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特許7396303リモート制御装置、移動装置、および通信制御方法、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】リモート制御装置、移動装置、および通信制御方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04Q 9/00 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H04Q9/00 331B
H04Q9/00 311L
H04Q9/00 301B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020566182
(86)(22)【出願日】2019-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2019050978
(87)【国際公開番号】W WO2020149131
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】P 2019004612
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニーグループ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093241
【弁理士】
【氏名又は名称】宮田 正昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101801
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 英治
(74)【代理人】
【識別番号】100086531
【弁理士】
【氏名又は名称】澤田 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100095496
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 榮二
(74)【代理人】
【識別番号】110000763
【氏名又は名称】弁理士法人大同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩井 卓也
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-127034(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0002492(KR,A)
【文献】特開2005-101887(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0257862(US,A1)
【文献】特開平08-204629(JP,A)
【文献】中国実用新案第205788719(CN,U)
【文献】国際公開第2014/141635(WO,A1)
【文献】特開2018-111154(JP,A)
【文献】加川 敏規,見通し外での高信頼ドローン運用のための169MHz帯/920MHz帯切換え型マルチホップ制御通信システムの開発,電子情報通信学会技術研究報告,日本,一般社団法人電子情報通信学会,2017年12月07日,第117巻, 第348号,p.275-278,ISSN 0913-5685
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成する指示生成部と、
前記指示生成部の生成した前記パケットを送信する無線通信部を有し、
前記無線通信部は、
異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有し、
前記指示生成部は、
前記移動装置との距離がしきい値以上である場合、前記パケットのサイズを前記距離がしきい値未満である場合より小さいサイズとするパケット生成処理を実行するリモート制御装置。
【請求項2】
前記無線通信部は、
前記距離がしきい値以上である場合に利用する長距離通信用無線リンク部と、
前記距離がしきい値未満である場合に利用する中短距離通信用無線リンク部を有し、
前記長距離通信用無線リンク部は、前記中短距離通信用無線リンク部より低い周波数帯での通信を実行する構成である請求項1に記載のリモート制御装置。
【請求項3】
前記指示生成部は
前記距離がしきい値以上である場合、パケットサイズを削減するとともに、パケット生成頻度を上げて、前記無線通信部からのパケット送信頻度を上昇させる請求項1に記載のリモート制御装置。
【請求項4】
前記指示生成部は、
前記パケットサイズに基づいて、許容されるパケット送信頻度を算出し、算出された前記パケット送信頻度に応じたパケット生成を実行する請求項3に記載のリモート制御装置。
【請求項5】
前記許容されるパケット送信頻度は、通信周波数帯対応の規定に従ったパケット送信頻度である請求項4に記載のリモート制御装置。
【請求項6】
前記指示生成部は、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、パケットのヘッダサイズを削減する処理を実行する請求項1に記載のリモート制御装置。
【請求項7】
前記指示生成部は、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、パケットのヘッダの付加情報の削減処理、または格納アドレスデータの削減処理の少なくともいずれかの処理を実行する請求項6に記載のリモート制御装置。
【請求項8】
前記付加情報は、暗号化情報である請求項7に記載のリモート制御装置。
【請求項9】
前記指示生成部は、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、パケットのペイロードデータサイズを削減する処理を実行する請求項1に記載のリモート制御装置。
【請求項10】
前記リモート制御装置は、さらに、
前記移動装置のモード情報を取得するモード取得部を有し、
前記モード取得部が、前記移動装置の異常を検出した場合、
前記指示生成部は、
パケットのペイロードに格納する制御情報を前記移動装置の移動制御に関する情報に制限する請求項9に記載のリモート制御装置。
【請求項11】
前記指示生成部は、
パケットのペイロードに格納する制御情報を削減するとともに、ペイロードとして格納した制御情報を識別するための特定情報をペイロードに格納する請求項9に記載のリモート制御装置。
【請求項12】
前記リモート制御装置は、さらに、
パケットのペイロードに格納する制御情報を決定する削減情報指定部を有し、
前記指示生成部は、
前記削減情報指定部の生成した指定情報に基づいて、パケット内に格納する制御情報を決定する請求項9に記載のリモート制御装置。
【請求項13】
リモート制御装置において実行する通信制御方法であり、
指示生成部が、移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成する指示生成ステップと、
無線通信部が、前記指示生成ステップにおいて生成したパケットを送信する無線通信ステップを実行し、
前記無線通信部は、
異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有し、
前記指示生成ステップは、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、生成パケットのサイズを前記移動装置の距離がしきい値未満である場合より小さいサイズとするパケット生成処理を実行する通信制御方法。
【請求項14】
リモート制御装置において通信制御処理を実行させるプログラムであり、
指示生成部に、移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成させる指示生成ステップと、
無線通信部に、前記指示生成ステップにおいて生成したパケットを送信させる無線通信ステップを実行させ、
前記無線通信部は、
異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有し、
前記プログラムは、前記指示生成ステップにおいて、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、生成パケットのサイズを前記移動装置の距離がしきい値未満である場合より小さいサイズとするパケット生成処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、リモート制御装置、移動装置、および通信制御方法、並びにプログラムに関する。さらに詳細には、例えばドローン等の移動装置のリモート制御を行うリモート制御装置、移動装置、および通信制御方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、リモート制御により飛行する小型の飛行体であるドローンの利用が急激に増加している。
例えば、ドローンにカメラを装着し、上空から地上の風景を撮影する処理等に利用される。
また、最近では、地形の確認処理や、測量処理、あるいは建築現場等においてもドローンを利用した空撮画像が利用されている。
【0003】
ドローンは、例えば地上のリモートコントローラの指示による飛行制御を行う。
ドローンに装着されたカメラの撮影開始や、停止処理、あるいは撮影設定等の制御も地上のリモートコントローラの指示によって実行する構成としたものが多い。
【0004】
なお、ドローン等、飛行体の制御処理について開示した従来技術として、例えば特許文献1(特開2018-179534号公報)等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-179534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コントローラであるリモート制御装置が、ドローン等の飛行体の制御を行う場合、リモート制御装置に構成された操作部であるボタンやスティックの位置情報を制御情報(指示情報)として格納したパケットを飛行体に送信する処理が必要となる。
この通信データは、例えばRCプルトコルのエンコード方式であるPPM(Pulse Position Modulation)やPCM(Pulse Code Modulation)によるエンコード信号が広く利用されている。
【0007】
RCプロトコルでは10~20バイト程度の小さな情報を50Hz以上の高頻度で連続して送信することが求められる。
通信に利用する周波数帯としては、例えば、2.4GHzの周波数帯が用いられる。しかし、この周波数帯はリモート制御装置と飛行体との距離が大きくなると電波減衰が大きくなり、回折に対する耐性も弱くなり、遠距離での制御は困難である。
【0008】
これを解決するため、距離に対する電波減衰が緩やかで、回折に対する耐性にも優れた周波数帯域、例えば920MHz帯で通信を行うことが考えられる。
しかし、ARIB(社団法人電波産業会:Association of Radio Industries and Businesses)の920MHz帯域を利用したコントロール信号の送信規定(STD-T108)として、送信時間のduty比を10分の1以下にしなければならないとの規定がある。
【0009】
この規定に従うとリモート制御装置がドローン等の飛行体に一度に出せる指示の個数(チャネル数)や頻度が制限されてしまい、密度の高い制御信号を飛行体に送信できなくなる。従って、安定的な長距離通信が期待できる920MHz帯のみを利用してドローン等の飛行体を安定的に制御することは困難である。
【0010】
本開示は、例えば、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、リモート制御装置とドローン等の飛行体やその他の移動装置との距離が長距離でも短距離でも安定的な制御を可能とするリモート制御装置、移動装置、および通信制御方法、並びにプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の第1の側面は、
移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成する指示生成部と、
前記指示生成部の生成した前記パケットを送信する無線通信部を有し、
前記無線通信部は、
異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有し、
前記指示生成部は、
前記移動装置との距離がしきい値以上である場合、前記パケットのサイズを前記距離がしきい値未満である場合より小さいサイズとするパケット生成処理を実行するリモート制御装置にある。
【0012】
さらに、本開示の第2の側面は、
異なる周波数帯での通信を実行可能な複数の無線リンク部を有する無線通信部と、
自装置の位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記位置情報生成部の生成した位置情報を、前記無線通信部を介してリモート制御装置に送信する位置情報通知部と、
前記無線通信部の複数の無線リンク部のどの無線リンク部を利用して前記位置情報の送信を行うかを決定する無線リンク決定部を有し、
前記無線リンク決定部は、
前記リモート制御装置からの最新パケットを受信した無線リンク部を前記位置情報の送信部として決定する移動装置にある。
【0013】
さらに、本開示の第3の側面は、
リモート制御装置において実行する通信制御方法であり、
指示生成部が、移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成する指示生成ステップと、
無線通信部が、前記指示生成ステップにおいて生成したパケットを送信する無線通信ステップを実行し、
前記無線通信部は、
異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有し、
前記指示生成ステップは、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、生成パケットのサイズを前記移動装置の距離がしきい値未満である場合より小さいサイズとするパケット生成処理を実行する通信制御方法にある。
【0014】
さらに、本開示の第4の側面は、
移動装置において実行する通信制御方法であり、
前記移動装置は、
異なる周波数帯での通信を実行可能な複数の無線リンク部を有する無線通信部と、
自装置の位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記位置情報生成部の生成した位置情報を、前記無線通信部を介してリモート制御装置に送信する位置情報通知部と、
前記無線通信部の複数の無線リンク部のどの無線リンク部を利用して前記位置情報の送信を行うかを決定する無線リンク決定部を有し、
前記無線リンク決定部は、
前記リモート制御装置からの最新パケットを受信した無線リンク部を前記位置情報の送信部として決定する通信制御方法にある。
【0015】
さらに、本開示の第5の側面は、
リモート制御装置において通信制御処理を実行させるプログラムであり、
指示生成部に、移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成させる指示生成ステップと、
無線通信部に、前記指示生成ステップにおいて生成したパケットを送信させる無線通信ステップを実行させ、
