(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】車線判断装置及び車線変更判定プログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 30/12 20200101AFI20231205BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20231205BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20231205BHJP
G01C 21/36 20060101ALI20231205BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B60W30/12
B60W40/02
B60W50/14
G01C21/36
G08G1/0969
(21)【出願番号】P 2023503739
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(86)【国際出願番号】 JP2022007261
(87)【国際公開番号】W WO2022186003
(87)【国際公開日】2022-09-09
【審査請求日】2023-04-14
(31)【優先権主張番号】P 2021035379
(32)【優先日】2021-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】野村 朋夫
【審査官】竹村 秀康
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/190212(WO,A1)
【文献】特開平11-094582(JP,A)
【文献】特開2007-145251(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G01C 21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車線毎の当該車線を維持して走行継続可能な距離を示す継続距離を取得する第1取得部(2a)と、
自車が走行中の走行道路及び走行車線を特定する第1特定部(2b)と、
前記走行車線の継続距離を示す走行車線継続距離と、前記走行車線に対して並走する他車線の継続距離を示す他車線継続距離とを比較し、前記走行車線から前記他車線への車線変更の適否を判定する第1判定部(2c)と、
前記車線変更の適否の判定結果を出力する出力部(2i)と、を備える車線判断装置。
【請求項2】
車両位置を特定する第2特定部(2d)と、
前記車両位置に対応する道路を識別可能な道路識別情報を取得する第2取得部(2e)と、
前記車両位置に対応する車線を識別可能な車線識別情報を取得する第3取得部(2f)と、を備え、
車両外部状況を特定する第3特定部(2g)と、
前記第1特定部は、前記道路識別情報、前記車線識別情報及び前記車両外部状況を用いて前記走行道路及び前記走行車線を特定し、
前記第1取得部は、前記道路識別情報及び前記車線識別情報に対応付けられて定義されている前記継続距離を取得する請求項1に記載した車線判断装置。
【請求項3】
前記第1取得部は、前記道路識別情報及び前記車線識別情報と共に車線データの構成要素として定義されている前記継続距離を取得する請求項2に記載した車線判断装置。
【請求項4】
道路変更及び車線変更の有無を判定する第2判定部(2h)を備え、
前記第1判定部は、前記道路変更又は前記車線変更の有が前記第2判定部により判定されたことを条件として、前記走行車線継続距離と前記他車線継続距離とを比較する請求項1から3の何れか一項に記載した車線判断装置。
【請求項5】
前記第1判定部は、前記他車線継続距離が前記走行車線継続距離よりも長く、且つ前記他車線継続距離と前記走行車線継続距離との差分を示す差分距離が所定距離よりも長い場合に、前記走行車線から前記他車線への車線変更の適を判定する請求項1から4の何れか一項に記載した車線判断装置。
【請求項6】
前記第1判定部は、走行道路の道路種別及び走行車線の車線種別の少なくとも何れかに応じた前記所定距離を用い、前記走行車線から前記他車線への車線変更の適を判定する請求項5に記載した車線判断装置。
【請求項7】
前記第1判定部は、前記差分距離が前記所定距離よりも長い他車線が複数である場合に、最長継続距離との距離差が基準距離以下の他車線の中で走行車線に最も近い他車線を対象として前記走行車線から前記他車線への車線変更の適を判定する請求項5又は6に記載した車線判断装置。
【請求項8】
前記第1判定部は、前記差分距離が前記所定距離よりも長い他車線が複数である場合に、前記継続距離から車線移動コスト距離を差し引いた補正継続距離が最長の他車線を対象として前記走行車線から前記他車線への車線変更の適を判定する請求項5又は6に記載した車線判断装置。
【請求項9】
前記第1判定部は、前記他車線継続距離が前記走行車線継続距離よりも長くても、前記差分距離が前記所定距離よりも長くない場合に、前記走行車線から前記他車線への車線変更の否を判定する請求項5から8の何れか一項に記載した車線判断装置。
【請求項10】
ユーザに報知情報を報知する報知システム(6)と連携し、
前記出力部は、前記判定結果を前記報知システムに出力する請求項1から9の何れか一項に記載した車線判断装置。
【請求項11】
車両走行を制御する走行制御システム(7)と連携し、
前記出力部は、前記判定結果を前記走行制御システムに出力する請求項1から9の何れか一項に記載した車線判断装置。
【請求項12】
前記第1取得部は、継続距離を静的な情報として取得する請求項1から11の何れか一項に記載した車線判断装置。
【請求項13】
前記第1取得部は、継続距離を動的な情報として取得する請求項1から11の何れか一項に記載した車線判断装置。
【請求項14】
車線判断装置(1)の制御部(2)に、
車線毎の当該車線を維持して走行継続可能な距離を示す継続距離を取得する第1取得手順と、
自車が走行中の走行道路及び走行車線を特定する第1特定手順と、
前記走行車線の継続距離を示す走行車線継続距離と、前記走行車線に対して並走する他車線の継続距離を示す他車線継続距離とを比較し、前記走行車線から前記他車線への車線変更の適否を判定する第1判定手順と、
前記車線変更の適否の判定結果を出力する出力手順と、を実行させる車線変更判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年3月5日に出願された日本出願番号2021-035379号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、車線判断装置及び車線変更判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
自車が走行中の走行車線を維持する車線維持機能が供されている。車線維持機能とは、自車が車線の中心を維持して走行し続けるように車速制御や操舵制御を行い、運転者による運転操作に頼らずに同一車線を走行し続けさせる機能である。車線維持機能は、運転者の負担を低減させる効果を意図している。例えば特許文献1には、車載カメラにより前景画像を撮影し、その撮影した前景画像から走行車線の左右の道路区画線を認識し、その認識した左右の道路区画線と自車との車幅方向の距離を算出し、走行車線を維持する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
