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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】情報処理システムおよび情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20231205BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20231205BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022167699
(22)【出願日】2022-10-19
(62)【分割の表示】P 2021144725の分割
【原出願日】2021-09-06
(65)【公開番号】P2023038183
(43)【公開日】2023-03-16
【審査請求日】2022-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】飯 潔倫
(72)【発明者】
【氏名】山口 賢二
(72)【発明者】
【氏名】小川 淳也
(72)【発明者】
【氏名】長沼 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】山本 純也
(72)【発明者】
【氏名】利根 優太
(72)【発明者】
【氏名】石塚 真規
(72)【発明者】
【氏名】田中 唯之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】横井 友香
(72)【発明者】
【氏名】林 貴志
(72)【発明者】
【氏名】岡 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】濱田 優
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-009572(JP,A)
【文献】特開2021-111130(JP,A)
【文献】特開2002-149774(JP,A)
【文献】特開2009-269438(JP,A)
【文献】特開平11-066119(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111784089(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0135405(US,A1)
【文献】特表2012-515950(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0085904(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の塗装膜の少なくとも一部分に、事後的に剥離可能な第二の塗装膜が重ねて形成された車両についてのデータを管理する第一の装置と、
前記第二の塗装膜の施工を行う拠点に対応する第二の装置と、
を含む情報処理システムであって、
前記第二の装置は、
前記第二の塗装膜を形成する前に撮影された前記車両の外観に対応する画像である第一の画像を取得することと、
前記第二の塗装膜に関する情報の入力を受け付けることと、
前記第二の塗装膜に関する情報と、前記第一の画像とを含む作業データを生成することと、
を実行し、
前記第一の装置は、
前記第二の装置から前記作業データを取得することと、
前記作業データに基づいて、前記車両について、前記第一の画像と、前記第二の塗装膜に関する情報とを関連付けてデータベースに記憶させることと、
を実行する、
情報処理システム。
【請求項2】
前記第一の装置は、前記データベースから、指定された車両に対応する前記第一の画像と、前記第二の塗装膜の色に関する情報を取得し、出力する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記作業データは、前記第二の塗装膜を形成した後に撮影された前記車両の外観に対応する画像である第二の画像をさらに含み、
前記第一の装置は、前記データベースから、前記車両に対応する前記第一の画像と、前記第二の画像を取得し、出力する、
請求項2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記第一の装置は、前記第一の画像および前記第二の画像を比較可能な形式で出力する、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
第一の塗装膜の少なくとも一部分に、事後的に剥離可能な第二の塗装膜を重ねて形成可能な車両について、前記第二の塗装膜の施工に関するデータである作業データを取得することと、
前記車両について取得した一つ以上の前記作業データに基づいて、前記車両に、前記第二の塗装膜が形成されているか否かを判定することと、
前記車両に、前記第二の塗装膜が形成されている場合に、前記第二の塗装膜を形成する前の前記車両の外観に対応する画像である第一の画像を取得することと、
を実行する制御部を有する、情報処理装置。
【請求項6】
前記作業データは、前記第一の画像をさらに含む、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記作業データは、前記第二の塗装膜を形成した後に撮影された前記車両の外観に対応する画像である第二の画像をさらに含む、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記車両に、前記第二の塗装膜が形成されている場合に、前記車両に対応する前記第一の画像と、前記第二の画像を取得し、出力する、