前記無線通信部は、
異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有し、
前記プログラムは、前記指示生成ステップにおいて、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、生成パケットのサイズを前記移動装置の距離がしきい値未満である場合より小さいサイズとするパケット生成処理を実行させるプログラムにある。
【0016】
なお、本開示のプログラムは、例えば、様々なプログラム・コードを実行可能な情報処理装置やコンピュータ・システムに対して、コンピュータ可読な形式で提供する記憶媒体、通信媒体によって提供可能なプログラムである。このようなプログラムをコンピュータ可読な形式で提供することにより、情報処理装置やコンピュータ・システム上でプログラムに応じた処理が実現される。
【0017】
本開示のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本開示の実施例や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。なお、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【発明の効果】
【0018】
本開示の一実施例の構成によれば、長距離無線リンク部を介した通信においてもパケットサイズを小さくしてパケット送信頻度を上げて、移動装置の細かい制御を可能とした構成が実現される。
具体的には、例えば、移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成する指示生成部と、パケットを送信する無線通信部を有する。無線通信部は異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有する。指示生成部は、移動装置の距離がしきい値以上である場合、しきい値未満である場合より小さいサイズのパケットをするとともに、パケットサイズに基づいて許容されるパケット送信頻度を算出し、高頻度のパケット生成、送信処理を実行する。
本構成により、長距離無線リンク部を介した通信においてもパケットサイズを小さくしてパケット送信頻度を上げて、移動装置の細かい制御を可能とした構成が実現される。
なお、本明細書に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また付加的な効果があってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本開示の処理を適用可能なシステム構成の一例を示す図である。
図2】本開示の処理の概要について説明する図である。
図3】実施例1のリモート制御装置と、移動装置の構成例について説明する図である。
図4】指示生成部が実行するパケット生成、送信処理の詳細について説明する図である。
図5】指示生成部が生成する送信パケットの具体例について説明する図である。
図6】リモート制御装置が実行する処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
図7】移動装置が実行する処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
図8】実施例2のリモート制御装置と、移動装置の構成を示すブロック図である。
図9】指示生成部が生成する送信パケットの具体例について説明する図である。
図10】リモート制御装置が実行する処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
図11】移動装置が実行する処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
図12】実施例3のリモート制御装置と、移動装置の構成を示すブロック図である。
図13】指示生成部が生成する送信パケットの具体例について説明する図である。
図14】リモート制御装置が実行する処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
図15】移動装置が実行する処理シーケンスについて説明するフローチャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本開示のリモート制御装置、移動装置、および通信制御方法、並びにプログラムの詳細について説明する。なお、説明は以下の項目に従って行なう。
1.本開示の処理を適用可能なシステムの構成例と本開示の処理の概要について
2.本開示の実施例1の構成と処理について
2-1.リモート制御装置と、移動装置の構成例について
2-2.指示生成部が実行するパケット生成、送信処理の詳細につい
2-3.リモート制御装置が実行する処理シーケンスについて
2-4.移動装置が実行する処理シーケンスについて
3.本開示の実施例2の構成と処理について
3-1.リモート制御装置と、移動装置の構成例について
3-2.指示生成部が実行するパケット生成、送信処理の詳細について
3-3.リモート制御装置が実行する処理シーケンスについて
3-4.移動装置が実行する処理シーケンスについて
4.本開示の実施例3の構成と処理について
4-1.リモート制御装置と、移動装置の構成例について
4-2.指示生成部が生成するパケットの構成例について
4-3.リモート制御装置が実行する処理シーケンスについて
4-4.移動装置が実行する処理シーケンスについて
5.本開示の構成のまとめ
【0021】
[1.本開示の処理を適用可能なシステムの構成例と本開示の処理の概要について]
まず、図1以下を参照して本開示の処理を適用可能なシステムの構成例と本開示の処理の概要について説明する。
【0022】
図1は、本開示の処理を適用可能なシステムの一構成例を示す図である。
図1には、リモート制御装置(リモートコントローラ)10と、移動装置(ドローン)20を示している。移動装置(ドローン)20は、リモート制御装置10から送信される制御信号を受信して受信した制御信号に基づく飛行を行う。移動装置(ドローン)10には、カメラ25が装着され、リモート制御装置10から受信する制御信号に基づいて画像の撮影を行う。
【0023】
本開示の処理は、例えば、この図1に示すシステムにおいて利用可能である。
ただし、図1に示すシステム構成は、本開示の処理を適用可能な構成の一例であり、本開示の処理は、移動装置を遠隔制御(リモートコントロール)する様々なシステムにおいて利用可能である。
制御対象となる移動装置は、ドローン等の飛行型の移動装置に限らず、例えば地上を走行するロボットや車両等の移動装置であってもよい。
以下では、制御対象となる移動装置の一例としてドローンを利用した実施例について説明する。
【0024】
図1に示すシステムは、カメラ25を装着した移動装置20が、地上のユーザの持つリモート制御装置10の送信する制御情報によって飛行し、またカメラ25による撮影を行うシステムである。
【0025】
図2を参照して、本開示の処理の概要について説明する。
リモート制御装置10が、移動装置20の制御を行う場合、リモート制御装置10に構成された操作部であるボタンやスティックの位置情報を制御情報(指示情報)として格納したパケットを移動装置20に送信する処理を行う。
【0026】
前述したように、この通信データは、例えばRCプルトコルに従った通信データが利用される。RCプルトコルに従ったエンコード方式であるPPM(Pulse Position Modulation)やPCM(Pulse Code Modulation)によるエンコード信号が通信データとして利用される。
【0027】
通信に利用する周波数帯としては、例えば、2.4GHzの周波数帯を用いることが可能であるが、この周波数帯はリモート制御装置と飛行体との距離が大きくなると電波減衰が大きくなり、回折に対する耐性も弱くなり、遠距離での制御は困難である。
【0028】
これに対して920MHzの周波数帯は、遠距離でも電波減衰が少なく回折に対する耐性も優れているため遠距離の制御には向いている。
しかし、ARIB(社団法人電波産業会:Association of Radio Industries and Businesses)の920MHz帯域のコントロール信号送信規定(STD-T108)として、送信時間のduty比を10分の1以下とするという制限規定がある。
【0029】
この規定に従うとリモート制御装置10がドローン等の移動装置20に一度に出せる指示の個数(チャネル数)や頻度が制限されてしまい、密度の高い制御信号を飛行体に送信できなくなる。従って、安定的な長距離通信が期待できる920MHz帯のみを利用してドローン等の飛行体を安定的に制御することは困難である。
【0030】
本開示は、この問題を解決するものであり、リモート制御装置10とドローン等の移動装置20間の距離に応じて、2.4GHzの周波数帯を用いた制御情報の送信と、920MHzの周波数帯を用いた制御情報の送信を切り替える構成としたものである。
【0031】
図2に示すように、リモート制御装置10とドローン等の移動装置20間の距離が、予め規定したしきい値距離(例えば1km)以内であれば、中短距離通信用無線リンクを介して2.4GHzの周波数帯を用いて、リモート制御装置10と移動装置20間の通信を実行する。一方、リモート制御装置10と移動装置20間の距離が、しきい値距離(例えば1km)以上であれば、遠距離通信用無線リンクを介して920MHzの周波数帯を用いて、リモート制御装置10と移動装置20間の通信を実行する。
【0032】
このように、リモート制御装置10とドローン等の移動装置20間の距離に応じて、2種類の異なる通信帯域を利用した通信を実行する。
なお、図2に示す例では、しきい値距離を1kmとしているが、このしきい値距離の設定は様々な設定が可能である。
通信環境に応じてユーザが調整可能な構成としてもよい。
【0033】
また、上述した例で説明したしきい値距離未満の距離で用いる通信周波数帯域と、しきい値距離以上の距離で用いる通信周波数帯域は、各々2.4GHzと920MHzとした例について説明するが、これも様々な設定が可能である。ただし、しきい値距離以上の距離で用いる通信周波数帯域は、しきい値距離未満の距離で用いる通信周波数帯域より低周波の周波数帯域とする。これにより遠距離での安定した通信処理が可能となる。
【0034】
[2.本開示の実施例1の構成と処理について]
次に、図3以下を参照して、本開示の実施例1の構成と処理について説明する。
【0035】
[2-1.リモート制御装置と、移動装置の構成例について]
まず、図3を参照して実施例1のリモート制御装置110と、移動装置120の構成例について説明する。
図3は、実施例1のリモート制御装置110と、移動装置120の構成を示すブロック図である。
【0036】
リモート制御装置110は、入力部111、指示生成部112、無線リンク決定部113、位置情報取得部114、無線通信部115を有する。
無線通信部115は、中短距離通信用無線リンク部116と、長距離通信用無線リンク部117を有する。
【0037】
中短距離通信用無線リンク部116は、中短距離での通信に適した高周波数帯域、例えば2.4GHz帯など高周波数帯での通信処理を実行する無線通信部である。
一方、長距離通信用無線リンク部117は、長距離通信に適した低周波数帯域、例えば920MHz帯など低周波数帯での通信処理を実行する無線通信部である。
【0038】
入力部111は、例えばスティックやボタンなど、ユーザが操作可能な入力部(ユーザインタフェース)である。入力部111を介するユーザ操作情報は、指示生成部112に入力される。
【0039】
指示生成部112は、無線通信部115を介して送信する制御情報を格納したパケットを生成する。
指示生成部112は、入力部111を介するユーザ操作情報に従った制御命令をペイロードデータとして格納したパケットを生成して無線通信部115に出力する。
【0040】
無線リンク決定部113は、無線通信部115内の中短距離通信用無線リンク部116と、長距離通信用無線リンク部117のどちらを利用して通信を実行するかを決定する。
この決定処理のために、無線リンク決定部113は、リモート制御装置110と移動装置120との距離を算出する。
【0041】
算出距離が予め規定したしきい値距離(例えば1km)未満であれば、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する。一方、算出距離が予め規定したしきい値距離(例えば1km)以上であれば、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する。
【0042】
無線リンク決定部113は、リモート制御装置110と移動装置120との距離を算出するため、位置情報取得部114から移動装置120の位置を示す位置情報を入力する。
【0043】
移動装置120は、例えばGPS信号等を用いた自己位置算出を随時実行しており、算出した自己位置情報をリモート制御装置110に送信している。
位置情報取得部114は、移動装置120から受信する位置情報を、随時、無線リンク決定部113に出力する。
なお、移動装置120の初期位置は、リモート制御装置110の位置とほぼ同一位置である。
無線リンク決定部113は、この初期位置と、移動装置120の現在位置との差分を算出することでリモート制御装置110と移動装置120との距離を算出する。
【0044】
この算出結果が、しきい値距離(例えば1km)未満であれば、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する。一方、算出距離が予め規定したしきい値距離(例えば1km)以上であれば、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する。
【0045】
なお、無線リンク決定部113の決定情報、すなわち、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行するか、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行するかの利用通信リンク決定情報は、通信パケットの生成を実行する指示生成部112にも入力される。
【0046】
指示生成部112は、利用通信リンク決定情報に応じて異なる態様で通信パケットを生成する。
中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する場合のパケット送信間隔と、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する場合のパケット送信間隔とは異なる。
指示生成部112は、どちらのリンク部を介する通信を実行するかに応じて異なる間隔での通信パケット生成処理を実行する。
【0047】
一般的には、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する場合には、より短い間隔でパケットの生成を実行する。すなわち高頻度でのパケット生成を行うことになる。
指示生成部112は、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する場合、入力部111を介するユーザ操作情報に従った制御命令をペイロードデータとして格納したパケットを短い間隔(高頻度)で生成して無線通信部115に提供する。
【0048】
