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▶ 不二製油株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】植物ベース乳を含む水中油型乳化物
(51)【国際特許分類】
   A23D 7/005 20060101AFI20231205BHJP
   A23D 7/02 20060101ALI20231205BHJP
   A23L 25/00 20160101ALI20231205BHJP
   A23L 7/10 20160101ALI20231205BHJP
   A23L 11/60 20210101ALI20231205BHJP
   A23L 11/65 20210101ALI20231205BHJP
【FI】
A23D7/005
A23D7/02
A23L25/00
A23L7/10 H
A23L11/60
A23L11/65
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022155053
(22)【出願日】2022-09-28
(65)【公開番号】P2023050176
(43)【公開日】2023-04-10
【審査請求日】2023-09-14
(31)【優先権主張番号】P 2021159448
(32)【優先日】2021-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】315015162
【氏名又は名称】不二製油株式会社
(72)【発明者】
【氏名】永渕 詢大
(72)【発明者】
【氏名】武田 真梨子
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 昌伸
(72)【発明者】
【氏名】星川 紗更
【審査官】戸来 幸男
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-236348(JP,A)
【文献】特開2008-161106(JP,A)
【文献】特開昭59-135839(JP,A)
【文献】特開昭62-22562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23D 7/00-7/06
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
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(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)及び(B)を満たす、ランダムエステル交換油脂、ならびに植物ベース乳を含む、水中油型乳化物。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.3~40重量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量が40~80重量%
【請求項2】
該ランダムエステル交換油脂が(A)、(B)、及び(C)を満たす、請求項1に記載の水中油型乳化物。
(C)構成脂肪酸組成中、オレイン酸含量が10重量%以下
【請求項3】
該ランダムエステル交換油脂が(A)、(B)、及び(D)を満たす、請求項1に記載の水中油型乳化物。
(D)(炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量)/(炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量)の比が1.0~6.0
【請求項4】
該ランダムエステル交換油脂が(A)、(B)、(C)、及び(D)を満たす、請求項2に記載の水中油型乳化物。
(D)(炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量)/(炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量)の比が1.0~6.0
【請求項5】
上記(A)が1~35重量%である、請求項1又は請求項2に記載の水中油型乳化物。
【請求項6】
上記(A)が1~35重量%である、請求項3又は請求項4に記載の水中油型乳化物。
【請求項7】
該ランダムエステル交換油脂の含有量が、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05重量%以上である、請求項5に記載の水中油型乳化物。
【請求項8】
該ランダムエステル交換油脂の含有量が、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05重量%以上である、請求項6に記載の水中油型乳化物。
【請求項9】
該植物ベース乳の由来が、アーモンド、オーツ麦、大豆から選ばれる1つ以上である、請求項5に記載の水中油型乳化物。
