(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 29/739 20060101AFI20231205BHJP
H01L 29/78 20060101ALI20231205BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20231205BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20231205BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20231205BHJP
H01L 29/06 20060101ALI20231205BHJP
H01L 29/12 20060101ALI20231205BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20231205BHJP
H01L 29/861 20060101ALI20231205BHJP
H01L 29/868 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H01L29/78 655F
H01L27/06 102A
H01L27/088 331C
H01L29/06 301R
H01L29/06 301V
H01L29/78 652J
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H01L29/78 653A
H01L29/78 655B
H01L29/78 655D
H01L29/78 655G
H01L29/78 657C
H01L29/78 658H
H01L29/91 C
H01L29/91 F
H01L29/91 J
(21)【出願番号】P 2022557495
(86)(22)【出願日】2021-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2021038317
(87)【国際公開番号】W WO2022080495
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】P 2020174399
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小幡 智幸
【審査官】上田 智志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-161199(JP,A)
【文献】特開2019-186309(JP,A)
【文献】国際公開第2020/162013(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336、21/8234、
27/06、27/088、
29/06、29/12、
29/739、29/78、
29/861、29/868
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に設けられた活性部と、
ゲート導電部を有し、前記活性部において、予め定められた延伸方向に延伸して設けられ、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部であって、前記延伸方向におけるトレンチ長さに対する、前記ゲート導電部の前記配列方向における幅の導電部形状比が1000以上である複数のトレンチ部と、
上面視において、前記半導体基板の予め定められた第1外周辺から前記半導体基板の内側に張り出して設けられた第1制御パッドと、
前記第1制御パッドの下方に設けられ、上面視において前記第1制御パッドを覆って設けられた第1ウェル領域と
を備え、
上面視において、前記第1ウェル領域と、前記複数のトレンチ部の前記延伸方向における長さの中央であるトレンチ中央位置との間の最短距離が1000μm以上
、20000μm以下である
半導体装置。
【請求項2】
前記最短距離は、1500μm以上
、20000μm以下である
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記最短距離は、2000μm以上
、20000μm以下である
請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数のトレンチ部の前記導電部形状比は、3000以上、1×10
6以下である
請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数のトレンチ部は、ゲート電位に設定されたゲートトレンチ部を含み、
前記ゲートトレンチ部の前記導電部形状比は、5000以上、3×10
5以下である
請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第1制御パッドは、アノードパッド、カソードパッドおよびセンスパッドを含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1ウェル領域は、上面視で矩形を有し、前記第1ウェル領域の3辺が前記活性部と対向して設けられる
請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1ウェル領域は、前記第1外周辺から張り出して設けられた角部を有し、
前記最短距離は、前記第1ウェル領域の前記角部と、前記トレンチ中央位置との距離である
請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1外周辺と直交し、前記第1外周辺の中央を通る中央仮想線から、前記第1ウェル領域の前記角部までの距離L1aは、前記中央仮想線と直交する方向における前記中央仮想線から前記半導体基板の外周端までの長さの40%以上
、90%以下である
請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記第1ウェル領域は、前記第1外周辺と直交して前記第1外周辺の中央を通る中央仮想線に対して対称に設けられる
請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1ウェル領域は、前記第1外周辺と直交して前記第1外周辺の中央を通る中央仮想線に対して非対称に設けられる
請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1ウェル領域は、上面視において、角の一部が切り取られた切欠部を備える
請求項1から11のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
上面視において、前記第1外周辺と対向する第2外周辺から前記半導体基板の内側に張り出して設けられた第2制御パッドと、
前記第2制御パッドの下方に設けられ、上面視において前記第2制御パッドを覆って設けられた第2ウェル領域と
を備え、
前記第2ウェル領域は、前記第2外周辺から張り出して設けられた角部を有し、
前記距離L1aは、前記延伸方向における前記中央仮想線から前記第2ウェル領域の角部までの距離L2aより長い
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記第2制御パッドは、前記複数のトレンチ部をゲート電位に設定するためのゲートパッドを含む
請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記活性部は、トランジスタ部およびダイオード部を備え、
前記第1ウェル領域の角部は、上面視において、前記トランジスタ部に位置する
請求項1から14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記複数のトレンチ部がエミッタ電位に設定されたダミートレンチ領域を備え、
前記第1ウェル領域の角部は、上面視において、前記ダミートレンチ領域に位置する
請求項1から14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記活性部は、トランジスタ部およびダイオード部を備え、
前記第1ウェル領域の角部は、上面視において、前記ダイオード部に位置する
請求項1から14のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記半導体基板の上方に設けられた保護膜を備え、
前記ダイオード部は、前記半導体基板のおもて面側にライフタイム制御領域を有し、
前記保護膜は、上面視において、前記ダイオード部を避けて設けられる
請求項17に記載の半導体装置。
【請求項19】
前記延伸方向は、上面視において、前記第1外周辺と平行である
請求項1から18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項20】
前記延伸方向は、上面視において、前記第1外周辺と直交する
請求項1から18のいずれか一項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のトレンチ部を備える半導体装置であって、制御パッドの下方にウェル領域を設けた半導体装置が知られている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]国際公開第2019/078166号
[特許文献2]特開2020-077674号公報
[特許文献3]特開2019-186510号公報
[特許文献4]国際公開第2018/154963号
【解決しようとする課題】
【0003】
半導体装置の破壊を回避することが好ましい。
【一般的開示】
【0004】
本発明の第1の態様においては、半導体基板に設けられた活性部と、ゲート導電部を有し、活性部において、予め定められた延伸方向に延伸して設けられ、予め定められた配列方向に配列された複数のトレンチ部であって、延伸方向におけるトレンチ長さに対する、ゲート導電部の配列方向における幅の導電部形状比が1000以上である複数のトレンチ部と、上面視において、半導体基板の予め定められた第1外周辺から半導体基板の内側に張り出して設けられた第1制御パッドと、第1制御パッドの下方に設けられ、上面視において第1制御パッドを覆って設けられた第1ウェル領域とを備え、上面視において、第1ウェル領域と、複数のトレンチ部の延伸方向における長さの中央であるトレンチ中央位置との間の最短距離が1000μm以上である半導体装置を提供する。