特許文献1の構成では、走行車線に左右の道路区画線が存在し、前景画像から左右の道路区画線を認識可能であれば、理論的には走行車線を維持することが可能である。しかしながら、自車進行方向の道路形状によっては前景画像から左右の道路区画線を認識することが困難になる場合がある。例えば車線数が減少又は車線数が増加するような道路形状では、前景画像から左右の道路区画線を認識することが困難になる虞がある。左右の道路区画線を認識することが困難になると、車線維持機能が終了し、走行車線を維持することが困難になる。又、走行車線の行先が変化するような道路形状では、左右の道路区画線の認識を継続して車線維持機能を継続するものの、所望の道路を走行し続けるという本来の目的から外れてしまう虞がある。
【0006】
本開示は、自車進行方向の道路形状に応じて走行車線を適切に判断することを目的とする。
【0007】
本開示の一態様によれば、第1取得部は、車線毎の当該車線を維持して走行継続可能な距離を示す継続距離を取得する。第1特定部は、自車が走行中の走行道路及び走行車線を特定する。第1判定部は、走行車線の継続距離を示す走行車線継続距離と、走行車線に対して並走する他車線の継続距離を示す他車線継続距離とを比較し、走行車線から他車線への車線変更の適否を判定する。出力部は、車線変更の適否の判定結果を出力する。
【0008】
走行車線継続距離と他車線継続距離とを比較し、走行車線から他車線への車線変更の適否を判定し、車線変更の適否の判定結果を出力するようにした。車線変更の適を判定すると、車線変更が適する旨の判定結果を出力することで、走行車線を適切に判断することができ、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行わせたり車線変更の自動走行制御を行わせたりすることができる。そして、自車が車線変更することで、車線変更先の車線を走行車線として適切に維持することができる。これにより、自車進行方向の道路形状に応じて走行車線を適切に維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示についての上記目的及びその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
【
図1】
図1は、一実施形態の車線維持制御装置の全体構成を示す機能ブロック図であり、
【
図2】
図2は、車線データを示す図(その1)であり、
【
図3】
図3は、車線データを示す図(その2)であり、
【
図4】
図4は、車線データを示す図(その3)であり、
【
図5】
図5は、車線数が減少する道路形状を示す図であり、
【
図6】
図6は、道路番号、道路セグメント番号及び車線番号を示す図(その1)であり、
【
図7】
図7は、継続距離を示す図(その1)であり、
【
図8】
図8は、走行車線の行先が変化する道路形状を示す図であり、
【
図9】
図9は、道路番号、道路セグメント番号及び車線番号を示す図(その2)であり、
【
図11】
図11は、車線数が増加する道路形状を示す図であり、
【
図12】
図12は、道路番号、道路セグメント番号及び車線番号を示す図(その3)であり、
【
図15】
図15は、車線変更操作を促すアイコンを示す図であり、
【
図16】
図16は、車線数が減少する場合を説明する図(その1)であり、
【
図17】
図17は、車線数が減少する場合を説明する図(その2)であり、
【
図18】
図18は、車線数が減少する場合を説明する図(その3)であり、
【
図19】
図19は、走行車線の行先が変化する場合を説明する図(その1)であり、
【
図20】
図20は、走行車線の行先が変化する場合を説明する図(その2)であり、
【
図21】
図21は、走行車線の行先が変化する場合を説明する図(その3)であり、
【
図22】
図22は、車線数が増加する場合を説明する図(その1)であり、
【
図23】
図23は、車線数が増加する場合を説明する図(その2)であり、
【
図24】
図24は、車線数が増加する場合を説明する図(その3)であり、
【
図25】
図25は、車線変更操作を運転者に対して促さない場合を説明する図(その1)であり、
【
図26】
図26は、車線変更操作を運転者に対して促さない場合を説明する図(その2)であり、
【
図27】
図27は、車線変更操作を運転者に対して促さない場合を説明する図(その3)であり、
【
図28】
図28は、交差点直進通過可能車線に該当する場合を示す図であり、
【
図29】
図29は、交差点直進通過可能車線に該当しない場合を示す図であり、
【
図31】
図31は、継続距離を動的に設定する場合を説明する図(その1)であり、
【
図32】
図32は、継続距離を動的に設定する場合を説明する図(その2)であり、
【
図33】
図33は、継続距離を動的に設定する場合を説明する図(その3)であり、
【
図34】
図34は、継続距離を動的に設定する場合を説明する図(その4)であり、
【
図41】
図41は、車線変更先を特定する場合を説明する図(その1)であり、
【
図42】
図42は、車線変更先を特定する場合を説明する図(その2)であり、
【
図43】
図43は、車線変更先を特定する場合を説明する図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態では、車線維持制御装置を搭載している自動車が自動運転機能を備えており、手動運転と自動運転とを切り替えて走行可能であることを前提として説明する。
図1に示すように、車線維持制御装置1は、制御部2と、車線データ記憶部3とを備える。
【0011】
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)を有するマイクロコンピュータにより構成されている。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することでコンピュータプログラムに対応する処理を実行し、車線維持制御装置1の動作全般を制御する。車線維持制御装置1は、例えば衝突回避装置等の安全安心な走行を確保するための運転支援システムと連携して動作し、車線維持機能は運転支援機能の1つとして搭載されている。車線維持制御装置1は、車線維持機能に加え、詳しくは後述するように、走行車線から他車線への車線変更の適否を判定して車線を判断する車線判断機能を備えている。車線維持制御装置1は車線判断装置に相当する。
【0012】
車両位置検出部4は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機、車速センサ等を含んで構成される。車両位置検出部4は、GNSS衛星から送信されたGNSS信号に基づいて算出したGNSS位置座標を、車速センサにより検出した車速により補完し、自車の位置を示す車両位置を検出する。車両位置検出部4は、車両位置を検出すると、その検出した車両位置を含む検出信号を車線維持制御装置1に出力する。GNSSは、GPS、GLONASS、Galileo、BeiDou、IRNSS等の多様な衛星測位システムの総称である。又、車両位置検出部4は、加速度センサやジャイロセンサ等を備え、GNSS位置座標を、加速度センサにより検出した加速度やジャイロセンサにより検出した車両方向変化量により補完しても良い。
【0013】
