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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】ロータ、およびモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/276 20220101AFI20231205BHJP
【FI】
H02K1/276
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020534767
(86)(22)【出願日】2019-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2019030427
(87)【国際公開番号】W WO2020027315
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】P 2018146794
(32)【優先日】2018-08-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】青野 真郷
(72)【発明者】
【氏名】内勢 英明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 辰也
【審査官】佐藤 彰洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/062350(WO,A1)
【文献】特開2014-036457(JP,A)
【文献】特開2008-295140(JP,A)
【文献】特開2015-144565(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に延びる中心軸に沿って配置されるシャフトと、
前記シャフトに固定されるロータコアと、
前記ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に沿って配置される複数のマグネットと、
前記マグネットの径方向外側において前記ロータコアおよび前記マグネットを囲む筒状部を有するロータカバーと、
少なくとも一部が前記ロータカバーの径方向内側に位置し、前記ロータコアと前記マグネットとを互いに連結させて保持する樹脂部と、を備え、
前記樹脂部は、前記ロータコアと前記マグネットとの軸方向一方側に位置する第1蓋部を有し、
前記ロータカバーは、前記第1蓋部の軸方向一方側において前記筒状部から径方向内側に突出するフランジ部を有し、
前記第1蓋部は、前記第1蓋部の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む凹部を有し、
前記凹部は、軸方向に沿って視て、周方向に隣り合う前記マグネット同士の間と重なる位置に位置し、
前記フランジ部は、軸方向他方側にカシメられた第1カシメ部を有し、
前記第1カシメ部は、前記凹部の内部に位置し、
前記樹脂部は、前記ロータコアと前記マグネットとの軸方向他方側に位置する第2蓋部を有し、
前記ロータコアは、前記ロータコアを軸方向に貫通するコア貫通孔を有し、
前記樹脂部は、前記コア貫通孔を通って軸方向に延びる第1連結部を有し、
前記第1連結部は、前記第1蓋部と前記第2蓋部とを繋ぎ、
前記ロータコアは、周方向に沿って一周に亘って並んで配置される複数の前記コア貫通孔を有し、
複数の前記コア貫通孔のうち一部の前記コア貫通孔は、前記第1連結部が通る第1コア貫通孔であり、
複数の前記コア貫通孔のうち他の一部の前記コア貫通孔は、軸方向に沿って視て前記第1連結部と異なる位置にある第2コア貫通孔であり、
前記第2コア貫通孔における軸方向両側の開口部のうちの少なくとも一方は、前記ロータの外部に露出し、
前記第1蓋部は、
周方向に沿った環状であり、かつ、
前記第1蓋部を軸方向に貫通する第1貫通部を有し、
前記第1貫通部は、前記第1蓋部の径方向内縁から径方向外側に窪み、
前記第2コア貫通孔における軸方向一方側の開口部は、前記第1貫通部を介して前記ロータの外部に露出する、ロータ。
【請求項2】
前記凹部は、前記第1蓋部を軸方向に貫通し、
前記第1カシメ部は、前記ロータコアと接触する、請求項1に記載のロータ。
【請求項3】
前記第1蓋部は、周方向に沿った環状であり、
前記凹部は、前記第1蓋部の径方向内縁から径方向外側に延びる、請求項1または2に記載のロータ。
【請求項4】
前記筒状部の軸方向他方側の端部は、径方向内側にカシメられた第2カシメ部であり、
前記第2カシメ部は、前記第2蓋部の径方向外縁部に軸方向他方側から接触する、請求項に記載のロータ。
【請求項5】
周方向に隣り合う前記マグネット同士は、互いに周方向に離れて配置され、
前記樹脂部は、周方向に隣り合う前記マグネット同士の間において前記マグネット同士に接触する部分を有する、請求項に記載のロータ。
【請求項6】
前記樹脂部のうち周方向に隣り合う前記マグネット同士の間において前記マグネット同士に接触する部分は、軸方向に延びて前記第1蓋部と前記第2蓋部とを繋ぐ第2連結部である、請求項に記載のロータ。
【請求項7】
前記第1蓋部は、前記第1蓋部を軸方向に貫通する複数の第2貫通部を有し、
前記複数の第2貫通部は、周方向に沿って配置され、軸方向に沿って視て、前記マグネットの一部とそれぞれ重なり、
前記マグネットの一部は、前記第2貫通部の内部に露出する、請求項1からのいずれか一項に記載のロータ。
【請求項8】
