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特許7396494温度管理装置、システム、方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】温度管理装置、システム、方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01J 5/48 20220101AFI20231205BHJP
【FI】
G01J5/48 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022536082
(86)(22)【出願日】2020-07-17
(86)【国際出願番号】 JP2020027760
(87)【国際公開番号】W WO2022014026
(87)【国際公開日】2022-01-20
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 祐介
(72)【発明者】
【氏名】若草 龍司
(72)【発明者】
【氏名】山崎 大輝
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/050397(WO,A1)
【文献】特開2012-193976(JP,A)
【文献】特開2007-252803(JP,A)
【文献】特開2014-036801(JP,A)
【文献】国際公開第2015/002160(WO,A1)
【文献】特開2018-166700(JP,A)
【文献】特開2020-062198(JP,A)
【文献】特開2018-005536(JP,A)
【文献】特開2015-200639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - A61B 5/01
G01J 5/00 - G01J 5/90
G06T 1/00 - G06T 1/40
G06T 3/00 - G06T 5/50
G06T 7/00
G06T 9/00 - G06T 9/40
G06T 11/60 - G06T 13/80
G06T 17/05
G06T 19/00 - G06T 19/20
H04N 5/222 - H04N 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視光カメラが撮影した可視光画像のデータである可視光画像データを取得する可視光画像データ取得手段と、
前記可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが撮影した画像のデータである熱画像データを取得する熱画像データ取得手段と、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定する特定手段と、
特定された前記人物の属性情報を記憶する記憶装置から前記属性情報を取得する属性情報制御手段と、
前記人物の体表温度に関する温度情報を前記熱画像データに基づいて取得する温度情報取得手段と、
前記属性情報に基づいて閾値を設定する閾値設定手段と、
前記人物の前記体表温度が前記閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果に関する判定結果情報を出力する判定結果出力手段と、
を備え
前記属性情報制御手段は、前記人物の行動履歴を含む前記属性情報を取得し、
前記閾値設定手段は、前記行動履歴に基づいて、前記閾値を設定する、
温度管理装置。
【請求項2】
前記閾値設定手段は、前記属性情報に含まれる前記人物の前記体表温度の履歴である温度履歴情報に基づいて、前記閾値を設定する
請求項1に記載の温度管理装置。
【請求項3】
前記閾値設定手段は、前記温度履歴情報における温度の統計値に基づいて、前記閾値を設定する
請求項2に記載の温度管理装置。
【請求項4】
前記属性情報制御手段は、前記人物のプロファイル情報を前記属性情報として取得し、
前記閾値設定手段は、前記プロファイル情報に基づいて、前記閾値を設定する
請求項1~3のいずれか一項に記載の温度管理装置。
【請求項5】
前記属性情報制御手段は、前記人物の性別または年齢の少なくともいずれか一方についての情報を含む前記プロファイル情報を前記属性情報として取得する、
請求項4に記載の温度管理装置。
【請求項6】
前記温度情報にかかる前記人物の周辺温度を検出し、検出した周辺温度に基づいて前記温度情報に対する補正を行う補正手段をさらに備える
請求項1~5のいずれか一項に記載の温度管理装置。
【請求項7】
前記補正手段は、前記人物の周辺が撮影された領域の前記熱画像データに基づいて前記補正を行う、
請求項に記載の温度管理装置。
【請求項8】
前記補正手段は、前記人物または前記赤外線カメラの近傍に設けられた温度センサから温度データを取得して前記補正を行う、
請求項に記載の温度管理装置。
【請求項9】
前記属性情報制御手段は、前記温度情報に基づいて前記属性情報を更新する
請求項1~8のいずれか一項に記載の温度管理装置。
【請求項10】
前記判定結果出力手段は、前記人物が使用するユーザ端末に通信可能に接続し、前記ユーザ端末に対して前記判定結果情報を出力する、
請求項1~9のいずれか一項に記載の温度管理装置。
【請求項11】
前記属性情報制御手段は、前記人物が使用するユーザ端末から更新情報を受け取り、前記更新情報を前記属性情報に反映させる、
請求項1~10のいずれか一項に記載の温度管理装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載の温度管理装置と、
前記人物と前記属性情報とを紐付けて記憶する記憶装置と、
を備える
温度管理システム。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載の温度管理装置と、
前記温度管理装置から前記可視光画像データを受け取って前記人物の認証を行う認証装置と、を備える
温度管理システム。
【請求項14】
コンピュータが、
可視光カメラが撮影した可視光画像のデータである可視光画像データを取得し、
前記可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが撮影した画像のデータである熱画像データを取得し、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定し、
特定された前記人物の属性情報を記憶する記憶装置から前記人物の行動履歴を含む前記属性情報を取得し、
前記人物の体表温度に関する温度情報を前記熱画像データに基づいて取得し、
前記行動履歴を含む前記属性情報に基づいて閾値を設定し、
前記人物の前記体表温度が前記閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果に基づいて判定結果情報を出力する、
