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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】エレベーターシステム
(51)【国際特許分類】
   B66B 5/00 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B66B5/00 G
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023552433
(86)(22)【出願日】2021-10-05
(86)【国際出願番号】 JP2021036801
(87)【国際公開番号】W WO2023058109
(87)【国際公開日】2023-04-13
【審査請求日】2023-10-06
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 武
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-182610(JP,A)
【文献】特開2008-297109(JP,A)
【文献】国際公開第2020/075251(WO,A1)
【文献】特開2013-124189(JP,A)
【文献】特開2002-157664(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーター装置と、
前記エレベーター装置と通信可能なサーバと、
オペレーターによって操作される端末装置と、
を備え、
前記エレベーター装置は、
昇降路を撮影するためのカメラを有するかごと、
前記かごの移動を制御する制御装置と、
前記制御装置及び前記カメラに接続された監視装置と、
を備え、
前記端末装置は、
前記昇降路への落とし物の連絡を受けた際に前記エレベーター装置に対して第1要求を行うための画像要求手段と、
前記第1要求が行われる際に前記エレベーター装置への保守員の派遣要請を行うための派遣要請手段と、
画像提供手段と、
を備え、
前記監視装置は、
前記かごを第1撮影位置に停止させるための第1専用運転を前記第1要求に応じて前記制御装置に行わせる運転指令手段と、
前記第1要求に応じて、前記カメラによる撮影を開始させるカメラ制御手段と、
前記第1専用運転において前記かごが前記第1撮影位置に停止している時に前記カメラによって撮影された第1画像を前記サーバに送信する通信手段と、
を備え、
前記サーバは、前記第1画像を記憶する記憶手段を備え、
前記画像提供手段は、特定の第1条件が成立すると、前記派遣要請を受けて派遣された保守員の携帯端末に、前記記憶手段に記憶された前記第1画像を表示させるエレベーターシステム。
【請求項2】
前記かごは表示器を備え、
前記画像提供手段は、前記表示器に、前記記憶手段に記憶された前記第1画像を表示させる請求項1に記載のエレベーターシステム。
【請求項3】
前記画像要求手段は、前記サーバを介して前記エレベーター装置に対して前記第1要求を行う請求項1又は請求項2に記載のエレベーターシステム。
【請求項4】
前記画像要求手段は、前記第1要求を行った後に特定の第2条件が成立すると、前記エレベーター装置に対して第2要求を行い、
前記運転指令手段は、前記かごを前記第1撮影位置より下方の第2撮影位置に停止させるための第2専用運転を前記第2要求に応じて前記制御装置に行わせ、
前記通信手段は、前記第2専用運転において前記かごが前記第2撮影位置に停止している時に前記カメラによって撮影された第2画像を前記サーバに送信し、
前記記憶手段に、前記第2画像が記憶され、
前記画像提供手段は、特定の第3条件が成立すると、前記携帯端末に、前記記憶手段に記憶された前記第2画像を表示させる請求項1から請求項3の何れか一項に記載のエレベーターシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、エレベーター装置が記載されている。特許文献1に記載されたエレベーター装置は、カメラを備える。かごの中に落とし物があると、当該落とし物がカメラによって撮影される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本特開2013-124189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エレベーターの利用者は、昇降路に鍵等を落としてしまうことがある。昇降路への落とし物があると、従来では、連絡を受けた保守員が現場に駆け付け、落とし物を探していた。保守員は、昇降路に入るまで落とし物がどこにあるのか分からず、落とし物を見つけ出すために時間が掛かるといった問題があった。
