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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】土壌センサ
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/02 20060101AFI20231205BHJP
   G01N 27/22 20060101ALI20231205BHJP
   G01R 27/26 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G01N27/02 B
G01N27/22 C
G01R27/26 H
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021132202
(22)【出願日】2021-08-16
(65)【公開番号】P2022121360
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2021018324
(32)【優先日】2021-02-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001472
【氏名又は名称】弁理士法人かいせい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有木 伴秀
(72)【発明者】
【氏名】島倉 啓
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-122909(JP,A)
【文献】特開2011-191208(JP,A)
【文献】特開2019-184472(JP,A)
【文献】特表2021-502569(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0267700(US,A1)
【文献】米国特許第06484652(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第105866177(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第102890104(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00-G01N 27/49
G01N 22/00-G01N 22/04
G01R 27/00-G01R 27/32
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
Science Direct
AgriKnowledge
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置面(111、113)を有する台座(110)と、
前記台座に配置された第1信号ライン(121)及び第1GNDライン(122)を有する第1検出部(120)と、
前記台座の前記設置面に配置された第2信号ライン(131)及び第2GNDライン(132)と、セラミックス(133)と、を有し、前記第2信号ラインの一端部(131A)が前記セラミックスに対する一方の電極であり、前記第2GNDラインの一端部(132A)が前記セラミックスに対する他方の電極である第2検出部(130)と、
前記第1信号ラインの一端部(121A)と前記第1GNDラインの一端部(122A)との間に周波数信号を入力すると共に前記第1信号ラインの他端部(121B)に到達する前記周波数信号の時間に対する振幅の立ち上がりの傾きの大きさに基づいて前記台座が配置される土壌(200)の電気伝導度を取得する一方、前記土壌に含まれる水が前記セラミックスに入ることで変化する前記第2信号ラインの一端部と前記第2GNDラインの一端部との間の静電容量に基づいて前記土壌の水ポテンシャルを測定する回路部(170)と、
を含み、
前記第1信号ラインは、前記台座の前記設置面に投影された配線パターンが環状の配線パターンであり、
前記第1GNDラインは、前記第1信号ラインに対して間隔を持って配置されると共に、前記台座の前記設置面に投影された配線パターンが前記設置面に投影された前記第1信号ラインの配線パターンで囲まれた領域に配置され、
前記第2検出部は、前記台座の前記設置面に投影された前記第1GNDラインの配線パターンで囲まれた領域に配置される、土壌センサ。
【請求項2】
前記回路部は、前記第1信号ラインの一端部(121A)と前記第1GNDラインの一端部(122A)との間に周波数信号を入力してから前記周波数信号が前記第1信号ラインの他端部に到達する際に前記周波数信号の振幅が立ち上がるまでの伝搬時間に基づいて、前記土壌に含まれる水分量を取得する、請求項1に記載の土壌センサ。
【請求項3】
前記台座の前記設置面のうちの前記設置面に投影された前記第1GNDラインで囲まれた領域に配置されると共に、前記土壌の温度を検出する第3検出部(140)を含み、
前記回路部は、前記第3検出部の検出結果に基づいて、前記土壌の温度を取得する、請求項1または2に記載の土壌センサ。
【請求項4】
前記台座の前記設置面のうちの前記設置面に投影された前記第1GNDラインで囲まれた領域に配置されると共に、前記土壌に含まれる水が一対の電極のうちの一方の電極に付着することに伴う前記一対の電極の電位差を検出する第4検出部(150)を含み、
前記回路部は、前記一対の電極の電位差に基づいて前記土壌のpHを取得する、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項5】
前記台座の前記設置面のうちの前記設置面に投影された前記第1GNDラインで囲まれた領域に配置されると共に、前記土壌に含まれる水が検出電極に付着することに伴う前記検出電極と参照電極との電位差を検出する第5検出部(160)を含み、
前記回路部は、前記検出電極と前記参照電極との電位差に基づいて前記土壌の酸化還元電位を取得する、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項6】
前記第1検出部は、重力方向において異なる位置の前記電気伝導度を取得するために前記台座に複数設置される、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項7】
前記第2検出部は、重力方向において異なる位置の前記水ポテンシャルを取得するために前記台座の前記設置面に複数設置される、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項8】
前記台座は、基板であり、
前記設置面は、前記基板の一面(111)である、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項9】
前記台座は、基板であり、
前記設置面は、前記基板の一面(111)と、前記一面とは反対側の他面(113)と、であり、
前記第1検出部は、前記基板のうちの前記一面の側と、前記基板のうちの前記他面の側と、の両側に配置される、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項10】
前記台座の前記設置面に投影された前記第1信号ラインの配線パターンは、第1直線部(121C)と、前記第1直線部と並列に配置された第2直線部(121D)と、前記第1直線部と前記第2直線部とを接続する接続部(121E)と、を有し、
前記第1直線部のうちの前記接続部の側とは反対側は、前記第1信号ラインの一端部に対応し、
前記第2直線部のうちの前記接続部の側とは反対側は、前記第1信号ラインの他端部に対応し、
前記接続部は、前記第1直線部のうちの前記第1信号ラインの一端部に対応する配線パターン及び前記第2直線部のうちの前記第1信号ラインの他端部に対応する配線パターンの側に折り畳まれた配線パターンである、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項11】
前記台座の前記設置面に投影された前記第1信号ラインの配線パターンは、第1直線部(121C)と、前記第1直線部と並列に配置された第2直線部(121D)と、前記第1直線部と前記第2直線部とを接続する接続部(121E)と、を有し、
前記第1直線部及び前記第2直線部のうちのいずれか一方は、蛇腹状の配線パターン部(121F、121G)を有する、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項12】
前記台座の前記設置面に投影された前記第1信号ラインの配線パターンは、第1直線部(121C)と、前記第1直線部と並列に配置された第2直線部(121D)と、前記第1直線部と前記第2直線部とを接続する接続部(121E)と、を有し、
前記第1直線部は、蛇腹状の第1配線パターン部(121G)を有し、
前記第2直線部は、蛇腹状の第2配線パターン部(121F)を有する、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項13】
前記台座及び前記回路部は、一体化されると共に、重力方向に垂直な方向に沿って配置される、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項14】
前記台座及び前記回路部は、一体化されると共に、前記回路部が前記台座よりも重力方向の上側に位置するように配置される、請求項1ないし12のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項15】