温度管理方法。
【請求項15】
可視光カメラが撮影した可視光画像のデータである可視光画像データを取得する処理と、
前記可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが撮影した画像のデータである熱画像データを取得する処理と、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定する処理と、
特定された前記人物の属性情報を記憶する記憶装置から前記人物の行動履歴を含む前記属性情報を取得する処理と、
前記人物の体表温度に関する温度情報を前記熱画像データに基づいて取得する処理と、
前記行動履歴を含む前記属性情報に基づいて閾値を設定する処理と、
前記人物の前記体表温度が前記閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果に基づいて判定結果情報を出力する処理と、
を、コンピュータに実行させる情報制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は温度管理装置、システム、方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
多数の人の体表温度を管理する技術として、可視光カメラと赤外線カメラとを利用したシステムが知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の画像処理システムは、撮影した画像内の人物画像から人物を特定し、特定した人物の顔画像から熱を測定する。そして画像処理システムは、特定した人物の顔画像と、人物の顔画像に対して測定した熱とを対応付けて登録する。また画像処理システムは、熱が所定閾値を超える人物の顔画像を選別し、選別した顔画像により特定される人物の熱の経時変化を出力する。またこの画像処理システムは、閾値を一律でなく特定する人物に対応して変化させることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-235415号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記画像処理システムに関する記載は、どのような場合に閾値を変化させるか、あるいは、どのような要素に対応させて閾値を変化させるかについて、開示されていない。そのため、上述の技術は、アラートが不要な人物に対してアラートを出したり、アラートすべき人物に対してアラートを出さなかったりする虞がある。
【0006】
本開示はこのような問題点を解決するためになされたものであり、個別の事情に応じて適切に温度管理を行う温度管理装置、システム、方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1実施形態にかかる温度管理装置は、可視光画像データ取得手段、熱画像データ取得手段、特定手段、属性情報制御手段、温度情報取得手段、閾値設定手段および判定結果判定結果出力手段を有する。可視光画像データ取得手段は、可視光カメラが撮影した可視光画像のデータである可視光画像データを取得する。熱画像データ取得手段は、可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが撮影した画像のデータである熱画像データを取得する。特定手段は、可視光画像データおよび熱画像データに含まれる人物を特定する。属性情報制御手段は、特定された人物の属性情報を記憶する記憶装置から属性情報を取得する。温度情報取得手段は、人物の体表温度に関する温度情報を熱画像データに基づいて取得する。閾値設定手段は、属性情報に基づいて閾値を設定する。判定結果判定結果出力手段は、人物の体表温度が閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果に基づいて判定結果情報を出力する。
【0008】
本開示の1実施形態にかかる温度管理方法は、以下の方法をコンピュータが実行する。コンピュータは、可視光カメラが撮影した可視光画像のデータである可視光画像データを取得する。コンピュータは、可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが撮影した画像のデータである熱画像データを取得する。コンピュータは、可視光画像データおよび熱画像データに含まれる人物を特定する。コンピュータは、特定された人物の属性情報を記憶する記憶装置から属性情報を取得する。コンピュータは、人物の体表温度に関する温度情報を熱画像データに基づいて取得する。コンピュータは、属性情報に基づいて閾値を設定する。コンピュータは、人物の体表温度が閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果に基づいて判定結果情報を出力する。
【0009】
本開示の1実施形態にかかるプログラムは、コンピュータに、以下のステップを実行させるものである。コンピュータは、可視光カメラが撮影した可視光画像のデータである可視光画像データを取得する。コンピュータは、可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが撮影した画像のデータである熱画像データを取得する。コンピュータは、可視光画像データおよび熱画像データに含まれる人物を特定する。コンピュータは、特定された人物の属性情報を記憶する記憶装置から属性情報を取得する。コンピュータは、人物の体表温度に関する温度情報を熱画像データに基づいて取得する。コンピュータは、属性情報に基づいて閾値を設定する。コンピュータは、人物の体表温度が閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果に基づいて判定結果情報を出力する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、個別の事情に応じて適切に温度管理を行う温度管理装置、システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態1にかかる温度管理装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1にかかる温度管理方法を示すフローチャートである。
図3】実施形態2にかかる温度管理装置の構成を示すブロック図である。
図4】実施形態2にかかる温度管理方法を示すフローチャートである。
図5】実施形態3にかかる温度管理システムの構成を示すブロック図である。
図6】認証装置の構成を示すブロック図である。
図7】顔特徴情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
図8】顔認証処理の流れを示すフローチャートである。
図9】顔認証ユニットの構成を示すブロック図である。
