場合や、外部電極40のW寸法W1よりも、外部電極40のT寸法T1が短い場合においても、同様の方法により中央部が設定される。
【0065】
なお、外部電極40は、積層体10とNiめっき層61との間に下地電極層50を有していることが好ましい。これにより、より信頼性の高い外部電極40を得ることができる。
【0066】
なお、本実施形態の外部電極40は、導電性樹脂層を有していてもよい。電性樹脂層は、例えば導電性粒子と熱硬化性樹脂を含む。下地電極層50として導電性樹脂層を設ける場合、導電性樹脂層は、焼き付け層を覆うように配置されてもよいし、焼き付け層を設けずに積層体10上に直接配置されてもよい。導電性樹脂層が焼き付け層を覆うように配置される場合、導電性樹脂層は、焼き付け層とめっき層60との間に配置される。導電性樹脂層は、焼き付け層上を完全に覆っていてもよいし、焼き付け層の一部を覆っていてもよい。
【0067】
熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂層は、例えばめっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミックコンデンサ1に物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層は、緩衝層として機能する。よって、導電性樹脂層は、積層セラミックコンデンサ1のクラック発生を抑制する。
【0068】
導電性粒子を構成する金属は、Ag、Cu、Ni、Sn、Biまたは、それらを含む合金であってもよい。導電性粒子は、好ましくはAgを含む。導電性粒子は、例えばAgの金属粉である。Agは、金属の中でもっとも比抵抗が低いため、電極材料に適している。また、Agは貴金属であるため、酸化しにくく、対候性が高い。よって、Agの金属粉は、導電性粒子として好適である。
【0069】
また、導電性粒子は、金属粉の表面にAgコーティングされた金属粉であってもよい。金属粉の表面にAgコーティングされたものを使用する際には、金属粉は、Cu、Ni、Sn、Biまたはそれらの合金粉であることが好ましい。Agの特性は保ちつつ、母材の金属を安価なものにするために、Agコーティングされた金属粉を用いることが好ましい。
【0070】
さらに、導電性粒子は、Cu、Niに酸化防止処理を施したものであってもよい。また、導電性粒子は、金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングした金属粉であってもよい。金属粉の表面にSn、Ni、Cuをコーティングされたものを使用する際には、金属粉は、Ag、Cu、Ni、Sn、Biまたはそれらの合金粉であることが好ましい。
【0071】
導電性粒子の形状は、特に限定されない。導電性粒子は、球形状、扁平状などのものを用いることができるが、球形状金属粉と扁平状金属粉とを混合して用いることが好ましい。
【0072】
導電性樹脂層に含まれる導電性粒子は、主に導電性樹脂層の通電性を確保する役割を担う。具体的には、複数の導電性粒子どうしが接触することにより、導電性樹脂層内部に通電経路が形成される。
【0073】
導電性樹脂層を構成する樹脂は、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂などの公知の種々の熱硬化性樹脂から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。その中でも、耐熱性、耐湿性、密着性などに優れたエポキシ樹脂は、最も適切な樹脂のひとつである。また、導電性樹脂層の樹脂は、熱硬化性樹脂とともに、硬化剤を含むことが好ましい。ベース樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂の硬化剤は、フェノール系、アミン系、酸無水物系、イミダゾール系、活性エステル系、アミドイミド系など公知の種々の化合物であってもよい。
【0074】
なお、導電性樹脂層は、複数層で形成されていてもよい。導電性樹脂層の最も厚い部分の厚みは、10μm以上150μm以下であることが好ましい。
【0075】
なお、下地電極層50を設けずにめっき層60だけで外部電極40を形成してもよい。すなわち、積層セラミックコンデンサ1は、第1の内部電極層31と、第2の内部電極層32とに、直接電気的に接続されるめっき層60を含む構成であってもよい。このような場合、前処理として積層体10の表面に触媒を配設した後で、めっき層60が形成されてもよい。
【0076】
なお、積層体10と外部電極40を含む積層セラミックコンデンサ1の長さ方向の寸法をL寸法とすると、L寸法は、1.0mm以上3.2mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ1の高さ方向の寸法をT寸法とすると、T寸法は、0.5mm以上2.5mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ1の幅方向の寸法をW寸法とすると、W寸法は、0.5mm以上2.5mm以下であることが好ましい。
【0077】