請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記第一の画像および前記第二の画像を比較可能な形式で出力する、
請求項8に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両に関するデータを提供する情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体色を好みに応じて変更したいという要望がある。これに関して、例えば、特許文献1には、外部環境に応じて自動車の車体色を変化させられる装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-287192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、車両の塗装履歴に関する情報を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一の態様は、第一の塗装膜の少なくとも一部分に、事後的に剥離可能な第二の塗装膜が重ねて形成された車両について、前記第二の塗装膜の施工に関するデータである履歴データを取得することと、前記履歴データに基づいて、前記第二の塗装膜を形成する前における前記車両の外観画像である第一の画像を取得することと、を実行する制御部を有する、情報処理装置である。
【0006】
また、本開示の第二の態様は、第一の塗装膜の少なくとも一部分に、事後的に剥離可能な第二の塗装膜が重ねて形成された車両に関する情報を提供する情報処理方法であって、前記車両についての前記第二の塗装膜の施工に関するデータである履歴データに基づいて、前記第二の塗装膜を形成する前における前記車両の外観画像である第一の画像を取得する、情報処理方法である。
【0007】
また、本開示の他の態様は、上記の情報処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム、または、該プログラムを非一時的に記憶したコンピュータ可読記憶媒体である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、車両の塗装履歴に関する情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】車両管理システムの概要を説明する図。
図2】管理サーバ、拠点サーバ、およびユーザ装置の構成を説明する図。
図3】車両に関する詳細情報を提示する画面の例。
図4A】塗装データベースに記憶されるデータの例。
図4B】販売データベースに記憶されるデータの例。
図5】拠点サーバによって生成される作業データの例。
図6】易剥離性塗料による塗装の概要図。
図7】拠点サーバが実行する処理のフローチャート。
図8】拠点サーバによって提供される画面の例。
図9】拠点サーバによって提供される画面の例。
図10】管理サーバが実行する処理のフローチャート。
図11】車両情報を取得する処理のシーケンス図。
図12】ステップS33において実行される処理のフローチャート。
図13】車体色に関する情報を提示する画面の例。
図14】第三の実施形態においてステップS34で実行される処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0010】
剥離可能な塗装膜を利用して、車両のボディに塗装を施す技術がある。斯様な塗装膜は事後的に剥離することができるため、任意のタイミングで車体色を変更することができる。これにより、例えば、車両の購入時に、中古車市場において人気のある車体色を選択したうえ、自分の好みの色を上塗りして使用し、売却時に元の色に戻すといったことが可能になる。また、上塗り塗装をすることによって、オリジナルの塗装膜が保護されるため、上塗り塗装を施さない場合と比較して中古車の価値を向上させることができる。
【0011】
なお、本明細書において、「上塗り」とは、車両が有する第一の塗装膜の上に、剥離可能な第二の塗装膜を形成することを指す。第二の塗装膜は、事後的に剥離することができる、一層以上の塗装膜である。また、「(塗装の)剥離」とは、第二の塗装膜を除去することを指す。また、「上塗り塗装」とは、易剥離層を含む塗装膜を使用して、既存の塗装膜の上に重ね塗りされた、剥離可能な塗装を指す。
なお、本明細書において、塗装膜とは、塗装の過程において施工される塗料の膜、剥離可能な膜、または、これらの組み合わせを指す語として用いる。
【0012】
中古車の販売広告においては、通常、車両の外観を撮影した画像が使用される。しかし、上塗り塗装が施された車両が販売される場合、元の塗装がどのような色であるかを示すことが難しい。例えば、上塗り塗装が施された車両が販売される場合、車両の現在の外観を提示することはできるが、上塗り塗装を剥離した後の外観を事後的に提示することはできない。
本開示に係る情報処理装置は、かかる問題を解決する。
【0013】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置は、第一の塗装膜の少なくとも一部分に、事後的に剥離可能な第二の塗装膜が重ねて形成された車両について、前記第二の塗装膜の施工に関するデータである履歴データを取得することと、前記履歴データに基づいて、前記第二の塗装膜を形成する前における前記車両の外観画像である第一の画像を取得することと、を実行する制御部を有することを特徴とする。
【0014】
