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特許7396529車載カメラ用リアケース及び車載カメラ用ケース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】車載カメラ用リアケース及び車載カメラ用ケース
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20231205BHJP
   H01R 13/6581 20110101ALI20231205BHJP
【FI】
H01R24/38
H01R13/6581
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023117313
(22)【出願日】2023-07-19
【審査請求日】2023-07-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000102500
【氏名又は名称】SMK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003694
【氏名又は名称】弁理士法人有我国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 博崇
(72)【発明者】
【氏名】大澤 文雄
(72)【発明者】
【氏名】笹木 仁人
【審査官】松原 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-190375(JP,A)
【文献】特開2022-063900(JP,A)
【文献】国際公開第2009/050982(WO,A1)
【文献】特開2023-046667(JP,A)
【文献】特開2022-063568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 24/38
H01R 13/6581
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントケースと対向するように接合することで車載カメラを収容する空間を形成し、挿通孔が形成されるとともに、一面が開放された箱状のリアケース本体と、
前記挿通孔に挿通され、前記リアケース本体と係合するとともに、前記リアケース本体の外部に突出する少なくとも一部が樹脂製であるコネクタモジュールと、
前記コネクタモジュールと係合し、前記コネクタモジュールを収容するハウジングと、を備え、
前記リアケース本体は、前記フロントケースと対向するリアケース上面と、
前記リアケース上面の外周に沿って垂直に設けられた複数のリアケース側面と、
前記リアケース上面から前記リアケース本体の内面側に向かって垂直方向に突出し、前記コネクタモジュールと係合する前記リアケース上面の前記内面側の面上に設けられたボス部材と、
前記リアケース上面の前記リアケース本体の外面側の面上であって、前記ボス部材と対向する位置に設けられた加締め受け部と、有し、
前記ボス部材は、前記コネクタモジュールと係合した状態で熱を加えずに圧力を加えることで加締められ
前記コネクタモジュールは、
金属製で筒状部分を有する導体であるシェルと、
前記シェルの内側に中心軸に沿って配置され、一端側から他端側にかけて導通可能なターミナルと、
前記シェルと前記ターミナルとの間に介在し、前記ターミナルを保持する絶縁性のインシュレーターと、を有し、
前記シェルは、さらに、複数の係合孔が形成され、前記リアケース本体及び前記ハウジングとそれぞれ係合する平板状のフランジ部を有し、
前記フランジ部は前記リアケース本体の前記ボス部材と係合する際に、前記ボス部材は、前記複数の係合孔を貫通し、
前記リアケース本体は、前記リアケース上面の前記内面側の面上に前記フランジ部を受ける凹部としてのフランジ受け面を設け、前記フランジ受け面上に前記ボス部材を設けたことを特徴とする車載カメラ用リアケース。
【請求項2】
前記シェルは、拡径したシェルフランジと、前記シェルフランジと前記ハウジングの内面との間に嵌装させる防水用のシェルOリングと、を有することを特徴とする請求項に記載の車載カメラ用リアケース。
【請求項3】
前記挿通孔は、円形状であり、前記リアケース上面の中央に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車載カメラ用リアケース。
【請求項4】
前記リアケース上面の外周をなす4つの辺部をそれぞれ第1の辺部、第2の辺部、第3の辺部、第4の辺部とし、
前記第1の辺部と前記第3の辺部とが対向し、前記第2の辺部と前記第4の辺部とが対向し、
前記挿通孔の外縁と前記第1の辺部との最近接距離をL1、前記第2の辺部との最近接距離をL2、前記第3の辺部との最近接距離をL3、前記第4の辺部との最近接距離をL4としたときに、
前記L1と前記L3とが異なる値となるよう、挿通孔の位置を前記リアケース上面の中央からずらしたことを特徴とする請求項に記載の車載カメラ用リアケース。
【請求項5】
さらに、前記L2と前記L4とが異なる値となるよう、前記挿通孔の位置を前記リアケース上面の中央からずらしたことを特徴とする請求項に記載の車載カメラ用リアケース。
【請求項6】
前記L1または前記L3の短い側における少なくとも1つの前記ボス部材は、面側リアケース上面に備えられた側面ボスであり、
前記側面ボスは、前記フランジ部を前記フランジ受け面に係合させた状態で加締められていることを特徴とする請求項に記載の車載カメラ用リアケース。
【請求項7】
前記側面ボスは、前記リアケース側面から延在され形成されることを特徴とする請求項に記載の車載カメラ用リアケース。
【請求項8】
少なくとも1つの前記ボス部材は、面側リアケース上面の角部に備えられた側面ボスであり、
前記側面ボスは、前記フランジ部を前記フランジ受け面に係合させた状態で加締められていることを特徴とする請求項に記載の車載カメラ用リアケース。
【請求項9】
前記側面ボスは、前記フランジ受け面に備えられ、
前記フランジ部は、切欠き部を備え、
前記側面ボスは前記切欠き部と係合され加締められていることを特徴とする請求項に記載の車載カメラ用リアケース。
【請求項10】
前記L1または前記L3の短い側、かつ、前記L2または前記L4の短い側における前記ボス部材は、面側リアケース上面に備えられた側面ボスであることを特徴とする請求項に記載の車載カメラ用リアケース。
【請求項11】
請求項1に記載の車載カメラ用リアケースをフロントケースと接合させて車載カメラを収容する空間を形成した車載カメラ用ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタモジュール等を備えた車載カメラ用リアケース及び車載カメラ用ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
車載カメラ用ケースは、前面側のフロントケースと背面側のリアケースとを接合して構成されるものが多く、車載カメラを収容するとともに、外部コネクタと車載カメラ用基板とを車載カメラ用ケースが備えるコネクタモジュール等を介して電気的に接続する。このようなコネクタモジュールを備えた車載カメラ用ケースにおいて、車載用カメラケースとコネクタモジュールを固定接続する構造が知られている。
【0003】
具体的には、このような構造を有するものとして、少なくとも1つのボスが形成された金属製のケース(車載カメラ用ケース)と、前記ケースの内部に収容される電子機器ユニットと、前記電子機器ユニットに電気的に接続されると共に外部機器と接続するための外部機器接続用コネクタ端子と、前記外部機器接続用コネクタ端子を囲むように配置され且つ表面が金属の被覆層で覆われ、前記ケースの前記少なくとも1つのボスに対応する少なくとも1つのボス挿入部が形成された金属製のグランドシェル(コネクタモジュール)とを備えた電子機器モジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に開示された電子機器モジュールにおいては、グランドシェルの表面から露出するボスの頭部を、例えばレーザー光照射により加熱溶融して、ボス挿入部の周辺に位置する被覆層と溶着させることで、ケース(車載カメラ用ケース)とグランドシェル(コネクタモジュール)とを固定接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許6039514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、グランドシェル(コネクタモジュール)は、一般的には金属材料のみからなるわけではなく、熱に弱い樹脂製等の部品を周囲に含む。実際、特許文献1の例では、グランドシェル18の周囲に設けられた内部ハウジング20は樹脂製であり、防水部材29はゴム製である。このような構成にあっては、ケースのボスをグランドシェルの被覆層に溶着させる際に、グランドシェル18、内部ハウジング20のような熱に弱い構成部品が変形し破損する恐れがある。その結果、不良品が一定頻度で発生することになる。