一方、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する場合には、中短距離通信用無線リンク部116の利用時より長い間隔でパケットの生成を実行する。すなわち低頻度でのパケット生成を行うことになる。
指示生成部112は、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する場合、入力部111を介するユーザ操作情報に従った制御命令をペイロードデータとして格納したパケットを、中短距離通信用無線リンク部116の利用時より長い間隔(低頻度)で生成して無線通信部115に提供する。
【0049】
また、指示生成部112は、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する場合と、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する場合とで、異なるパケット構成を有するパケットを生成する。
通信パケットの具体例については後段で説明する。
【0050】
このように、リモート制御装置110は、中短距離通信用無線リンク部116と、長距離通信用無線リンク部117の2つの通信部を有し、これらの2つの通信部をリモート制御装置110と移動装置120との距離に応じて切り替えて利用する。
【0051】
すなわち、
(第1無線リンク部)通信制約が緩い中短距離(例えば1km未満)での通信に適した無線リンク(2.4GHz帯)を利用した通信を実行する中短距離通信用無線リンク部116、
(第2無線リンク部)送信時間制約などの通信制約があるが長距離(例えば1km以上)での通信に適した無線リンク(例えば920MHz帯)を利用した通信を実行する長距離通信用無線リンク部117、
これら2つの通信部をリモート制御装置110と移動装置120との距離に応じて切り替えて利用する。
【0052】
リモート制御装置110と移動装置120との距離が近い場合には、中短距離リンクを用いて高頻度でのパケット送信を行う。この処理により、きめ細やかな制御が可能となる。一方、リモート制御装置110と移動装置120との距離が離れている場合には長距離リンクを用い、規格制限に従った低頻度のパケット送信を行うことになる。
【0053】
次に、図3に示す移動装置120の構成について説明する。
図3に示すように移動装置120は、無線リンク決定部121、フライトコントロール部122、指示取得部123、位置情報生成部124、位置情報通知部125、無線通信部126を有する。
無線通信部126は、中短距離通信用無線リンク部127と、長距離通信用無線リンク部128を有する。
【0054】
中短距離通信用無線リンク部127は、中短距離での通信に適した高周波数帯域、例えば2.4GHz帯など高周波数帯での通信処理を実行する無線通信部である。
一方、長距離通信用無線リンク部128は、長距離通信に適した低周波数帯域、例えば920MHz帯など低周波数帯での通信処理を実行する無線通信部である。
【0055】
指示取得部123は、リモート制御装置110が送信し、無線通信部126の中短距離通信用無線リンク部127、または長距離通信用無線リンク部128において受信したパケットを入力して、パケットのペイロードデータとして格納した制御情報(指示情報)を取得する。
指示取得部123は、パケットから取得した制御情報(指示情報)をフライトコントロール部122に出力する。
【0056】
フライトコントロール部122は、パケットから取得した制御情報(指示情報)に従って、移動装置120の制御を実行する。具体的には、上昇、下降、進行方向変更等の制御等を実行する。さらにカメラの撮影制御を実行する場合もある。
【0057】
位置情報生成部124は、移動装置120の現在位置を示す位置情報を生成する。例えばGPS衛星等からの受信信号に基づいて自己位置を取得する。
あるいはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)による自己位置推定を実行して自己位置算出を行ってもよい。
【0058】
位置情報生成部124の生成した位置情報は、位置情報通知部125に出力される。
位置情報通知部125は、位置情報生成部124が生成した移動装置120の現在位置を示す位置情報を格納したパケットを生成して、無線通信部126の中短距離通信用無線リンク部127、または長距離通信用無線リンク部128を介してリモート制御装置110に対するパケット送信を実行する。
【0059】
中短距離通信用無線リンク部127と、長距離通信用無線リンク部128のいずれを利用するかは、無線リンク決定部121が決定する。
無線リンク決定部121は、例えば、リモート制御装置110からの最新パケットを受信したリンク部を位置情報格納パケットの送信に用いる通信部として選択する。
【0060】
[2-2.指示生成部が実行するパケット生成、送信処理の詳細について]
次に、図4以下を参照して指示生成部112が実行するパケット生成、送信処理の詳細について説明する。
【0061】
前述したように、指示生成部112は、無線通信部115を介して送信する制御情報を格納したパケットを生成する。すなわち、入力部111を介して入力されるユーザ操作情報に従った制御命令をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
【0062】
しかし、前述したように、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する場合のパケット送信間隔と、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する場合のパケット送信間隔とは異なる。
従って、指示生成部112は、どちらのリンク部を介する通信を実行するかに応じて、異なる間隔で通信パケット生成処理を実行しなければならない。
指示生成部112は、パケット生成間隔を決定するためにパケット送信頻度F[Hz]を算出する。
【0063】
パケット送信頻度F[Hz]は、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時と、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時では異なるものとなる。
以下では、
中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケット送信頻度を、F(S)[Hz]とし、
長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケット送信頻度を、F(L)[Hz]とする。
【0064】
なお、指示生成部112の生成する送信パケットの基本的な構成はいずれのリンク部を介した通信時においても同様であり、図4に示すように、プリアンブル、ヘッダ、ペイロードデータ、フッタの4つの構成からなる。
図4には、パケット構成とともにペイロードデータとして格納する制御情報(指示情報)の例を示している。
【0065】
パケットの各構成のビット数を、
プリアンブル=P[ビット]、
ヘッダ=H[ビット]、
ペイロードデータ=D[ビット](=送信する制御情報のデータサイズ)、
フッタ=X[ビット]、
とする。
【0066】
通信処理に利用する物理層(PHY)やデータリンク層(MAC)に関わらず1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]は、少なくとも伝送レートB[ビット/秒]と、上記のパケット各構成部の総ビット数(P+H+D+X)に基づいて、以下の式(式1)に従って算出することができる。
T=(P+H+D+X)/B・・・(式1)
【0067】
なお、前述したように長距離リンクにおいて使用が想定される920MHz帯の通信についてはARIB STD-T108の規定があり、送信時間のDuty比を10分の1以下とすることが規定されている。
具体的には、例えば1秒の間でパケット送信可能な時間は0.1秒のみとなる。
頻繁にパケットを送信するためには、1パケットのデータサイズを小さくして、1パケットの送信時間を短縮することが有効である。
【0068】
指示生成部112は、上記事情に鑑みて、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケットを、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケットよりデータサイズを小さくしたパケットとする。パケットサイズ調整処理を実行する。
【0069】
本実施例1では、ペイロードデータとして格納する制御情報(指示情報)についてはデータ量削減を行わず、ペイロードデータ以外のオーバヘッド構成(プリアンブル、ヘッダ、フッタ)のデータ量削減、すなわちビット数調整を実行する。
【0070】
すなわち、本開示の図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112は、送信時間のDuty比を10分の1以下とすることが必要となる長距離通信用無線リンク部117を介した通信を行う場合、パケットのヘッダのビット数を削減したパケットを生成する。
図5を参照して指示生成部112が生成する送信パケットの具体例について説明する。
【0071】
図5には、以下の各図を示している。
(1)パケット構成
(2)ヘッダ構成例
【0072】
(1)パケット構成は、先に説明した図4(1)に示す構成と同様の構成であり、プリアンブル、ヘッダ、ペイロードデータ、フッタの4つの構成からなる。
(2)ヘッダ構成としては、
(2a)中短距離通信用無線リンク部116を介した送信パケットのヘッダ構成例
(2b)長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットのヘッダ構成例
これら2種類のヘッダ構成例を示している。
【0073】
前述したように、中短距離通信用無線リンク部116を介したパケット送信は、例えば2.4GHz帯など高周波数帯での通信処理によって実行される。この帯域の送信は、送信時間Duty比を10分の1以下とするといった規定がなく、比較的自由な通信が可能となる。すなわち、ある程度大きなサイズを有するパケットを連続的に送信して移動装置120を制御することが可能となる。
【0074】
一方、長距離通信用無線リンク部117を介したパケット送信は、例えば920MHz帯など比較的低い周波数帯での通信処理によって実行される。この帯域の送信は、送信時間Duty比を10分の1以下とするというARIB規定があり、この規定に従ったパケット送信を行うことが必要となる。このDuty比規定に従って、頻繁にパケット送信を行うためには、1つのパケットのサイズを小さくして、1つのパケット送信に要する時間(T)を小さくすることが必要となる。
【0075】
このため、図5(2b)に示すように、長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットのヘッダは、(2a)に示す中短距離通信用無線リンク部116を介した送信パケットのヘッダよりデータサイズを小さくしている。
【0076】
図5(2a)に示す中短距離通信用無線リンク部116を介した送信パケットのヘッダは、フレーム制御情報、シーケンスナンバー、アドレス情報(ロングアドレス)、付加情報を有する。
一方、図5(2b)に示す長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットのヘッダは、フレーム制御情報、シーケンスナンバー、アドレス情報(ショートアドレス)を有する。
【0077】
付加情報は、例えば、暗号化情報等である。PHY/MACにIEEE802.15.4を使用した暗号化通信を行う場合には、ヘッダの付加情報として「Auxiliary Security Header」を記録することが必要となる。図(2a)に示す中短距離通信用無線リンク部116を介した送信パケッのヘッダの付加情報には、例えばこのような情報が記録される。
【0078】
しかし、前述したように、長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットはDuty比規定を順守した送信を実行することが必要である。この条件の下で頻度の高いパケット送信を行い移動装置120の細かな制御を可能とするためには、1つのパケットサイズを小さくすることが有効である。
【0079】
本開示の図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112は、このことを踏まえて、長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットについては、暗号化を行わない設定として、「Auxiliary Security Header」等の暗号化情報からなる付加情報を記録しないパケットを生成する。この処理により、ヘッダサイズの削減を実現している。
【0080】
さらに、図5(2)に示すように、(2a)に示す中短距離通信用無線リンク部116を介した送信パケットのヘッダのアドレス情報はロングアドレスとし、(2b)に示す長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットのヘッダのアドレス情報はショートアドレスとする。
【0081】
このように、指示生成部112は、長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットについてはアドレス長を短くすることで、長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットのヘッダサイズをさらに削減している。
【0082】
上述したように、指示生成部112は、長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットのヘッダサイズを削減し、1パケットのパケットサイズを小さくする処理を実行する。このパケッサイズ削減処理により、ARIBのDuty規定を順守しながら高頻度のパケット送信を行うことが可能としている。
【0083】
前述したように、リモート制御装置110が移動装置120に送信するパケットの送信頻度F[Hz]は、Duty比の規制がない中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時と、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時では異なるものとなる。
【0084】
指示生成部112は、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を行う場合には、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケット送信頻度F(S)[Hz]を算出し、このパケット送信頻度F(S)[Hz]によって規定される間隔で入力部111から入力する操作情報をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。生成パケットは、図5(2a)に示すヘッダを有するパケットである。
さらに、指示生成部112は、生成パケットを中短距離通信用無線リンク部116に出力する。中短距離通信用無線リンク部116は、パケットをパケット送信頻度F(S)[Hz]で移動装置120に送信する。
【0085】
