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特許7396446搬送ロボット、搬送システム、及び搬送方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】搬送ロボット、搬送システム、及び搬送方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20231205BHJP
   B25J 5/00 20060101ALI20231205BHJP
   B62D 63/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G05D1/02 H
B25J5/00 A
B62D63/02
G05D1/02 Y
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022194040
(22)【出願日】2022-12-05
(62)【分割の表示】P 2020532498の分割
【原出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2023026449
(43)【公開日】2023-02-24
【審査請求日】2022-12-05
(31)【優先権主張番号】P 2018141332
(32)【優先日】2018-07-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕志
(72)【発明者】
【氏名】對馬 隆介
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-111826(JP,A)
【文献】特開2009-6415(JP,A)
【文献】平田泰久、外,複数移動ロボットによる未知形状物体の協調搬送,第18回日本ロボット学会学術講演会予稿集,2000年09月12日,Vol.3,P.1025-1026,3C15
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
B25J 5/00
B62D 63/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送対象物を搬送する第1の搬送ロボットと、
前記搬送対象物と接触する第2の接触部を備える第2の搬送ロボットと、
前記第1の搬送ロボットを制御する制御部と、
を有し、
前記第1の搬送ロボットは、
複数の車輪と、
前記搬送対象物と接触する第1の接触部と、
弾性部材を介して前記第1の接触部に取り付けられた板部材と、を備え、
前記制御部は、前記第1の接触部と前記板部材との距離に応じて、前記第1の接触部と前記第2の接触部とで前記搬送対象物を挟むように前記車輪の駆動を制御する、
搬送システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の搬送ロボットに備えられる、
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記第1の接触部と前記板部材との距離に応じて、前記第1の接触部にかかる荷重に係る情報を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出された荷重に係る情報に応じて、前記車輪の駆動を制御する、
請求項1又は2に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記検出された荷重に係る情報に応じて、前記第1の接触部にかかる荷重が所定の範囲に入るように、前記車輪の駆動を制御する、
請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記第1の搬送ロボットは、
前記板部材に固定されたアームを備え、
前記アームは、前記第1の搬送ロボットに対して回動自在に支持されている、
請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記第1の搬送ロボットは、所定位置から回動した状態の前記アームを前記所定位置に戻すように復元する復元機構を備える、
請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記第1の搬送ロボットは、前記第1の接触部の回動をガイドし、かつ、前記搬送対象物への前記第1の接触部の押し付けを支持するガイド機構を有する、
請求項1から6のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項8】
複数の車輪と、
搬送対象物と接触する接触部と、
弾性部材を介して前記接触部に取り付けられた板部材と、
前記接触部と前記板部材との距離に応じて、第2の搬送ロボットが備える第2の接触部と前記接触部とで前記搬送対象物を挟んで搬送するように前記車輪の駆動を制御する制御部と、
を備える搬送ロボット。
【請求項9】
前記接触部と前記板部材との距離に応じて、前記接触部にかかる荷重に係る情報を検出する検出部を備え、
前記制御部は、前記検出部によって検出された荷重に係る情報に応じて、前記車輪の駆動を制御する、
請求項8に記載の搬送ロボット。
【請求項10】
搬送対象物を搬送する第1の搬送ロボットに備えられた、前記搬送対象物と接触する第1の接触部と、弾性部材を介して前記第1の接触部に取り付けられている板部材との距離を取得し、
前記距離に応じて、前記第1の接触部と第2の搬送ロボットが備える第2の接触部とで前記搬送対象物を挟むように前記第1の搬送ロボットの車輪の駆動を制御することによって、前記搬送対象物を搬送する、
搬送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願についての記載)
本発明は、日本国特許出願:特願2018-141332号(2018年07月27日出願)の優先権主張に基づくものであり、同出願の全記載内容は引用をもって本書に組み込み記載されているものとする。
本発明は、搬送ロボット、搬送システム、及び搬送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数台の搬送ロボットを協働(協調)させて搬送物を搬送する搬送システムとして、以下のようなものがある。
【0003】
例えば、特許文献1、2の搬送システムでは、複数台の搬送ロボットのそれぞれにターンテーブル(位置誤差吸収機構)を設置し、複数のターンテーブル間を跨ぐように搬送物(荷物)を配置して、搬送物を搬送する構成となっている。
【0004】
また、特許文献3の搬送システムでは、複数台の搬送ロボットのそれぞれにアームとハンドを設け、複数のハンドで搬送物を下から回転自在に支持して、搬送物を搬送する構成となっている。
【0005】
また、特許文献4の搬送システムでは、複数台の搬送ロボットのそれぞれにロボットアームとフックを設け、複数のフックで搬送物を吊り上げて、搬送物を搬送する構成となっている。
【0006】
さらに、特許文献5の搬送システムでは、複数台の搬送ロボットのそれぞれに可動アームと把持機構を設け、複数の把持機構で搬送物を把持して、搬送物を搬送する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第6151159号公報
【文献】特許第5588714号公報
【文献】特開2000-42958号公報
【文献】特開2007-111826号公報
【文献】特開2009-6415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下の分析は、本願発明者により与えられる。
【0009】
特許文献1、2の搬送システムでは、搬送物をターンテーブル上に載せ替えるための人手又は載せ替えロボットが必要になる。また、物流業務(搬送業務)においては、移動しやすくするため、荷物を台車(ドーリーを含む)に載せて搬送することが多いが、特許文献1、2の搬送システムでは、荷物を台車に載せたまま、当該台車を搬送することができない。
