(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】積層体及び包装体
(51)【国際特許分類】
B32B 27/36 20060101AFI20231205BHJP
B32B 9/00 20060101ALI20231205BHJP
B32B 15/08 20060101ALI20231205BHJP
B32B 15/09 20060101ALI20231205BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B32B27/36
B32B9/00 A
B32B15/08 A
B32B15/09 A
B65D65/40 D
(21)【出願番号】P 2022154169
(22)【出願日】2022-09-27
(62)【分割の表示】P 2018058392の分割
【原出願日】2018-03-26
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100183678
【氏名又は名称】丸島 裕
(72)【発明者】
【氏名】西山 亜紀
(72)【発明者】
【氏名】大和 洋平
(72)【発明者】
【氏名】高杉 祐也
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-072006(JP,A)
【文献】特開2016-44308(JP,A)
【文献】特開平02-219749(JP,A)
【文献】特開2012-254804(JP,A)
【文献】特開2014-141302(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00、B65D65/00-65/46、
B29C55/00-55/30、61/00-61/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシール層と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層とをこの順に備え、
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエステル系樹脂を含み、
前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエステル系樹脂を含み、
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角が、MD方向に対して、-40°以上、40°以下であり、
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層のMD方向が揃うように積層されており、
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層が設けられる面側に蒸着膜を備えることを特徴とする、積層体。
【請求項2】
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層が、ポリエチレンテレフタレートを含む、請求項1に記載の積層体。
【請求項3】
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層の厚さが、5μm以上、40μm以下である、請求項1又は2に記載の積層体。
【請求項4】
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角と、前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角との差が、4°以上、15°以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の積層体から構成される包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
二軸延伸樹脂フィルムは、高い機械的強度を有するため、食品、飲料、医薬品、および化学品等を充填するための包装体の構成材料として利用されている。
【0003】
二軸延伸樹脂フィルムを構成材料として含む包装体は、容易に引き裂くことができず、内容物の漏れ等を生じさせてしまう場合があり、その開封容易性向上のため、従来より、包装体には、ノッチ、ミシン目等の形成が行われているが、開封容易性のさらなる改善が求められていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは、特定の分子配向角を有する、2枚の二軸延伸樹脂フィルムを積層させることにより、包装体の開封容易性を顕著に改善することができるとの知見を得た。本発明はかかる知見によるものであり、その解決しようとする課題は、開封容易性の高い包装体を作製することができる積層体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の積層体は、ヒートシール層と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層とをこの順に備え、
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエステル系樹脂を含み、
前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエステル系樹脂を含み、
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角が、MD方向に対して、-40°以上、40°以下であり、
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層のMD方向が揃うように積層されており、
前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層が設けられる面側に蒸着膜を備えることを特徴とする。
【0006】
一実施形態において、第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエチレンテレフタレートを含む。