前記第2信号ラインの一端部及び前記第2GNDラインの一端部は、前記台座の前記設置面に配置され、
前記セラミックスは、前記第2信号ラインの一端部及び前記第2GNDラインの一端部の上方に配置され、
前記第2GNDラインの一端部は、前記第2信号ラインの一端部に対して間隔を持って配置されると共に、前記第2信号ラインの一端部を囲む配線パターンである、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項16】
前記セラミックスは、表面(134)及び裏面(135)を有し、前記裏面が前記第2信号ラインの一端部及び前記第2GNDラインの一端部の側に配置され、
前記第2検出部は、前記セラミックスの前記表面に配置されると共に前記第2GNDラインに電気的に接続された金属体(137)を有し、
前記金属体は、前記セラミックスに対する前記他方の電極である、請求項15に記載の土壌センサ。
【請求項17】
前記セラミックスは、表面(134)及び裏面(135)を有し、前記裏面が前記第2信号ラインの一端部及び前記第2GNDラインの一端部の側に配置され、
前記第2検出部は、前記セラミックスの前記表面に配置されると共に前記第2信号ラインに電気的に接続された金属体(138)を有し、
前記金属体は、前記セラミックスに対する前記一方の電極である、請求項15に記載の土壌センサ。
【請求項18】
前記第2信号ラインの一端部は、前記台座の前記設置面に配置され、
前記セラミックスは、表面(134)、裏面(135)、及び側面(136)を有し、前記裏面が前記第2信号ラインの一端部の上方に位置するように配置され、
前記第2GNDラインの一部は、前記セラミックスの前記側面に配置され、
前記第2GNDラインの一端部は、前記セラミックスの前記表面に配置される、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項19】
前記第2GNDラインの一端部は、前記台座の前記設置面に配置され、
前記セラミックスは、表面(134)、裏面(135)、及び側面(136)を有し、前記裏面が前記第2GNDラインの一端部の上方に位置するように配置され、
前記第2信号ラインの一部は、前記セラミックスの前記側面に配置され、
前記第2信号ラインの一端部は、前記セラミックスの前記表面に配置される、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項20】
前記第2信号ラインの一端部は、前記台座の前記設置面に配置され、
前記セラミックスは、表面(134)、裏面(135)、及び側面(136)を有し、前記裏面が前記第2信号ラインの一端部の上方に位置するように配置され、
前記第2GNDラインの一端部は、前記セラミックスの前記側面に配置される、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項21】
前記第2GNDラインの一端部は、前記台座の前記設置面に配置され、
前記セラミックスは、表面(134)、裏面(135)、及び側面(136)を有し、前記裏面が前記第2GNDラインの一端部の上方に位置するように配置され、
前記第2信号ラインの一端部は、前記セラミックスの前記側面に配置される、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項22】
前記第2信号ラインの一端部は、前記台座の前記設置面に配置され、
前記セラミックスは、表面(134)、裏面(135)、及び側面(136)を有し、前記裏面が前記第2信号ラインの一端部の上方に位置するように配置され、
前記第2GNDラインの一端部は、前記セラミックスの前記表面及び前記側面に配置される、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項23】
前記第2GNDラインの一端部は、前記台座の前記設置面に配置され、
前記セラミックスは、表面(134)、裏面(135)、及び側面(136)を有し、前記裏面が前記第2GNDラインの一端部の上方に位置するように配置され、
前記第2信号ラインの一端部は、前記セラミックスの前記表面及び前記側面に配置される、請求項1ないし14のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項24】
前記第1信号ラインは、前記台座の前記設置面に沿って延びると共に前記台座の前記設置面を基準とした厚み方向における位置が異なる階層状の配線パターンであり、
前記第1GNDラインは、前記台座の前記設置面に沿って延びると共に前記台座の前記設置面を基準とした厚み方向における位置が異なる階層状の配線パターンである、請求項1ないし23のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項25】
前記第1信号ライン及び第1GNDラインは、前記台座の前記設置面に垂直な厚み方向において、前記設置面を基準とした深さが異なる、請求項1ないし24のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【請求項26】
前記第1信号ライン及び第1GNDラインは、前記台座の前記設置面に垂直な厚み方向に振幅が変化する波状の配線パターンである、請求項1ないし25のいずれか1つに記載の土壌センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、土壌センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、土壌の水分量を測定する装置が、例えば特許文献1で提案されている。具体的には、装置は、折り返し伝送路及び回路部を備える。
【0003】
折り返し伝送路は、平行に配置された第1直線状部及び第2直線状部と、各直線状部のうちの一端側を一体にする折り返し部と、各直線状部の間に配置されると共に各直線状部と平行に配置された直線状導体と、を有する。
【0004】
回路部は、折り返し伝送路に所定の周波数の周波数信号を供給すると共に、折り返し伝送路から得られる周波数信号に基づいて土壌の誘電率を取得する。また、回路部は、誘電率の情報を用いて土壌の水分量を取得する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-156263号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来の技術の他に、土壌の水ポテンシャルを測定する装置が知られている。しかしながら、各装置は、水分量及び水ポテンシャルのいずれか一方を測定することができるものの、水分量と水ポテンシャルとを同時に測定することが難しい。
【0007】
そこで、水分量を測定する装置と、水ポテンシャルを測定する装置と、を統合することが考えられる。この場合、測定場所が同じ位置になるように、水分量を測定する検出部と、水ポテンシャルを測定する検出部と、を近づけて配置することになる。土壌の中では、場所が少し離れただけで、土壌の状態が大きく異なる場合があるからである。
【0008】
しかし、各検出部を近接配置すると、不要な静電容量が発生する可能性がある。このため、一方の検出部が他方の検出部に影響を及ぼす可能性がある。このような可能性は、水分量を測定する装置と、水ポテンシャルを測定する装置と、を統合する場合に限られず、少なくとも2つの物理量を検出する場合に起こりうる。例えば、電気伝導度を測定する装置と、水ポテンシャルを測定する装置と、を統合する場合にも、一方の検出部が他方の検出部に影響を及ぼす可能性がある。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、少なくとも2つの検出部が互い影響を及ぼすことを抑制することができる土壌センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、土壌センサは、台座(110)、第1検出部(120)、第2検出部(130)、及び回路部(170)を含む。
【0011】
台座は、設置面(111、113)を有する。第1検出部は、台座に配置された第1信号ライン(121)及び第1GNDライン(122)を有する。第2検出部は、台座の設置面に配置された第2信号ライン(131)及び第2GNDライン(132)と、セラミックス(133)と、を有する。第2検出部は、第2信号ラインの一端部(131A)がセラミックスに対する一方の電極であり、第2GNDラインの一端部(132A)がセラミックスに対する他方の電極である。
【0012】
回路部は、第1信号ラインの一端部(121A)と第1GNDラインの一端部(122A)との間に周波数信号を入力すると共に第1信号ラインの他端部(121B)に到達する周波数信号の時間に対する振幅の立ち上がりの傾きの大きさに基づいて台座が配置される土壌(200)の電気伝導度を取得する。回路部は、土壌に含まれる水がセラミックスに入ることで変化する第2信号ラインの一端部と第2GNDラインの一端部との間の静電容量に基づいて土壌の水ポテンシャルを測定する。
【0013】
第1信号ラインは、台座の設置面に投影された配線パターンが環状の配線パターンである。第1GNDラインは、第1信号ラインに対して間隔を持って配置されると共に、台座の設置面に投影された配線パターンが設置面に投影された第1信号ラインの配線パターンで囲まれた領域に配置される。
【0014】
第2検出部は、台座の設置面に投影された第1GNDラインの配線パターンで囲まれた領域に配置される。
【0015】