【0010】
また、特許文献3の搬送システムでは、ハンドで支持できるようにするための支持棒を搬送物に設けておく必要があり、支持棒がない搬送物を搬送することができない。
【0011】
また、特許文献4の搬送システムでは、フックで吊り下げできるようにするためのアイボルトを搬送物に取り付ける必要があり、アイボルトを取り付けることができない搬送物を搬送することができない。
【0012】
さらに、特許文献5の搬送システムでは、把持機構で把持できるようにするための把持部を搬送物に設けておく必要があり、把持部のない搬送物を搬送することができない。
【0013】
物流業務においては、荷主等によって様々な形態(形状、サイズ等)の台車が用いられているが、荷物が載った台車(搬送対象物)を改造しないでそのまま搬送できるようにしたい。
【0014】
本発明の主な課題は、搬送対象物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物を改造しないでそのまま搬送することに貢献することができる搬送ロボット、搬送システム、及び搬送方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
第1の視点に係る搬送ロボットは、搬送対象物を搬送するに際して、他の搬送ロボットと協働することにより、前記搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成される。
前記第1の視点の変形として、搬送対象物を搬送するに際して、他の搬送ロボットと協働することにより、前記搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成される搬送ロボットであって、本体と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記接触部が一端に取り付けられるとともに他端近傍において前記本体に対して回動自在に支持されるアームを有する回動機構と、前記本体の両側方において回転可能に取り付けられた一対の車輪と、を備え、前記回動機構は、前記本体に対して前記アームを、前記一対の車輪間の幅の中点を通る軸を中心に回動自在にし、前記回動機構の前記軸は、前記接触部の接触面が垂直に配されているときに垂直方向に配されるように構成される。
【0016】
第2の視点に係る搬送システムは、搬送対象物を搬送する複数の搬送ロボットを備える搬送システムであって、搬送対象物を搬送するに際して、前記複数の搬送ロボットが協働することにより、前記搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成される。
前記第2の視点の変形として、搬送対象物を搬送する複数の搬送ロボットを備える搬送システムであって、前記搬送対象物を搬送するに際して、前記複数の搬送ロボットが協働することにより、前記搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するように構成され、前記搬送ロボットは、本体と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記接触部が一端に取り付けられるとともに他端近傍において前記本体に対して回動自在に支持されるアームを有する回動機構と、前記本体の両側方において回転可能に取り付けられた一対の車輪と、を備え、前記回動機構は、前記本体に対して前記アームを、前記一対の車輪間の幅の中点を通る軸を中心に回動自在にし、前記回動機構の前記軸は、前記接触部の接触面が垂直に配されているときに垂直方向に配されるように構成される。
【0017】
第3の視点に係る搬送方法は、搬送対象物を搬送する複数の搬送ロボットを用いた搬送方法であって、搬送対象物を搬送するに際して、前記複数の搬送ロボットが協働することにより、前記搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送する。
前記第3の視点の変形として、搬送対象物を搬送する複数の搬送ロボットを用いた搬送方法であって、前記搬送対象物を搬送するに際して、前記複数の搬送ロボットが協働することにより、前記搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送し、前記搬送ロボットは、本体と、
前記搬送対象物と接触する接触部と、前記接触部が一端に取り付けられるとともに他端近傍において前記本体に対して回動自在に支持されるアームを有する回動機構と、前記本体の両側方において回転可能に取り付けられた一対の車輪と、を備え、前記回動機構は、前記本体に対して前記アームを、前記一対の車輪間の幅の中点を通る軸を中心に回動自在にし、前記回動機構の前記軸は、前記接触部の接触面が垂直に配されているときに垂直方向に配されるように構成される。
【発明の効果】
【0018】
前記第1~第3の視点によれば、搬送対象物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物を改造しないでそのまま搬送することに貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態1に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。
図2】実施形態1に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態を模式的に示した平面図である。
図3】実施形態1に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態を模式的に示した側面図である。
図4】実施形態2に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。
図5】実施形態3に係る搬送システムにおける搬送ロボットの構成を模式的に示した外観斜視図である。
図6】実施形態3に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
図7】実施形態3に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の第1の例を模式的に示した平面図である。
図8】実施形態3に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の第1の例を模式的に示した側面図である。
図9】実施形態3に係る搬送システムにおける搬送ロボットの回動機構の動作を説明する平面図である。
図10】実施形態3に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の第2の例を模式的に示した平面図である。
図11】実施形態3に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の第3の例を模式的に示した平面図である。
図12】実施形態3に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の第4の例を模式的に示した平面図である。
図13】実施形態4に係る搬送システムにおける搬送ロボットの構成を模式的に示した外観斜視図である。
図14】実施形態4に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
図15】実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの構成を模式的に示した外観斜視図である。
図16】実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
図17】実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部の動作を説明する部分左側面図である。
図18】実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの復元機構の動作を説明する概略部分平面図である。