【0007】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、車載カメラ用ケース、又は車載カメラ用リアケースの構造強度を保ちつつ、製造時の不良品の発生頻度を抑制することができる車載カメラ用ケース、又は車載カメラ用リアケースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る車載カメラ用リアケースは、上記目的を達成するため、フロントケースと対向するように接合することで車載カメラを収容する空間を形成し、挿通孔が形成されるとともに、一面が開放された箱状のリアケース本体と、前記挿通孔に挿通され、前記リアケース本体と係合するとともに、前記リアケース本体の外部に突出する少なくとも一部が樹脂製であるコネクタモジュールと、前記コネクタモジュールと係合し、前記コネクタモジュールを収容するハウジングと、を備え、前記リアケース本体は、前記フロントケースと対向するリアケース上面と、前記リアケース上面の外周に沿って垂直に設けられた複数のリアケース側面と、前記リアケース上面から前記リアケース本体の内面側に向かって垂直方向に突出し、前記コネクタモジュールと係合する前記リアケース上面の前記内面側の面上に設けられたボス部材と、前記リアケース上面の前記リアケース本体の外面側の面上であって、前記ボス部材と対向する位置に設けられた加締め受け部と、有し、前記ボス部材は、前記コネクタモジュールと係合した状態で熱を加えずに圧力を加えることで加締められ、前記コネクタモジュールは、金属製で筒状部分を有する導体であるシェルと、前記シェルの内側に中心軸に沿って配置され、一端側から他端側にかけて導通可能なターミナルと、前記シェルと前記ターミナルとの間に介在し、前記ターミナルを保持する絶縁性のインシュレーターと、を有し、前記シェルは、さらに、複数の係合孔が形成され、前記リアケース本体及び前記ハウジングとそれぞれ係合する平板状のフランジ部を有し、前記フランジ部は前記リアケース本体の前記ボス部材と係合する際に、前記ボス部材は、前記複数の係合孔を貫通し、前記リアケース本体は、前記リアケース上面の前記内面側の面上に前記フランジ部を受ける凹部としてのフランジ受け面を設け、前記フランジ受け面上に前記ボス部材を設けるよう構成される。
【0009】
この構成により、本発明に係る車載カメラ用リアケースは、コネクタモジュールをリアケース本体に固定接続する際に、溶着のように熱が発生する方法ではなく、リアケース本体のリアケース上面上に内面側に向かって垂直方向に突出するボス部材がコネクタモジュールと係合した状態で加締められることで固定接続される。加締めによる固定接続は熱の発生を伴わないため、コネクタモジュールの一部が樹脂製であっても、樹脂製の部分を熱により変形、破損させることはない。したがって、車載カメラ用リアケースの製造時の不良品の発生頻度を抑制することができる。
【0010】
また、加締めによる方法は、ボス部材が設けられたリアケース上面に圧力を加えるものであるが、本発明に係る車載カメラ用リアケースは、リアケース上面のリアケース本体の外面側の面上であって、ボス部材と対向する位置に加締め受け部を設けることで、加締めの際にリアケース上面に加えられる圧力を受けることができる。したがって、加締めによりコネクタモジュールをリアケース本体に固定接続する場合であっても車載カメラ用リアケースの構造強度を保つことができる。
また、本発明に係る車載カメラ用リアケースは、一端側から他端側にかけて導通可能なターミナルが車載用カメラを外部と電気的に効果的に接続することができる。
また、本発明に係る車載カメラ用リアケースは、シェルが複数の係合孔が形成された平板状のフランジ部を有するので、シェルとリアケース本体及びハウジングとを容易に係合させることができる。
また、本発明に係る車載カメラ用リアケースは、リアケース上面の内面側の面上にフランジ部を受ける凹部としてのフランジ受け面を設け、フランジ受け面上にボス部材を設けたので、リアケース本体内部におけるリアケース上面に垂直な方向である高さ方向の寸法を抑制できる。したがって、車載カメラ用ケース内に収容される車載カメラのサイズが大きい場合にも車載カメラを車載カメラ用ケース内に収容できる。
【0015】
上述した構成の車載カメラ用リアケースにおいて、前記シェルは、拡径したシェルフランジと、前記シェルフランジと前記ハウジングの内面との間に嵌装させる防水用のシェルOリングと、を有する構成としてもよい。
【0016】
この構成により、本発明に係る車載カメラ用リアケースは、シェルフランジとハウジングの内面との間に防水用のOリングを嵌装させたので、シェルを経由して車載カメラ用リアケース内へ水が流入することを防ぐことができる。
【0019】
上述した構成の車載カメラ用リアケースにおいて、前記挿通孔は、円形状であり、前記リアケース上面の中央に形成されている構成としてもよい。
【0020】
この構成により、本発明に係る車載カメラ用リアケースは、挿通孔がリアケース上面の中央に形成されているため、コネクタモジュールに接続される車載カメラ用ケース内のカメラ基板の位置をリアケース上面の中央に対向する位置に配置したい場合に、好適である。
【0021】
上述した構成の車載カメラ用リアケースにおいて、前記リアケース上面の外周をなす4つの辺部をそれぞれ第1の辺部、第2の辺部、第3の辺部、第4の辺部とし、前記第1の辺部と前記第3の辺部とが対向し、前記第2の辺部と前記第4の辺部とが対向し、前記挿通孔の外縁と前記第1の辺部との最近接距離をL1、前記第2の辺部との最近接距離をL2、前記第3の辺部との最近接距離をL3、前記第4の辺部との最近接距離をL4としたときに、前記L1と前記L3とが異なる値となるよう、挿通孔の位置を前記リアケース上面の中央からずらした構成としてもよい。
【0022】
この構成により、本発明に係る車載カメラ用リアケースは、挿通孔がリアケース上面の中央から第1の辺部または第3の辺部にずれた位置に形成されているため、コネクタモジュールに接続される車載カメラ用ケース内のカメラ基板の位置をリアケース上面の中央から第1の辺部または第3の辺部にずれた位置に対向する位置に配置したい場合に、好適である。
【0023】
上述した構成の車載カメラ用リアケースにおいて、さらに、前記L2と前記L4とが異なる値となるよう、前記挿通孔の位置を前記リアケース上面の中央からずらした構成としてもよい。
【0024】
この構成により、本発明に係る車載カメラ用リアケースは、さらに挿通孔がリアケース上面の中央から第2の辺部または第4の辺部にずれた位置に形成されているため、コネクタモジュールに接続される車載カメラ用ケース内のカメラ基板の位置をリアケース上面の中央から第2の辺部または第4の辺部にずれた位置に対向する位置、すなわちリアケース上面の角側に配置したい場合に、好適である。
【0025】
上述した構成の車載カメラ用リアケースにおいて、前記L1または前記L3の短い側における少なくとも1つの前記ボス部材は、前記内面側リアケース上面に備えられた側面ボスであり、前記側面ボスは、前記フランジ部を前記フランジ受け面に係合させた状態で加締められている構成としてもよい。
【0026】
挿通孔をリアケース上面の中央からずらした場合、リアケースにボスを形成し、フランジ部の係合孔に挿入する構造を設けるスペースが確保できなくなることがある。ボスによるフランジ部の固定ができないと、シェルをリアケースへ十分に固定することができなくなる。しかし、上述の構成であれば、内面側リアケース上面にボス部材を形成するスペースが小さい場合であっても側面ボスを設けることで、シェルのフランジ部をリアケースへ十分に固定することができる。
【0027】
上述した構成の車載カメラ用リアケースにおいて、前記側面ボスは、前記リアケース側面から延在され形成される構成としてもよい。
【0028】
側面ボスは、加締められた後でシェルのフランジ部をリアケースへ固定される。上述の構成のように、側面ボスが、内面側リアケース上面とリアケース側面の両面から延在される構成とすることで、内面側リアケース上面のみから延在される場合よりも、シェルのフランジ部をリアケースへより強固に固定することができる。なぜなら、内面側リアケース上面に垂直な方向にシェルが負荷を受けた場合に、側面ボスが受けた負荷を、内面側リアケース上面との連結部分だけではなく、リアケース側面との連結部でも、負荷を受けることができる、すなわち、負荷を受ける方向を分散することができるためである。