前記ロータコアの一部は、前記第2貫通部の内部に露出する、請求項に記載のロータ。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項に記載のロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を備える、モータ。
【請求項10】
一方向に延びる中心軸に沿って配置されるシャフトと、
前記シャフトに固定されるロータコアと、
前記ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に沿って配置される複数のマグネットと、
前記マグネットの径方向外側において前記ロータコアおよび前記マグネットを囲む筒状部を有するロータカバーと、
少なくとも一部が前記ロータカバーの径方向内側に位置し、前記ロータコアと前記マグネットとを互いに連結させて保持する樹脂部と、を備え、
前記樹脂部は、前記ロータコアと前記マグネットとの軸方向一方側に位置する第1蓋部を有し、
前記ロータカバーは、前記第1蓋部の軸方向一方側において前記筒状部から径方向内側に突出するフランジ部を有し、
前記第1蓋部は、前記第1蓋部の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む凹部を有し、
前記凹部は、軸方向に沿って視て、周方向に隣り合う前記マグネット同士の間と重なる位置に位置し、
前記フランジ部は、軸方向他方側にカシメられた第1カシメ部を有し、
前記第1カシメ部は、前記凹部の内部に位置し、
前記第1蓋部は、前記第1蓋部を軸方向に貫通する複数の第2貫通部を有し、
前記複数の第2貫通部は、周方向に沿って配置され、軸方向に沿って視て、前記マグネットの一部とそれぞれ重なり、
前記マグネットの一部は、前記第2貫通部の内部に露出し、
前記ロータコアの一部は、前記第2貫通部の内部に露出する、ロータ。
【請求項11】
前記凹部は、前記第1蓋部を軸方向に貫通し、
前記第1カシメ部は、前記ロータコアと接触する、請求項10に記載のロータ。
【請求項12】
前記第1蓋部は、周方向に沿った環状であり、
前記凹部は、前記第1蓋部の径方向内縁から径方向外側に延びる、請求項10または11に記載のロータ。
【請求項13】
前記樹脂部は、前記ロータコアと前記マグネットとの軸方向他方側に位置する第2蓋部を有する、請求項10から12のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項14】
前記筒状部の軸方向他方側の端部は、径方向内側にカシメられた第2カシメ部であり、
前記第2カシメ部は、前記第2蓋部の径方向外縁部に軸方向他方側から接触する、請求項13に記載のロータ。
【請求項15】
前記ロータコアは、前記ロータコアを軸方向に貫通するコア貫通孔を有し、
前記樹脂部は、前記コア貫通孔を通って軸方向に延びる第1連結部を有し、
前記第1連結部は、前記第1蓋部と前記第2蓋部とを繋ぐ、請求項13に記載のロータ。
【請求項16】
前記ロータコアは、周方向に沿って一周に亘って並んで配置される複数の前記コア貫通孔を有し、
複数の前記コア貫通孔のうち一部の前記コア貫通孔は、前記第1連結部が通る第1コア貫通孔であり、
複数の前記コア貫通孔のうち他の一部の前記コア貫通孔は、軸方向に沿って視て前記第1連結部と異なる位置にある第2コア貫通孔であり、
前記第2コア貫通孔における軸方向両側の開口部のうちの少なくとも一方は、前記ロータの外部に露出する、請求項15に記載のロータ。
【請求項17】
前記第1蓋部は、
周方向に沿った環状であり、かつ、
前記第1蓋部を軸方向に貫通する第1貫通部を有し、
前記第1貫通部は、前記第1蓋部の径方向内縁から径方向外側に窪み、
前記第2コア貫通孔における軸方向一方側の開口部は、前記第1貫通部を介して前記ロータの外部に露出する、請求項16に記載のロータ。
【請求項18】
周方向に隣り合う前記マグネット同士は、互いに周方向に離れて配置され、
前記樹脂部は、周方向に隣り合う前記マグネット同士の間において前記マグネット同士に接触する部分を有する、請求項13から17のいずれか一項に記載のロータ。
【請求項19】
前記樹脂部のうち周方向に隣り合う前記マグネット同士の間において前記マグネット同士に接触する部分は、軸方向に延びて前記第1蓋部と前記第2蓋部とを繋ぐ第2連結部である、請求項18に記載のロータ。
【請求項20】
請求項10から19のいずれか一項に記載のロータと、
前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を備える、モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータ、およびモータに関する。本出願は、2018年8月3日に提出された日本特許出願第2018-146794号に基づいている。本出願は、当該出願に対して優先権の利益を主張するものである。その内容全体は、参照されることによって本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