図19】実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部を第1方向に回動したときの概略部分平面図である。
図20】実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部を第2方向に回動したときの概略部分平面図である。
図21】実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットのガイド機構の動作を説明する概略底面図である。
図22】実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部を第1方向に回動したときの概略底面図である。
図23】実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部を第2方向に回動したときの概略底面図である。
図24】実施形態6に係る搬送システムにおける搬送ロボットのガイド機構の動作を説明する概略底面図である。
図25】実施形態7に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
図26】実施形態8に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
図27】実施形態9に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明では、モード1に係る搬送ロボットとして、前記第1の視点に係る搬送ロボットのモード(モード1)が可能であり、以下に示す変形モードを適宜選択して組み合わせることができる。
【0021】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記他の搬送ロボットは、前記搬送ロボットと同じ構成とすることができる。
【0022】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記搬送対象物は、物品を載せる台座に、旋回可能な車輪を有する台車とすることができる。
【0023】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記搬送ロボットは、本体と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記接触部が一端に取り付けられるとともに他端近傍において前記本体に対して回動自在に支持されるアームを有する回動機構と、を備えることができる。
【0024】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記回動機構は、所定位置から回動した状態の前記接触部を前記所定位置に戻すように復元する復元機構を有することができる。
【0025】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記復元機構は、弾性部材を有することができる。
【0026】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記回動機構は、前記復元機構の振動を減衰する減衰機構を有することができる。
【0027】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記減衰機構は、摩擦、粘性、ヒステリシスにより前記復元機構の振動を減衰することができる。
【0028】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記搬送ロボットは、前記本体の両側方において回転可能に取り付けられた一対の車輪を備え、前記回動機構は、前記本体に対して前記アームを、前記一対の車輪間の幅の中点を通る軸を中心に回動自在にすることができる。
【0029】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記接触部は、前記搬送対象物との接触面に、前記搬送対象物との間の摩擦力を大きくする摩擦部を有することができる。
【0030】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記接触部は、前記搬送対象物を下から持ち上げ可能にするフォーク部を有し、前記搬送ロボットは、前記接触部を昇降可能にする昇降機構を有することができる。
【0031】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記搬送ロボットは、前記本体に取り付けられるとともに、前記本体に対する前記接触部の回動をガイドし、かつ、前記搬送対象物への前記接触部の押し付けを支持するガイド機構を有することができる。
【0032】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記ガイド機構は、前記本体に取り付けられるとともにガイド面を有するガイド部材と、前記接触部に回転自在に取り付けられるとともに前記ガイド面上を回転するローラと、を備えることができる。
【0033】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記搬送ロボットは、前記本体に取り付けられるとともに、前記一対の車輪を駆動する一対の駆動部と、前記一対の駆動部を制御する制御部と、通信部と、を備え、前記制御部は、前記通信部を介して、前記他の搬送ロボットと通信可能に接続され、かつ、前記他の搬送ロボットと協働することにより、前記一対の駆動部を制御することができる。
【0034】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記搬送ロボットは、前記接触部と前記搬送対象物とが接触したときの荷重を検出する荷重センサを有し、前記制御部は、前記荷重センサで検出した荷重に基づいて、前記接触部と前記搬送対象物とが接触したときの荷重が所定の数値範囲に入るように、前記一対の駆動部を制御することができる。
【0035】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記接触部は、2枚の板と、前記2枚の板間に配された弾性部材と、を有し、前記荷重センサは、前記2枚の板間の距離を検出することにより、前記接触部と前記搬送対象物とが接触したときの荷重を検出することができる。
【0036】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記荷重センサは、圧電センサ又は歪ゲージとすることができる。
【0037】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記回動機構は、前記本体に対する前記接触部の回動角度を検出する角度センサを有し、前記制御部は、前記角度センサで検出した角度に基づいて、前記本体に対する前記接触部の回動角度が進行方向に応じて設定された角度になるように、前記一対の駆動部を制御することができる。
【0038】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記角度センサは、前記回動機構の回動部位に接続された角度測定用位置エンコーダとすることができる。
【0039】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記搬送ロボットは、前記本体に対する前記接触部の水平方向の回動を駆動する回動駆動部を有し、前記制御部は、前記角度センサで検出した角度に基づいて、前記本体に対する前記接触部の角度が進行方向に応じて設定された角度になるように、前記回動駆動部を制御することができる。
【0040】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記搬送ロボットは、前記搬送ロボットの周囲の障害物を検出する障害物検出部を有し、前記制御部は、前記障害物検出部で障害物を検出したときに、前記障害物を回避するように、前記一対の駆動部を制御することができる。