【0029】
上述した構成の車載カメラ用リアケースにおいて、少なくとも1つの前記ボス部材は、前記内面側リアケース上面の角部に備えられた側面ボスであり、前記側面ボスは、前記フランジ部を前記フランジ受け面に係合させた状態で加締められている構成としてもよい。
【0030】
フランジ部の大きさ、形状によって側面ボスを設けるべき適切な位置等は変わる。上述の構成のように内面側リアケース上面の角部に側面ボスを設け、加締めることは、特にフランジ部の外縁が内面側リアケース上面のいずれかの角部に寄った位置にある場合に好適である。
【0031】
上述した構成の車載カメラ用リアケースにおいて、前記側面ボスは、前記フランジ受け面に備えられ、前記フランジ部は、切欠き部を備え、前記側面ボスは前記切欠き部と係合され加締められている構成としてもよい。
【0032】
上述の構成のように、フランジ部に切欠き部を備えたことで、フランジ部を凹状のフランジ受け面に配置することができ、リアケース上面に垂直な方向である高さ方向の寸法を抑制できる。
【0033】
上述した構成の車載カメラ用リアケースにおいて、前記L1または前記L3の短い側、かつ、前記L2または前記L4の短い側における前記ボス部材は、前記内面側リアケース上面に備えられた側面ボスである構成としてもよい。
【0034】
L1またはL3の短い側、かつ、L2またはL4の短い側においては、内面側リアケース上面にボス部材を設けるスペースが少ない場合がある。しかし、上述の構成であれば、内面側リアケース上面にボス部材を形成するスペースが小さい場合であっても側面ボスを設けることで、シェルのフランジ部をリアケースへ十分に固定することができる。
【0035】
上述した構成の車載カメラ用リアケースをフロントケースと接合させて車載カメラを収容する空間を形成した車載カメラ用ケースを構成してもよい。
【0036】
この構成により、本発明に係る車載カメラ用ケースは、コネクタモジュールをリアケース本体に固定接続する際に、溶着のように熱が発生する方法ではなく、リアケース本体のリアケース上面上に突出するボス部材がコネクタモジュールと係合した状態で加締められることで固定接続される。加締めによる固定接続は熱の発生を伴わないため、コネクタモジュールの一部が樹脂製であっても、樹脂製の部分を熱により変形、破損させることはない。したがって、車載カメラ用ケースの製造時の不良品の発生頻度を抑制することができる。
【0037】
また、加締めによる方法は、ボス部材が設けられたリアケース上面に圧力を加えるものであるが、本発明に係る車載カメラ用ケースは、リアケース上面の面上であって、ボス部材と対向する位置に加締め受け部を設けることで、加締めの際にリアケース上面に加えられる圧力を受けることができる。したがって、加締めによりコネクタモジュールをリアケース本体に固定接続する場合であっても車載カメラ用ケースの構造強度を保つことができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、車載カメラ用ケース、又は車載カメラ用リアケースの構造強度を保ちつつ、製造時の不良品の発生頻度を抑制することができる車載カメラ用ケース、又は車載カメラ用リアケースを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る車載カメラ用ケースを示す模式図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るリアケースを示す図であり、図2(a)は、上側から視た斜視図、図2(b)は、下側から視た斜視図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るリアケースの分解斜視図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るリアケースの底面図である。
図5】本発明の第1の実施の形態に係るリアケースの図4におけるA-A断面での断面図とB-B断面での断面図である。
図6】本発明の第1の実施の形態に係るリアケース本体を示す図であり、図6(a)は、上側から視た斜視図、図6(b)は、下側から視た斜視図である。
図7】本発明の第1の実施の形態に係るリアケース本体の挿通孔の位置を説明する模式図である。
図8】本発明の第1の実施の形態に係るシェルを示す図であり、図8(a)は、上側から視た斜視図、図8(b)は、下側から視た斜視図である。
図9】本発明の第1の実施の形態に係るハウジングを示す図であり、図9(a)は、上側から視た斜視図、図9(b)は、下側から視た斜視図である。
図10】本発明の第2の実施の形態に係るリアケースを示す図であり、図10(a)は、上側から視た斜視図、図10(b)は、下側から視た斜視図である。
図11】本発明の第2の実施の形態に係るリアケース本体を示す図であり、図11(a)は、上側から視た斜視図、図11(b)は、下側から視た斜視図である。
図12】本発明の第2の実施の形態に係るリアケース本体の挿通孔の位置を説明する模式図である。
図13】本発明の第2の実施の形態に係るシェルを示す図であり、図13(a)は、上側から視た斜視図、図13(b)は、下側から視た斜視図である。
図14】本発明の第3の実施の形態に係るリアケースを示す図であり、図14(a)は、上側から視た斜視図、図14(b)は、下側から視た斜視図である。
図15】本発明の第3の実施の形態に係るリアケース本体を示す図であり、図15(a)は、上側から視た斜視図、図15(b)は、下側から視た斜視図である。
図16】本発明の第3の実施の形態に係るリアケース本体の挿通孔の位置を説明する模式図である。
図17】本発明の第3の実施の形態に係るシェルを示す図であり、図17(a)は、上側から視た斜視図、図17(b)は、下側から視た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本実施の形態に係る車載カメラ用ケース1について図1図9を参照して説明する。まず、車載カメラ用ケース1の構成について説明する。
【0041】
図1は本実施の形態に係る車載カメラ用ケース1を示す模式図である。図1中のX方向は横方向、Y方向は奥行き方向、Z方向は高さ方向といい、図2以降においても同様である。Z方向の正の方向を上側やコネクタ側、負の方向を下側やフロントケース側ということもある。
【0042】
(車載カメラ用ケース)
車載カメラ用ケース1は、リアケース3とフロントケース2とを備えている。車載カメラ用ケース1はリアケース3とフロントケース2とが互いに対向するように接合されることで構成され、後述する車載カメラ4を収容する空間を形成している。リアケース3とフロントケース2とは、例えば、接着剤により接合されるが、他の機械的方法や、溶接等の方法によって接合してもよい。車載カメラ用ケース1は、本発明に係る車載カメラ用ケースを構成する。フロントケース2は、本発明に係るフロントケースを構成する。リアケース3は、本発明に係る車載カメラ用リアケースを構成する。
【0043】
図1に示すように車載カメラ用ケース1は、ケーブル7を有する外部コネクタ6とリアケース3とが接続されるので、後述するコネクタモジュール40を介して後述する車載カメラ用基板5と外部コネクタ6とを電気的に接続することが可能となる。
【0044】
車載カメラ用ケース1の内部の収容空間には車載カメラ4が設置される。車載カメラ4は、フロントケース2のレンズ孔2aより車載カメラ用ケース1の外部を撮像する。車載カメラ4は、車載カメラ用基板5を有する。
【0045】
車載カメラ用基板5は、例えば、プリント回路基板(PCB)であり、車載カメラ4を構成し、図示しないCCD又はCMOSなどの撮像素子が実装される。車載カメラ用基板5は基板コネクタ5aを有する。車載カメラ用基板5は、基板コネクタ5aが、後述するコネクタモジュール40と接触し、かつコネクタモジュール40が、外部コネクタ6と接触することで外部コネクタ6と電気的に接続される。
【0046】
(リアケース)
図2は、リアケース3の全体を示す図であり、図2(a)は、上側から視た斜視図、図2(b)は、下側から視た斜視図である。図3は、リアケース3の分解斜視図である。図4は、リアケース3の底面図である。図5(a)は、リアケース3の図4におけるA-A断面の断面図であり、図5(b)は、B-B断面での断面図である。
【0047】
