(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】検出装置、通信端末、及び状態収集システム
(51)【国際特許分類】
G06K 19/077 20060101AFI20231205BHJP
G06K 19/073 20060101ALI20231205BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20231205BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20231205BHJP
G08B 5/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G06K19/077 108
G06K19/073
G06K19/07 230
G06K19/07 170
G06K7/10 244
G08B5/00 P
(21)【出願番号】P 2021502001
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2020006181
(87)【国際公開番号】W WO2020171041
(87)【国際公開日】2020-08-27
【審査請求日】2022-12-16
(31)【優先権主張番号】P 2019026407
(32)【優先日】2019-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】小牧 真幸
【審査官】土谷 慎吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-117441(JP,A)
【文献】特開2007-133554(JP,A)
【文献】特開2016-206855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 19/077
G06K 19/073
G06K 19/07
G06K 7/10
G08B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を非接触で書き込み可能なタグ部と、
所定のパターンで点灯可能な発光体と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、前記タグ部に書き込まれた前記情報が正常か判定し、正常であると判定した場合には前記発光体を第一のパターンで点灯
し、
前記制御部は、前記タグ部に書き込まれた前記情報が正常ではないと判定した場合には前記発光体を第二のパターンで点灯し、
前記制御部は、前記タグ部に前記情報が書き込まれた場合に前記タグ部へのさらなる情報の書き込みを禁止し、
前記発光体を前記第一のパターンまたは前記第二のパターンで点灯した後に前記タグ部への情報の書き込みを許可する、
検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記発光体が第三のパターンで点灯していた場合に、前記発光体を消灯した後に前記発光体を前記第一のパターンまたは前記第二のパターンで点灯し、
前記発光体を前記第一のパターンまたは前記第二のパターンから消灯した後に前記第三のパターンで点灯する、
請求項1
に記載の検出装置。
【請求項3】
前記タグ部は、前記情報が通信端末から書き込まれ、
前記タグ部は、前記制御部及び前記通信端末に前記情報の書き込み完了を通知し、
前記制御部は、前記書き込み完了の通知後に、前記発光体を前記第一のパターンまたは前記第二のパターンで点灯する、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
請求項1
から3のいずれか1つに記載の前記検出装置
を備える、
状態収集システム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、通信端末、及び状態収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、各々が入り切り可能なセンサを有し、かつ固有のIDを持つ複数の送信機と、これらの送信機からセンサを入り切りさせて送信されるIDを含む信号を受信することにより、各センサの状態を個別に表示するモニタからなる遠隔モニター装置において、モニタに各送信機を登録する際にモニタが音等によってアンサーバックを行い、該アンサーバックを受けて、次の送信機の登録に移る構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の構成をプラント機器に適用した場合、騒音環境によって作業者がアンサーバック音を聞き逃すという問題がある。