第二の塗装膜は、事後的に剥離可能な塗装膜である。第二の塗装膜は、例えば、剥離可能なフィルム状の膜と通常の塗装膜の組み合わせであってもよいし、色を持つ塗装膜自体が剥離可能なもの(易剥離性塗料による塗装膜)であってもよい。車両が本来有する塗装膜の上に、剥離可能な塗装膜を形成することで、容易に車体色を変更できるようになる。
【0015】
履歴データは、第二の塗装膜の施工に関するデータである。第二の塗装膜の施工とは、第二の塗装膜を車体上に形成する作業、または、第二の塗装膜を剥離する作業のいずれかである。また、外観画像とは、車両の外観を表した画像である。外観画像は、車両を撮影したものであってもよいし、画像処理によって生成したものであってもよい。
履歴データは、例えば、第二の塗装膜を形成する前における車両の外観画像を含んでいてもよいし、第二の塗装膜を形成した後における車両の外観画像を含んでいてもよい。また、履歴データは、第一の塗装膜の色に関する情報を含んでもよいし、第二の塗装膜の色に関する情報を含んでもよい。
実施形態に係る情報処理装置は、斯様なデータを利用することで、第二の塗装膜を形成
する前における車両の外観を示す第一の画像を取得ないし生成することができる。
【0016】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。各実施形態に記載されているハードウェア構成、モジュール構成、機能構成等は、特に記載がない限りは開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0017】
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る車両管理システムの概要について、図1を参照しながら説明する。
本実施形態に係る車両管理システムは、複数の車両についての情報を管理する管理サーバ100と、車両拠点に対応する拠点サーバ200と、ユーザ装置300と、を含んで構成される。
【0018】
管理サーバ100は、メーカーによって製造され、ユーザに供給される車両についての情報を管理する装置である。管理対象の車両は、所定の車両拠点において、塗装作業を行うことができる。塗装作業とは、例えば、(1)新車製造時に第一の塗装膜(オリジナルの塗装膜)を形成する作業、(2)第一の塗装膜の上に第二の塗装膜(剥離可能な塗装膜)を形成する作業、または、(3)当該車両から第二の塗装膜を剥離する作業等を含む。車両拠点において、第一の塗装膜の上に第二の塗装膜を形成することで、車両の車体色を変更することができる。また、第二の塗装膜を剥離することで、車両の車体色を元に戻すことができる。
管理サーバ100は、管理下にある複数の車両について、過去に行われた塗装作業の履歴(以下、塗装履歴)を記録するデータベースを有している。
さらに、管理サーバ100は、ユーザに販売される車両に関する情報(例えば、車両の経歴等)を記録するデータベースを有している。これにより、管理サーバ100は、中古車の在庫検索機能を提供することができる。
【0019】
拠点サーバ200は、車両に対して塗装作業を行う車両拠点に関連付いたサーバ装置である。車両拠点とは、例えば、車両の製造工場、整備工場、カーディーラーなどである。拠点サーバ200は、所定の車両に塗装作業を行った際に、当該塗装作業の詳細を表すデータ(以下、作業データ)を生成して管理サーバ100に送信する。これにより、データベースの更新が行われる。
【0020】
ユーザ装置300は、車両を購入するユーザが所有するコンピュータである。ユーザ装置300が、管理サーバ100に対して、中古車の在庫情報を検索するリクエストを送信すると、管理サーバ100は、当該リクエストに応じてデータベースから情報を取得し、販売中の中古車に関する情報を取得し、提供する。なお、ユーザ装置300は、事業者の店舗(例えば、中古車販売店等)に設置されたコンピュータであってもよい。
なお、本例では、中古車を販売する形態を例示するが、販売される車両は新車、または、新古車であってもよい。
【0021】
図2は、本実施形態に係る車両管理システムに含まれる、管理サーバ100、拠点サーバ200、およびユーザ装置300の構成要素をより詳細に示した図である。ここではまず、ユーザ装置300について説明する。
ユーザ装置300は、制御部301、記憶部302、通信部303、および入出力部304を含んで構成される。
【0022】
制御部301は、ユーザ装置300が行う制御を司る演算装置である。制御部301は、CPU(Central Processing Unit)などの演算処理装置によって実現することができ
る。
制御部301は、管理サーバ100にアクセスしてインタラクションを行う機能を実行する。当該機能は、ユーザ装置300で動作するウェブブラウザや、専用のアプリケーションソフトウェアによって実現されてもよい。
【0023】
記憶部302は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部301によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部301において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。補助記憶装置には、制御部301で実行されるプログラムをアプリケーションとしてパッケージ化したものを記憶してもよい。また、これらのアプリケーションを実行するためのオペレーティングシステムを記憶してもよい。補助記憶装置に記憶されたプログラムが主記憶装置にロードされ、制御部301によって実行されることで、以降に説明する処理が行われる。
【0024】
