IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日本電気株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-情報処理システム 図1
  • 特許-情報処理システム 図2
  • 特許-情報処理システム 図3
  • 特許-情報処理システム 図4
  • 特許-情報処理システム 図5
  • 特許-情報処理システム 図6
  • 特許-情報処理システム 図7
  • 特許-情報処理システム 図8
  • 特許-情報処理システム 図9
  • 特許-情報処理システム 図10
  • 特許-情報処理システム 図11
  • 特許-情報処理システム 図12
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 25/10 20060101AFI20231205BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20231205BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20231205BHJP
   G08B 17/00 20060101ALI20231205BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20231205BHJP
   H04M 11/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G08B25/10 D
G01C21/26 P
G01C21/34
G08B17/00 B
G08B17/00 L
G08G1/005
H04M11/00 302
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021190895
(22)【出願日】2021-11-25
(62)【分割の表示】P 2018006434の分割
【原出願日】2018-01-18
(65)【公開番号】P2022033823
(43)【公開日】2022-03-02
【審査請求日】2021-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 嵩史
【審査官】田畑 利幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-105774(JP,A)
【文献】特開2003-228781(JP,A)
【文献】特開2016-173755(JP,A)
【文献】特開2004-015336(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0042319(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00-17/12
G08B 19/00-31/00
H04M 1/00
H04M 1/72- 1/72516
H04M 11/00-11/10
H04W 4/00-99/00
G01C 21/34
G01C 21/26
G08G 1/005
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末の各々から前記端末の位置情報を受信する制御手段と、
指令者による選択であって、選択可能な複数の人物から、指示を行う対象人物の選択を
受け付ける選択手段と、
選択された前記対象人物の前記端末に対して目的地の地図情報を含む通知を送信する通
知手段と、
前記複数の端末の前記位置情報を地図上に出力する出力手段と、
を備え
前記制御手段は、前記対象人物の前記端末から前記目的地へ向かうことが可能であるこ
とを示す応答を受け付け、
前記制御手段は、前記応答として、前記端末の前記位置情報を含む情報を受信する
情報処理システム。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記対象人物の前記端末から受信した前記位置情報を、前記対象人物の活動を指示する
本部に表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記制御手段は、一定時間ごとに前記対象人物の前記端末より前記位置情報を受信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信装置、通信方法、およびプログラムに関し、例えば、指令センターの通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信システムの中には、指令センターから現場(人間および機械を含む)へ、一元的に指令を行うものがある。そのような通信システムの一例が、特許文献1に開示されている。特許文献1に開示されたシステムでは、指令センターから、隊員(医療応答者)の端末へ、ネットワークを介して、傷病者の救護を依頼することが開示されている。