リアケース3は、リアケース本体10と、コネクタモジュール40と、ハウジング30とを備える。図2(a)、(b)に示すように、リアケース本体10の上面には筒状のハウジング30が突出し、コネクタモジュール40を収容している。また、図5(a)、(b)に示すようにコネクタモジュール40は、リアケース本体10及びハウジング30とそれぞれ係合している。リアケース3は外部コネクタ6及び車載カメラ用基板5に接続され、両者を電気的に接続することを可能にする。
【0048】
(リアケース本体)
図6は、リアケース本体10を示し、図6(a)は、上側から視た斜視図、図6(b)は、下側から視た斜視図である。図7は、リアケース本体10の挿通孔の位置を説明する模式図である。
【0049】
リアケース本体10は、フロントケース2と対向するように接合することで車載カメラ4を収容する空間を形成し、挿通孔22が形成されるとともに、一面が開放された箱状のケースである。リアケース本体10は、例えば、アルミ製であるが銅など他の金属製としてもよい。箱状のリアケース本体10は、Z方向の負の向き、すなわち図中の下方が開放された直方体に近い形状である。
【0050】
(リアケース上面、リアケース側面)
図6(a)、(b)に示すように、リアケース本体10は、上側のリアケース上面11と側面側の4つのリアケース側面12、13、14、15で構成されている。リアケース上面11は、本発明に係るリアケース上面を構成する。リアケース側面12、13、14、15は、本発明に係るリアケース側面を構成する。
【0051】
リアケース上面11に対向する面は開放されている。リアケース上面11の上側の面が外面側リアケース上面11aであり、下側の面が内面側リアケース上面11bである。リアケース上面11は、内側の内面側リアケース上面11bがフロントケース2とZ方向に対向している。
【0052】
図6(b)に示すように、内面側リアケース上面11bには、フランジ受け面11b1と側面ボス18、19、20、21が設けられている。フランジ受け面11b1は、リアケース上面11の内面側リアケース上面11bの面上に後述するフランジ部51を受ける凹部として設けられている。フランジ受け面11b1上には、挿通孔22が形成されるとともに、後述するコネクタモジュール40と係合するフランジ受け面ボス16、17が設けられている。なお、本実施の形態でいう内面側リアケース上面11bは、フランジ受け面11b1も含む概念である。したがって、例えば、フランジ受け面11b1上とは、同時に内面側リアケース上面11b上をも意味することになる。
【0053】
(ボス部材)
図6(b)に示すように、フランジ受け面ボス16、17は、リアケース上面11からリアケース本体10の内面側に向かって垂直方向に突出し、コネクタモジュール40と係合するリアケース上面11の内面側の面上である内面側リアケース上面11b上に設けられたボス部材である。フランジ受け面ボス16、17は、本発明に係るボス部材を構成する。
【0054】
フランジ受け面ボス16、17は、コネクタモジュール40と係合した状態で加締められることでコネクタモジュール40がリアケース本体10に確実に固定接続される。加締めは、例えば、加締め用の器具等によりフランジ受け面ボス16、17をコネクタモジュール40と係合した状態で上側の方向、すなわちZ方向の正方向に押圧することでなされる。
【0055】
図6(b)にはフランジ受け面ボス16、17が加締められる前の状態が示されているが、フランジ受け面ボス16、17を加締めた後の状態は図2(b)、図5(b)に示す通りであり、フランジ受け面ボス16、17の頂部が加締められたことで拡径している。
【0056】
本実施の形態ではフランジ受け面ボスとしてフランジ受け面ボス16、17の2つが設けられているが、フランジ受け面ボスの個数はこれに限られず、また配置の場所もフランジ部51の形状等に応じて変更してもよい。
【0057】
側面ボス18、19は内面側リアケース上面11b上のリアケース側面14に寄った側にそれぞれ設けられている。すなわち、側面ボス18、19は、後述するL1またはL3の短い側に対応する側面であるリアケース側面14に沿って、内面側リアケース上面11b上に設けられている。側面ボス18、19は、リアケース側面14から延在され形成されている。側面ボス18、19はリアケース本体10とコネクタモジュール40とを係合させるために、後述するフランジ部51をフランジ受け面11b1に係合させた状態で加締めるためのボス部材である。側面ボス18、19は、本発明に係るボス部材を構成する。
【0058】
図6(b)には側面ボス18、19が加締められる前の状態が示されているが、側面ボス18、19を加締めた後の状態は図2(b)、図5(b)に示す通りであり、側面ボス18、19の一部が加締められたことで変形した変形部18a、19aが形成されている。
【0059】
側面ボス20は内面側リアケース上面11b上のリアケース側面13に寄った側にそれぞれ設けられている。側面ボス20は、リアケース側面13から延在され形成されている。側面ボス20はリアケース本体10とコネクタモジュール40とを係合させるために、後述するフランジ部51をフランジ受け面11b1に係合させた状態で加締めるためのボス部材である。側面ボス20は、本発明に係るボス部材を構成する。
【0060】
図6(b)には側面ボス20が加締められる前の状態が示されているが、側面ボス20を加締めた後の状態は図2(b)、図5(b)に示す通りであり、側面ボス20の一部が加締められたことで変形した変形部20aが形成されている。
【0061】
側面ボス21は内面側リアケース上面11b上のリアケース側面15に寄った側にそれぞれ設けられている。側面ボス21は、リアケース側面15から延在され形成されている。側面ボス21はリアケース本体10とコネクタモジュール40とを係合させるために、後述するフランジ部51をフランジ受け面11b1に係合させた状態で加締めるためのボス部材である。側面ボス21は、本発明に係るボス部材を構成する。
【0062】
図6(b)には側面ボス21が加締められる前の状態が示されているが、側面ボス21を加締めた後の状態は図2(b)、図5(b)に示す通りであり、側面ボス21の一部が加締められたことで変形した変形部21aが形成されている。
【0063】
以上のように、側面ボス18、19、20、21が、内面側リアケース上面11bとリアケース側面13、14、15の両面から延在される構成とすることで、内面側リアケース上面11bのみから延在される場合よりも、シェル50のフランジ部51をリアケースへ3より強固に固定することができる。なぜなら、内面側リアケース上面11bに垂直な方向にシェル50が負荷を受けた場合に、側面ボス18、19、20、21が受けた負荷を、内面側リアケース上面11bとの連結部分だけではなく、リアケース側面13、14、15との連結部でも、負荷を受けることができる、すなわち、負荷を受ける方向を分散することができるためである。
【0064】
本実施の形態では側面ボスは、側面ボス18、19、20、21の4つが設けられているが、側面ボスの個数はこれに限られず、また配置の場所も適宜変更してもよい。
【0065】
リアケース3の4つの側面であるリアケース側面12、13、14、15はリアケース上面11の外周に沿って下方、すなわちZ方向の負の方向に垂直に設けられている。
【0066】
図6(a)に示す通り、外面側リアケース上面11aの挿通孔22の周囲には、加締め受け面11a1が設けられている。加締め受け面11a1は、図5(b)に示す通り、リアケース上面11のリアケース本体10の外面側の面である外面側リアケース上面11aのフランジ受け面ボス16、17に対向する面上に設けられている。
【0067】
(加締め受け部)
一般に加締めによる固定は、ボス部材等に圧力を加えるものであるため、ケースに強度的な負荷をかけることがある。しかし、本実施の形態に係るリアケース3は、リアケース上面11のリアケース本体10の外面側の面である外面側リアケース上面11a上であって各ボス部材であるフランジ受け面ボス16、17及び側面ボス18、19、20、21と対向する位置に加締め受け面11a1を設けることで、加締めの際にリアケース上面11に加えられる圧力を受けることができる。したがって、加締めによりコネクタモジュール40をリアケース本体10に固定接続する場合であってもリアケース3の構造強度を保つことができる。加締め受け面11a1は、本発明に係る加締め受け部を構成する。
【0068】
挿通孔22は、図7に示すようにリアケース上面11の中央からy方向の負の方向にずれた位置に形成されている。挿通孔22のリアケース上面11の中央からのずれの度合いについて以下説明する。
【0069】