【0041】
前記モード1に係る搬送ロボットの変形モードとして、前記搬送ロボットは、前記搬送ロボットの位置を検出する位置検出部を有し、前記制御部は、前記位置検出部で検出された位置に基づいて、前記一対の駆動部を制御することができる。
【0042】
本発明では、モード2に係る搬送システムとして、前記第2の視点に係る搬送システムのモード(モード2)が可能であり、以下に示す変形モードを適宜選択して組み合わせることができる。
【0043】
前記モード2に係る搬送システムの変形モードとして、搬送対象物を搬送するに際して、前記複数の搬送ロボットが協働することにより、前記搬送対象物の前後又は左右を挟み込んだ状態で搬送するように構成することができる。
【0044】
前記モード2に係る搬送システムの変形モードとして、前記搬送対象物の前方、後方、右方、及び、左方のうち少なくとも一方に、前記複数の搬送ロボットのうち少なくとも2つの搬送ロボットが並列又は直列に配されることによって前記搬送対象物を支持するように構成することができる。
【0045】
前記モード2に係る搬送システムの変形モードとして、前記複数の搬送ロボットは、互いに通信可能に接続され、前記複数の搬送ロボットの少なくとも1つが自律した状態において前記複数の搬送ロボットを制御することができる。
【0046】
前記モード2に係る搬送システムの変形モードとして、前記複数の搬送ロボットのそれぞれと通信可能に接続されるとともに、前記複数の搬送ロボットを制御する制御装置を備えることができる。
【0047】
前記モード2に係る搬送システムの変形モードとして、前記複数の搬送ロボットには、前記モード1に係る搬送ロボット(変形モードを含む)を用いることができる。
【0048】
本発明では、モード3に係る搬送方法として、前記第3の視点に係る搬送方法のモード(モード3)が可能である。
【0049】
前記モード3に係る搬送方法において、前記複数の搬送ロボットには、前記モード1に係る搬送ロボット(変形モードを含む)を用いることができる。
【0050】
前記モード3に係る搬送方法では、前記モード2に係る搬送システム(変形モードを含む)を用いることができる。
【0051】
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、本出願において図面参照符号を付している場合は、それらは、専ら理解を助けるためのものであり、図示の態様に限定することを意図するものではない。また、下記の実施形態は、あくまで例示であり、本発明を限定するものではない。
【0052】
[実施形態1]
実施形態1に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。図1は、実施形態1に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。図2は、実施形態1に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態を模式的に示した平面図である。図3は、実施形態1に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態を模式的に示した側面図である。
【0053】
搬送システム1は、複数(図1では2つ;3つ以上でも可)の搬送ロボット2A、2Bを備えるシステムである(図1参照)。搬送ロボット2A、2Bは、搬送対象物5を搬送するに際して、互いに協働することにより、搬送対象物5を挟み込んだ状態で搬送する(図2図3参照)。なお、搬送対象物5は、荷物を載せる台座に、旋回可能な複数の車輪を有する台車を用いることができる。また、複数の搬送ロボット2A、2Bは、互いに通信(無線通信、有線通信であるかは不問)可能に接続することによって、協働する構成であってもよい。
【0054】
実施形態1によれば、搬送対象物5を搬送するに際して、複数の搬送ロボット2A、2Bで搬送対象物5を挟み込んだ状態で搬送することにより、荷物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物5をそのまま搬送することに貢献することができる。
【0055】
[実施形態2]
実施形態2に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。図4は、実施形態2に係る搬送システムの構成を模式的に示したブロック図である。
【0056】
実施形態2は、実施形態1の変形例であり、制御装置3を用いて複数の搬送ロボット2A、2Bを制御するようにしたものである。制御装置3は、複数の搬送ロボット2A、2Bのそれぞれと通信可能(無線通信、有線通信であるかは不問)に接続される。なお、制御装置3は、複数の搬送ロボット2A、2Bを撮影するカメラ(図示せず)からの撮影データに基づいて、複数の搬送ロボット2A、2Bを制御するようにしてもよい。その他の構成は、実施形態1と同様である。
【0057】
実施形態2によれば、搬送対象物5を搬送するに際して、制御装置3を用いて複数の搬送ロボット2A、2Bを制御して、複数の搬送ロボット2A、2Bで搬送対象物5を挟み込んだ状態で搬送することにより、実施形態1と同様に、荷物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物をそのまま搬送することに貢献することができる。
【0058】
[実施形態3]
実施形態3に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。図5は、実施形態3に係る搬送システムにおける搬送ロボットの構成を模式的に示した外観斜視図である。図6は、実施形態3に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。図7は、実施形態3に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の第1の例を模式的に示した平面図である。図8は、実施形態3に係る搬送システムが搬送対象物を搬送している状態の第1の例を模式的に示した側面図である。図9は、実施形態3に係る搬送システムにおける搬送ロボットの回動機構の動作を説明する平面図である。
【0059】
実施形態3は、実施形態1、2の変形例であり、搬送ロボット2(図1図2の2A、2Bに相当)の本体10に接触部30及び回動機構40を設けたものである(図5参照)。
【0060】
搬送ロボット2(例えば、図7図8の2A)は、搬送対象物(例えば、図7図8の5)を搬送するに際して、他の搬送ロボット(例えば、図7図8の2B)と協働することにより、搬送対象物を挟み込んだ状態で搬送するロボットである(図5図9参照)。搬送ロボット2は、本体10と、接触部30と、回動機構40と、を有する。
【0061】
本体10は、搬送ロボットとして機能するための基本的な構成部(図6の11~17、20~22)を有するユニットである(図5図9参照)。本体10は、フレーム11を有し、フレーム11において搬送ロボットとして機能するための各種の構成部(図6の12~17、20、21、図8の22)を実装している(図5参照)。
【0062】
フレーム11は、搬送ロボットとして機能するための各種の構成部(図6の12~17、20、21)を実装するための構造体である(図5参照)。フレーム11は、例えば、筐体構造、箱状構造などとすることができる。フレーム11の両側方には、一対の車輪20、21が回転可能に取り付けられている。フレーム11の底面には、キャスタ22が取り付けられている。
【0063】
駆動部12、13は、車輪20、21を駆動する機能部である(図6参照)。駆動部12、13として、例えば、モータ、減速機、ドライバ、各種のセンサ(電流センサ、トルクセンサ、位置センサ等)、レギュレータ等を含む駆動ユニットを用いることができる。駆動部12、13は、フレーム11に取り付けられている。駆動部12の回転動力は、シャフト14を介して車輪20に伝達可能である。駆動部13の回転動力は、シャフト15を介して車輪21に伝達可能である。