ロータコアおよび永久磁石を覆うロータカバーを備えるロータが知られる。例えば、日本国公開公報特開2011-30406号公報には、そのようなロータを備える電動パワーステアリング用のモータが記載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国公開公報:特開2011-30406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなロータにおいては、ロータカバーがロータコアに対して相対回転することを抑制する必要がある。ロータカバーがロータコアに対して相対回転することを抑制する方法としては、例えば、ロータカバーをロータコアに固定された永久磁石に接着剤で接着する方法が挙げられる。しかし、この方法では、接着剤が剥がれた場合、ロータコアに対するロータカバーの相対回転を抑制できない場合があった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、ロータカバーがロータコアに対して相対回転することを好適に抑制できるロータ、およびそのようなロータを備えるモータを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のロータの一つの態様は、一方向に延びる中心軸に沿って配置されるシャフトと、前記シャフトに固定されるロータコアと、前記ロータコアの径方向外側に位置し、周方向に沿って配置される複数のマグネットと、前記マグネットの径方向外側において前記ロータコアおよび前記マグネットを囲む筒状部を有するロータカバーと、少なくとも一部が前記ロータカバーの径方向内側に位置し、前記ロータコアと前記マグネットとを互いに連結させて保持する樹脂部と、を備える。前記樹脂部は、前記ロータコアと前記マグネットとの軸方向一方側に位置する第1蓋部を有する。前記ロータカバーは、前記第1蓋部の軸方向一方側において前記筒状部から径方向内側に突出するフランジ部を有する。前記第1蓋部は、前記第1蓋部の軸方向一方側の面から軸方向他方側に窪む凹部を有する。前記凹部は、軸方向に沿って視て、周方向に隣り合う前記マグネット同士の間と重なる位置に位置する。前記フランジ部は、軸方向他方側にカシメられた第1カシメ部を有する。前記第1カシメ部は、前記凹部の内部に位置する。前記樹脂部は、前記ロータコアと前記マグネットとの軸方向他方側に位置する第2蓋部を有する。前記ロータコアは、前記ロータコアを軸方向に貫通するコア貫通孔を有し、前記樹脂部は、前記コア貫通孔を通って軸方向に延びる第1連結部を有し、前記第1連結部は、前記第1蓋部と前記第2蓋部とを繋ぐ。前記ロータコアは、周方向に沿って一周に亘って並んで配置される複数の前記コア貫通孔を有し、複数の前記コア貫通孔のうち一部の前記コア貫通孔は、前記第1連結部が通る第1コア貫通孔であり、複数の前記コア貫通孔のうち他の一部の前記コア貫通孔は、軸方向に沿って視て前記第1連結部と異なる位置にある第2コア貫通孔であり、前記第2コア貫通孔における軸方向両側の開口部のうちの少なくとも一方は、前記ロータの外部に露出する。前記第1蓋部は、周方向に沿った環状であり、かつ、前記第1蓋部を軸方向に貫通する第1貫通部を有し、前記第1貫通部は、前記第1蓋部の径方向内縁から径方向外側に窪み、前記第2コア貫通孔における軸方向一方側の開口部は、前記第1貫通部を介して前記ロータの外部に露出する。
【0007】
本発明のモータの一つの態様は、上記のロータと、前記ロータと径方向に隙間を介して対向するステータと、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一つの態様によれば、ロータにおいて、ロータカバーがロータコアに対して相対回転することを好適に抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態のモータを示す断面図である。
図2図2は、本実施形態のロータの一部を示す斜視図である。
図3図3は、本実施形態のロータの一部を示す斜視図である。
図4図4は、本実施形態のロータを示す断面図であって、図2におけるIV-IV断面図である。
図5図5は、本実施形態のロータの一部を示す断面図であって、図3におけるV-V断面図である。
図6図6は、本実施形態のロータの一部を示す斜視図である。
図7図7は、本実施形態のロータの一部を示す斜視図である。
図8図8は、本実施形態のロータの一部を示す断面図であって、図3におけるVIII-VIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すように、本実施形態のモータ10は、ハウジング11と、ステータ12と、一方向に延びる中心軸Jに沿って配置されるシャフト20を備えるロータ13と、ベアリングホルダ14と、ベアリング15,16と、を備える。ハウジング11は、底部を有する筒状であり、ステータ12、ロータ13、ベアリングホルダ14およびベアリング15,16を収容する。ステータ12は、ロータ13の径方向外側においてロータ13と径方向に隙間を介して対向する。シャフト20は、ベアリング15,16に回転可能に支持される。ベアリング15,16は、例えば、ボールベアリングである。ベアリング15は、ベアリングホルダ14に保持される。ベアリング16は、ハウジング11の底部に保持される。シャフト20は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。
【0011】
各図においては、中心軸Jが延びる一方向と平行な方向をZ軸で示す。以下の説明では、中心軸Jが延びる一方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。また、Z軸方向の正の側を「上側」とし、Z軸方向の負の側を「下側」とする。
【0012】
本実施形態において下側は、軸方向一方側に相当する。上側は、軸方向他方側に相当する。なお、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
【0013】