図7は、リアケース上面11を下側、すなわちZ方向の負の方向から視た内面側リアケース上面11bである。内面側リアケース上面11bのリアケース側面12に対応する辺を辺部12a、リアケース側面13に対応する辺を辺部13a、リアケース側面14に対応する辺を辺部14a、リアケース側面15に対応する辺を辺部15aとする。このとき、辺部12a、13a、14a、15aは、内面側リアケース上面11bの外周をなす4つの辺部であり、辺部12aと辺部14aとが対向する。また、辺部13aと辺部15aとが対向する。
【0070】
挿通孔22の外縁と辺部12aとの最近接距離をL1、辺部13aとの最近接距離をL2、辺部14aとの最近接距離をL3、辺部15aとの最近接距離をL4とする。このとき、本実施の形態では、L1>L3として、L1とL3とが異なる値となるよう、挿通孔22の位置を内面側リアケース上面11bの中央からずらしている。
【0071】
このように挿通孔22が内面側リアケース上面11bの中央から辺部12aまたは辺部14aにずれた位置に形成することで、コネクタモジュール40に接続される車載カメラ用ケース1内の車載カメラ用基板5の位置を内面側リアケース上面11bの中央から辺部12aまたは辺部14aにずれた位置に対向する位置に配置する場合に対応可能である。
【0072】
(コネクタモジュール)
コネクタモジュール40は、少なくとも一部が樹脂製であり、外部コネクタ6と車載カメラ用基板5とを電気的に接続し、挿通孔22に挿通され、リアケース本体10及び後述するハウジング30と係合するとともに、リアケース本体10の外部に突出して外部コネクタ6と篏合する。樹脂製の部材は、具体的には後述するハウジング30、インシュレーター70、シェルOリング85、インシュレーターOリング86である。コネクタモジュール40は、フランジ受け面ボス16、17と係合した状態でフランジ受け面ボス16、17が加締められることで、コネクタモジュール40がリアケース本体10に固定接続される。コネクタモジュール40は、シェル50と、ターミナル60と、インシュレーター70と、を有する。コネクタモジュール40は、本発明に係るコネクタモジュールを構成する。
【0073】
(シェル)
図8は、本実施の形態に係るシェル50を示し、図8(a)は、上側から視た斜視図、図8(b)は、下側から視た斜視図である。シェル50は、例えば、亜鉛ダイカスト等の金属製であり、筒状部分を有する導体である。シェル50は、フランジ部51と、上部シェル52と、下部シェル54と、シェルフランジ55と、シェルOリング85を有する。シェル50は、本発明に係るシェルを構成する。
【0074】
フランジ部51は、中央貫通孔56A、複数の係合孔としてハウジング用ボス孔56a、56b、56c、56d及びリアケース用ボス孔57a、57bが形成され、リアケース本体10及びハウジング30とそれぞれ係合する平板状の部材であり、フランジ部51はリアケース本体10のフランジ受け面ボス16、17と係合する際に、フランジ受け面ボス16、17は、リアケース用ボス孔57a、57bを貫通する。中央貫通孔56Aは、シェル50内の後述するターミナル60が貫通し、車載カメラ用基板5と接触し、導通できるようにするため設けられている。本実施の形態では、ハウジング用ボス孔を4つ、リアケース用ボス孔を2つ形成したが、ボス孔の数はこれに限られず、また、ボス孔の配置も図8の例と異なる配置であってもよい。
【0075】
シェル50の筒状部分は、Z方向に沿って上から上部シェル52、下部シェル54、シェルフランジ55とで構成される。シェル50の筒状部分は、内部に後述するインシュレーター70を収容するとともに固定する。上部シェル52は、シェル50の筒状部分のうち最も上方に位置する。上部シェル52は、ハウジング30とともに外部コネクタ6と篏合する。
【0076】
上部シェル52は、図5(a)に示すように内部にインシュレーター70を収容する。下部シェル54は、内部にインシュレーター70を収容する。下部シェル54は、上部シェル52の下方に連なるシェル50の筒状部分であり、上部シェル52よりも径が大きく構成されている。
【0077】
シェルフランジ55は、下部シェル54の下方に連なるとともに、フランジ部51の上方に連なる部分である。シェルフランジ55は、下部シェル54を更に拡径させた外径を有する。シェルフランジ55は、図5(a)に示すように、後述するハウジング30の内面との間に防水用のシェルOリング85を嵌装させることが可能な構成である。シェルOリング85は、例えば、エチレンプロピレンゴム等の樹脂で構成される。シェルOリング85を設けることで、外部コネクタ側から車載カメラ用リアケース内へ水が流入することを防ぐことができる。
【0078】
(ターミナル)
図3に示すターミナル60は、シェル50の内側に中心軸に沿って配置され、一端側から他端側にかけて導通可能、すなわち、一端側であるZ方向の正の方向側で外部コネクタ6と接触し、他端側であるZ方向の負の方向側で車載カメラ用基板5の基板コネクタ5aと接触し導通する。ターミナル60は、例えば、銅合金で構成されるが、他の金属で構成してもよい。ターミナル60は、本発明に係るターミナルを構成する。ターミナル60は、後述するインシュレーター70により、例えば、図示しない係合部を係合させる等の方法で保持される。
【0079】
(インシュレーター)
図3に示すインシュレーター70は、シェル50とターミナル60との間に介在し、ターミナル60を保持する絶縁性の部材である。インシュレーター70は、胴体部71と、Oリング溝部72と、で構成される。インシュレーター70は、例えば、ポリアミド等の樹脂で構成される。インシュレーター70は、本発明に係るインシュレーターを構成する。
【0080】
インシュレーター70の中央には、Z方向に沿って貫通するターミナル貫通孔73が形成されている。ターミナル貫通孔73の内部にはターミナル60が延在する。ターミナル貫通孔73は上側の径の大きい貫通孔73aと下側の径の小さい貫通孔73bとで構成される。貫通孔73aは外部コネクタ6と篏合可能である。貫通孔73bはターミナル60とほぼ同じ外径を有し、ターミナル60を保持する孔として機能する。インシュレーター70、例えば、図示しない係合部を係合させる等の方法でターミナル60を保持する。インシュレーター70は、外側のシェル50に固定されることで、コネクタモジュール40の他の構成要素との位置関係が固定されている。
【0081】
胴体部71は、インシュレーター70を構成する筒状の部材である。胴体部71の内部空間にはターミナル60が上下方向(Z方向)に沿って延在している。胴体部71は、後述するハウジング30の収容空間内に配置され、外部コネクタ6と篏合する。
【0082】
Oリング溝部72は、胴体部71の高さ方向中央付近に設けられた溝状の部位であり、胴体部71の外径よりも小さい外径を有する。Oリング溝部72は、インシュレーターOリング86を挿入するための溝である。
【0083】
インシュレーターOリング86は、例えば、エチレンプロピレンゴム等の樹脂で構成される。インシュレーターOリング86を設けることで、外部コネクタ側から車載カメラ用リアケース内へ水が流入することを防ぐことができる。
【0084】
(ハウジング)
図9は、本実施の形態に係るハウジング30を示し、図9(a)は、上側から視た斜視図、図9(b)は、下側から視た斜視図である。ハウジング30は、コネクタモジュール40と係合し、コネクタモジュール40を収容するとともに、外部コネクタ6と篏合する。ハウジング30は、筒状部31と、ロック部32とハウジングフランジ33と、フランジボス34a、34b、34c、34dと、を有する。ハウジング30は、例えば、ポリアミド等の樹脂で構成される。ハウジング30は、本発明に係るハウジングを構成する。
【0085】
筒状部31は、内部の収容空間にコネクタモジュール40を収容するとともに、外部コネクタ6と篏合する。筒状部31の側面にはロック部32が1つ、突出するよう設けられている。ロック部32は図示しない外部コネクタ6の係合部と係合することで、ハウジング30と外部コネクタ6との位置関係を固定することができる。
【0086】
ハウジングフランジ33は、筒状部31の下方に連なる円盤状の部材であり、筒状部31の外径より大きい外径を有する。ハウジングフランジ33は、リアケース3の挿通孔22に嵌装される。ハウジングフランジ33が挿通孔22に嵌装される際にできるリアケース3との間の隙間には接着剤87を挿入する。本実施の形態では、接着剤87として、湿気により硬化する弾性接着剤を用いたが、他のタイプのものを用いてもよい。接着剤87を用いることでハウジング30とリアケース3との位置関係を固定することができる。
【0087】
