(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】中間ユニット、後処理装置、及び印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20231205BHJP
B65H 29/58 20060101ALI20231205BHJP
B65H 29/24 20060101ALI20231205BHJP
B65H 29/70 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B65H29/58 B
B65H29/24 A
B41J2/01 103
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B65H29/70
(21)【出願番号】P 2023030800
(22)【出願日】2023-03-01
(62)【分割の表示】P 2021146002の分割
【原出願日】2017-04-28
【審査請求日】2023-03-22
(31)【優先権主張番号】P 2016138251
(32)【優先日】2016-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】原田 裕太朗
(72)【発明者】
【氏名】上野 幸平
(72)【発明者】
【氏名】室町 明伸
(72)【発明者】
【氏名】児玉 秀俊
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-084236(JP,A)
【文献】特開2014-233879(JP,A)
【文献】特開2011-230465(JP,A)
【文献】特開2010-000711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B65H 29/70
B65H 29/58
B65H 29/24
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体を、前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有し、前記媒体が前記搬送経路を搬送されることで乾燥する乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える中間ユニットであって、
前記搬送経路
は、
前記媒体が導入される導入経路と、
前記導入経路から導入された前記媒体が搬送される搬送方向において、前記導入経路の下流端となる分岐点から互いに異なる方向へ分岐する第1分岐経路及び第2分岐経路と、
前記第1分岐経路の下流端から延びるよう設けられ、前記媒体がスイッチバックされ、前記媒体の表裏が反転される、反転経路としての第1反転経路と、
前記第2分岐経路の下流端から延びるよう設けられ、前記媒体がスイッチバックされ、前記媒体の表裏が反転される、前記反転経路としての第2反転経路と、
前記第1反転経路によりスイッチバックされた前記媒体が搬送される第1合流経路と、
前記第2反転経路によりスイッチバックされた前記媒体が搬送される第2合流経路と、
前記第1合流経路の下流端と前記第2合流経路の下流端とが合流する合流点から延びる導出経路と、
を備え、
前記
第2反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする中間ユニット。
【請求項2】
前記乾燥ユニットは、前記媒体の一方の面に対向する第1乾燥ユニットと、前記媒体の他方の面に対向する第2乾燥ユニットと、を含むことを特徴とする請求項
1に記載の中間ユニット。
【請求項3】
前記乾燥ユニットは、送風機を含むことを特徴とする請求項1
又は請求項
2に記載の中間ユニット。
【請求項4】
前記
第2反転経路には、前記媒体が前記
第2反転経路に進入する方向において前記送風機よりも下流側に、前記
第2反転経路に進入した前記媒体を保持する保持部が設けられ、
前記保持部は、前記媒体が前記
第2反転経路に進入する方向における前記媒体の先端側よりも前記媒体の後端側に近い部分で前記媒体を保持することを特徴とする請求項
3に記載の中間ユニット。
【請求項5】
前記
第2反転経路において、前記乾燥ユニットによる乾燥が省略される前記媒体に対して、前記媒体が前記
第2反転経路に進入する方向において前記乾燥ユニットよりも上流側でスイッチバックさせることを特徴とする請求項1乃至請求項
4のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項6】
媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体を、前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有し、前記媒体が前記搬送経路を搬送されることで乾燥する乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える中間ユニットであって、
前記搬送経路に、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路が設けられ、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられ、
前記乾燥ユニットは、送風機を含み、
前記送風機が設けられた前記反転経路は、スイッチバック方式で構成され、
前記反転経路には、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記送風機よりも下流側に、前記反転経路に進入した前記媒体を保持する保持部が設けられ、
前記保持部は、前記媒体が前記反転経路に進入する方向における前記媒体の先端側よりも前記媒体の後端側に近い部分で前記媒体を保持することを特徴とする中間ユニット。
【請求項7】
媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体を、前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有し、前記媒体が前記搬送経路を搬送されることで乾燥する乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える中間ユニットであって、
前記搬送経路に、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路が設けられ、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられ、
前記乾燥ユニットが設けられた前記反転経路は、スイッチバック方式で構成され、
前記反転経路において、前記乾燥ユニットによる乾燥が省略される前記媒体に対して、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記乾燥ユニットよりも上流側でスイッチバックさせることを特徴とする中間ユニット。
【請求項8】
複数の前記反転経路を有し、
前記乾燥ユニットは、前記複数の反転経路のうち特定の前記反転経路に設けられていることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の中間ユニット。
【請求項9】
前記搬送経路は、
前記媒体が導入される導入経路と、
前記導入経路から導入された前記媒体が搬送される搬送方向において、前記導入経路の下流端となる分岐点から互いに異なる方向へ分岐する第1分岐経路及び第2分岐経路と、
前記第1分岐経路の下流端から延びるよう設けられ、前記媒体がスイッチバックされる、前記反転経路としての第1反転経路と、
前記第2分岐経路の下流端から延びるよう設けられ、前記媒体がスイッチバックされる、前記反転経路としての第2反転経路と、
前記第1反転経路によりスイッチバックされた前記媒体が搬送される第1合流経路と、
前記第2反転経路によりスイッチバックされた前記媒体が搬送される第2合流経路と、
前記第1合流経路の下流端と前記第2合流経路の下流端とが合流する合流点から延びる導出経路と、
を備え、
前記乾燥ユニット
が、前記第2反転経路に設けられていることを特徴とする請求項
6乃至請求項
8のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項10】
前記第2反転経路は、前記第2分岐経路の下流端から下方に延び、
前記乾燥ユニットは、前記第2合流経路よりも下方に設けられる、
こと
を特徴とする
請求項1乃至請求項5及び請求項9のいずれか一項に記載の中間ユニット。
【請求項11】
媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理装置であって、
前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理部と、
前記印刷完了後の前記媒体を前記後処理部に搬送可能であり、前記媒体が搬送されることで乾燥する乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える搬送経路と、を有し、
前記搬送経路
は、
前記媒体が導入される導入経路と、
前記導入経路から導入された前記媒体が搬送される搬送方向において、前記導入経路の下流端となる分岐点から互いに異なる方向へ分岐する第1分岐経路及び第2分岐経路と、
前記第1分岐経路の下流端から延びるよう設けられ、前記媒体がスイッチバックされ、前記媒体の表裏が反転される、反転経路としての第1反転経路と、
前記第2分岐経路の下流端から延びるよう設けられ、前記媒体がスイッチバックされ、前記媒体の表裏が反転される、前記反転経路としての第2反転経路と、
前記第1反転経路によりスイッチバックされた前記媒体が搬送される第1合流経路と、
前記第2反転経路によりスイッチバックされた前記媒体が搬送される第2合流経路と、
前記第1合流経路の下流端と前記第2合流経路の下流端とが合流する合流点から、前記後処理部に向けて延びる導出経路と、
を備え、
前記
第2反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする後処理装置。
【請求項12】
媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理装置であって、
前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理部と、
前記印刷完了後の前記媒体を前記後処理部に搬送可能であり、前記媒体が搬送されることで乾燥する乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える搬送経路と、を有し、
前記搬送経路は、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路を備え、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられ、
前記乾燥ユニットは、送風機を含み、
前記送風機が設けられた前記反転経路は、スイッチバック方式で構成され、
前記反転経路には、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記送風機よりも下流側に、前記反転経路に進入した前記媒体を保持する保持部が設けられ、
前記保持部は、前記媒体が前記反転経路に進入する方向における前記媒体の先端側よりも前記媒体の後端側に近い部分で前記媒体を保持することを特徴とする後処理装置。
【請求項13】
媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットによって印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理装置であって、
前記印刷完了後の前記媒体に後処理を行う後処理部と、
前記印刷完了後の前記媒体を前記後処理部に搬送可能であり、前記媒体が搬送されることで乾燥する乾燥機能と、前記媒体を反転させる反転機能と、を備える搬送経路と、を有し、
前記搬送経路は、前記印刷完了後の前記媒体の表裏を反転させる反転経路を備え、
前記反転経路に、前記印刷完了後の前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられ、
前記乾燥ユニットが設けられた前記反転経路は、スイッチバック方式で構成され、
前記反転経路において、前記乾燥ユニットによる乾燥が省略される前記媒体に対して、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記乾燥ユニットよりも上流側でスイッチバックさせることを特徴とする後処理装置。
【請求項14】
前記印刷ユニットと、
前記後処理ユニットと、
前記印刷完了後の前記媒体を前記印刷ユニットから前記後処理ユニットに搬送する請求項1乃至請求項
10のいずれか一項に記載の中間ユニットと、
を備えることを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間ユニット、後処理装置、及び印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、用紙に画像を印刷する装置としては、例えば、液体としてのインクを液滴として吐出する記録ヘッドを備えたインクジェットプリンター等が知られている。
ところで、インクジェットプリンターを用いて画像を印刷した場合、画像が印刷された用紙は、インク(水分)の吸収やインクの乾燥等に伴ってカール(用紙の一部が湾曲変形等する状態)する場合がある。