【0003】
図12を参照して、関連する消防システムの構成を説明する。図12は、関連する消防システム9の構成の一例を示す概略図である。関連する消防システム9は、通報者の端末5と、消防指令センターの通信指令装置1000と、隊員(消防団員、消防職員)の端末2000と、現場指揮本部の端末3000とを含む。
【0004】
図12に示すように、関連する消防システム9において、救急(災害)発生時、通報者は、端末5を使用して消防指令センターに通報する。通報者の端末5から救急の通報を受電したとき、消防指令センターの受信者は、通報者から災害現場の住所、通報者の名前、災害の規模、および傷病者の有無などを聞きだす。その後、受信者は、消防指令センターの通信指令装置1000を操作し、災害現場の状況を表す事案情報を登録する。さらに、消防指令センターの受信者または指令者は、出動する車両の種類および数を決定してもよい。
【0005】
通信指令装置1000は、災害現場の近傍にある消防署に対して、出動指令を行う。通信指令装置1000から出動指令を受けた消防署は、現場指揮本部を形成する。現場指揮本部は、端末3000(無線機など)を用いて、現場活動を行う隊員(消防団員および消防職員など)の端末2000に連絡を取り、隊員に目的地を伝達するとともに、行動を指示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特表2013-511222号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12に示す関連する消防システム9において、消防指令センターは、隊員と通信する手段を持たないため、各隊員の位置を管理することができない。そのため、消防指令センターは、各隊員を目的地まで誘導したり、隊員同士の連携や協力を指示したりすることが不可能である。また、隊員が目的地へ到着するまでの間に、道に迷ったり、怪我をしたりするなど、不測の事態が生じる可能性がある。そのような事態が起きた場合、消防指令センターは、隊員を救助するための指令が遅れる可能性がある。また、現場指揮本部は、隊員と音声通信でやり取りを実行するので、各隊員の現在の位置を完全に把握することは困難である。
【0008】
本発明の目的は、隊員の位置を把握することによって、隊員への適切な指令を行うことを可能にする通信装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係わる情報処理システムは、複数の端末の各々から前記端末の位置情報を受信する制御手段と、選択可能な複数の人物から、指示を行う対象人物の選択を受け付ける選択手段と、選択された前記対象人物の端末に対して目的地の地図情報を含む通知を送信する通知手段と、前記複数の端末の前記位置情報を地図上に出力する出力手段と、を備えている。
【0010】
本発明の他の態様に係わる情報処理方法は、情報処理システムが実行する情報処理方法であって、複数の端末の各々から前記端末の位置情報を受信し、選択可能な複数の人物から、指示を行う対象人物の選択を受け付け、選択された前記対象人物の端末に対して目的地の地図情報を含む通知を送信し、前記複数の端末の前記位置情報を地図上に出力する
【0011】
本発明の他の態様に係わるプログラムは、複数の端末の各々から前記端末の位置情報を受信することと、選択可能な複数の人物から、指示を行う対象人物の選択を受け付けることと、選択された前記対象人物の端末に対して目的地の地図情報を含む通知を送信することと、前記複数の端末の前記位置情報を地図上に出力することとをコンピュータに実行させる
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、隊員の位置を把握することによって、隊員への適切な指令を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係わる消防システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係わる消防システムに含まれる通信制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施形態1に係わる消防システムに含まれるEメール通知装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態1に係わる消防システムにおける、消防指令センターの動作と、隊員の端末の動作とを示すシーケンス図である。
