(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】データ処理方法、装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/02 20230101AFI20231205BHJP
【FI】
G06Q30/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021208744
(22)【出願日】2021-12-22
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】202110182258.8
(32)【優先日】2021-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】パン ツェン
(72)【発明者】
【氏名】フェン ルー
【審査官】藤原 拓也
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-500709(JP,A)
【文献】国際公開第2020/215237(WO,A1)
【文献】特開2008-230215(JP,A)
【文献】特開2016-057989(JP,A)
【文献】特開2006-185189(JP,A)
【文献】特開2020-154938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0302366(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータが実行するデータ処理方法であって、
複数の参考要素の参考データに基づいて決定された因果結果を取得することと、
ユーザに関連付けられている複数のユーザ要素のサンプルデータを取得することと、
前記サンプルデータと前記因果結果に基づいて、前記ユーザの第1満足度を決定することと、
を備え、
前記複数の参考要素は、参考満足度と他の参考要素を含み、
前記因果結果は、前記参考満足度と他の参考要素との間の因果関係、及び、前記他の参考要素間の因果関係を含み、
前記複数のユーザ要素は、前記他の参考要素と少なくとも部分的に重複
し、
前記第1満足度を変更するための戦略を前記サンプルデータに基づいて決定することと、
前記ユーザに前記戦略を提供することと、
をさらに備える
データ処理方法。
【請求項2】
前記第1満足度が第1の閾値満足度より低いと判定された場合、アラーム信号を生成することをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記戦略を前記サンプルデータに基づいて決定することは、
前記因果結果に基づいて、前記複数のユーザ要素が前記第1満足度に与える影響係数と、前記複数のユーザ要素間の影響係数とを決定することと、
前記複数のユーザ要素のうち影響係数が閾値係数より大きいユーザ要素を、重要要素として決定することと、
前記重要要素のうち少なくとも1つの重要要素のサンプルデータに対する調整に基づいて、前記戦略を決定することと、
を備える、
請求項
1に記載の方法。
【請求項4】
前記戦略を決定することは、
前記少なくとも1つの
重要要素のサンプルデータに対する調整に基づいて、候補戦略を決定することと、
調整後のサンプルデータと前記因果結果に基づいて、第2満足度を決定することと、
前記第2満足度が第2の閾値満足度より高い場合、前記候補戦略を前記戦略として決定することと、
を備える、
請求項
3に記載の方法。
【請求項5】
前記因果結果の中から、信頼度が閾値の信頼度より高い因果関係を取得して、専門家知識とすることと、
前記複数の参考要素の更新された参考データを取得することと、
前記更新された参考データと前記専門家知識とに基づいて、前記因果結果を更新することと、
をさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1満足度を決定することは、
前記サンプルデータと前記因果結果を満足度予測モデルに適用して、前記第1満足度を決定することを備え、
前記満足度予測モデルは、参考サンプルデータと参考因果結果を入力とし、対応するラベル付けされた参考満足度を出力として、学習させることで得られたものである、
請求項1に記載の方法。
【請求項7】
決定された前記第1満足度と、前記ユーザから受け取った満足度とに基づいて、前記満足度予測モデルを更新することをさらに備える、
請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
前記ユーザは、特定のグループに属するユーザの集合である、
請求項1に記載の方法。
【請求項9】
コンピュータが実行するデータ処理方法であって、
学習させた因果モデルと満足度予測モデルとに関連付けられているモデルデータを取得することと、
前記因果モデルと、複数の参考要素の参考データとに基づいて、因果結果を決定することと、
ユーザに関連付けられている複数のユーザ要素のサンプルデータを取得することと、
前記満足度予測モデル、前記サンプルデータ及び前記因果結果に基づいて、前記ユーザの第1満足度を決定することと、
を備え、
前記複数の参考要素は、参考満足度と他の参考要素を含み、
前記因果結果は、前記参考満足度と他の参考要素との間の因果関係、及び、前記他の参考要素間の因果関係を含む、
データ処理方法。
【請求項10】
学習させた戦略最適化モデルに関連付けられている追加のモデルデータを取得することと、
前記第1満足度が第1の閾値満足度より低いと判定された場合、前記第1満足度を変更するための戦略を、前記戦略最適化モデルを用いて前記サンプルデータに基づいて決定することと、
前記ユーザに前記戦略を提供することと、
をさらに備える、
請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセッサユニッ
トを備え、
命令が前記少なくとも1つのプロセッサユニットによって実行される場合、請求項1~
8のいずれか1項に記載の方法を実行する、
電子デバイス。
【請求項12】
デバイスにより実行される場合、前記デバイスのコンピュータに、請求項1~
8のいずれか1項に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態はコンピュータ分野に関し、より具体的には、データ処理方法、装置、電子デバイス及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