そのため、特許文献1では、用紙の画像を印刷した面に温風を当てて用紙を乾燥する乾燥装置を備えることで、カールの発生を防止することができるインクジェットプリンターが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1におけるインクジェットプリンターでは、片面印刷の場合は問題ないが、両面に画像が印刷された用紙の場合、乾燥装置と対向しない面のインクの乾燥が不十分となり、カールが十分抑制できないという虞があった。
そのため、インクジェットプリンターで画像が印刷された用紙を処理トレイに順次載置していった場合、カールによるスタック不良が発生してしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上述の課題の解決あるいは改善をするためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0006】
[適用例1]本適用例に係る中間ユニットは、媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットで印刷された前記媒体を、前記媒体に後処理を行う後処理ユニットに搬送可能な搬送経路を有する中間ユニットであって、前記搬送経路に、前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする。
【0007】
本適用例によれば、搬送経路に媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられているため、搬送の途中において乾燥ユニットにより、媒体を十分乾燥することができるので、カールの発生を抑制することができる中間ユニットを提供することができる。そのため、中間ユニットから排出された媒体に後処理を施す際に、カールによるスタック不良の発生を低減することができ、また、印刷された媒体の高い摩擦抵抗に伴う整列不良についても低減することができる。
【0008】
[適用例2]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記搬送経路に、前記媒体の表裏を反転させる反転経路が設けられていることが好ましい。
【0009】
本適用例によれば、搬送経路に反転経路が設けられているため、搬送途中で媒体の表裏を反転させることができる。
【0010】
[適用例3]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記乾燥ユニットは、前記反転経路に設けられていることが好ましい。
【0011】
本適用例によれば、乾燥ユニットが反転経路に設けられていることにより、媒体を乾燥する際に、媒体を直線とする領域を長く取ることができる。そのため、中間ユニットの小型化を図ることができる。
【0012】
[適用例4]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、複数の前記反転経路を有し、前記乾燥ユニットは、前記複数の反転経路のうち特定の前記反転経路に設けられていることが好ましい。
【0013】
本適用例によれば、乾燥ユニットが複数の反転経路のうち特定の反転経路に設けられているため、中間ユニットの小型化と電力削減を図ることができる。
【0014】
[適用例5]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記媒体の印刷データに応じて、前記複数の反転経路のうちの1つの前記反転経路を選択することが好ましい。
【0015】
本適用例によれば、媒体の印刷データに応じて、複数の反転経路のうちの1つの反転経路を選択することで、媒体の反転を効率良く行うことができる。
【0016】
[適用例6]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記印刷データに基づく、前記媒体の表裏の水分量の差が所定閾値以上であるか否かを判定し、所定閾値以上であれば前記乾燥ユニットを駆動させることが好ましい。
【0017】
本適用例によれば、印刷データに基づく、媒体の表裏の水分量の差が所定閾値以上であれば、乾燥ユニットを駆動させ、媒体を乾燥することができるため、カールの発生を抑制することができ、また、液体の水分による媒体の摩擦抵抗を低減することができる。
【0018】
[適用例7]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記印刷データに基づく、前記媒体の表裏の水分量に応じて所定閾値以上の前記媒体は、前記特定の反転経路を搬送し、前記印刷データが所定閾値未満の前記媒体は、前記特定の反転経路を除く前記複数の反転経路のうちの1つの前記反転経路を搬送することが好ましい。
【0019】
本適用例によれば、印刷データに基づく、媒体の表裏の水分量に応じて所定閾値以上の媒体を乾燥ユニットが設けられた特定の反転経路に搬送することで、媒体を乾燥することができるため、カールの発生を抑制することができ、また、液体の水分による媒体の摩擦抵抗を低減することができる。
【0020】
[適用例8]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記乾燥ユニットは、前記媒体の一方の面に対向する第1乾燥ユニットと、前記媒体の他方の面に対向する第2乾燥ユニットと、を含むことが好ましい。
【0021】
本適用例によれば、媒体の一方の面に対向する第1乾燥ユニットと、媒体の他方の面に対向する第2乾燥ユニットと、を設けることで、媒体の両面を同時に乾燥させることができるため、より乾燥を促進することができる。
【0022】
[適用例9]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記印刷データに応じて、前記第1乾燥ユニットと前記第2乾燥ユニットとの駆動をそれぞれ独立して制御することが好ましい。
【0023】
本適用例によれば、印刷データに応じて、第1乾燥ユニットと第2乾燥ユニットとの駆動をそれぞれ独立して制御することで、媒体の一方の面と他方の面のそれぞれの乾燥具合のバランスを取ることで、2次カール等による媒体の変形を抑制することができる。
【0024】
[適用例10]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記乾燥ユニットは、送風機を含むことが好ましい。
【0025】
本適用例によれば、媒体を乾燥する際に、送風機の送風により乾燥するため、送風の風圧により媒体のカール等の変形を容易に抑制することができる。また、熱源を用いないので中間ユニットの省電力化を図ることができる。
【0026】
[適用例11]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記送風機が設けられた前記反転経路は、スイッチバック方式で構成され、前記反転経路には、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記送風機よりも下流側に、前記反転経路に進入した前記媒体を保持する保持部が設けられ、前記保持部は、前記媒体が前記反転経路に進入する方向における前記媒体の先端側よりも前記媒体の後端側に近い部分で前記媒体を保持することが好ましい。
【0027】
本適用例によれば、送風機よりも下流側の保持部で媒体の後端に近い部分で媒体を保持することにより、媒体に風を当てることができ、さらに媒体を直線とする領域を長く取ることができる。そのため、媒体を直線状態で乾燥することができ、媒体のカール等の変形を容易に抑制することができる。
【0028】
[適用例12]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記反転経路において、前記乾燥ユニットによる乾燥が省略される前記媒体に対して、前記媒体が前記反転経路に進入する方向において前記乾燥ユニットよりも上流側でスイッチバックさせることが好ましい。
【0029】
本適用例によれば、乾燥が省略される媒体を乾燥ユニットよりも上流側でスイッチバックさせることにより、搬送距離及び搬送時間を短くすることができるため、高速で反転処理を行うことができる。
【0030】
[適用例13]上記適用例に記載の中間ユニットにおいて、前記搬送経路に、前記媒体に前記搬送経路に沿った張力を付与する張力付与機構が設けられていることが好ましい。
【0031】
本適用例によれば、中間ユニットの搬送経路に媒体に張力を付与する張力付与機構が設けられているため、搬送の途中において張力付与機構により、媒体の形状を平面状に保持かつ矯正することができるので、媒体のカールの発生を抑制することができる中間ユニットを提供することができる。そのため、中間ユニットから排出された媒体に後処理を施す際に、印刷された媒体のカール等の変形によるスタック不良の発生を低減することができる。
【0032】
[適用例14]本適用例に係る後処理装置は、媒体に液体で印刷を行う印刷ユニットで印刷された前記媒体に後処理を行う後処理装置であって、前記媒体に後処理を行う後処理部と、前記媒体を前記後処理部に搬送可能な搬送経路と、を有し、前記搬送経路に、前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする。
【0033】
本適用例によれば、印刷された媒体を搬送経路に設けられた乾燥ユニットにより十分乾燥することができるため、カールの発生を抑制することができ、また、液体の水分による媒体の摩擦抵抗を低減することができる。そのため、媒体に後処理を施す際に、印刷された媒体のカールによるスタック不良の発生や高い摩擦抵抗に伴う整列不良を低減した後処理装置を提供することができる。
【0034】
[適用例15]上記適用例に記載の後処理装置において、前記搬送経路に、前記媒体の表裏を反転させる反転経路が設けられていることが好ましい。
【0035】
本適用例によれば、搬送経路に反転経路が設けられているため、搬送途中で媒体の表裏を反転させることができる。
【0036】
[適用例16]本適用例に係る印刷装置は、媒体に液体で印刷を行う印刷部と、前記印刷部で印刷された前記媒体に後処理を施す後処理部と、前記媒体を前記印刷部から前記後処理部に搬送可能な搬送経路と、を有し、前記搬送経路は、前記媒体の表裏を反転させる反転経路を含み、前記搬送経路に、前記媒体の乾燥を促進させる乾燥ユニットが設けられていることを特徴とする。
【0037】
本適用例によれば、印刷された媒体を搬送経路に設けられた乾燥ユニットにより十分乾燥することができるため、カールの発生を抑制することができ、また、液体の水分による媒体の摩擦抵抗を低減することができる。そのため、媒体に後処理を施す際に、印刷された媒体のカールによるスタック不良の発生や高い摩擦抵抗に伴う整列不良を低減した印刷装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図8】第1実施形態に係る中間ユニットの乾燥ユニットの動作を説明する模式図。
【
図9】中間ユニットに設けられた乾燥ユニットの他の構成に示す構成図。
【
図10】中間ユニットに設けられた乾燥ユニットの他の構成における第2反転経路周辺の拡大斜視図。
【
図12】
図10に示す第2反転経路のJ-J線における断面図。
【
図13】
図10に示す第2反転経路のK-K線における断面図。
【
図14】第1実施形態に係る中間ユニットを備えた印刷装置の動作方法を示すフローチャート。
【
図15】第2実施形態に係る中間ユニットの張力付与機構の動作を説明する模式図。
【
図16】第2実施形態に係る中間ユニットを備えた印刷装置の動作方法を示すフローチャート。
【
図17】第2実施形態の変形例に係る中間ユニットの張力付与機構の動作を説明する模式図。
【
図18】第3実施形態に係る中間ユニットの液体噴射ユニットの動作を説明する模式図。
【
図19】第3実施形態に係る中間ユニットを備えた印刷装置の動作方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下の各図においては、各部材等を認識可能な程度の大きさにするため、各部材等の尺度を実際とは異ならせて示している。
【0040】
(第1実施形態)
<印刷装置の構成>
まず、印刷装置の構成について説明する。
図1は印刷装置の構成を示す概略模式図であり、
図2は印刷ユニットの構成を示す構成図であり、
図3は中間ユニットの構成を示す構成図である。
図1に示すように、本実施形態にかかる印刷装置1は、印刷部としての印刷ユニット100と印刷ユニット100の側部に配置された後処理装置2とを備えている。
更に、後処理装置2は、中間ユニット200と後処理部としての後処理ユニット300とを備えている。印刷ユニット100は、例えば、媒体としての用紙Mに対して画像を印刷する装置である。また、印刷ユニット100は、印刷装置1における各機構の駆動を統括的に制御する制御部10を備えている。後処理ユニット300は、例えば、画像が印刷された複数の用紙Mをステープル(針)で綴じるステープラー処理等の後処理を行う装置である。そして、中間ユニット200は、印刷ユニット100で画像が印刷された用紙Mを、後処理ユニット300に搬送する装置である。中間ユニット200は、印刷ユニット100と後処理ユニット300との間に配置されている。
【0041】
本実施形態の印刷装置1では、印刷ユニット100の上流側搬送経路としての第3排出経路153が中間ユニット200の搬入口210において搬送経路218に接続され、当該搬送経路218が中間ユニット200の搬出口211において後処理ユニット300の下流側搬送経路319に接続されている。そして、上流側搬送経路(第3排出経路153)と、搬送経路218と、下流側搬送経路319と、により、用紙Mの搬送方向の上流側となる印刷ユニット100から中間ユニット200を経由して後処理ユニット300まで続く搬送経路(
図1中の二点鎖線)を構成している。
【0042】
<印刷ユニットの構成>