【請求項10】
該植物ベース乳の由来が、アーモンド、オーツ麦、大豆から選ばれる1つ以上である、請求項6に記載の水中油型乳化物。
【請求項11】
下記(A)及び(B)を満たす、ランダムエステル交換油脂を水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05重量%以上、ならびに植物ベース乳を混合して乳化させる、水中油型乳化物の製造方法。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.3~40重量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量が40~80重量%
【請求項12】
下記(A)及び(B)を満たす、ランダムエステル交換油脂、ならびに植物ベース乳を含む水中油型乳化物における、異風味を抑制させる方法。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.3~40重量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量が40~80重量%
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物ベース乳を含む水中油型乳化物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の健康志向やSDGsへの関心の高まりから、環境負荷が少ないと言われる植物性成分を含む製品が注目されている。特に、乳原料が不使用の製品、例えば大豆やアーモンドなどから製造される植物ミルクは摂取機会が増え、広がりを見せている。
【0003】
このような植物を使用した飲食品などは、その植物由来の豊かな風味が感じられる一方で、例えば、大豆でいう青臭さなど、原料としている植物由来の異風味もあり、商品化では問題となることが多い。
【0004】
植物由来の異風味を改善する方法は種々提案されている。例えば、豆乳由来の青臭さ、豆臭さを改善する方法として、減脂大豆蛋白素材を含み、植物ステロールとしてカンペステロール及びスチグマステロールを含む、大豆特有の青臭味等が少ない乳代替飲食品(特許文献1)や、豆乳にココナッツミルクを配合して加熱処理した、飲食後の大豆特有の不快味が抑制された豆乳含有液状飲食品(特許文献2)などが提供されている。
【0005】
また、アーモンドを使用した飲食品では、アーモンド粉砕品を用いた、香味に優れた飲料、食品及び調味料(特許文献3)、堅果類であるアーモンドペーストを含有する起泡性水中油型乳化物、(特許文献4)、アーモンドミルクを用いた油中水型乳化油脂組成物(特許文献5)などが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-13395号公報
【文献】特開2009-159911号公報
【文献】特開2020-80672号公報
【文献】特開昭62-22562号公報
【文献】特開2017-077219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、植物ステロールを配合することで一定の大豆由来の異風味の低減は見られるものの、他の植物由来の乳に対して同様の効果が得られるかは不明である。特許文献2は豆乳由来の異風味を抑制できるものの、ココナッツミルクの配合量次第ではココナッツミルクの風味が豆乳の良い風味よりも勝る懸念もあり、風味のバランスが崩れる場合がある。
また、特許文献3では特定の粒径のアーモンドペーストが香味良好である記載はあるものの、水中油型乳化物への配合や製造方法、異風味についての開示がない。特許文献4でもホイップ性の良好なアーモンドペースト含有クリームが得られているが、風味、特にアーモンド由来の異風味についての検討はなされていない。特許文献5ではコクの付与は記載されているが、この出願もアーモンドミルク由来の異風味については不明である。
【0008】
斯かる実情に鑑み、豆乳以外にも、風味が良好とされる植物由来の乳であっても、わずかながらその植物由来の穀物臭さ、異風味があるという新たな課題があることを発明者らは見出し、本発明は、植物本来の美味しい風味を損なわずに、植物由来の異風味を抑制することを課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意研究を行ったところ、様々な植物由来の乳を含む水中油型乳化物において、特定の脂肪酸組成を有するランダムエステル交換油脂の配合が、植物乳由来の異風味を抑制することを見出し、本発明を完成させた。
【0010】
すなわち、本発明は、
(1)下記(A)及び(B)を満たす、ランダムエステル交換油脂、ならびに植物ベース乳を含む、水中油型乳化物、
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.3~40重量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量が40~80重量%