【0005】
本発明の1つの目的は、騒音環境においても作業者に作業結果を認識させる検出装置、通信端末、及び状態収集システムを提供することにある。本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び好ましい実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る検出装置は、
情報を非接触で書き込み可能なタグ部と、
所定のパターンで点灯可能な発光体と、
制御部と、を有し、
前記制御部は、前記タグ部に書き込まれた前記情報が正常か判定し、正常であると判定した場合には前記発光体を第一のパターンで点灯する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、騒音環境においても作業者に作業結果を認識させる検出装置、通信端末、及び状態収集システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の検出装置、通信端末、及び状態収集システムの全体構成の例を示す図である。
【
図2】
図1に示される状態収集システムの各構成要素の内部構造の例を示す図である。
【
図3】
図1に示されるネットワーク構築装置が記憶するネットワーク構築情報及び
図1に示されるデータ蓄積装置が記憶する機器情報のデータ構造の例を示す図である。
【
図4】
図1に示される状態収集システムにおけるカード型記憶媒体の例を示す図である。
【
図5】
図1に示される状態収集システムにおける検出装置と通信装置の第1の態様を示すシーケンス図である。
【
図6】
図1に示される状態収集システムにおける検出装置と通信装置の第2の態様を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に説明する好ましい実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0010】
図1に示されるように、状態収集システム1は、検出装置10と通信端末40を備える。状態収集システム1は、検出装置10とネットワークを構築するネットワーク構築装置20、検出装置10の検出値を蓄積するデータ蓄積装置30をさらに備えていてもよい。検出装置10は、複数個備えられ、各検出装置10は、図示されていないプラント内に配置される複数の機器のうち対応する機器に取り付けられる。複数の検出装置10は、ネットワーク構築装置20が構築する例えば無線LAN(Local Area Network)及びZigBee(登録商標)等の規格を用いた無線センサネットワーク(WSN: Wireless Sensor Network)に接続することができる。WSNは、いわゆるメッシュ型ネットワークであることが好ましい。すなわち、複数の検出装置10がネットワーク構築装置20と接続し、各検出装置10(例えば検出装置10-a)は、それ自身が隣接する他の1又は複数の検出装置10(例えば検出装置10-b及び検出装置10-c)とも接続することが好ましい。また、通信端末40は、検出装置10への情報の記憶、及び情報の取得に用いる。ネットワーク構築装置20から距離が離れていること等によってWSNと直接接続できない検出装置10(例えば検出装置10-c)が存在するときは、状態収集システム1は中継器50を更に備えて、WSNの接続可能範囲を補間してもよい。また状態収集システム1は、通信端末40に情報を記憶させるためのカード型記憶媒体60をさらに備えていてもよい。
【0011】
図1に示される例では、3個の検出装置10-a,10-b,10-cがネットワーク構築装置20によって構築されるWSNに接続されるように示されているが、WSNに接続される検出装置10は、4個以上であってもよく、1又は2個であってもよい。また、実際の状態収集システム1では、複数のネットワーク構築装置(
図1のネットワーク構築装置20及び図示されていない他の1又は複数のネットワーク構築装置)が備えられている。図示されていない他の1又は複数のネットワーク構築装置には、
図1と同様に、図示されていない複数の検出装置が接続されている。
【0012】
ネットワーク構築装置20は、通信ネットワークを利用可能に構成されている。通信ネットワークは、3G回線又はLTE(Long Term Evolution)回線等のモバイルネットワークや、有線LANや無線LAN等のローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク(WAN: Wide Area Network)等が存在する。以下、「3G回線又はLTE回線等のモバイルネットワーク」を「3G/LTE」とも呼ぶ。ネットワーク構築装置20は、通信ネットワークを通じてデータ蓄積装置30と通信可能に構成されている。