関連商品に対するユーザの評価を可能な限りタイムリーに把握するために、一般的に、関連商品に対するユーザ満足度について定期的に調査が行われている。例えば、メーカーやサービスプロバイダは通常、アンケート調査を実施し、ユーザ満足度に関する情報を得て、ユーザ体験を改善するためのガイダンス情報を提供する。情報技術の急速な発展に伴い、ユーザのデータ規模も急激に増大している。従来の手作業で行われていたアンケート調査やデータ分析の作業では、満足度に関する情報を包括的且つタイムリーに提供できなくなってきている。このような背景や傾向の中で、機械学習はますます広く注目されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示の例示的実施形態によれば、データ処理の解決手段が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の第1の態様では、データ処理方法が提供される。当該方法は、複数の参考要素の参考データに基づいて決定された因果結果を取得することを備えることができる。複数の参考要素は、参考満足度と他の参考要素を含むことができる。因果結果は、参考満足度と他の参考要素との間の因果関係、及び、他の参考要素間の因果関係を含むことができる。当該方法はさらに、ユーザに関連付けられている複数のユーザ要素のサンプルデータを取得することを備えることができる。複数のユーザ要素は、他の参考要素と少なくとも部分的に重複する。当該方法はさらに、サンプルデータと因果結果に基づいて、ユーザの第1満足度を決定することを備えることができる。
【0005】
本開示の第2の態様では、データ処理に用いられる装置が提供される。装置は、少なくとも1つのプロセッサユニットと、前記少なくとも1つのプロセッサユニットに結合され、前記少なくとも1つのプロセッサユニットによって実行される命令を記憶する少なくとも1つのメモリとを備える。前記命令が前記少なくとも1つのプロセッサユニットによって実行される場合に、前記命令は、前記装置に動作を実行させる。前記動作は、複数の参考要素の参考データに基づいて決定された因果結果を取得することと、ユーザに関連付けられている複数のユーザ要素のサンプルデータを取得することと、サンプルデータと因果結果に基づいて、ユーザの第1満足度を決定することと、を備える。複数の参考要素は、参考満足度と他の参考要素を含む。因果結果は、参考満足度と他の参考要素との間の因果関係、及び、他の参考要素間の因果関係を含む。複数のユーザ要素は、他の参考要素と少なくとも部分的に重複する。
【0006】
本開示の第3の態様では、データ処理方法が提供される。当該方法は、学習させた因果モデル及び満足度予測モデルに関連付けられているモデルデータを取得することを備えることができる。当該方法はさらに、因果モデルと、複数の参考要素の参考データとに基づいて、因果結果を決定することを備えることができる。複数の参考要素は、参考満足度と他の参考要素を含む。因果結果は、参考満足度と他の参考要素との間の因果関係、及び、他の参考要素間の因果関係を含む。当該方法はさらに、ユーザに関連付けられている複数のユーザ要素のサンプルデータを取得することを備えることができる。また、当該方法は、満足度予測モデル、サンプルデータ及び因果結果に基づいて、ユーザの第1満足度を決定することを備えることができる。
【0007】
本開示の第4の態様では、コンピュータ可読記憶媒体が提供される。当該コンピュータ可読記憶媒体には、機械実行可能命令が記憶されており、当該機械実行可能命令は、デバイスにより実行される場合に、当該デバイスに、本開示の第1の態様に記載の方法を実行させる。
【0008】
発明の概要部分は、一連の概念を簡略化して紹介するためのものである。これらについては、以下の実施形態においてさらに説明を行う。発明の概要部分の記述は、本開示の重要又は必要な特徴を標記することを意図したものではなく、本開示の範囲を限定することも意図していない。本開示のその他の特徴は、以下の説明により容易に理解できるはずである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下、図面と結び付けて図面を参照しながら詳細な説明を行い、本開示の各実施形態における上述及びその他の特徴、利点並びに態様を、さらに明らかにする。図中、同一又は類似の図面符号は、同一又は類似の要素を示す。
【0010】
【
図1】本開示の実施形態にかかる、データ処理に用いられる例示的システムのブロック図を示す。
【0011】
【
図2】本開示の実施形態にかかる、複数の要素の因果関係を決定するための模式図を示す。
【0012】
【
図3】本開示の実施形態にかかる、例示的データ処理プロセスのフローチャートを示す。
【0013】
【
図4】本開示の実施形態にかかる、戦略を決定するプロセスのフローチャートを示す。
【0014】
【
図5】本開示の実施形態にかかる、専門家知識を取得して因果結果を更新するプロセスのフローチャートを示す。
【0015】
【
図6】本開示の実施形態にかかる、データ処理に用いられる別の例示的システムのブロック図を示す。
【0016】
【
図7】本開示の実施形態を実施可能な例示的デバイスの概略ブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ、本開示の実施形態についてより詳細に説明する。図には本開示のいくつかの実施形態が示されているが、本開示は様々な形式で実現することが可能であり、ここに記載された実施形態に限定されると解釈すべきではなく、これら実施形態は本開示を、より徹底的且つ完全に理解するために提供されるものである。この点は理解されなければならない。また、本開示の図面及び実施形態は例示的なものにすぎず、本開示の保護範囲を限定するためのものではない点も、理解されなければならない。
【0018】
本開示の実施形態の説明において、「含む」及び類似の用語は開放的なもの、すなわち「…を含むが、これらに限定されない」と理解されるべきである。用語「…に基づいて」は、「少なくとも部分的に基づく」と理解されるべきである。用語「1つの実施形態」又は「当該実施形態」は、「少なくとも1つの実施形態」と理解されるべきである。用語「第1」、「第2」等は、異なるか又は同一の対象を示すことができる。以下の文中ではさらに、その他の明確な定義及び暗黙の定義が含まれる可能性がある。
【0019】
本開示の実施形態において、「因果結果」という用語は一般に、システム内の各要素間の因果関係を記述した因果グラフを指し、本明細書では「因果関係シーケンス」とも称することができる。用語「要素」は「変数」とも称される。用語「参考データ」及び「サンプルデータ」は、直接見ることができる、複数の要素に関するデータセットを指す。
【0020】
ユーザ満足度調査は一般的に、専門家が作成したアンケートにより行われる。この種の調査は、一般的に周期的に実施する必要があり、調査データの取得周期が長く、コストが高く、情報が遅い。したがって、サービスの問題点をタイムリーに検出することができないだけでなく、サービスに対するユーザ全体の認識・体験を把握することができず、サービスプロバイダが包括的にサービス戦略を調整する際には役に立たない。