通信部303は、ユーザ装置300をネットワークに接続するための無線通信インタフェースである。通信部303は、例えば、無線LANや3G、LTE、5G等の移動体通信サービスを介して、管理サーバ100と通信可能に構成される。
入出力部304は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示するユニットである。入出力部304は、例えば、一つのタッチパネルディスプレイからなる。入出力部304は、液晶ディスプレイとその制御手段、タッチパネルとその制御手段から構成されてもよい。
【0025】
次に、管理サーバ100について説明する。
管理サーバ100は、管理下にある複数の車両について、その塗装履歴を記憶するデータベース(以下、塗装データベース)を管理する。また、拠点サーバ200から受信した作業データに基づいて、塗装データベースの更新を行う。
さらに、管理サーバ100は、販売中の車両についての情報を記憶するデータベース(以下、販売データベース)を管理する。
管理サーバ100は、ユーザ装置300からの問い合わせに応答して、これらのデータベースから、所定の車両についての詳細情報を取得し、提供する。
【0026】
管理サーバ100は、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、管理サーバ100は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。補助記憶装置には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、各種テーブル等が格納され、そこに格納されたプログラムを主記憶装置の作業領域にロードして実行し、プログラムの実行を通じて各構成部等が制御されることによって、後述するような、所定の目的に合致した各機能を実現することができる。ただし、一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0027】
管理サーバ100は、制御部101、記憶部102、および、通信部103を有して構成される。
制御部101は、管理サーバ100が行う制御を司る演算装置である。制御部101は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
制御部101は、データ更新部1011、および、情報提供部1012の2つの機能モジュールを有して構成される。各機能モジュールは、記憶されたプログラムをCPUによって実行することで実現してもよい。
【0028】
データ更新部1011は、拠点サーバ200から受信したデータに基づいて、車両の塗装履歴を記憶するデータベース(塗装データベース)を更新する。データ更新部1011
は、拠点サーバ200から作業データを受信した場合(すなわち、所与の車両について塗装作業が行われた場合)に、その内容に応じたレコードを塗装データベースに追加する。
【0029】
車両が新規に製造された場合、当該車両は、オリジナルの車体色を有している。一方、当該車両に対して塗装作業が実施された場合、塗装の上塗りが行われ、車体色が変わる。また、上塗りされた塗装を剥離した場合も同様に、車体色が変わる。
塗装データベースは、新車製造時からの塗装作業の履歴を全て保持しているため、第三者は、塗装データベースを参照することで、所与の車両の塗装が現在どのような状態であるかについての情報を得ることができる。さらに、塗装データベースは、塗装作業の前後における車両の外観画像を記憶する。これにより、所与の車両についてオリジナルの画像を提供することができる。塗装データベースの詳細については後述する。
【0030】
情報提供部1012は、後述する記憶部102に記憶された、販売中の車両についての情報を管理するデータベース(販売データベース)に基づいて、車両に関する情報を生成し出力する。販売データベースには、車両の状態に関する情報、車両の画像、車両のスペック、車両の経歴、販売価格などに関する情報が記憶されており、情報提供部1012は、これらの情報に基づいて、ユーザ(すなわち、車両の購入者)に提供する画面を生成する。情報提供部1012は、ウェブサーバを介してこれらの情報をユーザに提供してもよい。
図3は、情報提供部1012によって生成される画面の一例である。
【0031】
一方、販売中の車両に対して、剥離可能な塗装が上塗りされている場合、販売データベースに記憶された情報だけでは、オリジナルの塗装に関する情報を提供することができない場合がある。そこで、情報提供部1012は、前述した塗装データベースに記憶された情報に基づいて、対象車両のオリジナルの外観画像を取得する。これにより、塗装を剥離した後の車体色をユーザに提示できるようになる。具体的な処理については後述する。
【0032】
記憶部102は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部101によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部101において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが記憶される装置である。
【0033】
また、記憶部102は、塗装データベース102A、および、販売データベース102Bを記憶する。
【0034】
塗装データベース102Aは、特定の車両に対して行われた塗装作業の履歴を記憶するデータベースである。図4Aに、塗装データベース102Aに記憶されるデータの例を示す。