図2から図5に示すように、本実施形態のロータ13は、シャフト20と、ロータコア30と、複数のマグネット40と、ロータカバー60と、樹脂部50と、を備える。なお、図2図3図6および図7においては、シャフト20の図示を省略する。また、図6および図7においては、ロータカバー60の図示を省略する。図4に示すように、ロータコア30は、軸方向に延びる柱状である。図示は省略するが、ロータコア30は、例えば、複数の板部材が軸方向に積層されて構成される。図5に示すように、ロータコア30は、ロータコア本体31と、複数の突起部33と、を有する。本実施形態において、マグネット40の数は、8である。ロータコア30を構成する板部材は、例えば、電磁鋼板である。
【0014】
ロータコア本体31は、軸方向に延びる。より詳細には、ロータコア本体31は、中心軸Jを中心とする略正八角柱状である。ロータコア本体31は、複数のマグネット支持面32を有する。マグネット支持面32は、軸方向に延びる。マグネット支持面32は、径方向と直交する平坦な面である。複数のマグネット支持面32は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。複数のマグネット支持面32のそれぞれは、正八角柱状であるロータコア本体31が有する複数の径方向外側面のそれぞれである。
【0015】
ロータコア本体31は、ロータコア本体31を軸方向に貫通する固定孔部31aを有する。固定孔部31aの軸方向に沿って視た形状は、中心軸Jを中心とする円形状である。図4に示すように、固定孔部31aには、シャフト20が通される。固定孔部31aの内周面は、シャフト20の外周面に固定される。これにより、ロータコア30は、シャフト20に固定される。
【0016】
図5に示すように、突起部33は、ロータコア本体31から径方向外側に突出する。図示は省略するが、突起部33は、ロータコア本体31の上端部からロータコア本体31の下端部まで延びる。突起部33の径方向外側の面は、径方向と直交する平坦な面である。突起部33の周方向の寸法は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなる。複数の突起部33は、周方向に沿って一周に亘って並んで配置される。複数の突起部33同士の周方向の間隔は、例えば、互いに同じである。複数の突起部33の数は、例えば、8つである。8つの突起部33は、略正八角柱状のロータコア本体31の各角部から径方向外側に突出する。
【0017】
ロータコア30は、ロータコア30を軸方向に貫通する複数のコア貫通孔34を有する。コア貫通孔34は、ロータコア本体31を軸方向に貫通する。複数のコア貫通孔34は、周方向に沿って一周に亘って並んで配置される。複数のコア貫通孔34同士の周方向の間隔は、例えば、互いに同じである。コア貫通孔34は、軸方向に沿って視て円形状である。コア貫通孔34の数は、例えば、8つである。コア貫通孔34のそれぞれは、各マグネット40の径方向内側に位置する。
【0018】
複数のコア貫通孔34のうち一部のコア貫通孔34は、後述する第1連結部53が通る第1コア貫通孔34aである。図4に示すように、第1コア貫通孔34aの軸方向両側の開口部34c,34dは、樹脂部50によって閉塞される。
【0019】
図5に示すように、複数のコア貫通孔34のうち他の一部のコア貫通孔34は、軸方向に沿って視て第1連結部53と異なる位置にある第2コア貫通孔34bである。本明細書において「第2コア貫通孔が軸方向に沿って視て第1連結部と異なる位置にある」とは、第2コア貫通孔の少なくとも一部が、軸方向に沿って視て第1連結部と重ならないことを含む。
【0020】
図2から図4に示すように、第2コア貫通孔34bにおける軸方向両側の開口部34e,34fのうちの少なくとも一方は、ロータ13の外部に露出する。そのため、樹脂部50を成形してロータ13を製造した後であっても、露出する開口部34e,34fから第2コア貫通孔34bに治具を挿入する等により、ロータ13を周方向に位置決めすることができる。
【0021】
本実施形態では、第2コア貫通孔34bにおける軸方向両側の開口部34e,34fのうちの両方が、ロータ13の外部に露出する。第2コア貫通孔34bの下側の開口部34eは、ロータ13の下側に露出する。第2コア貫通孔34bの上側の開口部34fは、ロータ13の上側に露出する。図4に示すように、第2コア貫通孔34bの内部には、樹脂部50は配置されない。第2コア貫通孔34bの内部は、開口部34e,34fを介して、ロータ13の外部空間と繋がる空間部である。
【0022】
図5に示すように、本実施形態では、複数のコア貫通孔34が第1コア貫通孔34aであり、他の複数のコア貫通孔34が第2コア貫通孔34bである。第1コア貫通孔34aの数は、例えば、6つである。第2コア貫通孔34bの数は、例えば、2つである。2つの第2コア貫通孔34bは、中心軸Jを径方向に挟んで互いに反対側に位置する。
【0023】
図4から図7に示すように、マグネット40は、径方向に扁平で軸方向に延びる略四角柱状である。図5に示すように、マグネット40は、ロータコア30の径方向外側に位置する。複数のマグネット40は、周方向に沿って配置される。周方向に隣り合うマグネット40同士は、互いに周方向に離れて配置される。本実施形態において複数のマグネット40は、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。周方向に隣り合うマグネット40同士の間の周方向の距離は、径方向内側から径方向外側に向かうに従って大きくなる。
【0024】