【0021】
サービス・製品のプロバイダに対するユーザ満足度に、どの要素が影響するかを特定するためには、当該サービス・製品に対するユーザの利用行動データ、消費行動データ、満足度に関する調査データ、サービス・製品のプロバイダによるサービス・製品の戦略に関するデータのうち、1つ又は複数のデータを収集することができる。収集された各種データは、要素(又は変数)のデータとも称される。
【0022】
これらの要素の間に存在する因果関係を見つけることで、満足度に影響を与える1つ又は複数の要素を決定することができる。さらに、リアルタイムで収集されたユーザデータに基づいて、当該ユーザの現在の満足度情報を予測し、当該満足度情報とリアルタイムに収集されたユーザデータとに基づいて、対応戦略を策定し、サービス又は製品プロバイダに対するユーザ満足度を向上させることができる。例えば、通信事業者の満足度について、大量のユーザの過去の消費行動データ(ユーザ属性、月間消費インターネットトラフィック、無料トラフィックの割合、月間消費インターネットトラフィックの総費用等)、満足度調査データや、レビュー、クレーム情報等の要素の特徴データを収集することができる。調査された各ユーザデータと満足度データとの対応する因果関係や、リアルタイムで収集されたユーザデータ(満足度情報を含まない)に基づいて、当該ユーザの利用中の通信サービスに対する満足度を予測することができる。さらに、対応戦略を策定して、通信事業者に対するユーザ満足度を向上させることができる。他の例としては、ソフトウェア製品(旅行サービス提供サイト等)の満足度について、ユーザの利用行動データ、調査された満足度データ等を収集することができる。これらの調査で得られた利用行動データと満足度データとの対応する因果関係と、リアルタイムで収集された利用行動データとに基づいて、当該ソフトウェア製品に対する当該ユーザの満足度を予測することができる。理解すべき点として、上述の例はあくまでも例示であり、本開示は、満足度情報を得るための調査を必要とする他の製品やサービスの分野にも適用可能である。
【0023】
しかし、上述のデータ処理方式では、ユーザ満足度を決定する際に、他の要素とユーザ満足度との間の因果関係を考慮するだけで、他の要素間の因果関係は考慮していない。通信サービスを例にとると、ネットワークの品質がユーザ満足度に直接影響を与える一方で、ネットワークの品質は、音声通話の長さやパッケージ以外の費用等の要素を通じて、間接的にユーザ満足度に影響を与える(ネットワークの品質が悪ければ、ユーザはWeChat通話より音声通話を頻繁に利用しなければならないからである)。各要素間の因果関係が考慮されない場合、少なくとも2つの問題が起こり得る。1.各要素間の間接的な影響を考慮せずに、ネットワーク品質の満足度への直接的な影響だけを考慮すると、予測モデルの重みの推定が不正確になる。2.音声通話時間は満足度に直接影響しないため、予測モデルにはこの要素が含まれなくなる可能性があり、その結果、要素の選択が不正確になる。少なくともこの2つの問題から、ユーザ満足度の予測結果は未だに十分正確ではない。
【0024】
本開示の実施形態によれば、データ処理に用いられる解決手段が提供される。この解決手段では、因果結果に基づき包括的にユーザ満足度を予測し戦略を策定することができるため、上述した問題及び/又は潜在的な問題を解決することができる。以下、上述した例示的シナリオと結びつけて本開示の各実施形態について詳細に説明する。理解すべき点として、これらは単に説明のために記述されるものであり、本開示の範囲を何ら限定するものではない。
【0025】
図1は、本開示の実施形態にかかる、データ処理に用いられるシステム100の例示的ブロック図を示す。
図1に示すシステム100は、本開示の実施形態を実現可能な1つの例示に過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。本開示の実施形態は、他のシステム又はアーキテクチャにも同様に適用される。
【0026】
図1に示すように、システム100は、コンピューティングデバイス130を含むことができる。コンピューティングデバイス130は、複数の参考要素の参考データ110と、複数のユーザ要素のサンプルデータ120とを受信するように設定することができる。例示として、参考要素及びユーザ要素は基本的に重複しており、両者はいずれもユーザの行動、属性等と関連付けられている複数の項目であり得る。その相違点は、参考要素には参考満足度の項目が含まれているのに対し、ユーザ要素には参考満足度の項目が含まれていないことである。したがって、参考データ110は、ユーザの行動や属性等に関連付けられている全ユーザデータであり、調査されたユーザ満足度データを含む。これに対しサンプルデータ120は、ユーザ満足度の項目以外のユーザの行動や属性等に関連付けられているユーザデータであり得る。
【0027】
図1に示すように、コンピューティングデバイス130は、複数の参考要素の参考データ110を受信し、そこに配置された因果モデル131を使用して、これらの参考要素の因果結果を決定する。因果結果は、参考満足度と他の参考要素との間の因果関係、及び、他の参考要素間の因果関係を含むことができる。サンプルデータ120がコンピューティングデバイス130に入力されると、コンピューティングデバイス130に配置された満足度予測モデル132は、サンプルデータ120と、予め決定された上述の因果関係とに基づいて、ユーザの満足度140を決定することができる。そして、満足度140が所定の条件を満たす場合、コンピューティングデバイス130に配置された戦略最適化モデル133が、サンプルデータ120に対する調整と、予め決定された上述の因果関係とに基づいて、ユーザ提供用として使用できる戦略150を決定することができる。図示されていないが、コンピューティングデバイス130は通常、参考データ110及びサンプルデータ120をルーチン的に前処理する機能も有していてもよい。当該前処理は例えば、異常データ検出、データクレンジング、欠測値補定、サンプルフィルタリング、要素選択等のステップを含み、これによってデータ品質を高めることができる。
【0028】
理解すべき点として、因果モデル131、満足度予測モデル132、戦略最適化モデル133は、それぞれソフトウェアに基づき実施される因果関係分析モジュール、満足度予測モジュール、戦略最適化モジュールとして実装することができ、抽出された既存のデータを使用して特定の知識を学習させることで、新しいデータを処理するために用いることができる。因果モデル131、満足度予測モデル132、戦略最適化モデル133の例示には、各種のディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional neural network)、サポートベクターマシン(SVM:support vector machine)、決定木、ランダムフォレストモデル等が含まれるが、これらに限定されない。