図5】実施形態1に係わる消防システムの消防指令センターから隊員の端末へ送信される参集依頼メールの一例を示す図である。
図6】隊員の端末が位置を表示する画面の一例を示す図である。
図7】消防指令センターの地図管理装置が表示する画面の一例を示す図である。
図8】消防指令センターの地図管理装置が表示する画面の他の例を示す図である。
図9】隊員の端末が目的地およびルートを表示する画面の一例を示す図である。
図10】実施形態2に係わる通信装置の構成を示すブロック図である。
図11】実施形態3に係わる消防システムのハードウェア構成を示す図である。
図12】関連する消防システムの構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
図1図9を参照して、本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
(消防システム1の構成)
図1を参照して、実施形態1に係わる消防システム1の構成を説明する。図1は、本実施形態に係わる消防システム1の構成を示すブロック図である。
【0016】
図1に示すように、消防システム1は、通報者の端末5と、消防指令センター100に含まれる各装置と、現場指揮本部の端末130と、現場指揮本部からの指示によって活動を行う隊員の端末200とを含む。通報者の端末5は、移動体通信端末またはコンピュータ端末など、移動通信可能な端末であってもよいし、固定された端末であってもよい。
【0017】
(消防指令センター100)
図1に示すように、消防指令センター100は、通信指令装置110aと、通信制御装置110bとを含む。通信指令装置110aは、現場指揮本部に対する指令を行うとともに、隊員が目的地へ移動するルートを生成する。通信制御装置110bは、隊員の位置情報を管理する機能を有する。
【0018】
消防指令センター100は、表示装置110c、記憶装置110d、およびEメール通知装置120をさらに含む。表示装置110cおよび記憶装置110dは、通信制御装置110bに設けられていても良い。
【0019】
消防指令センター100に含まれる各装置は、センター内部ネットワーク50に接続されている。センター内部ネットワーク50は、優先または無線のネットワークであってよい。
【0020】
また、消防指令センター100の通信制御装置110bおよびEメール通知装置120は、外部ネットワーク150にも接続可能である。Eメール通知装置120は、隊員の端末200に対し、外部ネットワーク150を経由してアクセスして、メールによる指令または通知を行う。Eメール通知装置120は、通知手段の一例である。通信制御装置110bは、外部ネットワーク150を経由して隊員の端末200および現場指揮本部の端末130にアクセスすることが可能である。外部ネットワーク150は、たとえばインターネット、モバイル無線ネットワークであってよい。
【0021】
現場指揮本部の端末130および隊員の端末200は、それぞれ、複数であってよい。
【0022】
(通信指令装置110a)
図1に示すように、通信指令装置110aは、隊員選択部111と、ルート決定部112と、通信部113と、登録部114と、指令部115とを含む。
【0023】
隊員選択部111は、災害発生時に、指令を与える対象の隊員を選択する。隊員の選択において、隊員選択部111は、記憶装置110dに登録されている隊員に関する情報に基づいて自動的に行っても良いし、選択可能な隊員を表示装置110cに表示して、指令者にマニュアルで隊員を選択させても良い。
【0024】
ルート決定部112は、隊員選択部111によって選択された隊員の位置から目的地までのルートを決定する。通信部113は、通報者の端末5から、災害(例えば、火災、水害、気象災害)の発生に関する通報を受信する。
【0025】
登録部114は、通報者から通知(単に、「通報」とも言う)された災害に関する事案情報を記憶装置110dに登録する。登録部114によって記憶装置110dに登録される事案情報は、災害の状況(例えば規模及び傷病者の有無)および災害現場の位置に関する情報を含む。指令部115は、隊員の端末200に対して、指令情報を送信する。
【0026】
通信部113が通報者からの通報を受信したとき、通信指令装置110aは、災害現場の近傍にある消防署に対する指令を行う。指令の内容は、例えば、現場指揮本部を形成して、隊員に現場活動を指示することであってよい。通信指令装置110aは、電話通信、または他の通信方法を使って、消防署への指令を実行してよい。通信指令装置110aからの指令を受けた消防署は、現場指揮本部を形成する。