本実施形態では、塗装作業は、(1)新車製造時における塗装作業、(2)剥離可能な塗装膜を形成(上塗り)する作業、(3)当該塗装膜を剥離する作業のいずれかである。図4の例では、一つのレコードが、一回の塗装作業に対応する。拠点サーバ200から作業データを受信した場合(すなわち、ある車両に対して塗装作業が行われた場合)、塗装作業に対応するレコードが新規に追加される。
【0035】
塗装データベース102Aは、車両の識別子、塗装作業を行った日付、塗装作業を行った車両拠点、施工種別(塗装作業の種別。すなわち、前述した(1)~(3)のいずれか)、塗装についての詳細情報などを含む。塗装についての詳細情報とは、例えば、何層目にどのような塗装を施したかを表す情報である。塗装についての詳細情報には、塗装膜の施工順序、塗装膜の色番号(図示した例では、C011,C012など)などが含まれる。勿論、これ以外の情報が含まれていてもよい。
さらに、塗装データベース102Aには、塗装作業を行う前の外観画像(施工前画像)、および、塗装作業を行った後の外観画像(施工後画像)が記憶される。これらの画像は、車両拠点の係員によって撮影されたものである。
【0036】
販売データベース102Bは、販売中である車両に関する情報を記憶するデータベース(在庫データベース)である。図4Bに、販売データベース102Bに記憶されるデータの例を示す。販売データベース102Bには、車両のメーカー、モデル名、グレード、オリジナルの車体色、年式、走行距離、オプション、検査の有無、修復歴の有無、販売価格、販売店に関する情報などが記憶される。
販売データベース102Bは、対象車両を在庫として持つ販売店によってメンテナンスされる。販売データベース102Bは、ネットワークによって複数の販売店で共有されていてもよい。
【0037】
前述した各データは、プロセッサによって実行されるデータベース管理システム(DBMS)のプログラムが、記憶装置に記憶されるデータを管理することで構築されてもよい。この場合、各データは、例えばリレーショナルデータベースとすることができる。
【0038】
通信部103は、管理サーバ100をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部103は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信インタフェースを含んで構成される。
【0039】
次に、拠点サーバ200について説明する。
拠点サーバ200は、車両の塗装作業を行う拠点に設置されたコンピュータであって、車両に対して塗装作業が行われた場合に、当該塗装作業の内容に関するデータ(作業データ)を管理サーバ100に送信する。
塗装作業は、例えば、ユーザによる塗装のオーダーがあった際に行われる。また、対象車両がリース車両である場合、車両の返却時に塗装を剥離し、元の車体色に戻す場合がある。さらに、中古車として買い取られた車両の塗装を、事業者の指示によって剥離する場合もある。なお、拠点サーバ200は、車両を製造する拠点(製造拠点)に設置されていてもよい。
【0040】
拠点サーバ200は、管理サーバ100と同様に、汎用のコンピュータにより構成することができる。すなわち、拠点サーバ200は、CPUやGPU等のプロセッサ、RAMやROM等の主記憶装置、EPROM、ハードディスクドライブ、リムーバブルメディア等の補助記憶装置を有するコンピュータとして構成することができる。
【0041】
拠点サーバ200は、制御部201、記憶部202、通信部203、および、入出力部204を有して構成される。
制御部201は、拠点サーバ200が行う制御を司る演算装置である。制御部201は、CPUなどの演算処理装置によって実現することができる。
【0042】
制御部201は、車両拠点の係員によって行われた入力の内容に基づいて、作業データを生成し、管理サーバ100へ送信する。図5は、作業データの内容を例示する図である。
作業データには、図示したように、車両の識別子、作業日、車両拠点、施工種別、塗装の詳細情報、施工前画像、施工後画像の各フィールドが含まれる。
車両の識別子は、対象の車両を一意に識別する識別子(例えば、車台番号やVIN(Vehicle Identification Number)等)である。作業日は作業を行った日付、車両拠点は、
塗装作業を行った車両拠点を一意に識別する識別子である。施工種別には、「新車製造時の塗装」「(塗装の)上塗り」「(上塗り塗装の)剥離」のいずれかが格納される。
【0043】
塗装の詳細情報は、塗装の詳細に関する情報が格納されるフィールドである。
具体的には、塗料の特徴(剥離可能であるか否か)、色に関する情報(色番号等)、重ね塗りの有無、重ね塗りの順序、付加層(クリア等)の有無などが格納される。
施工前画像は、塗装作業を行う前に撮影された、車両の外観画像である。施工後画像は、塗装作業を行った後に撮影された、車両の外観画像である。
【0044】
図5(A)および図5(B)は、塗装の上塗り、および、上塗りされた塗装の剥離を行った場合にそれぞれ生成される作業データの例である。
なお、拠点サーバ200が、車両の製造拠点に対応する装置である場合、拠点サーバ200は、車両の新規製造時に塗装を行った旨の作業データを生成してもよい。この場合、施工種別は「新車製造時の塗装」となる。
作業データは、後述する入出力部204を介して入力された情報に基づいて、制御部201によって生成され、管理サーバ100に送信される。
【0045】
記憶部202は、主記憶装置と補助記憶装置を含んで構成される。主記憶装置は、制御部201によって実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータが展開されるメモリである。補助記憶装置は、制御部201において実行されるプログラムや、当該制御プログラムが利用するデータ(作業データを含む)が記憶される装置である。