図1に示すように、印刷ユニット100は、媒体の一例としての用紙Mに液体の一例としてのインクを付着させることで文字や図形、写真等の画像を記録するインクジェットプリンターであり、略直方体状の記録装置側筐体101を有している。記録装置側筐体101の上部には、印刷ユニット100の各種の操作を行うための操作部102が取り付けられている。
【0043】
印刷ユニット100には、鉛直方向Zにおいて、印刷ユニット100の中央部から下部に亘って用紙カセット103が設けられている。本実施形態において、用紙カセット103は、鉛直方向Zに4つ並んで配置されている。各用紙カセット103には印刷ユニット100によって記録を行う用紙Mが積層状態で収容されている。また、各用紙カセット103には、ユーザーが把持可能な把持部103aが形成されている。そして、用紙カセット103は、記録装置側筐体101に対して着脱可能に構成されている。なお、各用紙カセット103に収容される用紙Mは、それぞれ異なる種別のものでもよいし、同じ種別のものであってもよい。
【0044】
鉛直方向Zにおける最上段の用紙カセット103の上方には、矩形状の前板カバー104が設けられている。前板カバー104は、用紙カセット103と隣り合う長辺を基端として回動可能に設けられ、基端とは反対側となる先端側が印刷ユニット100から離間する開位置と、記録装置側筐体101の一部を構成する閉位置との2つの位置間で回動自在に構成されている。
【0045】
また、
図2に示すように、記録装置側筐体101の中間ユニット200側の一部には、用紙Mが排出される排出口108が形成されている。そして、さらに排出口108の下方には、記録装置側筐体101から中間ユニット200側に延びる排紙トレイ109が必要に応じて取り付け可能に設けられている。すなわち、排出口108を介して排出された用紙Mは、排紙トレイ109上に載置される。なお、この排紙トレイ109は、記録装置側筐体101に対して着脱可能に構成され、記録装置側筐体101に接続される基端から、基端とは反対側となる先端に向かうにつれて上向きに傾斜する上り勾配(
図2において左上がり)を有している。
【0046】
図2に示すように、印刷ユニット100が有する記録装置側筐体101内には、用紙Mに対して鉛直方向Zの上側から記録を行う記録部110と、用紙Mを装置内搬送経路120に沿って搬送する搬送部130とが設けられている。装置内搬送経路120は、前後方向Yに沿う方向を用紙Mの幅方向としたときに、この幅方向と交差する方向を搬送方向として用紙Mが搬送されるように形成されている。
【0047】
記録部110は、用紙Mの幅方向の略全域に亘って同時にインクを吐出可能なラインヘッド型の記録ヘッド111を備えている。記録部110は、記録ヘッド111から吐出されるインクが用紙Mにおいて記録ヘッド111と対向する記録面(画像を印刷される面)に付着されることで、用紙Mに画像を印刷する。
【0048】
搬送部130は、装置内搬送経路120に沿って配置され、搬送駆動モーター(図示せず)で駆動する複数の搬送ローラー対131と、記録部110の直下に設けられるベルト搬送部132とを有している。すなわち、ベルト搬送部132によって搬送されている用紙Mに対して、記録ヘッド111からインクが吐出され、記録が行われる。
【0049】
ベルト搬送部132は、記録ヘッド111よりも搬送方向上流側に配置されている駆動ローラー133と、記録ヘッド111よりも搬送方向下流側に配置されている従動ローラー134と、これらの各ローラー133、134に掛けられた無端状をなす環状のベルト135とを有している。駆動ローラー133が駆動回転することによりベルト135が周回し、その周回するベルト135によって用紙Mが下流側へ搬送される。すなわち、ベルト135の外周面が、記録が行われる用紙Mを支持する支持面として機能する。
【0050】
装置内搬送経路120は、記録部110へ向けて用紙Mが搬送される供給経路140と、記録部110により記録が行われ、記録済とされた用紙Mが搬送される排出経路150と、排出経路150から分岐する分岐経路160とを有している。
【0051】
供給経路140は、第1供給経路141と、第2供給経路142と、第3供給経路143とを有している。第1供給経路141では、記録装置側筐体101の右側面に備えられたカバー141aを開けることによって露出する挿入口141bから挿入される用紙Mが記録部110へ搬送される。すなわち、挿入口141bから挿入された用紙Mは、第1駆動ローラー対144の回転駆動によって記録部110へ向かって直線的に搬送される。
【0052】
第2供給経路142では、鉛直方向Zにおいて、記録装置側筐体101の下部に備えられた用紙カセット103にそれぞれ収容された用紙Mが、記録部110へ搬送される。すなわち、用紙カセット103に積層状態で収容された用紙Mは、最上位の用紙Mがピックアップローラー142aにより送り出され、分離ローラー対145で一枚ずつに分離された後、鉛直方向Zにおける姿勢が反転されながら、第2駆動ローラー対146の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。
【0053】
第3供給経路143では、用紙Mに対して両面に画像を記録する両面印刷を行う場合に、記録部110によって片面が記録済とされた用紙Mが、再び記録部110へ搬送される。すなわち、記録部110よりも搬送方向下流側には、排出経路150から分岐する分岐経路160が設けられている。すなわち、両面印刷を行う際、用紙Mは、排出経路150の途中に設けられた分岐機構147の動作によって分岐経路160へ搬送される。また、分岐経路160には、正転と逆転の双方の回転が可能な分岐経路ローラー対161が分岐機構147よりも下流側に設けられている。
【0054】
両面印刷に際して、一面が印刷された用紙Mは、分岐機構147により一旦この分岐経路160へ案内され、正転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側に搬送される。その後、分岐経路160へ搬送された用紙Mは、逆転する分岐経路ローラー対161によって分岐経路160内を下流側から上流側へ逆搬送される。すなわち、分岐経路160を搬送される用紙Mは搬送の向きが反転される。
【0055】
分岐経路160から逆搬送される用紙Mは第3供給経路143へ搬送され、複数の搬送ローラー対131によって記録部110へ向かって搬送される。第3供給経路143を搬送されることによって、用紙Mは印刷されていない他面が記録部110と対向するように反転され、第3駆動ローラー対148の回転駆動によって記録部110へ向かって搬送される。すなわち、第3供給経路143は、鉛直方向Zにおける用紙Mの姿勢を反転させながら搬送する反転搬送経路として機能する。
【0056】
各供給経路141,142,143のうち、第2供給経路142及び第3供給経路143は、鉛直方向Zにおいて用紙Mの姿勢が湾曲されながら記録部110へ向けて用紙Mが搬送される。その一方で、第1供給経路141は、第2供給経路142及び第3供給経路143と比較して、用紙Mの姿勢が大きく湾曲されることなく記録部110へ向けて用紙Mが搬送される。
【0057】
各供給経路141,142,143を搬送される用紙Mは、記録部110よりも搬送方向の上流側に配設された整列ローラー対149まで搬送されたのち、回転が停止した整列ローラー対149にその先端が突き当たる。そして、用紙Mは、このような整列ローラー対149へ突き当たった状態によって搬送方向に対する傾きが補正(スキュー取り)される。そして傾きが補正された用紙Mは、その後の整列ローラー対149の回転駆動によって、整列状態となって記録部110へ搬送される。
【0058】
記録部110により片面又は両面に記録が行われ、記録が完了された用紙Mは、搬送ローラー対131により装置内搬送経路120の下流部を構成する排出経路150に沿って搬送される。排出経路150は、分岐経路160と分岐する位置よりも下流となる位置で、第1排出経路151、第2排出経路152、第3排出経路153に分岐している。すなわち、記録が完了された用紙Mは、排出経路150の上流部を構成する共通排出経路(上流排出経路)154を搬送された後、共通排出経路154の下流端に設けられた案内機構(切替案内部)180により、排出経路150の下流部を構成する第1から第3の各排出経路151,152,153のうち何れかの経路へ案内される。
【0059】
第1排出経路(上方排出経路)151は、記録装置側筐体101の上方へ向かうとともに、分岐経路160に沿うように湾曲して延びて設けられている。第1排出経路151を搬送される用紙Mは、第1排出経路151の終端となるように記録装置側筐体101の一部に開口する排出口155から排出される。そして、排出口155から排出された用紙Mは、鉛直方向Z下側へ落下し、
図2において二点鎖線で示すように、積層された状態で載置台156に排紙される。なお、排出経路150の複数箇所に配置された搬送ローラー対131により、用紙Mは、排出口155から片面印刷時における記録面が鉛直方向Zにおいて下を向く姿勢にて載置台156に排紙される。
【0060】
載置台156は、左右方向Xにおける右方向に向かうにつれて、鉛直方向Z上側に上昇する先上がりの傾斜した形状を有し、この載置台156に用紙Mが積層状態で載置される。このとき、載置台156に載置された各用紙Mは、載置台156の傾斜に沿って左方向に移動し、記録装置側筐体101の排出口155の下側に設けられた縦側壁157に接近して載置される。
【0061】
また、第1排出経路151は、記録部110により記録された用紙Mが排出口155まで搬送される間において、その用紙Mの表裏を反転させる湾曲反転経路151aを有している。すなわち、湾曲反転経路151aは、記録部110により記録された用紙Mの記録面を内側にして湾曲させるとともに、その用紙Mの記録面が鉛直方向Zにおいて鉛直方向Z上側に向く状態から鉛直方向Z下側に向く状態に用紙Mを反転させる。したがって、排出経路150では、用紙Mは、この湾曲反転経路151aを通ることによって片面印刷時における記録面が載置台156と対峙する状態となって排出口155から排出される。
【0062】
第2排出経路152は、第1排出経路151よりも鉛直方向Z下側に分岐し、記録部110から中間ユニット200に向けて直線的(水平的)に延びている。そのため、第2排出経路152を搬送される用紙Mは、第1排出経路151のように湾曲した姿勢で搬送されず、その姿勢が記録部110を通過したときと同様に一定に保たれたまま直線的に搬送され、排出口108から排紙トレイ109に向けて排出される。すなわち、第2排出経路152は、用紙Mの姿勢を反転させることなく排紙トレイ109へ向けて用紙Mを搬送する非反転排出経路として機能する。
【0063】
第3排出経路153は、第2排出経路152よりも鉛直方向Z下側に分岐し、記録装置側筐体101の下方へ向かうように、鉛直方向Zにおいて斜め下側に向かって延びている。そして、その下流端は、中間ユニット200が有する搬送経路218に接続されている。すなわち、第3排出経路153を搬送される用紙Mは、中間ユニット200へ排出される。なお、第3排出経路153には、用紙Mの有無を検出可能な搬送検出部199が設けられている。搬送検出部199は、例えば、光透過型または光反射型のフォトインターラプターであり、光を発する発光部と発光部から発せられた光を受ける受光部とを備えている。発光部の発光素子としては、例えば、LED(Light Emitting Diode)発光素子やレーザー発光素子等が適用される。また、受光部は、フォトトランジスターやフォトIC等で構成されている。発光部と受光部とにより用紙Mの有無(受光部における受光のON/OFF)を検出するこができる。
【0064】
搬送検出部199は、制御部10に接続され、所定のプログラムに基づき、駆動制御される。制御部10は、搬送検出部199を駆動し、受光部における光の受光量と予め定められた閾値とを比較して、用紙Mの有無を検出する。そして、搬送ローラー対131の駆動に同期して、用紙Mの有と無とが繰り返し検出された場合は、用紙Mが正常に搬送されている状態であると判断される。一方、所定のタイミングあるいは所定の時間内に、受光部における受光量に変化がない状態が継続する場合は、異常状態(ジャム)にあると判断される。例えば、用紙Mの搬送不具合の発生により、記録ヘッド111側から用紙Mが正常に搬送されていない場合に、異常状態(ジャム)であると判断される。
【0065】
排出経路150の一部及び分岐経路160の一部は、記録装置側筐体101に設けられた引出ユニット170に取り付けられている。なお、引出ユニット170は、記録装置側筐体101に対して着脱可能に構成されている。
【0066】
ここで、印刷装置1に適用され得る用紙Mは、吸湿性及び可撓性を有するものが好ましく、例えば、電子写真複写用紙などの普通紙、シリカ、アルミナ、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)等を含む水溶性インク吸収層を備えたインクジェット用紙等が挙げられる。また、水溶性インクの浸透速度が比較的小さなタイプの吸収性被記録媒体として一般のオフセット印刷に用いられるアート紙、コート紙、キャスト紙等が挙げられる。
【0067】
なお、本実施形態において、「用紙M」とは、一般に、パルプ(主成分はセルロース)を主原料としプリンター等に使用される紙をいい、JIS-P-0001番号6139で定義されている。具体的には、例えば、上質紙、PPCコピー紙、非塗工印刷紙などを挙げることができる。用紙Mは各社から市販されているものを利用することもでき、例えば、Xerox 4200(Xerox社製)、GeoCycle(Gerogia-Pacific社製)等、種々のものを利用することができる。また、坪量60~120g/m2の用紙Mであることが好ましい。
【0068】