【0064】
シャフト14、15は、対応する駆動部12、13の回転動力を車輪20、21に伝達する軸部材である(図6参照)。シャフト14は、駆動部12の出力軸(図示せず)に接続され、フレーム11の外部の一側面に延在している。シャフト14には、フレーム11の外部にて車輪20の軸に取り付けられている。シャフト15は、駆動部13の出力軸(図示せず)に接続され、フレーム11の外部の他側面に延在している。シャフト15には、フレーム11の外部にて車輪21の軸に取り付けられている。シャフト14、15は、図9に一点鎖線で示す想像線(車軸81)上で互いが同軸となるように配されている(図9参照)。なお、シャフト14、15は、車輪20、21が傾くように(キャンバー角を有するように)配されていてもよく、サスペンション、等速ジョイント等を用いて車輪20、21の傾きが変動するように(キャンバー角が変動するように)設計してもよい。
【0065】
制御部16は、他の搬送ロボットと協働することにより、一対の駆動部12、13を制御する機能部である(図6参照)。制御部16として、例えば、メモリ、プロセッサ等を含む制御ユニットを用いることができる。この場合、係る制御ユニットは、当該メモリを利用しながら、当該プロセッサにおいてプログラムを実行することにより、制御処理を行う構成であってもよい。制御部16は、駆動部12、13を制御することによって、搬送ロボット2の移動速度及び移動方向を調整することが可能である。制御部16は、フレーム11に取り付けられている。制御部16は、通信部17を介して、他の搬送ロボットや制御装置(図4の3)と通信可能に接続することができる。制御部16は、自身が搭載されている搬送ロボットと、他の搬送ロボットとを自律的に制御する構成であってもよい。
【0066】
通信部17は、他の搬送ロボットと通信可能にする機能部である(図6参照)。通信部17は、図4の制御装置3と通信可能な構成であってもよい。
【0067】
車輪20、21は、搬送ロボット2の移動を実現する駆動輪である(図5図9参照)。車輪20は、車輪20の軸心においてシャフト14に固定されている。車輪21は、車輪21の軸心においてシャフト15に固定されている。車輪20、21は、互いに車軸81上で同軸となるように配されている(図9参照)。なお、車輪20、21は、傾くように(キャンバー角を有するように)配されていてもよく、サスペンション、等速ジョイント等を用いて傾きが変動するように(キャンバー角が変動するように)設計してもよい。
【0068】
キャスタ22は、車輪20、21の補助輪として機能する非駆動輪である(図8参照)。キャスタ22は、進行方向を変更できるように旋回自在に構成されている。
【0069】
接触部30は、搬送対象物5と接触する部分である(図5図7図9参照)。接触部30は、回動機構40のアーム41の一端部に固定されている。アーム41は、アーム41の他端部近傍に設けられた軸部42において回動自在に本体10に支持されている。これにより、接触部30は、図9の紙面に対して垂直方向に延びる軸部42周りにおいて、図9に示す矢線A、A’に示す如く、回動機構40のアーム41と共に回動可能である。なお、接触部30の回動方向は、本体10に対して少なくとも経度方向(例えば、水平方向、左右方向)を含み、緯度方向(例えば、鉛直方向、上下方向)を含んでもよい。接触部30は、板部材31を有する。板部材31は、搬送対象物5と接触する面に摩擦部33を有する。板部材31は、回動機構40のアーム41に固定されている。摩擦部33は、搬送対象物に当接した際の、その搬送対象物との間に生じる摩擦力を大きくする(図5参照)。これにより、摩擦部33は、摩擦部33に当接した状態において当該搬送対象物が相対的に横滑りを起こすことを防止或いは抑制する。摩擦部33には、摩擦係数が高い素材、復元力がある弾性素材(例えば、ゴム)を用いることができる。接触部30は、搬送時において搬送ロボット2が搬送対象物5の進行方向の後方側に配される場合、搬送対象物5を押し付ける部分となり、同じく前方側に配される場合、搬送対象物5を受ける部分となる。接触部30は、図7図8では搬送対象物5の幅よりも小さいが、大きくてもよい。
【0070】
回動機構40は、本体10に対して接触部30を回動自在にする機構である(図5図7図9参照)。回動機構40は、本体10のフレーム11の上面に取り付けられた軸部42を有する。軸部42の中心軸は、駆動制御の効率化の観点においては、車軸81における車輪20、21間の幅Wの中点を通るように設計することが好ましいが(図9参照)、この設計には限定されない。回動機構40は、軸部42に、水平方向に回動可能に取り付けられたアーム41を有する。アーム41には、接触部30の板部材31が取り付けられている。アーム41は、接触部30を回動させたときに、接触部30を本体10や車輪20、21に抵触しないように設計されている。アーム41は、図5では1つであるが、間隔をおいて複数あってもよい。回動機構40の回動可能な角度は、特に限定されないが、左右に45°とすることができる。
【0071】
搬送対象物5は、荷物6を載せる台座70に、旋回自在な複数のキャスタ71~74を有する台車、ドーリーなどを用いることができる。なお、搬送対象物5は、キャスタなどの車輪を有さないもの(例えば、ダンボールなど)であってもよい。
【0072】
なお、図5のような搬送ロボット2は、搬送対象物5を搬送するに際して、図7図8のように2台の搬送ロボット2A、2Bが搬送対象物5の前後を挟み込んだ状態で搬送するだけでなく、図10のように3台の搬送ロボット2A、2B、2Cが搬送対象物5の前方に1台、後方に2台で並列に配置して挟み込んだ状態で搬送する構成であってもよい。また、図11のように3台の搬送ロボット2A、2B、2Cが搬送対象物5の前方に1台、後方に2台で直列に配置して挟み込んだ状態で搬送する構成であってもよい。また、図12のように2台の搬送ロボット2A、2Bが搬送対象物5の左右を挟み込んだ状態で搬送する構成であってもよい。複数の搬送ロボット2の配置は、搬送対象物5の大きさや重さに応じて設定する構成であってもよい。
【0073】
実施形態3によれば、実施形態1、2と同様に、荷物6を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物5をそのまま搬送することに貢献することができるとともに、搬送対象物5の搬送方向の変化に適応するのに貢献することができる。
【0074】
[実施形態4]
実施形態4に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。図13は、実施形態4に係る搬送システムにおける搬送ロボットの構成を模式的に示した外観斜視図である。図14は、実施形態4に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
【0075】
実施形態4は、実施形態3の変形例であり、搬送ロボット2において、接触部30の板部材31の接触面側の下部にフォーク部34、35を設け、接触部30を昇降可能にする昇降機構23を設けたものである。
【0076】
フォーク部34、35は、搬送対象物(図7図8の5に相当)を下から持ち上げ可能にするフォーク状の部分である(図13参照)。
【0077】
昇降機構23は、接触部30を昇降可能にする機構である(図13図14参照)。昇降機構23は、回動機構40を昇降可能にすることによって、接触部30を昇降する構成であってもよい。昇降機構23は、制御部によって制御される。昇降機構23として、例えば、電動式昇降機、油圧式昇降機などを用いることができる。
【0078】
搬送ロボット2におけるその他の構成は、実施形態3と同様である。
【0079】
実施形態4によれば、実施形態3と同様に、荷物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物をそのまま搬送することに貢献することができ、車輪がない搬送対象物(例えば、パレット)にも対応することができる。