一方、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を行う場合には、指示生成部112は、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケット送信頻度F(L)[Hz]を算出し、このパケット送信頻度F(L)[Hz]によって規定される間隔で入力部111から入力する操作情報をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。生成パケットは、図5(2b)に示すヘッダを有するパケットである。
さらに、指示生成部112は、生成パケットを長距離通信用無線リンク部117に出力する。長距離通信用無線リンク部117は、パケットをパケット送信頻度F(L)[Hz]で移動装置120に送信する。
【0086】
指示生成部112が実行するパケット送信頻度算出処理について説明する。
指示生成部112は、
中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を行う場合には、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケット送信頻度F(S)[Hz]を算出する。
【0087】
この、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケット送信頻度F(S)[Hz]は、以下の式(式2)によって算出できる。
F(S)=1/T・・・(式2)
【0088】
なお、上記(式2)中の、Tは、先に説明した(式1)によって算出される1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]である。すなわち、
T=(P+H+D+X)/B・・・(式1)
上記(式1)による算出値である。
P,H,D,Bは、パケットの各構成のビット数であり、
プリアンブル=P[ビット]、
ヘッダ=H[ビット]、
ペイロードデータ=D[ビット](=送信する制御情報のデータサイズ)、
フッタ=X[ビット]、
である。
【0089】
一方、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケット送信頻度F(L)[Hz]は、以下の式(式3)によって算出できる。
F(L)=1/(10×T)・・・(式3)
【0090】
前述したように、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信は、920MHz帯の通信帯域を利用した通信として実行される。この帯域の送信は、送信時間Duty比を10分の1以下とするというARIB規定があり、この規定に従ったパケット送信を行うことが必要となる。
上記(式3)はこのDuty比規定を考慮して算出されるパケット送信頻度F(L)[Hz]である。
【0091】
このように、指示生成部112は、中短距離通信用無線リンク部116と、長距離通信用無線リンク部117のいずれを利用した通信を行うかに応じて、それぞれのパケット送信頻度F(S),F(L)を算出し、算出したパケット送信頻度に応じた間隔で入力部111から入力する操作情報をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
生成パケットは、先に図5を参照して説明したように、利用する無線リンク部に応じて異なるヘッダ構成を持つものとなる。
【0092】
指示生成部112が生成したパケットは、中短距離通信用無線リンク部116、または長距離通信用無線リンク部117に出力され、各リンク部において、異なるパケット送信間隔でパケット送信が実行される。
【0093】
[2-3.リモート制御装置が実行する処理シーケンスについて]
次に、図6に示すフローチャートを参照して、リモート制御装置110が実行する処理シーケンスについて説明する。
なお、フローチャートに示す処理は、リモート制御装置110のメモリに格納されたプログラムに従って、プログラム実行機能を有するCPU等を有する制御部(データ処理部)の制御の下で実行することが可能である。
以下、図6に示すフローの各ステップの処理について、順次、説明する。
【0094】
(ステップS101)
まず、リモート制御装置110は、ステップS101において、移動装置120の位置情報を取得する。
【0095】
この処理は、図3に示すリモート制御装置110の位置情報取得部114が実行する処理である。
前述したように、移動装置120は、例えばGPS信号等を用いた自己位置算出を随時実行しており、算出した自己位置情報をリモート制御装置110に送信している。
位置情報取得部114は、移動装置120から受信する位置情報格納パケットから位置情報を取得する。
【0096】
(ステップS102)
次に、リモート制御装置110は、ステップS102において、リモート制御装置110と移動装置120との距離を算出する。
【0097】
この処理は、図3に示すリモート制御装置110の無線リンク決定部113が実行する処理である。
無線リンク決定部113は、例えば、移動装置120の初期位置(≒リモート制御装置110の位置)と、ステップS101で取得した移動装置120の現在位置との差分を算出することでリモート制御装置110と移動装置120との距離を算出する。
【0098】
なお、リモート制御装置110自体が自己位置算出機能を有する構成である場合、例えば、GPS等を用いて算出する機能をもつ場合は、この自己位置算出機能を利用してリモート制御装置110と移動装置120との距離を算出してもよい。
【0099】
(ステップS103)
次に、リモート制御装置110は、ステップS103において、ステップS102で算出したリモート制御装置110と移動装置120との距離が予め規定したしきい値距離(例えば1km)以上であるか否かを判定する。
【0100】
この処理も、図3に示すリモート制御装置110の無線リンク決定部113が実行する処理である。
無線リンク決定部113は、リモート制御装置110と移動装置120との距離と、予め規定したしきい値距離(例えば1km)とを比較し、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上であれば、ステップS111以下の処理を実行する。一方、しきい値未満であれば、ステップS121以下の処理を実行する。
【0101】
(ステップS111)
ステップS111~S113の処理は、ステップS103において、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上であると判定された場合に実行する処理である。
【0102】
この場合、リモート制御装置110は、まず、ステップS111において、長距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(L)[Hz]を算出する。
【0103】
この処理は、図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112が実行する処理である。
前述したように、指示生成部112は、無線通信部115を介して送信する制御情報を格納したパケットを生成する。すなわち、入力部111を介して入力されるユーザ操作情報に従った制御命令をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
【0104】
しかし、前述したように、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する場合のパケット送信間隔と、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する場合のパケット送信間隔とは異なる。
指示生成部112は、どちらのリンク部を介する通信を実行するかに応じて、異なる間隔で通信パケット生成処理を実行しなければならない。
ステップS111では、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する場合のパケット送信頻度F(L)[Hz]を算出する。
【0105】
ステップS111~S113の処理は、ステップS103において、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上であると判定された場合に実行する処理であり、この場合、リモート制御装置110は、まず、ステップS111において、長距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(L)[Hz]を算出する。
【0106】
長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケット送信頻度F(L)[Hz]は、先に説明したように、以下の式(式3)によって算出できる。
F(L)=1/(10×T)・・・(式3)
【0107】
なお、上記(式3)中のTは、先に説明した(式1)によって算出される1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]である。すなわち、
T=(P+H+D+X)/B・・・(式1)
上記(式1)による算出値である。
P,H,D,Bは、パケットの各構成のビット数であり、
プリアンブル=P[ビット]、
ヘッダ=H[ビット]、
ペイロードデータ=D[ビット](=送信する制御情報のデータサイズ)、
フッタ=X[ビット]、
である。
【0108】
上記(式3)中の(10×T)内の10は、920MHz帯の通信帯域を利用した通信に関するARIB規定、すなわち、送信時間Duty比を10分の1以下とするという規定に従ったパラメータである。
【0109】
図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112は、ステップS111において、上記(式3)に従って、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケット送信頻度F(L)[Hz]を算出する。
【0110】
(ステップS112)
次に、リモート制御装置110は、ステップS112において、ステップS111で算出した長距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(L)[Hz]に従った間隔でパケットを生成する。
【0111】
この処理も、図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112が実行する処理である。
指示生成部112は、ステップS111で算出したパケット送信頻度F(L)[Hz]によって規定される間隔で入力部111から入力する操作情報をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
なお、生成するパケットは、図5(2b)に示すヘッダを有するパケットである。
すなわちパケットサイズが中短距離通信用無線リンク部116を介して送信するパケットより小さくしたパケットを生成する。
【0112】
(ステップS113)
次に、リモート制御装置110は、ステップS113において、ステップS112で生成したパケットを、長距離通信用無線リンク部117を介して送信する。
【0113】
この処理は、図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112と、長距離通信用無線リンク部117が実行する処理である。
【0114】
指示生成部112は、ステップS112で生成したパケットを長距離通信用無線リンク部117に出力する。長距離通信用無線リンク部117は、パケットを、ステップS111で算出したパケット送信頻度F(L)[Hz]で移動装置120に送信する。
【0115】
(ステップS121)
次に、ステップS121~S123の処理について説明する。
ステップS121~S123の処理は、ステップS103において、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値未満であると判定された場合に実行する処理である。
【0116】
この場合、リモート制御装置110は、まず、ステップS121において、中短距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(S)[Hz]を算出する。
【0117】
この処理は、図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112が実行する処理である。
前述したように、指示生成部112は、無線通信部115を介して送信する制御情報を格納したパケットを生成する。すなわち、入力部111を介して入力されるユーザ操作情報に従った制御命令をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
【0118】
しかし、前述したように、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する場合のパケット送信間隔と、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する場合のパケット送信間隔とは異なる。
指示生成部112は、どちらのリンク部を介する通信を実行するかに応じて、異なる間隔で通信パケット生成処理を実行しなければならない。
ステップS121では、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信を実行する場合のパケット送信頻度F(S)[Hz]を算出する。
【0119】
ステップS121~S123の処理は、ステップS103において、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値未満であると判定された場合に実行する処理であり、この場合、リモート制御装置110は、まず、ステップS121において、中短距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(S)[Hz]を算出する。
【0120】
中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケット送信頻度F(S)[Hz]は、先に説明したように、以下の式(式2)によって算出できる。
F(S)=1/T・・・(式2)
【0121】
なお、上記(式2)中のTは、先に説明した(式1)によって算出される1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]である。すなわち、
T=(P+H+D+X)/B・・・(式1)
上記(式1)による算出値である。
P,H,D,Bは、パケットの各構成のビット数であり、
プリアンブル=P[ビット]、
ヘッダ=H[ビット]、
ペイロードデータ=D[ビット](=送信する制御情報のデータサイズ)、
フッタ=X[ビット]、
である。
【0122】
図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112は、ステップS121において、上記(式2)に従って、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケット送信頻度F(S)[Hz]を算出する。
【0123】
(ステップS122)
次に、リモート制御装置110は、ステップS122において、ステップS121で算出した中短距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(S)[Hz]に従った間隔でパケットを生成する。