次に、本実施形態の印刷装置1(印刷ユニット100)において用いられるインク組成物について説明する。
【0069】
<インクの組成>
次に、本実施形態の印刷装置1(印刷ユニット100)において用いられる記録材料としてのインク(インク組成物)について説明する。
インクは、安全性、取り扱い性、各種性能(発色性、裏抜け適性、インク信頼性など)の観点から、インクの主溶媒が水である水性インク組成物であることが好ましい。なお、裏抜け適性とは、インクが記録媒体に過剰に浸透して裏抜けするのを抑制するのに適した性質を言う。
【0070】
水はイオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水などの純水または超純水を用いることが好ましい。特に紫外線照射または過酸化水素添加などにより滅菌処理した水を用いることが、カビやバクテリアの発生を防止してインクの長期保存を可能にする点で好ましい。
また、インクの適正な物性値(粘度など)の確保、インクの安定性及び信頼性の確保という観点で、水はインク組成物中に10質量%~75質量%含まれることが好ましい。
【0071】
インクには、フルカラーの記録(画像印刷や印字)に対応するインク(例えばシアン、マゼンタ、イエローなどのインク)や、ブラックインク、白色インクなどがあり、それぞれに色材を含んでいる。
色材としては、各色のインクにおいて、顔料、染料、金属酸化物などから選択される少なくとも1種を含有することが好ましい。
顔料としては、特に制限されないが、ブラック用の無機顔料や有機顔料、イエロー、マゼンタ、シアンなど各色の有機顔料がある。
染料としては、イエロー、マゼンタ、シアンなど各色の染料として直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料、分散染料、建染染料、可溶性建染染料、反応分散染料などの各種染料などを使用することができる。
【0072】
また、インクは、所定のインク特性を得るために、色材の他に、水溶性有機溶剤、多価アルコール類、ベタイン類、糖類、尿素類、界面活性剤などを含んでも良い。所定のインク特性とは、インクの記録媒体への濡れ性や浸透性、記録媒体に対するカール、コックリング適性、裏抜け適性、インク吐出における目詰まり適性、インクの温度による粘度特性の適性などである。
具体的には、例えば、水溶性有機溶剤として、1,2-アルカンジオールやグリコールエーテル、ピロリドン誘導体などを、多価アルコール類として、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコールなどを使用することができる。界面活性剤としては、公知のフッ素系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコン系界面活性剤などを使用することができる。
【0073】
インクに顔料を含有させる際には、その他の成分として、顔料を分散させるための分散剤を添加してもよい。また、インクは、更にインクの特性を向上させるために、pH調整剤、錯化剤、消泡剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐・防カビ剤などを添加しても良い。
【0074】
<中間ユニットの構成>
次に、中間ユニット200について説明する。
図1に示すように、中間ユニット200は、搬入口210から搬出口211まで用紙Mを搬送可能な搬送経路218を備えている。また、搬送経路218には、搬送された用紙Mを反転する少なくとも1つの反転部(本実施形態では2つの第1反転部241と第2反転部242)を有する中間搬送部252を備えている。第1反転部241及び第2反転部242は、搬送経路218において記録部110よりも搬送方向の下流側に位置し、画像が印刷された用紙Mを反転する。また、中間ユニット200は、用紙Mが搬送される搬送経路218を備えている。従って、中間ユニット200は、印刷ユニット100において画像が印刷された用紙Mを搬送させながら乾燥させる乾燥機能と、印刷ユニット100から搬送された用紙Mを反転させるスイッチバック方式の反転機能と、を備えている。
【0075】
中間ユニット200の搬送経路218は、搬入口210において、印刷ユニット100の第3排出経路153に接続されている。また、搬送経路218は、上流端が第3排出経路153と接続された導入経路243と、導入経路243の下流端である分岐点Aで分岐した第1分岐経路244及び第2分岐経路245とを有している。すなわち、分岐点Aには、導入経路243の下流端、第1分岐経路244の上流端、及び第2分岐経路245の上流端がそれぞれ接続されている。そして、第1分岐経路244と第2分岐経路245との搬送方向における経路長は、互いに略同じ長さとされている。
【0076】
さらに、搬送経路218は、第1分岐経路244の下流端である第1接続点Bに接続された第1合流経路246と、第2分岐経路245の下流端である第2接続点Cに接続された第2合流経路247とを有している。第1合流経路246と第2合流経路247との搬送方向における経路長は、互いに略同じ長さとされている。
【0077】
また、第1接続点Bには、第1反転部241が有するスイッチバック方式の第1反転経路248が接続されている。また、第2接続点Cには、第2反転部242が有するスイッチバック方式の第2反転経路249が接続されている。すなわち、第1接続点Bには、第1分岐経路244の下流端、第1合流経路246の上流端、及び第1反転経路248の一端が接続されている。また、第2接続点Cには、第2分岐経路245の下流端、第2合流経路247の上流端、及び第2反転経路249の一端が接続されている。なお、第1反転経路248及び第2反転経路249の経路長は、搬送方向において印刷ユニット100で画像印刷可能な用紙Mの長さ以上となるように構成されている。
【0078】
さらに、搬送経路218は、第1合流経路246及び第2合流経路247が合流する合流点Dが設けられ、当該合流点Dに接続された導出経路250を有している。すなわち、合流点Dには、第1合流経路246の下流端、第2合流経路247の下流端、及び導出経路250の上流端が接続されている。当該導出経路250は、後処理ユニット300へ向けて第1反転経路248と第2反転経路249の間を下向きに延びた後、第1反転経路248を回り込むように回して、上向きに延びている。なお、導出経路250は、上流側に配置された第1導出経路250aと当該第1導出経路250aの下流側に配置された第2導出経路250bとで構成されている。そして、第2導出経路250bの下流端は、搬出口211において、後処理ユニット300の下流側搬送経路319に接続されている。
【0079】
そして、本実施形態では、導入経路243と、第1分岐経路244と、第2分岐経路245とにより反転前経路218aが構成され、第1合流経路246と、第2合流経路247と、導出経路250とにより反転後経路218bが構成されている。そして、反転前経路218aは、搬送方向において第1反転部241もしくは第2反転部242よりも搬送方向の上流側に位置する。さらに、反転後経路218bは、搬送方向において第1反転部241もしくは第2反転部242よりも搬送方向の下流側に位置する。すなわち、搬送経路218は、第1反転部241及び第2反転部242よりも搬送方向の上流側に位置する反転前経路218aと、搬送方向の下流側に位置する反転後経路218bとを有している。
【0080】
また、
図3に示すように、中間ユニット200は、搬送経路218に倣って用紙Mを搬送可能な中間搬送部252を備えている。中間搬送部252における第1反転部241及び第2反転部242は、搬送される用紙Mを反転可能に構成されている。
【0081】
導入経路243、第1分岐経路244及び第2分岐経路245上には、第1駆動モーター(図示せず)により駆動する第1搬送ローラー対254が配置されている。また、第1合流経路246と第2合流経路247及び第1導出経路250a上には、第2駆動モーター(図示せず)により駆動する第2搬送ローラー対256が配置されている。また、第2導出経路250b上には、第3駆動モーター(図示せず)により駆動する第3搬送ローラー対257が配置されている。なお、第1搬送ローラー対254、第2搬送ローラー対256及び第3搬送ローラー対257の数は、各搬送経路の形態等により任意に設定することができる。そして、中間搬送部252の各ローラー対が用紙Mを表裏両側から挟み込んで支持した状態で、ローラー対のうち、一方のローラーを回転駆動することにより、搬送経路に沿って用紙Mを搬送する。
【0082】
また、導入経路243には、用紙Mを検出する導入検出部258が設けられている。導入検出部258は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。そして、導入検出部258よりも搬送方向下流側の分岐点Aには、案内フラップ259が設けられている。案内フラップ259は、ソレノイド等により駆動され、導入経路243を搬送される用紙Mを第1分岐経路244及び第2分岐経路245のうち何れの経路に案内するかを切り替える。
【0083】
さらに、第1分岐経路244の下流端には、第1分岐経路244から第1反転経路248への用紙Mの移動を許容する一方、第1反転経路248から第1分岐経路244への用紙Mの移動を規制する第1規制フラップ261が設けられている。さらに、第2分岐経路245の下流端には、第2分岐経路245から第2反転経路249への用紙Mの移動を許容する一方、第2反転経路249から第2分岐経路245への用紙Mの移動を規制する第2規制フラップ262が設けられている。これらの第1規制フラップ261及び第2規制フラップ262は、付勢部材(図示せず)による付勢力によって第1分岐経路244もしくは第2分岐経路245の下流端を塞ぐように付勢されている。
【0084】
また、第1分岐経路244上には、用紙Mを検出する第1検出部281が配置され、第2分岐経路245上には、用紙Mを検出する第2検出部282が配置されている。また、第1合流経路246上には、用紙Mを検出する第3検出部283が配置されている。さらに、第1導出経路250aには用紙Mを検出する第4検出部284が配置され、第2導出経路250bには用紙Mを検出する第5検出部285が配置されている。なお、第1から第5検出部281,282,283,284,285は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。なお、各搬送路における各検出部の数は、各搬送経路の形態等により任意に設定することができる。
【0085】
第1反転部241には、第1反転経路248に送り込まれた用紙Mを検出する第1反転検出部264と、第1反転経路248上に設けられた第1反転ローラー対265(本実施形態では2対)とが配置されている。第1反転ローラー対265は、第1反転検出部264が用紙Mを検出した際に送信する信号に基づいて、第1反転モーター(図示せず)により正転駆動又は逆転駆動される。
【0086】
また、第2反転部242には、第2反転経路249に送り込まれた用紙Mを検出する第2反転検出部267と、第2反転経路249上に設けられた第2反転ローラー対268(本実施形態では5対)とが配置されている。第2反転ローラー対268は、第2反転検出部267が用紙Mを検出した際に送信する信号に基づいて、第2反転モーター(図示せず)により正転駆動又は逆転駆動される。なお、第1及び第2反転検出部264,267は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。なお、第2反転経路249上に設けられた第2反転ローラー対268のうち、第2反転経路249の下流側に配置された2つは、用紙Mを挟持し保持する第1保持部269a(
図3参照)を構成する第1ローラー対268a、第2保持部269b(
図3参照)を構成する第2ローラー対268bとして機能する。また、第1ローラー対268aは、第2反転経路249において、第2ローラー対268bよりも下流側に配置されている。つまり、第2ローラー対268bは、用紙Mの第2反転経路249への進入方向で第1ローラー対268aの後方の位置に配置されている。
【0087】
また、第2反転部242には、第2反転経路249に対向する位置に用紙Mの乾燥を促進させるための乾燥ユニット270(本実施形態では2つの第1乾燥ユニット270aと第2乾燥ユニット270b、
図8参照)が設けられている。乾燥ユニット270は、用紙Mが第2反転経路249に進入する方向において、第1ローラー対268aよりも上流側に配置され、用紙Mの一方の面に対向する位置に第1乾燥ユニット270aが、用紙Mの他方の面に対向する位置に第2乾燥ユニット270bが配置されている。なお、乾燥ユニット270(270a,270b)は、送風機を含み構成されており、送風機からの送風は用紙Mに向けて送風される。また、さらにヒーターを含む構成とすることで、温風を用紙Mに向けて送風することができるので、用紙Mの乾燥をより促進させることができる。
【0088】
また、第2反転部242には、第2反転経路249を挟み込むように用紙Mを直線状にガイドするための2つのガイド板271が用紙Mの一方の面に対向する位置と用紙Mの他方の面に対向する位置にそれぞれ配置されている。なお、ガイド板271は平板状であり、メッシュ状に貫通孔が施されており、乾燥ユニット270(270a,270b)の送風機からの送風が用紙Mに当たり易くなるように加工されている。また、ガイド板271は中央に開口部を有する枠状で、開口部に搬送方向に沿った複数の線材が設けられた構成でも構わない。
【0089】
<後処理ユニットの構成>
次に、後処理ユニット300について説明する。