以上のように、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、積層された複数の誘電体層20を含み、高さ方向に相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、高さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、高さ方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む積層体10と、複数の誘電体層20上に配置され、第1の端面LS1に露出する第1の内部電極層31と、複数の誘電体層20上に配置され、第2の端面LS2に露出する第2の内部電極層32と、第1の内部電極層31に接続され、第1の端面LS1上に配置される第1の外部電極40Aと、第2の内部電極層32に接続され、第2の端面LS2上に配置される第2の外部電極40Bと、を有する積層セラミックコンデンサ1であって、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bは、Niめっき層61と、Niめっき層61上に位置するSnめっき層62を有し、Snめっき層62は、Snめっき層62を厚み方向に貫通するSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物622を有する。これにより、コンデンサ内部への水分の浸入を抑制しつつ、絶縁抵抗特性の低下を抑制することができる。
【0078】
また、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、積層された複数の誘電体層20と積層された複数の内部電極層30とを含む積層体10と、内部電極層30に接続される外部電極40と、を備え、外部電極40は、Niめっき層61と、Niめっき層61上に位置するSnめっき層62を有し、Snめっき層62は、Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物により構成された、Snめっき層62を厚み方向に貫通する水素透過部を有する。これにより、コンデンサ内部への水分の浸入を抑制しつつ、絶縁抵抗特性の低下を抑制することができる。
【0079】
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。
【0080】
誘電体層20用の誘電体シートおよび内部電極層30用の導電性ペーストが準備される。誘電体シートおよび内部電極用の導電性ペーストは、バインダおよび溶剤を含む。バインダおよび溶剤は、公知のものであってもよい。
【0081】
誘電体シート上に、内部電極層30用の導電性ペーストが、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより所定のパターンで印刷される。これにより、第1の内部電極層31のパターンが形成された誘電体シートおよび、第2の内部電極層32のパターンが形成された誘電体シートが準備される。
【0082】
内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第1の主面TS1側の第1の主面側外層部12となる部分が形成される。その上に、第1の内部電極層31のパターンが印刷された誘電体シートおよび第2の内部電極層32のパターンが印刷された誘電体シートが順次積層されることにより、内層部11となる部分が形成される。この内層部11となる部分の上に、内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第2の主面TS2側の第2の主面側外層部13となる部分が形成される。これにより、積層シートが作製される。
【0083】
積層シートが静水圧プレスなどの手段により高さ方向にプレスされることにより、積層ブロックが作製される。
【0084】
積層ブロックが所定のサイズにカットされることにより、積層チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより積層チップの角部および稜線部に丸みがつけられてもよい。
【0085】
積層チップが焼成されることにより、積層体10が作製される。焼成温度は、誘電体層20や内部電極層30の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
【0086】
積層体10の両端面に下地電極層50となる導電性ペーストが塗布される。本実施形態においては、下地電極層50は、焼き付け層である。ガラス成分と金属とを含む導電性ペーストが、例えばディッピングなどの方法により、積層体10に塗布される。その後、焼き付け処理が行われ、下地電極層50が形成される。この時の焼き付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
【0087】
なお、焼成前の積層チップと、積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼き付け層は、ガラス成分の代わりにセラミック材料を添加したものを焼き付けて形成することが好ましい。このとき、添加するセラミック材料として、誘電体層20と同種のセラミック材料を用いることが特に好ましい。この場合は、焼成前の積層チップに対して、導電性ペーストを塗布し、積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストを同時に焼き付けて、焼き付け層が形成された積層体10を形成する。
【0088】
なお、下地電極層50を薄膜層で形成する場合は、マスキングなどを行うことにより、外部電極40を形成したい部分に下地電極層50としての薄膜層が形成される。薄膜層は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により形成される。薄膜層は、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
【0089】