【0124】
この処理も、図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112が実行する処理である。
指示生成部112は、ステップS111で算出したパケット送信頻度F(S)[Hz]によって規定される間隔で入力部111から入力する操作情報をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
なお、生成するパケットは、図5(2a)に示すヘッダを有するパケットである。
すなわちパケットサイズが長距離通信用無線リンク部117を介して送信するパケットより大きいパケットを生成する。
【0125】
(ステップS123)
次に、リモート制御装置110は、ステップS123において、ステップS122で生成したパケットを、中短距離通信用無線リンク部116を介して送信する。
【0126】
この処理は、図3に示すリモート制御装置110の指示生成部112と、中短距離通信用無線リンク部116が実行する処理である。
【0127】
指示生成部112は、ステップS122で生成したパケットを中短距離通信用無線リンク部116に出力する。中短距離通信用無線リンク部116は、パケットを、ステップS121で算出したパケット送信頻度F(S)[Hz]で移動装置120に送信する。
【0128】
このように、本開示のリモート制御装置は、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上であるか否かを判定し、しきい値以上と判定された場合には、長距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(L)[Hz]で、パケットサイズの小さいパケットを生成して送信する。
一方、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値未満である場合には、中短距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(S)[Hz]で、パケットサイズの比較的大きいパケットを生成して送信する。
【0129】
これらの処理にのより、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上である場合も、しきい値未満である場合も、一定以上の頻度で制御信号を格納したパケットを移動装置120に送信することが可能となり、細かな制御を実現することが可能となる。
【0130】
[2-4.移動装置が実行する処理シーケンスについて]
次に、図7に示すフローチャートを参照して、移動装置120が実行する処理シーケンスについて説明する。
なお、フローチャートに示す処理は、移動装置120のメモリに格納されたプログラムに従って、プログラム実行機能を有するCPU等を有する制御部(データ処理部)の制御の下で実行することが可能である。
以下、図7に示すフローの各ステップの処理について、順次、説明する。
【0131】
(ステップS201)
ステップS201~S202の処理と、ステップS211~S213の処理は、移動装置120において並列に実行される処理である。
まず、ステップS201~S202の処理について説明する。
【0132】
移動装置120は、ステップS201において、リモート制御装置110から制御情報(指示情報)を格納したパケットを受信する。
【0133】
この処理は、図3に示す移動装置120の無線通信部126が実行する処理である。なお移動装置120の無線通信部126は、中短距離通信用無線リンク部127と、長距離通信用無線リンク部128を有する。
【0134】
リモート制御装置110は、先に図6のフローを参照して説明したように、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上である場合は、長距離通信用無線リンクでパケットを送信し、しきい値未満である場合は、中短距離通信用無線リンクでパケットを送信する。
【0135】
移動装置120の無線通信部126は、リモート制御装置110が長距離通信用無線リンクでパケットを送信した場合は、長距離通信用無線リンク部128がパケットを受信する。
また、リモート制御装置110が中短距離通信用無線リンクでパケットを送信した場合は、中短距離通信用無線リンク部127がパケットを受信する。
【0136】
無線通信部126の中短距離通信用無線リンク部127、または長距離通信用無線リンク部128が受信したパケットは、指示取得部123に転送される。
【0137】
(ステップS202)
次に、移動装置120はステップS202において、受信パケット内のペイロードデータとして格納された制御情報(指示情報)に基づく制御を実行する。
【0138】
この処理は、図3に示す移動装置120の指示取得部123と、フライトコントロール部122が実行する処理である。
【0139】
移動装置120の指示取得部123は、無線通信部126の中短距離通信用無線リンク部127、または長距離通信用無線リンク部128が受信したパケットからペイロードデータとして格納された制御情報(指示情報)を取得し、フライトコントロール部122に出力する。
【0140】
フライトコントロール部122は、制御情報(指示情報)に従って、移動装置120の制御を実行する。具体的には、上昇、下降、進行方向の制御等を実行する。なお、にカメラの撮影制御を実行する場合もある。
【0141】
(ステップS211)
次に、ステップS211~S213の処理について説明する。
【0142】
移動装置120は、ステップS211において、移動装置120自身の自己位置情報を取得する。
この処理は、図3に示す移動装置120の位置情報生成部124が実行する処理である。
【0143】
位置情報生成部124は、移動装置120の現在位置を示す位置情報を生成する。例えばGPS衛星等からの受信信号に基づいて自己位置を取得する。
あるいはSLAM(Simultaneous Localization and Mapping)による自己位置推定を実行して自己位置算出を行ってもよい。
位置情報生成部124の生成した位置情報は、位置情報通知部125に出力される。
【0144】
(ステップS212)
次に、移動装置120は、ステップS212において、ステップS211で取得した位置情報を送信する無線リンク部を選択する。
【0145】
この処理は、図3に示す移動装置120の無線リンク決定部121が実行する処理である。
無線リンク決定部121は、中短距離通信用無線リンク部127と、長距離通信用無線リンク部128のいずれを利用して位置情報をリモート制御装置110に送信するかを決定する。
無線リンク決定部121は、例えば、リモート制御装置110からの最新パケットを受信したリンク部を位置情報格納パケットの送信に用いる通信部として選択する。
【0146】
(ステップS213)
次に、移動装置120は、ステップS213において、ステップS211で取得した位置情報を、ステップS212で選択した無線リンク部を介してリモート制御装置110に送信する。
【0147】
この処理は、図3に示す移動装置120の位置情報通知部125と、無線通信部126が実行する処理である。
【0148】
位置情報通知部125は、位置情報生成部124が生成した移動装置120の現在位置を示す位置情報を格納したパケットを生成して、無線通信部126の中短距離通信用無線リンク部127、または長距離通信用無線リンク部128のいずれか一方のリンク部、すなわちステップS212で選択したリンク部を介してリモート制御装置110に対するパケット送信を実行する。
【0149】
[3.本開示の実施例2の構成と処理について]
次に、図8以下を参照して、本開示の実施例2の構成と処理について説明する。
【0150】
先に説明したように、長距離リンクにおいて使用が想定される920MHz帯の通信についてはARIB STD-T108の規定があり、送信時間のDuty比を10分の1以下とすることが規定されている。
具体的には、例えば1秒の間でパケット送信可能な時間は0.1秒のみとなる。
頻繁にパケットを送信するためには、1パケットのデータサイズを小さくして、1パケットの送信時間を短縮することが有効である。
【0151】
このため、本開示のリモート制御装置110の指示生成部112は、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケットを、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケットよりデータサイズを小さくしたパケットとして生成する。
【0152】
上述した実施例1では、先に図5を参照して説明したように、長距離リンクを介した送信パケットのサイズ削減のため、パケットのヘッダのデータ量を削減する設定としていた。
【0153】
これに対して、以下に説明する実施例2は、ペイロードデータとして格納する制御情報(指示情報)についてのデータ削減を行う実施例である。
【0154】
例えば移動装置120に異常が発生した場合等に、リモート制御装置110から送信する制御情報(指示情報)を飛行に関する指示に絞るといった処理を行う。
例えばカメラの撮影制御情報等は含めず、飛行制御情報のみをペイロードデータとして格納することで、パケットのペイロードデータのデータ量を削減する。
【0155】
この処理によって、長距離リンクを介した送信パケットのサイズ削減を実現する。パケットサイズを小さくすることで、送信時間Duty比を10分の1以下とするというARIB規定を順守しながら、頻繁にパケット送信を行うことが可能となり、移動装置120の正常な移動(飛行)制御を行うことが可能となる。
【0156】
[3-1.リモート制御装置と、移動装置の構成例について]
まず、図8を参照して実施例2のリモート制御装置110と、移動装置120の構成例について説明する。
図8は、実施例2のリモート制御装置110と、移動装置120の構成を示すブロック図である。
【0157】
リモート制御装置110は、入力部111、指示生成部112、無線リンク決定部113、位置情報取得部114、無線通信部115、さらに移動装置動作モード取得部211を有する。
無線通信部115は、中短距離通信用無線リンク部116と、長距離通信用無線リンク部117を有する。
【0158】
実施例2のリモート制御装置110は、先に図3を参照して説明した実施例1のリモート制御装置110に移動装置動作モード取得部211を追加した構成である。
また、指示生成部112は、実施例1とは異なる処理を実行する。
【0159】
移動装置動作モード取得部211は、移動装置120の動作モードを取得する。取得方法は、無線通信部115を介して移動装置120からの通知情報を受信する。あるいは、移動装置120に備え付けられたLED等の色や発光パターンを検出し、検出情報に基づいて移動装置120の動作モードを取得する方法を用いてもよい。
【0160】
移動装置動作モード取得部211が、移動装置120の異常を検出した場合、その検出情報が指示生成部112に入力される。
指示生成部112は、移動装置動作モード取得部211から移動装置120の異常情報を入力すると、移動装置120に送信するパケットに格納する制御情報(指示情報)を、移動装置120の飛行制御に関する情報のみに絞り込む処理を行う。例えばカメラによる画像撮影制御等の制御情報(指示情報)はパケットに格納しない処理を行う。さらに入力部111を構成するスティックやボタンの全入力のうち、機体動作モードに応じて事前に定められた一部に絞ってパケットに格納する処理を行ってもよい。
【0161】
図8に示す本実施例2の移動装置120は、無線リンク決定部121、フライトコントロール部122、指示取得部123、位置情報生成部124、位置情報通知部125、無線通信部126、さらに移動装置動作モード通知部221を有する。
無線通信部126は、中短距離通信用無線リンク部127と、長距離通信用無線リンク部128を有する。
【0162】
図8に示す本実施例2の移動装置120は、先に図3を参照して説明した実施例1の移動装置120に移動装置動作モード通知部221を追加した構成である。
移動装置動作モード通知部221は、移動装置120の異常通知等、移動装置120の動作モードをリモート制御装置110に通知する処理を実行する。
【0163】
移動装置動作モード通知部221は、例えば無線通信部126を介して移動装置120の異常状態等の動作モード情報をリモート制御装置110に送信する。あるいは、LED等の色や発光パターンを出力して、移動装置120の異常状態等の動作モード情報をリモート制御装置110に通知する構成としてもよい。
【0164】
[3-2.指示生成部が実行するパケット生成、送信処理の詳細について]
次に、本実施例2のリモート制御装置110の指示生成部112が実行するパケット生成、送信処理の詳細について説明する。
【0165】
前述したように、指示生成部112は、無線通信部115を介して送信する制御情報を格納したパケットを生成する。すなわち、入力部111を介して入力されるユーザ操作情報に従った制御命令をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
【0166】
長距離リンクにおいて使用が想定される920MHz帯の通信についてはARIB STD-T108の規定があり、送信時間のDuty比を10分の1以下とすることが規定されている。このため、本開示のリモート制御装置110の指示生成部112は、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケットを、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケットよりデータサイズを小さくしたパケットとして生成する。
【0167】
上述した実施例1では、先に図5を参照して説明したように、長距離リンクを介した送信パケットのサイズ削減のため、パケットのヘッダのデータ量を削減する設定としていた。これに対して、実施例2では、ペイロードデータとして格納する制御情報(指示情報)のデータ削減を行う。
【0168】
例えば移動装置120に異常が発生した場合等に、リモート制御装置110から送信する制御情報(指示情報)を飛行に関する指示に絞るといった処理を行う。
例えばカメラの撮影制御情報等は含めず、飛行制御情報のみをペイロードデータとして格納することで、パケットのペイロードデータのデータ量を削減する。
【0169】
図9を参照して、指示生成部112が生成する送信パケットの具体例について説明する。
図9には、指示生成部112の生成する送信パケットの構成を示している。
図9に示す送信パケットの基本的構成は、先に図4を参照して説明したパケット構成と同様であり、プリアンブル、ヘッダ、ペイロードデータ、フッタの4つの構成からなる。
【0170】
図9には、パケット構成とともにペイロードデータとして格納する制御情報(指示情報)の例を示している。
ペイロードデータとして格納する制御情報(指示情報)は、大きく分けて以下の2種類に分類される。
(A)飛行制御情報
(B)飛行制御情報以外の制御情報(カメラ制御情報等)
【0171】
本実施例では、送信時間のDuty比を10分の1以下とすることが規定されている長距離リンク使用時に、移動装置120の異常が検出された場合、リモート制御装置110の指示生成部112は、パケットに格納するペイロードデータを上記の「(A)飛行制御情報」のみに絞る処理を行う。