これによると、第2検出部は、第1検出部の第1信号ライン及び第1GNDラインによって広がる電界の領域を回避して配置される。したがって、土壌の電気伝導度を測定するための第1検出部と、土壌の水ポテンシャルを測定するための第2検出部と、が互い影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0016】
なお、この欄及び特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態に係る土壌センサの平面図である。
図2図1のII-II断面図である。
図3】土壌の中に土壌センサを設置する様子を示した図である。
図4】土壌センサの台座及び回路部が重力方向に垂直な方向に配置された場合の雨の様子を示した図である。
図5】土壌センサの台座及び回路部が重力方向に配置された場合の雨の様子を示した図である。
図6】水分量の測定方法を説明するための図である。
図7】第2実施形態に係る土壌センサの平面図である。
図8図7のVIII-VIII断面図である。
図9】第3実施形態に係る土壌センサの平面図である。
図10】配線パターンの密度が低い場合の電界の広がり方を示した模式図である。
図11】配線パターンの密度が高い場合の電界の広がり方を示した模式図である。
図12】第4実施形態に係る土壌センサの平面図である。
図13】第5実施形態に係る土壌センサの平面図である。
図14】第6実施形態に係る土壌センサの平面図である。
図15】第7実施形態に係る土壌センサの平面図である。
図16】第7実施形態に係る土壌センサの変形例を示した平面図である。
図17】第8実施形態に係る土壌センサの平面図である。
図18図17に示された土壌センサの側面図である。
図19】第8実施形態に係る土壌センサの変形例を示した平面図である。
図20図19に示された土壌センサの側面図である。
図21】第8実施形態に係る土壌センサの変形例を示した平面図である。
図22】第8実施形態に係る土壌センサの変形例を示した平面図である。
図23】第9実施形態に係る土壌センサの斜視図である。
図24】第10実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図25】第11実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図26】第12実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図27】第13実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図28】第14実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図29】第15実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図30】第16実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図31】第17実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図32】第18実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図33】第19実施形態に係る土壌センサの断面図である。
図34】第20実施形態に係る土壌センサの平面図である。
図35図34のXXXV-XXXV断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0019】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態について図を参照して説明する。本実施形態に係る土壌センサは、土壌に関する物理量を検出するセンサである。土壌は、作物を育てるための土台であり、土、砂、粘土等を含む。
【0020】
図1に示されるように、土壌センサ100は、台座110、第1検出部120、第2検出部130、第3検出部140、第4検出部150、第5検出部160、及び回路部170を含む。
【0021】
台座110は、各検出部120~160が設置される部品である。台座110は、例えば、一面111を有するプリント基板である。台座110は、フレキシブル基板でも良い。台座110は、例えば直方体状である。台座110は、例えば、一端の側が円弧状に成形されている。台座110は、他端の側が回路部170に一体化される。あるいは、台座110は、他端の側が回路部170に収容される。台座110と回路部170とが並べられた方向を配置方向と定義すると、台座110は配置方向に沿った形状である。
【0022】
第1検出部120は、土壌に含まれる水分量及び土壌の電気伝導度を測定するための部品である。水分量は、土壌に含まれる水の割合である。換言すると、水分量は、土壌に含まれる水の体積含有率である。水分量は、例えば、%の単位で表される。電気伝導度は、土壌の塩分濃度に対応する物理量である。
【0023】
第1検出部120は、第1信号ライン121及び第1GNDライン122を有する。第1信号ライン121及び第1GNDライン122は、台座110の一面111に配置される。第1信号ライン121及び第1GNDライン122は、Cu等の金属配線である。
【0024】
第1信号ライン121は、台座110の一面111のうちの外縁部に配置された配線パターンである。第1信号ライン121は、一端部121A及び他端部121Bが台座110の一面111のうちの他端の側に位置するように、台座110の一面111の外形に沿って配置される。
【0025】
具体的には、第1信号ライン121は、台座110の一面111に投影された配線パターンが環状の配線パターンである。本実施形態では、第1信号ライン121は、台座110の一面111に配置されるので、台座110の一面111に投影された第1信号ライン121の配線パターンと、第1信号ライン121の実際の配線パターンと、は同一視できる。台座110の一面111に投影された第1信号ライン121の配線パターンは、第1直線部121C、第2直線部121D、及び接続部121Eを有する。第2直線部121Dは、第1直線部121Cと並列に配置される。本実施形態では、第1直線部121Cと第2直線部121Dとは、平行に配置される。なお、第2直線部121Dは、第1直線部121Cと平行に配置されるだけでなく、第1直線部121Cに対して多少傾斜していても良い。第1直線部121Cのうちの接続部121Eの側とは反対側は、第1信号ライン121の一端部121Aに対応する。第2直線部121Dのうちの接続部121Eの側とは反対側は、第1信号ライン121の他端部121Bに対応する。接続部121Eは、台座110のうちの一端の側の外形に合わせて円弧状に配置される。第1信号ライン121の一端部121A及び他端部121Bは、回路部170に電気的に接続される。
【0026】
第1GNDライン122は、台座110の一面111のうちの第1信号ライン121の内側に配置された配線パターンである。すなわち、台座110の一面111に投影された第1GNDライン122の配線パターンが、台座110の一面111に投影された第1信号ライン121で囲まれた領域に配置される。囲まれた領域とは、台座110の一面111において、第1信号ライン121の一端部121Aに対応する部分と他端部121Bに対応する部分とを仮想線で接続したときに一周囲まれる領域である。本実施形態では、第1GNDライン122は、台座110の一面111に配置されるので、台座110の一面111に投影された第1GNDライン122の配線パターンと、第1GNDライン122の実際の配線パターンと、は同一視できる。第1GNDライン122は、第1信号ライン121に対して第1の間隔を持って配置される。
【0027】
第1GNDライン122は、一端部122A及び他端部122Bが台座110の一面111のうちの他端の側に位置するように、第1信号ライン121に沿って環状に配置される。つまり、第1GNDライン122は第1信号ライン121と同じ形状の配線パターンである。第1の間隔は、第1信号ライン121及び第1GNDライン122のうちの全ての場所で一定値である必要はない。第1GNDライン122の一端部122A及び他端部122Bは、回路部170に電気的に接続される。
【0028】
図2に示されるように、第1信号ライン121及び第1GNDライン122は、絶縁膜112に覆われている。絶縁膜112は、第1信号ライン121及び第1GNDライン122を腐食から保護するための保護膜である。なお、図1では、絶縁膜112を省略している。
【0029】
第2検出部130は、土壌の水ポテンシャルを測定するための部品である。水ポテンシャルは、土壌に含まれる水の圧力に対応する物理量である。水ポテンシャルは、例えば、Paの単位で表される。第2検出部130は、第1GNDライン122の内側に配置される。すなわち、第2検出部130は、台座110の一面111に投影された第1GNDライン122の配線パターンで囲まれた領域に配置される。
【0030】
図1に示されるように、第2検出部130は、第2信号ライン131、第2GNDライン132、及びセラミックス133を有する。第2信号ライン131及び第2GNDライン132は、台座110の一面111に配置される。第2信号ライン131及び第2GNDライン132は、Cu等の金属配線である。
【0031】
第2信号ライン131及び第2GNDライン132は、台座110の一面111のうちの他端の側から一端の側に直線状に配置された配線パターンである。すなわち、第2信号ライン131は、一端部131Aが台座110の一面111のうちの一端の側に位置すると共に、他端部131Bが台座110の一面111のうちの他端の側に位置する。同様に、第2GNDライン132は、一端部132Aが台座110の一面111のうちの一端の側に位置すると共に、他端部132Bが台座110の一面111のうちの他端の側に位置する。第2信号ライン131の一端部131Aがセラミックス133に対する一方の電極である。