【0013】
図2には、
図1に示される状態収集システム1の各構成要素の内部構成の例が示される。
図2に示される検出装置10は、制御部11、検出部12、ネットワーク接続部13、記憶部14、発光体15及びタグ部18を有する。また、検出装置10は、図示されていない電源ケーブル等で電力を供給することが困難な場所に取り付けられることが想定されるため、更にバッテリ16を有していることが好ましい。検出装置10は、例えば制御部11、検出部12、ネットワーク接続部13、記憶部14、発光体15、及びタグ部18の少なくとも1つに対して、電源ケーブル又はバッテリ16からの電力の供給を制御する電源制御部17を更に有してもよい。
【0014】
検出装置10の制御部11は、回路で構成され、前記回路は、プロセッサ(例えば中央処理装置(CPU: Central Processing Unit))、特定用途向け集積回路(ASIC: Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA: Field-Programmable Gate Array)などの少なくとも1つの半導体集積回路を含み、制御ソフトウェアを実行することにより検出装置10の機能の全部又は一部を実行可能である。
【0015】
検出装置10の検出部12は、検出装置10が取り付けられた機器の状態量を周期的に検出する。ここで、機器とは、例えばスチームトラップ、回転機等のプラント機器や工場の製造設備等であり、状態量とは、例えば機器の温度、振動、加速度、湿度、圧力、ph(ペーハー)等の検出値である。
【0016】
検出装置10のネットワーク接続部13は、ネットワーク構築装置20によって構築されるWSNに接続可能に構成されている。
【0017】
検出装置10の記憶部14は、例えば磁気記憶装置やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリからなり、検出装置10を特定する特定情報である、例えばセンサIDが記憶されている。記憶部14は、検出装置10の制御ソフトウェア、検出部12が検出した状態量、後述するタグ部18に書き込まれた情報などを記憶可能である。
【0018】
検出装置10の発光体15は、例えばLED等の発光素子であって、制御部11の制御によって点灯(所定のパターンによる点滅を含む)又は消灯する。発光体15は、検出装置10において後述するタグ部18と同一の面から視認できることが好ましい。
【0019】
検出装置10のバッテリ16は、検出装置10が電源オン状態であるときに、少なくとも制御部11に対して電力を供給する。検出部12、ネットワーク接続部13、記憶部14、発光体15、及びタグ部18に対する電力の供給は、制御部11によって制御されてもよく、電源制御部17によって制御されてもよい。
検出装置10の電源制御部17は、例えばリレーシーケンス又はトランジスタ等のスイッチング素子等を有する、自己保持回路を備える。
【0020】
検出装置10のタグ部18は、タグIC18-1及びタグアンテナ18-2を有する、例えばNFC(Near Field Communication)に用いられるRF(Radio Frequency)タグである。タグ部18は、後述する通信端末40が、非接触で情報をタグIC18-1に例えば書き込むことによって記憶させることができ、且つ、このタグIC18-1に非接触で記憶されている情報を例えば読み込むことによって取得することができるように構成されている。なおタグIC18-1は、非接触による情報の書き込みを許可又は禁止に設定する事ができる。
制御部11は、タグ部18へ情報が格納された場合に、ネットワークへの参加や検出装置10の制御、情報のネットワーク構築装置20への送信などの所定の動作を行う。なお制御部11は、タグIC18-1に記憶された情報を記憶部14に記憶させてもよく、記憶部14からタグIC18-1に情報を記憶させてもよい。
【0021】
図2に示されるネットワーク構築装置20は、制御部21、通信部22、記憶部23、ネットワーク構築部24を有する。
【0022】
ネットワーク構築装置20の制御部21は、回路で構成され、前記回路は、プロセッサ(例えば中央処理装置(CPU: Central Processing Unit))、特定用途向け集積回路(ASIC: Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA: Field-Programmable Gate Array)などの少なくとも1つの半導体集積回路を含み、制御ソフトウェアを実行することによりネットワーク構築装置20の機能の全部又は一部を実行可能である。