車両外部状況検出部5は、車載カメラ、ミリ波センサ、レーダ、ライダ(LiDAR:Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging)等を含んで構成される。車両外部状況検出部5は、車載カメラにより車両周囲が撮影された車両周囲画像、ミリ波センサにより車両周囲が検知されたセンサ情報、レーダにより車両周囲が検知されたレーダ情報、ライダにより車両周囲が検知されたライダ情報等に基づいて車両外部状況を検出する。車両外部状況検出部5は、車両外部状況を検出すると、その検出した車両外部状況を含む検出信号を車線維持制御装置1に出力する。車両外部状況検出部5が検出する車両外部状況には、道路の端を示す道路端、車線の境界を示す車線境界線等が含まれる。尚、車両外部状況検出部5は、車載カメラだけを含んで構成されても良く、車載カメラにより車両周囲が撮影された車両周囲画像だけに基づいて車両外部状況を検出しても良い。即ち、車両外部状況検出部5は、車載カメラ、ミリ波センサ、レーダ、ライダのうち少なくとも一つを含んで構成されれば良い。
【0014】
車線データ記憶部3は、道路に対応する車線データを記憶する。車線データ記憶部3は、上述の記憶媒体において、ハードウェアを他のコンピュータ資源と共有していても良い。車線データ記憶部3は、車線データ用に独立して設けられた非遷移的実態的記憶媒体を主体として構成されていても良い。車線データ記憶部3は、比較的広域な道路に対応する車線データを記憶する構成でも良いし、比較的狭域な道路に対応する車線データを記憶する構成でも良い。車線データ記憶部3は、比較的狭域な道路に対応する車線データを記憶する構成の場合、車線データを管理する外部のサーバと連携し、必要な区域の道路に対応する車線データを外部のサーバから通信ネットワークを通じて逐次ダウンロードして一時的に蓄積する。即ち、制御部2が車線データ記憶部3から車線データを読み込む態様は、サーバと接続せずに車線データを車線データ記憶部3から読み込む所謂ストレージ方式で読み込む態様、サーバと接続して当該サーバからダウンロードした車線データを車線データ記憶部3に一時的に蓄積しながら当該車線データを車線データ記憶部3から読み込む所謂ストリーミング方式で読み込む態様の何れであっても良い。
【0015】
車線データは、
図2から
図4に示すように、道路に対応する車線データであり、道路識別情報としての道路番号、道路のセグメント単位の区間を示す道路セグメント番号、車線識別情報としての車線番号、車線毎の種別、接続先、継続距離を構成要素とする。即ち、車線データのデータ構造は、道路番号及び車線番号に対応付けられて定義されている継続距離を構成要素として含む。
【0016】
各構成要素の内容は以下の通りである。
道路番号=道路毎にユニークに付与されている番号であり、道路名と同じ意味である。道路名が変更されても「道なり」であれば同じ番号である。例えば日本の東名高速道路と名神高速道路との接続箇所を例示すると、東名高速道路は東京から小牧までの区間であり、名神高速道路は小牧から西宮までの区間であるが、実世界では東名高速道路と名神高速道路とが小牧で接続しており、東京方面から小牧を経由して西宮方面に走行する場合、又は西宮方面から小牧を経由して東京方面に走行する場合に、車線変更操作を伴うことなく走行し続けることができる。このような場合に、道路が「道なり」であると判断することができる。逆に、道路名が同じであっても「道なり」であると判断することができない場合には、道路番号を変更して異なる道路と見做す必要がある場合がある。日本の国道には道路番号が同一であっても交差点での右左折や分岐を伴う道路が多く存在するので、そのような道路を異なる道路と見做し、「道なり」でないと判断することができる。道路番号は、道路の領域を示す位置情報と対応付けられている。道路の領域は、例えば複数の位置座標で特定される。
【0017】
道路セグメント番号=道路のセグメント毎にユニークに付与されている番号である。セグメントとは、車両進行に関する状況が変化する箇所で道路を区切った単位である。車両進行に関する状況が変化する箇所とは、例えば車線が発生する車線発生点、車線が消滅する車線消滅点、車線境界線が変化する車線境界線の変化点等である。車線発生点及び車線消滅点は、それぞれ車線開始点及び車線終了点と同じ意味である。
【0018】
車線番号=道路セグメント毎の車線毎にユニークに付与されている番号である。
図2から
図4では、それぞれ「車線1」~「車線4」を例示している。車線番号は、車線の領域を示す位置情報と対応付けられている。車線の領域は、例えば複数の位置座標で特定される。
【0019】
継続距離=車線毎の当該車線を維持して走行し続けることが可能な距離を示し、自セグメント距離と接続先車線の継続距離との和で算出される。
但し、以下の場合には継続距離を「0」とする。
(1) 接続先車線の道路番号が異なる、即ち、別の道路に接続している場合
(2) 接続先が存在しない、即ち、車線が終了している場合
(3) 接続先候補が複数あり、何れに接続するのかを確定することができない場合
【0020】
図2に示した車線データは、
図5に示すように、自車進行方向において車線数が減少する道路形状の場合に、
図6に示すように、道路番号、道路セグメント番号及び車線番号が付与され、
図7に示すように、継続距離が算出されている場合のデータである。同様に、
図3に示した車線データは、
図8に示すように、自車進行方向において走行車線の行先が変化する場合に、
図9に示すように、道路番号、道路セグメント番号及び車線番号が付与され、
図10に示すように、継続距離が算出されている場合のデータである。
図4に示した車線データは、
図11に示すように、自車進行方向において車線数が増加する道路形状の場合に、
図12に示すように、道路番号、道路セグメント番号及び車線番号が付与され、
図13に示すように、継続距離が算出されている場合のデータである。尚、
図5、
図8、
図11において、車線中心線とは、道路端や道路外側線と車線境界線とで挟まれた線、又は車線境界線同士で挟まれた線であり、車両が通常走行する領域の中央に仮想的に生成した線を意味する。
【0021】
制御部2は、第1取得部2aと、第1特定部2bと、第1判定部2cと、第2特定部2dと、第2取得部2eと、第3取得部2fと、第3特定部2gと、第2判定部2hと、出力部2iとを備える。これらの各部2a~2iは、車線変更判定プログラムにより実行される機能に相当する。即ち、制御部2は、車線変更判定プログラムを実行することで各部2a~2iの機能を行う。
【0022】
第2特定部2dは、車両位置検出部4から入力する検出信号に基づいて車両位置を特定する。第2取得部2eは、車線データ記憶部3から読み込んだ車線データを参照し、第2特定部2dにより特定された車両位置の位置情報と、車線データの道路番号に対応付けられている位置情報で示される領域とを照合し、車線データの道路番号の中から車両位置に対応する道路番号を取得する。即ち、第2取得部2eは、車両位置が含まれる領域を持つ道路の道路番号を取得する。第3取得部2fは、車線データ記憶部3から読み込んだ車線データを参照し、第2特定部2dにより特定された車両位置の位置情報と、車線データの車線番号に対応付けられている位置情報で示される領域とを照合し、車線データの車線番号の中から車両位置に対応する車線番号を取得する。即ち、第3取得部2fは、車両位置が含まれる領域を持つ車線の車線番号を取得する。
【0023】
第3特定部2gは、車両外部状況検出部5から入力する検出信号に基づいて車両外部状況を特定する。第1特定部2bは、第2取得部2eにより取得された道路番号、第3取得部2fにより取得された車線番号、第3特定部2gにより特定された車両外部状況に基づいて自車が走行中の走行道路及び走行車線を特定する。第1取得部2aは、車線データ記憶部3から読み込んだ車線データの継続距離の中から第1特定部2bにより特定された走行道路及び走行車線に対応する継続距離を取得する。