図10】ユーザ端末の構成を示すブロック図である。
図11】温度管理装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
<実施形態1>
図1を参照して温度管理装置の構成について説明する。図1は、実施形態1にかかる温度管理装置10の構成を示すブロック図である。温度管理装置10は、通信ネットワーク(以降、通信ネットワークを単にネットワークとも称する)に接続し、接続するネットワークを介して、撮影装置、認証装置、記憶装置、端末装置に接続する。
【0014】
撮影装置は、人物を含む風景を撮影し、撮影した風景の画像にかかる可視光画像データおよび熱画像データを温度管理装置10に供給する。撮影装置は、可視光カメラおよび赤外線カメラを有する。可視光カメラは、撮影した可視光線を電気信号に変換する撮像素子を含む。可視光カメラは、所定の撮影範囲を撮影して、可視光画像の画像データである可視光画像データを生成する。赤外線カメラは、撮影した赤外光を電気信号に変換する赤外線撮像素子を含む。赤外線カメラは、所定の撮影範囲を撮影して、熱画像の画像データである熱画像データを生成する。
【0015】
撮影装置における可視光カメラと赤外線カメラとは、少なくとも撮影範囲の一部が互いに重複している。換言すると、赤外線カメラは、可視光カメラが撮影する可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ。また可視光カメラと赤外線カメラとは、互いの位置関係が変化しないように固定されていることが好ましい。このような構成により、撮影装置は、可視光カメラが生成した可視光画像データに含まれる物体と赤外線カメラが生成した熱画像データに含まれる物体とを対応づけることができる。
【0016】
認証装置は、温度管理装置10から可視光画像データを受け取り、受け取った可視光画像データにかかる認証を行う。認証装置は、例えば可視光画像データから抽出される人物の特徴量を利用して認証を行う。より具体的には、認証装置は、可視光画像データから抽出された人物の顔画像から認証を行ってもよい。また認証装置は、可視光画像データから抽出された人物の装着する表示物などから認証を行ってもよい。認証装置はこのようにして行った認証の結果を温度管理装置10に供給する。
【0017】
記憶装置は、人物の属性情報を記憶し、温度管理装置10に対して顔認証にかかる人物の属性情報を提供する。属性情報は、例えば人物の識別子と紐づけて記憶されている。属性情報は、温度管理装置10が閾値を設定する際に利用し得る情報を含む。属性情報は、例えば人物の年齢や性別などのプロファイル情報を含んでもよい。また属性情報は、例えば人物の体表温度に関する閾値を含んでもよい。また属性情報は、人物の体表温度に関する閾値を算出するための基礎データを含んでもよい。基礎データとは、たとえば過去に取得された人物の体表温度(温度履歴データ)であってもよい。
【0018】
また属性情報は、人物の行動履歴に関する行動履歴情報を含んでもよい。行動履歴情報は、日時情報と位置情報とが紐づけられたデータであって、人物がいつどこにいたかを示すものである。例えば行動履歴情報は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を利用して取得した位置情報および時刻情報の履歴を含むものであってもよい。また、行動履歴情報は、他の機器と通信したことを示す情報から、当該他の機器付近に存在していたことを示す情報を含むものであってもよい。行動履歴情報は、所定の場所にチェックインまたはチェックアウトしたことを示す情報を含むものであってもよい。また行動履歴情報は、所定の交通機関を利用したことを示す情報を含むものであってもよい。属性情報が行動履歴情報を含むことにより、温度管理装置10は、人物の行動履歴に応じて閾値を設定できる。例えば人物が特定の地域を訪問した場合において、その地域に流行する感染症の特徴が体温に関連する場合、温度管理装置10は、人物の行動履歴からその地域を訪問したことを検出すると、これに応じた閾値の設定ができる。
【0019】
端末装置は温度管理装置10から認証にかかる人物に対する判定結果判定結果に関する情報を受け取り、受け取った判定結果を表示する。端末装置が受け取る判定結果に関する情報は、例えば、認証にかかる人物を認証したことを示すものである。また端末装置が受け取る判定結果は、例えば、認証にかかる人物の体表温度が閾値を超えていることを示すものや、認証にかかる人物の体表温度が閾値を超えていないことを示すもの等である。また、判定結果は、ユーザの認証ID、属性情報、温度情報にかかる人物の体表温度が閾値を超えたか否かを判定した結果等を含んでいてもよい。
【0020】
なお、ネットワークは、有線か無線であるかを問わないし、通信プロトコルの種別を問わない。温度管理装置10は、主な構成として可視光画像データ取得部110、熱画像データ取得部111、特定部112、属性情報制御部113、温度情報取得部114、閾値設定部115および判定結果出力部116を有する。
【0021】
可視光画像データ取得部110は、撮影装置が有する可視光カメラが撮影した可視光画像のデータを取得する。熱画像データ取得部111は、撮影装置が有する赤外線カメラが撮影した熱画像のデータを取得する。
【0022】
特定部112は、可視光カメラおよび赤外線カメラにより撮影される人物を特定する。ここで、人物を特定するとは、可視光カメラおよび赤外線カメラにより撮影された画像に含まれる人物を識別するとともに、識別した人物の認証を行うことをいう。特定部112は、可視光画像データ取得部110が取得した可視光画像データから人物の画像にかかる画像データを抽出し、抽出した画像データを認証装置に供給する。そして特定部112は、認証装置から認証結果を受け取る。認証が成功した場合、特定部112は、可視光カメラおよび赤外線カメラにより撮影された人物の識別および認証をすることができる。すなわち特定部112は可視光画像データおよび熱画像データに含まれる人物を特定できる。
【0023】
なお、可視光カメラが同時に複数の人物を撮影した場合には、可視光画像データに複数の人物の画像が含まれる。その場合、特定部112は、可視光画像データから複数の人物をそれぞれ抽出してそれぞれ識別し、認証装置に対して抽出した人物ごとに、認証をさせる。特定部112はこのようにして可視光画像データおよび熱画像データに複数の人物が含まれる場合であっても所定の人物をそれぞれ特定する。
【0024】
属性情報制御部113は、特定された人物の属性情報を記憶する記憶装置から属性情報を取得する。属性情報制御部113は例えば、認証装置から受け取った認証の結果から、特定された人物の識別子を取得し、取得した識別子にかかる属性情報を記憶装置から読み取る。
【0025】