【0029】
上述の通信事業者のユーザ満足度に関するシナリオを例にとると、参考要素は、ユーザ属性に関する要素(例えば、ユーザクラス、ユーザ性別、ユーザ年齢等)、事業者がユーザに提供するサービスに関する要素(例えば、パッケージ名、パッケージに関する月別数値、消費に関する月別数値等)、ユーザ行動に関する要素(例えば、発信/着信の月間通話時間、月間消費インターネットトラフィック、無料トラフィックの割合、月間消費インターネットトラフィックの総額、関連Webサイト/アプリのログイン回数、関連Webサイト/アプリのWeb閲覧履歴情報等)、ユーザフィードバックに関する要素(例えば、苦情件数、苦情内容、ユーザ満足度等)のうち、1つ又は複数を含むことができる。因果モデル131は例えば、ユーザ属性、月間消費インターネットトラフィック、無料トラフィックの割合、月間消費インターネットトラフィックの総額等の間の因果関係、及び、これらの要素とユーザ満足度との間の因果関係を決定することができる。コンピューティングデバイス130がサンプルデータ120を受信すると、上述のように決定された因果関係に基づいて、サンプルデータ120の各ユーザ要素間の因果関係、及び、各ユーザ要素と、これから決定される満足度140との間の因果関係を決定することができる。その結果、満足度予測モデル132は、当該ユーザの満足度140を予測することができ、また、戦略最適化モデル133は、より適切な最適化戦略150を決定することができる。
【0030】
理解すべき点として、システム100に含まれるこれらの装置及び/又は装置におけるユニットは、例示的なものにすぎず、本開示の範囲を限定することを意図していない。理解すべき点として、システム100はさらに、図示されていない付加的な装置及び/又はユニットを含むことができる。例えばいくつかの実施形態において、システム100のコンピューティングデバイス130は、上述した複数の要素の因果関係シーケンスを因果グラフの形式で提示するための因果関係提示装置(図示せず)をさらに備えてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態において、因果関係提示装置はさらに、複数の要素の対応する重要度を提示してもよい。例えば、異なる重要度を示す値(例えば、影響係数)等によって、複数の要素の対応する重要度を提示してもよい。本開示の実施形態は、この点において限定されない。
【0032】
理解すべき点として、参考データ110及び因果モデル131は、満足度の項目を含む複数の参考要素項目の間の因果関係を予め決定するために使用される。
図2は、本開示の実施形態にかかる、複数の参考要素間の因果関係を決定するための模式図を示す。簡略化及び説明のために、
図2では、参考データ210が6つの参考要素201、202、203、204、205、206に関係すると仮定している。理解すべき点として、関係する要素の数は任意の数であってもよく、例えば、6よりはるかに大きい値であってもよい。
【0033】
図2に示すように、参考データ210は、参考要素201、202、203、204、205、206に関する複数のデータを含む。初期の状況において、
図2の参考データ210に示すように、任意の2つの要素の間に因果関係が存在する可能性がある。
【0034】
いくつかの実施形態では、複数の参考要素201、202、203、204、205、206の間に存在し得る因果関係を決定するために、特徴データ210を、コンピューティングデバイス130の因果モデル131に入力することができる。理解すべき点として、コンピューティングデバイス130は、既知の又は将来開発される任意の因果関係分析処理方式を利用して、複数の参考要素201、202、203、204、205、206に存在し得る因果関係を決定することができる。例示として、因果モデル131は、因果関係決定手段のような機械学習モデルであってもよい。この機械学習モデルは、複数のユーザのトレーニングデータセットに基づいてトレーニングデータセット内の複数の要素間の因果関係を決定するように学習することで、こうした参考要素間の因果関係を決定する。代替として又は追加として、機械学習モデルは、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)であってもよい。
【0035】
図2に示すように、参考要素205を参考満足度とすると、因果モデル131が出力する因果結果220は、例えば、参考要素201が参考要素206の原因であること、参考要素206が参考要素202と参考要素205の原因であること、参考要素202が参考要素203と参考要素205の原因であること、参考要素203が参考要素204の原因であること、参考要素204が参考要素205の原因であること、を示している。
【0036】
上述した通信事業者のユーザ満足度に関するシナリオを例にとると、参考要素205はユーザの「料金満足度」、参考要素206は音声消費に関する要素、参考要素202はトラフィック消費に関する要素である。
図2に示すように、音声消費に関連する参考要素206は、料金満足度の参考要素205の直接的な原因であり得る。また、トラフィック消費に関する参考要素202の条件要素を介して、料金満足度205に間接的に作用し得る。すなわち、音声消費に関する参考要素206に対応する値は、参考要素205に対応するユーザの料金満足度に影響を与える。本開示では、ユーザ満足度データを予測し、最適化戦略を決定する際に、参考要素201、202、203、204、206と参考要素205との間の因果関係を考慮するとともに、参考要素201、202、203、204、206の間の因果関係も考慮しているため、満足度予測や戦略の最適化をより正確に実現することができる。
【0037】
図3は、本開示の実施形態にかかる、例示的データ処理プロセス300のフローチャートを示す。例えば、プロセス300は、
図1に示すコンピューティングデバイス130によって実行することができる。理解すべき点として、プロセス300はさらに、図示されていない付加的動作を含むことができ、且つ/又は示されたいくつかの動作を省略することができる。本開示の範囲は、この点において限定されない。
【0038】