すなわち、「(B)飛行制御情報以外の制御情報(カメラ制御情報等)」はパケットに格納しない設定とする。
【0172】
この処理により、パケットのデータサイズが削減され、送信時間のDuty比を10分の1以下とすることが規定されている長距離リンク使用時でも、パケット送出頻度を高めることが可能となり、移動装置120の安全飛行を維持することができる。
【0173】
すなわち、ペイロードデータを削減してパケットサイズを小さくすることで、送信時間Duty比を10分の1以下とするというARIB規定を順守しながら、頻繁にパケット送信を行うことが可能となり、移動装置120の正常な移動(飛行)制御を行うことが可能となる。
【0174】
本実施例2において、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時の1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]は、以下の(式4)で算出される。
T=(P+H+D2+X)/B・・・(式4)
【0175】
P,H,D2,Bは、パケットの各構成のビット数であり、
プリアンブル=P[ビット]、
ヘッダ=H[ビット]、
ペイロードデータ=D2[ビット](=送信する制御情報のデータサイズ)、
フッタ=X[ビット]、
である。
【0176】
ペイロードデータ=D2は、図9を参照して説明した(A)飛行制御情報のみのデータ量に相当する。すなわち、「(B)飛行制御情報以外の制御情報(カメラ制御情報等)」を含まないデータ量削減後のペイロードデータのビット数である。
【0177】
上記(式4)に従って算出される時間T[秒]、すなわち、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時の1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]を用いて、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時の送信頻度F(L2)[Hz]は、以下の式(式5)によって算出できる。
F(L2)=1/(10×(P+H+D2+X)/B)
=1/(10×T)・・・(式5)
【0178】
前述したように、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信は、920MHz帯の通信帯域を利用した通信として実行される。この帯域の送信に関する制限規定として、送信時間Duty比を10分の1以下とするというARIB規定があり、この規定に従ったパケット送信を行うことが必要となる。
上記(式5)はこのDuty比規定を考慮して算出されるパケット送信頻度F(L2)[Hz]である。
【0179】
本実施例では、このようにパケット内のペイロードデータとして格納するデータを飛行制御情報に制限してパケットサイズを小さくすることで、長距離通信用無線リンク部117を介した通信時にもパケット送信頻度を高めることが可能となり、移動装置120の細かな制御を実行することが可能となる。
【0180】
[3-3.リモート制御装置が実行する処理シーケンスについて]
次に、図10に示すフローチャートを参照して、本実施例2においてリモート制御装置110が実行する処理シーケンスについて説明する。
なお、図10に示すフロー中、ステップS101~S103、ステップS111~S113、ステップS121~S123の各処理は、先の実施例1において図6に示すフローを参照して説明した処理と同様の処理であるので説明を省略する。
【0181】
本実施例2に固有の処理は、図10に示すフロー中のステップS151~S154の処理である。以下、これらの処理の詳細について説明する。
【0182】
(ステップS151)
ステップS151は、ステップS103において、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上であると判定された場合に実行する処理である。
この場合、リモート制御装置110は、ステップS151において、移動装置120の異常発生について受信または検出したか否かを判定する。
【0183】
前述したように、移動装置120の異常発生の取得方法は、無線通信部115を介して移動装置120からの動作モード情報の受信、あるいは移動装置120に備え付けられたLED等の色や発光パターンを検出し、検出情報に基づいて移動装置120の動作モードを取得する方法等である。
移動装置動作モード取得部211が、移動装置120の異常を検出した場合、その検出情報が指示生成部112に入力される。
この場合は、ステップS151の判定はYesとなり、ステップS152に進む。
【0184】
一方、移動装置動作モード取得部211が、移動装置120の異常を検出しない場合は、ステップS151の判定はNoとなり、ステップS111に進む。ステップS111~S113の処理は、先の実施例1において図6のフローを参照して説明した処理と同様の処理である。
【0185】
(ステップS152)
ステップS152~S154の処理は、ステップS103において、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上であると判定され、さらに、ステップS151において、移動装置120の異常を検出した場合に実行する処理である。
【0186】
この場合、リモート制御装置110は、まず、ステップS152において、飛行制御情報のみを格納したパケットのパケットサイズに基づいて、長距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(L2)[Hz]を算出する。
【0187】
この処理は、図8に示すリモート制御装置110の指示生成部112が実行する処理である。
前述したように、指示生成部112は、無線通信部115を介して送信する制御情報を格納したパケットを生成する。すなわち、入力部111を介して入力されるユーザ操作情報に従った制御命令をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
【0188】
しかし、緊急時、すなわち移動装置120の飛行に異常が発生した場合等においては、指示生成部112は、例えばカメラ撮影に関する制御情報等を含めず、飛行制御情報のみを格納したパケットを生成してパケットサイズを削減する。すなわち、ペイロードデータとして格納する制御情報(指示情報)についてのデータ削減を行う。
パケットサイズを小さくすることで、送信時間Duty比を10分の1以下とするというARIB規定を順守しながら、頻繁にパケット送信を行うことが可能となり、移動装置120の正常な移動(飛行)制御を行うことが可能となる。
【0189】
ステップS152では、飛行制御情報のみを格納したパケットのパケットサイズに基づいて、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する場合のパケット送信頻度F(L2)[Hz]を算出する。
【0190】
飛行制御情報のみを格納したパケットは、先に図9を参照して説明したようにペイロードのデータサイズが削減される。
ペイロードデータのデータサイズをD2とする。
このペイロードデータを削減したパケットのパケットサイズに基づいて、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケット送信頻度F(L2)[Hz]を算出する。先に説明したように、以下の式(式5)によって算出できる。
F(L2)=1/(10×(P+H+D2+X)/B)
=1/(10×T)・・・(式5)
【0191】
なお、上記(式5)中のTは、先に説明した(式4)によって算出される1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]である。すなわち、
T=(P+H+D2+X)/B・・・(式4)
上記(式4)による算出値である。
P,H,D2,Bは、パケットの各構成のビット数であり、
プリアンブル=P[ビット]、
ヘッダ=H[ビット]、
ペイロードデータ=D2[ビット](=送信する制御情報のデータサイズ)、
フッタ=X[ビット]、
である。
【0192】
上記(式4)、(式5)中のペイロードデータ=D2[ビット]は、飛行制御情報(飛行指示情報)のみからなるペイロiードデータのビット数である。
また、上記(式5)中の(10×T)内の10は、920MHz帯の通信帯域を利用した通信に関するARIB規定、すなわち、送信時間Duty比を10分の1以下とするという規定に従ったパラメータである。
【0193】
図8に示すリモート制御装置110の指示生成部112は、ステップS152において、上記(式5)に従って、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケット送信頻度F(L2)[Hz]を算出する。
【0194】
(ステップS153)
次に、リモート制御装置110は、ステップS153において、ステップS152で算出した長距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(L2)[Hz]に従った間隔でパケットを生成する。
【0195】
この処理も、図8に示すリモート制御装置110の指示生成部112が実行する処理である。
指示生成部112は、ステップS152で算出したパケット送信頻度F(L2)[Hz]によって規定される間隔で入力部111から入力する操作情報から飛行制御上方のみを選択取得して、選択取得した飛行制御情報のみをペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
【0196】
なお、生成するパケットは、図5(2b)に示すヘッダを有するパケットであり、また図9を参照して説明したように飛行制御情報のみをペイロードデータとして格納したパケットである。
パケットサイズは、中短距離通信用無線リンク部116を介して送信するパケットより小さいサイズである。
【0197】
(ステップS154)
次に、リモート制御装置110は、ステップS154において、ステップS153で生成したパケットを、長距離通信用無線リンク部117を介して送信する。
【0198】
この処理は、図8に示すリモート制御装置110の指示生成部112と、長距離通信用無線リンク部117が実行する処理である。
【0199】
指示生成部112は、ステップS153で生成したパケットを長距離通信用無線リンク部117に出力する。長距離通信用無線リンク部117は、パケットを、ステップS111で算出したパケット送信頻度F(L)[Hz]で移動装置120に送信する。
【0200】
このようにパケット内のペイロードデータとして格納するデータを飛行制御情報に制限してパケットサイズを小さくすることで、長距離通信用無線リンク部117を介した通信時にもパケット送信頻度を高めることが可能となり、移動装置120の細かな制御を実行することが可能となる。
【0201】
[3-4.移動装置が実行する処理シーケンスについて]
次に、図11に示すフローチャートを参照して、本実施例2において移動装置120が実行する処理シーケンスについて説明する。
なお、図11に示すフロー中、ステップS201~S202、ステップS211~S213の各処理は、先の実施例1において図7に示すフローを参照して説明した処理と同様の処理であるので説明を省略する。
【0202】
本実施例2に固有の処理は、図11に示すフロー中のステップS251~S252の処理である。以下、これらの処理の詳細について説明する。
【0203】
(ステップS251)
以下において説明するステップS251~S252の処理は、ステップS201~S202の処理、およびステップS211~S213の処理とともに、移動装置120において並列に実行される処理である。
ステップS201~S202の処理、およびステップS211~S213の処理は、先の実施例1において図7に示すフローを参照して説明した処理と同様の処理であるので、以下、ステップS251~S252の処理について説明する。
【0204】
移動装置120は、ステップS251において、異常発生の検出を実行する。
この処理は、図8に示す移動装置120のフライトコントロール部122が実行する処理である。
【0205】
移動装置120のフライトコントロール部122は移動装置120の飛行に異常が発生しているか否かを常時、モニタリングしており、異常が発生した場合、この検出情報を移動装置動作モード通知部221に出力する。
【0206】
ステップS251において、異常発生が検出された場合、ステップS252に進む。
異常発生が検出されない場合は、ステップS251の異常検出処理を継続して実行する。
【0207】
(ステップS252)
ステップS251において、移動装置120の飛行に異常が検出された場合、ステップS252に進む。
ステップS252において、移動装置120は、異常の発生をリモート制御装置110に通知する。
【0208】
この処理は、図8に示す移動装置120の移動装置動作モード通知部221が実行する処理である。
移動装置動作モード通知部221は、移動装置120の異常通知等、移動装置120の動作モードをリモート制御装置110に通知する処理を実行する。
【0209】
移動装置動作モード通知部221は、例えば無線通信部126を介して移動装置120の異常状態等の動作モード情報をリモート制御装置110に送信する。あるいは、LED等の色や発光パターンを出力して、移動装置120の異常状態等の動作モード情報をリモート制御装置110に通知する構成としてもよい。
【0210】
この通知処理により、リモート制御装置110は、移動装置120の異常を検出し、先に図10に示すフローを参照して説明したステップS152~S154の処理を実行する。
すなわち、リモート制御装置110は、パケット内のペイロードデータを飛行制御情報に制限してパケットサイズを小さくして、長距離通信用無線リンク部117を介した高頻度のパケット送信を実行する。これにより移動装置120の細かな制御が可能となる。
【0211】
[4.本開示の実施例3の構成と処理について]
次に、図12以下を参照して、本開示の実施例3の構成と処理について説明する。
【0212】
先に説明した実施例2では、移動装置120に異常が発生した場合等、主として移動装置120側の事情でペイロードデータの削減を行う実施例であった。すなわち、移動装置120に異常が発生した場合に飛行制御情報のみをペイロードデータとして格納してパケットサイズを削減して長距離リンクを介したパケットの送信頻度を向上させる実施例であった。
【0213】
ペイロードデータを削減してパケットサイズを小さくして長距離リンクを介したパケットの送信頻度を向上させたい場合は、移動装置120に異常が発生した場合に限らない。
リモート制御装置110側の事情、例えば、移動装置120の飛行態様を即座に変更したい場合等には、パケット送信頻度を高めることが有効となる。
以下に説明する実施例3は、このような場合、すなわちリモート制御装置110側の事情でパケット送信頻度を高めて、緊急的な制御やロバストな制御を実現する実施例である。
【0214】
[4-1.リモート制御装置と、移動装置の構成例について]
まず、図12を参照して実施例3のリモート制御装置110と、移動装置120の構成例について説明する。
図12は、実施例3のリモート制御装置110と、移動装置120の構成を示すブロック図である。
【0215】
リモート制御装置110は、入力部111、指示生成部112、無線リンク決定部113、位置情報取得部114、無線通信部115、さらに削減情報指定部231を有する。