なお、下地電極層50として導電性樹脂層を設ける場合、導電性樹脂層は、焼き付け層を覆うように配置されてもよいし、焼き付け層を設けずに積層体10上に直接配置されてもよい。導電性樹脂層を設ける場合は、熱硬化性樹脂および金属成分を含む導電性樹脂ペーストが焼き付け層上もしくは積層体10上に塗布され、その後、250~550℃以上の温度で熱処理される。これにより、熱硬化樹脂が熱硬化して、導電性樹脂層が形成される。この熱処理時の雰囲気は、N2雰囲気であることが好ましい。また、樹脂の飛散を防ぎ、かつ、各種金属成分の酸化を防ぐため、酸素濃度は100ppm以下であることが好ましい。
【0090】
その後、下地電極層50の表面に、めっき層60が形成される。本実施形態では、めっき層60として、Niめっき層61およびSnめっき層62が形成される。
【0091】
本実施形態においては、下地電極層50の表面に、まずはNiめっき層61が形成される。その後、Niめっき層61の表面に対して、ジルコニアパウダーが噴射される。これにより、Niめっき層61の表面に凹凸が形成される。この時の凹凸の表面の算術平均粗さRaは、0.1um以上0.5um以下であることが好ましい。
【0092】
次に、Niめっき層61上に、Snめっき層62が形成される。前述のように、Niめっき層61の表面が凹凸を有する表面とした場合、Niめっき層61の凸部の頂点において、Niめっき層61の表面からSnめっき層62の表面までの距離が短くなる部分が発生する。これにより、Niめっき層61からSnめっき層62表面まで伸長するNiSn金属間化合物の発生率が向上する。
【0093】
なお、めっき処理を行うにあたっては、電解めっき、無電解めっきのどちらを採用してもよい。ただし、無電解めっきは、めっき析出速度を向上させるために、触媒などによる前処理が必要となるため、工程が複雑化するというデメリットがある。したがって、通常は、電解めっきを採用することが好ましい。
【0094】
最後に、積層セラミックコンデンサに熱処理を施し、Snめっき層62中にSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物622を形成する。具体的には、積層セラミックコンデンサを、120℃以下の温度で加熱することにより、Snめっき層62中にSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物622を形成する。なお、本実施形態では、Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622として、NiSnの金属間化合物を形成している。NiSnの金属間化合物は、120℃以下の温度であれば形成される。ただし、一度でも130℃以上の加熱を行うと、それ以後、120℃以下の温度で加熱をしても、NiSn金属間化合物は形成されなくなる。
【0095】
Snめっき層62の表面に存在するNiSn金属間化合物の表面積は、加熱時間に比例して形成される。本実施形態においては、Snめっき層62の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率が所望の面積比率となるように、熱処理時間は、例えば10時間から120時間程度の間で調整される。
【0096】
なお、下地電極層50を設けずに、めっき層60が積層体10の内部電極層30の露出部に直接配置されてもよい。
【0097】
このような製造工程により、積層セラミックコンデンサ1が製造される。
【0098】
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、以下の効果を奏する。
【0099】
(1)本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、積層された複数の誘電体層20を含み、高さ方向に相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、高さ方向に直交する幅方向に相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、高さ方向および幅方向に直交する長さ方向に相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む積層体10と、複数の誘電体層20上に配置され、第1の端面LS1に露出する第1の内部電極層31と、複数の誘電体層20上に配置され、第2の端面LS2に露出する第2の内部電極層32と、第1の内部電極層31に接続され、第1の端面LS1上に配置される第1の外部電極40Aと、第2の内部電極層32に接続され、第2の端面LS2上に配置される第2の外部電極40Bと、を有する積層セラミックコンデンサ1であって、第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bは、Niめっき層61と、Niめっき層61上に位置するSnめっき層62を有し、Snめっき層62は、Snめっき層62を厚み方向に貫通するSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物622を有する。これにより、コンデンサ内部への水分の浸入を抑制しつつ、絶縁抵抗特性の低下を抑制することができる。
【0100】
(2)本実施形態の第1の外部電極40Aおよび第2の外部電極40Bは、積層体10とNiめっき層61との間に下地電極層50を有している。これにより、より信頼性の高い外部電極40を得ることができる。
【0101】
(3)本実施形態の金属間化合物622は、NiとSnを主成分とする。これにより、金属間化合物622を通じて、水素が通過しやすくなる。
【0102】
(4)本実施形態の金属間化合物622は、NiSnである。NiSnは、扁平形状を有しているため、Snめっき層62を厚み方向に貫通する形状に成長しやすい。よって、本実施形態の効果をより顕著なものすることができる。
【0103】