【0027】
現場指揮本部の連絡先である端末130に関連する情報、たとえば、端末130の識別情報、電話番号、およびメールアドレスは、記憶装置110dにあらかじめ登録されていてもよい。あるいは、通信制御装置110bは、消防署から、現場指揮本部の端末130に関連する情報を受信した後、端末130に関連する情報を記憶装置110dに登録しても良い。これにより、通信制御装置110bは、記憶装置110dに登録された、端末130に関連する情報を用いて、端末130との通信が可能となる。
【0028】
現場指揮本部の隊長は、現場指揮本部の端末130を用いて、隊員の端末200に連絡して、隊員に対して行動の指示を行うことができる。隊員は、隊長からの指示に従って行動することができる。
【0029】
(通信制御装置110b)
図2は、通信制御装置110bの具体例を示すブロック図である。図2に示すように、通信制御装置110bは、通信部1110と、制御部1111と、メモリ1112とを含む。通信部1110は、外部ネットワーク150を経由して、現場指揮本部の端末130および隊員の端末200との間で、通信を実行する。メモリ1112は、隊員の位置を表す情報(位置情報)を格納する。なお、通信制御装置110bは、外部ネットワーク150を介して、隊員の端末200から隊員の位置情報を取得する。
【0030】
制御部1111は、センター内部ネットワーク50に接続され、通信部1110とメモリ1112とを制御する。制御部1111は、隊員の端末200から隊員の位置情報を受信したとき、その位置情報に基づき、表示装置110cを制御することによって、各隊員の位置を示した地図(図7および図8参照)を、表示装置110cに表示させる。
【0031】
(記憶装置110d)
記憶装置110dには、予め登録された隊員に関する情報が格納されている。隊員に関する情報は、たとえば、隊員の端末200のメールアドレス、端末識別情報、隊員が所属する消防署の番号、隊員の氏名を含んでいてよい。また、記憶装置110dには、前述した事案情報も格納されている。
【0032】
(Eメール通知装置120)
Eメール通知装置120は、隊員の端末200に対して、現場への参集を依頼するEメール(参集依頼メール)を送信する。参集依頼メールには、災害の状況の概略的な説明に加えて、隊員がアクセス可能なURLへのリンクが含まれている。
【0033】
図3は、Eメール通知装置120の具体例を示すブロック図である。図3に示すように、Eメール通知装置120は、通信部1210と、制御部1211と、メモリ1212とを含む。通信部1210は、外部ネットワーク150を経由して、現場指揮本部の端末130および隊員の端末200との間で、通信を実行する。メモリ1212は、隊員の端末200のメールアドレスを示す情報を格納する。なお、Eメール通知装置120は、端末200のメールアドレスを示す情報を、記憶装置110dから予め取得していてよい。
【0034】
制御部1211は、センター内部ネットワーク50に接続され、通信部1210およびメモリ1212を制御する。制御部1211は、通信指令装置110aから、選択された隊員を表す情報を受信したとき、その隊員の端末200のメールアドレスを示す情報を、メモリ1212から検索する。そして、制御部1211は、通信部1210を介して、外部ネットワーク150に接続して、選択された隊員の端末200のメールアドレス宛に、前述の参集依頼メールを送信する。
【0035】
Eメール通知装置120は、いわゆるDMZ(DeMilitarized Zone)内に配置されている。DMZとは、外部ネットワーク150からも内部ネットワーク50からも隔離されたネットワーク領域である。内部ネットワーク50および外部ネットワーク150の両方から、Eメール通知装置120に接続することができる一方、Eメール通知装置120からは、外部ネットワーク150のみに接続することができる。
【0036】
(隊員の端末200)
図1に示すように、隊員の端末200は、外部ネットワーク150(例えばモバイルネットワーク)を介して、通信制御装置110bと無線通信することができる。また、隊員の端末200は、外部ネットワーク150(例えばインターネット)を介して、通信制御装置110bと通信することもできる。端末200は、DMZのゾーン内に配置されることに限定されない。端末200は、セキュリティ性が確保される限り、Eメール通知装置120および外部ネットワーク150に接続可能であってもよい。
【0037】