【0032】
第2GNDライン132の一端部132Aは、第2信号ライン131の一端部131Aに対して第2の間隔を持って配置されると共に、第2信号ライン131の一端部131Aを囲むパターンである。例えば、第2信号ライン131の一端部131Aは、円環状の配線パターンである。また、第2GNDライン132の一端部132Aは、第2GNDライン132の一端部132Aに接触しないように第2信号ライン131の一端部131Aを囲む円環状のパターンである。図2に示されるように、第2信号ライン131及び第2GNDライン132は、絶縁膜112に覆われている。第2GNDライン132の一端部132Aがセラミックス133に対する他方の電極である。
【0033】
セラミックス133は、第2信号ライン131の一端部131A及び第2GNDライン132の一端部132Aの上方に配置される。具体的には、セラミックス133は、絶縁膜112の上に配置されることで、第2信号ライン131の一端部131A及び第2GNDライン132の一端部132Aの上方に位置する。
【0034】
セラミックス133として、例えば、コージライトやアルミナを採用することができる。コージライトの誘電率は4、アルミナの誘電率は9.6である。セラミックス133は、第2信号ライン131の一端部131A及び第2GNDライン132の一端部132Aの配線パターンに合わせて、円柱状の形状である。なお、例えば、第2信号ライン131の一端部131A及び第2GNDライン132の一端部132Aの配線パターンが四角環状の場合、セラミックス133は直方体状の形状である。
【0035】
図1に示されるように、第3検出部140は、土壌の温度を測定するための部品である。第3検出部140は、台座110の一面111のうちの一面111に投影された第1GNDライン122の内側に配置されると共に、第2検出部130が配置されていない領域に配置される。
【0036】
第3検出部140は、第3信号ライン141、第3GNDライン142、及びサーミスタ143を有する。第3信号ライン141及び第3GNDライン142は、Cu等の金属配線である。第3信号ライン141及び第3GNDライン142は、絶縁膜112に覆われていると共に、回路部170に電気的に接続される。
【0037】
第3信号ライン141及び第3GNDライン142は、台座110の一面111のうちの他端の側から一端の側に直線状に配置された配線パターンである。第3GNDライン142は、第1GNDライン122の隣に配置される。第3信号ライン141は、第3GNDライン142のうちの第1GNDライン122の側とは反対側に配置される。つまり、第3信号ライン141は、第3GNDライン142と第2信号ライン131との間に配置される。
【0038】
サーミスタ143は、土壌の温度を検出するための素子である。サーミスタ143は、絶縁膜112の上に配置される。サーミスタ143は、絶縁膜112に形成された図示しない開口部を介して第3信号ライン141及び第3GNDライン142に電気的に接続される。なお、温度検出素子として、熱電対を採用しても良い。
【0039】
第4検出部150は、土壌のpHを検出するための部品である。第4検出部150は、台座110の一面111のうちの一面111に投影された第1GNDライン122の内側に配置されると共に、第2検出部130及び第3検出部140が配置されていない領域に配置される。
【0040】
第4検出部150は、第4信号ライン151、第4GNDライン152、及び図示しない一対の電極を有する。第4信号ライン151及び第4GNDライン152は、Cu等の金属配線である。第4信号ライン151及び第4GNDライン152は、絶縁膜112に覆われていると共に、回路部170に電気的に接続される。
【0041】
第4信号ライン151及び第4GNDライン152は、台座110の一面111のうちの他端の側から一端の側に直線状に配置された配線パターンである。第4GNDライン152は、第2GNDライン132のうちの第2信号ライン131の側とは反対側に配置される。第4信号ライン151は、第4GNDライン152のうちの第2GNDライン132の側とは反対側に配置される。つまり、第4GNDライン152は、第2GNDライン132と第4信号ライン151との間に配置される。
【0042】
第4検出部150は、土壌に含まれる水が一対の電極のうちの一方の電極に付着することに伴う一対の電極の電位差を検出する。一対の電極は、例えば、ISFET電極及び比較電極である。
【0043】
第5検出部160は、土壌の酸化還元電位を検出するための部品である。酸化還元電位(Redox potentialもしくはOxidation-reduction Potential;ORP)は、土壌の酸化還元の程度を表す物理量である。酸化還元電位はEhと表される場合もある。酸化還元電位がプラスの場合、土壌に酸素が有る、すなわち土壌が酸化状態である。酸化還元電位がマイナスの場合、土壌に酸素が無い、すなわち土壌が還元状態である。
【0044】
なお、例えば、水田は湛水することで還元が進み、さらに有機物を分解する際に酸素が消費され還元がより一層進む。土壌還元消毒は、還元資材である米ぬかやふすまや糖蜜等の有機物を土壌に注入することで、土壌を酸素が無い状態にすることができると共に、病害虫を死滅させることができる。土壌に酸素が無い状態とは、酸欠状態、還元状態、酸化還元電位がマイナスの状態である。
【0045】
第5検出部160は、台座110の一面111のうちの一面111に投影された第1GNDライン122の内側に配置されると共に、第2検出部130、第3検出部140、及び第4検出部150が配置されていない領域に配置される。
【0046】
第5検出部160は、第5信号ライン161、第5GNDライン162、及び図示しない一対の電極を有する。第5信号ライン161及び第5GNDライン162は、Cu等の金属配線である。第5信号ライン161及び第5GNDライン162は、絶縁膜112に覆われていると共に、回路部170に電気的に接続される。
【0047】
第5信号ライン161及び第5GNDライン162は、台座110の一面111のうちの他端の側から一端の側に直線状に配置された配線パターンである。第5GNDライン162は、第1GNDライン122の隣に配置される。第5信号ライン161は、第5GNDライン162と第4信号ライン151との間に配置される。
【0048】
第5検出部160は、一対の電極として、検出電極及び参照電極を有する。第5検出部160は、土壌に含まれる水が検出電極に付着することに伴う検出電極と参照電極との電位差を検出する。
【0049】
回路部170は、各検出部120~160の検出結果に基づいて、土壌に含まれる水分量、土壌の水ポテンシャル、土壌の電気伝導度、土壌の温度、土壌のpH、及び土壌の酸化還元電位を取得する。
【0050】
回路部170は、各検出部120~160を制御するためのマイクロコンピュータやIC等の電子部品を有する。電子部品は、回路部170の専用のプリント基板に実装される。あるいは、電子部品は、台座110のうちの他端の側に実装される。すなわち、台座110は回路部170の一部を構成していても良い。
【0051】
以上が、本実施形態に係る土壌センサ100の全体構成である。なお、台座110のうちのセンシングに関係しない部分は、コーティング膜で覆われていても良い。これにより、コーティング膜で覆われた部分が保護される。あるいは、金属部分の腐食が抑制される。
【0052】
図3に示されるように、土壌センサ100は、土壌200に設けられた穴210の中に配置される。そして、土壌センサ100は、土壌200に埋められる。土壌センサ100は、回路部170に接続された配線180を有する。土壌センサ100は、配線180を介して電源の供給を受けたり、検出信号を出力したりする。
【0053】
また、土壌センサ100は、配置方向が重力方向に対して垂直に配置される。すなわち、台座110及び回路部170は、重力方向に垂直な方向に沿って配置される。なお、配置方向は重力方向に対して厳密に垂直に配置されなくても良い。土壌センサ100の姿勢が、重力方向に対して横向きであれば良い。
【0054】
これにより、雨が降った場合、図4に示されるように、土壌センサ100の台座110に雨が導かれやすくなる。これに対し、図5に示されるように、土壌センサ100の配置方向が重力方向に沿って配置された場合、すなわち土壌センサ100が重力方向に対して縦向きに配置された場合、雨は回路部170によって移動を止められる。
【0055】
次に、土壌200に含まれる水分量、土壌200の電気伝導度、土壌200の水ポテンシャル、土壌200の温度、土壌200のpH、及び土壌200の酸化還元電位の取得方法について説明する。
【0056】
第1検出部120及び回路部170は、例えば、時間領域透過法(Time Domain Transmission)に基づいて、土壌200に含まれる水分量を測定する。図6に示されるように、回路部170は、第1検出部120の第1信号ライン121の一端部121Aと第1GNDライン122の一端部122Aとの間に周波数信号を入力する。なお、図6では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0057】