【0005】
本開示は、上述のような課題を解決するためになされた。本開示の目的は、保守員が昇降路への落とし物を見つけ出すまでの時間を短縮することができるエレベーターシステムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターシステムは、エレベーター装置と、エレベーター装置と通信可能なサーバと、オペレーターによって操作される端末装置と、を備える。エレベーター装置は、昇降路を撮影するためのカメラを有するかごと、かごの移動を制御する制御装置と、制御装置及びカメラに接続された監視装置と、を備える。端末装置は、昇降路への落とし物の連絡を受けた際にエレベーター装置に対して第1要求を行うための画像要求手段と、第1要求が行われる際にエレベーター装置への保守員の派遣要請を行うための派遣要請手段と、画像提供手段と、を備える。監視装置は、かごを第1撮影位置に停止させるための第1専用運転を第1要求に応じて制御装置に行わせる運転指令手段と、第1要求に応じて、カメラによる撮影を開始させるカメラ制御手段と、第1専用運転においてかごが第1撮影位置に停止している時にカメラによって撮影された第1画像をサーバに送信する通信手段と、を備える。サーバは、第1画像を記憶する記憶手段を備える。画像提供手段は、特定の第1条件が成立すると、派遣要請を受けて派遣された保守員の携帯端末に、記憶手段に記憶された第1画像を表示させる。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係るエレベーターシステムによれば、保守員が昇降路への落とし物を見つけ出すまでの時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1におけるエレベーターシステムの例を示す図である。
図2】エレベーターシステムの機能を説明するための図である。
図3】端末装置の動作例を示すフローチャートである。
図4】端末装置の動作例を示すフローチャートである。
図5】サーバの動作例を示すフローチャートである。
図6】監視装置の動作例を示すフローチャートである。
図7】制御装置の動作例を示すフローチャートである。
図8】端末装置のハードウェア資源の例を示す図である。
図9】端末装置のハードウェア資源の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して詳細な説明を行う。重複する説明は、適宜簡略化或いは省略する。各図において、同一の符号は同一の部分又は相当する部分を示す。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1におけるエレベーターシステムの例を示す図である。エレベーターシステムは、エレベーター装置1、サーバ2、携帯端末3、及び端末装置4を備える。
【0011】
エレベーター装置1は、ネットワーク5を介してサーバ2に接続される。一例として、ネットワーク5に専用回線が含まれる。サーバ2は、エレベーター装置1から遠隔の情報センターに備えられる。サーバ2は、多数のエレベーター装置と通信可能である。エレベーター装置1は、サーバ2が通信可能なエレベーター装置の一例である。
【0012】
保守員は、保守拠点30に所属する専門の技術者である。保守拠点30には、複数の保守員が所属している。保守拠点30は、複数のエレベーター装置を管轄する。以下の説明では、エレベーター装置1を担当する保守員に対して符号「A」を付して、他の保守員と区別する。
【0013】
保守員Aは、携帯端末3を所持する。保守員Aは、携帯端末3を用いてエレベーター装置1の点検等を行う。携帯端末3は、有線或いは無線によってエレベーター装置1と通信可能である。一例として、携帯端末3は、スマートフォンである。携帯端末3は、タブレット型の端末でも良い。携帯端末3は、エレベーター装置1の点検等のために設計された専用の端末でも良い。
【0014】
端末装置4は、コールセンター40に備えられる。端末装置4は、オペレーターBによって操作される。端末装置4は、インターネット回線等を介してサーバ2及び携帯端末3に接続可能である。
【0015】
エレベーター装置1は、かご11を備える。かご11は、昇降路12を上下に移動する。かご11は、ロープ(図示せず)によって昇降路12に吊り下げられる。ロープは、巻上機(図示せず)に巻き掛けられる。かご11は、巻上機によって駆動される。制御装置13は、巻上機を制御する。即ち、かご11の移動は、制御装置13によって制御される。制御装置13は、かご11に備えられた機器の制御も行う。