(5)本実施形態の積層セラミックコンデンサ1において、Snめっき層62の表面を波長分散型X線分析法(WDX)で分析した際のNi/(Ni+Sn)の面積比率は、3%以上50%以下である。これにより、高い信頼性と高い実装性を両立することができる。
【0104】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図10は、本実施形態の変形例の積層セラミックコンデンサ1の外部電極の断面を模式的に示す拡大断面図であって、図5に対応する図である。
【0105】
本実施形態においては、めっき層60の態様が、第1実施形態とは異なる。
【0106】
本実施形態においては、図10に示すように、Niめっき層61とSnめっき層62との界面に、NiSnの金属間化合物623が存在する。このNiSnの金属間化合物623は、Snめっき層62中の隣り合うNiSnの金属間化合物622どうしをNiめっき層61とSnめっき層62との界面を通じて繋ぐ役割を果たす。すなわち、NiSnの金属間化合物623は、Niめっき61に吸蔵された水素を放出する水素放出バイパスの役割を果たす。NiSnの金属間化合物623の存在により、Niめっき61に吸蔵された水素がNiSnの金属間化合物622まで到達しやすくなり、水素放出の効率が向上する。
【0107】
NiSnの金属間化合物623は、Niめっき層61とSnめっき層62との界面に存在している。このNiSnの金属間化合物623は部分的に存在していても良いが、層状に形成されていることが好ましい。すなわち、NiSnの金属間化合物623は、金属間化合物層として形成されていることが好ましい。これにより、上述の効果をより良好に得ることが可能となる。NiSnの金属間化合物623の厚みは、0.1μm以上1μm以下であることが好ましい。
【0108】
次に、本変形例の積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。
【0109】
めっき処理を行う工程までは、上記実施形態の製造方法と同様であるため、説明を省略する。
【0110】
めっき処理後、積層セラミックコンデンサに複数の熱処理を施すことにより、めっき層60中に、NiSnの金属間化合物622およびNiSnの金属間化合物623が形成される。具体的には、積層セラミックコンデンサが第1の熱処理によって120℃以下の温度で加熱されることにより、Snめっき層62中にSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物622が形成される。なお、本実施形態では、Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622として、NiSnの金属間化合物622が形成されている。一方、積層セラミックコンデンサが第2の熱処理によって130℃以上の温度で加熱されることにより、Niめっき61とSnめっき層62の界面に、NiSnの金属間化合物623が優先的に形成される。なお、130℃で加熱した場合、それ以降、120℃以下の温度で加熱をしても、NiSnの金属間化合物622は形成されにくくなる。これは、130℃以上の加熱により生成されたNiSnの金属間化合物623が、Niめっき61とSnめっき62の界面に存在する壁の役割を果たし、NiSnの金属間化合物622が成長する際に必要となるNiの拡散を遮るためであると考えられる。したがって、まず、120℃以下の温度で加熱する第1の熱処理を施すことにより、Snめっき層62中にSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物622としてのNiSnを形成し、その後、130℃以上の温度で加熱する第2の熱処理を施すことにより、Niめっき61とSnめっき層62の界面に、NiSnの金属間化合物623を形成する。
【0111】
なお、Snめっき層62の表面に存在するNiSn金属間化合物の表面積は、第1の熱処理の加熱時間に比例して形成される。本実施形態においては、Snめっき層62の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率が、所望の面積比率となるように、熱処理時間を、例えば10時間から120時間程度の間で調整する。例えば、Snめっき層62の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率が3%となるような積層セラミックコンデンサ1を製造する場合、90℃で15~17時間の熱処理を行う。また、Snめっき層62の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率が50%となるような積層セラミックコンデンサを製造する場合、90℃で118~120時間の熱処理を行う。なお、第2の熱処理は、130℃以上の温度で、1時間以上行うことが好ましい。
【0112】
このようにして、本実施形態の積層セラミックコンデンサが製造される。
【0113】
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、上記(1)~(5)に加えて、以下の効果を奏する。
【0114】
(6)本実施形態の積層セラミックコンデンサ1において、Niめっき層61とNiめっき層61上に位置するSnめっき層62との界面には、NiSnの金属間化合物623が存在する。これにより、Niめっき61に吸蔵された水素がNiSnの金属間化合物622まで到達しやすくなり、水素放出の効率が向上する。
【0115】
なお、積層セラミックコンデンサ1の構成は、図1~4に示す構成に限定されない。例えば、積層セラミックコンデンサ1は、図11A図11B図11Cに示すような、2連構造、3連構造、4連構造の積層セラミックコンデンサであってもよい。
【0116】