複数のマグネット40のそれぞれは、周方向に隣り合う突起部33同士の間に配置される。マグネット40の周方向両側の端部は、マグネット40の周方向両側にそれぞれ隣り合う突起部33と接触する。より詳細には、マグネット40の周方向両側の端部における径方向の中央部から径方向内側の端部までが、突起部33と接触する。このようにして、突起部33によって、マグネット40を周方向に位置決めすることができる。なお、マグネット40の周方向両側の端部は、少なくとも一方が突起部33と接触しなくてもよい。
【0025】
複数のマグネット40のそれぞれは、複数のマグネット支持面32のそれぞれに径方向内側から支持される。マグネット40の径方向内側面は、径方向と直交する平坦な面であり、マグネット支持面32と接触する。マグネット40の径方向外側面は、ロータカバー60の後述する筒状部61の径方向内側面に沿って周方向に湾曲する曲面である。マグネット40の径方向外側面の曲率中心は、中心軸Jと一致する。マグネット40の径方向外側面をこのような曲面とすることで、モータ10の磁気特性を向上できる。マグネット40の径方向外側面は、ロータカバー60の径方向内側面と接触する。これにより、マグネット40は、ロータコア30とロータカバー60とに接触した状態で径方向に挟まれる。
【0026】
図4に示すように、マグネット40の軸方向の寸法は、例えば、ロータコア30の軸方向の寸法と同じである。マグネット40の上面とロータコア30の上面とは、例えば、軸方向と直交する同一平面上に配置される。マグネット40の下面とロータコア30の下面とは、例えば、軸方向と直交する同一平面上に配置される。
【0027】
図4および図5に示すように、樹脂部50は、少なくとも一部がロータカバー60の径方向内側に位置する。本実施形態において樹脂部50は、全体がロータカバー60の径方向内側に位置する。樹脂部50は、ロータコア30とマグネット40とを互いに連結させて保持する。本実施形態において樹脂部50は、ロータコア30とマグネット40とを挿入した金型に樹脂を流し込むインサート成形によって単一の部材として成形される。樹脂部50は、第1蓋部51と、第2蓋部52と、第1連結部53と、第2連結部54と、を有する。
【0028】
図6および図7に示すように、第1蓋部51および第2蓋部52は、周方向に沿った環状である。本実施形態において第1蓋部51および第2蓋部52は、中心軸Jを中心とする円環板状である。図4に示すように、第1蓋部51は、ロータコア30とマグネット40との下側に位置する。第1蓋部51は、ロータコア30の下面およびマグネット40の下面に接触する。
【0029】
第1蓋部51の径方向内縁は、固定孔部31aよりも径方向外側で、第1コア貫通孔34aよりも径方向内側に位置する。第1蓋部51の径方向外縁は、筒状部61の内周面に接触する。第1蓋部51は、第1コア貫通孔34aを下側から閉塞する。
【0030】
図7に示すように、第1蓋部51は、第1貫通部51aと、複数の第2貫通部51bと、を有する。第1貫通部51aおよび第2貫通部51bは、第1蓋部51を軸方向に貫通する。第1貫通部51aは、第1蓋部51の径方向内縁から径方向外側に窪む。第1貫通部51aは、軸方向に沿って視て、径方向に長い略矩形状である。本実施形態において第1貫通部51aは、2つ設けられる。2つの第1貫通部51aは、中心軸Jを径方向に挟んで互いに反対側に位置する。
【0031】
第1貫通部51aのそれぞれは、軸方向に沿って視て、第2コア貫通孔34bのそれぞれと重なる。これにより、第2コア貫通孔34bにおける下側の開口部34eは、第1貫通部51aを介してロータ13の外部に露出する。そのため、第1コア貫通孔34aと第2コア貫通孔34bとを同じ径方向位置としつつ、第2コア貫通孔34bの開口部34eをロータ13の外部に露出させることができる。
【0032】
複数の第2貫通部51bは、周方向に沿って配置される。本実施形態において複数の第2貫通部51bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。第2貫通部51bは、軸方向に沿って視て、円形状である。第2貫通部51bは、例えば、8つ設けられる。複数の第2貫通部51bのうち2つの第2貫通部51bには、2つの第1貫通部51aのそれぞれが繋がる。より詳細には、第1貫通部51aの径方向外側の端部が、第2貫通部51bと繋がる。第2貫通部51bの内径は、第1貫通部51aの周方向の寸法と同じである。
【0033】
図5に示すように、複数の第2貫通部51bは、軸方向に沿って視て、マグネット40の一部とそれぞれ重なる。本実施形態において第2貫通部51bのそれぞれは、各マグネット40における周方向の中央部分のうち径方向内側寄りの部分と重なる。第2貫通部51bは、軸方向に沿って視て、ロータコア30の一部とも重なる。より詳細には、第2貫通部51bは、軸方向に沿って視て、ロータコア本体31のうちマグネット支持面32を含む一部と重なる。
【0034】
図7に示すように、第2貫通部51bの内部には、マグネット40の一部が露出する。そのため、樹脂部50をインサート成形で成形する際に、金型の一部でマグネット40を下側から支持することができ、マグネット40を軸方向に位置決めできる。また、第1蓋部51の下側からマグネット40を視認することが可能である。そのため、樹脂部50に保持されたマグネット40の状態を観察可能である。
【0035】
また、本実施形態では、第2貫通部51bの内部には、ロータコア30の一部も露出する。そのため、樹脂部50をインサート成形で成形する際に、金型の一部でロータコア30を下側から支持することができる。これにより、マグネット40の下面とロータコア30の下面とに金型の一部を接触させて、マグネット40の軸方向位置とロータコア30の軸方向位置とを合わせることができる。