周波数信号は、例えばパルス波である。周波数信号は、土壌200や土壌200に含まれる水を介することで伝搬時間の遅れが生じる。土壌200の誘電率は例えば±4であり、水の誘電率は例えば80である。図2に示されるように、第1信号ライン121と第1GNDライン122との間の誘電率変化が容量変化となり、周波数信号の伝搬時間が遅れる。図6に示されるように、回路部170は、周波数信号が第1信号ライン121の他端部121Bに到達する伝搬時間を測定する。
【0058】
具体的には、土壌200に含まれる水分量によって、水の比誘電率εrが決まる。水の比誘電率εrに応じて、第1検出部120の周辺の見かけの誘電率εaが決まる。光速をc、伝搬時間をtm、第1信号ライン121のパターン長をLpとすると、見かけの誘電率εaは、εa=(c×tm/Lp)と表される。伝搬時間を測定することで見かけの誘電率εaが得られる。また、見かけの誘電率εaから水の比誘電率εrが得られる。したがって、水の比誘電率εrから土壌200に含まれる水分量が得られる。
【0059】
第1検出部120及び回路部170は、第1信号ライン121の他端部121Bに到達する周波数信号の立ち上がりの傾きの大きさに基づいて、土壌200の電気伝導度を測定する。図6に示されるように、回路部170に到達する周波数信号の立ち上がりは、土壌200の電気伝導度に応じて傾斜する。また、回路部170に到達する周波数信号の振幅も、土壌200の電気伝導度に応じて変化する。
【0060】
電気伝導度が高い場合、回路部170に到達する周波数信号の立ち上がりの傾きが小さくなる。すなわち、周波数信号の振幅が最大になるまでの時間が長い。また、電気伝導度が高い場合、回路部170に到達する周波数信号の振幅が小さくなる。
【0061】
一方、電気伝導度が低い場合、回路部170に到達する周波数信号の立ち上がりの傾きが大きくなる。すなわち、周波数信号の振幅が最大になるまでの時間が短い。また、電気伝導度が低い場合、回路部170に到達する周波数信号の振幅が大きくなる。
【0062】
したがって、回路部170は、回路部170に到達する周波数信号の立ち上がりの傾きを土壌200の電気伝導度に換算する。あるいは、回路部170は、回路部170に到達する周波数信号の振幅を土壌200の電気伝導度に換算する。あるいは、回路部170は、回路部170に到達する周波数信号の立ち上がりの傾き及び最大振幅の両方を土壌200の電気伝導度に換算する。
【0063】
第2検出部130及び回路部170は、第2信号ライン131の一端部131Aと第2GNDライン132の一端部132Aとの間の静電容量を基づいて、土壌200の水ポテンシャルを測定する。第2検出部130は、土壌200からの水の吸収のしやすさ、すなわち水ポテンシャルをセラミックス133で代用している。土壌200に含まれる水がセラミックス133に水が入ることで、誘電率が変化する。これにより、図2に示されるように、第2信号ライン131と第2GNDライン132との間の静電容量が変化する。
【0064】
具体的には、土壌200の水ポテンシャルに応じて、セラミックス133の中に水が入ったときの吸水率が決まる。これに伴い、セラミックス133の中に水が入ったときの比誘電率εrが決まるので、比誘電率εrに対応した静電容量が決まる。したがって、静電容量を水ポテンシャルに換算することで土壌200の水ポテンシャルが得られる。例えば、水ポテンシャルをφとし、静電容量をpFとした場合、静電容量pFはpF=log10(-10.2×φ)となり、水ポテンシャルφはφ=10pF/(-10.2)となる。
【0065】
第3検出部140及び回路部170は、サーミスタ143によって土壌200の温度を測定する。回路部170は、サーミスタの検出結果に基づいて、土壌200の温度を取得する。
【0066】
第4検出部150及び回路部170は、一対の電極の電位差に基づいて、土壌200のpHを測定する。例えば、半導体電極式では、一対の電極としてISFET電極等の半導体素子が含まれる。回路部170は、ISFET電極と比較電極との間に発生する電位差をインピーダンス変換することでpHに換算する。なお、ガラス電極式や金属電極式を採用しても良い。
【0067】
第5検出部160及び回路部170は、検出電極と参照電極との電位差に基づいて、土壌200の酸化還元電位を測定する。検出電極は、例えば白金電極である。回路部170は、白金電極を基準とした比較電極の電圧を土壌200の酸化還元電位として取得する。
【0068】
例えば、+200mVを酸化=還元とすると、+400mV~+700mVが酸化の状態となり、-250mV~-300mVが還元の状態となる。乾田は、例えば+600mVの酸化の状態である。
【0069】
回路部170は、上記各物理量を外部装置に出力する。土壌センサ100によって得られるデータは、灌水システムや肥料散布等に利用される。灌水システムでは、水分量、水ポテンシャル、温度の情報から、水やり量が調整される。肥料散布では、電気伝導度、pH、酸化還元電位の情報から、肥料の量や成分が調整される。
【0070】
以上説明したように、本実施形態では、第2~第5検出部130~160は、第1検出部120の第1GNDライン122の内側に配置される。すなわち、第2~第5検出部130~160は、第1検出部120の第1信号ライン121及び第1GNDライン122によって広がる電界の領域を回避して配置される。また、第1GNDライン122と第2GNDライン132とが隣同士に配置される。同様に、第1GNDライン122と第3GNDライン142とが隣同士に配置される。第2GNDライン132と第4GNDライン152とが隣同士に配置される。さらに、第1GNDライン122と第5GNDライン162とが隣同士に配置される。このため、各検出部120~160の間に不要な静電容量は発生しない。したがって、各検出部120~160が互い影響を及ぼすことを抑制することができる。
【0071】
水ポテンシャルは根の水の吸収のしやすさを表し、電気伝導度は土壌200の塩分濃度を表す。土壌センサ100は水ポテンシャル及び電気伝導度を測定することができるので、土壌センサ100は土壌200の液肥の成分や分量のフィードバック制御に適している。
【0072】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、台座110の一面111が特許請求の範囲の「設置面」に対応する。
【0073】
(第2実施形態)
本実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。図7及び図8に示されるように、台座110は、一面111とは反対側の他面113を有する。そして、第1検出部120は、台座110のうちの一面111の側と、台座110のうちの他面113の側と、の両側に配置される。台座110の他面113に配置された第1信号ライン121及び第1GNDライン122も絶縁膜112に覆われている。各検出部120~160は、台座110の一面111だけでなく、他面113にも設置される。なお、図8では、第2~第5検出部130~160を省略している。
【0074】
上記の構成によると、第1検出部120及び第2検出部130の配線パターンの配置密度を高めることができる。すなわち、台座110の一面111及び他面113の範囲内でより長い配線パターンを形成することができるので、第1検出部120及び第2検出部130の感度向上や土壌センサ100の小型化が可能になる。
【0075】
さらに、第1検出部120の第1信号ライン121と第1GNDライン122とが近接するので、電界が土壌200に滲み出しやすくなる。したがって、感度を一層向上することができる。
【0076】
なお、本実施形態の記載と特許請求の範囲の記載との対応関係については、台座110の他面113が特許請求の範囲の「設置面」に対応する。
【0077】
(第3実施形態)
本実施形態では、主に第1、第2実施形態と異なる部分について説明する。図9に示されるように、第1検出部120の接続部121Eは、第1直線部121Cのうちの第1信号ライン121の一端部121Aに対応する配線パターン及び第2直線部121Dのうちの第1信号ライン121の他端部121Bに対応する配線パターンの側に折り畳まれた配線パターンである。なお、図9では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0078】
第1GNDライン122は、第1信号ライン121と第1の間隔を持っている。よって、第1GNDライン122のうちの接続部121Eに対応する部分も、第1GNDライン122の一端部122A及び第1GNDライン122の他端部122Bの側に折り畳まれた配線パターンである。
【0079】
例えば、吸水した土壌200は誘電率が高くなる。このため、台座110と土壌200との誘電率の差が大きくなる。よって、図10に示されるように、台座110と土壌200との界面で電界114の全反射が起こる。すなわち、電界114が土壌200を通らないので、土壌200の誘電率変化に対する感度が低くなる。
【0080】
これに対し、上記のように、接続部121Eが折り畳まれた配線パターンの場合、接続部121Eが折り畳まれた配線パターンの密度は、接続部121Eが折り畳まれない配線パターンの密度よりも高くなる。このため、台座110と土壌200との界面に対する電界の入射角が大きくなるので、図11に示されるように、台座110と土壌200との界面で電界114の全反射が起こらなくなる。したがって、第1検出部120の感度を向上させることができる。
【0081】
変形例として、接続部121Eの折り畳みは、1回ではなく複数回でも構わない。この場合、接続部121Eは蛇腹状の配線パターンとなる。
【0082】