図11Aに示す積層セラミックコンデンサ1は、2連構造の積層セラミックコンデンサ1であり、内部電極層30として、第1の内部電極層33および第2の内部電極層34に加えて、第1の端面LS1および第2の端面LS2のどちらにも引き出されない浮き内部電極層35を備える。図11Bに示す積層セラミックコンデンサ1は、浮き内部電極層35として、第1の浮き内部電極層35Aおよび第2の浮き内部電極層35Bを備えた、3連構造の積層セラミックコンデンサ1である。図11Cに示す積層セラミックコンデンサ1は、浮き内部電極層35として、第1の浮き内部電極層35A、第2の浮き内部電極層35Bおよび第3の浮き内部電極層35Cを備えた、4連構造の積層セラミックコンデンサ1である。このように、内部電極層30として、浮き内部電極層35を設けることにより、積層セラミックコンデンサ1は、対向電極部が複数に分割された構造となる。これにより、対向する内部電極層30間において複数のコンデンサ成分が形成され、これらのコンデンサ成分が直列に接続された構成となる。よって、それぞれのコンデンサ成分に印加される電圧が低くなり、積層セラミックコンデンサ1の高耐圧化を図ることができる。なお、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、4連以上の多連構造であってもよいことはいうまでもない。
【0117】
なお、積層セラミックコンデンサ1は、2個の外部電極を備える2端子型のものであってもよいし、多数の外部電極を備える多端子型のものであってもよい。
【0118】
<第1実験例>
第1実施形態に記載された製造方法にしたがって、Snめっき層の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率が0~55%となるような積層セラミックコンデンサを第1実験例の試料として作製した。その後、作製した試料を用いて、IR(絶縁抵抗)の評価試験を行った。また、高温負荷試験による信頼性試験および、実装性試験を行った。
【0119】
1.積層セラミックコンデンサの製造
まず、第1実施形態に記載された製造方法にしたがって、以下の仕様の積層セラミックコンデンサを第1実験例の試料として作製した。
【0120】
・積層セラミックコンデンサの寸法:L×W×T=1.15mm×0.65mm×0.65mm
・誘電体層:BaTiO3
・容量:4.7μF
・定格電圧:25V
・下地電極層:導電性金属(Cu)とガラス成分を含む電極
・めっき層:Niめっき層2μmおよびSnめっき層2μmの2層形成
・Snめっき層中の金属間化合物:NiSn
・Snめっき層の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率:0%~55%
【0121】
ここで、Snめっき層の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率は、以下の方法により調整した。
【0122】
まず、複数の異なる任意の時間(例えば0分~120分)で90℃の熱処理を実施した積層セラミックコンデンサを準備した。次に、これらの積層セラミックコンデンサのSnめっき層の表面を、FE-WDXにより分析した。さらに、FE-WDXの分析結果に基づき、複数の異なる時間で熱処理された積層セラミックコンデンサについて、Snめっき層の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率を算出し、熱処理時間tに対するSnめっき層の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率の検量線を作成した。そして、この検量線から、Snめっき層の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率が0%~55%となるような熱処理時間を計算し、実験例の試料となる積層セラミックコンデンサを作製した。
【0123】
なお、Ni/(Ni+Sn)の面積比率は、以下の方法により確認した。まず、図9に示されるように、積層体の端面に設けられた外部電極の表面、すなわちSnめっき層の表面において、面積比率を確認するための中央部を規定した。なお、外部電極のT寸法T1を3等分したときの中央部分と、外部電極のW寸法W1を3等分したときの中央部分とにより規定される部分を中央部とした。この中央部をFE-WDXで分析し、NiおよびSnのマッピング像を取得した。取得した画像に二値化処理を実施し、Niであるとして判定された部分の面積と、Snであるとして判定された部分の面積とから、Ni/(Ni+Sn)の面積比率を算出した。
【0124】
表1に、上述の検量線に基づいて作製された異なるNi/(Ni+Sn)面積比の積層セラミックコンデンサの試料と、その試料を作製する際に実施した90℃の熱処理時間を示す。
【0125】
【表1】
【0126】
2.IR(絶縁抵抗)の評価試験
第1実験例の試料に対して、IRの評価試験を実施した。
【0127】
比較例の試料として、金属間化合物を有しない積層セラミックコンデンサ(Ni/(Ni+Sn)の面積比率が0%の積層セラミックコンデンサ)を5つ準備した。比較例の試料は、金属間化合物を有しない点を除いて、下記の実施例と同じ構造の積層セラミックコンデンサである。
【0128】
実施例の試料として、Snめっき層を厚み方向に貫通する金属間化合物としてのNiSnが形成された積層セラミックコンデンサを準備した。なお、本評価試験においては、Ni/(Ni+Sn)の面積比率が5%である試料を5つ準備した。
【0129】
IRの測定は、高温負荷試験前、50時間の高温負荷試験後、50時間の高温負荷試験後にSnめっき層を剥離した後の、3回のタイミングで実施した。なお、水素吸蔵によるIR特性の劣化は、ショート前であればSnめっきを剥離する事で回復させることが出来る。今回は、NiSn金属間化合物を有する実施例の試料の水素放出の効果を確認するため、Snめっきを剥離した後の試料に対しても、IRの測定を実施した。以下に、本評価試験の試験条件を示す。