ハウジングフランジ33の下面には、フランジボス34a、34b、34c、34dが設けられている。本実施の形態ではフランジボスを4つ設けたが、フランジボスの個数は必ずしもこれに限られず、異なる個数であってもよい。フランジボス34aは、シェル50のハウジング用ボス孔56aと係合した状態で、Z方向の正方向に加締められる。同様に、フランジボス34bは、シェル50のハウジング用ボス孔56bと係合した状態で、Z方向の正方向に加締められ、フランジボス34cは、シェル50のハウジング用ボス孔56cと係合した状態で、Z方向の正方向に加締められ、フランジボス34dは、シェル50のハウジング用ボス孔56dと係合した状態で、Z方向の正方向に加締められる。このようにフランジボス34a、34b、34c、34dが加締められることで図2(b)、図5(a)に示すようにハウジング30が、シェル50に固定される。
【0088】
(製法)
図3を参照しながら、リアケース3の製法手順について説明する。
(1) インシュレーター70の内部にターミナル60を挿入し、ターミナル60はインシュレーター70に保持される。
(2)次いで、インシュレーターOリング86をインシュレーター70のOリング溝72に挿入する。
(3)次いで、シェル50の中央貫通孔56Aに下方からインシュレーター70を挿入し、インシュレーター70を固定する。
(4)次いで、シェルOリング85をシェル50に取り付け、コネクタモジュール40が完成する。
(5)次いで、リアケース本体10の挿通孔22にコネクタモジュール40を下方から挿通させ、加締めにより固定する。
(6)次いで、ハウジング30を上方からコネクタモジュール40に係合させ、加締めにより固定する。
(7)最後に、ハウジング30とリアケース本体10の間に接着剤87を塗布し、固定する。
【0089】
以上のように、本実施の形態に係る車載カメラ用ケース1は、リアケース3をフロントケース2と接合させて車載カメラ4を収容する空間を形成している。
【0090】
本実施の形態に係るリアケース3は、フロントケース2と対向するように接合することで車載カメラ4を収容する空間を形成し、挿通孔22が形成されるとともに、一面が開放された箱状のリアケース本体10と、外部コネクタ6と車載カメラ用基板5とを電気的に接続し、挿通孔22に挿通され、リアケース本体10と係合するとともに、リアケース本体10の外部に突出して外部コネクタ6と篏合する少なくとも一部が樹脂製であるコネクタモジュール40と、コネクタモジュール40と係合し、コネクタモジュール40を収容するとともに、外部コネクタ6と篏合するハウジング30と、を備え、リアケース本体10は、フロントケース2と対向するリアケース上面11と、リアケース上面11の外周に沿って垂直に設けられた複数のリアケース側面12、13、14、15と、リアケース上面11からリアケース本体10の内面側に向かって垂直方向に突出し、コネクタモジュール40と係合するリアケース上面11の内面側の内面側リアケース上面11b上に設けられたフランジ受け面ボス16、17と、リアケース上面11のリアケース本体10の外面側の外面側リアケース上面11a上であって、フランジ受け面ボス16、17及び側面ボス18、19、20、21と対向する位置に設けられた加締め受け面11a1をと、有し、フランジ受け面ボス16、17は、コネクタモジュール40と係合した状態で加締められている。
【0091】
また、コネクタモジュール40は、金属製で筒状部分を有する導体であるシェル50と、シェル50の内側に中心軸に沿って配置され、一端側で外部コネクタ6と接触し、他端側で車載カメラ用基板5の基板コネクタ5aと接触し、導通するターミナル60と、シェル50とターミナル60との間に介在し、ターミナル60を保持する絶縁性のインシュレーター70と、を有する。
【0092】
また、シェル50は、さらに、リアケース用ボス孔57a、57b、ハウジング用ボス孔56a、56b、56c、56dが形成され、リアケース本体10及びハウジング30とそれぞれ係合する平板状のフランジ部51を有し、フランジ部51はリアケース本体10のフランジ受け面ボス16、17と係合する際に、フランジ受け面ボス16、17は、リアケース用ボス孔57a、57bを貫通する。
【0093】
また、シェル50は、拡径したシェルフランジ55と、シェルフランジ55とハウジング30の内面との間に嵌装させる防水用のシェルOリング85と、を有する。
【0094】
また、リアケース本体10は、リアケース上面11の内面側の内面側リアケース上面11b上にフランジ部51を受ける凹部としてのフランジ受け面11b1を設け、フランジ受け面11b1上にフランジ受け面ボス16、17を設けている。
【0095】
また、リアケース上面11の外周をなす4つの辺部をそれぞれ辺部12a、辺部13a、辺部14a、辺部15aとし、辺部12aと辺部14aとが対向し、辺部13aと辺部15aとが対向し、挿通孔22の外縁と辺部12aとの最近接距離をL1、辺部13aとの最近接距離をL2、辺部14aとの最近接距離をL3、辺部15aとの最近接距離をL4としたときに、L1>L3として、L1とL3とが異なる値となるよう、挿通孔22の位置をリアケース上面11の中央からずらした構成である。
【0096】
また、L1またはL3の短い側に対応するリアケース側面14おけるボス部材は、内面側リアケース上面11bに備えられた側面ボス18、19であり、側面ボス18、19は、フランジ部51をフランジ受け面11b1に係合させた状態で加締められている構成である。
【0097】
また、側面ボス18、19は、リアケース側面14から、側面ボス20は、リアケース側面13から、側面ボス21は、リアケース側面15から延在され形成される構成である。
【0098】
この構成により本実施の形態に係る車載カメラ用ケース1は、コネクタモジュール40をリアケース本体10に固定接続する際に、溶着のように熱が発生する方法ではなく、リアケース本体10のリアケース上面11上に内面側に向かって垂直方向に突出するフランジ受け面ボス16、17がコネクタモジュール40と係合した状態で加締められることで固定接続される。加締めによる固定接続は熱の発生を伴わないため、コネクタモジュール40の一部が樹脂製であっても、樹脂製の部分を熱により変形、破損させることはない。したがって、リアケース3の製造時の不良品の発生頻度を抑制することができる。
【0099】
また、加締めによる方法は、フランジ受け面ボス16、17が設けられたリアケース上面11に圧力を加えるものであるが、リアケース3は、リアケース上面11のリアケース本体10の外面側の外面側リアケース上面11a上であって、フランジ受け面ボス16、17及び側面ボス18、19、20、21と対向する位置に加締め受け面11a1を設けることで、加締めの際にリアケース上面11に加えられる圧力を受けることができる。したがって、加締めによりコネクタモジュール40をリアケース本体10に固定接続する場合であってもリアケース3の構造強度を保つことができる。
【0100】
また、本実施の形態に係るリアケース3は、シェル50の内側でインシュレーター70に保持されたターミナル60が一端側で外部コネクタ6と接触し、他端側でターミナル60が車載カメラ用基板5と接触するので、外部コネクタ6と車載カメラ用基板5とを電気的に効果的に接続することができる。
【0101】
また、本実施の形態に係るリアケース3は、シェル50がリアケース用ボス孔57a、57b、ハウジング用ボス孔56a、56b、56c、56dが形成された平板状のフランジ部51を有するので、コネクタモジュール40とリアケース本体10及びハウジング30とを容易に係合させることができる。
【0102】
また、本実施の形態に係るリアケース3は、シェルフランジ55とハウジング30の内面との間に防水用のシェルOリング85を嵌装させたので、外部コネクタ6側からシェル50を経由してリアケース3内へ水が流入することを防ぐことができる。
【0103】
また、本実施の形態に係るリアケース3は、リアケース上面11の内面側の内面側リアケース上面11b上にフランジ部51を受ける凹部としてのフランジ受け面11b1を設け、フランジ受け面11b1上にフランジ受け面ボス16、17を設けたので、リアケース本体10内部におけるリアケース上面11に垂直な方向である高さ方向の寸法を抑制できる。したがって、車載カメラ用ケース1内に収容される車載カメラ4のサイズが大きい場合にも車載カメラ4を車載カメラ用ケース1内に収容できる。
【0104】
また、本実施の形態に係るリアケース3は、挿通孔がリアケース上面11の中央から辺部12aまたは辺部14aにずれた位置に形成されているため、コネクタモジュール40に接続される車載カメラ用ケース1内のカメラ基板5の位置をリアケース上面11の中央から辺部12aまたは辺部14aにずれた位置に対向する位置に配置したい場合に、好適である。