【0007】
一実施形態において、第1の二軸延伸樹脂フィルム層の厚さは、5μm以上、40μm以下である。
【0008】
一実施形態において、前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角と、前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角との差が、4°以上、15°以下である。
【0009】
本発明の包装体は、上記積層体から構成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、開封容易性の高い包装体を作製することができる積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の積層体の模式断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の積層体の模式断面図である。
【
図3】
図3は、本発明の積層体を用いて作製した包装材料の正面図である。
【
図4】
図4は、本発明の積層体を用いて作製した包装体の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(積層体)
本発明の積層体10は、
図1に示すように、ヒートシール層11と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層12と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層13とを備える。
また、一実施形態において、本発明の積層体10は、
図2に示すように、任意の層間にアンカーコート層14を備えていてもよい。
【0013】
また、一実施形態において、本発明の積層体10は、
図2に示すように、ヒートシール層11と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層12との間、及び/又は第2の二軸延伸樹脂フィルム層との間に接着層15を備えていてもよい。
以下、本発明の積層体を構成する各層について説明する。
【0014】
(第1の二軸延伸樹脂フィルム層)
第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、その分子配向角が、MD方向に対して、-40°以上、40°以下であることを特徴とする。
また、包装材料の開封容易性という観点からは、分子配向角は、-30°以上、30°以下であることが好ましく、-20°以上、20°以下であることがより好ましく、-15°以上、15°以下であることがさらに好ましい。
本発明において「分子配向角」とは、分子配向軸を測定した場合における、分子配向軸のMD方向からのずれ(角度)を意味する。
また、正の分子配向角は、MD方向から反時計回りに傾斜した角度を、負の分子配向角は、MD方向から時計回りに傾斜した角度を意味する。
なお、延伸樹脂フィルム層の分子配向角は、延伸の程度を調整することにより調整することができる。また、1枚の原反フィルム(例えば、6m巾のフィルム)においても、場所によって、分子配向角は異なるため、このフィルムにおける使用箇所を変更することによっても分子配向角を調整することができる。
【0015】
本発明において、分子配向角の測定は、40mm×40mmの測定サンプルから、位相差測定装置(王子計測機器(株)製、KOBRA-WR、入射角:0°~50°(10°ピッチ))を使用することにより測定することができる。
【0016】
第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、樹脂材料を含み、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート-イソフタレート共重合体及びテレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体等のポリエステル系樹脂、ナイロン6及びナイロン6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン(低密度ポリエチレン(密度0.925g/cm3未満)、直鎖状低密度ポリエチレン(密度0.925g/cm3未満)、中密度ポリエチレン(密度0.925~0.944g/cm3)、高密度ポリエチレン(密度0.945g/cm3以上))、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール及びポリビニルピロリドン(PVP)等のビニル系樹脂、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート及びポリメチルメタアクリレート等の(メタ)アクリル系樹脂、ポリイミド及びポリエーテルイミド等のポリイミド系樹脂、スチレン系樹脂、並びにセロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)及びセルロースアセテートブチレート(CAB)等のセルロース系樹脂等が挙げられる。
これらのうち、上記した中でも、成形性及び機械的強度の観点から、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)がより好ましい。
第1の二軸延伸樹脂フィルム層は樹脂材料を2種以上含むことができる。
【0017】
第1の二軸延伸樹脂フィルム層における樹脂材料の含有量は、50質量%以上、99質量%以下であることが好ましく、60質量%以上、95質量%以下であることがより好ましい。
【0018】
本発明の特性を損なわない範囲において、第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、ワックス、充填材、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料及び染料等の着色剤並びに蛍光発色材料等の添加材を含んでいてもよい。
【0019】