【0005】
最短距離は、1500μm以上であってよい。
【0006】
最短距離は、2000μm以上であってよい。
【0007】
複数のトレンチ部の導電部形状比は、3000以上、1×106以下であってよい。
【0008】
複数のトレンチ部は、ゲート電位に設定されたゲートトレンチ部を含んでよい。ゲートトレンチ部の導電部形状比は、5000以上、3×105以下であってよい。
【0009】
第1制御パッドは、アノードパッド、カソードパッドおよびセンスパッドを含んでよい。
【0010】
第1ウェル領域は、上面視で矩形を有し、第1ウェル領域の3辺が活性部と対向して設けられてよい。
【0011】
第1ウェル領域は、第1外周辺から張り出して設けられた角部を有してよい。最短距離は、第1ウェル領域の角部と、トレンチ中央位置との距離であってよい。
【0012】
第1外周辺と直交し、第1外周辺の中央を通る中央仮想線から、第1ウェル領域の角部までの距離L1aは、中央仮想線と直交する方向における中央仮想線から半導体基板の外周端までの長さの40%以上であってよい。
【0013】
第1ウェル領域は、第1外周辺と直交して第1外周辺の中央を通る中央仮想線に対して対称に設けられてよい。
【0014】
第1ウェル領域は、第1外周辺と直交して第1外周辺の中央を通る中央仮想線に対して非対称に設けられてよい。
【0015】
第1ウェル領域は、上面視において、角の一部が切り取られた切欠部を備えてよい。
【0016】
上面視において、第1外周辺と対向する第2外周辺から半導体基板の内側に張り出して設けられた第2制御パッドと、第2制御パッドの下方に設けられ、上面視において第2制御パッドを覆って設けられた第2ウェル領域とを備えてよい。第2ウェル領域は、第2外周辺から張り出して設けられた角部を有してよい。距離L1aは、延伸方向における中央仮想線から第2ウェル領域の角部までの距離L2aより長くてよい。
【0017】
第2制御パッドは、複数のトレンチ部をゲート電位に設定するためのゲートパッドを含んでよい。
【0018】
活性部は、トランジスタ部およびダイオード部を備えてよい。第1ウェル領域の角部は、上面視において、トランジスタ部に位置してよい。
【0019】
複数のトレンチ部がエミッタ電位に設定されたダミートレンチ領域を備えてよい。第1ウェル領域の角部は、上面視において、ダミートレンチ領域に位置してよい。
【0020】
活性部は、トランジスタ部およびダイオード部を備えてよい。第1ウェル領域の角部は、上面視において、ダイオード部に位置してよい。
【0021】
半導体装置は、半導体基板の上方に設けられた保護膜を備えてよい。ダイオード部は、半導体基板のおもて面側にライフタイム制御領域を有してよい。保護膜は、上面視において、ダイオード部を避けて設けられてよい。
【0022】
延伸方向は、上面視において、第1外周辺と平行であってよい。
【0023】
延伸方向は、上面視において、第1外周辺と直交してよい。
【0024】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。
【
図1D】半導体装置100の上面のレイアウトを説明するための図である。
【
図2D】切欠部118を備える半導体装置100の構成の一例を示す。
【
図2E】切欠部118を備える半導体装置100の構成の一例を示す。
【
図3】保護膜180が設けられた半導体装置100の上面図の一例である。
【
図4A】実施例に係る半導体装置100の上面図の一例である。
【
図4B】実施例に係る半導体装置100の上面図の一例である。
【
図5】オフ状態で、角部111近傍でアバランシェ降伏が生じるときの、電界強度E(R)を示す模式図である。
【
図6A】角部111の近傍における電界強度の最短距離R依存性を示す図である。
【
図6B】最短距離R1aとターンオフ耐量の不良率(%)との関係を示すグラフである
【
図6C】定格電圧V
rateと定格電流密度J
rateとの関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0027】
本明細書においては半導体基板の深さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。基板、層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は、重力方向または半導体装置の実装時における方向に限定されない。
【0028】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。直交座標軸は、構成要素の相対位置を特定するに過ぎず、特定の方向を限定するものではない。例えば、Z軸は地面に対する高さ方向を限定して示すものではない。なお、+Z軸方向と-Z軸方向とは互いに逆向きの方向である。正負を記載せず、Z軸方向と記載した場合、+Z軸および-Z軸に平行な方向を意味する。
【0029】
本明細書では、半導体基板の上面および下面に平行な直交軸をX軸およびY軸とする。また、半導体基板の上面および下面と垂直な軸をZ軸とする。本明細書では、Z軸の方向を深さ方向と称する場合がある。また、本明細書では、X軸およびY軸を含めて、半導体基板の上面および下面に平行な方向を、水平方向と称する場合がある。
【0030】
本明細書において「同一」または「等しい」のように称した場合、製造ばらつき等に起因する誤差を有する場合も含んでよい。当該誤差は、例えば10%以内である。
【0031】
本明細書においては、不純物がドーピングされたドーピング領域の導電型をP型またはN型として説明している。本明細書においては、不純物とは、特にN型のドナーまたはP型のアクセプタのいずれかを意味する場合があり、ドーパントと記載する場合がある。本明細書においては、ドーピングとは、半導体基板にドナーまたはアクセプタを導入し、N型の導電型を示す半導体またはP型の導電型を示す半導体とすることを意味する。
【0032】
本明細書においては、ドーピング濃度とは、熱平衡状態におけるドナーの濃度またはアクセプタの濃度を意味する。本明細書においては、ネット・ドーピング濃度とは、ドナー濃度を正イオンの濃度とし、アクセプタ濃度を負イオンの濃度として、電荷の極性を含めて足し合わせた正味の濃度を意味する。一例として、ドナー濃度をND、アクセプタ濃度をNAとすると、任意の位置における正味のネット・ドーピング濃度はND-NAとなる。本明細書では、ネット・ドーピング濃度を単にドーピング濃度と記載する場合がある。
【0033】
ドナーは、半導体に電子を供給する機能を有している。アクセプタは、半導体から電子を受け取る機能を有している。ドナーおよびアクセプタは、不純物自体には限定されない。例えば、半導体中に存在する空孔(V)、酸素(O)および水素(H)が結合したVOH欠陥は、電子を供給するドナーとして機能する。本明細書では、VOH欠陥を水素ドナーと称する場合がある。
【0034】
本明細書においてP+型またはN+型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が高いことを意味し、P-型またはN-型と記載した場合、P型またはN型よりもドーピング濃度が低いことを意味する。また、本明細書においてP++型またはN++型と記載した場合には、P+型またはN+型よりもドーピング濃度が高いことを意味する。本明細書の単位系は、特に断りがなければSI単位系である。長さの単位をcmあるいはμmで表示することがあるが、諸計算はメートル(m)に換算してから行ってよい。
【0035】
図1Aは、実施例に係る半導体装置100の上面図の一例を示す。半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を備える半導体チップである。半導体装置100は、IPM(Intelligent Power Module)等のモジュールに搭載されてよい。
【0036】
トランジスタ部70は、半導体装置100においてトランジスタ動作をする領域である。トランジスタ部70は、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のトランジスタを含む。ダイオード部80は、半導体装置100において、回路の電流を還流させる等のダイオード動作をする領域である。ダイオード部80は、還流ダイオード(FWD:Free Wheel Diode)等のダイオードを含む。本例の半導体装置100は、トランジスタ部70およびダイオード部80を同一のチップに有する逆導通IGBT(RC-IGBT:Reverse Conducting IGBT)である。なお、各図面において、トランジスタ部70の領域を記号I、ダイオード部80の領域を記号Fで示す場合がある。
【0037】
半導体基板10は、シリコン基板であってよく、炭化シリコン基板であってよく、窒化ガリウム等の窒化物半導体基板等であってもよい。本例の半導体基板10は、シリコン基板である。半導体基板10は、活性部102および外周部104を有する。本明細書では、上面視における半導体基板10の外周の端部を、外周端150とする。上面視とは、半導体基板10のおもて面側から、当該おもて面と垂直な方向(Z軸方向)に見た場合を指す。
【0038】