温度情報取得部114は、特定された人物の体表温度に関する温度情報を熱画像データから取得する。温度情報取得部114は、可視光画像データから特定された人物が撮影された領域に対応する熱画像データの人物領域を特定する。温度情報取得部114は、かかる人物領域を抽出し、抽出した人物領域における熱画像データの輝度値から特定された人物の温度情報を生成する。温度情報は、人物の体表温度が含まれる。また温度情報は人物の身体の部位に関する情報と体表温度とが紐づけられたものであってもよい。温度情報は、人物の体表温度に変換可能な熱画像の画像データであってもよい。
【0026】
なお、温度情報取得部114は、熱画像データにおいて特定された人物領域から、人物の温度情報を生成するために温度情報を取得するための領域をさらに抽出してもよい。例えば温度情報取得部114は、人物の顔画像に対応する領域を抽出し、人物の顔の熱画像データから温度情報を生成してもよい。また温度情報取得部114は、人物の顔に限らず、人物の額部分を抽出してもよいし、人物の耳部分を抽出してもよい。
【0027】
温度情報取得部114は、抽出した熱画像データから、最も高い温度を温度情報として使用してもよい。温度情報取得部114は、抽出した熱画像データから、所定の統計値を算出し、算出した統計値を温度情報として使用してもよい。
【0028】
閾値設定部115は、属性情報制御部113が取得した人物の属性情報から、閾値を設定する。閾値は、人物の体調の変化を観察するために利用される。例えば閾値設定部115は、人物の平熱を鑑みて、人物の体温が平熱の範囲を逸脱していることを検出できるように閾値を設定する。この場合に閾値設定部115は、属性情報に含まれる人物の温度履歴情報から閾値を設定する。すなわち閾値設定部115は、人物の温度履歴情報における温度の統計値を算出し、算出した値から閾値を設定する。統計値は、例えば平均値、分散または標準偏差等である。また平均値は移動平均や加重平均であってもよい。なお閾値は1つ以上であれば複数であってもよい。閾値は、平熱の範囲を上回る側に設定されていてもよいし、平熱の範囲を下回る側に設定されていてもよい。また閾値は、例えば平熱を上回る側に複数設定されていてもよい。このように複数の閾値が設定されることにより温度管理装置10は多様な判定結果情報を出力できる。
【0029】
閾値設定部115は、属性情報制御部113がプロファイル情報を取得する場合、すなわち属性情報がプロファイル情報を含む場合には、人物のプロファイル情報を利用して閾値を設定できる。一般に、子供の平熱は、大人の平熱よりも高い。そのため閾値設定部115は、人物の年齢に応じて閾値を設定してもよい。
【0030】
閾値設定部115は、属性情報制御部113が行動履歴情報を取得する場合、すなわち属性情報が行動履歴情報を含む場合には、人物の行動履歴を利用して閾値を設定できる。
【0031】
判定結果出力部116は、温度情報にかかる人物の体表温度が閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果から人物に対する判定結果に関する情報(判定結果情報)を出力する。例えば人物の温度情報に含まれる体表温度が閾値を超えていた場合、判定結果出力部116は人物の体温が高い可能性がることを示す判定結果情報を出力する。また例えば人物の温度情報に含まれる体表温度が閾値を大きく超えていた場合、判定結果出力部116は人物に対するアラートを示す判定結果情報を出力する。また例えば人物の温度情報に含まれる体表温度が閾値を超えていない場合、判定結果出力部116は人物に対して異常がないことを示す判定結果情報を出力してもよい。
【0032】
次に、図2を参照して温度管理装置10の処理について説明する。図2は、実施形態1にかかる温度管理方法を示すフローチャートである。
【0033】
まず、温度管理装置10は、ネットワークを介して、撮影装置から可視光画像データおよび熱画像データを取得する(ステップS11)。この場合、温度管理装置10は、撮影装置に画像データを送信することを要求してもよいし、所定期間ごとに撮影装置から可視光画像データおよび熱画像データが送信されるのを受け付けてもよい。なお、可視光画像データを取得するタイミングと熱画像データを取得するタイミングとは、同時であってもよいし、異なっていてもよい。ただし、取得する可視光画像データと熱画像データとは対応関係が認識できる態様となっていることが好ましい。
【0034】
次に、温度管理装置10の特定部112は、可視光カメラおよび赤外線カメラにより撮影される人物を特定する(ステップS12)。より具体的には、例えば特定部112は、可視光画像データに含まれる人物の顔画像を検出し、検出した顔画像を抽出し、認証装置に対して、画像データについて顔認証を行わせる。その際、温度管理装置10は例えば、認証装置に対して人物の顔画像を供給するとともに、認証装置に対して認証を行うことを要求する。
【0035】
認証装置は、複数の人物の識別情報と顔特徴情報とを紐付けて記憶している。認証装置は、例えば画像データに含まれる人物の顔画像から所定の特徴量を抽出し、抽出した特徴量と、人物の識別情報とを紐付ける。また認証装置は、認証に成功した場合に、受け取った画像データに紐付いた人物の識別情報を温度管理装置10に供給する。これにより特定部112は、検出した顔画像と顔画像にかかる認証の結果とから人物を特定する。
【0036】
次に、温度管理装置10は、属性情報および温度情報を取得する(ステップS13)。より具体的には、温度管理装置10の属性情報制御部113は、記憶装置から特定した人物の属性情報を読み取る。また温度管理装置10の温度情報取得部114は、特定した人物にかかる温度情報を取得する。
【0037】
次に、温度管理装置10の閾値設定部115は、取得した属性情報から特定した人物に対する閾値を設定する(ステップS14)。閾値設定部115は、閾値を設定すると、設定した閾値を判定結果出力部116に供給する。
【0038】
次に、温度管理装置10の判定結果出力部116は、設定した閾値および取得した温度情報から、人物の体表温度が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS15)。
【0039】
次に、判定結果出力部116は、判定の結果に応じた判定結果情報を生成して、生成した判定結果情報を出力する(ステップS16)。温度管理装置10は判定結果情報を出力すると処理を終了する。なお、温度管理装置10が撮影装置から連続して可視光画像データおよび熱画像データを取得している場合には、ステップS11からの処理を繰り返す。
【0040】
以上、実施形態1にかかる温度管理装置10について説明した。なお、温度管理装置10は、撮影した人物の認証が成功しなかった場合であっても、画像に含まれる人物の体表温度を検出して、予め設定された閾値を用いて判定結果情報を出力する処理を実行してもよい。
【0041】