【0080】
[実施形態5]
実施形態5に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。図15は、実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの構成を模式的に示した外観斜視図である。図16は、実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。図17は、実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部の動作を説明する部分左側面図である。図18は、実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの復元機構の動作を説明する概略部分平面図である。図19は、実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部を第1方向に回動したときの概略部分平面図である。図20は、実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部を第2方向に回動したときの概略部分平面図である。図21は、実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットのガイド機構の動作を説明する概略底面図である。図22は、実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部を第1方向に回動したときの概略底面図である。図23は、実施形態5に係る搬送システムにおける搬送ロボットの接触部を第2方向に回動したときの概略底面図である。
【0081】
実施形態5は、実施形態3の変形例であり、搬送ロボット2において、接触部30と搬送対象物(図7図8の5に相当)との接触荷重を検出できるように接触部30を改造して駆動部12、13をフィードバック制御できるようにするとともに、回動機構40の動作を補助する復元機構50及びガイド機構60を設けたものである(図15図16参照)。
【0082】
接触部30は、荷重センサ24によって接触部30と搬送対象物(図7図8の5に相当)との接触荷重を検出できるように構成されている(図15図17参照)。図17の接触部30では、板部材31、32間の距離を検出することにより、接触部30と搬送対象物とが接触したときの接触荷重を検出できるように構成されている。接触部30は、板部材31、32と、摩擦部33と、弾性部材36、37、38、39と、を有する。
【0083】
板部材31は、弾性部材36、37、38、39を介して板部材32に支持されている(図15図17参照)。板部材31は、搬送対象物5と接触する面に摩擦部33を有する。なお、摩擦部33については、実施形態3の摩擦部(図5の33)と同様である。
【0084】
板部材32は、弾性部材36、37、38、39を介して板部材31を支持する(図15図17参照)。板部材32は、ステー44、45によってアーム43に取り付けられ、かつ、ステー46、47によってアーム41に取り付けられている。板部材32は、ガイド機構60におけるガイド部材61のガイド面61aにスライド可能に接しており、ガイド機構60によって搬送対象物への接触部30の押し付けを支持する。
【0085】
弾性部材36、37、38、39は、板部材31、32間に介在している(図15図17参照)。弾性部材36、37、38、39は、板部材31、32間の間隔が狭くなって圧縮変形したときに、元の非圧縮状態に戻るように(板部材31、32間の間隔が広がるように)作用する。
【0086】
回動機構40は、本体10に対して接触部30を回動自在にする機構である(図15図17図20参照)。回動機構40は、軸部42と、アーム41、43と、を有する。
【0087】
軸部42は、本体10のフレーム11に固定されている。軸部42の中心軸は、車輪20、21間の幅Wの中点を通るように設計することが好ましいが(図18参照)、この設計には限定されない。軸部42には、アーム41、43が水平方向に回動可能に取り付けられている。
【0088】
アーム41、43は、接触部30を回動させたときに、接触部30を本体10や車輪20、21に抵触しないように設定されている。アーム43には、接触部30の板部材31がステー44、45によって取り付けられている。アーム41には、接触部30の板部材31がステー46、47によって取り付けられている。
【0089】
アーム41には、軸部42から離れた位置にて、ピン部41a、41bが固定されている。ピン部41a、41bは、復元機構50のカムとして機能する。ピン部41a、41bは、互いに離れて配されている。ピン部41aは、復元機構50における揺動部材51の受面51aと接離可能かつ摺動可能に接する。ピン部41bは、復元機構50における揺動部材51の受面51bと接離可能かつ摺動可能に接する。
【0090】
回動機構40は、所定位置(例えば、回動方向の中心点:正面、原点、図18の状態)から回動した状態(例えば、図19図20の状態)の接触部30を所定位置に戻すように復元する復元機構50を有する。
【0091】
復元機構50は、所定位置から回動した状態の接触部30を当該所定位置へ復元するように、回動機構40に作用する機構である(図15図18図20参照)。復元機構50は、揺動部材51と、軸部52と、ピン部53と、弾性部材54と、を有する。
【0092】
揺動部材51は、本体10のフレーム11に固定された軸部52を中心軸として揺動可能(回動可能)な部材である。揺動部材51は、受面51a、51bと、ピン部51cと、を有する。受面51aは、回動機構40におけるアーム41のピン部41aと接離可能かつ摺動可能に接する面である。受面51bは、回動機構40におけるアーム41のピン部41bと接離可能かつ摺動可能に接する面である。ピン部51cは、アーム41と抵触しないように、軸部52から離れた揺動部材51の所定の位置に固定されている。ピン部51cは、弾性部材54の一端に接続されており、弾性部材54の他端に接続されたピン部53に向かって引き付けられるように設定されている。
【0093】
軸部52は、軸部42から離れた位置にて、本体10のフレーム11に固定されている。軸部52には、揺動部材51が揺動可能(回動可能)に取り付けられている。
【0094】
ピン部53は、アーム41と抵触しないように、軸部52から離れた位置にて、本体10のフレーム11に固定されている。ピン部53は、弾性部材54の他端に接続されており、弾性部材54の一端に接続されたピン部51cを引き付けるように設定されている。
【0095】
弾性部材54は、伸長したときに、弾性力により揺動部材51のピン部51cをピン部53に引き付けるように作用する部材である。弾性部材54は、一端に揺動部材51のピン部51cが取り付けられており、他端にピン部53が取り付けられている。弾性部材54には、例えば、コイルスプリング、ねじりバネなどを用いることができる。
【0096】
復元機構50は、図18の状態から図19の状態になったとき、すなわち、回動機構40におけるアーム41が軸部42を中心に所定位置(中央位置)から左側に回動したときに、アーム41のピン部41aが揺動部材51の受面51aを押し付け(かつ、ピン部41bが受面51bから離れ)、揺動部材51のピン部51cとピン部53との間の距離が大きくなるように揺動部材51が軸部52を中心に回動し、ピン部51c、53間の弾性部材54が伸長し、アーム41が所定位置(中央位置)に戻るように作用する。
【0097】
また、復元機構50は、図18の状態から図20の状態になったとき、すなわち、回動機構40におけるアーム41が軸部42を中心に所定位置(中央位置)から右側に回動したときに、アーム41のピン部41bが揺動部材51の受面51bを押し付け(かつ、ピン部41aが受面51aから離れ)、揺動部材51のピン部51cとピン部53との間の距離が大きくなるように揺動部材51が軸部52を中心に回動し、ピン部51c、53間の弾性部材54が伸長し、アーム41が所定位置(中央位置)に戻るように作用する。