【0130】
・高温負荷試験の試験条件:85℃/25V/50時間
・IRの測定条件:150℃で1時間熱処理後、常温で24時間放置してから測定
・Snめっきの剥離方法:Snめっきで被膜された外部電極をメルテックス社製「エンストリップTL-015」に所定時間漬ける事で、Snめっきのみを剥離
【0131】
図12は、第1実験例における、IRの評価試験の結果を示す図である。
【0132】
比較例の試料であるチップA、チップB、チップC、チップD、チップEは、高温負荷試験前のIR値と比べて、50時間の高温負荷試験後のIR値が低下した。その後、Snめっきを剥離して測定したところ、高温負荷試験前のIR値に回復した。一方、実施例の試料であるチップF、チップG、チップH、チップI、チップJは、高温負荷試験前のIR値に対して、50時間の高温負荷試験後のIR値、その後のSnめっきを剥離した後のIR値のいずれも、ほとんど変化していない。
【0133】
この評価試験により、Snめっき層を厚み方向に貫通する金属間化合物としてのNiSn4が形成された実施例の試料は、金属間化合物を有していない比較例の試料と比べて、水素吸蔵によるIR特性の劣化を抑制する効果が得られていることが確認された。
【0134】
3.高温負荷試験による信頼性試験、実装性試験
第1実験例の試料に対して、高温負荷試験による信頼性試験および、実装性試験を実施した。
【0135】
高温負荷試験(信頼性試験)および実装性試験のそれぞれの試験において、Ni/(Ni+Sn)の面積比率が0~55%の範囲内にある、複数の面積比率(表1参照)の試料を、それぞれ50個ずつ準備した。
【0136】
高温負荷試験においては、各試料に対して、保障温度範囲に少なくとも20℃を加えた環境下で、定格電圧の2倍に相当する電圧を12時間印加した。これにより、抵抗値が初期値に対して急激に低下するような劣化が生じた試料を、信頼性NGの試料として判定した。具体的には、上記の温度環境下で、定格電圧が25Vの試料に対して、その定格電圧の2倍に相当する50Vの電圧を12時間印加した。これにより、抵抗値が初期値の1/10以下に低下した試料および動作しなくなった試料を信頼性NGの試料として判定した。そして、高温負荷試験において信頼性NGと判定された試料の数を、高温負荷試験のNGサンプル数としてカウントした。
【0137】
なお、信頼性NGの原因が、Niめっき層中に吸蔵された水素に起因するものであることを確認するために、すなわち、クラック起因でないことを確認するために、以下の評価を行った。
【0138】
信頼性NGと判定された各試料を樹脂で固めた後に研磨を行い、研磨した試料の断面を観察し、コンデンサ有効部にクラックが入っているか否かを確認した。ここで、コンデンサ有効部にクラックが入っていない場合は、Niめっき層中に吸蔵された水素に起因して発生した信頼性の低下により、信頼性NGの判定になったと判断した。具体的な評価方法は以下のとおりである。
【0139】
まず、樹脂で固めた積層セラミックコンデンサの第1の端面もしくは第2の端面から、第1の端面もしくは第2の端面とほぼ平行となるように研磨を開始する。ここで、第1の端面から研磨を開始した場合、第2の端面に露出する第2の内部電極の第1の端面側の内部電極の先端が出始める位置からクラックの有無の確認を開始する。その後、第2の端面側まで研磨を進めながら第1の端面に露出する第1の内部電極の第2の端面側の内部電極の先端が途切れる位置まで、すなわち第1の内部電極が確認できなくなるまで、クラックの有無を確認した。なお、今回の確認の結果では、下記の表2の信頼性NGの試料においてはクラックが確認されなかった。よって、下記の表2の信頼性NGの試料における信頼性NGの要因は、Niめっき層中に吸蔵された水素に起因するものであると判断した。
【0140】
実装性試験においては、マウンターを用いた実装性試験により評価を行った。
【0141】
まず、実験例の試料としての積層セラミックコンデンサが包装されたエンボステープからカバーテープを剥離した。その後、マウンター実装機のノズルを用いて積層セラミックコンデンサを吸引した。なお、積層セラミックコンデンサのチップサイズを考慮して、適正な吸引径のノズルが選択されている。ノズルで吸引後、積層セラミックコンデンサを基板へ実装した。実装作業後、基板から外れているチップを実装性試験のNGサンプル数としてカウントした。それ以外の基板に実装できているチップを、実装性試験のOKサンプル数としてカウントした。
【0142】
表2は、第1実験例における、高温負荷試験(信頼性試験)および、実装性試験の結果を示す表である。
【0143】
【表2】
【0144】
表2には、Snめっき層の表面におけるNi/(Ni+Sn)の面積比率を調製した各試料について、高温負荷試験(信頼性試験)のNGサンプル数および、実装性試験のOKサンプル数が示されている。Ni/(Ni+Sn)の面積比率が3%以上の試料は、高温負荷試験による信頼性試験の結果が良好であった。また、Ni/(Ni+Sn)の面積比率が50%以下の試料は、実装性試験の結果が良好であった。以上より、Snめっき層の表面におけるNi/(Ni+Sn)の面積比率が3%~50%の範囲である場合、高い信頼性と高い実装性を両立することができる。すなわち、Snめっき層の表面におけるNi/(Ni+Sn)の面積比率が3%~50%の範囲は、実用上、特に有効な範囲であるといえる。
【0145】
<第2実験例>