なお、温度管理装置10は、図示しない構成としてプロセッサ及び記憶装置を有するものである。温度管理装置10が有する記憶装置は、フラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む記憶装置を含む。この場合に、温度管理装置10が有する記憶装置は、属性情報を記憶するものであって、成功した顔認証にかかる人物の属性情報をかかる記憶装置から読み取ってもよい。
【0042】
温度管理装置10が有する記憶装置には、本実施形態にかかる温度管理方法を実行するためのコンピュータプログラム(以降、単にプログラムとも称する)が記憶されている。またプロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムをメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。
【0043】
温度管理装置10が有する各構成は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。
【0044】
また、温度管理装置10の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。また、温度管理装置10の機能がSaaS(Software as a Service)形式で提供されてもよい。
【0045】
上述の温度管理装置10は、人物の特定を行うことで、特定した人物の属性情報を取得し、人物ごとに閾値を設定し、人物ごとの温度管理を行う。よって、温度管理装置10は、人物の個別の事情に応じて温度管理を行うことができる。すなわち、本実施形態によれば、個別の事情に応じて適切に温度管理を行う温度管理装置、システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【0046】
<実施形態2>
次に、実施形態2について説明する。実施形態2にかかる温度管理装置は、補正部および記憶部を有する点が、実施形態1と異なる。図3は、実施形態2にかかる温度管理装置の構成を示すブロック図である。図3に示す温度管理装置20は主な構成として、可視光画像データ取得部110、熱画像データ取得部111、特定部112、属性情報制御部113、温度情報取得部114、閾値設定部115、判定結果出力部116、補正部117および記憶部120を有している。
【0047】
補正部117は、温度情報にかかる人物の周辺温度を検出し、検出した周辺温度に応じて温度情報を補正する。より具体的には、補正部117は例えば、人物の周辺が撮影された領域の熱画像データから人物の周辺温度を検出する。そして補正部117は、かかる周辺温度が所定の参照温度よりも相対的に高い場合には、検出した人物の体表温度を低い値に補正する。一方、補正部117は、周辺温度が所定の参照温度よりも相対的に低い場合には、人物の体表温度を高くするように補正する。補正部117はかかる補正を行うために、周辺温度の参照データを予め有している。補正部117は、かかる参照データとして周辺温度の履歴情報を利用してもよい。なお、補正部117は、人物または赤外線カメラの近傍に設けられた温度センサから温度データを取得し、取得した温度データに応じて温度情報を補正してもよい。なお、補正部117は、人物がマスクを装着していることを検出した場合には、体表温度を低くするように補正するものであってもよい。これは、人物がマスクを装着している場合には、マスクを装着していない場合よりも相対的に体表温度が高くなる傾向があるためである。補正部117は、可視光画像データおおび熱画像データに含まれる顔画像から、人物がマスクを装着していることを検出し得る。
【0048】
記憶部120は、不揮発性メモリを含む記憶装置であって、少なくとも属性情報121を記憶している。属性情報121は、人物の識別情報に紐づけられていることに加えて、属性情報のそれぞれに付随するインデックス情報が含まれてもよい。インデックス情報は、複数の属性情報を層別、抽出または検索可能にするための付随情報である。
【0049】
本実施形態における属性情報制御部113は、温度情報取得部114が取得した温度情報を用いて属性情報121を更新する。より具体的には、属性情報制御部113は、温度情報取得部114が取得した温度情報と、属性情報制御部113が取得した属性情報121とから、属性情報121に温度情報を加えることにより新たな属性情報121を生成する。つまり属性情報制御部113は属性情報121を更新する。そして属性情報制御部113は、更新した属性情報121を記憶部120に書き込む。これにより温度管理装置20は、人物の属性情報に常に新しい温度情報を含む属性情報を利用して温度管理を行う。
【0050】
次に、温度管理装置20が行う処理について説明する。図4は、実施形態2にかかる温度管理方法の例を示すフローチャートである。図4にかかるフローチャートは、ステップS14にステップS21を含む点、および、ステップS16の後にステップS22を含む点が、実施形態1のフローチャートと異なる。なお、以降のフローチャートにおいて、上述のフローチャートにおける処理と同等の処理については適宜説明を省略する。
【0051】
温度管理装置20の閾値設定部115は、ステップS13において取得した属性情報から特定した人物に対する閾値を設定する(ステップS14)。閾値設定部115は、閾値を設定すると、設定した閾値を判定結果出力部116に供給する。
【0052】
次に、温度管理装置20の補正部117は、温度情報取得部114が取得した温度情報の補正を行う(ステップS21)。補正部117は、補正後の温度情報を判定結果出力部116に供給する。
【0053】
次に、温度管理装置10の判定結果出力部116は、設定した閾値および取得した補正後の温度情報から、人物の体表温度が閾値を超えたか否かを判定する(ステップS15)。さらに温度管理装置10は、判定の結果に応じた判定結果を生成して、生成した判定結果に関する情報を出力する(ステップS16)。
【0054】
次に、属性情報制御部113は、補正後の温度情報を利用して属性情報を更新し、更新した属性情報を記憶部120に書き込む(ステップS22)。ステップS22が終了すると温度管理装置10は処理を終了する。なお、温度管理装置10が撮影装置から連続して可視光画像データおよび熱画像データを取得している場合には、ステップS11からの処理を繰り返す。
【0055】
以上、図4のフローチャートについて説明した。なお、図4にかかる温度管理方法は、ステップS14とステップS21とが入れ替わってもよいし、ステップS14とステップS21とが並行して実行されてもよい。また図4にかかる温度管理方法は、ステップS16とステップS22とが入れ替わってもよいし、ステップS16とステップS22とが並行して実行されてもよい。
【0056】