【0046】
通信部203は、拠点サーバ200をネットワークに接続するための通信インタフェースである。通信部203は、例えば、ネットワークインタフェースボードや、無線通信のための無線通信インタフェースを含んで構成される。
入出力部204は、ユーザが行った入力操作を受け付け、ユーザに対して情報を提示するユニットである。入出力部204は、例えば、外部ディスプレイとのインタフェース、キーボード、マウス等を含んでもよい。
【0047】
なお、図2に示した構成は一例であり、図示した機能の全部または一部は、専用に設計された回路を用いて実行されてもよい。また、図示した以外の、主記憶装置および補助記憶装置の組み合わせによってプログラムの記憶ないし実行を行ってもよい。
【0048】
ここで、剥離可能な塗装膜について簡単に説明する。図6(A)は、車体が有するボディ部材(例えば鋼板)と、ボディ部材に施工された塗装膜を示す概略断面図である。図示したように、ボディ部材は、金属加工され、電着層が形成された鋼板10と、電着層の上に順に形成された中塗り層20、ベース層30、および、クリア層40を有する。
これらの層が、一層目の塗装(オリジナルの塗装)に該当する。
【0049】
ボディ部材の外側面には、二層目の塗装として、剥離層50が形成されている。剥離層50は、易剥離性塗料の層であって、通常の塗装膜と比べ、力を加えることで容易に剥離できるという性質を持っている。剥離層50は、例えば噴霧法で易剥離性塗料をボディ部材に塗装することにより形成される。易剥離性塗料としては、例えばキシレン、エチルベンゼン、酸化防止剤、メチルエチルケトン、シリカ反応物、酸化チタン(ナノ粒子)、および、有機溶剤等からなる塗料が挙げられる。
【0050】
易剥離性塗料による車両の上塗り塗装は、所定の車両拠点において行うことができる。これにより、車両の車体色を容易に変更(すなわち、第一車体色から第二車体色へ変更)することができる。剥離層50の剥離も同様である。剥離層50を、所定の車両拠点において剥離することで、車両の車体色をオリジナルのものに戻す(すなわち、第二車体色から第一車体色へ戻す)ことができる。
【0051】
なお、本例ではボディ部材として鋼板を例示したが、ボディ部材は、樹脂部材であってもよい。この場合、中塗り層20はプライマー層となる。また、剥離層50の上にさらにクリア層を設けてもよい。
なお、図6(A)の例は、塗料自体に易剥離性を与えたものであるが、易剥離性を有する層の上に通常の塗装を施してもよい。例えば、図6(B)に示したように、剥離層50と同様の材料によって、着色されていない剥離層60を形成し、剥離層60の上に、ベース層30Aおよびクリア層40Aを形成してもよい。ベース層30Aは、ベース層30とは異なる色を持つ塗料の層である。かかる形態においても、剥離層60を剥離することで、塗料の層を除去することができる。
【0052】
なお、本例では、車体色、および、上塗り塗装の色として一色を例示したが、複数の色からなる塗装を行ってもよい。例えば、複数の色を所定のパターンによって配置したものを、車体色としてもよい。また、本明細書における「色」とは、単一の層だけでなく、複数の塗料ないし材料の層によって表現されるものであってもよい。複数の層は、例えば、クリア層、ガラスフレーク層、マイカ層、パール層などを含んでいてもよい。
また、上塗り塗装は、オリジナル塗装の少なくとも一部に対して行うものであってもよい。すなわち、上塗り塗装は、オリジナル塗装のすべてを覆うものでなくてもよい。例えば、オリジナルの車体色が黒色である場合、その一部に青色の上塗りを行うことで、黒色と青色のツートンカラーを持つ車両を得ることができる。
【0053】
次に、車両管理システムに含まれる各装置が実行する処理の詳細を説明する。
図7は、拠点サーバ200(制御部201)が実行する処理を示したフローチャートである。図7に示した処理は、所定の車両拠点において、車両に対する塗装が行われた場合に実行される。
【0054】
まず、ステップS11で、塗装作業の内容についての情報を取得する。本ステップでは、例えば、車両の識別子、および、施工種別を取得する。施工種別は、本例では、「新車製造時の塗装」「(塗装の)上塗り」「(上塗り塗装の)剥離」のいずれかである。これらの情報は、例えば、図8に示したような画面を介して入力させてもよい。図8の例では、符号801が、車両識別子を入力させるためのGUI部品である。また、符号802が、施工種別を選択させるためのGUI部品である。
【0055】
ステップS12では、施工種別を判定する。施工種別が、新車製造時の塗装、または、上塗り塗装である場合、処理はステップS13へ遷移する。
ステップS13では、塗装に関する詳細情報を取得する。本ステップでは、例えば、塗装を行う際に形成した層の数や、各層に対応する塗料の詳細情報などを取得する。これらの情報は、例えば、図9に示したような画面を介して入力させてもよい。例えば、図9(A)は、透明な剥離層を設けたあと、ベース層を設け、次いでクリア層を設けた場合の入力例である。また、図9(B)は、剥離層を設けたあと、異なる二種類の色を持つベース層を設け、次いでクリア層を設けた場合の入力例である。このように、層ごとの詳細な情報を入力することもできる。
【0056】
施工種別が塗装の剥離である場合、処理はステップS14へ遷移する。
ステップS14では、塗装の剥離に関する情報を取得する。本ステップでは、例えば、最も上の層を所定の手段によって剥離した旨の情報が取得される。所定の手段とは、例えば、高圧水流によるもの、手作業によるもの等である。塗装の剥離に関する情報は、剥離に利用した設備の名称や、水圧の設定値などを含んでもよい。