【0098】
回動機構40は、復元機構50における弾性部材54で生じた振動を減衰する減衰機構(図示せず)を有する構成であってもよい。減衰機構は、摩擦、粘性、ヒステリシスにより復元機構50における弾性部材54で生じた振動を減衰することができる。
【0099】
ガイド機構60は、本体10に対する接触部30の回動をガイドする機構である(図15図17図21図23参照)。ガイド機構60は、搬送対象物への接触部30の押し付けを支持する。ガイド機構60は、本体10におけるフレーム11に取り付けられたガイド部材61を有する。ガイド機構60は、接触部30の回動したときの軌道に沿って形成されたガイド面61aを有する。ガイド面61aは、接触部30における板部材32と摺動可能に接している。
【0100】
荷重センサ24は、複数の搬送ロボット2で搬送対象物を挟み込んだ状態で接触部30と搬送対象物とが接触したときの接触部30にかかる荷重(圧力)を検出するセンサである(図15図16参照)。荷重センサ24は、接触部30における弾性部材36~39を挟む板部材31、32間の距離に基づいて、接触部30にかかる荷重を検出することができる。なお、荷重センサ24は、これに限るものではなく、圧電素子(ピエゾ素子)、歪みゲージなども用いることができる。荷重センサ24で検出した荷重に係る情報は、制御部16にて、接触部30と搬送対象物とが接触したときの荷重が所定の数値範囲に入るように、一対の駆動部12、13を制御するのに用いることができる。
【0101】
角度センサ25は、本体10に対する接触部30の回動角度を検出するセンサである(図15図16参照)。角度センサ25には、例えば、回動機構40の回動部位となる軸部42に接続された角度測定用位置エンコーダ、位置角度センサ(磁気型、レゾルバ型、有接点型)などを用いることができる。角度センサ25で検出された角度に係る情報は、制御部16にて、本体に対する接触部30の角度が進行方向に応じて設定された角度になるように、一対の駆動部12、13を制御するのに用いることができる。
【0102】
実施形態5によれば、実施形態3と同様に、荷物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物をそのまま搬送することに貢献することができ、搬送ロボット2の進行方向や進行速度のズレを修正することができる。
【0103】
[実施形態6]
実施形態6に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。図24は、実施形態6に係る搬送システムにおける搬送ロボットのガイド機構の動作を説明する概略底面図である。
【0104】
実施形態6は、実施形態5の変形例であり、ガイド機構60におけるガイド部材61のガイド面61a上で接触部30の板部材32が摺動するのをやめ、ガイド機構60の構成部として、接触部30の板部材32にローラ62、63を設けたものである。ローラ62は、板部材32に固定された支持部64に回転可能に取り付けられている。同様に、ローラ63は、板部材32に固定された支持部65に回転可能に取り付けられている。ローラ62、63は、ガイド部材61のガイド面61aに沿って回転する。その他の構成は実施形態5と同様である。
【0105】
実施形態6によれば、実施形態5と同様に、荷物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物をそのまま搬送することに貢献することができ、ローラ62、63により本体10に対する接触部30の回動のガイドを円滑に行うことができる。
【0106】
[実施形態7]
実施形態7に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。図25は、実施形態7に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
【0107】
実施形態7は、実施形態5の変形例であり、本体10に対する接触部30の水平方向の回動を駆動する回動駆動部26を設けたものである。制御部16は、角度センサ25で検出した角度に基づいて、本体10に対する接触部30の角度が進行方向に応じて設定された角度になるように、回動駆動部26を制御する。その他の構成は、実施形態5と同様である。
【0108】
実施形態7によれば、実施形態5と同様に、荷物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物をそのまま搬送することに貢献することができ、搬送ロボット2の進行方向のズレを修正することができる。
【0109】
[実施形態8]
実施形態8に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。図26は、実施形態8に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
【0110】
実施形態8は、実施形態5の変形例であり、搬送ロボット2の周囲の障害物を検出する障害物検出部27を追加したものである。障害物検出部27として、例えば、レーザレーダ、ビームセンサ、カメラ等を用いることができる。障害物検出部27で障害物を検出したときに、制御部16は、障害物を回避するように、駆動部12、13を制御する。その他の構成は、実施形態5と同様である。
【0111】
実施形態8によれば、実施形態5と同様に、荷物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物をそのまま搬送することに貢献することができ、搬送ロボット2の周囲に出てきた障害物を回避することができる。
【0112】
[実施形態9]
実施形態9に係る搬送システムについて図面を用いて説明する。図27は、実施形態9に係る搬送システムにおける搬送ロボットの本体の回路構成を模式的に示したブロック図である。
【0113】
実施形態9は、実施形態5の変形例であり、搬送ロボット2の位置を検出する位置検出部28を追加したものである。位置検出部28として、例えば、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する人工衛星からの電波を受信して測位するGPS受信機、ビーコン電波発振器からのビーコン電波を受信して測位するビーコン受信機等、外部からの信号により自身の位置を測定するものを用いることができる。制御部16は、位置検出部28で検出された位置に基づいて、駆動部12、13を制御する。
【0114】
実施形態9によれば、実施形態5と同様に、荷物を載せ替えることなく、様々な形態の搬送対象物をそのまま搬送することに貢献することができ、搬送ロボット2の自身の位置を把握しつつ搬送できるので、正確な経路で搬送することができる。
【0115】
上記実施形態の一部または全部は以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0116】
(付記)
本発明では、前記第1の視点に係る搬送ロボットの形態が可能である。
【0117】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記搬送対象物は、物品を載せる台座に、旋回可能な車輪を有する台車である。
【0118】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記搬送ロボットは、本体と、前記搬送対象物と接触する接触部と、前記接触部が一端に取り付けられるとともに他端近傍において前記本体に対して回動自在に支持されるアームを有する回動機構と、を備える。
【0119】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記回動機構は、所定位置から回動した状態の前記接触部を前記所定位置に戻すように復元する復元機構を有する。