以上、実施形態2について説明した。上述の温度管理装置20は、人物の特定を行い、特定した人物の属性情報を取得することにより、人物ごとの温度管理を行う。また温度管理装置20は、検出した人物の体表温度から属性情報を更新することにより、温度情報の変化に追従した温度管理ができる。よって、実施形態2によれば、個別の事情に応じて適切に温度管理を行う温度管理装置、システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【0057】
<実施形態3>
次に、実施形態3について説明する。実施形態3は、上述した実施形態2にかかる温度管理装置10を含むシステムの例である。図5は、実施形態3にかかる温度管理システム700の構成を示すブロック図である。温度管理システム700は、温度管理装置10、認証装置200、端末装置300およびユーザ端末400を有する。温度管理装置10、認証装置200、端末装置300およびユーザ端末400のそれぞれは、ネットワーク500を介して接続されている。なお、本実施形態においては、温度管理装置10は記憶部120を含むものとする。また、実施形態1と重複する説明については適宜省略する。
【0058】
温度管理装置10は、人物U1が撮影された可視光画像から人物U1を特定し、人物U1の温度情報が閾値を超えているか否かに応じて所定のメッセージを端末装置300に出力する。温度管理装置10は、例えば、コンピュータにより実現されるサーバ装置である。
【0059】
認証装置200は、顔認証を行う装置である。認証装置200は、顔特徴DB210を有する。顔特徴DB210は、人物のユーザIDと当該人物の顔特徴情報とを対応付けて記憶する顔特徴データベースである。尚、顔特徴DB210は、顔特徴情報記憶部の一例である。
【0060】
端末装置300は、撮影装置310を含む。撮影装置310は、実施の形態1において説明した撮影装置であって、可視光カメラと赤外線カメラとを含む。端末装置300は、温度管理を行う施設の出入口や門などの施設を利用する人物が通行する場所に設置される。端末装置300は、施設を訪れた人物U1の顔を撮影し、撮影された撮影画像を含めた顔認証要求を温度管理装置10へ送信する。端末装置300は、かかる顔認証が成功した場合に、人物U1に対する判定結果に関する情報を受信して所定の判定結果を表示する。なお、端末装置300はかかる施設に複数配置されていてもよい。また端末装置300が含む撮影装置310は端末装置300とは一体であってもよいし、別体であってもよい。
【0061】
ユーザ端末400は、人物U1が操作する情報処置装置である。ユーザ端末400は、例えば、スマートフォン、タブレット、ノートPC等の通信機能を有する携帯端末である。ユーザ端末400は、温度管理装置10から所定の判定結果を受け取る。ユーザ端末400は、温度管理装置10に対してユーザの行動履歴等を送信してもよい。
【0062】
次に、図6を参照して、認証装置200の構成について詳細に説明する。図6は、認証装置200の構成を示すブロック図である。認証装置200は、顔特徴DB210、顔検出部220、特徴点抽出部230、登録部240及び認証部250を有する。
【0063】
顔特徴DB210は、人物のユーザIDと当該人物の顔特徴情報とを対応付けて記憶する顔特徴データベースである。顔検出部220は、撮影画像が含む顔領域を検出し、特徴点抽出部230に出力する。特徴点抽出部230は、顔検出部220が検出した顔領域から特徴点を抽出し、登録部240に顔特徴情報を出力する。顔特徴情報は、抽出した特徴点の集合である。
【0064】
登録部240は、顔特徴情報の登録に際して、ユーザIDを新規に発行する。登録部240は、発行したユーザIDと、登録画像から抽出した顔特徴情報と、を対応付けて顔特徴DB210に登録する。認証部250は、顔画像から抽出された顔特徴情報と、顔特徴DB210内の顔特徴情報と、の照合を行う。認証部250は、顔特徴情報が一致している場合、顔認証が成功したと判断し、顔特徴情報が不一致の場合、顔認証が失敗したと判断する。認証部250は、顔認証の成否を温度管理装置10に返信する。顔特徴情報の一致の有無は、認証の成否に対応する。また、認証部250は、顔認証に成功した場合、当該成功した顔特徴情報に対応付けられたユーザIDを特定し、特定されたユーザIDと認証成功の旨とを含めた認証結果を温度管理装置10に返信する。
【0065】
図7を参照して、顔特徴DB210にユーザID及び顔特徴情報を登録する際における認証装置200の動作を説明する。図7は、顔特徴情報登録処理の流れを示すフローチャートである。
【0066】
顔特徴情報を登録する際には、顔情報登録端末(不図示)が、人物の顔を含む画像を登録用画像として撮影し、認証装置200に対してネットワーク500を介して顔特徴情報登録要求を行う。顔情報登録端末は、例えば、パーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末等の情報処理装置である。顔情報登録端末は、例えばユーザ端末400である。顔特徴情報登録要求は、登録用画像を含む。まず、認証装置200は、顔情報登録端末からネットワーク500を介して顔特徴情報登録要求に含まれる登録用画像を取得する(ステップS301)。
【0067】
次に、顔検出部220は、登録用画像が含む顔領域を検出し(ステップS302)、検出した顔領域を特徴点抽出部230に出力する。次に、特徴点抽出部230は、顔領域から特徴点を抽出し、登録部240に顔特徴情報を出力する(ステップS303)。次に、登録部240は、出力された顔特徴情報に対応するユーザIDを発行し、当該ユーザIDと顔特徴情報とを対応付けて顔特徴DB210に登録する(ステップS304)。
【0068】
図8を参照して、顔認証を行う際における認証装置200の動作を説明する。図8は、顔認証処理の流れを示すフローチャートである。顔認証を行う際には、端末装置300は、人物の顔を含む画像を認証用画像として撮影し、温度管理装置10に対してネットワーク500を介して顔認証要求を行う。顔認証要求は、認証用画像を含む。まず、温度管理装置10は、認証用画像から抽出した顔領域又は顔特徴情報を認証装置200に送信する。特徴点抽出部230は、受信した顔領域から顔特徴情報を抽出し、又は顔特徴情報を受信することによって、顔特徴情報を取得する(ステップS401)。
【0069】
次に、認証部250は、取得した顔特徴情報を顔特徴DB210と照合する(ステップS402)。顔特徴情報が一致した場合(ステップS403:YES)、認証部250は、顔特徴情報が一致した人物のユーザIDを特定し(ステップS404)、顔認証に成功した旨と特定したユーザIDとを温度管理装置10に返信する(ステップS405)。一致する顔特徴情報がなかった場合(ステップS403:NO)、認証部250は、顔認証に失敗した旨を温度管理装置10に返信する(ステップS406)。認証装置200は、顔特徴情報に基づいて人物の年代及び性別を推定することができる。ステップS406では、認証部250は、推定した年代及び性別を含めて温度管理装置10に返信するものとする。