また、隣接する層の接着性を向上させるために、第1の延伸樹脂フィルム層の表面に対し、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、またはフレーム処理などの表面活性化処理を行うことが好ましい。
【0020】
また、第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、その表面に、文字、柄、記号等の画像が形成されていてもよい。画像の経時的な劣化を防止することができるため、第1の二軸延伸樹脂フィルム層の第2の二軸延伸樹脂フィルム層を積層する側に画像を形成することが好ましい。
画像の形成方法は、特に限定されるものではなく、グラビア印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の従来公知の印刷法を挙げることができる。これらの中でも、環境負荷の観点から、フレキソ印刷法が好ましい。
また、画像形成に使用する着色剤についても特に限定されるものではなく、例えば、チタン白、亜鉛華、弁柄、朱、群青、コバルトブルーチタン黄、黄鉛、カーボンブラック等の無機顔料、イソインドリノンイエロー、ハンザイエローA、キナクリドンレッド、パーマネントレッド4R、フタロシアニンブルー、インダスレンブルーRS、アニリンブラック等の有機顔料(あるいは染料も含む)、アルミニウム、真鍮、等の金属粉末からなる金属顔料、二酸化チタン被覆雲母、塩基性炭酸鉛等の箔粉からなる真珠光沢(パール)顔料、蛍光顔料等を用いることができる。
【0021】
第1の二軸延伸樹脂フィルム層の厚さは、5μm以上、40μm以下であることが好ましく、7μm以上、20μm以下であることがより好ましい。第1の二軸延伸樹脂フィルム層の厚さを上記数値範囲とすることにより、第1の二軸延伸樹脂フィルム層の機械的強度を維持しつつ、包装材料の開封容易性を向上することができる。
【0022】
(第2の二軸延伸樹脂フィルム層)
第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、その分子配向角が、MD方向に対して、-40°以上、40°以下であることを特徴とする。
また、包装材料の開封容易性という観点からは、分子配向角は、-30°以上、30°以下であることが好ましく、-20°以上、20°以下であることがより好ましく、-15°以上、15°以下であることがさらに好ましい。
【0023】
第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、樹脂材料を含むことができ、成形性及び機械的強度の観点から、ポリエステル系樹脂を含むことが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)を含むがより好ましい。なお、第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、樹脂材料を2種以上含むことができる。
【0024】
第2の二軸延伸樹脂フィルム層における樹脂材料の含有量は、50質量%以上、99質量%以下であることが好ましく、60質量%以上、95質量%以下であることがより好ましい。
【0025】
本発明の特性を損なわない範囲において、第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、ワックス、充填材、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料及び染料等の着色剤並びに蛍光発色材料等の添加材を含んでいてもよい。
【0026】
第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、少なくとも一方の面に蒸着膜又はアルミニウム箔等の金属箔を備えることができる。これにより、本発明の積層体及びこれにより作製される包装材料のガスバリア性を向上することができる。
【0027】
蒸着膜としては、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の無機物または無機酸化物を含む蒸着膜を使用することができる。
【0028】
無機酸化物の表記は、例えば、SiOX、AlOX等のようにMOX(ただし、式中、Mは、無機元素を表し、Xの値は、無機元素によってそれぞれ範囲がことなる。)で表される。Xの値の範囲としては、ケイ素(Si)は、0~2、アルミニウム(Al)は、0~1.5、マグネシウム(Mg)は、0~1、カルシウム(Ca)は、0~1、カリウム(K)は、0~0.5、スズ(Sn)は、0~2、ナトリウム(Na)は、0~0.5、ホウ素(B)は、0~1、5、チタン(Ti)は、0~2、鉛(Pb)は、0~1、ジルコニウム(Zr)は0~2、イットリウム(Y)は、0~1.5の範囲の値をとることができる。上記において、X=0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではなく、また、Xの範囲の上限は、完全に酸化した値である。包装用材料には、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)が好適に使用され、ケイ素(Si)は、1.0~2.0、アルミニウム(Al)は、0.5~1.5の範囲の値のものを使用することができる。
【0029】
本発明において、上記のような無機物または無機酸化物の蒸着膜の膜厚としては、使用する無機物または無機酸化物の種類等によって異なるが、例えば、50~2000Å位、好ましくは、100~1000Å位の範囲内で任意に選択して形成することが望ましい。
【0030】
蒸着膜の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
【0031】
また、隣接する層の接着性を向上させるために、第2の二軸延伸樹脂フィルム層の表面に対し、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、またはフレーム処理などの表面活性化処理を行うことが好ましい。
【0032】