トランジスタ部70およびダイオード部80は、XY平面内において交互に周期的に配列されてよい。トランジスタ部70およびダイオード部80の間の領域において、半導体基板10の上方には、ゲート金属層50が設けられてよい。なお、本例のトランジスタ部70およびダイオード部80は、Y軸方向に延伸して、X軸方向に配列されたトレンチ部を有する。但し、トランジスタ部70およびダイオード部80は、X軸方向に延伸して、Y軸方向に配列されたトレンチ部を有していてもよい。なお、トランジスタ部70またはダイオード部80に隣接する領域には、後述する境界部90および境界部92が設けられてよい。境界部92は、活性部102のうち、上面視においてダイオード部80とゲート金属層50との間の領域であってよい。本例の境界部92は、Y軸方向において、ダイオード部80とゲート金属層50との間の領域に設けられており、X軸方向において、トランジスタ部70の間に設けられている。境界部92においては、半導体基板10の裏面に後述するコレクタ領域22が設けられてよい。
【0039】
活性部102は、トランジスタ部70およびダイオード部80を有する。活性部102は、半導体装置100をオン状態に制御した場合に、半導体基板10のおもて面と裏面との間で主電流が流れる領域である。即ち、半導体基板10のおもて面から裏面、または裏面からおもて面に、半導体基板10の内部を深さ方向に電流が流れる領域である。本明細書では、トランジスタ部70およびダイオード部80をそれぞれ素子部または素子領域と称する。
【0040】
なお、上面視において、2つの素子部に挟まれた領域も活性部102とする。本例では、素子部に挟まれてゲート金属層50が設けられている領域も活性部102に含めている。
【0041】
ゲート金属層50は、金属を含む材料で形成される。例えば、ゲート金属層50は、アルミニウム、アルミニウム‐シリコン合金、またはアルミニウム‐シリコン-銅合金で形成される。ゲート金属層50は、トランジスタ部70のゲート導電部と電気的に接続され、トランジスタ部70にゲート電圧を供給する。ゲート金属層50は、上面視で、活性部102の外周を囲うように設けられる。ゲート金属層50は、外周部104に設けられるゲートパッド122と電気的に接続される。ゲート金属層50は、半導体基板10の外周端150に沿って設けられてよい。また、ゲート金属層50は、上面視で、温度センス部140の周囲や、トランジスタ部70およびダイオード部80の間に設けられてよい。本例のゲート金属層50は、太線で示されている。
【0042】
外周部104は、上面視において、活性部102と半導体基板10の外周端150との間の領域である。外周部104は、上面視において、活性部102を囲んで設けられる。外周部104には、半導体装置100と外部の装置とをワイヤ等で接続するための1つ以上の金属のパッドが配置されてよい。なお、外周部104は、エッジ終端構造部を有してよい。エッジ終端構造部は、半導体基板10のおもて面側の電界集中を緩和する。例えば、エッジ終端構造部は、ガードリング、フィールドプレート、リサーフおよびこれらを組み合わせた構造を有する。
【0043】
おもて面電極は、半導体基板10の上方に設けられる。おもて面電極は、後述するエミッタ電極52を含む。おもて面電極は、第1制御パッド110および第2制御パッド120を含んでよい。おもて面電極は、ワイヤボンディング等によって、半導体装置100の外部の電極と接続されてよい。なお、おもて面電極の個数および位置は、本例に限定されない。
【0044】
第1制御パッド110は、上面視において、半導体基板10の予め定められた第1外周辺151から半導体基板10の内側に張り出して設けられている。第1制御パッド110が第1外周辺151から半導体基板10の内側に張り出すとは、活性部102の内側に外周部104が延伸して設けられていることを指す。即ち、第1制御パッド110のY軸方向の正側または負側には、活性部102が設けられている。本例の第1制御パッド110は、アノードパッド112と、カソードパッド114と、センスパッド116とを備える。
【0045】
第2制御パッド120は、上面視において、第2外周辺152から半導体基板10の内側に張り出して設けられている。第2外周辺152は、第1外周辺151と対向する外周端150の辺である。なお、本例の第1外周辺151および第2外周辺152は、上面視において、トレンチ部の延伸方向(本例ではY軸方向)と平行である。本例の第2制御パッド120は、ゲートパッド122を備える。
【0046】
ウェル領域115は、第1制御パッド110の下方に設けられ、上面視において第1制御パッド110を覆って設けられている。本例のウェル領域115は、上面視で矩形を有し、ウェル領域115の3辺が活性部102と対向して設けられている。ウェル領域115は、第1外周辺151から張り出して設けられた角部111を有する。
【0047】
ウェル領域125は、第2制御パッド120の下方に設けられ、上面視において第2制御パッド120を覆って設けられている。本例のウェル領域125は、上面視で矩形を有し、ウェル領域125の3辺が活性部102と対向して設けられている。ウェル領域125は、第2外周辺152から張り出して設けられた角部121を有する。
【0048】
ウェル領域135は、上面視においてゲート金属層50を覆うように設けられている。本例のウェル領域135は、外周部104に沿って、ゲート金属層50を覆って設けられている。ウェル領域135は、ウェル領域115と接続されてよい。
【0049】
ウェル領域145は、上面視においてゲート金属層50を覆うように設けられている。本例のウェル領域145は、温度センス部140および温度センス配線142をさらに覆って設けられてよい。ウェル領域145は、ウェル領域115およびウェル領域125に接続されてよい。
【0050】
ウェル領域115、ウェル領域125、ウェル領域135およびウェル領域145は、半導体基板10のおもて面側に設けられた第2導電型の領域である。ウェル領域115、ウェル領域125、ウェル領域135およびウェル領域145の導電型は、一例としてP+型である。ウェル領域115、ウェル領域125、ウェル領域135およびウェル領域145を設けることにより、半導体基板10内のホールを引き抜きやすくなり、ラッチアップしにくくなる。これにより半導体装置100の耐量を向上することができる。
【0051】
ゲートパッド122は、ゲート金属層50と電気的に接続される。ゲートパッド122は、ゲート金属層50を介してトランジスタ部70のゲート導電部と電気的に接続される。ゲートパッド122は、ゲート電位に設定されている。本例のゲートパッド122は、上面視で矩形である。一例において、ゲートパッド122は、1000μm以上、1500μm以下の1辺を有してよいが、これに限定されない。
【0052】
アノードパッド112は、温度センス部140のアノード領域と電気的に接続される。アノードパッド112は、温度センス配線142によって、温度センス部140のアノード領域と電気的に接続されている。本例のアノードパッド112は、上面視で矩形である。一例において、アノードパッド112は、500μm以上、900μm以下の短辺と、1000μm以上、1500μm以下の長辺とを有してよいが、これに限定されない。
【0053】
カソードパッド114は、温度センス部140のカソード領域と電気的に接続される。カソードパッド114は、温度センス配線142によって、温度センス部140のカソード領域と電気的に接続されている。本例のカソードパッド114は、上面視で矩形である。カソードパッド114は、上面視において、アノードパッド112と同一の形状を有してもよい。
【0054】
温度センス部140は、活性部102の上方に配置され、半導体基板10の温度を検出する。本例の温度センス部140は、活性部102の温度を検知する。温度センス部140は、ポリシリコン等の半導体材料で形成されるダイオードを有してよい。温度センス部140は、半導体装置100の温度を検出して、半導体チップを過熱から保護するために用いられる。温度センス部140は、X軸方向に長手を有し、Y軸方向に短手を有するが、これに限られない。
【0055】
本例の温度センス部140は、上面視で、活性部102の中央付近に設けられる。温度センス部140は、トランジスタ部70およびダイオード部80のいずれの領域に設けられてもよい。即ち、温度センス部140が設けられた半導体基板10の裏面側には、第2導電型のコレクタ領域が設けられても第1導電型のカソード領域が設けられてもよい。
【0056】
温度センス配線142は、アノードパッド112およびカソードパッド114を温度センス部140と電気的に接続する。温度センス配線142は、活性部102の上方において、温度センス部140から外周部104まで延伸して設けられる。温度センス配線142は、おもて面電極と同一の材料で構成されてもよい。上面視において、温度センス部140および温度センス配線142と重なる半導体基板10の領域には、P+型のウェル領域が配置されてよい。
【0057】
図1Bは、半導体装置100の上面の拡大図を示す。本例では、
図1Aの領域Aの拡大図が示されている。
【0058】
トランジスタ部70は、半導体基板10の裏面側に設けられたコレクタ領域22を半導体基板10のおもて面に投影した領域であってよい。コレクタ領域22は、第2導電型を有する。本例のコレクタ領域22は、一例としてP+型である。トランジスタ部70は、トランジスタ部70とダイオード部80の境界に位置する境界部90を含む。
【0059】
ダイオード部80は、半導体基板10の裏面側に設けられたカソード領域82を半導体基板10のおもて面に投影した領域であってよい。カソード領域82は、第1導電型を有する。本例のカソード領域82は、一例としてN+型である。
【0060】
本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面において、ゲートトレンチ部40と、ダミートレンチ部30と、エミッタ領域12と、ベース領域14と、コンタクト領域15と、ウェル領域145とを備える。また、本例の半導体装置100は、半導体基板10のおもて面の上方に設けられたエミッタ電極52およびゲート金属層50を備える。
【0061】
エミッタ電極52は、ゲートトレンチ部40、ダミートレンチ部30、エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15およびウェル領域145の上方に設けられている。また、ゲート金属層50は、ゲートトレンチ部40およびウェル領域145の上方に設けられている。