【0105】
また、本実施の形態に係るリアケース3は、内面側リアケース上面11bにボス部材を形成するスペースが小さい場合であっても側面ボス18、19を設けることで、シェル50のフランジ部51をリアケース3へ十分に固定することができる。
【0106】
また、本実施の形態に係るリアケース3は、側面ボス18、19、20、21が、内面側リアケース上面11bとリアケース側面13、14、15の両面から延在される構成とすることで、内面側リアケース上面11bのみから延在される場合よりも、シェル50のフランジ部51をリアケース3へより強固に固定することができる。
【0107】
(第2の実施の形態)
本実施の形態では、リアケース103の挿通孔122をリアケース上面111の中央に形成するとともにシェル150のフランジ部151の形状等を変更したが、他の構成は第1の実施の形態と略同一である。第2の実施の形態に係るリアケース103において、第1の実施の形態におけるものと同一の構成要素については、図1ないし図9に示した第1の実施の形態と同一の符号を用い、特に相違点についてのみ詳述する。
【0108】
リアケース103における挿通孔の配置は車載カメラ用ケース1内における車載カメラ4、及び車載カメラ用基板5の配置に応じて決定する必要がある。本実施の形態では、車載カメラ4、及び車載カメラ用基板5がリアケース上面111の中央に対向する位置に配置された場合を想定している。
【0109】
(リアケース)
図10は、本実施の形態に係るリアケースを示す図であり、図10(a)は、上側から視た斜視図、図10(b)は、下側から視た斜視図である。図11は、本実施の形態に係るリアケース本体を示す図であり、図11(a)は、上側から視た斜視図、図11(b)は、下側から視た斜視図である。図11(a)、(b)に示すようにリアケース103における外面側リアケース上面111aは、挿通孔122の位置が第1の実施の形態のものと異なっている。挿通孔122は、円形状であり、リアケース上面111の中央に形成されている。これに伴いハウジング30もリアケース上面111の中央に配置される。
【0110】
(リアケース上面)
内面側リアケース上面111bには、フランジ受け面111b1が設けられている。フランジ受け面111b1は、後述するフランジ部151の形状にあわせた円形状の凹部である。なお、本実施の形態でいう内面側リアケース上面111bは、フランジ受け面111b1も含む概念である。したがって、例えば、フランジ受け面111b1上とは、同時に内面側リアケース上面111b上をも意味することになる。
【0111】
図12は、リアケース上面111を下側、すなわちZ方向の負の方向から視た内面側リアケース上面111bである。本実施の形態では、挿通孔22の位置は、内面側リアケース上面111bの中央であることからL1=L3かつL2=L4の関係が成立する位置に配置する。但し、挿通孔22の位置が、内面側リアケース上面111bの中央から多少ずれて、以下の範囲に収まるように配置してもよい。
0.5<L1/L3<2、0.5<L2/L4<2
第1の実施の形態と異なり、内面側リアケース上面111bにリアケース側面に寄った側面ボスを設けていない。これは、挿通孔122をリアケース上面111の中央に形成したことで、フランジ受け面111b1を内面側リアケース上面111bの中央を中心に充分広くとることができ、後述する4つのフランジ受け面ボス116、117、118、119をフランジ受け面111b1上に設け、リアケース本体110とシェル150とを充分な強度を持って係合させることができるためである。
【0112】
(加締め受け部)
加締め受け面111a1は、外面側リアケース上面111a上の挿通孔122の周囲にフランジ受け面ボス116、117、118、119と対向する位置に設けられる。
【0113】
(ボス部材)
フランジ受け面ボス116、117、118、119は、リアケース上面111からリアケース本体110の内面側に向かって垂直方向に突出し、コネクタモジュール40と係合するリアケース上面111の内面側の面上である内面側リアケース上面111b上に設けられたボス部材である。フランジ受け面ボス116、117、118、119は挿通孔122の周囲に等間隔に設けられている。
【0114】
第1の実施の形態では、フランジ受け面ボスを2つしか設けなかったが、本実施の形態では、フランジ受け面111b1を内面側リアケース上面111bの中央を中心に充分広くとることができたのでフランジ受け面ボスを4つ設けている。これにより、第1の実施の形態のように側面ボスを設けなくともリアケース本体110とシェル150とを充分な強度を持って係合させることができる。
【0115】
(シェル)
図13は、本実施の形態に係るシェルを示す図であり、図13(a)は、上側から視た斜視図、図13(b)は、下側から視た斜視図である。シェル150におけるフランジ部151は、複数の係合孔としてハウジング用ボス孔56a、56b、56c、56d及びリアケース用ボス孔157a、157b、157c、157dが形成され、リアケース本体110及びハウジング30とそれぞれ係合する円板状の部材である。本実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、リアケース用ボス孔を4つ形成した。リアケース用ボス孔157a、157b、157c、157dはそれぞれ、フランジ受け面ボス116、117、118、119と係合され、各フランジ受け面ボスは加締められる。
【0116】
以上のように、本実施の形態に係るリアケース103は、挿通孔122は、円形状であり、リアケース上面111の中央に形成されている。
【0117】
この構成により、本実施の形態に係るリアケース103は、挿通孔122がリアケース上面111の中央に形成されているため、コネクタモジュール40に接続される車載カメラ用ケース1内のカメラ基板5の位置をリアケース上面111の中央に対向する位置に配置する場合に、好適である。
【0118】
(第3の実施の形態)
本実施の形態では、リアケース203の挿通孔222をリアケース上面211の角部に寄せた位置に形成するとともにシェル250のフランジ部251の形状等を変更したが、他の構成は第1の実施の形態と略同一である。第3の実施の形態に係るリアケース203において、第1の実施の形態におけるものと同一の構成要素については、図1ないし図9に示した第1の実施の形態と同一の符号を用い、特に相違点についてのみ詳述する。
【0119】
リアケース203における挿通孔の配置は車載カメラ用ケース1内における車載カメラ4、及び車載カメラ用基板5の配置に応じて決定する必要がある。本実施の形態では、車載カメラ4、及び車載カメラ用基板5がリアケース上面211の角部に寄せた位置に対向する位置に配置された場合を想定している。
【0120】
(リアケース)
図14は、本実施の形態に係るリアケースを示す図であり、図14(a)は、上側から視た斜視図、図14(b)は、下側から視た斜視図である。図15は、本実施の形態に係るリアケース本体を示す図であり、図15(a)は、上側から視た斜視図、図15(b)は、下側から視た斜視図である。図15(a)、(b)に示すようにリアケース203における外面側リアケース上面211aは、挿通孔222の位置が第1の実施の形態のものと異なっている。挿通孔222は、円形状であり、リアケース上面211の角部に寄せた位置に形成されている。これに伴いハウジング30もリアケース上面211の角部に寄せた位置に配置される。
【0121】
(リアケース上面)
内面側リアケース上面211bには、フランジ受け面211b1が設けられている。フランジ受け面211b1は、後述するフランジ部251の形状にあわせた円形の一部を切り取った扇形に近い形状の凹部である。なお、本実施の形態でいう内面側リアケース上面211bは、フランジ受け面211b1も含む概念である。したがって、例えば、フランジ受け面211b1上とは、同時に内面側リアケース上面211b上をも意味することになる。
【0122】
図16は、リアケース上面211を下側、すなわちZ方向の負の方向から視た内面側リアケース上面211bである。本実施の形態では、挿通孔222の位置は、リアケース上面211の角部に寄せた位置であり、L1とL3とが異なる値、かつ、L2とL4とが異なる値であるようリアケース上面211の中央からずらして配置されている。より具体的には、L3<L1、かつ、L2<L4である。
【0123】