310において、コンピューティングデバイス130は、複数の参考要素の参考データ110に基づいて決定された因果結果を取得することができる。例示として、これらの参考要素は参考満足度を含むことができ、さらに他の参考要素も含むことができる。例えば、ユーザ属性に関する要素(例えば、ユーザクラス、ユーザ性別、ユーザ年齢等)、事業者がユーザに提供するサービスに関する要素(例えば、パッケージ名、パッケージに関する月別数値、消費に関する月別数値等)、ユーザ行動に関する要素(例えば、発信/着信の月間通話時間、月間消費インターネットトラフィック、無料トラフィックの割合、月間消費インターネットトラフィックの総額、関連Webサイト/アプリのログイン回数、関連Webサイト/アプリのWeb閲覧履歴情報等)等である。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス130に配置された因果モデル131が、参考データ110に基づいて因果結果を決定することができる。因果結果は、参考満足度と他の参考要素との間の因果関係、及び、他の参考要素間の因果関係を含むことができる。理解すべき点として、参考データ110は、大量のユーザに関連する履歴データであってもよく、当該履歴データは、サンプルデータ120の各要素間の因果関係を予め決定するために使用される。代替として又は追加として、参考データ110は、まとまった数量のユーザに関連するリアルタイムデータでもよいが、調査されたユーザ満足度情報が必ず含まれている必要がある。
【0039】
いくつかの実施形態では、入力された参考データ110に対し、特徴量エンジニアリング等の前処理プロセスが実行されてもよい。例えば以下のものが挙げられる。音声消費に関する要素に対応する値を総消費の値で割ることで、あるユーザの音声消費の割合を取得することができる。自主的に開始したサービス数を総サービス数で割ることで、あるユーザが自主的に開始したサービス数の割合を取得することができる。また、発信した通話時間を音声費用で割ることで、ユーザの音声の限界比を取得することができる。さらに、これらの処理を経たデータはベクトル化される。
【0040】
320において、コンピューティングデバイス130は、ユーザに関連付けられている複数のユーザ要素のサンプルデータ120をさらに取得することができる。これらのユーザ要素は、上述の参考要素と少なくとも部分的に重複する。例示として、ユーザ要素と上述の参考要素との相違点は、ユーザ要素にはユーザ満足度が含まれない、すなわち、ユーザ満足度情報がこれから決定される点である。また、コンピューティングデバイスは、入力されたサンプルデータ120に対して、上述した前処理プロセスを実行してもよい。理解すべき点として、ユーザを複数の粒度で扱うために、ユーザは個々のユーザであっても、特定のグループに属するユーザの集合であってもよい。
【0041】
330において、コンピューティングデバイス130は、サンプルデータ120と、複数の参考要素の参考データ110に基づいて決定された因果結果とに基づいて、ユーザの満足度140を予測することができる。いくつかの実施形態では、コンピューティングデバイス130に配置された満足度予測モデル132が、予め決定された複数の参考要素の因果結果と、リアルタイムに入力されたサンプルデータ120とに基づいて、満足度140を予測することができる。
【0042】
例示として、コンピューティングデバイス130は、サンプルデータ120と、複数の参考要素の参考データ110に基づいて決定された因果結果とを、満足度予測モデル132に適用して、満足度140を決定することができる。いくつかの実施形態において、満足度予測モデル132は、参考サンプルデータと参考因果結果を入力とし、対応するラベル付けされた参考満足度を出力として学習させることで得られたモデルである。
【0043】
理解すべき点として、予測された満足度と実際の満足度との差に基づいて、満足度予測モデル132を更新してもよい。例示として、コンピューティングデバイス130は、決定された満足度140と、ユーザから受け取った真の満足度とに基づいて、満足度予測モデル132を更新してもよい。
【0044】
以上の実施形態により、本開示では、ユーザ満足度の予測を自動化することで、ユーザ満足度の動的なモニタリングを実現することができる。具体的には、限られた数のユーザ(例えば、数百人や数千人以下のユーザ)を定期的又は不定期に調査し、これらのユーザのデータを用いて因果モデルを構築すれば、大量のユーザ(例えば、数百万人や数千万人以上のユーザ)の満足度予測に用いることができる。また、本開示では、満足度の予測や最適化戦略の策定の際に、各要素と満足度との間の因果関係を考慮するとともに、各要素間の因果関係も考慮しているため、満足度の予測及び最適化戦略の策定をより正確に行うことができる。
【0045】
いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス130は、予測の満足度140を決定した後に、それを所定の閾値と比較してもよい。例示として、予測された満足度140が第1の閾値満足度より低いと判定された場合、アラーム信号が生成される。このようにして、スタッフは満足度が期待に達していないユーザにタイムリーに目を配り、そのようなユーザを最適化戦略又は宥和戦略の対象とすることができる。
【0046】
さらに、予測された満足度140が第1の閾値満足度より低いと判定された場合、コンピューティングデバイスは、満足度140を変更するための戦略150をサンプルデータ120に基づいて決定し、ユーザに戦略150をタイムリーに提供してもよい。その結果、ユーザの体験がタイムリーに且つ効果的に改善される。説明しやすいように、以下では
図4を参照しながら、最適化戦略を決定するプロセスを詳述する。
【0047】
図4は、本開示の実施形態にかかる、戦略を決定するプロセス400のフローチャートを示す。例えば、プロセス400は、
図1に示すコンピューティングデバイス130によって実行することができる。理解すべき点として、プロセス400はさらに、図示されていない付加的動作を含むことができ、且つ/又は図示されたいくつかの動作を省略することができる。本開示の範囲は、この点において限定されない。
【0048】
410において、コンピューティングデバイス130は、上述の因果結果に基づいて、複数のユーザ要素が満足度に与える影響係数と、複数のユーザ要素間の影響係数とを決定することができる。例示として、コンピューティングデバイス130は、参考データに基づいて、これらの要素のうち満足度以外の他の要素による満足度への影響因子と、他の要素間の影響因子とを決定してもよい。例示として、上述の通信事業者のシナリオでは、コンピューティングデバイス130は、既知の又は将来開発される任意の処理方式を使用して、満足度に対する他の要素の影響因子と、他の要素間の影響因子とを決定してもよい。例えば、対象要素としての満足度に対する各要素の影響因子はそれぞれ、a、b、c、d...であり、各要素間の影響因子はそれぞれ、w、x、y、z....である。
【0049】