【0023】
ネットワーク構築装置20の通信部22は、例えば3G/LTEを利用可能に構成されている。ネットワーク構築装置20が通信部22を有することによって、ネットワーク構築装置20は3G/LTEを通じてデータ蓄積装置30と通信可能に構成されている。
【0024】
ネットワーク構築装置20の記憶部23は、例えば磁気記憶装置やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリからなり、ネットワーク構築装置20の制御ソフトウェア、後述するネットワーク構築情報を記憶可能である。
【0025】
ネットワーク構築装置20のネットワーク構築部24は、WSNを構築可能である。ネットワーク構築装置20が構築するWSNは、特定のネットワーク構築装置20によって構築されたWSNであることを特定するネットワーク構築情報、例えばネットワークIDが与えられている。ネットワーク構築装置20がネットワーク構築部24を有することによって、ネットワーク構築装置20はWSNを通じて検出装置10と通信可能に構成されている。ネットワーク構築情報(データ001)は、例えばネットワークID、このネットワークIDで特定されるWSNに接続されている検出装置10のセンサID及びこれらの検出装置10のWSNへの接続状態のリストを含む。ネットワークIDで特定されるWSNに中継器50が接続されているときは、ネットワーク構築情報(データ001)は、中継器ID及び中継器のWSNへの接続状態を更に含んでもよい。
【0026】
図2に示されるデータ蓄積装置30は、制御部31、通信部32及びデータ蓄積部33を有する。
【0027】
データ蓄積装置30の制御部31は、回路で構成され、前記回路は、プロセッサ(例えば中央処理装置(CPU: Central Processing Unit))、特定用途向け集積回路(ASIC: Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA: Field-Programmable Gate Array)などの少なくとも1つの半導体集積回路を含み、制御ソフトウェアを実行することによりデータ蓄積装置30の機能の全部又は一部を実行可能である。
【0028】
データ蓄積装置30の通信部32は、例えば3G/LTEを利用可能に構成され、ネットワーク構築装置20と通信可能に構成されている。
【0029】
データ蓄積装置30のデータ蓄積部33は、磁気記録媒体やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリで構成され、データ蓄積装置30の制御ソフトウェアを記憶可能である。データ蓄積部33は、例えば
図3に示されている機器情報(データ002)を記憶する。機器情報(データ002)は、例えば複数のネットワークID、各ネットワークIDで特定されるWSNに接続されている検出装置10のセンサID(特定情報)、検出装置10の接続状態、検出装置10の取付情報、検出装置10の動作条件、機器の状態、検出装置10が検出する検出値(状態量)、作業者ID及び作業内容を含む。検出装置10の取付情報は、例えばプラント内の番地等の取付エリアを含む。検出装置10の動作条件は、例えば検出装置10の検出部12の検出開始時刻や検出周期を含む。また、中継器50が接続されているWSNが存在するときは、中継器ID、これらのWSNへの接続状態及び中継器の取付情報を更に含んでもよい。なお、機器情報(データ002)には、ネットワーク構築情報(データ001)の全ての項目が含まれている。
【0030】
通信端末40は、制御部41、タグ制御部42、記憶部43、インジケータ44及びブザー45、バッテリ46を有する。また、通信端末40は、バッテリ46からの電力の供給を制御する電源制御部47を更に有してもよい。通信端末40は、情報の取得をタグ制御部42のみで行い、作業者が入力操作を行うためのタッチパネル式のディスプレイのような表示部及び入力部を備えない。
【0031】
通信端末40の制御部41は、回路で構成され、前記回路は、プロセッサ(例えば中央処理装置(CPU: Central Processing Unit))、特定用途向け集積回路(ASIC: Application Specific Integrated Circuit)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA: Field-Programmable Gate Array)などの少なくとも1つの半導体集積回路を含み、制御ソフトウェアを実行することにより通信端末40の機能の全部又は一部を実行可能である。