【0057】
ステップS15では、施工前における車両の外観画像と、施工後における車両の外観画像を取得する。図8における符号803は、施工前後における車両の外観画像を選択およ
びアップロードするためのGUI部品である。なお、画像のアップロードは必須でなくてもよい。最後に、制御部201が、前述した情報を含んだ作業データを生成する。
【0058】
拠点サーバ200によって生成された作業データは、管理サーバ100に送信され、データ更新部1011によって処理される。
図10は、管理サーバ100(データ更新部1011)が行う、データベースの更新処理のフローチャートである。
【0059】
まず、ステップS21で、拠点サーバ200から送信された作業データを取得する。
次に、ステップS22で、塗装データベース102Aに、対象車両に対して行われた塗装作業に対応するレコードを追加する。すなわち、車両の識別子、作業日、車両拠点、施工種別、塗装の詳細情報、施工前画像、施工後画像からなるレコードを新規に追加する。なお、データベースの更新が完了したタイミングで、その旨を拠点サーバ200に通知してもよい。
【0060】
以上に説明した処理によって、管理サーバ100が有する塗装データベースの更新が行われる。
【0061】
次に、ユーザが、販売中である車両を検索する処理について説明する。
管理サーバ100は、ユーザ装置300から送信されたリクエストに応答して、管理下にある車両(販売中である車両)についての詳細情報を提供する。
図11は、ユーザ装置300からの求めに応じて、管理サーバ100が車両の詳細情報を提供する処理のシーケンス図である。
【0062】
まず、ステップS31で、ユーザ装置300が、対象車両を指定する。本ステップでは、例えば、ユーザが車両の在庫検索を行い、得られたリストの中から車両を指定する。ユーザ装置300は、対象車両を一意に識別するための識別子を管理サーバ100に送信する。
次に、ステップS32で、管理サーバ100が、販売データベースから、指定された車両に対応するデータを取得し、一時的に記憶する。
【0063】
ステップS33では、管理サーバ100が、対象車両に対応する外観画像を取得する。図12は、ステップS33における処理の詳細を示したフローチャートである。
まず、ステップS331で、対象車両が、剥離可能な塗装膜を有しているか否かを判定する。対象車両が剥離可能な塗装膜を有しているか否かは、塗装データベース102Aに記憶された情報に基づいて判定することができる。
対象車両が剥離可能な塗装膜を有していない場合、処理はステップS332へ遷移する。対象の車両が剥離可能な塗装膜を有している場合、処理はステップS333へ遷移する。
【0064】
ステップS332では、対象車両について最新の外観画像を取得する。
ステップS333では、対象車両について、最新の外観画像と、剥離可能な塗装膜が形成される前における外観画像(すなわち、一層下の塗装が露出した状態の外観画像)の双方を取得する。
【0065】
ステップS34では、管理サーバ100が、ステップS32で取得したデータと、ステップS33で取得した画像データに基づいて、ユーザに提示する画面を生成する。
例えば、管理サーバ100は、車両の詳細情報および外観画像を含む画面を生成し、出力する。対象車両が、剥離可能な塗装膜を有している場合、当該画面には、以下のような情報が含まれる。
・現在の塗装状態(剥離可能な塗装膜の施工有無)
・現在の車体色(現在露出している塗装膜の色)
・現在の外観画像
・オリジナルの車体色(現在の塗装膜を剥離した場合に現れる塗装膜の色)
・オリジナルの外観画像(現在の塗装膜を剥離した場合における外観画像)
本ステップでは、管理サーバ100は、例えば、図3に示したような、車両に関する全般的な情報のほか、図13に示したような、車両の色に関する詳細な情報を提示する画面を生成する。当該画面は、対象車両の現在の外観画像とオリジナルの外観画像とを比較できる画面であることが好ましい。
生成された画面はユーザ装置300へ送信され、ユーザに提示される。
【0066】
以上説明したように、第一の実施形態に係る車両管理システムでは、管理サーバ100が、管理下にある複数の車両について、塗装作業の履歴を記憶し、塗装作業が実施されるごとに、塗装に関連する情報を外観画像とともに保存する。
また、リクエストに応じて、販売データベースの検索を行い、得られた外観画像とともに、車両の詳細情報を提供する。これにより、車両を購入するユーザに、対象車両の塗装に関する状態を正確に把握させることが可能になる。
【0067】
(第二の実施形態)
第一の実施形態では、塗装作業を行うごとに車両の外観画像を取得し、データベースに保存した。これに対し、第二の実施形態は、外観画像をデータベースに保存せず、対象車両に対応する外観画像を画像処理によって生成する実施形態である。本実施形態では、車両の外観画像は、管理サーバ100によって生成されたCG画像である。
【0068】
第二の実施形態では、塗装データベース102Aは、車両の外観画像を記憶しない。また、拠点サーバ200は、車両の外観画像を管理サーバ100に提供しない。代わりに、管理サーバ100は、車両のモデルごとに定義されたサンプル画像に対して画像処理(色加工)を行うことで、所定の色を持つ車両の外観画像を生成する。
【0069】
第二の実施形態では、ステップS332およびS333において、外観画像を取得する代わりに、塗装データベース102Aに記憶された情報に基づいて、サンプル画像に対して画像処理を行い、外観画像を生成する。サンプル画像とは、車両の外観を表すグラフィックであって、車体色の着色が行われていないものである。サンプル画像は、実際の車両を撮影したものであってもよいし、コンピュータグラフィックによって生成されたものであってもよい。サンプル画像は、車両のモデルごとに定義される。