【0070】
次に、図9を参照して、端末装置300の構成について詳細に説明する。端末装置300は、主なハードウェア構成として、撮影装置、表示装置およびコンピュータを有する。図9は、端末装置300の構成を示すブロック図である。端末装置300は主な構成として、撮影装置310、記憶部320、通信部330、表示部340および制御部350を有する。撮影装置310は、可視光カメラ311および赤外線カメラ312を有する。
【0071】
記憶部320は、端末装置300の各機能を実現するためのプログラムが格納される記憶装置である。通信部330は、ネットワーク500との通信インタフェースである。表示部340は、温度管理装置10から供給されるメッセージを表示する表示装置である。制御部350は、端末装置300が備えるハードウェアの制御を行う。制御部350は、撮影部352、登録部353および認証部354を有する。
【0072】
撮影部352は、撮影装置310に対して撮影要求を行う。撮影装置310は、人物の顔を含む可視光画像および熱画像を撮影する。撮影装置310が撮影した可視光画像は、登録用画像及び認証用画像として使用され得る。登録部353は、顔特徴情報登録要求を、ネットワーク500を介して認証装置200に送信する。顔特徴情報登録要求は、撮影装置310が撮影した登録用画像を含む。認証部354は、顔認証要求を、ネットワーク500を介して温度管理装置10に送信する。顔認証要求は、撮影装置310が撮影した認証用画像を含む。認証部354は、温度管理装置10から顔認証にかかる人物に対する認証結果に関する情報を受信し、受信した認証結果を表示部340に表示させる。
【0073】
次に、図10を参照して、ユーザ端末400の構成について詳細に説明する。図10は、ユーザ端末400の構成を示すブロック図である。ユーザ端末400は主な構成として、カメラ410、記憶部420、通信部430、表示部440および制御部450を有する。制御部450は、撮影部452、登録部453、認証部454および属性情報生成部を含む。カメラ410は、可視光画像を撮影する。
【0074】
制御部450が有する属性情報生成部455は、ユーザ端末を所持する人物(端末ユーザ)の属性情報を生成する。ユーザ端末400が生成する属性情報は、温度管理装置10がユーザ端末を識別するためのユーザIDと、ユーザIDに紐づけられた個人属性情報を含む。個人属性情報は、端末ユーザの氏名、性別等のプロファイル情報が含まれ得る。
【0075】
また個人情報は、端末ユーザの体温に関する情報が含まれていてもよい。端末ユーザの体温に関する情報は、端末ユーザ自身が入力するものであってもよいし、図示しない体温計から端末ユーザの体温データを取得してもよい。
【0076】
また個人属性情報は、行動履歴情報が含まれてもよい。行動履歴情報は、例えばユーザ端末400が有する時計機能(不図示)および位置情報検出機能(不図示)により、ユーザ端末400が所定期間ごとに検出した時刻および当該時刻における位置情報を含む。
【0077】
ユーザ端末400は、温度管理装置10に通信可能に接続して、属性情報生成部455が生成した属性情報を温度管理装置10に供給し得る。なおこの場合、温度管理装置10は、受け取った属性情報と、すでに記憶部120に記憶している属性情報とを統合してもよい。図に示したユーザ端末400におけるその他の機能は、端末装置300が有する各構成と同様である。そのため、ここでは説明を省略する。
【0078】
次に、図11を参照して、温度管理装置10の構成について詳細に説明する。図11は、温度管理装置10の構成を示すブロック図である。温度管理装置10は、制御部100、記憶部120、バッファメモリ130及び通信部140を有する。
【0079】
記憶部120は、属性情報121およびプログラム124を少なくとも記憶する不揮発性の記憶装置である。属性情報121は、各人物のユーザIDと各人物のそれぞれに紐付けられた属性情報の集合である。ユーザIDは、人物を識別可能な識別子である。各ユーザID121b、121cには、個人属性情報121d、121eが対応付けられている。つまり、記憶部120には、複数の人物の識別情報と、各人物の個人属性情報と、が紐付けられている。個人属性情報121d、121eは、例えば、氏名、性別、年齢および行動履歴等であるが、これらに限定されない。プログラム124は、本実施形態にかかる情報制御処理が実装されたコンピュータプログラムである。
【0080】
バッファメモリ130は、制御部100の処理内容を一時的に記憶する記憶領域であり、例えばRAM(Random Access Memory)等の揮発性記憶装置である。通信部140は、温度管理装置10の外部との通信を行うインタフェースである。
【0081】
制御部100は、登録部101、領域検出部103、可視光画像データ取得部110、熱画像データ取得部111、特定部112、属性情報制御部113、温度情報取得部114、閾値設定部115および判定結果出力部116を有する。制御部100は、温度管理装置10の動作を制御する制御装置であり、例えば、CPU等のプロセッサである。制御部100は、記憶部120からプログラム124をバッファメモリ130へ読み込ませ、実行する。これにより、制御部100は、制御部100が有する構成における各機能を実現する。
【0082】
登録部101は、端末装置300又はユーザ端末400からネットワーク500を介して、登録要求を受信する。登録部101は、受信した登録要求に含まれるユーザIDに対応するユーザIDを発行する。登録部101は、ユーザIDと個別のユーザIDにそれぞれ対応する個人属性情報とを紐付けて、属性情報121を生成し、生成した属性情報121を記憶部120に登録する。
【0083】
領域検出部103は、可視光画像データから顔領域を検出する。例えば、領域検出部103は、可視光画像データを解析してユーザの顔領域を認識する。特定部112は、可視光画像データに顔領域が特定された場合、認証装置200に対して、特定された各顔領域について顔特徴情報を用いた顔認証を行わせる。
【0084】
なお、属性情報制御部113は、ユーザ端末から更新情報を受け取り、更新情報を属性情報に反映させてもよい。
【0085】
以上、実施形態3について説明したが、実施形態3にかかる温度管理システム700は、上述の構成に限られない。温度管理装置10の判定結果出力部116は、ユーザ端末400に通信可能に接続し、ユーザ端末400に対して判定結果を出力してもよい。これにより、温度管理システム700は、複数の人物を同時に撮影した場合であっても、それぞれの人物に対して確実に判定結果を通知できる。また温度管理システム700は、複数の人物を切れ目なく連続して撮影したような状況においても、それぞれの人物に対して確実に判定結果を通知できる。
【0086】
温度管理システム700は、温度管理装置10に代えて、上述の温度管理装置20を構成としてもよい。