(2)該ランダムエステル交換油脂が(A)、(B)、及び(C)を満たす、(1)に記載の水中油型乳化物、
(C)構成脂肪酸組成中、オレイン酸含量が10重量%以下
(3)該ランダムエステル交換油脂が(A)、(B)、及び(D)を満たす、(1)に記載の水中油型乳化物、
(D)(炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量)/(炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量)の比が1.0~6.0
(4)該ランダムエステル交換油脂が(A)、(B)、(C)、及び(D)を満たす、(2)に記載の水中油型乳化物、
(D)(炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量)/(炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量)の比が1.0~6.0
(5)上記(A)が1~35重量%である、(1)又は(2)に記載の水中油型乳化物、
(6)上記(A)が1~35重量%である、(3)又は(4)に記載の水中油型乳化物、
(7)該ランダムエステル交換油脂の含有量が、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05重量%以上である、(5)に記載の水中油型乳化物、
(8)該ランダムエステル交換油脂の含有量が、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05重量%以上である、(6)に記載の水中油型乳化物、
(9)該植物ベース乳の由来が、アーモンド、オーツ麦、大豆から選ばれる1つ以上である、(5)に記載の水中油型乳化物、
(10)該植物ベース乳の由来が、アーモンド、オーツ麦、大豆から選ばれる1つ以上である、(6)に記載の水中油型乳化物、
(11)下記(A)及び(B)を満たす、ランダムエステル交換油脂を水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05重量%以上、ならびに植物ベース乳を混合して乳化させる、水中油型乳化物の製造方法、
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.3~40重量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量が40~80重量%
(12)下記(A)及び(B)を満たす、ランダムエステル交換油脂、ならびに植物ベース乳を含む水中油型乳化物における、異風味を抑制させる方法、
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.3~40重量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量が40~80重量%
に関するものである。
また、換言すれば、
(21)下記(A)及び(B)を満たす、ランダムエステル交換油脂、ならびに植物ベース乳を含む、水中油型乳化物、
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.3~30重量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量が45~80重量%
(22)該ランダムエステル交換油脂の含有量が、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05~60重量%である、(21)に記載の水中油型乳化物、
(23)該ランダムエステル交換油脂がさらに下記(C)を満たす、(21)又は(22)に記載の水中油型乳化物、
(C)構成脂肪酸組成中、オレイン酸含量が10重量%以下
(24)該植物ベース乳の由来が、アーモンド、オーツ麦、大豆から選ばれる1つ以上である、(21)から(23)のいずれか1項に記載の水中油型乳化物、
(25)(21)から(24)のいずれか1項に記載の水中油型乳化物の製造方法、
(26)該ランダムエステル交換油脂、ならびに該植物ベース乳を含むことを特徴とする、(21)から(24)のいずれか1項に記載の水中油型乳化物における、異風味を抑制させる方法、
に関するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、植物ベース乳由来の異風味が抑制された水中油型乳化物を提供することができる。しかも、この植物ベース乳由来の異風味の抑制効果は、特定の脂肪酸組成に調整したランダムエステル交換油脂を少量配合することで十分に発揮することができる。
また、本発明によれば、植物ベース乳由来の異風味を抑制しつつ、植物ベース乳の持つ豊かな風味が維持されており、全体的にバランスの取れた風味の水中油型乳化物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体的に説明する。