第2の二軸延伸樹脂フィルム層の厚さは、5μm以上、40μm以下であることが好ましく、7μm以上、20μm以下であることがより好ましい。第2の二軸延伸樹脂フィルム層の厚さを上記数値範囲とすることにより、第2の二軸延伸樹脂フィルム層の機械的強度を維持しつつ、包装材料の開封容易性を向上することができる。
【0033】
第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、従来公知の接着剤を介して、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と積層することができる。また、低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を第1の二軸延伸樹脂フィルム層上に押し出し、この低密度ポリエチレンを介して積層することもできる。
また、包装体の開封容易性の観点から、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層のMD方向が揃うように積層することが好ましい。
【0034】
(ヒートシール層)
ヒートシール層は、熱可塑性樹脂を含むことができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸メチル共重合体、エチレン-プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、熱可塑性ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリアミド系樹脂等が挙げられる。
これらの中でも、ポリエチレンが好ましく、具体的には、直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンが好ましい。
【0035】
ヒートシール層における熱可塑性樹脂の含有量は、50質量%以上、99質量%以下であることが好ましく、60質量%以上、95質量%以下であることがより好ましい。
【0036】
本発明の特性を損なわない範囲において、ヒートシール層は、ワックス、充填材、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、顔料及び染料等の着色剤並びに蛍光発色材料等の添加材を含んでいてもよい。
【0037】
ヒートシール層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、5μm以上、150μm以下とすることができる。
【0038】
ヒートシール層は、上記材料を含むフィルムを、第2の二軸延伸樹脂フィルム層上に塗布した従来公知の接着剤又は第2の二軸延伸樹脂フィルム層上に押し出した低密度ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を介して積層することができる。
また、上記材料を含む樹脂組成物を第2の二軸延伸樹脂フィルム層上に塗布し、乾燥させることによっても、ヒートシール層を形成することができる。
【0039】
(アンカーコート層)
本発明の積層体は、任意の層間にアンカーコート層を備えることができる。例えば、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層との間、及び/又は第2の二軸延伸樹脂フィルム層と、ヒートシール層と、の間に設けることができる。これにより、これら層間の密着性を向上することができる。
【0040】
アンカーコート層は、ポリオレフィン系アンカーコート剤、エポキシ系アンカーコート剤、ビニル系アンカーコート剤、イミン系アンカーコート剤、ウレタン系アンカーコート剤等の従来公知のアンカーコート剤を用いることにより形成することができる。
【0041】
アンカーコート層の厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、0.1μm以上、1.0μm以下とすることができる。
【0042】
(接着層)
本発明の積層体は、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層との間及び/又は第2の二軸延伸樹脂フィルム層と、ヒートシール層と、の間に接着層を備えることができる。
【0043】
接着層は、上記した熱可塑性樹脂や、従来公知の接着剤を用いることにより形成することができる。例えば、第1の二軸延伸樹脂フィルム層上に、低密度ポリエチレンを溶融押し出し、第2の二軸延伸樹脂フィルム層と貼り合わせこれを乾燥させることにより、形成することができる。
【0044】
接着層の厚さは、特に限定されるものではなく、例えば、5μm以上、30μm以下とすることができる。
【0045】
(包装材料)
本発明の包装材料20は、上記積層体からなり、内容物を収容するための開口を有する(
図3参照)。
【0046】
一実施形態において、積層体を用意し、ヒートシール層が重なるよう、折りたたみ、この周辺端部をヒートシールすることにより、包装材料を作製することができる。
また、一実施形態において、2枚の積層体を用意し、ヒートシール層同士が向かい合うように、重ね合わせ、周辺端部をヒートシールすることにより、包装材料を作製することができる。
2枚の積層体を重ね合わせて包装材料を作製する場合、包装体の開封容易性の観点から、積層体を構成する第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び第2の二軸延伸樹脂フィルム層のMD方向が揃うように重ね合わせることが好ましい。
【0047】
一実施形態において、包装材料は、自立式の包装材料(スタンディングパウチ)であってもよい(図示せず)。
【0048】
ヒートシールの方法は、特に限定されるものではなく、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シールおよび超音波シールなどの公知の方法を用いることができる。
【0049】
(包装体30)
本発明の包装体30は、上記した包装材料20の開口から内容物を充填し、開口をヒートシールすることにより作製することができる。
【0050】