【0062】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、金属を含む材料で形成される。例えば、エミッタ電極52の少なくとも一部の領域は、アルミニウム、アルミニウム‐シリコン合金、またはアルミニウム‐シリコン-銅合金で形成されてよい。エミッタ電極52は、アルミニウム等で形成された領域の下層にチタンやチタン化合物等で形成されたバリアメタルを有してよい。エミッタ電極52およびゲート金属層50は、互いに分離して設けられる。
【0063】
エミッタ電極52およびゲート金属層50は、層間絶縁膜38を挟んで、半導体基板10の上方に設けられる。層間絶縁膜38は、
図1Aでは省略されている。層間絶縁膜38には、コンタクトホール54、コンタクトホール55およびコンタクトホール56が貫通して設けられている。
【0064】
コンタクトホール55は、ゲート金属層50とトランジスタ部70内のゲート導電部とを接続する。コンタクトホール55の内部には、タングステン等で形成されたプラグが形成されてもよい。コンタクトホール56は、エミッタ電極52とダミートレンチ部30内のダミー導電部とを接続する。コンタクトホール56の内部には、タングステン等で形成されたプラグが形成されてもよい。
【0065】
接続部25は、エミッタ電極52またはゲート金属層50等のおもて面電極と、トレンチ部の内部に形成された導電部とを電気的に接続する。一例において、接続部25は、ゲート金属層50とゲート導電部との間に設けられる。接続部25は、エミッタ電極52とダミー導電部との間にも設けられている。接続部25は、不純物がドープされたポリシリコン等の導電性の材料を含む。本例の接続部25は、N型の不純物がドープされたポリシリコン(N+)である。接続部25は、酸化膜等の絶縁膜等を介して、半導体基板10のおもて面の上方に設けられる。
【0066】
ゲートトレンチ部40は、所定の配列方向(本例ではX軸方向)に沿って所定の間隔で配列される。本例のゲートトレンチ部40は、半導体基板10のおもて面に平行であって配列方向と垂直な延伸方向(本例ではY軸方向)に沿って延伸する2つの延伸部分41と、2つの延伸部分41を接続する接続部分43を有してよい。ゲートトレンチ部40は、ゲート電位に設定されている。
【0067】
接続部分43は、少なくとも一部が曲線状に形成されることが好ましい。ゲートトレンチ部40の2つの延伸部分41の端部を接続することで、延伸部分41の端部における電界集中を緩和できる。ゲートトレンチ部40の接続部分43において、ゲート金属層50がゲート導電部と接続されてよい。
【0068】
ダミートレンチ部30は、エミッタ電極52と電気的に接続されたトレンチ部である。ダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同様に、所定の配列方向(本例ではX軸方向)に沿って所定の間隔で配列される。本例のダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同様に、半導体基板10のおもて面においてU字形状を有してよい。即ち、ダミートレンチ部30は、延伸方向に沿って延伸する2つの延伸部分31と、2つの延伸部分31を接続する接続部分33を有してよい。
【0069】
本例のトランジスタ部70は、2つのゲートトレンチ部40と3つのダミートレンチ部30を繰り返し配列させた構造を有する。即ち、本例のトランジスタ部70は、2:3の比率でゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30を有している。例えば、トランジスタ部70は、2本の延伸部分41の間に1本の延伸部分31を有する。また、トランジスタ部70は、ゲートトレンチ部40と隣接して、2本の延伸部分31を有している。
【0070】
但し、ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は本例に限定されない。ゲートトレンチ部40とダミートレンチ部30の比率は、1:1であってもよく、2:4であってもよい。また、トランジスタ部70においてダミートレンチ部30を設けず、全てゲートトレンチ部40としたいわゆるフルゲートトレンチ構造(オールゲートトレンチ構造)としてもよい。
【0071】
ウェル領域145は、後述するドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面側に設けられた第2導電型の領域である。ウェル領域145は、半導体装置100のエッジ側に設けられるウェル領域の一例である。ウェル領域145は、一例としてP+型である。ウェル領域145は、ゲート金属層50が設けられる側の活性領域の端部から、予め定められた範囲で形成される。ウェル領域145の拡散深さは、ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の深さよりも深くてよい。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の、ゲート金属層50側の一部の領域は、ウェル領域145に形成される。ゲートトレンチ部40およびダミートレンチ部30の延伸方向の端の底は、ウェル領域145に覆われてよい。ウェル領域145は、ウェル領域115およびウェル領域125と同時に形成されてよい。ウェル領域115、ウェル領域125、ウェル領域135およびウェル領域145の拡散深さは同じ、または実質的に同じであってよい。ウェル領域145は、上面視でゲート金属層50を覆うように設けられてよい。ウェル領域145は、トランジスタ部70またはダイオード部80よりも外周側の、外周部104に近い位置でエミッタ電極52と電気的に接続してよい。
【0072】
コンタクトホール54は、層間絶縁膜38を開口して半導体基板10のおもて面21を露出した部分である。コンタクトホール54は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12およびコンタクト領域15の各領域の上方に形成される。コンタクトホール54を介して、エミッタ領域12またはコンタクト領域15はエミッタ電極52と接触し、電気的に接続する。
【0073】
ダイオード部80において、コンタクトホール54はベース領域14の上方に設けられる。ダイオード部80におけるベース領域14は、コンタクトホール54を介してエミッタ電極52と接してよい。コンタクトホール54が形成されたおもて面21において、ベース領域14とエミッタ電極52との間に、コンタクト抵抗を低減するために、ベース領域14と同じ導電型の高濃度層を備えてもよい。
【0074】
境界部90において、コンタクトホール54はコンタクト領域15の上方に設けられる。コンタクトホール54は、Y軸方向両端に設けられたウェル領域145の上方には設けられていなくてよい。このように、層間絶縁膜38には、1又は複数のコンタクトホール54が形成されている。1又は複数のコンタクトホール54は、延伸方向に延伸して設けられてよい。
【0075】
境界部90は、トランジスタ部70に設けられ、ダイオード部80と隣接する領域である。境界部90は、コンタクト領域15を有してよい。本例の境界部90は、エミッタ領域12を有さない。一例において、境界部90のトレンチ部は、ダミートレンチ部30である。本例の境界部90は、X軸方向における両端がダミートレンチ部30となるように配置されている。
【0076】
メサ部71、メサ部91およびメサ部81は、半導体基板10のおもて面と平行な面内において、トレンチ部に隣接して設けられたメサ部である。メサ部とは、隣り合う2つのトレンチ部に挟まれた半導体基板10の部分であって、半導体基板10のおもて面から、各トレンチ部の最も深い底部の深さまでの部分であってよい。各トレンチ部の延伸部分を1つのトレンチ部としてよい。即ち、2つの延伸部分に挟まれる領域をメサ部としてよい。
【0077】
メサ部71は、トランジスタ部70において、ダミートレンチ部30またはゲートトレンチ部40の少なくとも1つに隣接して設けられる。メサ部71は、半導体基板10のおもて面において、エミッタ領域12と、ベース領域14と、コンタクト領域15と、ウェル領域145とを有してよい。メサ部71では、エミッタ領域12およびコンタクト領域15が延伸方向において交互に設けられてよい。
【0078】
メサ部91は、境界部90に設けられている。メサ部91は、半導体基板10のおもて面において、コンタクト領域15またはウェル領域145を有してよい。
【0079】
メサ部81は、ダイオード部80において、隣り合うダミートレンチ部30に挟まれた領域に設けられる。メサ部81は、半導体基板10のおもて面において、ベース領域14と、コンタクト領域15または、ウェル領域145を有してよい。
【0080】
ベース領域14は、トランジスタ部70およびダイオード部80において、半導体基板10のおもて面側に設けられた第2導電型の領域である。ベース領域14は、一例としてP-型である。ベース領域14は、半導体基板10のおもて面において、メサ部71およびメサ部91のY軸方向における両端部に設けられてよい。なお、
図1Aは、当該ベース領域14のY軸方向の一方の端部のみを示している。ベース領域14は、ウェル領域145よりもドーピング濃度が低くてよい。
【0081】
エミッタ領域12は、ドリフト領域18よりもドーピング濃度の高い第1導電型の領域である。本例のエミッタ領域12は、一例としてN+型である。エミッタ領域12のドーパントの一例はヒ素(As)である。エミッタ領域12は、メサ部71のおもて面において、ゲートトレンチ部40と接して設けられる。エミッタ領域12は、メサ部71を挟んだ2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に延伸して設けられてよい。エミッタ領域12は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。
【0082】