【0013】
(ランダムエステル交換油脂)
本発明のランダムエステル交換油脂は、下記(A)及び(B)を満たす、ランダムエステル交換油脂である。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が0.3~40重量%
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量が40~80重量%
なお、構成脂肪酸の測定方法は、AOCS Official Method Ce 1h-05の方法に準拠する。
【0014】
本発明のランダムエステル交換油脂は、好ましくは(A)構成脂肪酸組成中、炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量が1~35重量%、より好ましくは3~35重量%、さらに好ましくは5~25重量%、さらにより好ましくは5~20重量%である。
【0015】
本発明のランダムエステル交換油脂は、好ましくは(B)構成脂肪酸組成中、炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量が50~80重量%、より好ましくは60~75重量%である。
【0016】
本発明のランダムエステル交換油脂は、好ましくは(C)構成脂肪酸組成中、オレイン酸の含有量が10重量%以下、より好ましくは9重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下、さらにより好ましくは6重量%以下である。
【0017】
本発明のランダムエステル交換油脂は、好ましくは(D)(炭素数12~14の飽和脂肪酸の含有量)/(炭素数6~10の飽和脂肪酸の含有量)の比が1.0~6.0、より好ましくは1.0~5.0、さらに好ましくは1.3~4.5、さらにより好ましくは1.5~4.0である。
【0018】
本発明のランダムエステル交換油脂の原材料としては、前記構成を満たせば、種々の油脂類の配合量で調製して使用することができる。使用することができる油脂類としては、大豆油、菜種油、コーン油、綿実油、落花生油、ヒマワリ油、米油、べにばな油、サフラワー油、オリーブ油、ゴマ油、パーム油、ヤシ油、パーム核油、中鎖脂肪酸結合油脂(MCT)、シア脂、サル脂等の植物油脂及び牛脂、豚脂、乳脂等の動物脂、藻類油、微生物発酵由来の油脂、並びにこれらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
【0019】
本発明のランダムエステル交換油脂の原材料として、好ましくはヤシ油、パーム核油、MCT、乳脂並びにこれらを分別、水素添加、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。
本発明のランダムエステル交換油脂の特徴としては、原料油脂に非ラウリン系油脂を必須成分として含有する必要がない。本発明の効果を阻害しない範囲内で、非ラウリン系油脂を使用しても良いが、より望ましい態様としては、原料油脂に非ラウリン系油脂を使用しないことが好ましい。
また、動物性原料を含有しない植物ベースの水中油型乳化物を得る場合、ランダムエステル交換油脂の原材料は植物性油脂が好ましい。
【0020】
本発明のランダムエステル交換油脂の原材料に、ラウリン酸を含む油脂を必須成分として使用するのが好ましい。その際、好ましくは該ラウリン酸を含む油脂のヨウ素価(IV)が10以下、より好ましくは5以下、さらに好ましくは1以下のラウリン酸を含む油脂を使用することが好ましい。
【0021】
本発明のランダムエステル交換油脂の含有量は、前記植物ベース乳を含む、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05~60重量%が好ましい。より好ましくは0.1~58重量%、さらに好ましくは1.0~55重量%、さらにより好ましくは2.0~10重量%である。前記ランダムエステル交換油脂がこの範囲にあることで、水中油型乳化物の乳化性等に影響することなく、植物ベース乳由来の異風味を抑制することができる。
【0022】
(植物ベース乳)
本発明は、植物ベース乳を含む水中油型乳化物であるが、係る植物ベース乳とは、植物性原料を基本原料として得られたもの(乳濁状の液体)を指す。原材料となる植物の種類は限定されず、例えば、アーモンド、ヘーゼルナッツ等の種子類、大豆、エンドウ豆、ヘンプ、ルピン豆、空豆、ひよこ豆等の豆類、コメ、オーツ麦などの穀類、キヌア、ココナッツ、亜麻仁等が挙げられ、中でもアーモンド、オーツ麦、大豆が好適である。これらを適当な割合で混合して使用することもできる。