図4に示すように、内容物を取り出すための開口を形成するための切断線31を有していてもよく、また、開封用の切り込みであるノッチ32を有していてもよい。
【0051】
本発明においては、以下の実施形態も包含する。
[1] ヒートシール層と、第1の二軸延伸樹脂フィルム層と、第2の二軸延伸樹脂フィルム層とを備え、第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び第2の二軸延伸樹脂フィルム層の分子配向角が、MD方向に対して、-40°以上、40°以下であることを特徴とする積層体。
[2]前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、少なくとも一方の面に蒸着膜又は金属箔を備える[1]に記載の積層体。
[3]前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層は、ポリエチレンテレフタレートを含む、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4]前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層の厚さは、5μm以上、40μm以下である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5]前記第1の二軸延伸樹脂フィルム層及び前記第2の二軸延伸樹脂フィルム層は、これらのMD方向が揃うように積層されている、[1]~[4]のいずれか一項に記載の積層体。
[6][1]~[5]のいずれか一項に記載の積層体から構成される包装体。
【実施例】
【0052】
以下、実施例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
【0053】
(実施例1-1)
第1の二軸延伸樹脂フィルム層を構成するフィルムとして、東洋紡(株)製のコロナ処理二軸延伸PETフィルム(厚さ12μm)を用意した。このフィルムの分子配向角を測定したところ、40°であった。
【0054】
二軸延伸PETフィルムのコロナ処理面に、アンカーコート剤(三井化学(株)製、タケラックA3210/A3075)を塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成させた。
【0055】
アンカーコート層上に、乾燥後の厚さが15μmとなるように、低密度ポリエレンを押し出し、該ポリエチレンを介して、アンカーコート層上に、尾池パックマテリアル(株)製のアルミ蒸着膜を備える二軸延伸PETフィルム(分子配向角22°、厚さ15μm)を、第1の二軸延伸樹脂フィルム層とMD方向が揃うように、積層し、第2の二軸延伸樹脂フィルム層を形成した。
【0056】
アルミ蒸着膜を備える二軸延伸PETフィルム上に、アンカーコート剤(三井化学(株)製、タケラックA3210/A3075)を塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成させた。
【0057】
アンカーコート層上に、乾燥後の厚さが15μmとなるように、低密度ポリエレンを押し出し、該ポリエチレンを介して、アンカーコート層上に、PEフィルム((株)アイセロ製、S-201AS-1、厚さ40μm)を積層し、ヒートシール層を形成させ、本発明による積層体を得た。
【0058】
(実施例1-2~1-7及び比較例1-1~1-4)
コロナ処理二軸延伸PETフィルム及びアルミ蒸着膜を備える二軸延伸PETフィルムの分子配向角を表1に示す数値に変更した以外は、実施例1-1と同様にして積層体を作製した。
【0059】
(実施例2-1)
第1の二軸延伸樹脂フィルム層を構成するフィルムとして、三井化学東セロ(株)製のコロナ処理二軸延伸PPフィルム(厚さ12μm)を用意した。このフィルムの分子配向角を測定したところ、35°であった。
【0060】
二軸延伸PPフィルムのコロナ処理面に、アンカーコート剤(三井化学(株)製、タケラックA3210/A3075)を塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成させた。
【0061】
アンカーコート層上に、乾燥後の厚さが15μmとなるように、低密度ポリエレンを押し出し、該ポリエチレンを介して、アンカーコート層上に、尾池パックマテリアル(株)製のアルミ蒸着膜を備える二軸延伸PETフィルム(分子配向角28°、厚さ15μm)を、第1の二軸延伸樹脂フィルム層とMD方向が揃うように、積層し、第2の二軸延伸樹脂フィルム層を形成した。
【0062】
アルミ蒸着膜を備える二軸延伸PETフィルム上に、アンカーコート剤(三井化学(株)製、タケラックA3210/A3075)を塗布、乾燥し、厚さ0.1μmのアンカーコート層を形成させた。
【0063】
アンカーコート層上に、乾燥後の厚さが15μmとなるように、低密度ポリエレンを押し出し、該ポリエチレンを介して、アンカーコート層上に、PEフィルム((株)アイセロ製、S-201AS-1、厚さ40μm)を積層し、ヒートシール層を形成させ、本発明による積層体を得た。
【0064】
(比較例2-1)
コロナ処理二軸延伸PPフィルム及びアルミ蒸着膜を備える二軸延伸PETフィルムの分子配向角を表2に示す数値に変更した以外は、実施例2-1と同様にして積層体を作製した。
【0065】
<<開封容易性試験>>
上記実施例及び比較例において得られた積層体をヒートシール層が向かい合うように折りたたみ、3辺端部を5mmの幅でヒートシールし、ノッチを有する包装体を作製した。
該包装体をノッチから開封し、その容易性を以下の評価基準に基づいて、評価した。評価結果を表1及び2にまとめた。
(評価結果)
A:力をほとんど加えることなく、開封することができた。
B:力を少し加える必要があったが、実用上問題なかった。
NG:力を強く加える必要があり、伸びや千切れが発生する等、実用上問題があった。
【0066】
【0067】
【符号の説明】
【0068】
10:積層体
11:ヒートシール層
12:第1の二軸延伸樹脂フィルム層
13:第2の二軸延伸樹脂フィルム層
14:アンカーコート層
15:接着層