第2実施形態に記載された製造方法にしたがって、Snめっき層の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率が0~55%となるような積層セラミックコンデンサを第2実験例の試料として作製した。その後、作製した試料を用いて、IR(絶縁抵抗)の評価試験を行った。また、高温負荷試験による信頼性試験および、実装性試験を行った。
【0146】
1.積層セラミックコンデンサの製造
まず、第2実施形態に記載された製造方法にしたがって、以下の仕様の積層セラミックコンデンサを第2実験例の試料として作製した。
【0147】
・積層セラミックコンデンサの寸法:L×W×T=1.15mm×0.65mm×0.65mm
・誘電体層:BaTiO3
・容量:4.7μF
・定格電圧:25V
・下地電極層:導電性金属(Cu)とガラス成分を含む電極
・めっき層:Niめっき層2μmおよびSnめっき層2μmの2層形成
・Snめっき層中の金属間化合物:NiSn
・Snめっき層の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率:0%~55%
【0148】
ここで、本実験例においては、金属間化合物を有しない試料(Ni/(Ni+Sn)の面積比率が0%の試料)を除き、Niめっき層とSnめっき層との界面に、厚さ1μmのNiSnの金属間化合物を形成した。Ni3Sn4の金属間化合物は、Niめっき層61を覆うように形成した。
【0149】
なお、Snめっき層の表面上のNi/(Ni+Sn)の面積比率は、第1実験例と同様の方法により調整した。
【0150】
2.IR(絶縁抵抗)の評価試験
第2実験例の試料に対して、IRの評価試験を実施した。
【0151】
比較例の試料として、金属間化合物を有しない積層セラミックコンデンサ(Ni/(Ni+Sn)の面積比率が0%の積層セラミックコンデンサ)を5つ準備した。比較例の試料は、金属間化合物を有しない点を除いて、下記の実施例と同じ構造の積層セラミックコンデンサである。
【0152】
実施例の試料として、Snめっき層を厚み方向に貫通する金属間化合物としてのNiSnおよび、Niめっき層とSnめっき層との界面に金属間化合物としてのNiSnが形成された積層セラミックコンデンサを準備した。なお、本評価試験においては、Ni/(Ni+Sn)の面積比率が5%である試料を5つ準備した。
【0153】
IRの測定は、高温負荷試験前、50時間の高温負荷試験後、50時間の高温負荷試験後にSnめっき層を剥離した後の、3回のタイミングで実施した。なお、水素吸蔵によるIR特性の劣化は、ショート前であればSnめっきを剥離する事で回復させることが出来る。今回は、NiSn金属間化合物を有する実施例の試料の水素放出の効果を確認するため、Snめっきを剥離した後の試料に対しても、IRの測定を実施した。以下に、本評価試験の試験条件を示す。
【0154】
・高温負荷試験の試験条件:85℃/25V/50時間
・IRの測定条件:150℃で1時間熱処理後、常温で24時間放置してから測定
・Snめっきの剥離方法:Snめっきで被膜された外部電極をメルテックス社製「エンストリップTL-015」に所定時間漬ける事で、Snめっきのみを剥離
【0155】
図13は、第2実験例における、IRの評価試験の結果を示す図である。
【0156】
比較例の試料であるチップA、チップB、チップC、チップD、チップEは、高温負荷試験前のIR値と比べて、50時間の高温負荷試験後のIR値が低下した。その後、Snめっきを剥離して測定したところ、高温負荷試験前のIR値に回復した。一方、実施例の試料であるチップK、チップL、チップM、チップN、チップOは、高温負荷試験前のIR値に対して、50時間の高温負荷試験後のIR値、その後のSnめっきを剥離した後のIR値のいずれも、ほとんど変化していない。
【0157】
この評価試験により、Snめっき層を厚み方向に貫通する金属間化合物としてのNiSnおよび、Niめっき層とSnめっき層との界面に金属間化合物としてのNiSnが形成された実施例の試料は、金属間化合物を有していない比較例の試料と比べて、水素吸蔵によるIR特性の劣化を抑制する効果が得られていることが確認された。
【0158】
3.高温負荷試験による信頼性試験、実装性試験
第2実験例の試料に対して、高温負荷試験による信頼性試験および、実装性試験を実施した。
【0159】
高温負荷試験(信頼性試験)および実装性試験のそれぞれの試験において、Ni/(Ni+Sn)の面積比率が0~55%の範囲内にある複数の面積比率の試料(表1参照)を、それぞれ50個ずつ準備した。
【0160】
高温負荷試験においては、各試料に対して、保障温度範囲に少なくとも20℃を加えた環境下で、定格電圧の2倍に相当する電圧を12時間印加した。これにより、抵抗値が初期値に対して急激に低下するような劣化が生じた試料を、信頼性NGの試料として判定した。具体的には、上記の温度環境下で、定格電圧が25Vの試料に対して、その定格電圧の2倍に相当する50Vの電圧を12時間印加した。これにより、抵抗値が初期値の1/10以下に低下した試料および動作しなくなった試料を信頼性NGの試料として判定した。そして、高温負荷試験において信頼性NGと判定された試料の数を、高温負荷試験のNGサンプル数としてカウントした。
【0161】
なお、信頼性NGの原因が、Niめっき層中に吸蔵された水素に起因するものであることを確認するために、すなわち、クラック起因でないことを確認するために、以下の評価を行った。
【0162】
信頼性NGと判定された各試料を樹脂で固めた後に研磨を行い、研磨した試料の断面を観察し、コンデンサ有効部にクラックが入っているか否かを確認した。ここで、コンデンサ有効部にクラックが入っていない場合は、Niめっき層中に吸蔵された水素に起因して発生した信頼性の低下により、信頼性NGの判定になったと判断した。具体的な評価方法は以下のとおりである。