隊員の端末200は、Eメール通知装置120からの参集依頼メールを受信する。図1に示すように、隊員の端末200は、表示部201、操作部202、通信部203、制御部204およびGPS(Global Positioning System)信号受信部205を含む。
【0038】
表示部201は、例えば液晶表示装置であってよい。操作部202は、例えば、キーボードまたはタッチパネルであってよい。通信部203は、無線通信デバイスであってよい。GPS信号受信部205は、GPS衛星から、端末200の位置情報を受信する。制御部204は、端末200の各部を制御する。
【0039】
(消防システム1の動作)
図1および図4を参照して、消防指令センター100の各装置の動作および隊員の端末200の動作を説明する。
【0040】
図4は、消防指令センター100の各装置の動作および隊員の端末200の動作の流れを示すシーケンス図である。
【0041】
通信指令装置110aの通信部113が、通報者の端末5から災害についての通報を受けたとき、消防指令センター100の指令者は、通信指令装置110aの図示されない操作部を操作することによって、事案情報を入力する。通信指令装置110aの登録部114は、指令者によって入力された情報を、記憶装置110dに格納する。
【0042】
通信指令装置110aの隊員選択部111(図1参照)は、記憶装置110dに格納された災害の状況(例えば規模及び傷病者の有無)に関する情報、および災害現場の位置に関する情報に基づいて、参集依頼メールを送信する対象の隊員を選択する(S101)。
【0043】
隊員の選択方法は、前述したので、ここでは説明を省略する。隊員選択部111は、選択した隊員に関する情報を、記憶装置110dから読み出して、読み出した情報を、センター内部ネットワーク50を経由して、Eメール通知装置120へ送信する。また、隊員選択部111は、記憶装置110dから災害の状況に関する情報も読み出し、Eメール通知装置120へ送信する。
【0044】
Eメール通知装置120は、隊員選択部111が選択した隊員の端末200を特定し、特定した端末200のメールアドレスを示す情報を、メモリ1212から取得する。そして、Eメール通知装置120は、メモリ1212から取得したメールアドレス宛に、災害現場への参集を依頼するEメール(参集依頼メール)を送信する(S102)。
【0045】
隊員の端末200は、Eメール通知装置120から、参集依頼メールを受信する(S201)。隊員の端末200の制御部204は、表示部201に参集依頼メールの内容を表示させる。
【0046】
図5は、隊員の端末200の表示部201が表示する参集依頼メールの一例を示す。図5に示すように、表示部201には、災害の状況(「××市××町にて建物火災が発生しました。」)およびURLへのリンク(「http:/×××××」)が表示されている。リンク先は、地図サービスのWebページ(サイト)である。
【0047】
図4に示すように、Eメール通知装置120からの参集依頼メールを確認した隊員は、災害現場へ参集することが可能である場合、操作部202を操作することによって、参集依頼メールに記載されているURLへのリンクを選択する(S202)。
【0048】
制御部204は、GPS信号受信部205から、端末200の現在位置を表す位置情報を取得する。そして、制御部204は、通信部203を用いて、外部ネットワーク150に接続し、通信制御装置110bに対し、取得した端末200の位置情報を送信する(S203)。隊員が端末200を所持している限り、端末200の位置と隊員の位置とは一致するはずである。以下では、端末200の位置情報を、隊員の位置情報と呼ぶ。
【0049】
また、制御部204は、外部ネットワーク150に接続し、リンク先のURLにアクセスする。このとき、制御部204は、隊員の位置情報をリンク先へ送信してもよい。リンク先は、隊員の位置情報を含む地図データを、隊員の端末200へ返信する。通信部203は、リンク先から地図データを受信する。端末200の制御部204は、通信部203が受信した地図データを、表示部201に表示させる。
【0050】
図6は、隊員がURLへのリンクを選択したときに、地図サービスから受信した地図データに基づいて、制御部204が表示部201に表示させる地図を示す。図6に示すように、表示部201において、隊員の位置(図6において「N太郎」と示されている点)は、アイコンまたは標識で、地図上に表示されてもよい。
【0051】
なお、URLのリンク先は、消防指令センター100内のリンク先であってもよい。この場合、端末200は、通信制御装置110bを経由して、消防指令センター100の記憶装置110dに予め格納されている、図示されない地図情報データベースにアクセスしてもよい。
【0052】