また、植物ベース乳の製造方法は特に限定されず、例えば、原材料の粉砕、浸水/溶解、混合/攪拌、ろ過、均質化、殺菌等の工程によって得られるものが挙げられる。原材料の粉砕したペースト状のもの、原材料を粉末化したものを水等に溶かして得られる液体、原料由来の不溶性画分を含むものも、植物ベース乳として使用することができる。また、植物ベース乳として、原料メーカーが提供する、あるいは市販の植物ベース乳を購入し、本発明に用いても良い。また、他の例示として、大豆粉を水に溶かして得られる大豆乳も使用できる。
水中油型乳化物中、植物ベース乳は0.1重量%以上が好ましい。より好ましくは1~95重量%、さらに好ましくは5~90重量%、さらにより好ましくは5~85重量%である。
【0023】
好ましい態様としては、前記植物ベース乳は、わずかながら豆臭さ・穀物臭さのような異風味が存在する。本発明の前記ランダムエステル交換油脂を植物ベース乳と共に水中油型乳化物に配合することで、簡便に、その植物ベース乳由来の異風味が抑制される。例えば、アーモンドミルクには苦みを伴う穀物臭さ、オーツミルクには草っぽい穀物臭が、それぞれ感じられるが、前記ランダムエステル交換油脂を一定量配合するだけで、これら異風味が顕著に抑制され、また、豊かな風味に繋がる、喫食直後に感じる各植物ベース乳由来のフレーバーリリースと後半に感じる濃厚感の発現が良く、全体の風味が良好な乳化物が得られる。また、豆乳には青臭さや豆臭さがあるが、豆乳を含む水中油型乳化物に対しても、前記ランダムエステル交換油脂を配合するという平易な方法で、異風味が抑制され、豆乳の濃厚感も損なわず、乳化物全体の風味もかなり良い。
【0024】
(水中油型乳化物)
本発明の水中油型乳化物は、前記ランダムエステル交換油脂を含むが、ランダムエステル交換油脂の含有により、植物ベース乳を含む水中油型乳化物の植物ベース乳由来の異風味を抑制することができ、植物ベース乳の持つフレーバーリリースと濃厚さを維持した水中油型乳化物である。
【0025】
本発明の水中油型乳化物は、前記植物ベース乳と前記ランダムエステル交換油脂とを含むが、前記ランダムエステル交換油脂のみである必要はなく、前記ランダムエステル交換油脂を少なくとも水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05重量%以上含まれていれば、別途植物油脂を含んでも良い。また、前記ランダムエステル交換油脂のみの態様でも良い。より好ましくは0.05~60重量%、さらに好ましくは0.1~58重量%、さらにより好ましくは1.0~55重量%、最も好ましくは2.0~10重量%である。植物油脂は、特に限定されず、例えば、ヤシ油、パーム油、パーム核油、菜種油、ヒマワリ油等が挙げられる。より好ましくは、ヤシ油、パーム油並びにこれらの分別油や硬化油が良く、特に植物ベース乳の持つフレーバーリリースと濃厚感の発現が良く、水中油型乳化物全体の風味が良くなる。また、本発明の水中油型乳化物は、動物性原料、植物性原料、及び微生物発酵由来の動物性原料や植物性原料から選ばれる原料を1種以上含んでも良いが、動物性原料を含有しない植物ベースの水中油型乳化物を得る場合、植物性原料が好ましい。
【0026】
本発明の水中油型乳化物における油脂含量(油分)は、特に限定されず、例えば、植物ベース乳に由来する油分との合計で0.01~65重量%である。より好ましくは、0.05~60重量%である。水中油型乳化物の油分がこの範囲にあると、安定した乳化物が得られる。
【0027】
本発明の水中油型乳化物は、必要に応じて副原料を配合することができる。例えば、乳原料(生乳、生乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、生クリーム、バター等)や、糖質甘味料(砂糖、水あめ、果糖、ぶどう糖、糖アルコール、トレハロース等)や、安定剤(グアーガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アラビアガム、カラギナン、アルギン酸ナトリウム、CMC、水溶性セルロース、ゼラチン、ペクチン等)や、澱粉(イネ・小麦・米等の穀類由来の澱粉や、トウモロコシ由来の澱粉や、馬鈴薯・タピオカ等のいも類由来の澱粉等、もしくはこれらの加工澱粉や化工澱粉等)や、乳化剤(レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド等)や、食塩や、着香料や、着色料や、酸味料や、風味原料(コーヒー、ココア、茶類、チョコレート原料、果汁、果肉、種実類、蜂蜜、メープルシロップ、酒類等)や、各種栄養素(蛋白質や、アミノ酸や、ポリデキストロース、イヌリン、難消化性デキストリンなどの食物繊維や、ビタミン類や、ミネラル類等)等が挙げられる。
また、本発明の水中油型乳化物の形態は、特に限定されず、例えば、飲料、ホイップクリーム、フィリング、ホワイトナー等に使用することができる。
【0028】