無線通信部115は、中短距離通信用無線リンク部116と、長距離通信用無線リンク部117を有する。
【0216】
実施例3のリモート制御装置110は、先に図3を参照して説明した実施例1のリモート制御装置110に削減情報指定部231を追加した構成である。
また、指示生成部112は、実施例1とは異なる処理を実行する。
【0217】
削減情報指定部231は、ペイロードデータを削減してパケットサイズを小さくして長距離リンクを介したパケットの送信頻度を向上させたい場合にパケットに格納するペイロードデータの指定、あるいはパケットに格納しないペイロードデータの指定情報を生成する。この指定情報は、指示生成部112に入力される。
【0218】
指示生成部112は、削減情報指定部231からの指定情報に従って、ペイロードデータを削減した小サイズのパケットを生成する。
【0219】
本実施例3は、リモート制御装置110側の事情、例えば、移動装置120の飛行態様を即座に変更したい場合等に有効な実施例であり、リモート制御装置110側が主体的にパケットのサイズを小さくする。この処理により、送信時間Duty比を10分の1以下とするという長距離リンクの920MHz帯の通信規定(ARIB規定)を順守しながら、頻繁にパケット送信を行うことが可能となり、移動装置120の細かな制御を行うことが可能となる。
【0220】
図12に示す本実施例3の移動装置120は、無線リンク決定部121、フライトコントロール部122、指示解析&取得部251、位置情報生成部124、位置情報通知部125、無線通信部126を有する。
無線通信部126は、中短距離通信用無線リンク部127と、長距離通信用無線リンク部128を有する。
【0221】
図12に示す本実施例3の移動装置120は、先に図3を参照して説明した実施例1の移動装置120内の指示取得部123を指示解析&取得部251に変更した構成である。
【0222】
指示解析&取得部251は、リモート制御装置110から受信するパケットのペイロードデータとして格納されている制御情報(指示情報)が何であるかを特定する処理を行う。
さらに、指示解析&取得部251は、パケットのペイロードデータとして格納された制御情報(指示情報)を取得し、取得した制御情報(指示情報)をフライトコントロール部122に出力する。
【0223】
[4-2.指示生成部が生成するパケットの構成例について]
次に、本実施例3のリモート制御装置110の指示生成部112が生成するパケットの構成例について説明する。
【0224】
前述したように、指示生成部112は、無線通信部115を介して送信する制御情報を格納したパケットを生成する。すなわち、入力部111を介して入力されるユーザ操作情報に従った制御命令をペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
【0225】
長距離リンクにおいて使用が想定される920MHz帯の通信についてはARIB STD-T108の規定があり、送信時間のDuty比を10分の1以下とすることが規定されている。
【0226】
このため、本開示のリモート制御装置110の指示生成部112は、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケットを、中短距離通信用無線リンク部116を利用した通信時のパケットよりデータサイズを小さくする。すなわち、パケットサイズを削減して長距離リンクを介したパケットの送信頻度を向上させている。
【0227】
上述した実施例2では、移動装置120に異常が発生した場合等に飛行制御情報のみをペイロードデータとして格納してパケットサイズを削減していた。
本実施例3は、移動装置120に異常がなくても、緊急的に飛行制御を行いたい場合等、リモート制御装置110側の事情でペイロードデータを制限して、パケットサイズの削減と、長距離リンクを介したパケットの送信頻度を向上させる実施例である。
【0228】
本実施例3において、リモート制御装置110の指示生成部112が生成するパケットの構成例を図13に示す。
【0229】
図13には、以下の各図を示している。
(1)パケット構成
(2)ヘッダ構成例
(3)ペイロードデータ構成例
これらは、いずれも長距離リンクを介した送信パケットのパケット構成例である。
【0230】
(1)パケット構成と、(2)ヘッダ構成例は、先に図5を参照して説明した構成と同様の構成である。
(2)ヘッダ構成例は、図5(2b)に示す長距離通信用無線リンク部117を介した送信パケットのヘッダと同様の構成であり、フレーム制御情報、シーケンスナンバー、アドレス情報(ショートアドレス)を有する。
【0231】
図13(3)ペイロードデータ構成例に示すように、本実施例3において、リモート制御装置110の指示生成部112が生成するパケットのペイロードデータは、格納データ特定情報と、制御情報(指示情報)の2種類のデータによって構成される。
【0232】
格納データ特定情報は、制御情報(指示情報)を識別するための情報である。
本実施例3では、リモート制御装置110が任意に選択した制御情報(指示情報)のみをペイロードとして格納することを可能とした実施例である。従って、移動装置120は、リモート制御装置110が選択した制御情報(指示情報)が何であるかが分からなければ、正常な制御が実行できない場合がある。
【0233】
格納データ特定情報は、パケットのペイロードデータとして格納した制御情報(指示情報)が何であるかを識別するための情報である。なお、さらに各制御情報の格納位置を示す位置情報を含めてもよい。
移動装置120は、リモート制御装置110から受信したパケットのペイロードデータの先頭部分に記録された格納データ特定情報を解析することで、格納データ特定情報に続いて格納された制御情報(指示情報)が何であるかを識別することが可能となる。
【0234】
本実施例3では、送信時間のDuty比を10分の1以下とすることが規定されている長距離リンク使用時に、リモート制御装置110の削減情報指定部231が、パケットに格納するペイロードデータの指定、あるいはパケットに格納しないペイロードの指定情報を生成する。
【0235】
この指定情報が、指示生成部112に入力され、指示生成部112は、削減情報指定部231からの指定情報に従って、ペイロードデータを削減した小サイズのパケットを生成する。この際に、図13に示すように、パケットのペイロードデータとして格納データ特定情報と、制御情報(指示情報)の2種類のデータを格納する。
【0236】
本実施例3において、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時の1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]は、以下の(式6)で算出される。
T=(P+H+D3+X)/B・・・(式6)
【0237】
P,H,D3,Bは、パケットの各構成のビット数であり、
プリアンブル=P[ビット]、
ヘッダ=H[ビット]、
ペイロードデータ=D3[ビット](=格納データ特定情報と、制御情報(指示情報)の合計データサイズ)、
フッタ=X[ビット]、
である。
【0238】
ペイロードデータ=D3は、図13を参照して説明した格納データ特定情報と、制御情報(指示情報)の合計データのビット数である。
【0239】
上記(式6)に従って算出される時間T[秒]、すなわち、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時の1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]を用いて、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時の送信頻度F(L3)[Hz]は、以下の式(式7)によって算出できる。
F(L3)=1/(10×(P+H+D3+X)/B)
=1/(10×T)・・・(式7)
【0240】
前述したように、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信は、920MHz帯の通信帯域を利用した通信として実行される。この帯域の送信に関する制限規定として、送信時間Duty比を10分の1以下とするというARIB規定があり、この規定に従ったパケット送信を行うことが必要となる。
上記(式7)はこのDuty比規定を考慮して算出されるパケット送信頻度F(L3)[Hz]である。
【0241】
本実施例では、このようにパケット内のペイロードデータとして格納するデータを、リモート制御装置110が主体的に制限してパケットサイズを小さくすることで、長距離通信用無線リンク部117を介した通信時にもパケット送信頻度を高めることが可能となり、移動装置120の細かな制御を実行することが可能となる。
【0242】
なお、先に説明した実施例2においても、ペイロードに格納するデータが飛行制御情報に制限されるが、実施例2の場合は、移動装置120側で了解済みの事前設定された飛行制御情報に制限するものであり、上述した「格納データ特定情報」の記録は必須とはならない。
ただし、実施例2の構成においても、この実施例3と同様の「格納データ特定情報」を記録する構成としてもよい。
【0243】
[4-3.リモート制御装置が実行する処理シーケンスについて]
次に、図14に示すフローチャートを参照して、本実施例3においてリモート制御装置110が実行する処理シーケンスについて説明する。
なお、図14に示すフロー中、ステップS101~S103、ステップS111~S113、ステップS121~S123の各処理は、先の実施例1において図6に示すフローを参照して説明した処理と同様の処理であるので説明を省略する。
【0244】
本実施例3に固有の処理は、図14に示すフロー中のステップS181~S184の処理である。以下、これらの処理の詳細について説明する。
【0245】
(ステップS181)
ステップS181は、ステップS103において、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上であると判定された場合に実行する処理である。
この場合、リモート制御装置110は、ステップS181において、移動装置120に送信する制御情報(指示情報)の削減を行うか否かを判定する。
【0246】
前述したように、例えば、移動装置120の飛行態様を即座に変更したい場合等、リモート制御装置110がパケット送信頻度を上げて細かな制御を行いたい場合がある。このような場合、パケットのサイズを小さくしてパケット送信頻度を上げる
ことが可能であり、リモート制御装置110は、パケットサイズ削減のために、移動装置120に送信する制御情報(指示情報)の削減を行う。このパケットサイズ削減により、パケット送信頻度を上げることが可能となる。
【0247】
ステップS181において、移動装置120に送信する制御情報(指示情報)の削減を行うと判定した場合、ステップS181の判定はYesとなり、ステップS182に進む。
【0248】
一方、移動装置120に送信する制御情報(指示情報)の削減を行わない場合は、ステップS181の判定はNoとなり、ステップS111に進む。ステップS111~S113の処理は、先の実施例1において図6のフローを参照して説明した処理と同様の処理である。
【0249】
(ステップS182)
ステップS182~S184の処理は、ステップS103において、リモート制御装置110と移動装置120との距離がしきい値以上であると判定され、さらに、ステップS181において、移動装置120に送信する制御情報(指示情報)の削減を行4と判定した場合に実行する処理である。
【0250】
この場合、リモート制御装置110は、まず、ステップS182において、パケットに格納するペイロードデータの制御情報(指示情報)を削減したパケットのパケットサイズに基づいて、長距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(L3)[Hz]を算出する。
【0251】
この処理は、図12に示すリモート制御装置110の指示生成部112が実行する処理である。
なお、前述したように、まず、図12に示すリモート制御装置110の削減情報指定部231が、パケットに格納するペイロードデータの指定、あるいはパケットに格納しないペイロードデータの指定情報を生成する。この指定情報が指示生成部112に入力され、指示生成部112が削減情報指定部231からの指定情報に従って、ペイロードデータを削減した小サイズのパケットを生成する。
【0252】
指示生成部112は、削減情報指定部231からの指定情報に従った制御情報のみを格納したパケットのパケットサイズに基づいて、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信を実行する場合のパケット送信頻度F(L3)[Hz]を算出する。
【0253】
削減された制御情報を格納したパケットは、先に図13を参照して説明したようにペイロードのデータサイズが削減される。
ペイロードデータのデータサイズをD3とする。
このペイロードデータを削減したパケットのパケットサイズに基づいて、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケット送信頻度F(L3)[Hz]を算出する。先に説明したように、以下の式(式7)によって算出できる。
F(L3)=1/(10×(P+H+D3+X)/B)
=1/(10×T)・・・(式7)
【0254】
なお、上記(式7)中のTは、先に説明した(式6)によって算出される1パケット(1フレーム)の送信に要する時間T[秒]である。すなわち、
T=(P+H+D3+X)/B・・・(式6)
上記(式4)による算出値である。
P,H,D3,Bは、パケットの各構成のビット数であり、
プリアンブル=P[ビット]、
ヘッダ=H[ビット]、
ペイロードデータ=D3[ビット](=格納データ特定情報と、制御情報(指示情報)の合計データサイズ)、
フッタ=X[ビット]、
である。
【0255】
上記(式6)、(式7)中のペイロードデータ=D3[ビット]は、格納データ特定情報と、制御情報(指示情報)の合計データのビット数である。
また、上記(式7)中の(10×T)内の10は、920MHz帯の通信帯域を利用した通信に関するARIB規定、すなわち、送信時間Duty比を10分の1以下とするという規定に従ったパラメータである。
【0256】
図12に示すリモート制御装置110の指示生成部112は、ステップS182において、上記(式7)に従って、長距離通信用無線リンク部117を利用した通信時のパケット送信頻度F(L3)[Hz]を算出する。
【0257】
(ステップS183)
次に、リモート制御装置110は、ステップS183において、ステップS182で算出した長距離通信用無線リンクの通信制約に従ったパケット送信頻度F(L3)[Hz]に従った間隔でパケットを生成する。
【0258】
この処理も、図12に示すリモート制御装置110の指示生成部112が実行する処理である。
指示生成部112は、ステップS182で算出したパケット送信頻度F(L3)[Hz]によって規定される間隔で入力部111から入力する操作情報から飛行制御上方のみを選択取得して、選択取得した飛行制御情報のみをペイロードデータとして格納したパケットを生成する。
【0259】
なお、生成するパケットは、図13(2)に示すヘッダを有するパケットであり、また図13(3)に示すペイロードデータ、すなわち、格納データ特定情報と、制御情報(指示情報)の2種類のデータによって構成されるペイロードデータを有するパケットである。