ステップS203の後、消防指令センター100の通信制御装置110bは、1または複数人の隊員の端末200から、参集依頼メールに対する応答として、各隊員の位置情報を受信する(S103)。
【0053】
通信制御装置110bの制御部1111は、受信した各隊員の位置情報をメモリ1112に記憶させる。そして、制御部1111は、表示装置110cを制御することによって、各隊員の位置をアイコンまたは標識で示した地図データを、表示装置110cに表示させる(S104)。
【0054】
なお、通報者の通報後、通信制御装置110bは、通報者の位置を含む地図データを、表示装置110cに表示してもよい。この場合、通信制御装置110bは、外部ネットワーク150に接続することによって、地図データを取得してもよいし、通信制御装置110bのメモリ1112(図2参照)または記憶装置110dに、地図データがあらかじめ格納されていてもよい。
【0055】
図7は、表示装置110cが表示する地図の一例を示す。図7に示す地図には、4人の隊員(「N太郎」「N次郎」「N花子」「S花子」)の位置を示す標識が示されている。消防指令センター100にいる指令者は、表示装置110cに表示された地図を見ることによって、各隊員の位置を容易に確認することができる。
【0056】
指令者は、通信指令装置110aの図示されない操作部を操作することにより、各隊員の目的地を入力する。目的地は、例えば、通報者が通報した災害現場の位置、現場指揮本部のある位置、あるいは災害現場近くの消防水利(消火栓、防火水槽、プール、池、井戸など)のある位置であってもよい。
【0057】
図8は、表示装置110cが表示する地図の他の例を示す。図8に示す地図には、4人の隊員(「N太郎」「N次郎」「N花子」「S花子」)の位置を示す標識に加えて、指令者が入力した目的地を示す標識も示されている。
【0058】
なお、指令者は、隊員ごとに、異なる目的地を決定してもよい。あるいは、指令者は、隊員ごとの目的地に加えて、経由地も決定してもよい。また、消防水利の情報、防火対象物の情報、および危険物の情報は、記憶装置110dに予め格納されていても良い。
【0059】
図4に示すステップS104の次に、通信指令装置110aのルート決定部112は、各隊員について、隊員の現在の位置から目的地までのルートを決定する(S105)。
【0060】
ルート決定部112は、決定したルートを示す情報(ルート情報)を、指令部115へ送信する。ルート情報は、たとえば、隊員が目的地へ到着するまでの1つ以上の方向変化位置(交差点の位置)を表す緯度および経度の情報を含んでも良い。
【0061】
指令部115は、指令者が入力した目的地を示す情報と、ルート決定部112が決定したルート情報とを、隊員の端末200に対して送信するように、通信制御装置110bの制御部1111に指示する(S106)。
【0062】
指令部115からの指示にしたがって、制御部1111は、通信部1110を経由して外部ネットワーク150に接続し、目的地を示す情報と、ルート情報とを、隊員の端末200へ送信する。制御部1111が指令部115からの指示に従って端末200へ送信する情報を、以下では目的地&ルート情報と呼ぶ。
【0063】
なお、指令部115は、記憶装置110dから、水利の情報、防火対象物の情報、および危険物の情報のうち少なくとも一つを読み出し、読み出した情報を、通信制御装置110bへ送信してもよい。この場合、通信制御装置110bは、ルート情報とともに、水利の情報、防火対象物の情報、および危険物の情報のうち少なくとも一つを、隊員の端末200へ送信することができる。
【0064】
隊員の端末200は、通信制御装置110bから、目的地&ルート情報を受信する(S204)。
【0065】
端末200の制御部204は、受信した目的地&ルート情報に基づいて、隊員の目的地およびルートを、目視し易い表示形態で、表示部201に表示させる(S205)。
【0066】
図9は、端末200の表示部201が表示する地図を示す。図9では、隊員の位置(図9の「N太郎」)に加えて、目的地の位置(図9の「目的地」)、および、隊員の位置から目的地までのルートが示されている。図9では、隊員の位置から目的地までのルートが矢印で示されている。矢印の始点が、隊員の現在の位置を表しており、矢印の終点が、目的地を表している。矢印の始点から終点までの間で延伸する線が、隊員の取るべきルートを表す。
【0067】
隊員は、自分が所持する端末200の表示部201が表示する地図を確認して、目的地へ向かって移動を開始する。
【0068】
隊員の端末200は、一定時間ごとに、外部ネットワーク150を経由して、端末200の位置情報を通信制御装置110bへ送信する(S203)。通信制御装置110bは、隊員の端末200から受信した端末200の位置情報を、現場指揮本部の端末130へ転送する(S103)。