【0163】
まず、樹脂で固めた積層セラミックコンデンサの第1の端面もしくは第2の端面から、第1の端面もしくは第2の端面とほぼ平行となるように研磨を開始する。ここで、第1の端面から研磨を開始した場合、第2の端面に露出する第2の内部電極の第1の端面側の内部電極の先端が出始める位置からクラックの有無の確認を開始する。その後、第2の端面側まで研磨を進めながら第1の端面に露出する第1の内部電極の第2の端面側の内部電極の先端が途切れる位置まで、すなわち第1の内部電極が確認できなくなるまで、クラックの有無を確認した。なお、今回の確認の結果では、下記の表3の信頼性NGの試料においてはクラックが確認されなかった。よって、下記の表3の信頼性NGの試料における信頼性NGの要因は、Niめっき層中に吸蔵された水素に起因するものであると判断した。
【0164】
実装性試験においては、マウンターを用いた実装性試験により評価を行った。
【0165】
まず、実験例の試料としての積層セラミックコンデンサが包装されたエンボステープからカバーテープを剥離した。その後、マウンター実装機のノズルを用いて積層セラミックコンデンサを吸引した。なお、積層セラミックコンデンサのチップサイズを考慮して、適正な吸引径のノズルが選択されている。ノズルで吸引後、積層セラミックコンデンサを基板へ実装した。実装作業後、基板から外れているチップを実装性試験のNGサンプル数としてカウントした。それ以外の基板に実装できているチップを、実装性試験のOKサンプル数としてカウントした。
【0166】
表3は、第2実験例における、高温負荷試験(信頼性試験)および、実装性試験の結果を示す表である。
【0167】
【表3】
【0168】
表3には、Snめっき層の表面におけるNi/(Ni+Sn)の面積比率を調製した各試料における、高温負荷試験(信頼性試験)のNGサンプル数および、実装性試験のOKサンプル数が示されている。Ni/(Ni+Sn)の面積比率が2%以上の試料は、高温負荷試験による信頼性試験の結果が良好であった。また、Ni/(Ni+Sn)の面積比率が50%以下の試料は、実装性試験の結果が良好であった。以上より、Snめっき層の表面におけるNi/(Ni+Sn)の面積比率が2%~50%の範囲である場合、高い信頼性と高い実装性を両立することができる。このように、第2実験例においては、実用上、特に有効な面積比率の範囲が、2%~50%に広がった。
【0169】
このように、90℃での熱処理後、130℃以上の温度で1時間以上の熱処理を行った場合、基板実装後の実装性試験の結果は変わらないまま、高温負荷環境下における信頼性試験のNGサンプル数が減少する効果が認められた。130℃以上の熱処理により、Niめっき層とSnめっき層の界面にNiSnが形成され、水素の放出効率が改善されたためであると考えられる。
【0170】
以上の第1実験例および第2実験例の結果より、本開示の積層セラミックコンデンサ1は、コンデンサ内部への水分の浸入を抑制しつつ、絶縁抵抗特性の低下を抑制することができる。
【0171】
以上のように、本開示の積層セラミックコンデンサ1は、Snめっき層62を厚み方向に貫通するSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物622を有している。より具体的には、Snめっき層62中においてNiめっき層61の表面からSnめっき層62の外表面までSnよりも水素が通過しやすい金属間化合物622が伸展している。ここで、Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622は、Niめっき層61の表面からSnめっき層62の外表面まで水素を透過させる機能を有するため、Niめっき層61に吸蔵された水素を積層セラミックコンデンサ1の外部に放出することができる。そのため、積層セラミックコンデンサ1の絶縁抵抗特性の劣化を抑制することができる。また、Snよりも水素が通過しやすい金属間化合物622は、Snめっき層62中のSnとNiめっき層61中のNiが一定の組成で再配列した結晶であり、Snめっき層62の一定の厚みで膜構造として維持できる。よって、コンデンサ内部の積層体10の端面等への水分の浸入も抑制することができる。さらには、積層セラミックコンデンサ1の実装性を良好に保つことができる。
【0172】
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、上記実施形態において記載する個々の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
【符号の説明】
【0173】
1 積層セラミックコンデンサ
10 積層体
11 内層部
11E 対向電極部
12 第1の主面側外層部
13 第2の主面側外層部
LS1 第1の端面
LS2 第2の端面
WS1 第1の側面
WS2 第2の側面
TS1 第1の主面
TS2 第2の主面
20 誘電体層
30 内部電極層
31 第1の内部電極層
31A 第1の対向部
31B 第1の引き出し部
32 第2の内部電極層
32A 第2の対向部
32B 第2の引き出し部
40 外部電極
40A 第1の外部電極
40B 第2の外部電極
50 下地電極層
50A 第1の下地電極層
50B 第2の下地電極層
60 めっき層
60A 第1のめっき層
60B 第2のめっき層
61 Niめっき層
61A 第1のNiめっき層
61B 第2のNiめっき層
62 Snめっき層
62A 第1のSnめっき層
62B 第2のSnめっき層
622 金属間化合物
623 NiSnの金属間化合物
L 長さ方向
W 幅方向
T 高さ方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図11C
図12
図13