本発明の水中油型乳化物の製造方法は、前記植物ベース乳と前記ランダムエステル交換油脂とを混合して乳化させる工程を含む。さらには、前記植物ベース乳と前記ランダムエステル交換油脂に、前記ランダムエステル交換油脂以外の前記植物油脂とを混合しても良い。前記植物ベース乳は水相に、前記ランダムエステル交換油脂は油相に、それぞれ他の原材料と共に混合する。乳化工程においての混合方法は特に限定されず、慣用の攪拌手段、例えば、攪拌棒などを用いた手攪拌や、攪拌子や攪拌翼を備えた機械的攪拌、超音波分散機などが利用できる。これらのうち、機械的攪拌が汎用される。機械的攪拌として、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、ホモディスパー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ボンミキサー、V型ミキサー、インラインミキサー等が挙げられる。機械的攪拌を使用する場合、攪拌速度は、処理量に応じて適宜選択できる。乳化工程において加熱温度は、例えば、50℃~90℃程度である。得られた水中油型乳化物は、油脂類の結晶状態を安定化させ、適度な粘度に調整するため、熟成(エージング)処理する熟成工程に供しても良い。得られた水中油型乳化物は、必要に応じて殺菌処理を行っても良く、行わなくても良い。殺菌処理しても品質劣化を抑制でき、殺菌方法としては加熱処理等が挙げられる。
【0029】
前記乳化工程を経て得られた水中油型乳化物は、さらにホイップ工程に供することにより、ホイップドクリーム(ホイップ後のホイップクリーム)を調製することができる。ホイップ工程では、乳化工程で得られた乳化物が部分的に解乳化すると共に、組成物が抱気することにより、ホイップドクリームが得られる。
また前記乳化工程を経て得られた水中油型乳化物は、フリージング工程及び硬化工程に供することで、冷菓を調製することができる。フリージング工程では、ミックス液をフリーザーにより急激に冷却させて水分を凍結させながら適当量の空気を混入させ、ミックス液中に微細な空気の泡と氷の結晶粒、脂肪粒子を分散させ、半流動状のソフトクリーム状とする。硬化工程では、これを充填・成形・包装した後、―20℃~―40℃に急冷却し、一定の形を保持し凍結させる。
【0030】
例えば、アーモンドミルクを用いたホイップドクリームの調製として、次のような調製方法を挙げることができる。前記ランダムエステル交換油脂、他の油脂を加温融解し、油溶性乳化剤等を加えて混合溶解し、油相とする。別途、温水に水溶性成分等を混合溶解し、水相とする。乳化タンクにて油相と水相を調合し、65℃で30分間ホモミキサーで予備乳化し、均質化する(圧力4Mpa)。その後、超高温殺菌設備にて殺菌処理し(144℃で4秒)、直ちに冷却することで、異風味が抑制され、また濃厚感を感じるフレーバーリリースの良いアーモンドミルクを用いたホイップドクリームを得ることができる。上述の副原料等を適宜使用することができる。
【0031】
本発明の異風味を抑制する方法は、前記ランダムエステル交換油脂、ならびに該植物ベース乳を含むことを特徴とする水中油型乳化物において、効果を発揮することができる。前記ランダムエステル交換油脂は、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中に0.05~60重量%、より好ましくは0.1~58重量%、さらに好ましくは1.0~55重量%、さらにより好ましくは2.0~10重量%である。前記ランダムエステル交換油脂の含量が上記範囲を満たしていれば、他の油脂と併用しても、植物ベース乳の異風味抑制効果を得ることができる。また、水中油型乳化物の調製方法は、上述の通りである。
【0032】
(実施例)
以降に本発明をより詳細に説明する。なお、文中「部」及び「%」は特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0033】
(検討油脂の調製)
表1の配合に従い、次の方法で各検討油脂を調製した。すなわち、各油脂を混合し、ナトリウムメチラートを用いて80℃にてランダムエステル交換反応を行ったあと、常法に従い水洗/脱色/脱臭を行い、各検討油脂を得た。検討に用いた油脂はいずれも不二製油(株)社製のものを使用した。中鎖脂肪酸結合油脂として、n―オクタン酸(炭素数8)とn―デカン酸(炭素数10)を構成脂肪酸とし、これらの重量比が60:40であるMCT-64(不二製油(株)社製)を用いた。また、検討に用いた油脂のヨウ素価(IV)を表1に記載した。なお、各検討油脂の脂肪酸組成分析はAOCS Official Method Ce 1h-05の方法に準じて測定した。各検討油脂の組成を表1に記載した。
【0034】
【表1】
【0035】
<検討1>アーモンドミルクを配合した水中油型乳化物の検討
(検討油脂の調製)
本検討では検討油脂1を用いた。その他に、ヤシ油、硬化ヤシ油、パーム中融点油(ヨウ素価46)を用いた(何れも不二製油(株)社製)。
【0036】
(アーモンドミルクを用いた水中油型乳化物の調製)
下記の調製方法にて、アーモンドミルクを用いた水中油型乳化物を得た。