【0036】
第1蓋部51は、第1蓋部51の下側の面から上側に窪む凹部51cを有する。本実施形態において凹部51cは、例えば、2つ設けられる。2つの凹部51cは、中心軸Jを径方向に挟んで互いに反対側に位置する。本実施形態において凹部51cは、第1蓋部51を軸方向に貫通する。凹部51cは、第1蓋部51の径方向内縁から径方向外側に延びる。凹部51cは、軸方向に沿って視て、径方向に長い略矩形状である。凹部51cの周方向の寸法は、例えば、第1貫通部51aの周方向の寸法と同じである。
【0037】
図5に示すように、凹部51cは、軸方向に沿って視て、周方向に隣り合うマグネット40同士の間と重なる位置に位置する。より詳細には、凹部51cの径方向外側の端部は、軸方向に沿って視て、突起部33と、突起部33の周方向両側に配置されるマグネット40の周方向端部と、重なる。これにより、図7に示すように、突起部33と突起部33の周方向両側に配置されるマグネット40の周方向端部とは、凹部51cの内部に露出する。
【0038】
図4に示すように、第2蓋部52は、ロータコア30とマグネット40との上側に位置する。これにより、第1蓋部51と第2蓋部52とによって、ロータコア30とマグネット40とを軸方向に挟むことができ、マグネット40がロータコア30に対して軸方向に移動することを抑制できる。したがって、マグネット40が軸方向に抜け出ることを抑制できる。第2蓋部52は、筒状部61の上端部の径方向内側に配置される。第2蓋部52は、マグネット40の上面およびロータコア30の上面に接触する。第2蓋部52の径方向内縁は、固定孔部31aよりも径方向外側で、第1コア貫通孔34aよりも径方向内側
に位置する。第2蓋部52の外径は、筒状部61の内径とほぼ同じである。第2蓋部52の径方向外縁は、筒状部61の内周面に接触する。第2蓋部52は、第1コア貫通孔34aを上側から閉塞する。第2蓋部52の径方向外縁部のうち上側の端部は、丸みを帯びた肩部52cである。肩部52cの外径は、上側に向かうに従って小さくなる。
【0039】
図6に示すように、第2蓋部52は、第3貫通部52aと、第4貫通部52bと、を有する。第3貫通部52aおよび第4貫通部52bは、第2蓋部52を軸方向に貫通する。第3貫通部52aは、第2蓋部52の径方向内縁から径方向外側に窪む。本実施形態において第3貫通部52aは、2つ設けられる。2つの第3貫通部52aは、中心軸Jを径方向に挟んで互いに反対側に位置する。2つの第3貫通部52aの周方向位置は、2つの第1貫通部51aの周方向位置とそれぞれ同じである。第3貫通部52aのそれぞれは、軸方向に沿って視て、第2コア貫通孔34bのそれぞれと重なる。これにより、第2コア貫通孔34bにおける上側の開口部34fは、第3貫通部52aを介してロータ13の外部に露出する。
【0040】
複数の第4貫通部52bは、周方向に沿って配置される。本実施形態において複数の第4貫通部52bは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。第4貫通部52bは、軸方向に沿って視て、円形状である。第4貫通部52bは、例えば、8つ設けられる。第4貫通部52bの内径は、第3貫通部52aの周方向の寸法よりも小さい。第4貫通部52bの内径は、第2貫通部51bの内径よりも小さい。第4貫通部52bの一部は、肩部52cに設けられる。
【0041】
複数の第4貫通部52bの周方向位置は、複数の第2貫通部51bの周方向位置とそれぞれ同じである。図4に示すように、複数の第4貫通部52bは、軸方向に沿って視て、マグネット40の一部とそれぞれ重なる。そのため、樹脂部50をインサート成形で成形する際に、金型の一部をマグネット40の上側に配置して、マグネット40の軸方向位置が上側にずれることを抑制できる。本実施形態において第4貫通部52bのそれぞれは、各マグネット40における周方向の中央部分と重なる。第4貫通部52bは、第2貫通部51bと異なり、軸方向に沿って視て、ロータコア30の一部とは重ならない。
【0042】
なお、第2蓋部52には、第4貫通部52bの代わりに、第2蓋部52の上側の面から下側に窪み、底部を有する穴部が設けられてもよい。この場合、樹脂部50をインサート成形で成形する際に、金型の一部とマグネット40の上側の面との軸方向の間に樹脂が入り込む。
【0043】
第1連結部53は、コア貫通孔34を通って軸方向に延び、第1蓋部51と第2蓋部52とを繋ぐ。これにより、樹脂部50がロータコア30から外れることを抑制でき、樹脂部50とロータコア30とを連結できる。第1連結部53は、コア貫通孔34のうちの第1コア貫通孔34aを通る。第1連結部53は、軸方向に延びる円柱状である。第1連結部53の外周面は、第1コア貫通孔34aの内周面と接触する。第1連結部53は、第1コア貫通孔34a内に充填される。
【0044】
本実施形態において樹脂部50は、複数の第1連結部53を有する。複数の第1連結部53は、複数の第1コア貫通孔34aのそれぞれを通る。これにより、樹脂部50とロータコア30とをより強固に連結できる。
【0045】