図1に示すように、後処理ユニット300は、略箱型状の枠体320を備えている。枠体320は、後処理給紙口322と後処理排紙口323とを備えている。後処理給紙口322及び後処理排紙口323は、それぞれ開口が形成されており、後処理給紙口322は、中間ユニット200の搬送経路218の下流端に対応して配置され、搬送経路218と下流側搬送経路319とが接続されている。そして、下流側搬送経路319は後処理給紙口322から後処理排紙口323に亘って配置され、中間ユニット200から搬送された用紙Mが後処理給紙口322から供給され、用紙Mに対して後処理等を施した後、後処理排紙口323から排紙される。
【0090】
枠体320の内部には、スタッカー328と処理部325等が配置されている。スタッカー328は、用紙Mを一時的に載置するものであり、用紙Mを載置可能なほぼ平坦面を有する載置面328aと、載置面328aの端部に対して略直角方向に形成された壁面328bと、を有している。
【0091】
処理部325は、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、用紙Mにパンチ穴を穿孔するパンチ処理や、用紙Mを所定枚数毎に綴じるステープル処理、用紙Mの幅方向の位置を1枚毎又は1束毎にその幅方向にずらして調整するシフト処理等の後処理を適宜の機構で行うものである。なお、処理部325に、用紙Mの折り処理を行う用紙折り部や用紙Mを裁断する裁断処理、用紙Mを折り畳む折丁処理、用紙Mを製本する製本処理や丁合処理等が可能な機構を備えていてもよい。
【0092】
また、枠体320の内部には、下流側搬送経路319に沿って下流側搬送部335が配置されている。下流側搬送部335は、駆動ローラー(図示せず)により駆動する搬送ローラー対327を有している。そして、下流側搬送経路319における後処理排紙口323の近傍には排紙ローラー対329が配置されている。搬送ローラー対327は、下流側搬送経路319においてスタッカー328及び処理部325よりも上流側に配置され、後処理給紙口322から給紙される用紙Mをスタッカー328に搬送する。また、下流側搬送経路319における後処理給紙口322近傍には、用紙Mを検出する搬送検出部356が配置されている。搬送検出部356は、例えば、フォトインターラプターであり、具体的な構成は、搬送検出部199と同様である。
【0093】
また、枠体320の内部には、下流側搬送経路319に沿って搬送される用紙Mを案内するガイド部330が設けられている。ガイド部330は、突部形状を有している。そして、ガイド部330には、ほぼ平坦面を有するガイド面330aを備え、ガイド面330aは下流側搬送経路319(スタッカー328)に対向して配置されている。本実施形態のガイド面330aの用紙Mの搬送方向に対して略直交する寸法幅は、搬送方向に対して略直交する用紙Mの寸法幅とほぼ同等の寸法を有している。これにより、用紙Mを容易に搬送することができる。ガイド部330は、下流側搬送経路319における搬送ローラー対327の下流側であって、排紙ローラー対329の上流側に配置されている。従って、搬送ローラー対327から搬送された用紙Mはガイド部330を介してスタッカー328に搬送される。
【0094】
本実施形態のスタッカー328は、下流側搬送経路319において搬送ローラー対327よりも下流側に配置され、処理部325で処理される用紙Mを一時的に載置する。そして、スタッカー328に載置された複数の用紙Mの少なくとも一端辺側が揃うように、スタッカー328の載置面328aが斜め方向に配置されている。本実施形態では、スタッカー328の一端は後処理排紙口323側に配置され、スタッカー328の他端(壁面328b)は処理部325側に配置されている。後処理排紙口323は処理部325よりも上方に配置されており、スタッカー328は処理部325に向かって下方となるように斜めに配置されている。これにより、スタッカー328に載置された用紙Mの端一端辺がスタッカー328の壁面328bに接触することにより、用紙Mの一端辺が揃えられる。
【0095】
<印刷装置の動作方法>
次に、印刷装置1の基本的な動作方法について説明する。
図4から
図7は、印刷装置の動作方法を示す模式図である。以下の説明では、印刷ユニット100から中間ユニット200を介して後処理ユニット300に搬送される用紙Mの搬送形態について説明する。なお、印刷ユニット100の記録ヘッド111に供給されて搬送される用紙Mを1枚目から順に第1用紙Ma、第2用紙Mb、第3用紙Mcとし、4枚目の用紙Mを第4用紙Mdとし、4枚の用紙Mは全て乾燥が省略される用紙Mとして説明する。
【0096】
まず、印刷処理(画像の印刷処理)が実行されると、制御部10は、各駆動モーター類を駆動させる。これにより、各駆動モーターに接続されたピックアップローラー142a、搬送ローラー対131、駆動ローラー133、第1搬送ローラー対254、第2搬送ローラー対256、第3搬送ローラー対257、第1反転ローラー対265、第2反転ローラー対268及び搬送ローラー対327等が駆動する。
【0097】
そして、記録部110は、用紙Mに対して記録ヘッド111からインクを吐出して画像を印刷する。なお、この場合、印刷処理は片面印刷でもよいし、両面印刷でもよい。
【0098】
そして、
図4に示すように、第3排出経路153を反転前速度で搬送された第1用紙Maは、略同じ速度で導入経路243に受け渡される。そして、導入検出部258が第1用紙Maの先端を検出すると、制御部10は、ソレノイドを駆動して案内フラップ259を第1位置P1に位置させる。すなわち、案内フラップ259は、第1用紙Maを第1分岐経路244に案内する。そして、第1接続点Bまで搬送された第1用紙Maは、先端が第1規制フラップ261に接触することでこの第1規制フラップ261を付勢部材の付勢力に抗するように移動させる。すなわち、第1規制フラップ261は、第1分岐経路244の下流端を開くように移動する。そのため、第1用紙Maは、正転駆動する第1反転ローラー対265により第1反転経路248に反転前速度で送り込まれる。そして、第1用紙Maが第1規制フラップ261を通過すると、第1規制フラップ261は、第1分岐経路244の下流端を開く位置から塞ぐ位置に移動する。
【0099】
図5に示すように、第1反転検出部264が第1用紙Maの後端を検出すると、制御部10は、正転駆動していた第1反転ローラー対265を逆転駆動に切り替える。すると、第1反転部241は、反転後速度で第1用紙Maを第1反転経路248から第1接続点B側に送り出す。また、このとき第1規制フラップ261は、第1用紙Maを第1合流経路246に案内する。すなわち、第1反転部241は、第1分岐経路244から送り込まれた第1用紙Maを第1合流経路246に送り出すことにより、第1用紙Maの向きを反転(スイッチバック)する。
【0100】
また、導入検出部258が第2用紙Mbの先端を検出すると、制御部10はソレノイドを駆動して案内フラップ259の位置を変更する。すなわち、制御部10は、第1位置P1に位置した案内フラップ259を第2位置P2に移動させる。すると案内フラップ259は、第2用紙Mbを第2分岐経路245に案内する。
【0101】
図6に示すように、第1反転部241により反転された第1用紙Maは、反転後経路218bを反転後速度で搬送される。そして、制御部10は、第1用紙Maが第1接続点Bを通過すると第1反転ローラー対265を正転回転する。また、制御部10は、第2反転検出部267が第2用紙Mbの後端を検出すると第2反転ローラー対268を逆転回転する。すなわち、第2反転部242は、第1反転部241と同様に第2用紙Mbを反転して反転後速度で第2合流経路247に送り出す。
【0102】
さらに、導入検出部258が第3用紙Mcの先端を検出すると、制御部10はソレノイドを駆動して案内フラップ259の位置を変更する。具体的には、制御部10は、第2位置P2に位置した案内フラップ259を第1位置P1に移動させる。すなわち、案内フラップ259は、搬送される用紙Mを第1分岐経路244と第2分岐経路245に交互に案内する。
【0103】
図7に示すように、第2反転部242で反転されて第2合流経路247に送り出された第2用紙Mbは、合流点Dを経由して導出経路250を搬送される。なお、このとき中間搬送部252は、反転前速度よりも遅い反転後速度で第1用紙Maと第2用紙Mbを搬送する。そのため、第1用紙Maと第2用紙Mbの搬送方向における間隔は、反転前経路218aを反転前速度で搬送された場合に比べて狭くなる。
【0104】
そして、第1反転検出部264が第3用紙Mcの後端を検出すると、制御部10は、第1反転ローラー対265を逆転回転し、第3用紙Mcを第1合流経路246に送り出す。
また、導入検出部258が第4用紙Mdの先端を検出すると、制御部10は、ソレノイドを駆動して案内フラップ259の位置を第2位置P2に変更する。
【0105】
そして、中間ユニット200は、先に導入された第1用紙Maから順に後処理ユニット300へ送り出す。すなわち、用紙Mは、中間ユニット200において、用紙Mの面が反転されて後処理ユニット300に送られる。また、下流側搬送部335は、用紙Mを反転後速度よりも速い処理速度で搬送するため、用紙M同士の間隔が広がる。そして、用紙Mはスタッカー328に順次搬送され、スタッカー328に所定枚数の用紙Mが載置されると、処理部325によってステープル等の処理を行い、排紙ローラー対329の駆動により排紙トレイ331に排出される。
【0106】
次に、本実施形態の後処理ユニット300に係る課題について説明する。上記したように、印刷ユニット100がインクを液滴として吐出する記録ヘッド111を備えたインクジェットプリンターである場合、印刷ユニット100で画像が印刷された用紙Mは、インク(水分)の吸収やインクの乾燥等に伴ってカール(用紙が湾曲する状態や用紙が丸まる状態)することがある。このため、スタッカー328において、先に載置された用紙Mのカールの程度が大きくなると、後から搬送される用紙Mが先に載置された用紙Mのカールによりスタック不良が発生してしまう虞がある。また、印刷ユニット100で画像が印刷された用紙Mのインク(水分)の乾燥が不十分であると、用紙Mの表面に水分が残ることにより、用紙M表面の摩擦抵抗が高くなる。このため、印刷ユニット100(インクジェットプリンター)で画像が印刷された用紙Mをスタッカー328に順次載置していった場合、先に載置された用紙Mの表面の摩擦抵抗が高くなると、後から搬送される用紙Mが先に載置された用紙Mに引っ掛かり用紙Mの端部が不揃いとなる整列不良が発生してしまう虞がある。
【0107】
さらに、用紙Mのカールの発生のメカニズムについて詳細に説明する。本実施形態の用紙Mは、セルロースを主成分として構成され、当該セルロース同士が水素結合により形成されている。このため、印刷ユニット100によりインクが用紙Mの一方の面に塗布されると、インクの吸収により、セルロース間の水素結合が分断される。そうすると、セルロース同士の間隔が広がり、インクが塗布された用紙Mの一方の面の方が、用紙Mの当該一方の面とは反対となる他方の面よりも伸びやすくなる。このため、用紙Mの一方の面側を重力方向(下向き)に向けて載置した場合、用紙Mは重力方向に向けて凸状にカールする(1次カール)。
また、1次カールが発生した後、当該用紙Mに吸収したインクの乾燥が進んでいくと、セルロース同士が水素結合よって自由に結びつき、セルロース間の間隔が狭くなっていく。そうすると、インクが塗布された用紙Mの一方の面の方が、他方の面よりも縮んでいく。このため、用紙Mの一方の面側を重力方向に向けて載置した場合、1次カールの場合とは反対に用紙Mは重力方向に対して凹状(重力方向と反対方向側に向けて凸状)にカールする(2次カール)。
【0108】
また、上記用紙Mのカールの発生は、片面印刷に限らず、両面印刷においても同様に発生する。すなわち、用紙Mの一方の面における印刷dutyと他方の面における印刷dutyとが異なる場合に、用紙Mにカールが発生し易い。特に、用紙Mの一方の面における印刷dutyと他方の面における印刷dutyとの差が所定以上(例えば、約30%以上)の場合に、用紙Mのカールの発生が顕著となる。なお、「duty」とは、duty(%)=実記録ドット数/(縦解像度×横解像度)×100(式中、「実記録ドット数」は単位面積当たりの実記録ドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)で算出される値である。また、用紙Mの印刷dutyの差とは、用紙Mの表裏(一方の面と他方の面)の水分量の差を意味する。
【0109】
そこで、中間ユニット200には、後処理ユニット300のスタッカー328に載置される用紙Mに対して、用紙Mの乾燥不足や変形(カール)を抑制する乾燥ユニット270を備えている。乾燥ユニット270により、スタッカー328に載置された用紙Mの高い摩擦抵抗に伴う整列不良やカールによるスタック不良の発生を低減させることができる。
【0110】
<乾燥ユニット>
次に、中間ユニット200に設けられた乾燥ユニット270の動作について説明する。
図8は、乾燥ユニットの動作を説明する模式図である。
印刷データとしての印刷dutyに応じて、乾燥が必要な用紙Mは、乾燥ユニット270が設けられている第2反転経路249に送り込まれる。第2反転経路249に進入した用紙Mは、
図8に示すように、用紙Mが第2反転経路249に進入する方向において用紙Mの先端側よりも用紙Mの後端側に近い部分を第1保持部269a(
図3参照)を構成する第1ローラー対268aで保持される。その後、印刷dutyに応じて、乾燥ユニット270を駆動し、乾燥ユニット270の送風機から風Wを送風することにより用紙Mの乾燥を促進させる。なお、用紙Mは、ガイド板271により平面状にガイドされた状態で、送風が当たるので風圧により用紙Mのカール等の変形を容易に抑制することができる。
【0111】
次に、中間ユニット200に設けられた乾燥ユニット90の他の構成について、
図9から
図12を参照して説明する。