また、エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例のエミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接している。エミッタ領域12は、境界部90のメサ部91には設けられなくてよい。
【0083】
コンタクト領域15は、ベース領域14よりもドーピング濃度の高い第2導電型の領域である。本例のコンタクト領域15は、一例としてP+型である。コンタクト領域15の深さ方向の厚さは、ベース領域14の深さ方向の厚さよりも薄くてよい。本例のコンタクト領域15は、メサ部71およびメサ部91のおもて面に設けられている。コンタクト領域15は、メサ部71またはメサ部91を挟んだ2本のトレンチ部の一方から他方まで、X軸方向に設けられてよい。コンタクト領域15は、ゲートトレンチ部40と接してもよいし、接しなくてもよい。また、コンタクト領域15は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。本例においては、コンタクト領域15が、ダミートレンチ部30およびゲートトレンチ部40と接する。コンタクト領域15は、コンタクトホール54の下方にも設けられている。なお、コンタクト領域15は、メサ部81にも設けられてよい。
【0084】
トレンチ長さLtは、複数のトレンチ部の延伸方向における長さである。本例のトレンチ長さLtは、トレンチ部のY軸方向の正側に設けられたゲート金属層50と、トレンチ部のY軸方向の負側に設けられたゲート金属層50との間の距離に対応する。トレンチ長さLtは、2000μm以上であってよく、3000μm以上であってよく、4000μm以上であってよく、4600μm以上であってよく、6000μm以上であってよい。また、トレンチ長さLtは、50000μm以下であってよく、30000μm以下であってよく、20000μm以下であってよい。
【0085】
図1Cは、
図1Bにおけるa-a'断面の一例を示す図である。a-a'断面は、トランジスタ部70において、エミッタ領域12を通過するXZ面である。本例の半導体装置100は、a-a'断面において、半導体基板10、層間絶縁膜38、エミッタ電極52およびコレクタ電極24を有する。エミッタ電極52は、半導体基板10および層間絶縁膜38の上方に形成される。
【0086】
ドリフト領域18は、半導体基板10に設けられた第1導電型の領域である。本例のドリフト領域18は、一例としてN-型である。ドリフト領域18は、半導体基板10において他のドーピング領域が形成されずに残存した領域であってよい。即ち、ドリフト領域18のドーピング濃度は半導体基板10のドーピング濃度であってよい。
【0087】
バッファ領域20は、ドリフト領域18の下方に設けられた第1導電型の領域である。本例のバッファ領域20は、一例としてN型である。バッファ領域20のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。バッファ領域20は、ベース領域14の裏面側から広がる空乏層が、第2導電型のコレクタ領域22および第1導電型のカソード領域82に到達することを防ぐフィールドストップ層として機能してよい。
【0088】
コレクタ領域22は、トランジスタ部70において、バッファ領域20の下方に設けられる。カソード領域82は、ダイオード部80において、バッファ領域20の下方に設けられる。コレクタ領域22とカソード領域82との境界は、トランジスタ部70とダイオード部80との境界としてよい。
【0089】
コレクタ電極24は、半導体基板10の裏面23に形成される。コレクタ電極24は、金属等の導電材料で形成される。
【0090】
ベース領域14は、メサ部71、メサ部91およびメサ部81において、ドリフト領域18の上方に設けられる第2導電型の領域である。ベース領域14は、ゲートトレンチ部40に接して設けられてよい。ベース領域14は、ダミートレンチ部30に接して設けられてよい。
【0091】
エミッタ領域12は、メサ部71において、ベース領域14とおもて面21との間に設けられる。エミッタ領域12は、ゲートトレンチ部40と接して設けられてよい。エミッタ領域12は、ダミートレンチ部30と接してもよいし、接しなくてもよい。なお、エミッタ領域12は、メサ部91に設けられなくてよい。
【0092】
コンタクト領域15は、メサ部91において、ベース領域14の上方に設けられる。コンタクト領域15は、メサ部91において、ダミートレンチ部30に接して設けられる。他の断面において、コンタクト領域15は、メサ部71のおもて面21に設けられてよい。
【0093】
蓄積領域16は、ドリフト領域18よりも半導体基板10のおもて面21側に設けられる第1導電型の領域である。本例の蓄積領域16は、一例としてN+型である。蓄積領域16のドナー濃度は、ドリフト領域18のドナー濃度よりも大きい。蓄積領域16は、トランジスタ部70およびダイオード部80に設けられる。本例の蓄積領域16は、境界部90にも設けられている。これにより、半導体装置100は、蓄積領域16のマスクずれを回避できる。
【0094】
また、蓄積領域16は、ゲートトレンチ部40に接して設けられる。蓄積領域16は、ダミートレンチ部30に接してもよいし、接しなくてもよい。蓄積領域16のドーピング濃度は、ドリフト領域18のドーピング濃度よりも高い。蓄積領域16を設けることで、キャリア注入促進効果(IE効果)を高めて、トランジスタ部70のオン電圧を低減できる。
【0095】
1つ以上のゲートトレンチ部40および1つ以上のダミートレンチ部30は、おもて面21に設けられる。各トレンチ部は、おもて面21からドリフト領域18まで設けられる。エミッタ領域12、ベース領域14、コンタクト領域15および蓄積領域16の少なくともいずれかが設けられる領域においては、各トレンチ部はこれらの領域も貫通して、ドリフト領域18に到達する。トレンチ部がドーピング領域を貫通するとは、ドーピング領域を形成してからトレンチ部を形成する順序で製造したものに限定されない。トレンチ部を形成した後に、トレンチ部の間にドーピング領域を形成したものも、トレンチ部がドーピング領域を貫通しているものに含まれる。
【0096】
ゲートトレンチ部40は、おもて面21に形成されたゲートトレンチ、ゲート絶縁膜42およびゲート導電部44を有する。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁を覆って形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲートトレンチの内壁の半導体を酸化または窒化して形成してよい。ゲート導電部44は、ゲートトレンチの内部においてゲート絶縁膜42よりも内側に形成される。ゲート絶縁膜42は、ゲート導電部44と半導体基板10とを絶縁する。ゲート導電部44は、ポリシリコン等の導電材料で形成される。ゲートトレンチ部40は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0097】
ゲート導電部44は、半導体基板10の深さ方向において、ゲート絶縁膜42を挟んでメサ部71側で隣接するベース領域14と対向する領域を含む。ゲート導電部44に所定の電圧が印加されると、ベース領域14のうちゲートトレンチに接する界面の表層に、電子の反転層によるチャネルが形成される。
【0098】
ゲートトレンチ部40の幅は、0.5μmより大きくてよく、2.0μmより小さくてよい。本例のゲートトレンチ部40の幅は、1.0μmである。ゲート絶縁膜42の厚さは、0.05μmより厚くてよく、0.2μmより薄くてよい。本例のゲート絶縁膜42の厚さは、0.1μmである。
【0099】
ゲート導電部44の幅Wgは、ゲートトレンチ部40の幅からゲート絶縁膜42の厚さ(即ち、ゲート絶縁膜42の二層分)を引けばよい。ゲートトレンチ部40の幅は、深さ方向に一定であってよく、増加してよく、減少してよい。ゲート導電部44の幅Wgは、ベース領域14においてドーピング濃度がピークとなる深さと同じ深さ位置における、ゲート導電部44の幅としてよい。または、ゲート導電部44の幅Wgは、ベース領域14がエミッタ領域12と接する深さ、即ちpn接合深さにおけるゲート導電部44の幅としてよい。
【0100】
ダミートレンチ部30は、ゲートトレンチ部40と同一の構造を有してよい。ダミートレンチ部30は、おもて面21側に形成されたダミートレンチ、ダミー絶縁膜32およびダミー導電部34を有する。ダミー絶縁膜32は、ダミートレンチの内壁を覆って形成される。ダミー導電部34は、ダミートレンチの内部に形成され、且つ、ダミー絶縁膜32よりも内側に形成される。ダミー絶縁膜32は、ダミー導電部34と半導体基板10とを絶縁する。ダミートレンチ部30は、おもて面21において層間絶縁膜38により覆われる。
【0101】
層間絶縁膜38は、おもて面21に設けられている。層間絶縁膜38の上方には、エミッタ電極52が設けられている。層間絶縁膜38には、エミッタ電極52と半導体基板10とを電気的に接続するための1又は複数のコンタクトホール54が設けられている。コンタクトホール55およびコンタクトホール56も同様に、層間絶縁膜38を貫通して設けられてよい。
【0102】
ライフタイム制御領域130は、ダイオード部80において半導体基板10のおもて面21側に設けられてよい。半導体基板10のおもて面21側とは、半導体基板10の深さ方向における中央よりもおもて面21側の領域を指してよい。また、半導体基板10の異なる深さ位置にライフタイム制御領域が設けられている場合、最もおもて面21側のライフタイム制御領域を、ライフタイム制御領域130としてもよい。
【0103】
ライフタイム制御領域130は、半導体基板10の内部に不純物を注入すること等により意図的にライフタイムキラーを導入した領域であってよい。意図的にライフタイムキラーを導入した領域の電子または正孔のキャリアのライフタイムの値は、意図的にライフタイムキラーを導入していない領域のキャリアのライフタイムよりも小さい。ライフタイムキラーは、キャリアの再結合中心であって、格子欠陥であってよく、空孔、複空孔、空孔等により形成されたダングリングボンド、これらと半導体基板10を構成する元素との複合欠陥または転位であってよい。また、ライフタイムキラーは、ヘリウム、ネオンなどの希ガス元素または水素元素などでよく、白金または金などの遷移金属であってもよい。