第1の実施の形態と異なり、内面側リアケース上面211bにリアケース側面の角部に寄った側面ボス230を1つだけ設けている。これは、挿通孔222をリアケース上面211の角部に形成したことで、後述する3つのフランジ受け面ボス216、217、218をフランジ受け面211b1上に設けたものの、フランジ受け面211b1のスペース的に角部に寄せた位置にフランジ受け面ボスを設けることができないため、側面ボス230を配置して、特に角部におけるリアケース本体210とシェル250との係合に充分な強度を持たせるためである。
【0124】
(加締め受け部)
加締め受け面211a1は、外面側リアケース上面211a上の挿通孔222の周囲にフランジ受け面ボス116、117、118、119と対向する位置に設けられる。加締め受け面211a1は、図14(a)、図15(a)に示すように挿通孔222の周囲の所定の厚みを持った箇所に設けられている。このように加締め受け面211a1に所定の厚みを持たせることで、加締めの際にリアケース上面に加えられる圧力を受けることができるため、車載カメラ用リアケースの構造強度をより強く保つことができる。
【0125】
(ボス部材)
フランジ受け面ボス216、217、218は、リアケース上面211からリアケース本体210の内面側に向かって垂直方向に突出し、コネクタモジュール40と係合するリアケース上面211の内面側の面上である内面側リアケース上面211b上に設けられたボス部材である。フランジ受け面ボス216、217、218は挿通孔222の周囲であって角部と離れた側に設けられている。
【0126】
第1の実施の形態では、フランジ受け面ボスを2つしか設けなかったが、本実施の形態では、フランジ受け面211b1を内面側リアケース上面211bの角部に寄せた側に充分広くとることができたのでフランジ受け面ボスを3つ設けている。
【0127】
側面ボス230は内面側リアケース上面211b上のリアケース側面13とリアケース側面14がなす角部であって、フランジ受け面211b1上に1つ設けられている。すなわち、側面ボス230は、L1またはL3の短い側であるL3側、かつ、L2またはL4の短い側であるL2側に対応する側面であるリアケース側面13、14に沿ってフランジ受け面211b1上の角部に設けられている。第1の実施の形態より側面ボスの個数は少ないが、本実施の形態では第1の実施の形態よりもフランジ受け面ボスを多く設けているため、第1の実施の形態のように側面ボスを4つ設けなくともリアケース本体210とシェル250とを充分な強度を持って係合させることができる。図15には側面ボス230が加締められる前の状態が示されているが、側面ボス230を加締めた後の状態は図14に示す通りであり、側面ボス230の一部が加締められたことで変形した変形部230aが形成されている。
【0128】
(シェル)
図17は、本実施の形態に係るシェルを示す図であり、図17(a)は、上側から視た斜視図、図17(b)は、下側から視た斜視図である。シェル250におけるフランジ部251は、複数の係合孔としてハウジング用ボス孔56a、56b、56c、56d及びリアケース用ボス孔257a、257b、257c、切欠き部258が形成され、リアケース本体210及びハウジング30とそれぞれ係合する円形の一部を切り取った扇形に近い形状の部材である。本実施の形態では、第1の実施の形態とは異なり、リアケース用ボス孔を3つ形成した。リアケース用ボス孔257a、257b、257cはそれぞれ、フランジ受け面ボス216、217、218と係合され、切欠き部258は側面ボス230と係合され、各フランジ受け面ボスと側面ボスは加締められる。
【0129】
以上のように、本実施の形態に係るリアケース203は、L1とL3とが異なる値となり、さらに、L2とL4とが異なる値となるよう、挿通孔222の位置をリアケース上面211の中央からずらして角部に寄せた位置に配置した。
【0130】
また、少なくとも1つのボス部材は、内面側リアケース上面11bの角部に備えられた側面ボス230であり、側面ボス230は、フランジ部251をフランジ受け面211b1に係合させた状態で加締められている構成である。
【0131】
また、側面ボス230は、フランジ受け面211b1に備えられ、フランジ部251は、切欠き部258を備え、側面ボス230は切欠き部258と係合され加締められている構成である。
【0132】
また、L1またはL3の短い側、かつ、L2またはL4の短い側におけるボス部材は、内面側リアケース上面211bに備えられた側面ボス230である。
【0133】
この構成により、本実施の形態に係るリアケース203は、挿通孔222がリアケース上面211の中央から辺部12aまたは辺部14aにずれ、かつ、辺部13aまたは辺部15aにずれた位置に形成されているため、コネクタモジュール40に接続される車載カメラ用ケース1内の車載カメラ用基板5の位置をリアケース上面211の中央から辺部12aまたは辺部14aにずれ、かつ、辺部13aまたは辺部15aにずれた位置に対向する位置、すなわちリアケース上面211の角部に寄せた位置に配置したい場合に、好適である。
【0134】
また、内面側リアケース上面211bの角部に側面ボス230を設け、加締めることは、特にフランジ部251の外縁が内面側リアケース上面211b1のいずれかの角部に寄った位置にある場合に好適である。
【0135】
また、フランジ部251に切欠き部258を備えたことで、フランジ部251を凹状のフランジ受け面211b1に配置することができ、リアケース上面211に垂直な方向である高さ方向の寸法を抑制できる。
【0136】
また、内面側リアケース上面211bにボス部材を形成するスペースが小さい場合であっても側面ボス230を設けることで、シェル250のフランジ部251をリアケース203へ十分に固定することができる。
【0137】
以上説明したように、本発明に係る車載カメラ用リアケース及び車載カメラ用ケースは、構造強度を保ちつつ、製造時の不良品の発生頻度を抑制することができるという効果を有し、車載カメラ用リアケース及び車載カメラ用ケース全般に有用である。
【符号の説明】
【0138】
1 車載カメラ用ケース
2 フロントケース
3、103、203 リアケース(車載カメラ用リアケース)
4 車載カメラ
5 車載カメラ用基板
6 外部コネクタ
7 ケーブル
10、110、210 リアケース本体
11、111、211 リアケース上面
11a、111a、211a 外面側リアケース上面
11a1、111a1、211a1 加締め受け面(加締め受け部)
11b、111b、211b 内面側リアケース上面
11b1、111b1、211b1 フランジ受け面
12、13、14、15 リアケース側面
12a、13a、14a、15a 辺部(第1の辺部、第2の辺部、第3の辺部、第4の辺部)
16、17 フランジ受け面ボス(ボス部材)
116、117、118、119 フランジ受け面ボス(ボス部材)
216、217、218 フランジ受け面ボス(ボス部材)
18、19、20、21、230 側面ボス(ボス部材)
22、122、222 挿通孔
30 ハウジング
31 筒状部
32 ロック部
33 ハウジングフランジ
34a、34b、34c、34d フランジボス
40 コネクタモジュール
50、150、250 シェル
51、151、251 フランジ部
52 上部シェル
54 下部シェル
55 シェルフランジ
56A 中央貫通孔
56a、56b、56c、56d ハウジング用ボス孔
57a、57b リアケース用ボス孔(係合孔)
157a、157b、157c、157d リアケース用ボス孔(係合孔)
257a、257b、257c リアケース用ボス孔(係合孔)
60 ターミナル
70 インシュレーター
71 胴体部
72 Oリング溝部
73 ターミナル貫通孔
85 シェルOリング
86 インシュレーターOリング
87 接着剤
258 切欠き部
【要約】
【課題】構造強度を保ちつつ、製造時の不良品の発生頻度を抑制する。
【解決手段】リアケース3は、フロントケース2と対向するように接合し、挿通孔22が形成されるとともに、一面が開放された箱状のリアケース本体10と、外部コネクタ6と車載カメラ用基板5とを電気的に接続し、挿通孔22に挿通され、リアケース本体10と係合する少なくとも一部が樹脂製であるコネクタモジュール40と、コネクタモジュール40と係合し、コネクタモジュール40を収容するとともに、外部コネクタ6と篏合するハウジング30と、を備え、リアケース本体10は、内面側リアケース上面11bの面上に設けられたボス部材16、17と、外面側リアケース上面11aの面上に設けられた加締め受け面11a1をと、有し、フランジ受け面ボス16、17は、コネクタモジュール40と係合した状態で加締められているよう構成した。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17