(第4実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図12に示されるように、第1信号ライン121の第2直線部121Dは、蛇腹状の配線パターン部121Fを有する。蛇腹状とは、波形状あるいは繰り返し形状である。なお、図12では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0083】
第1GNDライン122は、第1信号ライン121と第1の間隔を持った配線パターンであるので、第1信号ライン121の第2直線部121Dに対応する部分が蛇腹状である。上記の構成によると、第1検出部120の配線パターンの密度を高くすることができるので、第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0084】
変形例として、第1直線部121Cが蛇腹状の配線パターン部を有していても良い。すなわち、第1直線部121C及び第2直線部121Dのうちのいずれか一方が、蛇腹部分を有する。
【0085】
変形例として、第1直線部121C及び第2直線部121Dのうちのいずれか一方が蛇腹状の配線パターン部を有すると共に、接続部121Eが折り畳まれた配線パターンを有していても良い。
【0086】
(第5実施形態)
本実施形態では、主に第4実施形態と異なる部分について説明する。図13に示されるように、第1信号ライン121の第1直線部121Cは、蛇腹状の第1配線パターン部121Gを有する。また、第1信号ライン121の第2直線部121Dは、蛇腹状の第2配線パターン部121Fを有する。なお、図13では、第3~第5検出部140~160を省略している。第1GNDライン122は、第1信号ライン121の各直線部121C、121Dに対応する部分がそれぞれ蛇腹状の配線パターンである。上記の構成によると、第3実施形態と同様の効果が得られる。
【0087】
変形例として、第1直線部121C及び第2直線部121Dの両方が蛇腹状の配線パターン部を有すると共に、接続部121Eが折り畳まれた配線パターンを有していても良い。
【0088】
(第6実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図14に示されるように、土壌センサ100は、回路部170が台座110よりも重力方向の上側に位置するように配置される。すなわち、配置方向と重力方向とが平行になっている。配置方向は重力方向に平行に配置されるだけでなく、重力方向に対して多少傾斜していても良い。
【0089】
例えば、土壌200が培養土の場合、肥料や水が一定の割合で混ざっている。培養土とは、植物を栽培するために、腐葉土、砂、ピートモス、バーミキュライト、石灰等の他、肥料を一定の割合で混ぜ合わせた土である。このため、図14に示されるように、土壌センサ100を土壌200の中に縦向きに配置することも可能である。
【0090】
(第7実施形態)
本実施形態では、主に第1実施形態と異なる部分について説明する。図15に示されるように、土壌センサ100は、各検出部120~160を複数有する。具体的には、土壌センサ100は、台座110を複数有する。複数の台座110は、重力方向において異なる位置の電気伝導度や水ポテンシャル等の各物理量を取得するために、重力方向に並べられる。そして、各検出部120~160は、各台座110の一面111にそれぞれ設置される。
【0091】
土壌センサ100は、配置方向が重力方向に垂直な方向に向くように、土壌200に配置される。これにより、土壌200の深さ方向について各物理量を測定することができる。なお、土壌センサ100は、配置方向が重力方向に沿うように、土壌200に配置されても構わない。
【0092】
変形例として、図16に示されるように、各検出部120~160は、1つの台座110の一面111にそれぞれ設置されても構わない。
【0093】
変形例として、各検出部120~160は、全てが重力方向において異なる位置に配置されなくても良い。すなわち、各検出部120~160は、一部が重力方向において異なる位置に配置されても構わない。例えば、第1検出部120のみが重力方向において異なる位置に配置されていても良いし、第2検出部130のみが重力方向において異なる位置に配置されていても良い。
【0094】
(第8実施形態)
本実施形態では、主に第7実施形態と異なる部分について説明する。図17及び図18に示されるように、本実施形態では、土壌センサ100は、回路部170が重力方向の上側に配置される。なお、図17では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0095】
また、台座110は、配置方向に長さが異なる第1台座115及び第2台座116を有する。第1台座115は、配置方向の長さがaである。第2台座116は、配置方向の長さがaよりも大きいbである。第1台座115が第2台座116に重ねられると共に一体化されることで、第2台座116のうちの一端の側の一部が露出する。
【0096】
上記の構成によると、第2台座116のうちの先端部分、すなわち第2台座116のうちのb-aの部分に対応する深さの各物理量を測定することができる。なお、土壌センサ100は、配置方向が重力方向に垂直な方向に向くように、土壌200に配置されても構わない。
【0097】
変形例として、図19及び図20に示されるように、台座110は、さらに、配置方向の長さがbよりも大きいcの第3台座117を有していても良い。第2台座116が第3台座117に重ねられると共に一体化される。これにより、第2台座116の先端部分だけでなく、第3台座117の先端部分、すなわちc-bの部分に対応する深さの各物理量を測定することができる。
【0098】
変形例として、図21に示されるように、台座110は1つであっても構わない。各検出部120~160は、台座110の一面111において配置方向に2段に配置される。あるいは、図22に示されるように、各検出部120~160は、台座110の一面111において配置方向に3段に配置されても構わない。なお、図21及び図22では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0099】
(第9実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図23に示されるように、台座110は、基板状のものではなく、球体として構成される。球体の表面が一面111に対応する。球体は、例えば樹脂のボールである。
【0100】
各検出部120~160は、球体の表面に配置される。各検出部120~160の配線パターンは、例えば球体の表面に印刷される。なお、図23では、第2~第5検出部130~160を省略している。
【0101】
上記の構成によると、第1検出部120の配線パターンを球体に何周も形成することができる。このため、第1検出部120の配線パターンを長くすることができる。したがって、第1検出部120の感度を向上させることができる。
【0102】
変形例として、台座110は、完全な球体ではなく、楕円体のように、多少変形した形状でも構わない。
【0103】
(第10実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図24に示されるように、セラミックス133は、表面134、裏面135、及び側面136を有する。セラミックス133は、裏面135が第2信号ライン131の一端部131A及び第2GNDライン132の一端部132Aの側に配置される。すなわち、セラミックス133の裏面135が絶縁膜112に接触する。なお、図24では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0104】
また、第2検出部130は、金属体137を有する。金属体137は、セラミックス133の表面134の全体に配置される。金属体137は、例えば、アルミニウムやステンレス等の耐食性の良い金属材料によって構成される。金属体137は、単層で構成されていても良いし、複数層で構成されていても良い。金属体137が複数層の場合は、同じ金属材料が複数層に形成されていても良いし、異なる金属材料が複数層に形成されていても良い。
【0105】
金属体137は、セラミックス133の側面136に配置された図示しない第2GNDライン132の一部に接続される。これにより、金属体137は、第2GNDライン132に電気的に接続される。金属体137は、セラミックス133に対する他方の電極である。
【0106】
以上の構成によると、台座110の一面111に位置する第2信号ライン131の一端部131Aと金属体137との間にも静電容量が発生する。水ポテンシャルを測定するために必要な静電容量Cは、面積をS、電極の距離をdとすると、C=ε×(S/d)で表される。このため、電極の面積が金属体137の分だけ大きくなるので、得られる静電容量が大きくなる。したがって、第2検出部130の感度を向上させることができる。
【0107】
変形例として、金属体137は、セラミックス133の表面134のうちの少なくとも一部に配置されていれば良い。
【0108】
(第11実施形態)
本実施形態では、主に第10実施形態と異なる部分について説明する。図25に示されるように、第2検出部130は、金属体138を有する。金属体138は、セラミックス133の表面134の全体に配置される。なお、図25では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0109】
金属体138は、セラミックス133の側面136に配置された図示しない第2信号ライン131の一部に接続される。これにより、金属体138は、第2信号ライン131に電気的に接続される。金属体138は、セラミックス133に対する一方の電極である。