図5から図7に示すように、第2連結部54は、周方向に隣り合うマグネット40同士の間において周方向に隣り合うマグネット40同士に接触する部分である。そのため、第2連結部54によって、周方向に隣り合うマグネット40同士が周方向に移動することを抑制できる。第2連結部54は、軸方向に延びて第1蓋部51と第2蓋部52とを繋ぐ。これにより、樹脂部50とロータコア30とをより強固に連結できる。図5に示すように、第2連結部54は、突起部33の径方向外側に位置する。第2連結部54の径方向内側面は、突起部33の径方向外側面と接触する。本実施形態において樹脂部50は、複数の第2連結部54を有する。複数の第2連結部54は、それぞれ周方向に隣り合う各マグネット40同士の間に位置し、第1蓋部51と第2蓋部52とを繋ぐ。
【0046】
図2および図3に示すように、ロータカバー60は、筒状部61と、フランジ部62と、を有する。筒状部61は、軸方向に延びる筒状である。より詳細には、筒状部61は、中心軸Jを中心とする円筒状である。筒状部61は、軸方向の両側に開口する。図4に示すように、筒状部61は、マグネット40の径方向外側においてロータコア30およびマグネット40を囲む。
【0047】
筒状部61の上側の端部は、径方向内側にカシメられた第2カシメ部63である。本実施形態において第2カシメ部63は、中心軸Jを中心とする円環状である。第2カシメ部63は、第2蓋部52の径方向外縁部に上側から接触する。そのため、第2カシメ部63によって第2蓋部52を上側から押さえることができ、樹脂部50がロータカバー60から上側に抜け出ることを抑制できる。本実施形態において第2カシメ部63は、肩部52cの丸みに沿って径方向内側にカシメられている。
【0048】
第2カシメ部63の径方向内縁は、第4貫通部52bの径方向外側の端部よりも径方向内側に位置し、第4貫通部52bの径方向内側の端部よりも径方向外側に位置する。第2カシメ部63は、第4貫通部52bの径方向外側の端部を上側から覆う。一方、第2カシメ部63は、第4貫通部52bのうち径方向外側の端部を除いた部分を覆わない。そのため、第4貫通部52bの一部および第4貫通部52bの内部に露出するマグネット40の一部は、ロータ13の外部に露出する。
【0049】
フランジ部62は、第1蓋部51の下側において筒状部61から径方向内側に突出する。より詳細には、フランジ部62は、筒状部61の下端部から径方向内側に突出する。図3に示すように、本実施形態においてフランジ部62は、中心軸Jを中心とする円環板状である。図4に示すように、フランジ部62は、ロータコア30と複数のマグネット40との下側に位置する。フランジ部62の上面には、第1蓋部51の下側の面が接触する。
【0050】
フランジ部62の径方向内縁は、コア貫通孔34よりも径方向外側に位置する。フランジ部62の径方向内縁は、第2貫通部51bの径方向内側の端部よりも径方向外側に位置し、第2貫通部51bの径方向外側の端部よりも径方向内側に位置する。フランジ部62は、第2貫通部51bのうち径方向内側の端部を除いた部分を下側から覆う。フランジ部62の径方向外縁部は、下側に突出する突出部62aである。突出部62aの周方向と直交する断面形状は、下側に凸となる円弧状である。
【0051】
図3および図8に示すように、フランジ部62は、上側にカシメられた第1カシメ部62bを有する。第1カシメ部62bは、凹部51cの内部に位置する。そのため、第1カシメ部62bが凹部51cの内側面に引っ掛かり、ロータカバー60が第1蓋部51に対して相対回転することを抑制できる。これにより、樹脂部50に対してロータカバー60が相対回転することを抑制できる。したがって、接着剤を用いることなく、ロータカバー60が樹脂部50に保持されたロータコア30に対して相対回転することを抑制できる。そのため、接着剤を用いる場合と異なり、各部が熱膨張した場合等であっても、ロータコア30とロータカバー60との固定が外れることを抑制でき、ロータカバー60がロータコア30に対して相対回転することを抑制できる。以上により、本実施形態によれば、ロータカバー60がロータコア30に対して相対回転することを好適に抑制できる。
【0052】
また、本実施形態によれば、凹部51cが周方向に隣り合うマグネット40同士の間と重なる位置に位置する。そのため、凹部51cの内部に向けてフランジ部62の一部をカシメて第1カシメ部62bを作る際に、第1カシメ部62bからマグネット40に応力が加えられることを抑制できる。これにより、第1カシメ部62bを作る際に、マグネット40が損傷することを抑制できる。
【0053】
また、本実施形態によれば、凹部51cは、第1蓋部51の径方向内縁から径方向外側に延びる。そのため、凹部51cを径方向に長くでき、かつ、第1蓋部51の径方向内側に開口させることができる。これにより、第1カシメ部62bをカシメて作る際に、治具等を配置する空間を好適に確保できる。
【0054】
本実施形態では、フランジ部62と第2カシメ部63とによって樹脂部50を軸方向に挟み込むことで、ロータカバー60が樹脂部50に対して軸方向に移動することを抑制し、かつ、第1カシメ部62bによってロータカバー60が樹脂部50に対して相対回転することを抑制できる。これにより、ロータカバー60は、樹脂部50に固定され、かつ、樹脂部50を介してロータコア30およびマグネット40に固定される。
【0055】
本実施形態において第1カシメ部62bは、凹部51cの内部のうち径方向外側の端部に位置する。第1カシメ部62bは、軸方向に沿って視て、略正方形状である。第1カシメ部62bは、凹部51cの内側面のうち周方向両側の側面および径方向外側の側面に接触する。図8に示すように、本実施形態において第1カシメ部62bは、ロータコア30と接触する。そのため、第1カシメ部62bをロータコア30に対して押し付けることができ、ロータカバー60をロータコア30に対して直接的に、より強固に固定することができる。これにより、ロータカバー60がロータコア30に対して相対回転することをより好適に抑制できる。