図9は、中間ユニットに設けられた乾燥ユニットの他の構成に示す構成図であり、
図10は、中間ユニットに設けられた乾燥ユニットの他の構成における第2反転経路周辺の拡大斜視図であり、
図11は、
図10を別角度から見た図である。
図12は、
図10に示す第2反転経路のJ-J線における断面図であり、
図13は、
図10に示す第2反転経路のK-K線における断面図である。
【0112】
なお、各図において示すX-Y-Z座標系は、X軸方向が中間ユニット200内の搬送経路における記録媒体(用紙M)の搬送方向であり、装置幅方向を示し、Y軸方向が記録媒体(用紙M)の幅方向であり、装置奥行き方向を示し、Z軸方向が装置高さ方向を示している。
中間ユニット200には、第2反転経路249を挟み、X軸方向に沿って2つの乾燥ユニット90(第1乾燥ユニット90a,第2乾燥ユニット90b)が設けられている。本実施形態において、乾燥ユニット90(90a、90b)は、送風機を含み構成されており、第2反転経路249に向けて風を送る様に設けられている(
図10及び
図11参照)。
【0113】
第2反転経路249は、第2反転経路249の湾曲の内側に位置する内側経路面91と、第2反転経路249の湾曲の外側に位置する外側経路面92と、を備え、第1乾燥ユニット90aは、内側経路面91に向けて風を送り、第2乾燥ユニット90bは、外側経路面92に向けて風を送る様に配置されている。
【0114】
外側経路面92及び内側経路面91には、それぞれに複数のスリット部93が設けられている。スリット部93は、搬送方向(X軸方向)に細長い形状をしている。外側経路面92及び内側経路面91にスリット部93が設けられていることにより、第1乾燥ユニット90a及び第2乾燥ユニット90bから送られる風による用紙Mの乾燥効果が高められる。
【0115】
第2反転経路249は、
図9に示すように、分岐点Cから第2反転経路249への搬送方向に向けて一旦湾曲する湾曲部94(
図10及び
図11)と、端部Fに向けて直線状に延びる直線部95とを備えて構成されている。そして、内側経路面91は、直線部95において、用紙Mの搬送方向(X軸方向)と交差する幅方向(Y軸方向)の中央部のみに設けられている。
【0116】
図12に示すように、第2反転経路249の前記幅方向の中央付近では、湾曲部94から直線部95まで、外側経路面92及び内側経路面91の双方によって用紙Mが挟まれるように構成されている。この構成により、湾曲部94から直線部95までに亘って用紙Mを押さえ、第2反転経路249における用紙Mの安定した搬送が実現できる。
【0117】
一方、
図13に示すように、前記幅方向の端部側は、湾曲部94においては外側経路面92及び内側経路面91の双方によって用紙Mが挟まれるが、直線部95では、外側経路面92のみによって用紙Mが支持されるようになっている。この構成により、第2反転経路249における紙詰まり等の処理を容易に行うことができる。
なお、
図12及び
図13において、符号96は、周囲に複数の突起を備え、用紙Mと点接触するように構成されたギザローラーである。
以上のような構成により、用紙Mの乾燥を促進し、用紙Mのカール等の変形を容易に抑制することができる。
【0118】
<中間ユニットに乾燥ユニットを備えた印刷装置の動作方法>
次に、中間ユニット200に乾燥ユニット270を備えた印刷装置1の動作方法について説明する。
図14は、中間ユニットに乾燥ユニットを備えた印刷装置の動作方法を示すフローチャートである。なお、用紙Mの一方の面を表面、用紙Mの一方の面に対向する他方の面を裏面として説明する。
まず、制御部10からの印刷ジョブ信号を受信する(ステップS1-1)。次に、印刷ジョブ信号に基づいて印刷ユニット100において用紙Mに対して画像を印刷する(ステップS1-2)。画像が印刷された用紙Mは、搬送経路218を有する中間ユニット200に搬送される。
【0119】
その後、中間ユニット200の導入経路243において、制御部10からの印刷データとしての印刷dutyに応じて、乾燥ユニット270が設けられていない第1反転経路248か、乾燥ユニット270が設けられている第2反転経路249か、を選択する。つまり、印刷dutyが所定閾値(例えば、50%)以上の場合には、乾燥ユニット270が設けられている第2反転経路249に送り込まれて、乾燥ユニット270を駆動し用紙Mの乾燥を行う。また、印刷dutyが所定閾値(例えば、50%)未満の場合には、用紙Mの乾燥を必要としないので、乾燥ユニット270が設けられていない第1反転経路248に送り込まれる。つまり、印刷dutyに基づく、用紙Mの表裏の水分量の差が所定閾値以上の用紙Mは、乾燥ユニット270が設けられている第2反転経路249を搬送し、印刷dutyが所定閾値未満の用紙Mは、乾燥ユニット270が設けられていない第1反転経路248を搬送する。
【0120】
ステップS1-3では、表面の印刷dutyが所定閾値以上かどうかを判定し、「Yes」の場合は、ステップS1-4に進み、「No」の場合は、ステップS1-5に進む。
ステップS1-4とステップS1-5は共に、裏面の印刷dutyが所定閾値以上かどうかを判定するステップであり、ステップS1-4では、「Yes」の場合は、ステップS1-6に進み、「No」の場合は、ステップS1-7に進む。
【0121】
また、ステップS1-5では、「Yes」の場合は、ステップS1-8に進み、「No」の場合は、用紙Mの乾燥が省略される(乾燥を必要としない)ので、用紙Mの反転経路に進入する方向において乾燥ユニット270よりも上流側でスイッチバックさせて、第1反転経路248を経由して反転した後に、後処理ユニット300へ搬送され、ステップS1-9に進む。なお、用紙Mの乾燥が省略される場合において、用紙Mを反転するために、乾燥ユニット270が設けられている第2反転経路249を用いても構わない。その際は、用紙Mが第2反転経路249に進入する方向において乾燥ユニット270よりも上流側でスイッチバックさせて反転させることで、搬送距離及び搬送時間を短くすることができるため、高速で反転処理を行うことができる。
【0122】
ステップS1-6では、乾燥ユニット270が設けられている第2反転経路249に送り込まれて、乾燥ユニット270により用紙Mの両面を乾燥し、第2反転経路249をスイッチバックして反転した後に、後処理ユニット300へ搬送され、ステップS1-9に進む。このとき、用紙Mの両面の印刷dutyに応じて、第1乾燥ユニット270aと第2乾燥ユニット270bとの駆動をそれぞれ独立して制御する。つまり、第1乾燥ユニット270aと第2乾燥ユニット270bの乾燥条件(送風の強さや送風時間)を表裏面の印刷dutyに対応して調整することで、用紙Mの両面の乾燥度合いを略同一にできるため、2次カール等による用紙Mの変形を抑制することができる。
【0123】
ステップS1-7では、表面の乾燥が必要であるため、第2反転経路249に送り込まれて、乾燥ユニット270により用紙Mの表面を乾燥し、第2反転経路249をスイッチバックして反転した後に、後処理ユニット300へ搬送され、ステップS1-9に進む。
ステップS1-8では、裏面の乾燥が必要であるため、第2反転経路249に送り込まれて、乾燥ユニット270により用紙Mの裏面を乾燥し、第2反転経路249をスイッチバックして反転した後に、後処理ユニット300へ搬送され、ステップS1-9に進む。
【0124】
ステップS1-9では、搬送された用紙Mはガイド部330を介してスタッカー328に搬送され、用紙Mの一端辺が揃えられスタッカー328に載置される。その後、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、処理部325は、用紙Mにパンチ穴を穿孔するパンチ処理や、用紙Mを所定枚数毎に綴じるステープル処理、用紙Mの幅方向の位置を1枚毎又は1束毎にその幅方向にずらして調整するシフト処理等の後処理を行う。
【0125】
以上述べたように、第1実施形態に係る乾燥ユニット270を備えた印刷装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
中間ユニット200の搬送経路に用紙Mの乾燥を促進させる乾燥ユニット270が設けられているため、搬送の途中において乾燥ユニット270により、用紙Mを十分乾燥することができるので、カールの発生を抑制することができ、また、インクの水分による用紙Mの摩擦抵抗を低減することができる中間ユニット200を提供することができる。そのため、中間ユニット200から排出された用紙Mに後処理を施す際に、印刷された用紙Mのカールによるスタック不良の発生や高い摩擦抵抗に伴う整列不良を低減することができる。
【0126】
また、搬送経路218に反転経路248,249が設けられているため、搬送途中で用紙Mの表裏を反転させることができる。
【0127】
また、乾燥ユニット270が用紙Mを直線状とする領域を長く取ることができる第2反転経路249に設けられているので、中間ユニット200の小型化を図ることができる。
【0128】
また、乾燥ユニット270が複数の反転経路248,249のうち第2反転経路249に設けられているため、中間ユニット200の小型化と電力削減を図ることができる。
【0129】
また、用紙Mの印刷データとしての印刷dutyに応じて、複数の反転経路248,249のうちの1つの反転経路248,249を選択することで、中間ユニット200において、用紙Mの反転を効率良く行うことができる。
【0130】
また、印刷データに基づく、用紙Mの表裏の水分量の差が所定閾値以上であれば、乾燥ユニット270を駆動させ、用紙Mを乾燥することができるため、カールの発生を抑制することができ、また、インクの水分による用紙Mの摩擦抵抗を低減することができる。
【0131】
また、印刷データが所定閾値以上の用紙Mを乾燥ユニット270が設けられた第2反転経路249に搬送することで、用紙Mを乾燥することができるため、カールの発生を抑制することができ、また、インクの水分による用紙Mの摩擦抵抗を低減することができる。
【0132】
また、用紙Mの一方の面に対向する第1乾燥ユニット270aと、用紙Mの他方の面に対向する第2乾燥ユニット270bと、を設けることで、用紙Mの両面を同時に乾燥させることができるため、より乾燥を促進することができる。
【0133】
また、印刷dutyに応じて、第1乾燥ユニット270aと第2乾燥ユニット270bとの駆動をそれぞれ独立して制御することで、用紙Mの一方の面と他方の面のそれぞれの乾燥具合のバランスを取り、2次カール等による用紙Mの変形を抑制することができる。
【0134】
また、乾燥ユニット270に送風機を含んでいるため、用紙Mを乾燥する際に、送風機の送風により乾燥するため、送風の風圧により用紙Mのカール等の変形を容易に抑制することができる。また、熱源を用いないので中間ユニット200の省電力化を図ることができる。
【0135】
また、乾燥ユニット270の送風機よりも下流側の第1保持部269aで用紙Mの後端に近い部分で用紙Mを保持することにより、用紙Mに風を当てることができ、さらに用紙Mを直線状とする領域を長く取ることができる。そのため、用紙Mを直線状態で乾燥することができ、用紙Mのカール等の変形を容易に抑制することができる。
【0136】
また、乾燥が省略される用紙Mを乾燥ユニット270よりも上流側でスイッチバックさせることにより、搬送距離及び搬送時間を短くすることができるため、高速で反転処理を行うことができる。
【0137】
また、印刷された用紙Mを搬送経路218に設けられた乾燥ユニット270により十分乾燥することができるため、カールの発生を抑制することができ、また、インクの水分による用紙Mの摩擦抵抗を低減することができる。そのため、用紙Mに後処理を施す際に、印刷された用紙Mのカールによるスタック不良の発生や高い摩擦抵抗に伴う整列不良を低減した後処理装置2を提供することができる。
【0138】
また、搬送経路218に反転経路248,249が設けられているため、搬送途中で用紙Mの表裏を反転させることができる後処理装置2を提供することができる。
【0139】
また、印刷された用紙Mを搬送経路218に設けられた乾燥ユニット270により十分乾燥することができるため、カールの発生を抑制することができ、また、インクの水分による用紙Mの摩擦抵抗を低減することができる。そのため、用紙Mに後処理を施す際に、印刷された用紙Mのカールによるスタック不良の発生や高い摩擦抵抗に伴う整列不良を低減した印刷装置1を提供することができる。
【0140】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る中間ユニット200aの張力付与機構について説明する。
図15は、第2実施形態に係る中間ユニットの張力付与機構の動作を説明する模式図である。なお、第1実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
第2実施形態に係る中間ユニット200aは、乾燥時に用紙Mをガイドするガイド板271が無く、張力付与機構を備えている点が第1実施形態の中間ユニット200と異なる。
【0141】
<張力付与機構>
中間ユニット200aは、用紙Mのカール等の変形を抑制するために、用紙Mに張力を付与する張力付与機構が設けられている。張力付与機構は、
図15に示すように、第2反転経路249に設けられている。張力付与機構は、用紙Mの一方の端部を挟持し保持する第1保持部269aを有する第1ローラー対268a、用紙Mの他方の端部を挟持し保持する第2保持部269bを有する第2ローラー対268b、及び第2反転経路249(搬送経路218)に沿って第2ローラー対268bに対する第1ローラー対268aの相対位置を変化させる変位装置(図示せず)で構成されている。なお、第1保持部269a及び第2保持部269bは、用紙Mを挟持する1対のローラーで構成されているため、用紙Mを挟持した後にローラーの回転を止めることで、用紙Mを保持することができる。