【0110】
以上の構成によると、第10実施形態と同様に、電極の面積が金属体138の分だけ大きくなるので、得られる静電容量が大きくなる。したがって、第2検出部130の感度を向上させることができる。
【0111】
変形例として、金属体138は、セラミックス133の表面134のうちの少なくとも一部に配置されていれば良い。
【0112】
(第12実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図26に示されるように、第2信号ライン131の一端部131Aは、台座110の一面111に配置される。第2信号ライン131の一端部131Aは、平面形状が例えば円形である。なお、図26では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0113】
セラミックス133は、裏面135が第2信号ライン131の一端部131Aの上方に位置するように配置される。すなわち、セラミックス133は、裏面135が第2信号ライン131の一端部131Aの側に配置される。
【0114】
第2GNDライン132の一端部132Aは、セラミックス133の表面134の全体に配置される。第2GNDライン132の一端部132Aは、セラミックス133の側面136に配置された第2GNDライン132の一部に電気的に接続される。
【0115】
以上の構成によると、第2信号ライン131の一端部131A及び第2GNDライン132の一端部132Aの電極の面積が第1実施形態の場合よりも大きくなるので、得られる静電容量が大きくなる。したがって、第2検出部130の感度を向上させることができる。
【0116】
変形例として、第2信号ライン131の一端部131Aは、平面形状が楕円形や多角形でも良い。また、第2GNDライン132の一端部132Aは、セラミックス133の表面134のうちの少なくとも一部に配置されていれば良い。
【0117】
変形例として、第2GNDライン132は、第1検出部120の第1GNDライン122に接続されていても良い。これにより、第2GNDライン132は、第1GNDライン122に共通化される。
【0118】
(第13実施形態)
本実施形態では、主に第12実施形態と異なる部分について説明する。図27に示されるように、第2GNDライン132の一端部132Aは、台座110の一面111に配置される。第2GNDライン132の一端部132Aは、平面形状が例えば円形である。なお、図27では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0119】
セラミックス133は、裏面135が第2GNDライン132の一端部132Aの上方に位置するように配置される。すなわち、セラミックス133は、裏面135が第2GNDライン132の一端部132Aの側に配置される。
【0120】
第2信号ライン131の一端部131Aは、セラミックス133の表面134の全体に配置される。第2信号ライン131の一端部131Aは、セラミックス133の側面136に配置された第2信号ライン131の一部に電気的に接続される。
【0121】
以上の構成によると、第12実施形態と同様に、得られる静電容量が大きくなる。したがって、第2検出部130の感度を向上させることができる。
【0122】
変形例として、第2GNDライン132の一端部132Aは、平面形状が楕円形や多角形でも良い。また、第2信号ライン131の一端部131Aは、セラミックス133の表面134のうちの少なくとも一部に配置されていれば良い。
【0123】
(第14実施形態)
本実施形態では、主に第12実施形態と異なる部分について説明する。第2信号ライン131の一端部131Aは、平面形状が例えば円環形状である。図28に示されるように、第2GNDライン132の一端部132Aは、セラミックス133の側面136の全体に配置される。なお、図28では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0124】
以上の構成によると、セラミックス133の側面136に位置する第2GNDライン132の一端部132Aと、台座110の一面111に位置する第2信号ライン131の一端部131Aと、の間に静電容量が発生する。第2GNDライン132の一端部132Aは、セラミックス133の側面136の全体に配置されているので、得られる静電容量が大きくなる。したがって、第2検出部130の感度を向上させることができる。
【0125】
変形例として、第2信号ライン131の一端部131Aは、平面形状が楕円環形状や多角環形状でも良い。また、第2GNDライン132の一端部132Aは、セラミックス133の側面136のうちの少なくとも一部に配置されていれば良い。
【0126】
(第15実施形態)
本実施形態では、主に第13実施形態と異なる部分について説明する。第2GNDライン132の一端部132Aは、平面形状が例えば円環形状である。図29に示されるように、第2信号ライン131の一端部131Aは、セラミックス133の側面136の全体に配置される。なお、図29では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0127】
以上の構成によると、第14実施形態と同様に、得られる静電容量が大きくなる。したがって、第2検出部130の感度を向上させることができる。
【0128】
変形例として、第2GNDライン132の一端部132Aは、平面形状が楕円環形状や多角環形状でも良い。また、第2信号ライン131の一端部131Aは、セラミックス133の側面136のうちの少なくとも一部に配置されていれば良い。
【0129】
(第16実施形態)
本実施形態では、主に第14実施形態と異なる部分について説明する。図30に示されるように、第2GNDライン132の一端部132Aは、セラミックス133の表面134及び側面136に配置される。第2GNDライン132の一端部132Aは、土壌200の水分をセラミックス133に染み込ませるための貫通孔132Cを有する。なお、図30では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0130】
以上の構成によると、第14実施形態と同様に、得られる静電容量が大きくなる。したがって、第2検出部130の感度を向上させることができる。
【0131】
(第17実施形態)
本実施形態では、主に第15実施形態と異なる部分について説明する。図31に示されるように、第2信号ライン131の一端部131Aは、セラミックス133の表面134及び側面136に配置される。第2信号ライン131の一端部131Aは、は、土壌200の水分をセラミックス133に染み込ませるための貫通孔131Cを有する。なお、図31では、第3~第5検出部140~160を省略している。
【0132】
以上の構成によると、第15実施形態と同様に、得られる静電容量が大きくなる。したがって、第2検出部130の感度を向上させることができる。
【0133】
(第18実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図32に示されるように、第1信号ライン121及び第1GNDライン122は、台座110の一面111及び他面113だけでなく、台座110の内部にも設置されている。なお、図32では、第2~第5検出部130~160を省略している。
【0134】
第1信号ライン121は、一端部121Aと他端部121Bとの間が複数に分岐した複数の分岐パターンを有する。例えば、第1信号ライン121は、一端部121Aと他端部121Bとの間に並列接続された4本の分岐パターンを有する。そして、4本の分岐パターンは、台座110の一面111に沿って延びると共に、台座110の一面111を基準とした厚み方向における位置が異なる。すなわち、4本の分岐パターンは、階層状の配線パターンである。つまり、第1信号ライン121は、4層の配線パターンである。
【0135】
第1GNDライン122も同様に、台座110の一面111に沿って延びると共に、台座110の一面111を基準とした厚み方向における位置が異なる4本の分岐パターンを有する。第1GNDライン122の各分岐パターンと第1信号ライン121の各分岐パターンはそれぞれ同じ階層に配置される。
【0136】
台座110は、例えば積層基板である。これにより、第1信号ライン121の各分岐パターン及び第1GNDライン122の各分岐パターンは、積層基板に形成されたビアを介して厚み方向に分散される。そして、第1信号ライン121の各分岐パターンは、一端部121Aと他端部121Bとに集約される。同様に、第1GNDライン122の各分岐パターンは、一端部122Aと他端部122Bとに集約される。
【0137】
以上の構成によると、第1信号ライン121の各分岐パターン及び第1GNDライン122の各分岐パターンの分だけ電界強度が大きくなる。よって、第1検出部120の感度を向上させることができる。
【0138】
変形例として、第1信号ライン121及び第1GNDライン122は、台座110の他面113の側に配置されなくても良い。すなわち、第1信号ライン121及び第1GNDライン122は、台座110の一面111及び台座110の内部に配置される構成でも良い。
【0139】
変形例として、第1信号ライン121の各分岐パターン及び第1GNDライン122の各分岐パターンは4層に限られず、3層以上であれば良い。例えば、第1信号ライン121の各分岐パターン及び第1GNDライン122の各分岐パターンは、6層、8層、10層、12層のいずれかとすることができる。