【0104】
ダイオード部80にライフタイム制御領域130を設けることで、ダイオード部80におけるキャリアライフタイムを調整して、逆回復時における損失を低減できる。なお、ライフタイム制御領域130は、電子線照射によって形成されてもよい。電子線照射の場合、透過力が強いため、半導体基板10のおもて面21から照射の場合も、裏面23から照射の場合も、おもて面21から裏面23にわたってライフタイムキラーは略一様の分布となる。しかし、おもて面21側の任意の位置をライフタイム制御領域130と考えれば、他のライフタイムキラーと同様の議論が成り立つ。
【0105】
本例のライフタイム制御領域130は、境界部90にも設けられる。これにより、ダイオード部80の逆回復時に、トランジスタ部70のベース領域14から、ダイオード部80のカソード領域82に正孔が流れるのを抑制でき、逆回復損失を低減できる。なお、ライフタイム制御領域130は、境界部90の途中で終端し、境界部90の全体に設けられなくてもよい。
【0106】
図1Dは、半導体装置100の上面のレイアウトを説明するための図である。
図1Dでは、半導体装置100の構造を説明するために、一部の構成が省略されている。
【0107】
中央仮想線VLは、第1外周辺151と直交し、第1外周辺151の中央を通る。本例の中央仮想線VLは、半導体基板10のY軸方向の中央を通り、X軸方向に延伸する仮想線である。距離Haは、中央仮想線VLと直交する方向における半導体基板10の長さであり、第1外周辺151および第2外周辺152の長さに対応する。距離Hbは、中央仮想線VLと平行な方向における半導体基板10の長さである。本例の距離Hbは、距離Haよりも長いが、距離Haと同じであってよく、距離Haよりも短くてもよい。距離Hcは、中央仮想線VLと直交する方向における、中央仮想線VLから半導体基板10の外周端150までの距離である。即ち、距離Hcは、距離Haの半分の長さである。
【0108】
ウェル領域115は、角部111aおよび角部111bの2つの角部を含む。角部111aおよび角部111bは、中央仮想線VLを挟んで互いに反対の領域に設けられている。中央仮想線VLから遠い方の角部を角部111aとして、中央仮想線VLから近い方の角部を角部111bとしている。
【0109】
距離L1aは、中央仮想線VLから角部111aまでの延伸方向における距離である。本例の距離L1aは、非対称に設けられたウェル領域115において、中央仮想線VLから離れた方の角部111aまでの距離である。距離L1bは、中央仮想線VLから角部111bまでの延伸方向における距離である。距離L1aは、距離L1bと同一であってもよいし、異なっていてもよい。本例の距離L1aは、距離L1bよりも大きい。即ち、本例のウェル領域115は、中央仮想線VLに対して非対称に設けられている。距離L1aは、距離Hcの30%以上であってもよく、40%以上であってもよい。距離L1aは、距離Hcの90%以下であってよく、80%以下であってよい。
【0110】
ウェル領域125は、角部121aおよび角部121bの2つの角部を含む。延伸方向において、角部111aが設けられた側の角部を角部121aとして、角部111bが設けられた側の角部を角部121bとする。即ち、角部121bは、中央仮想線VLを挟んで、角部121aと反対側に設けられている。なお、
図1Dでは角部111a、角部111b、角部121aおよび角部121bを直角に記載しているが、角部の先端は曲線状であってよい。あるいは、角部の先端の角を落として多角形状にしても構わない。これにより角部における電界強度の増加を抑えることができる。ウェル領域125の他の角部についても同様であってよい。本例以降の角部111についても、同様である。
【0111】
距離L2aは、中央仮想線VLから角部121aまでの延伸方向における距離である。距離L2bは、中央仮想線VLから角部121bまでの延伸方向における距離である。本例の距離L2aは、距離L2bと等しい。即ち、ウェル領域125は、中央仮想線VLに対して対称に設けられている。距離L1aは、距離L2aより長くてよく、短くてもよい。
【0112】
最短距離R1aは、上面視における、ウェル領域115と、トレンチ中央位置TPとの間の最短距離である。トレンチ中央位置TPは、複数のトレンチ部のトレンチ長さLtの中央位置である。最短距離R1aは、角部111aとトレンチ中央位置TPとの最短距離であってよい。距離L1aを大きくすると、最短距離R1aが短くなり、角部111aがトレンチ中央位置TPに近づく。最短距離R1aは、1000μm以上であってよく、1500μm以上であってよく、2000μm以上であってよい。
【0113】
トレンチ長さLtを大きくすることにより、ゲートの遅延によってトレンチ中央位置TP付近でカレント・フィラメントが発生しやすくなる。一方、トレンチ長さLtが長くなる程、動作面積を大きくすることができ、大電流を制御できる。そこで、最短距離R1aを適切な範囲に設定することにより、長いトレンチ長さLtでも素子破壊を回避することができる。
【0114】
ゲート導電部の幅Wgも考慮して、トレンチ長さLtを幅Wgで割った比を、導電部形状比αとする。導電部形状比αが大きい程、動作面積を大きくすることができ、大電流を制御できる。導電部形状比αは、1000以上であってよく、3000以上であってよく、5000以上であってよく、6000以上であってよい。導電部形状比αは、1×106以下であってよく、3×105以下であってよく、1×105以下であってよく、50000以下であってよい。これらの範囲の導電部形状比αであれば、トレンチ長さLtは上記範囲であってよく、範囲外であってもよい。配列方向におけるメサ幅はゲートトレンチ部40の配列方向の幅より小さくてよい。なお、導電部形状比αは、電流特性に加えて、ゲートの充放電に生じる遅延時間を総合的に考慮して決定されてよい。本例の半導体装置100では、最短距離R1aを適切に設定することにより、長いトレンチ長さLtでも素子破壊を回避することができるので、より広い範囲の導電部形状比αを採用することができる。なお、導電部形状比αの値は、本例で開示される最短距離R1a、最短距離R1b、最短距離R2aおよび最短距離R2bのいずれの値とも組み合わせて用いられてもよい。
【0115】
最短距離R1bは、ウェル領域115と、延伸方向においてウェル領域115と隣接する活性部102のトレンチ中央位置TPとの間の最短距離である。本例の最短距離R1bは、最短距離R1aよりも長い。最短距離R1bは、1000μm以上であってよく、1500μm以上であってよく、2000μm以上であってよい。
【0116】
最短距離R2aは、上面視における、ウェル領域125と、延伸方向においてウェル領域125と隣接する活性部102のトレンチ中央位置TPとの間の最短距離である。最短距離R2aは、角部121aとトレンチ中央位置TPとの最短距離であってよい。最短距離R2aは、1000μm以上であってよく、1500μm以上であってよく、2000μm以上であってよい。
【0117】
最短距離R2bは、ウェル領域125と、延伸方向においてウェル領域125と隣接する活性部102のトレンチ中央位置TPとの間の最短距離である。本例の最短距離R2bは、最短距離R2aよりも長い。最短距離R2bは、1000μm以上であってよく、1500μm以上であってよく、2000μm以上であってよい。
【0118】
P型のウェル領域の近傍において電流集中が発生すると、ウェル領域に電流が流れ込んで素子が破壊される場合がある。ターンオフ動作時にゲート信号のアンバランスが発生すると、トレンチの中央部に電流が集中してカレント・フィラメントが発生する。電界の強いP型のウェル領域にカレント・フィラメントが流れ込むと、酸化膜に電界がかかり、絶縁破壊が発生して、コレクタとエミッタとの間が短絡して素子が破壊される場合がある。
【0119】
本例の半導体装置100は、最短距離R1aおよび最短距離R2aを1500μm以上とすることにより、P型のウェル領域へのカレント・フィラメントの流入を抑制することができる。これにより、P型のウェル領域の近傍の素子破壊を回避できるので、ターンオフ耐量を向上することができる。
【0120】
図2Aは、半導体装置100の上面の拡大図を示す。本例では、
図1Aの領域Bの拡大図が示されている。本例の角部111は、上面視において、トランジスタ部70に位置する。トランジスタ部70に位置するとは、角部111がゲートトレンチ部40で挟まれたメサ部71に設けられていることを指してよい。ウェル領域115の上方には、ゲートトレンチ部40が設けられてよい。本例の角部111は、トランジスタ部70のベース領域14と隣接している。ゲートトレンチ部40は、ゲート金属層50まで延伸して設けられる。ゲート金属層50は、ウェル領域115の外周に沿って設けられているが、これに限定されない。
【0121】
図2Bは、半導体装置100の上面の拡大図を示す。本例の半導体装置100は、角部111がダミートレンチ領域172に設けられる場合の一例である。
【0122】
ダミートレンチ領域172は、複数のトレンチ部がエミッタ電位に設定された領域である。本例のダミートレンチ領域172は、エミッタ電位に設定されたダミートレンチ部30を備える。本例のダミートレンチ領域172は、エミッタ領域12とコンタクト領域15が交互に配列されたメサ部71を備える。ダミートレンチ領域172には、エミッタ領域12が設けられてもよいし、エミッタ領域12が設けられなくてもよい。ダミートレンチ領域172は、ゲートトレンチ部40によって電流をオンオフしないので、主電流が流れない。よって、ダミートレンチ領域172は、おもて面21における主電流の集中が少ない。
【0123】