【0016】
監視装置14は、制御装置13に接続される。監視装置14は、エレベーター装置1が外部機器と通信するための機能を有する。外部機器には、サーバ2が含まれる。即ち、監視装置14は、ネットワーク5を介してサーバ2と通信する。
【0017】
かご11にかご室11aが形成される。かご室11aは、人が乗るための空間である。かご11は、表示器16、ランプ17、カメラ18、及びランプ19を備える。表示器16は、かご室11aに設けられる。表示器16は、かご室11aにいる人に対して情報を提供する手段の一例である。ランプ17は、かご室11aを照らす。表示器16及びランプ17は、制御装置13によって制御される。
【0018】
カメラ18は、昇降路12を撮影することができるようにかご11に備えられる。カメラ18は、有線或いは無線によって監視装置14に接続される。図1は、かご室11aを形成する部材の下向きの面にカメラ18が下向きに設けられる例を示す。図1に示す例では、かご11より下方の画像がカメラ18によって撮影される。ランプ19は、カメラ18が撮影する方向に向けて光を放つことができるようにかご11に備えられる。カメラ18を既設のエレベーター装置1に後付けする場合、かご11に電球用のソケットが備えられていれば、カメラ18への電力供給及びランプ19への電力供給は、このソケットから行われても良い。
【0019】
図2は、エレベーターシステムの機能を説明するための図である。サーバ2は、記憶部21、及び通信部22を備える。携帯端末3は、表示器31、及び入力装置32を備える。入力装置32は、保守員Aが情報を入力するための装置である。表示器31及び入力装置32は、タッチパネル式の一体型の装置でも良い。端末装置4は、表示器41、入力装置42、表示制御部43、画像要求部44、派遣要請部45、及び画像提供部46を備える。入力装置42は、オペレーターBが情報を入力するための装置である。表示器41及び入力装置42は、タッチパネル式の一体型の装置でも良い。
【0020】
制御装置13は、運転制御部51、及び表示制御部52を備える。運転制御部51は、自動運転、第1専用運転、及び第2専用運転を行う。自動運転は、登録された呼びにかご11を順次応答させるための運転である。第1専用運転及び第2専用運転については後述する。表示制御部52は、表示器16を制御する。監視装置14は、記憶部61、通信部62、運転指令部63、カメラ制御部64、及び画像取得部65を備える。カメラ制御部64は、カメラ18を制御する。
【0021】
乗場6にいる利用者は、かご11がその乗場6に停止すると、かご11に乗る。かご11に乗っている利用者は、かご11が乗場6に停止すると、かご11から降りる。かご11が乗場6に停止した際に、かご11に備えられた敷居と乗場6に設けられた敷居との間には隙間が形成される。このため、利用者がかご11に乗る時或いはかご11から降りる時に物を落とすと、その物が当該隙間から昇降路12に落ちてしまうことがある。
【0022】
以下に、図3から図7も参照し、利用者Dが鍵、書類、或いはお金といった物を昇降路12に落としてしまった時に行われる動作について詳しく説明する。
【0023】
昇降路12に物を落とした利用者Dは、コールセンター40に連絡する。例えば、乗場6に設けられた案内板にコールセンター40の電話番号が記載されている。利用者Dは、その記載を見てコールセンター40に電話を掛ける。コールセンター40では、オペレーターBが電話を受ける。利用者Dは、昇降路12に物を落としてしまったこととエレベーター装置1の識別番号とをオペレーターBに伝える。当該識別番号は、エレベーター装置1を特定するための番号である。識別番号は、コールセンター40の電話番号とともに案内板に記載されている。
【0024】
図3及び図4は、端末装置4の動作例を示すフローチャートである。図3及び図4は、一連の動作を示す。端末装置4では、識別番号が入力されたか否かが判定される(S101)。利用者Dから連絡を受けたオペレーターBが入力装置42を用いてエレベーター装置1の識別番号を入力すると、S101でYesと判定される。S101でYesと判定されると、表示制御部43は、エレベーター装置1に関する情報を表示器41に表示する(S102)。
【0025】