【0032】
通信端末40のタグ制御部42は、タグリーダ/ライタ42-1及びタグ制御アンテナ42-2を有する。タグリーダ/ライタ42-1は、例えばNFCに用いられるRFタグのリーダ及びライタであり、タグ制御アンテナ42-2は、タグリーダ/ライタ42-1用のアンテナである。
タグ制御部42は、検出装置10のタグ部18へ非接触で情報を書き込むことによって記憶させることができる。また、タグ制御部42は、検出装置10のタグ部18や後述するカード型記憶媒体60のタグ部61から非接触で情報を読み込むことによって取得することができる。
【0033】
通信端末40が検出装置10のタグ部18にかざされたとき、通信端末40のタグ制御部42は、タグリーダ/ライタ42-1が生成する例えば読み取り信号又は書き込み信号を、タグ制御アンテナ42-2が生成する例えば電波又は磁界に含んで、検出装置10に送信する。検出装置10のタグ部18は、タグアンテナ18-2で受信する電波を整流することによって又は受信する磁界による電磁誘導によって、タグアンテナ18-2に電力が発生する。タグアンテナ18-2は、発生した電力をタグIC18-1に供給し、タグIC18-1が起動する。タグアンテナ18-2が受信する電波又は磁界に含まれる信号が読み取り信号であったとき、起動したタグIC18-1は、読み取り信号に応じたタグIC18-1に記憶されている情報を、タグアンテナ18-2が生成する電波又は磁界に含んで返信する。その一方で、タグアンテナ18-2が受信する電波又は磁界に含まれる信号が書き込み信号であったとき、起動したタグIC18-1は、書き込み信号に含まれる情報を記憶する。
【0034】
このように、通信端末40のタグ制御部42が、タグ部18へ情報を記憶するとき及びタグ部18から情報を取得するときは、検出装置10の内部からタグ部18に電力が供給される必要がない。すなわち、検出装置10が電源OFF状態又はスリープ状態であるときも、通信端末40のタグ制御部42は、検出装置10のタグ部18への情報の記憶及びタグ部18からの情報の取得をすることができる。
【0035】
また、タグアンテナ18-2が受信した電波又は磁界によって起動したタグIC18-1は、例えば、電源制御部17に対して起動信号を出力する。起動信号を入力した電源制御部17は、電源制御部17がバッテリ16から供給される電力を、例えば少なくとも制御部11に対して供給する。例えば、電力が供給された制御部11が起動することによって、検出装置10が電源ON状態となる。すなわち、検出装置10は、通信端末40のタグ制御部42によってタグ部18に情報が記憶されたときに、電源ON状態となるように構成されている。検出装置10の電源がON状態であるときは、制御部11がタグ部18のタグIC18-1に対して電力を供給することによって、タグIC18-1への情報の書き込み又はタグICに記憶されている情報の取得をすることができる。
【0036】
さらに、電源ON状態である検出装置10が電源OFF状態又はスリープ状態となるときは、制御部11は、電源制御部17に対して停止信号又はスリープ信号を出力する。停止信号又はスリープ信号を入力した電源制御部17は、例えば、少なくとも制御部11に対して電力の供給を停止又は電力供給の量を低下させる。例えば、制御部11への電力の供給が停止されたときに検出装置10は電源OFF状態となり、制御部11への電力供給の量が低下されたときに検出装置10はスリープ状態となる。
【0037】
通信端末40の記憶部43は、例えば磁気記憶装置やフラッシュメモリ等の不揮発性メモリからなり、通信端末40の制御ソフトウェアやタグ制御部42が読み込んだ情報を記憶することができる。
【0038】
通信端末40のインジケータ44は、例えば複数のLED等の発光素子からなり、制御部41の制御によってタグ制御部42の状態やイベントに応じて所定の色、組み合わせで発光可能である。なおインジケータ44は、1つの発光素子からなり、所定のパターンで点滅する(点灯と消灯を切り替える)ことによりタグ制御部42の状態やイベントを示すように構成されてもよい。
通信端末40のブザー45は、制御部41の制御によってタグ制御部42の状態やイベントに応じて所定の音を出力可能である。
【0039】
通信端末40のバッテリ46は、通信端末40が電源オン状態であるときに、少なくとも制御部41に対して電力を供給する。タグ制御部42、記憶部43、インジケータ44及びブザー45に対する電力の供給は、例えば制御部41を介して電力が供給されてもよく、電源制御部47によって制御されてもよい。