1. 市販のアーモンドミルク飲料(江崎グリコ(株)社製、アーモンド効果(砂糖不使用)、脂質含量1.5%)を99部(比較例1、2、実施例1~6)あるいは97部(比較例3、実施例7、8)を、ホモミキサー(60℃で5000rpm)にて混合しながら、表2に記載の油脂を1部(比較例1、2、実施例1~6)あるいは3部(比較例3、実施例7、8)添加した。
2. 20分間攪拌した。
3. 2で得られた溶液を高圧ホモゲナイザー(15Mpa)に通液し、試飲に供する水中油型乳化物を得た。
なお、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中の検討油脂の配合量を表2に記載した。
【0037】
(評価方法)
評価は、植物ベース乳由来の異風味の有無と風味強度とし、それぞれ下記のように評価した。パネラー16名で官能評価を行い、パネラーの合議で、各評価共に3点以上のものを総合評価合格(○と表記)とした。評価結果を表2に記載した。
○アーモンドミルク由来の異風味(苦みを伴う穀物臭さ)の有無
1点:異風味がかなり感じられる。
2点:異風味が感じられる。
3点:異風味がわずかに感じられるが、喫食できる風味である。
4点:異風味が感じられない。
5点:異風味が全く感じられない。
○風味強度(喫食直後に感じるフレーバーリリースの強度と、後半に感じるアーモンドミルク由来の濃厚感の強度)
1点:フレーバーリリースがかなり弱く、アーモンドミルク由来の濃厚感が全く感じられない。
2点:フレーバーリリースが弱く、アーモンドミルク由来の濃厚感がわずかに感じる。
3点:フレーバーリリースがあり、アーモンドミルク由来の濃厚感を感じる。
4点:フレーバーリリースが強く、アーモンドミルク由来の濃厚感を良く感じる。
5点:フレーバーリリースがかなり強く、アーモンドミルク由来の濃厚感も強く感じ、乳化物全体の風味がかなり良い。
【0038】
【表2】
【0039】
アーモンドミルクを配合した水中油型乳化物において、ヤシ油を水中油型乳化物中の1部あるいは3部配合した比較例1と3では、何れもアーモンドミルク由来のフレーバーリリースと濃厚感が感じられるものの、異風味がかなり感じられた。また、硬化ヤシ油を配合した水中油型乳化物においても、ヤシ油と同様の傾向であった(比較例2)。
各検討油脂あるいは各検討油脂とパーム中融点油を配合した実施例1~8では、アーモンドミルク由来のフレーバーリリースと濃厚感が感じつつ、異風味が全く感じられなかった。検討油脂とパーム中融点油との併用では、バランスの取れた風味の良い乳化物が得られた。
【0040】
<検討2>オーツミルクを配合した水中油型乳化物の検討
(検討油脂)
本検討では検討油脂1を用いた。その他、ヤシ油とパーム中融点油を用いた。
【0041】
(オーツミルクを用いた水中油型乳化物の調製)
下記の調製方法にて、オーツミルクを用いた水中油型乳化物を得た。
1. 市販のオーツミルク飲料(ダノンジャパン(株)社製、alpro(砂糖不使用)、脂質含量1.4%)99部を、ホモミキサー(60℃で5000rpm)にて混合しながら、表2に記載の油脂を1部添加した。
2. 20分間攪拌した。
3. 2で得られた溶液を高圧ホモゲナイザー(15Mpa)に通液し、試飲に供する水中油型乳化物を得た。
なお、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中の検討油脂の配合量を表3に記載した。
【0042】
(評価方法)
評価は、植物ベース乳由来の異風味の有無と風味強度とし、それぞれ下記のように評価した。パネラー13名で官能評価を行い、パネラーの合議で、各評価共に3点以上のものを総合評価合格(○と表記)とした。評価結果を表3に記載した。
○オーツミルク由来の異風味(草っぽい穀物臭)の有無
1点:異風味がかなり感じられる。
2点:異風味が感じられる。
3点:異風味がわずかに感じられるが、喫食できる風味である。
4点:異風味が感じられない。
5点:異風味が全く感じられない。
○風味強度(喫食直後に感じるフレーバーリリースの強度と、後半に感じるオーツミルク由来の濃厚感の強度)
1点:フレーバーリリースがかなり弱く、オーツミルク由来の濃厚感が全く感じられない。
2点:フレーバーリリースが弱く、オーツミルク由来の濃厚感がわずかに感じる。
3点:フレーバーリリースがあり、オーツミルク由来の濃厚感を感じる。
4点:フレーバーリリースが強く、オーツミルク由来の濃厚感を良く感じる。
5点:フレーバーリリースがかなり強く、オーツミルク由来の濃厚感も強く感じ、乳化物全体の風味がかなり良い。
【0043】
【表3】
【0044】
オーツミルクを配合した水中油型乳化物において、ヤシ油を配合した比較例4では、オーツミルク由来のフレーバーリリースと濃厚感はかなり強いが、同時に異風味がかなり感じられた。一方、検討油脂1あるいは検討油脂1とパーム中融点油を配合した実施例9、10では、オーツミルク由来の異風味は全く感じられず、またオーツミルク由来の濃厚感も感じられた。
【0045】
<検討3>豆乳を配合した水中油型乳化物の検討