次に、端末装置4では、特定の開始条件が成立したか否かが判定される(S103)。当該開始条件は、昇降路12への落とし物を探すための動作を開始する条件である。開始条件は、予め設定される。例えば、S102において、表示器41に開始釦が表示される。オペレーターBが入力装置42を用いて当該開始釦を押すと、開始条件が成立する。オペレーターBは、利用者Dから昇降路12への落とし物の連絡を受けると、この開始釦を押す。これにより、S103でYesと判定される。
【0026】
画像要求部44は、昇降路12への落とし物の連絡を受けた際にエレベーター装置1に対して画像要求R1を行う機能を有する。画像要求R1は、カメラ18に昇降路12の画像を撮影させるための要求である。S103でYesと判定されると、画像要求部44は、サーバ2に画像要求R1を送信する(S104)。
【0027】
派遣要請部45は、画像要求R1が行われる際にエレベーター装置1への保守員の派遣要請を行う機能を有する。S103でYesと判定されると、派遣要請部45は、保守拠点30に派遣要請を送信する(S105)。派遣要請には、昇降路12への落とし物が発生したことを示す情報とエレベーター装置1の識別番号を示す情報とが含まれる。保守拠点30では、当該派遣要請を受信すると、保守員Aが携帯端末3を所持してエレベーター装置1の現場へと向かう。
【0028】
図5は、サーバ2の動作例を示すフローチャートである。サーバ2では、コールセンター40の端末装置4から画像要求R1を受信したか否かが判定される(S201)。S104で端末装置4から送信された画像要求R1を通信部22が受信すると、S201でYesと判定される。S201でYesと判定されると、通信部22は、受信した画像要求R1を監視装置14に転送する(S202)。即ち、本実施の形態に示す例では、画像要求部44は、サーバ2を介してエレベーター装置1に画像要求R1を行う。
【0029】
図6は、監視装置14の動作例を示すフローチャートである。監視装置14では、サーバ2から画像要求R1を受信したか否かが判定される(S301)。S202でサーバ2から送信された画像要求R1を通信部62が受信すると、S301でYesと判定される。
【0030】
運転指令部63は、監視装置14が画像要求R1を受信すると、受信した画像要求R1に応じて制御装置13に第1専用運転を行わせる。第1専用運転は、かご11を特定の第1撮影位置に停止させるための運転である。第1撮影位置は予め設定される。一例として、第1撮影位置は最下階の乗場6である。例えば、運転指令部63は、S301でYesと判定されると、運転指令C1を制御装置13に送信する(S302)。
【0031】
また、監視装置14が画像要求R1を受信すると(S301のYes)、カメラ制御部64は、受信した画像要求R1に応じてカメラ18による撮影を開始させる(S303)。カメラ18による撮影が開始される際にランプ19が点灯する。
【0032】
図7は、制御装置13の動作例を示すフローチャートである。制御装置13では、監視装置14から運転指令C1を受信したか否かが判定される(S401)。S302で監視装置14から送信された運転指令C1を制御装置13が受信すると、S401でYesと判定される。
【0033】
S401でYesと判定されると、運転制御部51は、第1専用運転を行う(S402)。例えば、運転制御部51は、S401でYesと判定されると、かご11を第1撮影位置に向けて移動させる。運転制御部51は、かご11が第1撮影位置に到着すると、かご11を第1撮影位置に停止させる。
【0034】
図6に示すように、監視装置14では、S302で運転指令C1が送信されると、かご11が第1撮影位置に停止したか否かが判定される(S304)。S402に示す第1専用運転においてかご11が第1撮影位置に停止すると、S304でYesと判定される。なお、S303に示す処理は、S304の後に行われても良い。即ち、カメラ18による撮影は、S304でYesと判定されることによって開始されても良い。
【0035】
S304でYesと判定されると、画像取得部65は、カメラ18によって撮影された画像を取得する(S305)。即ち、S305では、第1専用運転においてかご11が第1撮影位置に停止している時にカメラ18によって撮影された昇降路12の画像が、画像取得部65によって取得される。以下においては、S305で画像取得部65が取得した画像を第1画像ともいう。第1画像には、昇降路12のピットを上方から撮影した画像が含まれる。
【0036】
通信部62は、画像取得部65によって取得された第1画像をサーバ2に対して送信する(S306)。
【0037】