角部111は、上面視において、ダミートレンチ領域172に位置する。角部111がダミートレンチ領域172に位置するとは、角部111に最も近いトレンチ部がダミートレンチ部30であることを指してよい。また、角部111がダミートレンチ領域172に位置するとは、角部111とゲートトレンチ部40との間に、少なくとも1つのダミートレンチ部30が設けられていることを指してもよい。本例の角部111は、隣接する2本のダミートレンチ部30の間において、ベース領域14と隣接して設けられる。
【0124】
本例の半導体装置100は、角部111の近傍をダミートレンチ領域172で覆うことにより、角部111の近傍における電流集中を抑制できる。
【0125】
図2Cは、半導体装置100の上面の拡大図を示す。本例の半導体装置100は、角部111がダイオード部80に設けられる場合の一例である。ダミートレンチ部30は、ウェル領域115の内側まで延伸して設けられる。即ち、ダミートレンチ部30のY軸方向の負側の端部は、ウェル領域115内に位置している。
【0126】
角部111は、上面視において、ダイオード部80に位置している。本例の角部111は、隣接する2本のダミートレンチ部30の間において、ベース領域14と隣接して設けられる。本例の半導体装置100は、角部111の近傍をダイオード部80で覆うことにより、角部111の近傍における電流集中を抑制できる。
【0127】
図2Dは、切欠部118を備える半導体装置100の構成の一例を示す。本例の切欠部118は、ウェル領域115に設けられている。本例の角部111は、上面視において、トランジスタ部70に位置する。
【0128】
切欠部118は、上面視において、ウェル領域115の角の一部が切り取られた領域である。本例の切欠部118は、ウェル領域115の角が円弧上に切り取られた形状を有するが、切欠部118の形状は本例に限られない。ウェル領域115が切欠部118を有する場合、切欠部118の円弧上の最も外側に張り出した位置を角部111としてよい。切欠部118を設けることにより、ウェル領域115とトレンチ中央位置TPとの距離を大きくすることができる。これにより、半導体装置100の破壊をさらに回避しやすくなる。
【0129】
切り欠き長さN1は、ウェル領域115において切欠部118が形成された領域の端部を結んだ距離である。切り欠き長さN1は、10μm以上でよく、30μm以上でよく、50μm以上でよく、100μm以上であってよい。切り欠き長さN1は、1000μm以下でよく、500μm以下であってよく、200μm以下であってよい。一例において、切り欠き長さN1は、100μmである。切り欠き長さN1を大きくすることにより、角部111近傍の電界強度の増加を抑える。これにより、カレント・フィラメントによるアバランシェ降伏の増強を抑えることができる。切欠部118の曲率半径は、10μm以上でよく、20μm以上でよく、50μm以上でよく、100μm以上であってよい。切欠部118の曲率半径は、1000μm以下でよく、500μm以下でよく、200μm以下であってよい。
【0130】
図2Eは、切欠部118を備える半導体装置100の構成の一例を示す。本例の切欠部118は、ウェル領域115に設けられている。本例の角部111は、上面視において、ダイオード部80に位置する。切欠部118の形状は、
図2Dの実施例と同様であってよい。本例の切欠部118は、ダイオード部80に位置するので、さらにウェル領域115とトレンチ中央位置TPとの距離を大きくしやすくなり、半導体装置100の破壊を回避しやすくなる。
【0131】
なお、
図2A~
図2Eにおいては、ウェル領域115の角部111の近傍の構造について説明したが、ウェル領域125の角部121についても同様の構造が設けられてよい。即ち、角部121は、トランジスタ部70に位置してもよいし、ダミートレンチ領域172に位置してもよいし、ダイオード部80に位置してもよい。また、
図2A~
図2Eの角部111は、角部111aと角部111bのいずれであってもよい。
【0132】
図3は、保護膜180が設けられた半導体装置100の上面図の一例である。本例の半導体装置100は、無効領域170を備える。
【0133】
無効領域170は、トランジスタ部70として機能しない領域である。無効領域170は、ダミートレンチ領域172またはダイオード部80であってよい。無効領域170を角部111の周囲に設けることにより、ウェル領域115へのカレント・フィラメントの流入を抑制することができる。本例の無効領域170は、角部121の周囲にも設けられ、ウェル領域125へのカレント・フィラメントの流入を抑制することができる。
【0134】
保護膜180は、半導体基板10の上方に設けられる。例えば、保護膜180は、ポリイミドなどの絶縁性の保護膜である。保護膜180は、パッド上のはんだが他のパッド等に流れるのを防止する。保護膜180は、上面視において、トランジスタ部70が形成された領域に設けられる。言い換えると、保護膜180は、無効領域170を避けて設けられてよい。例えば、保護膜180は、上面視において、ダイオード部80を避けて設けられる。本例では、保護膜180が設けられた領域をハッチングで示している。
【0135】
非保護領域185は、上面視において、保護膜180が設けられていない領域である。非保護領域185においては、エミッタ電極52などのおもて面電極が露出していてよい。非保護領域185には、トランジスタ部70、ダイオード部80またはダミートレンチ領域172の少なくとも1つが形成されてよい。なお、非保護領域185には、ハッチングが付されていない。
【0136】
ここで、ダイオード部80のライフタイム制御領域130は、保護膜180を形成した後に形成される場合がある。しかしながら、ダイオード部80の上方に保護膜180が設けられていると、保護膜180によってライフタイム制御領域130の深さ方向の位置を制御することが困難になる場合がある。本例の保護膜180は、ダイオード部80を避けて設けられることにより、ライフタイム制御領域130の深さ方向の位置を正確に制御することができる。
【0137】
図4Aは、実施例に係る半導体装置100の上面図の一例である。本例の半導体装置100は、中央仮想線VLに対して対称に設けられたウェル領域115を備える点で
図1Aの半導体装置100と相違する。ウェル領域115は、延伸方向において、中央仮想線VLに対して対称に設けられている。これにより、ウェル領域115とトレンチ中央位置TPとの最短距離R1を大きくとることができる。
【0138】
図4Bは、実施例に係る半導体装置100の上面図の一例である。本例の半導体装置100は、制御パッドが設けられる位置と、トレンチ部の延伸方向との位置関係が
図1Aの実施例と相違する。
【0139】
第1制御パッド110は、X軸方向に延伸する第1外周辺151から、半導体基板10の内側に張り出して設けられる。第2制御パッド120は、X軸方向に延伸する第2外周辺152から、半導体基板10の内側に張り出して設けられる。
【0140】
複数のトレンチ部は、上面視において、延伸方向(Y軸方向)に延伸している。即ち、本例の延伸方向は、上面視において、第1外周辺151と直交する。よって、複数のトレンチ部は、第1制御パッド110および第2制御パッド120の張り出し方向(Y軸方向)と同じ方向に延伸方向を有する。この場合も、角部111とトレンチ中央位置TPとの間の最短距離R1aが他の実施例と同様の条件を満たすことにより、角部111における電流集中を回避することができる。同様に、角部121とトレンチ中央位置TPとの間の最短距離R2aが他の実施例と同様の条件を満たすことにより、角部121における電流集中を回避することができる。
【0141】
図5は、オフ状態で、角部111近傍でアバランシェ降伏が生じるときの、電界強度E(R)を示す模式図である。E(R)は、角部111から距離R離れた位置における電界強度を示す。Rは、
図5に記載の方向に限らず、上面視の平面(図のx-y平面)における任意の方位であってよい。本例のRは、トレンチ延伸方向における角部111からの距離を示している。角部111から十分離れたところでは、電界強度E(R)は、ウェル領域の角部111の影響によらず、平面接合近似で算出される最大電界強度Emに収束する。距離Rが角部111に近づくと、ウェル領域115の角部111の影響により、式(1)に表すポアソンの式に従い、電界強度は増加する。
・・・(1)
ここでqは電荷素量、ε
0は真空の誘電率、ε
rは比誘電率、pは正孔濃度、N
Dはドナー濃度である。
は電界(ベクトル)で、
である。ターンオフの場合、ドリフト領域18の空乏層内部における電子濃度とアクセプタ濃度は十分小さいため、無視している。即ち、角部111の近傍において、上面のx-y平面の電界の湾曲により、電界強度Eの傾き(divE)が増加する。そのため、電界強度Eそのものも増加する。よって、E(R)は、角部111に近づくほど、Emから増加する。
【0142】
以上により、電界強度E(R)はRの指数関数に従うと考えられる。角部111でピーク電界強度Epに達すると、電界強度E(R)は次式で示される。
E(R)=Ep×exp(-R/ΔR)+Em ・・・式(2)
Epは角部111におけるピーク電界強度、ΔRは電界強度が減衰する特徴的長さである。Epは、一例として臨界電界強度であってよい。本例では、Epを6E5(V/cm)としている。ΔRは、一例として200μm~400μm程度である。本例のΔRは、300μmである。ただし、ΔRはこの範囲に限られない。
【0143】
x-y平面の電界のゆがみが無い場合、E(R)は平面接合近似の値Emとなる。Emは、ドリフト層の平均的なドナー濃度をN
D0
、印加電圧をVとして、ポアソンの式からEmが次式で示される。
Em={2V(q/(ε0εr)(p+ND0)}0.5 ・・・式(3)
正孔濃度pについては、例えばトランジスタ部70がターンオフする場合を想定し、ここでは定格電流Jrate程度の電流が流れている場合を想定している。ターンオフでは電圧が印加されているので、空乏層(即ち、空間電荷領域)内の正孔の速度はvsatで飽和しているとしてよく、正孔濃度pが次の式(4)を満たす。
p=Jrate/(qvsat) ・・・式(4)