【0069】
これにより、ステップS103からS106までの処理と、ステップS203およびS204の処理が、一定時間ごとに繰り返される。したがって、消防指令センター100の指令者および現場指揮本部の隊長は、行動中の隊員の現在の位置を把握し続けることができる。
【0070】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、消防指令センターは、隊員の端末から、隊員の現在の位置情報を受信する。そのため、消防指令センターは、隊員の現在の位置を容易に把握することができる。したがって、消防指令センターから隊員へ、適切な指令を行うことができる。さらに、現場指揮本部も、消防指令センターから、隊員の現在の位置情報を受信するので、隊員の現在の位置を容易に把握することができる。したがって、現場指揮本部の隊長は、隊員に対して、適切な指示を行うことができる。
【0071】
〔実施形態2〕
本実施形態では、本発明の目的を実現するための基本的な構成を説明する。
【0072】
(通信装置300の構成)
図10は、本実施形態に係わる通信装置300の構成を示すブロック図である。図10に示すように、通信装置300は、通信制御部301と、隊員選択部302と、ルート決定部303と、指令部304とを備えている。
【0073】
通信制御部301は、図示されない隊員の端末から端末の位置情報を受信する。隊員選択部302は、通信制御部301が端末から受信した端末の位置情報、および、隊員に割り当てられた目的地に基づいて、指令を行う対象の隊員を選択する。
【0074】
ルート決定部303は、隊員選択部302が選択した隊員のルートを決定する。指令部304は、ルート決定部303が決定した隊員のルートを示す情報(ルート情報)を含む指令情報を、隊員の端末へ送信する。
【0075】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、隊員の端末から受信した端末の位置情報に基づいて、指令を行う対象の隊員を選択し、また、選択した隊員のルートを決定する。そして、隊員のルート情報を含む指令情報を、隊員の端末へ送信する。このため、隊員の位置を把握することによって、隊員への適切な指令を行うことができる。
【0076】
〔実施形態3〕
本実施形態では、コンピュータ資源を用いてハードウェア機器として実現される通信装置の一例を説明する。
【0077】
(通信装置400の構成)
図11は、本実施形態に係わる通信装置400の構成を示す図である。通信装置400は、1つ以上のプロセッサ401、メモリ402、記憶装置403、入出力装置404、および通信インターフェース405を備えている。
【0078】
本実施形態に係わる通信装置400の機能は、前記実施形態1の消防指令センター100または前記実施形態2の通信装置300の機能と同じである。つまり、通信装置400は、消防指令センター100または通信装置300に含まれる機能ブロックと同じ動作を、コンピュータ資源によって実現する。通信装置400の機能は、1つ以上のプロセッサ401がメモリ402に読み込んだプログラムを実行することによって実現される。
【0079】
記憶装置403は、例えば、隊員の情報、水利や危険物の位置の情報、および登録された事案の情報を記憶する。
【0080】
入出力装置404は、前記実施形態1の通信制御装置110bを含む。入出力装置404は、ディスプレイなどのユーザインターフェースを含んでいてもよい。
【0081】
通信インターフェース405は、インターネットと通信制御装置110bとを接続するためのインターフェースを含む。
【0082】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、前記実施形態1または2で説明した通信装置の機能が、プロセッサおよびメモリなどのコンピュータ資源を用いて、ハードウェア機器として実現される。すなわち、本実施形態に係わる通信装置は、隊員の位置を把握することによって、隊員への適切な指令を行うことができる。
【符号の説明】
【0083】
1 消防システム
100 消防指令センター
110a 通信指令装置
110b 通信制御装置
111 隊員選択部
112 ルート決定部
115 指令部
120 Eメール通知装置
200 隊員の端末
300 通信装置
301 通信制御部
302 隊員選択部
303 ルート決定部
304 指令部
400 通信装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12