【0024】
第2判定部2hは、自車が走行中の走行道路の道路番号が変化したか否かを判定することで道路変更の有無を判定し、自車が走行中の走行車線の車線番号が変化したか否かを判定することで車線変更の有無を判定する。即ち、第2判定部2hは、自車が走行中の走行道路の道路番号が変化したと判定すると、道路変更の有を判定し、自車が走行中の走行車線の車線番号が変化したと判定すると、車線変更の有を判定する。
【0025】
第1判定部2cは、道路変更又は車線変更の有が第2判定部2hにより判定されると、走行車線の継続距離を示す走行車線継続距離と、走行車線に対して並走する他車線の継続距離を示す他車線継続距離とを比較し、走行車線から他車線への車線変更の適否を判定する。この場合、他車線は並走車線と同じ意味であり、1本以上である。即ち、例えば交通法規で左側通行が定められている地域で、片側2車線の中で左側車線を走行中であれば、右側車線の1本の車線が他車線となり、片側3車線の中で左側車線を走行中であれば、中央車線と右側車線との2本の車線が他車線となり得る。
【0026】
第1判定部2cは、他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長いと判定すると、他車線継続距離と走行車線継続距離との差分を示す差分距離を算出し、その算出した差分距離と、予め設定されている所定距離とを比較する。第1判定部2cは、差分距離が所定距離よりも長いと判定すると、走行車線から他車線への車線変更の適を判定する。一方、第1判定部2cは、他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長くないと判定すると、走行車線から他車線への車線変更の否を判定する。又、第1判定部2cは、他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長いと判定したが、差分距離が所定距離よりも長くないと判定すると、走行車線から他車線への車線変更の否を判定する。
【0027】
出力部2iは、車線変更の適が第1判定部2cにより判定されると、自動車が手動運転時では、その判定結果として車線変更の適を示す通知信号を報知システム6に出力する。報知システム6は、例えばメータ表示器、ヘッドアップディスプレイ、スピーカ等を含んで構成され、出力部2iから通知信号を入力すると、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行う。即ち、報知システム6は、車線変更操作を運転者に対して促すアイコンをメータ表示器やヘッドアップディスプレイに表示したり、車線変更操作を運転者に対して促すガイダンスをスピーカから音声出力したりする。車線変更操作とは、車線境界線を跨ぐ操舵操作等を伴う運転操作であり、走行車線を変更する運転操作である。
【0028】
又、出力部2iは、車線変更の適が第1判定部2cにより判定されると、自動車が自動運転時では、その判定結果として車線変更の適を示す通知信号を走行制御システム7に出力する。走行制御システム7は、加速制御、減速制御及び操舵制御等の走行に関する制御を行うシステムであり、出力部2iから通知信号を入力すると、車線変更の自動走行制御を行う。車線変更の自動走行制御とは、運転者による車線変更操作を伴わずに車線境界線を跨ぐ操舵制御を行うことで走行車線を変更する制御である。この場合、走行制御システム7は、車線変更先の道路状況、自車の周囲状況、車速等を判定し、車線変更を安全安心に行える環境が成立していることを条件として車線変更の自動走行制御を行う。尚、報知システム6と連携し、車線変更の自動走行制御を実施する旨の報知を行っても良い。
【0029】
次に、上記した構成の作用について
図14から
図30を参照して説明する。尚、ここでは、自動車が手動運転時である場合について説明する。車線維持制御装置1において、制御部2は、車線維持機能が作動中では、自車が車線の中心を維持して走行し続けるように車速制御や操舵制御を行う車線維持制御処理を行うことと並行し、車線変更の適否を判定する車線変更判定処理を所定周期(例えば数ミリ秒周期)で定期的に行う。以下、車線変更判定処理について説明する。
【0030】
制御部2は、車線変更判定処理の開始イベントが成立すると、車線変更判定処理を開始し、車両位置検出部4から入力する検出信号に基づいて車両位置を特定する(S1)。制御部2は、車両位置を特定すると、その特定した車両位置周辺の車線データを車線データ記憶部3から読み込む(S2、第1取得手順に相当する)。この場合、制御部2は、上記したように車線データを管理する外部のサーバと連携する場合であれば、外部のサーバから通信ネットワークを通じてダウンロードされて車線データ記憶部3に一時的に蓄積された車線データを車線データ記憶部3から読み込む。
【0031】
制御部2は、車両外部状況検出部5から入力する検出信号に基づいて車両外部状況を特定する(S3)。制御部2は、車線データ記憶部3から読み込んだ車線データの中から車両位置に対応する道路番号及び車線番号を特定し、その特定した車両位置に対応する道路番号及び車線番号と、特定した車両外部状況とに基づいて自車が走行中の走行道路及び走行車線を特定する(S4、第1特定手順に相当する)。
【0032】
制御部2は、道路変更の有無及び車線変更の有無を判定する(S5)。制御部2は、車両位置が変化したが前回特定した道路番号及び車線番号の何れも変化していないと判定すると、道路変更及び車線変更の何れも無と判定し(S5:NO)、車線変更判定処理を終了し、次の車線変更判定処理の開始イベントの成立を待機する。
【0033】
一方、制御部2は、車両位置が変化したことに伴って前回特定した道路番号又は車線番号のうち何れかが変化したと判定すると、道路変更又は車線変更の何れかが有と判定し(S5:YES)、その走行車線の道路セグメント番号を特定する。制御部2は、走行車線の道路セグメント番号を特定すると、その特定した道路セグメント番号に基づいて走行車線に対して並走する他車線を特定する(S6)。
【0034】
制御部2は、車線データ記憶部3から読み込んだ車線データの中から走行車線の継続距離を走行車線継続距離として取得すると共に、その特定した他車線の継続距離を他車線継続距離として取得し(S7)、その取得した走行車線継続距離と他車線継続距離とを比較する(S8)。この場合、制御部2は、上記したように走行道路の片側車線数が「2」であれば他車線が1本であるが、走行道路の片側車線数が「3以上」であれば他車線が2本以上であるので、走行車線継続距離と2以上の他車線継続距離とをそれぞれ比較する。
【0035】
制御部2は、全ての他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長くなく、走行車線継続距離よりも長い他車線継続距離が存在しないと判定すると(S8:NO)、車線変更判定処理を終了し、次の車線変更判定処理の開始イベントの成立を待機する。即ち、制御部2は、走行車線継続距離が全ての他車線継続距離よりも長く、走行車線から他車線へ車線変更するよりも走行車線を維持した方が、これ以降に車線変更せずに最も長く走行し続けられる状況では、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行わせない。