【0056】
本実施形態において第1カシメ部62bは、突起部33の下側の面およびロータコア本体31の径方向外縁部における下側の面と接触する。第1カシメ部62bは、フランジ部62のうち径方向内側の部分に設けられる。第1カシメ部62bの径方向内縁は、フランジ部62の径方向内縁の一部である。第1カシメ部62bの径方向外縁は、突出部62aよりも径方向内側に位置する。
【0057】
図3に示すように、本実施形態において第1カシメ部62bは、2つ設けられる。2つの第1カシメ部62bは、2つの凹部51cの内部のそれぞれに位置する。そのため、ロータカバー60をより強固に樹脂部50に固定することができ、ロータカバー60とロータコア30との相対回転をより好適に抑制できる。
【0058】
本実施形態のロータ13を組み立てる作業者等は、ロータコア30および複数のマグネット40をインサート部材としたインサート成形により樹脂部50を作る。より具体的には、作業者等は、ロータコア30および複数のマグネット40を入れた金型に溶融した樹脂を流し込み、樹脂部50を作る。このとき、例えば、マグネット40は、まだ磁化されていない状態である。これにより、マグネット40が金型に貼り付くことを抑制でき、金型から樹脂部50を取り外すことを容易にできる。また、マグネット40をネオジム磁石等とするような場合に、溶融した樹脂の熱によりマグネット40が減磁することを防止できる。以下の説明においては、樹脂部50によってロータコア30とマグネット40とが連結された連結体を、単に「連結体」と呼ぶ。
【0059】
なお、本明細書において「作業者等」とは、ロータ13を組み立てる作業者およびロータ13を組み立てる組立装置等を含む。ロータ13の組み立ては、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
【0060】
次に、作業者等は、連結体にロータカバー60を被せる。このとき、ロータカバー60は、第1カシメ部62bおよび第2カシメ部63がまだ作られていない状態である。作業者等は、連結体を筒状部61の上側の開口からロータカバー60の内部に挿入し、連結体の下面をフランジ部62の上面に接触させる。作業者等は、筒状部61の上端部を径方向内側にカシメて第2カシメ部63を作る。これにより、フランジ部62と第2カシメ部63とによって連結体を軸方向に挟むことができる。そして、作業者等は、フランジ部62の一部を上側にカシメて第1カシメ部62bを作る。これにより、ロータカバー60が連結体に対して相対回転することを抑制でき、ロータカバー60を連結体に固定できる。
【0061】
次に、作業者等は、固定孔部31aにシャフト20を通して固定する。そして、作業者等は、マグネット40を磁化する。このとき、作業者等は、ロータ13の外部に露出する第2コア貫通孔34bに治具のピン等を挿し込み、各マグネット40を周方向に位置決めする。以上により、ロータ13が組み立てられる。なお、マグネット40の磁化は、連結体を成形する前に行われてもよい。また、上述のように、第1蓋部51の下側からマグネット40を視認することが可能である。そのため、作業者等は、上述の組立工程において、樹脂部50に保持されたマグネット40の状態を観察することもできる。
【0062】
本発明は上述の実施形態に限られず、他の構成を採用することもできる。凹部の数および第1カシメ部の数は、特に限定されず、それぞれ1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、1つの凹部の内部に複数の第1カシメ部が位置してもよい。第1カシメ部は、凹部の内部に位置するならば、凹部の内側面に接触しなくてもよいし、ロータコアおよびマグネットに接触しなくてもよい。凹部は、第1蓋部を軸方向に貫通しなくてもよい。この場合、凹部の底面は、第1蓋部の一部である。また、この場合、例えば第1カシメ部は、ロータコアおよびマグネットと接触しない。凹部は、第1蓋部の径方向内縁から径方向外側に延びなくてもよい。凹部は、第1蓋部の径方向内縁から径方向外側に離れた位置に設けられてもよい。
【0063】
第2カシメ部は、設けられなくてもよい。複数のコア貫通孔は、すべてが第1コア貫通孔であってもよいし、すべてが第2コア貫通孔であってもよい。コア貫通孔は、設けられなくてもよい。樹脂部の一部は、ロータカバーの外部に位置してもよい。第1連結部は、設けられなくてもよい。第2連結部は、設けられなくてもよい。第2蓋部は、設けられなくてもよい。なお、マグネットの数は8に限定されず、他の個数であってもよい。ロータコアの形状、各コア貫通孔の数、各貫通部の数、凹部の数などは、マグネットの数に応じて、適宜変更されてもよい。
【0064】
上述した実施形態のモータの用途は、特に限定されない。また、本明細書において説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0065】
10…モータ、12…ステータ、13…ロータ、20…シャフト、30…ロータコア、34…コア貫通孔、34a…第1コア貫通孔、34b…第2コア貫通孔、34e,34f…開口部、40…マグネット、50…樹脂部、51…第1蓋部、51a…第1貫通部、51b…第2貫通部、51c…凹部、52…第2蓋部、53…第1連結部、54…第2連結部、60…ロータカバー、61…筒状部、62…フランジ部、62b…第1カシメ部、63…第2カシメ部、J…中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8