(検討油脂)
本検討には検討油脂1、4、5、6、7、8を用いた。その他に、ヤシ油、パーム中融点油、ステアリン酸及びオレイン酸を主体とする油脂(不二製油(株)社製、上昇融点25℃)を用いた。
【0046】
(豆乳を用いた水中油型乳化物の調製)
下記の調製方法にて、豆乳を用いた水中油型乳化物を得た。
1. 表4の配合に従い、油脂以外の全てを混合しながら、ホモミキサー(60℃で5000rpm)にて混合しながら、表5に記載の油脂を添加した。なお、比較例5のブランクは、油脂を添加せず、代わりに水を増やして調製した。
2. 6000rpmで20分間攪拌した。
3. 2で得られた溶液を高圧ホモゲナイザー(15Mpa)に通液し、5℃で一晩エージングし、試飲に供する水中油型乳化物を得た。
なお、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中の検討油脂の配合量を表5に記載した。
【0047】
【表4】
【0048】
(評価方法)
評価は、植物ベース乳由来の異風味の有無と風味強度とし、それぞれ下記のように評価した。パネラー11名で官能評価を行い、パネラーの合議で、各評価共に3点以上のものを総合評価合格(○と表記)とした。評価結果を表5に記載した。
○豆乳由来の異風味(青臭さや豆臭さ)の有無
1点:異風味がかなり感じられる。
2点:異風味が感じられる。
3点:異風味がわずかに感じられるが、喫食できる風味である。
4点:異風味が感じられない。
5点:異風味が全く感じられない。
○風味強度(喫食直後に感じるフレーバーリリースの強度と、後半に感じる豆乳由来の濃厚感の強度)
1点:フレーバーリリースがかなり弱く、豆乳由来の濃厚感が全く感じられない。
2点:フレーバーリリースが弱く、豆乳由来の濃厚感がわずかに感じる。
3点:フレーバーリリースがあり、豆乳由来の濃厚感を感じる。
4点:フレーバーリリースが強く、豆乳由来の濃厚感を良く感じる。
5点:フレーバーリリースがかなり強く、豆乳由来の濃厚感も強く感じ、乳化物全体の風味がかなり良い。
【0049】
【表5】
【0050】
豆乳を用いた水中油型乳化物において、油脂を含まないブランクでは(比較例5)、豆乳由来の異風味がかなり感じられ、またフレーバーリリースと濃厚感が弱く感じた。各検討油脂を含まない比較例6~8では、何れも豆乳由来のフレーバーリリースと濃厚感の強度は良いものの、豆乳由来の異風味が感じられた。特に比較例7と8では、かなり強い豆乳由来の異風味が感じられた。
検討油脂1、検討油脂4~8を配合した実施例11~16では、豆乳由来の異風味が感じられず、フレーバーリリースと濃厚感の強度も良好であった。また、比較例5~7の油脂の10%を検討油脂1、5、8に各々置換した実施例17~25でも、豆乳由来の異風味は全く感じられず、フレーバーリリースと濃厚感もかなり強く、乳化物全体の風味が良好であった。特に、ヤシ油と検討油脂を併用することで、バランスの取れた風味の良い乳化物であった(実施例17、実施例23)。また、パーム中融点油を容量依存的に検討油脂1に置換しても、豆乳由来の異風味はほぼ感じられず、風味強度も良好であった(実施例26~28)。
この検討から、各検討油脂は共に配合する油脂の種類に関係なく、また各検討油脂を少量配合しても、豆乳由来の異風味を十分に抑制することが確認された。合わせてフレーバーリリースと濃厚感が良好で、バランスの取れた風味の水中油型乳化物を得ることができた。
【0051】
<検討4>豆乳を配合した水中油型乳化物の検討
(検討油脂)
本検討では検討油脂1を用いた。その他に、ヤシ油とパーム中融点油を用いた。
【0052】
(豆乳を用いた水中油型乳化物の調製)
下記の調製方法にて、殺菌処理した、豆乳を用いた水中油型乳化物を得た。
1. 表4の配合に従い、油脂以外の全てを混合しながら、ホモミキサー(60℃で5000rpm)にて混合しながら、表6に記載の油脂を添加した。
2. 6000rpmで20分間攪拌した。
3. 2で得られた溶液を超高温殺菌設備にて殺菌処理した(145℃で7秒)。
4. 殺菌後の溶液を高圧ホモゲナイザー(15Mpa)に通液し、5℃で一晩エージングし、試飲に供する水中油型乳化物を得た。
なお、水中油型乳化物の油脂含量(油分)中の検討油脂の配合量を表6に記載した。
【0053】
(評価方法)
評価は、検討3を踏襲した。評価結果を表6に記載した。
【0054】
【表6】
【0055】
豆乳を含む水中油型乳化物を殺菌しても、比較例9のヤシ油を配合したものはフレーバーリリースと濃厚感が強いが、異風味が感じられたのに対し、実施例29の検討油脂1配合あるいは実施例30のパーム中融点油の10%を検討油脂1で置換したものでは、何れも豆乳由来の異風味は感じられず、風味強度も良好であった。
本発明のランダムエステル交換油脂を水中油型乳化物に少量配合することでも、植物ベース乳由来の異風味を十分抑制することができ、また植物ベース由来の豊かな風味も感じることができることを確認した。