【0036】
一方、制御部2は、何れかの他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長く、走行車線継続距離よりも長い他車線継続距離が存在すると判定すると(S8:YES)、その走行車線継続距離よりも長い他車線継続距離の中で最長の他車線継続距離を比較対象として特定する(S9)。制御部2は、比較対象を特定すると、その比較対象として特定した最長の他車線継続距離と走行車線継続距離との差分距離を算出し、その算出した差分距離と所定距離とを比較し、走行車線から他車線への車線変更の適否を判定する(S10、第1判定手順に相当する)。
【0037】
制御部2は、差分距離が所定距離よりも長いと判定し、車線変更の適を判定すると(S10:YES)、通知信号を報知システム6に出力し、車線変更操作を運転者に対して促す報知を報知システム6に行わせる(S11、出力手順に相当する)。制御部2は、
図15に示すように、例えばメータ表示器21において、車速を示す車速メータ22と、エンジンの回数数を示すタコメータ23との間に、車線変更操作を運転者に対して促すアイコン24を表示させる。即ち、制御部2は、走行車線を維持するよりも走行車線から他車線へ車線変更した方が、車線変更後の車線で車線維持機能を最も長く継続して走行し続けられる状況では、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行わせる。
【0038】
尚、
図15では、例えば「右車線の方が長く走り続けられます」というメッセージを含むアイコン24を例示しているが、車線変更操作を運転者に対して促す主旨を満たすメッセージであれば、どのようなメッセージでも良い。又、制御部2は、アイコン24を所定時間だけ表示させても良いし、運転者が車線変更操作を開始するまで表示させ続けても良い。又、制御部2は、走行車線継続距離が比較的長く、即ち、車線変更操作する機会が比較的多く、車線変更操作する機会に十分な余裕がある状況では、アイコン24を青色で表示させ、一方、走行車線継続距離が比較的短く、即ち、車線変更操作する機会が比較的少なく、車線変更操作する機会に十分な余裕がない状況では、アイコン24を赤色で表示させる等しても良い。即ち、制御部2は、車線変更操作する機会の余裕度を運転者に対して知らせても良い。更に、制御部2は、車線変更操作を運転者に対して促す主旨を満たすメッセージに加え、走行車線継続距離、他車線継続距離、差分距離の具体的な数値を表示させ、車線変更操作を行うべきか否かの判断となり得る情報を運転者に提供しても良い。
【0039】
一方、制御部2は、差分距離が所定距離よりも長くないと判定し、車線変更の否を判定すると(S10:NO)、車線変更判定処理を終了し、次の車線変更判定処理の開始イベントの成立を待機する。即ち、制御部2は、他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長いが、走行車線から他車線へ車線変更した場合と車線変更しなかった場合とで車線維持機能を継続して走行し続けられる距離に大差がない状況では、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行わせない。
【0040】
以下、具体的な例として、自車進行方向において車線数が減少する場合、走行車線の行先が変化する場合、車線数が増加する場合について順次説明する。
(1)自車進行方向において車線数が減少する場合
図5に示した自車進行方向において車線数が減少する道路形状では、道路セグメント番号「101」の「合流前加速」の車線の区間で自車が車線番号「1」から「2」へ車線変更すると、車線維持制御装置1は、道路セグメント番号「103」の「通常車線」の区間に進入したことを契機とし、走行車線である車線番号「1」の車線の継続距離「600m」と、走行車線に対して並走する他車線である車線番号「2」の車線の継続距離「5600m」とを比較する。この場合、
図16に示すように、道路セグメント番号「103」の車線の開始地点を基準とすると、走行車線である車線番号「1」では「この先600mしか走行し続けられない」という意味であり、走行車線に対して並走する他車線である車線番号「2」では「この先5600mを走行し続けられる」という意味である。即ち、車線を維持して走行し続けられる走行可能距離は車線番号「2」の車線の方が長いので、車線維持制御装置1は、走行車線から他車線への車線変更の適を判定し、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行う。cc
【0041】
図17に示すように、車線数の減少により走行車線が消失して終了する場合、走行車線で走行し続けていると、車線維持制御を継続することができずに終了する可能性がある。又、車線数が減少する箇所、即ち、走行車線が消失して終了する直前では他車線が渋滞している可能性があり、他車線が渋滞していると、走行車線から他車線への車線変更が妨げられる可能性がある。これに対し、上記した本実施形態の制御を行うことにより、自車が道路セグメント番号「103」の「通常車線」の区間に進入した直後に、
図18に示すように、車線変更操作を運転者に対して促し、運転者が車線変更操作を行うことで、車線変更後の車線において車線維持制御を長く継続させることができる。尚、制御部2は、
図15で説明した車線変更操作を運転者に対して促す報知を行う際に、その理由を付しても良く、例えば「この先、車線数が減少します。右車線に車線変更してください」等のメッセージを表示させたり、ガイダンスを音声出力させたりしても良い。
【0042】
(2)自車進行方向において走行車線の行先が変化する場合
図8に示した自車進行方向において走行車線の行先が変化する道路形状では、道路セグメント番号「201」の「合流前加速」の車線の区間で自車が車線番号「1」から「2」へ車線変更すると、車線維持制御装置1は、道路セグメント番号「203」の「通常車線」の区間に進入したことを契機とし、走行車線である車線番号「1」の車線の継続距離「700m」と、走行車線に対して並走する他車線である車線番号「2」の車線の継続距離「5700m」とを比較する。この場合、
図19に示すように、道路セグメント番号「203」の車線の開始地点を基準とすると、走行車線である車線番号「1」では「この先700mしか走行し続けられない」という意味であり、走行車線に対して並走する他車線である車線番号「2」では「この先5700mを走行し続けられる」という意味である。即ち、車線を維持して走行し続けられる走行可能距離は車線番号「2」の車線の方が長いので、車線維持制御装置1は、走行車線から他車線への車線変更の適を判定し、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行う。
【0043】
図20に示すように、走行車線が例えば高速道路の出口専用車線や他の道路への乗り換え車線に接続している場合、走行車線の行先の変化により別の道路に乗線してしまう可能性がある。このような状況に陥らないために運転者は常に道路標識や路面標示等から当該車線の接続先を理解する必要があるが、これでは運転中に道路標識や路面標示等に注意しなければならず、その労力が運転者にとって負担となる。これに対し、上記した本実施形態の制御を行うことにより、自車が道路セグメント番号「203」の「通常車線」の区間に進入した直後に、