【0070】
例えば、ステップS332では、最後に行われた塗装作業において形成された塗装膜の色を取得し、取得した色によってサンプル画像の着色を行う。
また、ステップS333では、剥離可能な塗装膜が形成される前における車体色(すなわち、一層下の塗装に対応する車体色)を取得し、取得した車体色によってサンプル画像の着色を行う。
ステップS34以降の処理は、第一の実施形態と同様である。
【0071】
第二の実施形態によると、塗装データベースに記憶された色情報に基づいて、画像処理によって車両の外観画像を生成する。これにより、塗装作業を行うごとに車両の外観画像を撮影する必要が無くなり、現場の負担を軽減することができる。
【0072】
なお、画像処理による外観画像の生成は、第一の実施形態において実施してもよい。例えば、ある車両について、施工前画像、施工後画像のいずれかが不足している場合、画像処理によって、不足している画像を生成するようにしてもよい。
【0073】
(第三の実施形態)
車両に対して剥離可能な塗装が施されている場合、下層の塗装膜が保護されるため、上塗り塗装が施されていない車両よりも価値が高くなる場合がある。第三の実施形態は、このようなケースを考慮し、車両の塗装状態に応じて、その販売価格を補正する実施形態である。
【0074】
第一および第二の実施形態では、ステップS34において、販売データベースに記録された販売価格がそのままユーザに提示される。一方、第三の実施形態では、対象車両に上塗り塗装が施されている場合に、その状態に応じて販売価格の補正を行う。
なお、第三の実施形態では、販売データベースに記憶される販売価格は、上塗り塗装の有無を考慮しない価格であるものとする。
【0075】
図14は、第三の実施形態で、ステップS34において実行される処理の詳細を示したフローチャートである。
まず、ステップS341で、販売データベースに記録されている対象車両の販売価格を取得する。
次に、ステップS342で、対象車両が剥離可能な塗装膜を有しているか否かを判定する。対象車両が剥離可能な塗装膜を有しているか否かは、塗装データベース102Aに記憶された情報に基づいて判定することができる。
対象車両が剥離可能な塗装膜を有していない場合、処理はステップS344へ遷移する。対象車両が剥離可能な塗装膜を有している場合、処理はステップS343へ遷移する。
【0076】
ステップS343では、販売データベースに記録された対象車両の販売価格を取得したうえで、上塗り塗装による価値の向上分を販売価格に上乗せする。
上塗り塗装による価値の向上分は、上塗り塗装の有無のほか、上塗り塗装を行ってからの経過時間などに基づいて算出してもよい。剥離可能な塗装膜に耐用年数がある場合、塗装を行ってから期間が経過するほどその価値が低下すると考えられるためである。
販売価格の補正は、これらの要素に基づいて、所定のルールによって行うことができる。例えば、テーブルないし数式によって所定のルールを定義し、記憶部102に記憶させてもよい。
ステップS344では、取得ないし補正した販売価格を含む画面を生成する。
【0077】
第三の実施形態によると、剥離可能な塗装膜の有無に基づいて、車両の価値をより正確に算出することが可能になる。
【0078】
なお、本実施形態では、上塗り塗装による価値の向上分を販売価格に上乗せする例を挙げたが、それ以外の要素に基づいて販売価格の補正を行ってもよい。例えば、オリジナルの車体色が、中古車市場において人気の高い車体色である場合、そうでない場合と比較してより価値が高く評価される場合がある。従って、オリジナルの車体色にさらに基づいて販売価格の補正を行うようにしてもよい。
【0079】
(変形例)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。
例えば、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0080】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によ
って実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0081】
例えば、管理サーバ100が、車両の外観画像を取得ないし生成する第一の装置と、販売中の車両に関する情報を提供する第二の装置に分かれていてもよい。この場合、第一の装置は、塗装データベースを管理し、指定された車両の外観画像を提供する装置として機能する。また、第二の装置は、販売データベースを管理し、外観画像の提供を受けて、ユーザに提供する画面を生成する装置として機能する。
【0082】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク・ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、光学式カード、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0083】
100・・・管理サーバ
101,201,301・・・制御部
102,202,302・・・記憶部
103,203,303・・・通信部
200・・・拠点サーバ
300・・・ユーザ装置
204,304・・・入出力部
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14