【0142】
張力付与機構を備えた第2反転経路249に供給された用紙Mは、回転する第2ローラー対268bを経て回転する第1ローラー対268aに挟持される。次に、用紙Mに対する第1ローラー対268aの位置が用紙Mを保持すべき保持位置(用紙Mの先端から距離L1の位置)に到達したときに、第1ローラー対268aの回転を止め、第1保持部269aで用紙Mを保持する。その後、変位装置(図示せず)により、第2ローラー対268bを回転させながら第1ローラー対268aを用紙Mの進入方向(破線の矢印方向)に移動し、第2ローラー対268bに対する第1ローラー対268aの相対位置を変化させる。
【0143】
次に、用紙Mが第2ローラー対268bの保持すべき保持位置(用紙Mの終端から距離L2の位置)に到達したときに第2ローラー対268bの回転を止め、第2保持部269bで用紙Mを保持する。その後、変位装置(図示せず)により第1ローラー対268aを用紙Mの進入方向(破線の矢印方向)に移動させることで、第1保持部269aと第2保持部269bとの間に張力が生じ用紙Mに張力を付与することができる。
【0144】
用紙Mに張力を付与後は、変位装置(図示せず)により、第2ローラー対268bを逆回転させながら第1ローラー対268aを用紙Mの進入方向とは反対方向に移動する。その後、第1ローラー対268aが第1ローラー対268aの初期位置に到達したときに第1ローラー対268aを逆回転することで、張力を付与された用紙Mは、第2反転経路249をスイッチバックして反転した後に、後処理ユニット300へ搬送される。
【0145】
なお、本実施形態では、用紙Mに張力を付与するために、用紙Mを保持した第2ローラー対268bの位置を固定し、用紙Mを保持した第1ローラー対268aを用紙Mの進入方向に移動させているが、これに限定することはなく、用紙Mを保持した第2ローラー対268bを用紙Mの進入方向と反対方向に移動させる方法や第1ローラー対268aと第2ローラー対268bとを互いに対向する方向とは反対方向に移動する方法でも構わない。
【0146】
また、用紙Mの先端側を保持した第1ローラー対268aが用紙Mの進入方向に所定の距離を移動した後に、第2ローラー対268bが用紙Mの終端側を保持した状態で、つまり、第1ローラー対268aと第2ローラー対268bとが、所定の間隔で用紙Mの両端(先端側と終端側)を保持した状態で、第1ローラー対268aと第2ローラー対268bとの位置を固定し、第1ローラー対268aのみを正回転される方法や第2ローラー対268bのみを逆回転される方法で用紙Mに張力を付与する方法でも構わない。
【0147】
<中間ユニットに張力付与機構を備えた印刷装置の動作方法>
次に、中間ユニット200aに張力付与機構を備えた印刷装置1の動作方法について説明する。
図16は、中間ユニットに張力付与機構を備えた印刷装置の動作方法を示すフローチャートである。なお、用紙Mの一方の面を表面、用紙Mの一方の面に対向する他方の面を裏面として説明する。
まず、制御部10からの印刷ジョブ信号を受信する(ステップS2-1)。次に、印刷ジョブ信号に基づいて印刷ユニット100において用紙Mに対して画像を印刷する(ステップS2-2)。画像が印刷された用紙Mは、搬送経路218を有する中間ユニット200aに搬送される。
【0148】
その後、中間ユニット200aの導入経路243において、制御部10からの印刷データとしての用紙Mの表裏面の印刷duty差に応じて、張力付与機構が設けられていない第1反転経路248か、張力付与機構が設けられている第2反転経路249か、を選択する。つまり、用紙Mの表裏面の印刷duty差が所定閾値(例えば、30%)以上の場合には、張力付与機構が設けられている第2反転経路249に送り込まれて、画像が印刷された用紙Mに張力を付与する。また、用紙Mの表裏面の印刷duty差が所定閾値(例えば、30%)未満の場合には、用紙Mに張力を付与する必要がない。そのため、用紙Mを反転するために第1反転経路248又は第2反転経路249に送り込まれる。
【0149】
ステップS2-3では、用紙Mの表裏面の印刷duty差が所定閾値以上かどうかを判定し、「Yes」の場合は、ステップS2-4に進み、「No」の場合は、用紙Mに張力を付与する必要がないので、第1反転経路248又は第2反転経路249を経由して反転した後に、後処理ユニット300へ搬送され、ステップS2-5に進む。なお、用紙Mに張力を付与する必要がない場合において、用紙Mを反転するために、張力付与機構が設けられている第2反転経路249を用いる際は、張力付与機構よりも上流側でスイッチバックさせて反転させても構わない。そうすることで、搬送距離及び搬送時間を短くすることができるため、高速で反転処理を行うことができる。
【0150】
ステップS2-4では、張力付与機構が設けられている第2反転経路249に送り込まれて、張力付与機構により用紙Mに張力が付与され、第2反転経路249をスイッチバックして反転した後に、後処理ユニット300へ搬送され、ステップS2-5に進む。このとき、用紙Mの表裏面の印刷duty差に応じて、用紙Mに付与する張力の大きさを変化させる。例えば、印刷duty差が大きい、つまり、用紙Mに水分を多く含んでいる場合は、用紙Mの引張強度が弱いため、用紙Mの破損を避けるために、用紙Mに付与する張力を小さくする。また、用紙Mの表裏面の印刷duty差に応じて、用紙Mに張力を付与する時間を変化させても構わない。例えば、印刷duty差が小さい場合には、張力を付与する時間を短くする。
【0151】
また、用紙Mの表裏面の印刷duty差に応じて、用紙Mを保持すべき保持位置(用紙Mの先端から距離L1の位置及び用紙Mの終端から距離L2の位置)を近づけたり、遠ざけたりしても構わない。つまり、用紙Mの張力を付与する領域が、用紙Mの先端側にある場合には、第2保持部269bの保持位置を用紙Mの中央部とする(距離L2が長くなる)。また、用紙Mの中央部にある場合には、第1保持部269aと第2保持部269bとの保持位置を用紙Mの中央部寄りとする(距離L1と距離L2とが共に長くなる)。従って、用紙Mの張力を付与する領域に効率良く、張力を付与することができる。
【0152】
なお、張力付与機構で張力を付与している用紙Mに向けて送風機を含む乾燥ユニット270から送風しても構わない。送風により用紙Mを乾燥することで、その後の第2反転経路249を含む搬送経路218における乾燥不足による2次カール等の用紙Mの変形の発生や用紙Mの摩擦抵抗の上昇を抑制することができる。
【0153】
ステップS2-5では、搬送された用紙Mはガイド部330を介してスタッカー328に搬送され、用紙Mの一端辺が揃えられスタッカー328に載置される。その後、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、処理部325は、用紙Mにパンチ穴を穿孔するパンチ処理や、用紙Mを所定枚数毎に綴じるステープル処理、用紙Mの幅方向の位置を1枚毎又は1束毎にその幅方向にずらして調整するシフト処理等の後処理を行う。
【0154】
以上述べたように、第2実施形態に係る中間ユニット200aに張力付与機構を備えた印刷装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
中間ユニット200aの搬送経路218に用紙Mに張力を付与する張力付与機構が設けられているため、搬送の途中において張力付与機構により、用紙Mの形状を平面状に保持かつ矯正することができるので、用紙Mのカールの発生を抑制することができる中間ユニット200aを提供することができる。そのため、中間ユニット200aから排出された用紙Mに後処理を施す際に、印刷された用紙Mのカール等の変形によるスタック不良の発生を低減することができる。
【0155】
また、搬送経路218に反転経路248,249が設けられているため、搬送途中で用紙Mの表裏を反転させることができる。
【0156】
また、用紙Mの一方を保持する第2保持部269bに対して用紙Mの他方を保持する第1保持部269aの相対位置を変化させる変位装置により、第1保持部269aを移動させることで、第1保持部269aと第2保持部269bとの間に張力が生じ、用紙Mに張力を付与することができる。そのため、用紙Mの形状を平面状に保持かつ矯正することができるので、カールの発生を抑制することができる。
【0157】
また、第1保持部269aと第2保持部269bとが用紙Mを挟持する1対のローラーで構成されているため、用紙Mを挟持した後にローラーの回転を止めることで、用紙Mを保持することができる。
【0158】
また、用紙Mに対する第1ローラー対268aの位置が用紙Mを保持すべき保持位置に到達したときに、第1ローラー対268aの回転を止め、第1保持部269aで用紙Mを保持し、第2ローラー対268bに対する第1ローラー対268aの相対位置を変化させ用紙Mが第2ローラー対268bの保持すべき保持位置に到達したときに第2ローラー対268bの回転を止め、第2保持部269bで用紙Mを保持する。そのため、第1保持部269aと第2保持部269bとの間に張力を生じさせることで、用紙Mに張力を付与することができる。
【0159】
また、用紙Mの表裏面の印刷duty差に応じて、用紙Mを保持すべき第1ローラー対268a及び第2ローラー対268bの保持位置を変化させることにより、用紙Mの張力を付与する領域に効率良く、張力を付与することができる。
【0160】
また、用紙Mの表裏面の印刷duty差に応じて、用紙Mに付与する張力の大きさを変化させることで、用紙Mを破損させずに用紙Mの形状を平面状に保持かつ矯正することができる。
【0161】
また、用紙Mの表裏面の印刷duty差に応じて、用紙Mに張力を付与する時間を変化させることで、短時間で用紙Mの形状を平面状に保持かつ矯正することができる。
【0162】
また、張力付与機構が用紙Mを直線状とする領域を長く取ることができる第2反転経路249に設けられているので、中間ユニット200aの小型化を図ることができる。
【0163】
また、張力付与機構が複数の反転経路(248,249)のうち一部である、第2反転経路249に設けられているため、中間ユニット200aの小型化と電力削減を図ることができる。
【0164】
また、張力を付与している用紙Mに向けて送風することにより、用紙Mを乾燥することができる。そのため、その後の第2反転経路249を含む搬送経路218における乾燥不足による2次カール等の用紙Mの変形の発生や用紙Mの摩擦抵抗の上昇を抑制することができる。
【0165】
また、印刷された用紙Mを搬送経路218に設けられた張力付与機構により用紙Mの形状を平面状に保持かつ矯正することができるため、用紙Mのカールの発生を抑制することができる。そのため、用紙Mに後処理を施す際に、印刷された用紙Mのカールによるスタック不良の発生を低減した後処理装置2を提供することができる。
【0166】
また、印刷された用紙Mを搬送経路218に設けられた張力付与機構により用紙Mの形状を平面状に保持かつ矯正することができるため、用紙Mのカールの発生を抑制することができる。そのため、用紙Mに後処理を施す際に、印刷された用紙Mのカールによるスタック不良の発生を低減した印刷装置1を提供することができる。
【0167】
(変形例1)
次に、本発明の第2実施形態の変形例1に係る中間ユニット200bの張力付与機構について説明する。
図17は、第2実施形態の変形例1に係る中間ユニット200bの張力付与機構の動作を説明する模式図である。なお、第2実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。
【0168】
変形例1に係る中間ユニット200bは、張力付与機構に加圧ローラー280が設けられている点が第2実施形態の中間ユニット200aと異なる。
中間ユニット200bは、張力付与機構に加圧ローラー280が設けられている。加圧ローラー280は、用紙Mが第2反転経路249に進入する方向で第2ローラー対268bよりも下流側で、用紙Mに対向する位置に配置されている。
【0169】
変形例1における印刷された用紙Mに張力を付与する方法は、第1ローラー対268aと第2ローラー対268bとが所定の間隔で用紙Mを保持し、第1ローラー対268aの位置と第2ローラー対268bの位置とが固定された状態で、加圧ローラー280を用紙Mの中央部に接し、その後、加圧ローラー280を用紙Mが第2反転経路249に進入する方向と交差する方向に移動させることである。
【0170】
なお、本実施形態では、加圧ローラー280を移動させることで用紙Mに張力を付与しているが、これに限定されることはなく、加圧ローラー280を楕円ローラーや偏心ローラーとしても構わない。加圧ローラー280を楕円ローラーや偏心ローラーとすることで、加圧ローラー280を回転するのみで、用紙Mに張力を付与することができ、構成の簡素化を図ることができる。
【0171】
このような構成とすることで、用紙Mを保持した第1ローラー対268aと第2ローラー対268bとの間に張力を生じさせることができので、用紙Mに張力を付与することができる。そのため、用紙Mの形状を平面状に保持かつ矯正することができるので、カールの発生を抑制することができる中間ユニット200bを提供することができる。
【0172】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る中間ユニット200cの液体噴射ユニット290について説明する。
図18は、第3実施形態に係る中間ユニットの液体噴射ユニットの動作を説明する模式図である。なお、第1実施形態と同一の構成部位については、同一の番号を附し、重複する説明は省略する。なお、用紙Mの一方の面を表、用紙Mの一方の面に対向する他方の面を裏として説明する。