図21に示すように、車線変更操作を運転者に対して促し、運転者が車線変更の操作を行うことで、車線変更後の車線において車線維持制御を長く継続させることができる。しかも、運転中に道路標識や路面標示等に注意しなければならない労力を低減させることができ、運転者の負担を低減させることができる。この場合も、制御部2は、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行う際に、その理由を付しても良く、例えば「この先、走行車線の行先が変化します。右車線に車線変更してください」等のメッセージを表示させたり、ガイダンスを音声出力させたりしても良い。
【0044】
(3)自車進行方向において車線数が増加する場合
図11に示した自車進行方向において車線数が増加する道路形状では、道路セグメント番号「301」の「合流前加速」の車線の区間で自車が車線番号「1」から「2」へ車線変更すると、車線維持制御装置1は、道路セグメント番号「303」の「通常車線」の区間に進入したことを契機とし、走行車線である車線番号「1」の車線の継続距離「700m」と、走行車線に対して並走する他車線である車線番号「2」の車線の継続距離「5700m」とを比較する。この場合、
図22に示すように、道路セグメント番号「303」の車線の開始地点を基準とすると、走行車線である車線番号「1」では「この先700mしか走行し続けられない」という意味であり、走行車線に対して並走する他車線である車線番号「2」では「この先5700mを走行し続けられる」という意味である。即ち、車線を維持して走行し続けられる走行可能距離は車線番号「2」の車線の方が長いので、車線維持制御装置1は、走行車線から他車線への車線変更の適を判定し、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行う。
【0045】
図23に示すように、車線数の増加により走行車線の車線幅員が徐々に広がり、広がった箇所の中央に新たな車線境界線が開始して1車線から2車線に分岐する場合、走行車線で走行し続けていると、広くなった車線中央を走行するように操舵制御する、又は車線幅員が広がったことで制御不能と判定し、車線維持制御を継続することができずに終了する可能性がある。これに対し、上記した本実施形態の制御を行うことにより、自車が道路セグメント番号「303」の「通常車線」の区間に進入した直後に、
図24に示すように、車線変更操作を運転者に対して促し、運転者が車線変更の操作を行うことで、車線変更後の車線において車線維持制御を長く継続させることができる。この場合も、制御部2は、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行う際に、その理由を付しても良く、例えば「この先、車線数が増加します。右車線に車線変更してください」等のメッセージを表示させたり、ガイダンスを音声出力させたりしても良い。
【0046】
以上は、自動車が手動運転時である場合について説明したが、自動車が自動運転時である場合には、車線変更操作を運転者に対して促す報知を報知システム6が行う代わりに、車線変更の適を示す通知信号を走行制御システム7に出力する。走行制御システム7は、通知信号を入力すると、スムーズな制御、又は継続して同一車線を走行するための経路設定を算出して自動走行制御を行う。尚、経路設定は、パスプラン、走行予定軌跡と言う場合がある。又、以上は、全ての車線を走行し続けることが可能であることを前提として説明したが、国や地域によって交通規則が異なり、一部の車線を走行し続けることが違反になる可能性がある。以下、交通規則により全ての車線を走行し続けることが可能でない場合について説明する。
【0047】
例えば日本では、高速道路の最も右側の車線が追い越し車線であり、追い越し車線以外の車線が空いている状況で追い越し車線を走行し続けることは違反になる。ドイツでは、車線が複数ある場合には、右端車線を走行するように定められており、右端車線以外の車線は全て追い越し車線であり、例えば3車線の場合に中央車線を走行していると違反になる可能性がある。参考として、道路交通に関するジュネーヴ条約及びその後継にあたるウィーン条約には、一般規則としてドイツ型の車線を選択して走行すべき旨が記載されている。
【0048】
米国では、州により異なる。例えばカリフォルニア州では、左側車線は追い越し車線として走行し続けることができる。例えばメイン州、マサチューセッツ州、ミズーリ州、モンタナ州、ニュージャージー州、ワシントン州では、ドイツと同様に、右側車線が空いている場合には右側車線を走行しなければならない。テキサス州では、「Left Lane For Passing Only」という標識が掲示されている道路では左側車線が追い越し車線であり、日本と同様に、追い越し車線を走行し続けることは違反になるが、上記した標識が掲示されていない道路では左側車線を走行し続けることができる。
【0049】
したがって、本実施形態を実世界で運用する場合には、
図2から
図4に説明した車線データの中で継続距離の数値を交通規則に準拠するように付与する必要がある。例えば日本では、
図25及び
図26に示す道路形状の場合に、
図27に示すように、各道路セグメントの右端車線の継続距離に常に「0」を付与することで、追い越し車線への車線変更操作を運転者に対して促すことはない。即ち、車線維持制御装置1は、道路セグメント番号「403」の「通常車線」の区間に進入したことを契機とし、走行車線である車線番号「1」の車線の継続距離「1000m」と、走行車線に対して並走する他車線である車線番号「2」の車線の継続距離「700m」とを比較する。この場合、
図16、
図19、
図22で説明した状況とは異なり、車線を維持して走行し続けられる走行可能距離は車線番号「1」の車線の方が長いので、車線維持制御装置1は、走行車線から他車線への車線変更の否を判定し、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行わない。
【0050】
又、例えばドイツ型では各道路セグメントの右端車線の継続距離だけをセグメント距離にしたがって設定し、右端車線以外の車線の継続距離に常に「0」を付与することで、違反を生じさせる車線変更操作を運転者に対して促すことはない。このように一部の車線の継続距離に常に「0」を付与する運用では、本実施形態により得られる作用効果を期待し難いが、ドイツで運用する場合には国を跨いで走行する可性があり、米国で運用する場合には州を跨いで走行する可能性があり、即ち、道路の途中で交通規則が変更する可能性があるので、本実施形態を適用することができる。
【0051】
又、本実施形態は、高速道路に代表される交差点が存在しない道路で利用する場合だけでなく、交差点が存在する一般道路においても利用可能である。但し、一般道路では交差点等で無車線となる区間が発生するので、車線データを作成する上で高速道路とは異なる処置が必要である。即ち、予め対象とする一般道路を通過する交差点に関し、各交差点内接続情報を作成する。交差点内接続情報とは、交差点に進入する進入車線と交差点から退出する退出車線との接続を特定可能なネットワークデータである。車線維持制御装置1は、交差点に進入する場合に、交差点内接続情報に基づいて車線維持制御を継続させたまま交差点の反対側の車線に進行可能な車線であるか否かを判定する。車線維持制御を継続させたまま交差点の反対側の車線に進行可能な車線を交差点直進通過可能車線と称すると、
図28では、交差点Aに進入する車線番号「1」、「2」の進入車線、交差点Bに進入する車線番号「2」の進入車線が交差点直進通過可能車線に該当する。
【0052】