【0140】
(第19実施形態)
本実施形態では、第18実施形態と異なる部分について説明する。図33に示されるように、第1信号ライン121及び第1GNDライン122は、台座110の一面111に垂直な厚み方向において、台座110の一面111を基準として配置される深さが異なる。本実施形態では、第1信号ライン121が台座110の一面111及び他面113に配置される。一方、第1GNDライン122は、台座110の内部に配置される。なお、図33では、第2~第5検出部130~160を省略している。
【0141】
以上の構成によると、台座110の厚み方向に電界強度を大きくすることができる。よって、第1検出部120の感度を向上させることができる。
【0142】
変形例として、第1GNDライン122が台座110の一面111及び他面113に配置される一方、第1信号ライン121が台座110の内部に配置されても構わない。
【0143】
変形例として、第1信号ライン121が台座110の内部に配置され、第1GNDライン122が台座110の一面111に配置され、第1信号ライン121が台座110の他面113に配置され、第1GNDライン122が台座110の内部に配置されても良い。
【0144】
変形例として、第1信号ライン121が台座110の一面111に配置され、第1GNDライン122が台座110の内部に配置され、第1信号ライン121が台座110の内部に配置され、第1GNDライン122が台座110の他面113に配置されても良い。
【0145】
変形例として、第1信号ライン121及び第1GNDライン122は、全体が台座110の内部に配置されていても良い。
【0146】
(第20実施形態)
本実施形態では、主に上記各実施形態と異なる部分について説明する。図34及び図35に示されるように、第1信号ライン121は、台座110の一面111に垂直な厚み方向に振幅が変化する波状の配線パターンである。なお、図34及び図35では、第2~第5検出部130~160を省略している。
【0147】
第1信号ライン121は、例えば、台座110の内部に形成された4層の断続的な配線パターンがビア等で厚み方向に電気的に接続されることで構成される。台座110の一面111の側の第1信号ライン121は、台座110の一面111の側の2層がビア等で厚み方向に電気的に接続される。台座110の他面113の側の第1信号ライン121は、台座110の他面113の側の2層がビア等で厚み方向に電気的に接続される。第1GNDライン122も、第1信号ライン121と同様の波状の配線パターンである。
【0148】
上記の構成によると、第1信号ライン121及び第1GNDライン122を長くすることができる。よって、第2実施形態と同様に、第1検出部120の感度を向上させることができる。
【0149】
もちろん、他の実施形態とも組み合わされる。例えば、図9に示された台座110の一面111において折り畳まれた配線パターンにおいて、配線パターンは台座110の厚み方向に振幅が変化する波状にも形成される。同様に、本実施形態に係る配線パターンは、図12図33に示された各配線パターンにも適用できる。
【0150】
変形例として、第1信号ライン121の一部は、台座110の一面111及び他面113に配置されていても良い。同様に、第1信号ライン121の一部は、台座110の一面111及び他面113に配置されていても良い。
【0151】
変形例として、第1信号ライン121及び第1GNDライン122は、台座110の他面113の側に配置されなくても良い。また、第1信号ライン121及び第1GNDライン122が、複数の階層に配置される場合、各分岐パターンが厚み方向に振幅が変化する波状の配線パターンである。
【0152】
(他の実施形態)
上記各実施形態で示された土壌センサ100の構成は一例であり、上記で示した構成に限定されることなく、本発明を実現できる他の構成とすることもできる。例えば、上記各実施形態を適宜組み合わせることが可能である。なお、台座110の一面111及び他面113に配線パターンを形成する場合、一面111の配線パターンと他面113の配線パターンとが同じであることが望ましい。
【0153】
また、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度及び水ポテンシャルを測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、及び水分量を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、水分量、及び温度を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、水分量、温度、及びpHを測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、水分量、温度、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、水分量、pH、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、水分量、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、及び温度を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、温度、pH、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、温度、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、及びpHを測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、pH、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水ポテンシャル、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。
【0154】
一方、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度及び水分量を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、及び水ポテンシャルを測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、水ポテンシャル、及び温度を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、水ポテンシャル、温度、及びpHを測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、水ポテンシャル、温度、pH、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、水ポテンシャル、温度、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、水ポテンシャル、pH、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、水ポテンシャル、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、及び温度を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、温度、pH、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、温度、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、及びpHを測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、pH、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。あるいは、土壌センサ100は、各物理量のうちの電気伝導度、水分量、及び酸化還元電位を測定する構成でも良い。
【0155】
さらに、土壌センサ100は、各物理量のうちの水ポテンシャル及び水分量を測定する構成でも良い。もちろん、上記と同様に、土壌センサ100は、水ポテンシャル及び水分量を測定する構成を基礎として、電気伝導度、温度、pH、及び酸化還元電位を測定する各構成を適宜組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0156】
110 台座
111 一面(設置面)
120、130 検出部
121、131 信号ライン
121A、131A 信号ラインの一端部
121B 第1信号ラインの他端部
122、132 GNDライン
122A、132A GNDラインの一端部
133 セラミックス
170 回路部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
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図17
図18
図19
図20
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図22
図23
図24
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図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35