420において、コンピューティングデバイス130は、複数のユーザ要素のうち、影響係数が閾値係数より大きいユーザ要素を、重要要素として決定することができる。また、430において、コンピューティングデバイス130は、前記重要要素のうち少なくとも1つの重要要素のサンプルデータに対する調整に基づいて、戦略を決定することができる。例示として、すべての調整方法を横断的に組み合わせてもよい。また理解すべき点として、戦略の最適化を各粒度で確実に実現するために、ここでの重要要素の特定は、グループ重要要素の特定と、個別重要要素の特定とを含んでもよい。これにより、予測された満足度に基づいて、対応戦略を提供すべき個人又はグループを決定することができる。
【0050】
いくつかの実施形態では、上述の少なくとも1つの要素のサンプルデータに対する調整に基づいて、候補戦略を決定してもよい。例示として、コンピューティングデバイス130に配置された戦略最適化モデルは、上述した少なくとも1つの要素に対する複数の候補調整方法に基づいて、候補戦略を決定してもよい。その後、コンピューティングデバイス130は、調整後のサンプルデータと因果結果に基づいて、調整後の満足度を決定してもよい。調整後の満足度が、期待される第2の閾値満足度より高い場合、又は上述の満足度140より高い場合、上述の候補戦略を戦略150として決定してもよい。理解すべき点として、ユーザが最適化戦略の期待目標を設定できるようにしてもよい。例示として、戦略目標は、例えば「満足度が閾値より大きい」のような単一の目標であってもよい。戦略目標は、例えば「満足度が閾値より大きい」及び「投入コストが閾値を超えない」のような複数の目標であってもよい。さらに、コンピューティングデバイス130は、1つ又は複数の期待目標に対する入力操作を受け付けて、前記戦略を決定するステップを実行してもよい。
【0051】
いくつかの実施形態において、コンピューティングデバイス130は、参考要素間の影響係数に基づいて、1つ又は複数の候補戦略を決定してもよい。理解すべき点として、コンピューティングデバイス130は、シミュレーション機能を備えた機械学習モデルを含むように形成されてもよい。当該機械学習モデルは、参考データに基づいて、参考要素のうち他の参考要素の参考満足度に対する影響因子と、他の参考要素間の影響因子とを決定し、ひいてはユーザ要素のうち影響因子が高い一部のユーザ要素に対して、戦略150を決定するように学習する。好ましくは、各要素の対応するコストが異なること、影響因子が高い要素はコスト高である可能性が高いことを考慮して、コストを抑制しながら、影響因子が高いユーザ要素を選択して戦略150を決定してもよい。
【0052】
例示として、上述した通信事業者のシナリオにおいて、機械学習モデルは参考データに基づいて、対象要素としての満足度に対する各要素の影響因子をそれぞれa、b、c、d...とし、各要素間の影響因子をそれぞれw、x、y、z...と決定してもよい。さらに、機械学習モデルは、影響因子が高い参考要素を決定し、対応するユーザ要素に対して戦略を策定してもよい。これらの戦略は、候補戦略として決定される。さらに、満足度予測モデル132によって各候補戦略の満足度が予測され、満足度が閾値より高い場合に、当該候補戦略が戦略150として決定されてもよい。好ましくは、予測された満足度が最大である候補戦略が、戦略150として決定されてもよい。
【0053】
また、戦略投入後のユーザのフィードバックから、真の満足度データを受信又は監視してもよい。戦略150に対し予測される満足度と、ユーザからのフィードバックによる真の満足度とを比較してもよい。戦略最適化後の満足度の向上が期待どおりでない場合は、戦略最適化モデル133を更新する必要があるといえる。したがって、更新された参考データ等の情報に基づいて戦略最適化モデル133をさらに学習させてもよい。
【0054】
理解すべき点として、満足度予測モデル132及び戦略最適化モデル133の更新に加えて、より正確に満足度を予測し最適化戦略を策定するために、因果モデル131を更新してもよい。
【0055】
図5は、本開示の実施形態にかかる、専門家知識を取得して因果結果を更新するプロセスのフローチャートを示す。例えば、プロセス500は、
図1に示すコンピューティングデバイス130によって実行することができる。理解すべき点として、プロセス500はさらに、図示されていない付加的動作を含むことができ、且つ/又は示されたいくつかの動作を省略することができる。本開示の範囲は、この点において限定されない。
【0056】
510において、コンピューティングデバイス130は、因果結果の中から、信頼度が閾値の信頼度より高い因果関係を取得して、専門家知識とすることができる。例示として、コンピューティングデバイス130は、因果結果を決定するとともに、各因果関係の信頼度を決定し、信頼度がより高い因果関係を専門家知識として選択することができる。代替として又は追加として、通常、調査データは周期的に更新されるため、新しい調査データを取得するたびに因果結果を再決定してもよい。複数回決定された因果結果の中で安定的に存在する因果関係が、専門家知識として決定されてもよい。また、策定された戦略150が実施された後、コンピューティングデバイス130は、満足度予測モデル132を使用して満足度の改善効果を評価することで、戦略の中のどの方策がより効果的であるかを見つけてもよい。これらの方策が、鍵となる影響要素として決定され、専門家知識とされてもよい。
【0057】
520において、コンピューティングデバイス130は、複数の参考要素の更新された参考データを取得することができる。複数の参考要素の更新された参考データは、定期的に更新される調査データであっても、不定期に更新される調査データであってもよい。さらに530において、コンピューティングデバイス130は、更新された参考データと専門家知識とに基づいて因果モデル131を更新することで、因果結果を更新することができる。このようにして、専門家知識を決定することで、因果モデル131に、正確且つ迅速に因果結果を決定させることができる。
【0058】
図6は、本開示の実施形態にかかる、データ処理に用いられる別の例示的システム600のブロック図を示す。
図6に示す別の例示的システム600は、本開示の実施形態を実現可能な1つの例示に過ぎず、本開示の範囲を限定することを意図していないことを理解されたい。本開示の実施形態は、他のシステム又はアーキテクチャにも同様に適用される。
【0059】
図6に示すように、
図1のシステム100との相違点は、システム600が第1コンピューティングデバイス6301及び第2コンピューティングデバイス6302を備える点である。第2コンピューティングデバイス6302は、
図1のコンピューティングデバイス130に類似しており、したがって、ここでは詳述しない。システム600には第1コンピューティングデバイス6301が追加されている。
【0060】