通信端末40の電源制御部47は、例えばリレーシーケンス又はトランジスタ等のスイッチング素子等を有する、自己保持回路を備える。
【0040】
中継器50は、WSNの接続可能範囲を補間するために、任意に追加される装置である。中継器50は、制御部51、ネットワーク接続部52、記憶部53、発光体54、バッテリ55、電源制御部56、及びタグ部57を有する。中継器50は、検出装置10と概ね同様の内部構造であるが、検出部を有さない点で検出装置10と異なる。
【0041】
カード型記憶媒体60は、例えばICカードであり、非接触通信をするタグ部61を有し、樹脂や紙等からなるその外装部にそれぞれの種類に応じた対応色を備える。
【0042】
図4に示されるカード型記憶媒体60は、複数種類のカード型記憶媒体60として、ネットワークIDカード60-1(第1の制御カードの一例)、作業者IDカード60-2(第2の制御カードの一例)、作業内容(設置時用)カード60-3(第3の制御カードの一例)、作業内容(運用時用)カード60-4(第4の制御カードの一例)を有する。
ネットワークIDカード60-1は、情報としてネットワーク構築装置20が構築するWSNに接続するためのネットワーク情報が格納されている。このネットワーク情報には、WSNを特定するネットワーク特定情報であるネットワークID及びこのネットワークIDで特定されるWSNに接続するためのネットワークパスワードが含まれる。ネットワークIDカード60-1は、WSNの数だけ、すなわち、ネットワーク構築装置20の数だけ複数用意される。
作業者IDカード60-2は、情報として作業者を特定する作業者特定情報である、作業者IDが格納されている。作業者IDカード60-2は、作業者の数だけ複数用意される。
作業内容(設置時用)カード60-3は、情報として検出装置10に接続される検出部12の種類を示す種類情報(以下、単に「検出部12の種類」とも呼ぶ)を格納する。作業内容(設置時用)カード60-3は、状態収集システム1で準備された検出部12の種類の数だけ複数用意され、例えば「温度センサ」、「振動センサ」、「センサなし(中継器50)」、「汎用センサ」などがある。作業内容(運用時用)カード60-4は、情報として設備点検などにおける作業者の作業内容を示す作業内容情報(以下、単に「作業内容」とも呼ぶ)を格納するものである。
作業内容(運用時用)カード60-4は、作業内容等の種類の数だけ複数用意され、例えば設備点検等の作業内容として「異常なし」、「異常あり(注意)」、「異常あり(警告)」、「修理完了」などがある。また、作業内容として設置後の検出装置10に対して動作を変更させる動作内容を含んでもよく、動作内容としては「停止(自動復旧不可)」、「再接続」、「初期化」などがある。作業内容は、例えば英数字と記号の組み合わせからなるIDとして格納される。データ蓄積装置30には、このIDに関連付けられて例えば作業内容を示す紐付けデータ(例えばテキストデータ)が格納される。これにより、送信データの負荷を軽減することができ、また、データ蓄積装置30側でのデータ管理の自由度が増す。前述の作業者IDについても同様に英数字と記号の組み合わせからなり、データ蓄積装置30に作業者IDに関連付けられて作業者を示す紐付けデータ(例えばテキストデータ)が格納される。
【0043】
カード型記憶媒体60のタグ部61は、タグIC61-1及びタグアンテナ61-2を有する、例えばNFC(Near Field Communication)に用いられるRF(Radio Frequency)タグである。
タグ部61は、通信端末40が、このタグIC61-1に非接触で記憶されている情報を読み込むことによって取得することができるが、非接触で情報をタグIC61-1に書き込むことを禁止するように構成されている。
【0044】
さらに、プラントの管理担当者は、3G/LTEに接続可能な図示されていないノートパソコン等の管理端末を用いることで、3G/LTEを介してデータ蓄積装置30の機器情報(データ002)を閲覧及び編集することができる。その結果、管理担当者は機器を直接監視しにいくことなく、機器の状態量を遠隔で監視することが可能になり、異常状態を発見したときに、通信端末40を携帯する作業者に修繕作業の指示等をすることが可能になる。
【0045】
図5を参照して、状態収集システム1における検出装置10と通信端末40の第1の態様を説明する。
図5は、状態収集システム1において通信端末40の情報を検出装置10に記憶させる処理を示したシーケンス図である。以後、
図5及び
図6におけるメッセージ番号を単に番号と呼ぶ。