パケットサイズは、中短距離通信用無線リンク部116を介して送信するパケットより小さいサイズである。
【0260】
(ステップS184)
次に、リモート制御装置110は、ステップS184において、ステップS183で生成したパケットを、長距離通信用無線リンク部117を介して送信する。
【0261】
この処理は、図12に示すリモート制御装置110の指示生成部112と、長距離通信用無線リンク部117が実行する処理である。
【0262】
指示生成部112は、ステップS183で生成したパケットを長距離通信用無線リンク部117に出力する。長距離通信用無線リンク部117は、パケットを、ステップS111で算出したパケット送信頻度F(L)[Hz]で移動装置120に送信する。
【0263】
このようにパケット内のペイロードデータとして制限された情報に制限し、さらに、どのような情報を格納したかを示す特定情報を格納したパケットを生成して送信する。この処理により、長距離通信用無線リンク部117を介した通信時にもパケット送信頻度を高めることが可能となり、移動装置120の細かな制御を実行することが可能となる。
【0264】
[4-4.移動装置が実行する処理シーケンスについて]
次に、図15に示すフローチャートを参照して、本実施例3において移動装置120が実行する処理シーケンスについて説明する。
なお、図15に示すフロー中、ステップS201、ステップS202、ステップS211~S213の各処理は、先の実施例1において図7に示すフローを参照して説明した処理と同様の処理であるので説明を省略する。
【0265】
本実施例2に固有の処理は、図15に示すフロー中のステップS281の処理である。以下、この処理の詳細について説明する。
【0266】
(ステップS281)
以下において説明するステップS201,S281,S202の処理と、ステップS211~S213の処理は、移動装置120において並列に実行される処理である。
【0267】
移動装置120は、ステップS201において、リモート制御装置からパケットを受信するとステップS251の処理を実行する。
【0268】
移動装置120は、ステップS251において、受信パケットのペイロードデータの解析と制御情報(指示情報)の取得処理を実行する。
【0269】
この処理は、図12に示す移動装置120の指示解析&取得部251が実行する処理である。
指示解析&取得部251は、リモート制御装置110から受信するパケットのペイロードデータとして格納されている制御情報(指示情報)が何であるかを特定する処理を行う。
【0270】
リモート制御装置110から受信するパケットのペイロードデータは、先に図13(3)を参照して説明した構成を有する。すなわち、本実施例3において、リモート制御装置110の指示生成部112が生成するパケットのペイロードデータは、格納データ特定情報と、制御情報(指示情報)の2種類のデータによって構成される。
【0271】
格納データ特定情報は、制御情報(指示情報)を識別するための情報である。
移動装置120の指示解析&取得部251は、リモート制御装置110から受信するパケットのペイロードデータの先頭部分に格納された格納データ特定情報を参照して、ペイロードデータ後半部に格納された制御情報(指示情報)が何の制御情報であるかを識別する。なお、さらに格納データ特定情報に各制御情報の格納位置情報が記録されている場合はその情報も取得して各制御情報の格納位置識別を実行する。
【0272】
さらに、指示解析&取得部251は、パケットのペイロードデータとして格納された制御情報(指示情報)を取得し、取得した制御情報(指示情報)をフライトコントロール部122に出力する。
これらの処理の後、ステップS202に進む。
【0273】
ステップS202において、移動装置120は受信パケットのペイロードデータとして格納された制御情報(指示情報)に基づく制御を実行する。
【0274】
上述したように、本実施例3ではリモート制御装置110が独自の判断でパケット内のペイロードデータに格納する制御情報を限定し、さらに、どのような情報を格納したかを示す「格納データ特定情報」を格納したパケットを生成して送信する。
移動装置120は、パケット内の「格納データ特定情報」を参照してどのような制御情報がパケットに格納されているかを判断することが可能となる。
これらの処理により、長距離通信用無線リンク部117を介した通信時にもパケット送信頻度を高めることが可能となり、移動装置120の細かな制御を実行することが可能となる。
【0275】
なお、上述した実施例1~3は、個別の構成として実行することも可能であるが、複数の実施例を組み合わせた構成としてもよい。
【0276】
[5.本開示の構成のまとめ]
以上、特定の実施例を参照しながら、本開示の実施例について詳解してきた。しかしながら、本開示の要旨を逸脱しない範囲で当業者が実施例の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、限定的に解釈されるべきではない。本開示の要旨を判断するためには、特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0277】
なお、本明細書において開示した技術は、以下のような構成をとることができる。
(1) 移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成する指示生成部と、
前記指示生成部の生成した前記パケットを送信する無線通信部を有し、
前記無線通信部は、
異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有し、
前記指示生成部は、
前記移動装置との距離がしきい値以上である場合、前記パケットのサイズを前記距離がしきい値未満である場合より小さいサイズとするパケット生成処理を実行するリモート制御装置。
【0278】
(2) 前記無線通信部は、
前記距離がしきい値以上である場合に利用する長距離通信用無線リンク部と、
前記距離がしきい値未満である場合に利用する中短距離通信用無線リンク部を有し、
前記長距離通信用無線リンク部は、前記中短距離通信用無線リンク部より低い周波数帯での通信を実行する構成である(1)に記載のリモート制御装置。
【0279】
(3) 前記指示生成部は
前記距離がしきい値以上である場合、パケットサイズを削減するとともに、パケット生成頻度を上げて、前記無線通信部からのパケット送信頻度を上昇させる(1)または(2)に記載のリモート制御装置。
【0280】
(4) 前記指示生成部は、
前記パケットサイズに基づいて、許容されるパケット送信頻度を算出し、算出された前記パケット送信頻度に応じたパケット生成を実行する(3)に記載のリモート制御装置。
【0281】
(5) 前記許容されるパケット送信頻度は、通信周波数帯対応の規定に従ったパケット送信頻度である(4)に記載のリモート制御装置。
【0282】
(6) 前記指示生成部は、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、パケットのヘッダサイズを削減する処理を実行する(1)~(5)いずれかに記載のリモート制御装置。
【0283】
(7) 前記指示生成部は、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、パケットのヘッダの付加情報の削減処理、または格納アドレスデータの削減処理の少なくともいずれかの処理を実行する(6)に記載のリモート制御装置。
【0284】
(8) 前記付加情報は、暗号化情報である(7)に記載のリモート制御装置。
【0285】
(9) 前記指示生成部は、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、パケットのペイロードデータサイズを削減する処理を実行する(1)~(8)いずれかに記載のリモート制御装置。
【0286】
(10) 前記リモート制御装置は、さらに、
前記移動装置のモード情報を取得するモード取得部を有し、
前記モード取得部が、前記移動装置の異常を検出した場合、
前記指示生成部は、
パケットのペイロードに格納する制御情報を前記移動装置の移動制御に関する情報に制限する(9)に記載のリモート制御装置。
【0287】
(11) 前記指示生成部は、
パケットのペイロードに格納する制御情報を削減するとともに、ペイロードとして格納した制御情報を識別するための特定情報をペイロードに格納する(9)または(10)に記載のリモート制御装置。
【0288】
(12) 前記リモート制御装置は、さらに、
パケットのペイロードに格納する制御情報を決定する削減情報指定部を有し、
前記指示生成部は、
前記削減情報指定部の生成した指定情報に基づいて、パケット内に格納する制御情報を決定する(9)~(11)に記載のリモート制御装置。
【0289】
(13) 異なる周波数帯での通信を実行可能な複数の無線リンク部を有する無線通信部と、
自装置の位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記位置情報生成部の生成した位置情報を、前記無線通信部を介してリモート制御装置に送信する位置情報通知部と、
前記無線通信部の複数の無線リンク部のどの無線リンク部を利用して前記位置情報の送信を行うかを決定する無線リンク決定部を有し、
前記無線リンク決定部は、
前記リモート制御装置からの最新パケットを受信した無線リンク部を前記位置情報の送信部として決定する移動装置。
【0290】
(14) 前記移動装置は、さらに、
前記無線通信部が受信したパケットから制御情報を取得する指示取得部と、
前記指示取得部の取得した制御情報に基づいて自装置の移動制御を実行するコントロール部を有する(13)に記載の移動装置。
【0291】
(15) 前記移動装置は、さらに、
前記リモート制御装置に、前記移動装置の動作モードを通知する動作モード通知部を有する(13)または(14)に記載の移動装置。
【0292】
(16) 前記移動装置は、さらに、
前記リモート制御装置からの受信パケットのペイロードデータに格納された格納データ特定情報を解析して、ペイロードデータに格納された制御情報を識別する解析部を有する(13)~(15)いずれかに記載の移動装置。
【0293】
(17) リモート制御装置において実行する通信制御方法であり、
指示生成部が、移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成する指示生成ステップと、
無線通信部が、前記指示生成ステップにおいて生成したパケットを送信する無線通信ステップを実行し、
前記無線通信部は、
異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有し、
前記指示生成ステップは、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、生成パケットのサイズを前記移動装置の距離がしきい値未満である場合より小さいサイズとするパケット生成処理を実行する通信制御方法。
【0294】
(18) 移動装置において実行する通信制御方法であり、
前記移動装置は、
異なる周波数帯での通信を実行可能な複数の無線リンク部を有する無線通信部と、
自装置の位置情報を生成する位置情報生成部と、
前記位置情報生成部の生成した位置情報を、前記無線通信部を介してリモート制御装置に送信する位置情報通知部と、
前記無線通信部の複数の無線リンク部のどの無線リンク部を利用して前記位置情報の送信を行うかを決定する無線リンク決定部を有し、
前記無線リンク決定部は、
前記リモート制御装置からの最新パケットを受信した無線リンク部を前記位置情報の送信部として決定する通信制御方法。
【0295】
(19) リモート制御装置において通信制御処理を実行させるプログラムであり、
指示生成部に、移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成させる指示生成ステップと、
無線通信部に、前記指示生成ステップにおいて生成したパケットを送信させる無線通信ステップを実行させ、
前記無線通信部は、
異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有し、
前記プログラムは、前記指示生成ステップにおいて、
前記移動装置の距離がしきい値以上である場合、生成パケットのサイズを前記移動装置の距離がしきい値未満である場合より小さいサイズとするパケット生成処理を実行させるプログラム。
【0296】
また、明細書中において説明した一連の処理はハードウェア、またはソフトウェア、あるいは両者の複合構成によって実行することが可能である。ソフトウェアによる処理を実行する場合は、処理シーケンスを記録したプログラムを、専用のハードウェアに組み込まれたコンピュータ内のメモリにインストールして実行させるか、あるいは、各種処理が実行可能な汎用コンピュータにプログラムをインストールして実行させることが可能である。例えば、プログラムは記録媒体に予め記録しておくことができる。記録媒体からコンピュータにインストールする他、LAN(Local Area Network)、インターネットといったネットワークを介してプログラムを受信し、内蔵するハードディスク等の記録媒体にインストールすることができる。
【0297】
なお、明細書に記載された各種の処理は、記載に従って時系列に実行されるのみならず、処理を実行する装置の処理能力あるいは必要に応じて並列的にあるいは個別に実行されてもよい。また、本明細書においてシステムとは、複数の装置の論理的集合構成であり、各構成の装置が同一筐体内にあるものには限らない。
【産業上の利用可能性】
【0298】
以上、説明したように、本開示の一実施例の構成によれば、長距離無線リンク部を介した通信においてもパケットサイズを小さくしてパケット送信頻度を上げて、移動装置の細かい制御を可能とした構成が実現される。
具体的には、例えば、移動装置に対する制御情報を格納したパケットを生成する指示生成部と、パケットを送信する無線通信部を有する。無線通信部は異なる周波数帯での無線通信を実行する複数の無線リンク部を有する。指示生成部は、移動装置の距離がしきい値以上である場合、しきい値未満である場合より小さいサイズのパケットをするとともに、パケットサイズに基づいて許容されるパケット送信頻度を算出し、高頻度のパケット生成、送信処理を実行する。
本構成により、長距離無線リンク部を介した通信においてもパケットサイズを小さくしてパケット送信頻度を上げて、移動装置の細かい制御を可能とした構成が実現される。
【符号の説明】
【0299】
10 リモート制御装置(リモートコントローラ)
20 移動装置(ドローン)
25 カメラ
110 リモート制御装置
111 入力部
112 指示生成部
113 無線リンク決定部
114 位置情報取得部
115 無線通信部
116 中短距離通信用無線リンク部
117 長距離通信用無線リンク部
120 移動装置
121 無線リンク決定部
122 フライトコントロール部
123 指示取得部
124 位置情報生成部
125 位置情報通知部
126 無線通信部
127 中短距離通信用無線リンク部
128 長距離通信用無線リンク部
211 移動装置動作モード取得部
221 移動装置動作モード通知部
231 削減情報指定部
251 指示解析&取得部
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