車線維持制御装置1は、交差点手前の進行方向指示標示による接続関係を判定するだけでなく、車線維持制御を継続可能であるか否かを判定することで、交差点直進通過可能車線であるか否かを判定する。
図29に示すように、交差点に進入する進入道路と交差点から退出する退出道路との成す角が比較的大きく、車線維持制御装置1が走行車線を判定することができなければ、交差点直進通過可能を判定することができない。
図29では、交差点Cに進入する車線番号「1」、「2」、「3」の進入車線の全てが交差点直進通過可能車線に該当しない。尚、交差点は、信号機による交通流の制御や一時停止標識等による車両相互のネゴシエーションによる通行があり、交差点直進通過可能車線であれば、必ずしも走行し続けることが可能であるわけではない。交差点での停止や確認の制御については、例えば信号機の点灯状態や点灯周期に関する情報を取得するシステム、走行車線に対して交差する車線における他車両の交通に関する情報を取得するシステム等と連携し、実現することができる。
【0053】
次に、車線データについて補足する。車線データは、上記したように、道路番号、道路セグメント番号、車線番号、車線毎の種別、接続先、継続距離を構成要素とする。この中で道路番号、道路セグメント番号、車線番号は、車線地図データの形状と、車線毎の種別と、接続先と、継続距離とを対応付けるために使用する構成要素であり、本実施形態の車線変更判定処理に直接関係する構成要素は、道路番号、車線毎の種別、接続先、継続距離の4個の属性である。これらの属性を車線地図データに属性として追加する手段は問わない。現在の走行中の車両位置に対応する走行道路及び走行車線と、その箇所に対応する道路番号、種別、接続先、継続距離が取得可能であれば良く、上記した属性を格納する場合のデータ量を削減しても良い。
【0054】
例えば所定範囲で区画化されたデータ領域毎に車線地図データが分割されている場合に、その車線地図データ内の各道路の各車線の終端点にのみ継続距離が付与されることでデータ量を削減することが可能である。即ち、提供されたデータ領域のみでは知り得ない継続距離のみが付与され、データ領域内でネットワークデータを探索することで車両位置に対応する継続距離を算出することも可能である。
図30では、道路セグメント番号「504」の車線番号「1」、「2」、「3」の各終端点に継続距離が「740m」、「5740m」、「5740m」が設定されている場合、車両位置が道路セグメント番号「501」の区間であれば、道路セグメント番号「504」の各終端点の継続距離に、道路セグメント番号「503」、「502」のセグメント距離を加算することで、車両位置に対応する継続距離を算出することができる。例えば道路セグメント番号「503」のセグメント距離が「800m」、道路セグメント番号「502」のセグメント距離が「300m」であれば、道路セグメント番号「501」の区間において、車線番号「1」の継続距離を「1100m」、車線番号「2」の継続距離を「1840m」、車線番号「3」の継続距離を「6840m」、車線番号「4」の継続距離を「6840m」と算出することができる。
【0055】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
車線維持制御装置1において、走行車線継続距離と他車線継続距離とを比較し、走行車線から他車線への車線変更の適否を判定し、車線変更の適否の判定結果を出力するようにした。車線変更の適を判定すると、車線変更が適する旨の判定結果を出力することで、走行車線を適切に判断することができ、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行わせたり車線変更の自動走行制御を行わせたりすることができる。そして、自車が車線変更することで、車線変更先の車線を走行車線として適切に維持することができる。これにより、自車進行方向の道路形状に応じて走行車線を適切に維持することができる。
【0056】
道路番号及び車線番号に対応付けられて定義されている継続距離を取得するようにした。車線データ記憶部3から道路番号及び車線番号を読み込むタイミングで、道路番号及び車線番号と共に継続距離を読み込むことができる。
【0057】
走行道路又は走行車線が変化したことを条件として、走行車線継続距離と他車線継続距離とを比較するようにした。走行道路又は走行車線が変化すると、その直後に走行車線継続距離と他車線継続距離とを比較することで、走行車線から他車線への車線変更の適否を直ちに判定することができ、車線変更の適を判定すると、車線変更操作を運転者に対して促す報知を直ちに行わせたり車線変更の自動走行制御を直ちに行わせたりすることができる。
【0058】
他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長く、且つ他車線継続距離と走行車線継続距離との差分を示す差分距離が所定距離よりも長い場合に、走行車線から他車線への車線変更の適を判定するようにした。車線変更することで車線維持制御を長く続けられる距離が十分に延びる状況にあれば、車線変更操作を運転者に対して促す報知や車線変更の自動走行制御を行わせることができる。
【0059】
他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長いが、他車線継続距離と走行車線継続距離との差分を示す差分距離が所定距離よりも長くない場合に、走行車線から他車線への車線変更の否を判定するようにした。車線変更しても車線維持制御を長く続けられる距離が十分に延びない状況にあれば、不要な報知や車線変更の自動走行制御を行わせないようにすることができる。
【0060】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0061】
手動運転時において、車線変更操作を運転者に対して促す報知を行う条件として、運転者が車線変更操作を安全安心に行える状況を加えても良い。例えば見通しが比較的良好な直進区間では報知を許容し、見通しが比較的良好でないカーブ区間では報知を禁止し、カーブ区間を通過して直進区間に進入してから報知を許容しても良い。又、例えば降雨区間や降雪区間では報知を禁止し、降雨区間や降雪区間を通過してから報知を許容しても良い。
【0062】
継続距離は、静的な情報である固定値であっても良いし、動的な情報である可変値であっても良い。外部のサーバが車線データを管理する構成の場合、交通事故や工事等により特定の車線が一時的に封鎖されている場合に、その封鎖されている車線の継続距離を、上記した追い越し車線と同様に「0」に設定することで、封鎖されている車線への車線変更操作を運転者に対して促さないようにすることができる。外部のサーバにおいて、交通状態に応じて継続距離を常に更新可能とし、最新の継続距離を、通信ネットワークを通じて車線維持制御装置1に配信することで、自車進行方向において道路形状が変化する場合だけでなく、交通事故や工事等により交通状態が一時的に変化する場合にも走行車線を適切に維持することができる。
【0063】
又、交通事故や工事等により封鎖されている車線の継続距離を「0」に設定することに限らず、封鎖区間の末尾までの距離に基づいて車線の継続距離を設定しても良いし、渋滞が発生している場合に渋滞区間の末尾までの距離に基づいて車線の継続距離を設定しても良い。
図31に示すように、走行車線の進行方向に渋滞が発生している場合に、運転者が他車線への車線変更の操作を行うことになるが、他車線の状況によっては渋滞区間の手前でしか車線変更の操作を行えない虞があり、余裕を持った車線変更の操作を行えない虞がある。