いくつかの実施形態において、第1コンピューティングデバイス6301における因果モデル631は、第2コンピューティングデバイス6302における因果モデル634に対応している。すなわち、第2コンピューティングデバイス6302は第1コンピューティングデバイス6301から、学習させた因果モデル631及び満足度予測モデル632に関連付けられているモデルデータを取得する。その後、第2コンピューティングデバイス6302は、因果モデル634と、複数の参考要素の参考データ110とに基づいて、因果結果を決定することができる。これらの参考要素には、参考満足度と他の参考要素が含まれる。また、因果結果は、参考満足度と他の参考要素との間の因果関係、及び、他の参考要素間の因果関係を含む。第2コンピューティングデバイス6302は、ユーザに関連付けられている複数のユーザ要素のサンプルデータを取得することができ、満足度予測モデル635、サンプルデータ120及び因果結果に基づいて、ユーザの満足度140を決定することができる。また、第2コンピューティングデバイス6302は、戦略最適化モデル636、サンプルデータ120及び因果結果に基づいて、戦略150を決定することができる。
【0061】
理解すべき点として、サービスプロバイダ又は製品プロバイダにとって、第1コンピューティングデバイス6301及び第2コンピューティングデバイス6302は、異なる場所に配置されていてもよく、第2コンピューティングデバイス6302は、複数のコンピューティングデバイスであってもよく、これらのコンピューティングデバイスと第1コンピューティングデバイス6301は、互いに独立したコンピューティングの実体である。第1コンピューティングデバイス6301は、定量的なユーザデータに基づいて因果モデル631、満足度予測モデル632及び戦略最適化モデル633に学習させるために用いられ、また、学習させたモデルを第2コンピューティングデバイス6302に送るために用いられる。こうして、因果モデル634、満足度予測モデル635及び戦略最適化モデル636が形成される。第2コンピューティングデバイス6302は、管轄するユーザの近くに配置することができるので、ユーザデータをタイムリーに処理することができる。理解すべき点として、第1コンピューティングデバイス6301及び第2コンピューティングデバイス6302はいずれも、配置されたモデルの学習及び更新を実施することができる。
【0062】
図7は、本開示の実施形態を実施可能な例示的デバイス700のブロック模式図を示す。例えば、
図1に示すコンピューティングデバイス130は、デバイス700によって実現することができる。図に示すように、デバイス700は、中央プロセッサユニット(CPU)701を含む。CPU701は、リードオンリーメモリ(ROM)702に記憶されたコンピュータプログラムの命令、又は記憶ユニット708からランダムアクセスメモリ(RAM)703にロードされたコンピュータプログラムの命令に基づき、各種の適切な動作及び処理を実行することができる。RAM703にはさらに、デバイス700の操作に必要な各種プログラム及びデータを記憶することができる。CPU701、ROM702及びRAM703はバス704を介して互いに接続されている。入力/出力(I/O)インタフェース705もバス704に接続されている。
【0063】
デバイス700における複数のコンポーネントは、I/Oインタフェース705に接続されている。複数のコンポーネントには、キーボード、マウス等の入力ユニット706、様々な種類のディスプレイ、スピーカ等の出力ユニット707、磁気ディスク、光ディスク等の記憶ユニット708、及びネットワークインタフェースカード、モデム、無線通信送受信機等の通信ユニット709が含まれる。通信ユニット709によって、デバイス700は、インターネットのようなコンピュータネットワーク及び/又は各種電信ネットワークを介して、他のデバイスと情報/データを交換することができる。理解すべき点として、本開示では、出力ユニット707を使用して、ユーザ満足度のリアルタイムの動的変化に関する情報、満足度に関するユーザグループ又は個別ユーザの重要要素特定情報、最適化戦略に関する情報、及び戦略実施効果の評価に関する情報等を表示してもよい。
【0064】
プロセッサユニット701は、1つ又は複数の処理回路によって実現することができる。プロセッサユニット701は、例えばプロセス300、400及び/又は500のような上述した各プロセス及び処理を実行するように設定することができる。例えば、いくつかの実施形態において、プロセス300、400及び/又は500は、コンピュータソフトウェアプログラムとして実現可能であり、記憶ユニット708のような機械可読媒体に、有形記憶されている。いくつかの実施形態において、コンピュータプログラムの一部又は全部は、ROM702及び/又は通信ユニット709を経由してデバイス700にロード及び/又はインストールすることができる。コンピュータプログラムがRAM703にロードされCPU701により実行されると、上述した方法300、400及び/又は500の一つ又は複数のステップを実行することができる。
【0065】
本開示は、システム、方法、及び/又はコンピュータプログラム製品であってもよい。コンピュータプログラム製品は、本開示の各態様を実行するためのコンピュータが読み取り可能なプログラム命令が格納されたコンピュータ可読記憶媒体を備えることができる。
【0066】
コンピュータ可読記憶媒体は、命令実行デバイスにより使用される命令を保持し記憶することができる有形デバイスであり得る。コンピュータ可読記憶媒体は例えば、電気記憶装置、磁気記憶装置、光記憶装置、電磁気記憶装置、半導体記憶装置又は上述の任意の適切な組合せであり得るが、これらに限られない。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例として(全てではない)、ポータブル・コンピュータ・ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、消去・書き込み可能なリードオンリーメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、スタティックRAM(SRAM:Static Random Access Memory)、携帯型コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、メモリースティック、フロッピーディスク、機械的エンコーダディスク、例えば命令が記憶されているパンチカード又は溝内の突起構造、及び上述の任意の適切な組合せが含まれる。ここで使用されるコンピュータ可読記憶媒体は、例えば無線電波若しくは他の自由伝播する電磁波、導波若しくは他の送信媒体を介して伝播する電磁波(例えば、光ケーブルを介する光パルス)、又は電線で送信される電気信号のような、瞬時の信号そのものであるとは解釈されない。
【0067】