図5に示すように、サーバ2では、S202で画像要求R1が送信されると、監視装置14から第1画像を受信したか否かが判定される(S203)。S306で監視装置14から送信された第1画像を通信部22が受信すると、S203でYesと判定される。S203で監視装置14から受信した第1画像は、記憶部21に記憶される(S204)。また、S203でYesと判定されると、通信部22は、画像要求R1の応答として、第1画像が取得されたことを示す第1取得情報を端末装置4に送信する(S205)。
【0038】
図3に示すように、端末装置4では、S104で画像要求R1が送信されると、その応答としてサーバ2から第1取得情報を受信したか否かが判定される(S106)。S205でサーバ2から送信された第1取得情報を端末装置4が受信すると、S106でYesと判定される。S106でYesと判定されると、表示制御部43は、サーバ2の記憶部21に保存された第1画像を表示器41に表示する(S107)。
【0039】
表示器41に第1画像が表示されると、端末装置4では、特定の第1条件が成立したか否かが判定される(S108)。S108でNoと判定されると、端末装置4では、特定の第2条件が成立したか否かが判定される(S109)。第1条件は、オペレーターBが第1画像から落とし物を見つけた場合に行われる動作を開始するための条件である。第2条件は、オペレーターBが第1画像からは落とし物を見つけることができなかった場合に行われる動作を開始するための条件である。
【0040】
オペレーターBは、表示器41に表示された第1画像、即ち昇降路12のピットが写された画像を見て、落とし物を探す。一例として、オペレーターBは、第1画像から落とし物を見つけることができれば、表示器41に表示された確認釦を押す。これにより、第1条件が成立する(S108のYes)。また、オペレーターBは、第1画像からは落とし物を見つけることができなければ、表示器41に表示された画像取得釦を押す。これにより、第2条件が成立する(S109のYes)。なお、オペレーターBが入力装置42を用いて行う他の操作によって第1条件或いは第2条件が成立しても良い。
【0041】
S108でYesと判定されると、画像提供部46は、サーバ2の記憶部21に記憶された第1画像をかご11に提供する(S110)。これにより、サーバ2の記憶部21に記憶された第1画像が表示器16に表示される。即ち、確認釦が押されることにより、第1画像がサーバ2から監視装置14を介して制御装置13に提供される。表示制御部52は、サーバ2から受信した第1画像を表示器16に表示する。
【0042】
オペレーターBは、確認釦を押すと、表示器16を見てもらうために利用者Dに連絡する。そして、オペレーターBは、自分が見つけた落とし物が利用者Dが落とした物と一致するかを利用者Dに尋ねる。オペレーターBが見つけた落とし物が利用者Dが落とした物と一致すれば、オペレーターBは、表示器41に表示された通知釦を押す。
【0043】
当該通知釦が押されると、画像提供部46は、サーバ2の記憶部21に記憶された第1画像を保守員Aに提供する(S111)。これにより、派遣要請を受けて派遣された保守員Aの携帯端末3の表示器31に第1画像が表示される。この時、第1画像は、サーバ2から携帯端末3に直接送信されても良い。第1画像は、端末装置4を介して携帯端末3に送信されても良い。
【0044】
一方、S109でYesと判定されると、画像要求部44は、サーバ2に画像要求R2を送信する(S112)。画像要求R2は、画像要求R1と同様に、カメラ18に昇降路12の画像を撮影させるための要求である。画像要求R2は、昇降路12のピットの拡大画像を要求する。
【0045】
図5に示すように、サーバ2では、S205で第1取得情報が送信されると、端末装置4から画像要求R2を受信したか否かが判定される(S206)。S112で端末装置4から送信された画像要求R2を通信部22が受信すると、S206でYesと判定される。S206でYesと判定されると、通信部22は、受信した画像要求R2を監視装置14に転送する(S207)。即ち、本実施の形態に示す例では、画像要求部44は、サーバ2を介してエレベーター装置1に画像要求R2を行う。
【0046】
図6に示すように、監視装置14では、S306で第1画像が送信されると、サーバ2から画像要求R2を受信したか否かが判定される(S307)。S207でサーバ2から送信された画像要求R2を通信部62が受信すると、S307でYesと判定される。
【0047】