また第1の態様において、検出装置10の発光体15は、予め第三のパターンで点灯(例えば長い周期で点滅)していることを前提として説明する(番号0)。
【0046】
作業者は、通信端末40のタグ制御部42を検出装置10のタグ部18に近接させる。
通信端末40は、検出装置10のタグ部18に情報を書き込む。タグ部18は、タグIC18-1に情報が書き込まれたら、通信端末40に書き込み完了を通知する。通信端末40は、書き込み完了の通知を受けたら、インジケータ44、ブザー45による報知を行う(番号1、1.1、2)。
作業者は、インジケータ44、ブザー45による報知を認識した場合、あるいは通信端末40による情報の書き込みに十分な時間が経過したと判断した場合に、通信端末40を検出装置10のタグ部18から遠ざける。
【0047】
タグ部18は、制御部11に情報が書き込まれたことを通知する。制御部11は、書き込み通知を受けたらタグ部18に情報の書き込みを禁止するように設定する。
これにより、検出装置10は、制御部11がタグ部18の情報を取得し発光体15により作業者に情報が正常であることを通知するまでの間、さらなる情報の書き込みを防止し、処理を確実に行うことができる。
その後、制御部11は、タグ部18から書き込まれた情報を取得する(番号1.2、1.2.1、1.2.2)。
【0048】
制御部11は、タグ部18から取得した情報が正常か判定する。この判定には、ブロック符号や畳み込み符号、ハッシュ関数など公知の誤り検出訂正を広く適用することができる(番号1.2.3)。
制御部11は、情報が正常であると判定した場合に、取得した情報を記憶部14に記憶させる。また、制御部11は、検出装置10を特定する特定情報と取得した情報を、ネットワーク構築装置20を介してデータ蓄積装置30に送信する(どちらも図示しない)。
なお制御部11が情報が正常ではないと判定した場合については、後述する第2の態様に示す。制御部11が情報が正常ではないと判定する要因は、通信端末40が誤ったカード型記憶媒体60から情報を読み込み、その情報を検出装置10に書き込んだ場合や、通信端末40からタグ部18に情報を書き込む際に雑音などにより情報が破損した場合、通信端末40の制御ソフトウェアと検出装置10の制御ソフトウェアがバージョン違いにより対応が取れていない場合などである。
【0049】
制御部11は、発光体15を消灯するように制御し、発光体15は、制御部11の制御により消灯する(1.2.4、1.2.4.1)。
その後、制御部11は、発光体15を第一のパターンで点灯(例えば常に点灯)するように制御し、その後所定の時間(例えば3秒)待機する。発光体15は、制御部11の制御により所定の時間、第一のパターンで点灯する(番号1.2.5、1.2.5.1、1.2.6)。
これにより、作業者は、発光体15が第一のパターンで点灯した状態が所定の時間続くため、通信端末40のインジケータ44、ブザー45による報知を認識できなかった場合においても、検出装置10に情報の書き込みが正常に行われたこと(作業結果)を認識できる。また通信端末40による報知の後に検出装置10による報知が行われることで、状態収集システム1から作業者に対する作業結果の通知が行われる時間が延長される。
【0050】
制御部11は、発光体15を消灯するように制御し、その後発光体15を第三のパターンで点灯するように制御する。発光体15は、制御部11の制御により一度消灯した後、第三のパターンで点灯する(番号1.2.7、1.2.7.1、1.2.8、1.2.8.1)。
これにより、検出装置10は、発光体15を通信端末40による情報の書き込みが行われる前の点灯パターン(例えば第三のパターン)に戻すことができる。
【0051】
制御部11は、タグ部18に情報の書き込みを許可するように設定する(番号1.2.9)。
これにより、作業者は、通信端末40を用いて検出装置10に次の情報を書き込むことができる。
【0052】
図6を参照して、状態収集システム1における検出装置10と通信端末40の第2の態様を説明する。
図6は、状態収集システム1において通信端末40の情報を検出装置10に記憶できなかった場合の処理を示したシーケンス図である。なお
図5と同様の処理については、同じ番号を付し説明を省略する(番号0乃至1.2.4.1)。
【0053】
制御部11は、情報が正常ではないと判定した場合に、発光体15を第一のパターンと異なる第二のパターンで点灯(例えば短い周期で点滅)するように制御する。発光体15は、制御部11の制御により第二のパターンで点灯する(番号1.2.10、1.2.10.1)。
これにより、作業者は、情報の書き込みが失敗したこと(作業結果)を認識できる。