第3実施形態に係る中間ユニット200cは、乾燥ユニット270が無く、用紙Mに液体を噴射する液体噴射ユニット290を備えている点が第1実施形態の中間ユニット200と異なる。
【0173】
<液体噴射ユニット>
中間ユニット200cは、用紙Mの2次カール等の変形を抑制するために、用紙Mの表裏に水を含む液体を噴射可能な液体噴射ユニット290(本実施形態では2つの第1液体噴射ユニット290aと第2液体噴射ユニット290b)が設けられている。液体噴射ユニット290は、液体を噴射する液体噴射ヘッドを備え、
図18に示すように、搬送経路218の一部である導出経路250に設けられている。液体噴射ユニット290は、用紙Mの一方の面である表に対向する位置に第1液体噴射ヘッドとしての第1液体噴射ユニット290aが、用紙Mの他方の面である裏に対向する位置に第2液体噴射ヘッドとしての第2液体噴射ユニット290bが、配置されている。そのため、用紙Mの表裏に液体を噴射することができる。
なお、液体噴射ヘッドはラインヘッドであり、用紙Mの搬送方向と交差する方向に対して液体を直線状に瞬時に噴射することができ、噴射時間の高速化を図ることができる。
【0174】
液体噴射ユニット290を備えた導出経路250に供給された用紙Mは、導出経路250を搬送する際に、液体噴射ユニット290により、用紙Mの表裏の水分量の差に応じて、つまり、用紙Mの表裏の水分量の差が判定値に達していると判断されたときに、用紙Mの表裏のうち水分量が少ない方に液体が噴射される。ここで、用紙Mの表裏の水分量の差を所定範囲内に納まるように液体を噴射することで、搬送経路218において用紙Mの表裏の水分量の差による乾燥時間の違いによって生じる2次カール等の変形を抑制することができる。
【0175】
なお、片面印刷された用紙Mの場合には、印刷面の水分量が多いため、印刷されてない面(裏面)に液体を噴射することが好適である。つまり、用紙Mの印刷面と裏面との水分量の差を所定範囲内に納まるように、印刷面の裏面に液体を噴射する。
また、印刷ユニット100や中間ユニット200等の使用環境の湿度と、印刷面の水分量と、に応じて、噴射する液体の水分量を制御しても構わない。例えば、湿度が所定閾値より低く、且つ、印刷面の裏面に噴射する液体の水分量が所定閾値以上の場合には、噴射する液体の水分量が最も多くなる(条件Aとする)。それに比べ、湿度が所定閾値より低い、又は、印刷面の裏面に噴射する液体の水分量が所定閾値以上の場合には、条件Aに次いで噴射する液体の水分量が多くなる。更に、湿度が所定閾値以上で、且つ、印刷面の裏面に噴射する液体の水分量が所定閾値未満の場合には、液体を噴射しない。
【0176】
また、片面印刷された用紙Mの印刷面の裏面に液体を噴射する場合、裏面の印刷された領域の反対側に対応する領域に液体を噴射しても良いし、裏面全体に液体を噴射しても良い。更に、裏面に液体を格子状に噴射しても良いし、最もカールの度合いの影響が大きい用紙Mの角部を属する領域や端部に噴射しても良い。
【0177】
また、用紙Mを複数の領域に分割したときに、複数の領域のうち用紙Mの角部を属する領域に対する判定値が用紙Mの他の領域に対する判定値よりも小さくしても構わない。これは、用紙Mの角部を属する領域が用紙Mの他の領域に比べ、水分の乾燥に伴うカールの変形量(湾曲量)が大きいためであり、他の領域の判定値よりも小さくすることで、用紙Mの角部を属する領域のカールの変形量を小さく抑えることができる。
【0178】
その後、液体が噴射された用紙Mは、搬送経路218を搬送中に乾燥し、後処理ユニット300へ搬送される。
【0179】
<中間ユニットに液体噴射ユニットを備えた印刷装置の動作方法>
次に、中間ユニット200cに液体噴射ユニット290を備えた印刷装置1の動作方法について説明する。
図19は、中間ユニットに液体噴射ユニットを備えた印刷装置の動作方法を示すフローチャートである。
まず、制御部10からの印刷ジョブ信号を受信する(ステップS3-1)。次に、印刷ジョブ信号に基づいて印刷ユニット100において用紙Mに対して画像を印刷する(ステップS3-2)。画像が印刷された用紙Mは、搬送経路218を有する中間ユニット200cに搬送される。
【0180】
その後、反転経路で反転された用紙Mは、導出経路250において、制御部10からの印刷データとしての印刷dutyから算出される水分量に応じて、液体噴射ユニット290(第1液体噴射ユニット290a又は第2液体噴射ユニット290b)により、用紙Mの表裏の水分量の差が所定範囲(例えば、30%)内となるように液体を噴射される。
【0181】
ステップS3-3では、表裏の水分量の差が判定値(例えば、30%)以上かどうかを判定し、「Yes」の場合は、ステップS3-4に進み、「No」の場合は、用紙Mに液体を噴射する必要がないため、搬送経路218を搬送し、後処理ユニット300へ搬送され、ステップS3-7に進む。
【0182】
ステップS3-4では、用紙Mの表の水分量と用紙Mの裏の水分量とを比較し、用紙Mの表の水分量が用紙Mの裏の水分量より大きい場合には、「Yes」とし、ステップS3-5に進む。また、用紙Mの表の水分量が用紙Mの裏の水分量より小さい場合には、「No」とし、ステップS3-6に進む。
【0183】
ステップS3-5では、用紙Mの裏に液体を噴射する必要があるため、第2液体噴射ユニット290bにより、用紙Mの表裏の水分量の差が所定範囲内となるように、用紙Mの裏に液体を噴射する。その後、後処理ユニット300へ搬送され、ステップS3-7に進む。
ステップS3-6では、用紙Mの表に液体を噴射する必要があるため、第1液体噴射ユニット290aにより、用紙Mの表裏の水分量の差が所定範囲内となるように、用紙Mの表に液体を噴射する。その後、後処理ユニット300へ搬送され、ステップS3-7に進む。
【0184】
ステップS3-7では、搬送された用紙Mはガイド部330を介してスタッカー328に搬送され、用紙Mの一端辺が揃えられスタッカー328に載置される。その後、スタッカー328に載置された状態の用紙Mに対して、処理部325は、用紙Mにパンチ穴を穿孔するパンチ処理や、用紙Mを所定枚数毎に綴じるステープル処理、用紙Mの幅方向の位置を1枚毎又は1束毎にその幅方向にずらして調整するシフト処理等の後処理を行う。
【0185】
以上述べたように、第3実施形態に係る中間ユニット200cに液体噴射ユニット290を備えた印刷装置1によれば、以下の効果を得ることができる。
中間ユニット200cに設けられた液体噴射ユニット290が用紙Mの表裏の水分量の差に応じて、用紙Mの表裏のうち水分量が少ない方に液体を噴射することができるので、両面印刷の場合であっても、用紙Mの表裏の水分量の差に伴う用紙Mの表裏の乾燥時間の違いによって発生するカールを抑制することができる中間ユニット200cを提供することができる。そのため、中間ユニット200cから排出された用紙Mに後処理を施す際に、印刷された用紙Mのカールによるスタック不良の発生を低減することができる。
【0186】
また、液体噴射ユニット290が用紙Mの表裏における水分量の差が所定範囲内に納まるように用紙Mに液体を噴射することができるため、用紙Mの表裏の乾燥時間を同等とすることができカールの発生を抑制することができる。
【0187】
また、用紙Mの角部を属する領域の判定値を用紙Mの他の領域の判定値よりも小さくすることで、用紙Mの角部を属する領域のカールの変形量を小さく抑えることができる。
【0188】
また、液体噴射ユニット290が搬送経路218に設けられているため、中間ユニット200cの小型化を図ることができる。
【0189】
また、液体噴射ユニット290が液体噴射ヘッドを備えているので、用紙Mの表裏における水分量の差が所定範囲内に納まるように短時間で精度良く液体を噴射することができる。
【0190】
また、液体噴射ユニット290は、用紙Mの一方の面に対向する第1液体噴射ユニット290aと、用紙Mの他方の面に対向する第2液体噴射ユニット290bと、を有しているので、用紙Mの表裏に液体を噴射することができる。(そのため、用紙Mにおいて、用紙Mの表裏の水分量の差が表裏で異なる領域があっても対応することができる。)
【0191】
また、液体噴射ヘッドがラインヘッドであるため、用紙Mの搬送方向と交差する方向に対して液体を直線状に瞬時に噴射することができ、噴射時間の高速化を図ることができる。
【0192】
また、印刷された用紙Mを搬送経路218に設けられた液体噴射ユニット290により用紙Mの表裏の水分量の差を所定範囲内に納まるように液体を噴射することができるため、用紙Mの表裏の水分量の差による乾燥時間の違いによるカールの発生を抑制することができる。そのため、用紙Mに後処理を施す際に、印刷された用紙Mのカールによるスタック不良の発生を低減した後処理装置2を提供することができる。
【0193】
また、印刷された用紙Mを搬送経路218に設けられた液体噴射ユニット290により用紙Mの表裏の水分量の差を所定範囲内に納まるように液体を噴射することができるため、用紙Mの表裏の水分量の差による乾燥時間の違いによるカールの発生を抑制することができる。そのため、用紙Mに後処理を施す際に、印刷された用紙Mのカールによるスタック不良の発生を低減した印刷装置1を提供することができる。
【0194】
(変形例2)
次に、本発明の第3実施形態の変形例2に係る液体噴射ユニット290について説明する。
【0195】
変形例2に係る液体噴射ユニット290は、液体噴射ユニットの設けられている位置が第3実施形態の液体噴射ユニット290の位置と異なり、搬送経路218の一部である導出経路250よりも上流に配置されている。
このような構成とすることで、液体噴射ユニット290より下流の搬送経路218を長くすることができるので、用紙Mの2次カール等の変形を抑制するために噴射された液体の乾燥時間を長くすることができ、乾燥不足による用紙Mの摩擦抵抗の上昇を抑制することができる。
【0196】
なお、液体噴射ユニット290を分岐経路244,245よりもさらに上流である導入経路243に設けるのが好適である。液体噴射ユニット290を導入経路243に設けることにより、液体噴射ユニット290より下流の搬送経路218をより長くすることができ、噴射された液体の乾燥時間をより長くすることができるので、乾燥不足による用紙Mの摩擦抵抗の上昇をより抑制することができる。また、1つの液体噴射ユニット290を設けるだけなので、低価格で小型の印刷装置1や後処理装置2を提供することができる。
【0197】
以上、本発明の中間ユニット200,200a,200b,200c、後処理装置2、及び印刷装置1について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていても良い。また、前述した各実施形態を適宜組み合わせても良い。つまり、液体の水分による媒体の摩擦抵抗の低減やカールの発生を抑制するため、乾燥ユニット270、張力付与機構、及び液体噴射ユニット290をそれぞれ、組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0198】
1…印刷装置、2…後処理装置、10…制御部、90…乾燥ユニット、91…内側経路面、92…外側経路面、93…スリット部、94…湾曲部、95…直線部、96…ギザローラー、100…印刷ユニット、101…記録装置側筐体、102…操作部、103…用紙カセット、103a…把持部、104…前板カバー、108…排出口、109…排紙トレイ、110…記録部、111…記録ヘッド、120…装置内搬送経路、131…搬送ローラー対、132…ベルト搬送部、133…駆動ローラー、134…従動ローラー、135…ベルト、140…供給経路、141…第1供給経路、141a…カバー、141b…挿入口、142…第2供給経路、142a…ピックアップローラー、143…第3供給経路、144…第1駆動ローラー対、145…分離ローラー対、146…第2駆動ローラー対、147…分岐機構、148…第3駆動ローラー対、149…整列ローラー対、150…排出経路、151…第1排出経路、151a…湾曲反転経路、152…第2排出経路、153…第3排出経路、154…共通排出経路、155…排出口、156…載置台、157…縦側壁、160…分岐経路、161…分岐経路ローラー対、170…引出ユニット、180…案内機構、199…搬送検出部、200…中間ユニット、210…搬入口、211…搬出口、218…搬送経路、218a…反転前経路、218b…反転後経路、241…第1反転部、242…第2反転部、243…導入経路、244…第1分岐経路、245…第2分岐経路、246…第1合流経路、247…第2合流経路、248…第1反転経路、249…第2反転経路、250…導出経路、250a…第1導出経路、250b…第2導出経路、252…中間搬送部、254…第1搬送ローラー対、256…第2搬送ローラー対、257…第3搬送ローラー対、258…導入検出部、259…案内フラップ、261…第1規制フラップ、262…第2規制フラップ、264…第1反転検出部、265…第1反転ローラー対、267…第2反転検出部、268…第2反転ローラー対、268a…第1ローラー対、268b…第2ローラー対、269a…第1保持部、269b…第2保持部、270…乾燥ユニット、270a…第1乾燥ユニット、270b…第2乾燥ユニット、271…ガイド板、280…加圧ローラー、282…第2検出部、283…第3検出部、284…第4検出部、285…第5検出部、290…液体噴射ユニット、290a…第1液体噴射ユニット、290b…第2液体噴射ユニット、300…後処理ユニット、319…下流側搬送経路、320…枠体、322…後処理給紙口、323…後処理排紙口、325…処理部、327…搬送ローラー対、328…スタッカー、328a…載置面、328b…壁面、329…排紙ローラー対、330…ガイド部、330a…ガイド面、331…排紙トレイ、335…下流側搬送部、356…搬送検出部、L1,L2…距離、P1…第1位置、P2…第2位置。