vsatは、例えばシリコン中の正孔では8×106(cm/s)である。本例では、ND0=5E13/cm3、印加電圧V=600V、定格電流密度Jrate=500A/cm2とし、Emは2.83E5(V/cm)である。
【0144】
図6Aは、角部111から距離R離れた位置における電界強度E(R)の距離R依存性を示す図である。縦軸は電界強度E(R)(V/cm)および最大電界強度Emで規格化した比E(R)/Emを示し、横軸は角部111からの距離R(μm)を示す。
【0145】
電界強度E(R)は、距離Rが1500μm以上の範囲では、最大電界強度Em程度の電界強度を示す。一方、電解強度E(R)は、距離Rが1500μmよりも短くなるにつれて急激に上昇する。距離Rが1500μmよりも短くなると、電界強度の比E(R)/Emが、1.1以上となる。アバランシェ降伏は臨界的な現象であり、インパクト・イオン化係数は電界強度に強く依存する。そのため、電界強度比E(R)/Emが1.1倍以上になると、インパクト・イオン化係数は2倍以上になり、インパクト・イオン化率が上昇し、アバランシェ降伏が強く発生する。電界強度比E(R)/Emは、距離Rが1000μmよりも小さい場合に1.1以上となる。即ち、距離Rが1000μmよりも短い領域では、1000μm以上の領域よりも、アバランシェ降伏が起きやすいといえる。さらに、距離Rが1500μm以上の場合に、電界強度比E(R)/Emが1.01以下となる。即ち、距離Rが1500μm以上の領域では、電界の空間的歪み(湾曲)による電界強度の増加は十分小さいといえる。以上により、アバランシェ降伏のインパクト・イオン化率は、距離Rが1000μmよりも短い領域で高くなる。本例では、角部111(R=0)で最も高いとしている。
【0146】
ここで、距離Rを、角部111からトレンチ中央位置TPまでの最短距離R1aに置き換えてよい。即ち、角部111からトレンチ中央位置TPまでの最短距離R1aは、1000μm以上であってよく、1500μm以上であってよい。なお、本例では、距離Rを最短距離R1aに置き換えて説明するが、最短距離R1b、最短距離R2aまたは最短距離R2bについても置き換えて説明することもできる。
【0147】
ターンオフ時にゲート電圧が+から-にオフすると、電位はゲート金属層50からゲート導電部44に伝わる。ゲート導電部44がポリシリコンの場合、アルミニウム合金等に比べて抵抗率が高い。一方、MOSゲートの反転層消滅(または生成)には、MOSキャパシタの充放電が必要である。MOSキャパシタの充放電には、ゲート絶縁膜42の厚さで決まる静電容量とゲート導電部44の抵抗により、遅延時間が生じる。ゲート金属層50の位置からトレンチ中央位置TPまでの長さが長い程、ゲート導電部44の抵抗が大きくなる。このため、トレンチ中央位置TPのMOSキャパシタの充電に必要な遅延時間が長くなる。この遅延時間の増加により、トレンチ中央位置TP近傍のゲートをオフするのが遅くなり、トレンチ中央位置TPにキャリアが集中して、カレント・フィラメントが発生する。一方、ターンオフのときにはドリフト領域18に空乏層が広がっており、カレント・フィラメントは空乏層の中に存在する。カレント・フィラメントにはキャリア(正孔)が多く残留しているので、空乏層の電界強度の傾きが増加し、電界強度が増加する。さらに、電流密度(特に正孔電流)が大きいので、インパクト・イオン化率も増加させ、アバランシェ降伏が増強される。
【0148】
トレンチ中央位置TPが角部111から1000μmよりも短い領域に位置すると、最短距離R1aが1000μmよりも短くなる。この場合、ターンオフにおいて、トレンチ中央位置TPにおける電界強度E(R1a)はEmの1.1倍よりも高くなる。このため、トレンチ中央位置TPではカレント・フィラメントだけでなく、電界の空間的歪みによっても電界強度が増加する。すると、角部111の近傍だけでなく、トレンチ中央位置TPにおいてもインパクト・イオン化率が上昇し、アバランシェ降伏が生じ易くなる。その結果、角部111およびトレンチ中央位置TPを含む領域で電流が正帰還を起こし、破壊に至る可能性が高くなる。よって、最短距離R1aを1000μmよりも長くすることで、トレンチ中央位置TPにおける角部111からの距離Rを1000μm以上とする。これにより、電界強度E(R1a)をEmの1.1倍よりも小さくし、角部111およびトレンチ中央位置TPにおけるアバランシェ降伏の増強を抑えることができ、ターンオフ時の破壊を防ぐことができる。さらに、最短距離R1aを1500μm以上としてよい。
【0149】
また、導電部形状比αが大きいほど、ゲート導電部44の幅Wgは小さく、トレンチ長さLtが長くなるため、ゲート金属層50の位置からトレンチ中央位置TPまでのゲート導電部44の抵抗が大きくなる。即ち、トレンチ中央位置TP近傍におけるゲート導電部44の充放電に遅延時間が生じ、カレント・フィラメントが発生しやすくなる。よって、上述の導電部形状比αの範囲であって、最短距離R1aを1000μm以上とする。これにより、角部111およびトレンチ中央位置TPにおけるアバランシェ降伏の増強を抑えることができ、ターンオフ時の破壊を防ぐことができる。最短距離R1aは、1500μm以上であってよく、2000μm以上であってよく、3000μm以上であってよく、5000μm以上であってよい。最短距離R1aは、20000μm以下であってよく、15000μm以下であってよく、10000μm以下であってよい。
【0150】
図6Bは、最短距離R1aとターンオフ耐量の不良率(%)との関係を示すグラフである。ターンオフ耐量の不良率とは、ターンオフにより半導体装置が破壊する割合である。ターンオフの電流密度および印加電圧はさまざまでよく、一例として上述の条件であってよい。本例では、導電部形状比αが6250の場合と、導電部形状比αが8750の場合のターンオフ耐量の不良率を示している。
【0151】
導電部形状比αが6250の場合、トレンチ長さLtは5000μmであり、ゲート導電部44の幅Wgが0.8μmである。最短距離R1aが500μmの場合、ターンオフ耐量の不良率は50%である。不良率は、最短距離R1aが1000μmで14%へ減少し、最短距離R1aが1500μmで5%、最短距離R1aが2000μmで2%である。
【0152】
導電部形状比αが8750の場合、トレンチ長さLtが7000μmであり、ゲート導電部44の幅Wgが0.8μmである。最短距離R1aが500μmの場合にターンオフ耐量の不良率は62%で、最短距離R1aが1000μmで21%へ減少する。さらに最短距離R1aが1500μm以上で8%以下まで不良率が大きく減少する。ターンオフ耐量の不良率を30%より低くできることから、最短距離R1aは1000μm以上かそれよりも長くてよく、1500μm以上であってよく、2000μm以上であってよく、3000μm以上であってよく、5000μm以上であってよい。なお、本例では、最短距離R1aについて説明したが、最短距離R1b、最短距離R2aまたは最短距離R2bについても同様に説明することができる。
【0153】
図6Cは、定格電圧V
rateと定格電流密度J
rateとの関係を示すグラフである。縦軸は定格電流密度J
rate(A/cm
2)を示し、横軸は定格電圧(V)を示す。一例において、半導体装置100は、
図6Cの上限P1および下限P2で挟まれた領域の定格電圧V
rateおよび定格電流密度J
rateを満たすように設計されてよい。
【0154】
例えば、半導体装置100は、定格電圧600(V)において、400(A/cm2)以上、800(A/cm2)以下の定格電流密度を満たすように設計されてよい。また、半導体装置100は、定格電圧1200(V)において、300(A/cm2)以上、600(A/cm2)以下の定格電流密度を満たすように設計されてよい。半導体装置100は、定格電圧1700(V)において、200(A/cm2)以上、400(A/cm2)以下の定格電流密度を満たすように設計されてよい。
【0155】
本例の半導体装置100は、このような特性を実現するためにトレンチ長さLtを2000μm以上としたような場合であっても、P型のウェル領域とトレンチ中央位置TPとの距離を適切に設定することにより、P型のウェル領域へのカレント・フィラメントの流入による素子破壊を回避することができる。
【0156】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0157】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0158】
10・・・半導体基板、12・・・エミッタ領域、14・・・ベース領域、15・・・コンタクト領域、16・・・蓄積領域、18・・・ドリフト領域、20・・・バッファ領域、21・・・おもて面、22・・・コレクタ領域、23・・・裏面、24・・・コレクタ電極、25・・・接続部、30・・・ダミートレンチ部、31・・・延伸部分、32・・・ダミー絶縁膜、33・・・接続部分、34・・・ダミー導電部、38・・・層間絶縁膜、40・・・ゲートトレンチ部、41・・・延伸部分、42・・・ゲート絶縁膜、43・・・接続部分、44・・・ゲート導電部、50・・・ゲート金属層、52・・・エミッタ電極、54・・・コンタクトホール、55・・・コンタクトホール、56・・・コンタクトホール、70・・・トランジスタ部、71・・・メサ部、80・・・ダイオード部、81・・・メサ部、82・・・カソード領域、90・・・境界部、91・・・メサ部、92・・・境界部、100・・・半導体装置、102・・・活性部、104・・・外周部、110・・・第1制御パッド、111・・・角部、112・・・アノードパッド、114・・・カソードパッド、115・・・ウェル領域、116・・・センスパッド、118・・・切欠部、120・・・第2制御パッド、121・・・角部、122・・・ゲートパッド、125・・・ウェル領域、130・・・ライフタイム制御領域、135・・・ウェル領域、140・・・温度センス部、142・・・温度センス配線、145・・・ウェル領域、150・・・外周端、151・・・第1外周辺、152・・・第2外周辺、170・・・無効領域、172・・・ダミートレンチ領域、180・・・保護膜、185・・・非保護領域