【0087】
以上、実施形態3について説明した。実施形態3によれば、個別の事情に応じて適切に温度管理を行う温度管理装置、システム、方法及びプログラムを提供することができる。
【0088】
なお、上述したプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0089】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0090】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
可視光カメラが撮影した可視光画像のデータである可視光画像データを取得する可視光画像データ取得手段と、
前記可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが撮影した画像のデータである熱画像データを取得する熱画像データ取得手段と、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定する特定手段と、
特定された前記人物の属性情報を記憶する記憶装置から前記属性情報を取得する属性情報制御手段と、
前記人物の体表温度に関する温度情報を前記熱画像データに基づいて取得する温度情報取得手段と、
前記属性情報に基づいて閾値を設定する閾値設定手段と、
前記人物の前記体表温度が前記閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果に基づいて判定結果情報を出力する判定結果判定結果出力手段と、
を備える
温度管理装置。
(付記2)
前記閾値設定手段は、前記属性情報に含まれる前記人物の前記体表温度の履歴である温度履歴情報に基づいて、前記閾値を設定する
付記1に記載の温度管理装置。
(付記3)
前記閾値設定手段は、前記温度履歴情報における温度の統計値に基づいて、前記閾値を設定する
付記2に記載の温度管理装置。
(付記4)
前記属性情報制御手段は、前記人物のプロファイル情報を前記属性情報として取得し、
前記閾値設定手段は、前記プロファイル情報に基づいて、前記閾値を設定する
付記1~3のいずれか一項に記載の温度管理装置。
(付記5)
前記属性情報制御手段は、前記人物の性別または年齢の少なくともいずれか一方についての情報を含む前記プロファイル情報を前記属性情報として取得する、
付記4に記載の温度管理装置。
(付記6)
前記属性情報制御手段は、前記人物の行動履歴を含む前記属性情報を取得し、
前記閾値設定手段は、前記行動履歴に基づいて、前記閾値を設定する
付記1~5のいずれか一項に記載の温度管理装置。
(付記7)
前記温度情報にかかる人物の周辺温度を検出し、検出した周辺温度に基づいて前記温度情報に対する補正を行う補正手段をさらに備える
付記1~6のいずれか一項に記載の温度管理装置。
(付記8)
前記補正手段は、前記人物の周辺が撮影された領域の前記熱画像データに基づいて前記補正を行う、
付記7に記載の温度管理装置。
(付記9)
前記補正手段は、前記人物または前記赤外線カメラの近傍に設けられた温度センサから温度データを取得して前記補正を行う、
付記7に記載の温度管理装置。
(付記10)
前記属性情報制御手段は、前記温度情報に基づいて前記属性情報を更新する
付記1~9のいずれか一項に記載の温度管理装置。
(付記11)
前記判定結果判定結果出力手段は、前記人物が使用する人物端末に通信可能に接続し、前記人物端末に対して前記判定結果情報を出力する、
付記1~10のいずれか一項に記載の温度管理装置。
(付記12)
前記属性情報制御手段は、前記人物が使用する人物端末から更新情報を受け取り、前記更新情報を前記属性情報に反映させる、
付記1~11のいずれか一項に記載の温度管理装置。
(付記13)
付記1~12のいずれか一項に記載の温度管理装置と、
前記人物と前記属性情報とを紐付けて記憶する記憶装置と、
を備える
温度管理システム。
(付記14)
付記1~12のいずれか一項に記載の温度管理装置と、
前記温度管理装置から前記可視光画像データを受け取って前記人物の認証を行う認証装置と、を備える
温度管理システム。
(付記15)
コンピュータが、
可視光カメラが撮影した可視光画像のデータである可視光画像データを取得し、
前記可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが撮影した画像のデータである熱画像データを取得し、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定し、
特定された前記人物の属性情報を記憶する記憶装置から前記属性情報を取得し、
前記人物の体表温度に関する温度情報を前記熱画像データに基づいて取得し、
前記属性情報に基づいて閾値を設定し、
前記人物の前記体表温度が前記閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果に基づいて判定結果情報を出力する、
温度管理方法。
(付記16)
可視光カメラが撮影した可視光画像のデータである可視光画像データを取得する処理と、
前記可視光画像の少なくとも一部に対応した撮影範囲を持つ赤外線カメラが撮影した画像のデータである熱画像データを取得する処理と、
前記可視光画像データおよび前記熱画像データに含まれる人物を特定する処理と、
特定された前記人物の属性情報を記憶する記憶装置から前記属性情報を取得する処理と、
前記人物の体表温度に関する温度情報を前記熱画像データに基づいて取得する処理と、
前記属性情報に基づいて閾値を設定する処理と、
前記人物の前記体表温度が前記閾値を超えたか否かを判定し、判定の結果に基づいて判定結果情報を出力する処理と、
を、コンピュータに実行させる情報制御プログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【符号の説明】
【0091】
10 温度管理装置
20 温度管理装置
100 制御部
101 登録部
103 領域検出部
110 可視光画像データ取得部
111 熱画像データ取得部
112 特定部
113 属性情報制御部
114 温度情報取得部
115 閾値設定部
116 判定結果出力部
117 補正部
120 記憶部
121 属性情報
130 バッファメモリ
140 通信部
200 認証装置
210 顔特徴DB
220 顔検出部
230 特徴点抽出部
240 登録部
250 認証部
300 端末装置
310 撮影装置
311 可視光カメラ
312 赤外線カメラ
320 記憶部
330 通信部
340 表示部
350 制御部
400 ユーザ端末
420 記憶部
430 通信部
440 表示部
450 制御部
455 属性情報生成部
500 ネットワーク
700 温度管理システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11