【0120】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記復元機構は、弾性部材を有する。
【0121】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記回動機構は、前記復元機構の振動を減衰する減衰機構を有する。
【0122】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記減衰機構は、摩擦、粘性、ヒステリシスにより前記復元機構の振動を減衰する。
【0123】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記搬送ロボットは、前記本体の両側方において回転可能に取り付けられた一対の車輪を備え、前記回動機構は、前記本体に対して前記アームを、前記一対の車輪間の幅の中点を通る軸を中心に回動自在にする。
【0124】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記接触部は、前記搬送対象物との接触面に、前記搬送対象物との間の摩擦力を大きくする摩擦部を有する。
【0125】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記接触部は、前記搬送対象物を下から持ち上げ可能にするフォーク部を有し、前記搬送ロボットは、前記接触部を昇降可能にする昇降機構を有する。
【0126】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記搬送ロボットは、前記本体に取り付けられるとともに、前記本体に対する前記接触部の回動をガイドし、かつ、前記搬送対象物への前記接触部の押し付けを支持するガイド機構を有する。
【0127】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記ガイド機構は、前記本体に取り付けられるとともにガイド面を有するガイド部材と、前記接触部に回転自在に取り付けられるとともに前記ガイド面上を回転するローラと、を備える。
【0128】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記搬送ロボットは、前記本体に取り付けられるとともに、前記一対の車輪を駆動する一対の駆動部と、前記一対の駆動部を制御する制御部と、通信部と、を備え、前記制御部は、前記通信部を介して、前記他の搬送ロボットと通信可能に接続され、かつ、前記他の搬送ロボットと協働することにより、前記一対の駆動部を制御する。
【0129】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記搬送ロボットは、前記接触部と前記搬送対象物とが接触したときの荷重を検出する荷重センサを有し、前記制御部は、前記荷重センサで検出した荷重に基づいて、前記接触部と前記搬送対象物とが接触したときの荷重が所定の数値範囲に入るように、前記一対の駆動部を制御する。
【0130】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記接触部は、2枚の板と、前記2枚の板間に配された弾性部材と、を有し、前記荷重センサは、前記2枚の板間の距離を検出することにより、前記接触部と前記搬送対象物とが接触したときの荷重を検出する。
【0131】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記荷重センサは、圧電センサ又は歪ゲージである。
【0132】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記回動機構は、前記本体に対する前記接触部の回動角度を検出する角度センサを有し、前記制御部は、前記角度センサで検出した角度に基づいて、前記本体に対する前記接触部の回動角度が進行方向に応じて設定された角度になるように、前記一対の駆動部を制御する。
【0133】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記角度センサは、前記回動機構の回動部位に接続された角度測定用位置エンコーダ、である。
【0134】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記搬送ロボットは、前記本体に対する前記接触部の水平方向の回動を駆動する回動駆動部を有し、前記制御部は、前記角度センサで検出した角度に基づいて、前記本体に対する前記接触部の角度が進行方向に応じて設定された角度になるように、前記回動駆動部を制御する。
【0135】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記搬送ロボットは、前記搬送ロボットの周囲の障害物を検出する障害物検出部を有し、前記制御部は、前記障害物検出部で障害物を検出したときに、前記障害物を回避するように、前記一対の駆動部を制御する。
【0136】
前記第1の視点に係る搬送ロボットにおいて、前記搬送ロボットは、前記搬送ロボットの位置を検出する位置検出部を有し、前記制御部は、前記位置検出部で検出された位置に基づいて、前記一対の駆動部を制御する。
【0137】
本発明では、前記第2の視点に係る搬送システムの形態が可能である。
【0138】
前記第2の視点に係る搬送システムにおいて、搬送対象物を搬送するに際して、前記複数の搬送ロボットが協働することにより、前記搬送対象物の前後又は左右を挟み込んだ状態で搬送するように構成される。
【0139】
前記第2の視点に係る搬送システムにおいて、前記搬送対象物の前方、後方、右方、及び、左方のうち少なくとも一方に、前記複数の搬送ロボットのうち少なくとも2つの搬送ロボットが並列又は直列に配されて前記搬送対象物を支持するように構成される。
【0140】
前記第2の視点に係る搬送システムにおいて、前記複数の搬送ロボットは、互いに通信可能に接続され、前記複数の搬送ロボットの少なくとも1つが自律して前記複数の搬送ロボットを制御する。
【0141】
前記第2の視点に係る搬送システムにおいて、前記複数の搬送ロボットのそれぞれと通信可能に接続されるとともに、前記複数の搬送ロボットを制御する制御装置を備える。
【0142】
本発明では、前記第3の視点に係る搬送方法の形態が可能である。
【0143】
なお、上記の特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ乃至は選択(必要により不選択)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲及び図面を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。また、本願に記載の数値及び数値範囲については、明記がなくともその任意の中間値、下位数値、及び、小範囲が記載されているものとみなされる。
【符号の説明】
【0144】
1 搬送システム
2、2A、2B、2C 搬送ロボット
3 制御装置
5 搬送対象物
6 荷物
10 本体
11 フレーム
12、13 駆動部
14、15 シャフト
16 制御部
17 通信部
20、21 車輪
22 キャスタ
23 昇降機構
24 荷重センサ
25 角度センサ
26 回動駆動部
27 障害物検出部
28 位置検出部
30 接触部
31、32 板部材
33 摩擦部
34、35 フォーク部
36、37、38、39 弾性部材
40 回動機構
41 アーム
41a、41b ピン部
42 軸部
43 アーム
44、45、46、47 ステー
50 復元機構
51 揺動部材
51a、51b 受面
51c ピン部
52 軸部
53 ピン部
54 弾性部材
60 ガイド機構
61 ガイド部材
61a ガイド面
62、63 ローラ
64、65 支持部
70 台座
71、72、73、74 キャスタ
80 床面
81 車軸
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