制御部11は、タグ部18に書き込まれた情報が正常ではないと判定した場合にタグ部18から取得した情報を記憶部14に記憶させないことが望ましい。また、制御部11は、検出装置10を特定する特定情報と失敗を示す情報を、ネットワーク構築装置20を介してデータ蓄積装置30に送信してもよい(どちらも図示しない)。
【0054】
制御部11は、タグ部18に情報の書き込みを許可するように設定する(番号1.2.11)。
これにより、作業者は、通信端末40を用いて検出装置10に改めて正常な情報を書き込むことができる。
【0055】
上述の態様は、以下の効果を奏する。
【0056】
本発明に係る検出装置10は、
情報を非接触で書き込み可能なタグ部18と、
所定のパターンで点灯可能な発光体15と、
制御部11と、を有し、
制御部11は、タグ部18に書き込まれた情報が正常か判定し、正常であると判定した場合には発光体15を第一のパターンで点灯する。
【0057】
検出装置10は、タグ部18に書き込まれた情報が正常であると判定した場合に発光体15を第一のパターンで点灯することで、作業者に作業結果が正常であることを認識させる。
【0058】
検出装置10において、
制御部11は、タグ部18に書き込まれた情報が正常ではないと判定した場合には発光体15を第二のパターンで点灯する。
【0059】
検出装置10は、タグ部18に書き込まれた情報が正常ではないと判定した場合に発光体15を第二のパターンで点灯することで、作業者に作業結果が失敗であったことを認識させる。
【0060】
検出装置10において、
制御部11は、タグ部18に情報が書き込まれた場合にタグ部18へのさらなる情報の書き込みを禁止し、
発光体15を第一のパターンまたは第二のパターンで点灯した後にタグ部18への情報の書き込みを許可する。
【0061】
検出装置10は、制御部11がタグ部18の情報を取得し発光体15により作業者に作業結果を通知するまでの間、さらなる情報の書き込みを防止し、処理を確実に行うことができる。
【0062】
検出装置10において、
制御部11は、発光体15が第三のパターンで点灯していた場合に、発光体15を消灯した後に発光体15を第一のパターンまたは第二のパターンで点灯し、
発光体15を第一のパターンまたは第二のパターンから消灯した後に第三のパターンで点灯する。
【0063】
検出装置10は、発光体15が予め第三のパターンで点灯していた場合に、作業者に作業結果を通知した後に、発光体15の点灯を第三のパターンに戻すことができる。
【0064】
通信端末40は、
検出装置10のタグ部18に情報を書き込み可能な通信端末40であって、
情報を書き込むためのタグ制御部42と、
インジケータ44と、
通信端末の制御部41と、を有し、
通信端末の制御部41は、検出装置10のタグ部18に情報を書き込んだ後に、インジケータ44による報知を行う。
【0065】
通信端末40は、インジケータ44による報知を行うことで、騒音環境であっても作業者に作業結果を認識させることができる。
【0066】
通信端末40において、
通信端末の制御部41は、前記報知を検出装置10が発光体15を第一のパターンまたは第二のパターンで点灯する前に行う。
【0067】
通信端末40は、インジケータ44による報知を先に行うことで、作業者がインジケータ44による報知を認識できなかった場合においても、検出装置10の発光体15により作業結果を認識できる。
【0068】
状態収集システム1は、
検出装置10と、
通信端末40と、を備える。
【0069】
状態収集システム1は、検出装置10と通信端末40の組み合わせにより、作業者に作業結果を認識させることができる。
【0070】
なお上述の態様において、検出装置10の発光体15は、第三のパターンで点灯しておらず、消灯状態であることを前提としてもよい。
【0071】
また上述の態様において、検出装置10を例に説明したが、騒音環境で無線通信を行う装置であれば、検出装置10に限らない他の通信装置や中継器50にも適用可能である。
【0072】
本発明は、上述の例示的な態様に限定されず、また当業者は、上述の例示的な態様を特許請求の範囲に含まれる範囲まで容易に変更することができるであろう。
【符号の説明】
【0073】
1・・・状態収集システム
10・・・検出装置
11・・・検出装置の制御部
15・・・検出装置の発光体
18・・・検出装置のタグ部
20・・・ネットワーク構築装置
30・・・データ蓄積装置
40・・・通信端末
41・・・通信端末の制御部
42・・・通信端末のタグ制御部
44・・・通信端末のインジケータ
50・・・中継器
60・・・カード型記憶媒体