ここで説明されるコンピュータが読み取り可能なプログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体から各計算/処理デバイスにダウンロードすることができ、又は、ネットワーク、例えばインターネット、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク及び/若しくは無線ネットワークを介して外部のコンピュータ若しくは外部記憶装置にダウンロードすることができる。ネットワークは、銅線送信ケーブル、光ケーブル送信、無線送信、ルータ、ファイアウォール、スイッチ、ゲートウェイコンピュータ及び/又はエッジサーバを含むことができる。各計算/処理デバイスにおけるネットワークインタフェースカード又はネットワークインタフェースは、コンピュータが読み取り可能なプログラム命令をネットワークから受信し、当該コンピュータが読み取り可能なプログラム命令を転送し、各計算/処理デバイスのコンピュータ可読記憶媒体に記憶されるようにする。
【0068】
本開示の操作を実行するためのコンピュータプログラム命令は、アセンブラ指示文、命令セットアーキテクチャ(ISA:Instruction Set Architecture)、機械語命令、機械関連命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又は、一種類若しくは複数種類のプログラミング言語の任意の組合せで記述されたソースコード若しくはオブジェクトコードであり得る。前記プログラミング言語は、Smalltalk、C++等のオブジェクト指向のプログラミング言語、及び、「C」言語又は類似のプログラミング言語のような一般的なプロセス式プログラミング言語を含む。コンピュータが読み取り可能なプログラム命令は、全てユーザコンピュータ上で実行してもよいし、部分的にユーザコンピュータ上で実行してもよいし、1つの独立したソフトウェアパッケージとして実行してもよいし、ユーザコンピュータ上で部分的に実行するとともにリモートコンピュータ上で部分的に実行してもよいし、或いは、全てリモートコンピュータ若しくはサーバ上で実行してもよい。リモートコンピュータにかかる状況において、リモートコンピュータは、ローカルエリアネットワーク(LAN)又はワイドエリアネットワーク(WAN)を含む任意の種類のネットワークを介して、ユーザコンピュータに接続することができるか、又は、外部のコンピュータに接続することができる(例えばインターネットサービスプロバイダを利用しインターネットを介して接続する)。いくつかの実施形態では、コンピュータが読み取り可能なプログラム命令のステータス情報を利用して、例えばプログラマブルロジック回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)又はプログラマブルロジックアレイ(PLA)のような電子回路をパーソナライズすることができる。当該電子回路は、コンピュータが読み取り可能なプログラム命令を実行することで、本開示の各態様を実現することができる。
【0069】
ここでは、本開示の実施形態にかかる方法、装置(システム)及びコンピュータプログラム製品のフローチャート及び/又はブロック図を参照して、本開示の各態様を説明した。理解すべき点として、フローチャート及び/又はブロック図の各ブロック並びにフローチャート及び/又はブロック図の各ブロックの組合せは、いずれも、コンピュータが読み取り可能なプログラム命令により実現可能である。
【0070】
これらのコンピュータが読み取り可能なプログラム命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ又は他のプログラミング可能なデータ処理装置のプロセッサユニットに提供されて、機械を生成することができ、これらの命令がコンピュータ又は他のプログラミング可能なデータ処理装置のプロセッサユニットにより実行される場合、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで規定された機能/動作を実現する装置が生成される。これらのコンピュータが読み取り可能なプログラム命令は、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されてもよい。これらの命令によって、コンピュータ、プログラミング可能なデータ処理装置及び/又はその他のデバイスは特定の方法で動作を行う。したがって、命令が記憶されているコンピュータ可読媒体は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで規定された機能/動作を実現する各態様の命令が含まれている製品を含む。
【0071】
コンピュータが読み取り可能なプログラム命令を、コンピュータ、他のプログラミング可能なデータ処理装置又は他のデバイスにロードして、コンピュータ、他のプログラミング可能なデータ処理装置又は他のデバイス上で一連の操作ステップを実行させ、コンピュータが実施するプロセスを生成してもよい。こうすることで、コンピュータ、他のプログラミング可能なデータ処理装置又は他のデバイスで実行される命令に、フローチャート及び/又はブロック図の1つ又は複数のブロックで規定された機能/動作を実現させる。
【0072】
図中のフローチャート及びブロック図は、本開示の複数の実施形態にかかるシステム、方法、コンピュータプログラム製品の実現可能なアーキテクチャ、機能及び操作を表している。この点において、フローチャート又はブロック図の各ブロックは、1つのモジュール、プログラムセグメント又は命令の一部を示すことができ、前記モジュール、プログラムセグメント又は命令の一部は、規定されたロジック機能を実現するための1つ又は複数の実行可能な命令を含む。代替としてのいくつかの実現形態において、ブロック内に表記された機能は、図中の表記と異なる順序で発生してもよい。例えば、2つの連続するブロックは実際には基本的に並行して実行することができるが、場合によっては反対の順序で実行されてもよい。これは、関係する機能によって定められる。また、注意すべき点として、ブロック図及び/又はフローチャートの各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャートのブロックの組合せは、規定された機能又は動作を実行する、ハードウェアに基づく専用システムで実現してもよいし、或いは、専用のハードウェアとコンピュータ命令との組合せにより実現してもよい。
【0073】
以上、本開示の各実施形態を説明したが、上述した説明は、例示的なもので、全て網羅したものではなく、開示された各実施形態に限定されない。説明した各実施形態の範囲及び精神から逸脱しない状況において、当業者が複数の修正及び変更を行うことができることは明らかである。ここで使用された用語は、各実施形態の原理、実際の応用や市場での技術改良について最適な説明を行うこと、又は当業者に本明細書で開示された各実施形態を理解させることを意図して、選択したものである。