【0064】
これに対し、
図32に示すように渋滞が発生していない状況での継続距離と、
図33に示すように渋滞が発生している状況での継続距離とを変更することで、
図34に示すように、自車が道路セグメント番号「603」の「通常車線」の区間に進入した直後に、車線変更操作を運転者に対して促すことができる。即ち、渋滞区間の十分手前で車線変更操作を運転者に対して促すことで、余裕を持った車線変更の操作を行うことができる。
図31から
図34では、走行車線の進行方向に渋滞が発生している場合について例示したが、走行車線の進行方向が交通事故や工事等により封鎖されている場合も同様である。
【0065】
走行車線から他車線への車線変更の適否を判定するための所定距離は、固定値であっても良いし、走行道路の道路種別や走行車線の車線種別に応じた可変値であっても良い。走行道路の道路種別は、例えば自動車専用道路や一般道路等により区分される。走行車線の車線種別は、例えば追い越し車線や登坂車線、それ以外の車線等により区分される。
【0066】
この場合、制御部2は、
図35及び
図36に示すように、自車が走行中の走行道路及び走行車線を特定すると(S4)、その特定した走行道路の道路種別を特定し(S21)、その特定した走行車線の車線種別を特定し(S22)、その特定した道路種別及び車線種別に応じた所定距離を設定し(S23)、ステップS5以降の処理を行う。走行道路の道路種別及び走行斜線の車線種別に応じて所定距離を変更することで、走行車線から他車線への車線変更の適否を、走行道路の道路種別及び走行車線の車線種別に応じて適切に判定することができる。尚、制御部2は、走行道路の道路種別と走行車線の車線種別との両方を特定することに限らず、走行道路の道路種別だけを特定し、走行道路の道路種別に応じて所定距離を変更しても良いし、走行車線の車線種別だけを特定し、走行車線の車線種別に応じて所定距離を変更しても良い。
【0067】
走行道路の片側車線数が「3以上」であり、他車線が2本以上である場合には、前述したように走行車線継続距離と2以上の他車線継続距離とをそれぞれ比較するので、例えば左側通行であれば、走行車線から隣接する右側の他車線へ車線変更し、更に車線変更後の車線から隣接する右側の他車線へ車線変更する、即ち、所定期間内に複数回の車線変更を行う場合があり得る。その場合、制御部2は、所定期間内に行う車線変更の回数を報知し、カウントダウンして車線変更の残り回数を報知しても良い。
【0068】
最長の他車線継続距離である最長継続距離を比較対象とすることで、最長継続距離と走行車線継続距離との差分距離が所定距離よりも長いと判定すると、継続距離が最長の他車線を車線変更先として特定する場合を例示したが、差分距離が所定距離よりも長く、且つ最長継続距離との距離差が基準距離以下の別の他車線があれば、継続距離が最長の他車線及び最長継続距離との距離差が基準距離以下の別の他車線のうち走行車線に最も近い他車線を車線変更先として特定しても良い。
【0069】
この場合、制御部2は、
図37及び
図38に示すように、走行車線継続距離よりも長い他車線継続距離が存在すると判定すると(S8:YES)、他車線継続距離と走行車線継続距離との差分距離を算出し、その算出した差分距離と所定距離とを比較する(S9)。制御部2は、差分距離が所定距離よりも長いと判定すると(S9:YES)、差分距離が所定距離よりも長い他車線が複数であるか否かを判定する(S31)。
【0070】
制御部2は、差分距離が所定距離よりも長い他車線が複数であると判定すると(S31:YES)、最長継続距離との距離差が基準距離以下の他車線が存在するか否かを判定する(S32)。制御部2は、差分距離が所定距離よりも長い他車線が複数でないと判定すると(S31:NO)、又は最長継続距離との距離差が基準距離以下の他車線が存在しないと判定すると(S32:NO)、継続距離が最長の他車線を車線変更先として特定し(S33)、通知信号を報知システム6に出力し、車線変更操作を運転者に対して促す報知を報知システム6に行わせる(S11)。
【0071】
制御部2は、最長継続距離との距離差が基準距離以下の他車線が存在すると判定すると(S32:YES)、継続距離が最長の他車線及び最長継続距離との距離差が基準距離以下の他車線のうち走行車線に最も近い他車線を車線変更先として特定し(S34)、通知信号を報知システム6に出力し、車線変更操作を運転者に対して促す報知を報知システム6に行わせる(S11)。
【0072】
又、車線を移動するときの車線移動コストを考慮し、継続距離から車線移動コスト距離を差し引いて補正継続距離を算出し、その算出した補正継続距離が最長の他車線を車線変更先として特定しても良い。車線移動コスト距離は、走行車線から隣接車線への車線変更に要する単位車線移動コスト距離に、車線更の回数を乗じた距離である。
【0073】
この場合、制御部2は、
図39及び
図40に示すように、走行車線継続距離よりも長い他車線継続距離が存在すると判定すると(S8:YES)、他車線継続距離と走行車線継続距離との差分距離を算出し、その算出した差分距離と所定距離とを比較する(S9)。制御部2は、差分距離が所定距離よりも長いと判定すると(S9:YES)、差分距離が所定距離よりも長い他車線が複数であるか否かを判定する(S41)。
【0074】
制御部2は、差分距離が所定距離よりも長い他車線が複数でないと判定すると(S41:NO)、継続距離が最長の他車線を車線変更先として特定し(S42)、通知信号を報知システム6に出力し、車線変更操作を運転者に対して促す報知を報知システム6に行わせる(S11)。
【0075】
制御部2は、差分距離が所定距離よりも長い車線が複数であると判定すると(S41:YES)、車線移動コスト距離を算出し(S43)、継続距離から車線移動コスト距離を差し引いて補正継続距離を算出する(S44)。制御部2は、その算出した補正継続距離が最長の他車線を車線変更先として特定し(S45)、通知信号を報知システム6に出力し、車線変更操作を運転者に対して促す報知を報知システム6に行わせる(S11)。
【0076】
継続距離が最長の他車線を車線変更先として特定する場合には、例えば4車線の道路における各車線の継続距離が
図41に示す状況であれば、制御部2は、継続距離が最長である第4車線を車線変更先として特定する。継続距離が最長の他車線及び最長継続距離との距離差が基準距離以下の別の他車線のうち走行車線に最も近い他車線を車線変更先として特定する場合には、例えば4車線の道路における各車線の最長継続距離との距離差が
図42に示す状況であれば、制御部2は、走行車線に最も近い第2車線を車線変更先として特定する。補正継続距離が最長の他車線を車線変更先として特定する場合には、例えば4車線の道路における各車線の補正継続距離が
図43に示す状況であれば、制御部2は、補正継続距離が最長である第4車線を車線変更先として特定する。
【0077】
他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長く、且つ差分距離が所定距離よりも長い場合に、走行車線から他車線への車線変更の適を判定するようにしたが、差分距離を所定距離と比較することを省き、単に他車線継続距離が走行車線継続距離よりも長い場合に、走行車線から他車線への車線変更の適を判定するようにしても良い。
【0078】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。