運転指令部63は、監視装置14が画像要求R2を受信すると、受信した画像要求R2に応じて制御装置13に第2専用運転を行わせる。第2専用運転は、かご11を第1撮影位置より下方の特定の第2撮影位置に停止させるための運転である。第2撮影位置は予め設定される。一例として、第2撮影位置は、かご11が移動できる最も下方の位置である。例えば、昇降路12に、かご11の下方への移動を規制するためのスイッチが設けられる。第2撮影位置は、当該スイッチが動作する位置である。S307でYesと判定されると、運転指令部63は、運転指令C2を制御装置13に送信する(S308)。
【0048】
図7に示すように、制御装置13では、第1専用運転が行われた後、監視装置14から運転指令C2を受信したか否かが判定される(S403)。S308で監視装置14から送信された運転指令C2を制御装置13が受信すると、S403でYesと判定される。
【0049】
S403でYesと判定されると、運転制御部51は、第2専用運転を行う(S404)。例えば、運転制御部51は、S403でYesと判定されると、かご11を最下階の乗場6から下方に移動させる。運転制御部51は、かご11が第2撮影位置に到着すると、かご11を第2撮影位置に停止させる。なお、運転制御部51は、第2専用運転において、ランプ17を消灯させても良い。運転制御部51は、かご11を第2撮影位置に一定時間だけ停止させると、かご11を上方に移動させて、最下階の乗場6に移動させる。
【0050】
図6に示すように、監視装置14では、S308で運転指令C2が送信されると、かご11が第2撮影位置に停止したか否かが判定される(S309)。S404に示す第2専用運転においてかご11が第2撮影位置に停止すると、S309でYesと判定される。なお、第2専用運転が行われている間も、ランプ19は点灯し、カメラ18による撮影が行われる。
【0051】
S309でYesと判定されると、画像取得部65は、カメラ18によって撮影された画像を取得する(S310)。即ち、S310では、第2専用運転においてかご11が第2撮影位置に停止している時にカメラ18によって撮影された昇降路12の画像が、画像取得部65によって取得される。以下においては、S310で画像取得部65が取得した画像を第2画像ともいう。第2画像には、昇降路12のピットを上方から撮影した画像が含まれる。第2画像には、ピットの拡大画像が含まれる。
【0052】
通信部62は、画像取得部65によって取得された第2画像をサーバ2に対して送信する(S311)。
【0053】
図5に示すように、サーバ2では、S207で画像要求R2が送信されると、監視装置14から第2画像を受信したか否かが判定される(S208)。S311で監視装置14から送信された第2画像を通信部22が受信すると、S208でYesと判定される。S208で監視装置14から受信した第2画像は、記憶部21に記憶される(S209)。また、S208でYesと判定されると、通信部22は、画像要求R2の応答として、第2画像が取得されたことを示す第2取得情報を端末装置4に送信する(S210)。
【0054】
図4に示すように、端末装置4では、S112で画像要求R2が送信されると、その応答としてサーバ2から第2取得情報を受信したか否かが判定される(S113)。S210でサーバ2から送信された第2取得情報を端末装置4が受信すると、S113でYesと判定される。S113でYesと判定されると、表示制御部43は、サーバ2の記憶部21に保存された第2画像を表示器41に表示する(S114)。
【0055】
表示器41に第2画像が表示されると、端末装置4では、特定の第3条件が成立したか否かが判定される(S115)。第3条件は、オペレーターBが第2画像から落とし物を見つけた場合に行われる動作を開始するための条件である。
【0056】
オペレーターBは、表示器41に表示された第2画像、即ち昇降路12のピットの拡大画像を見て、落とし物を探す。一例として、オペレーターBは、第2画像から落とし物を見つけることができれば、表示器41に表示された確認釦を押す。これにより、第3条件が成立する(S115のYes)。なお、オペレーターBが入力装置42を用いて行う他の操作によって第2条件が成立しても良い。
【0057】
S115でYesと判定された後のS116に示す処理は、図3のS110に示す処理と同様である。また、S117に示す処理は、図3のS111に示す処理と同様である。S115でYesと判定されると、画像提供部46は、サーバ2の記憶部21に記憶された第2画像をかご11に提供する(S116)。これにより、サーバ2の記憶部21に記憶された第2画像が表示器16に表示される。
【0058】
その後、オペレーターBは、自分が見つけた落とし物が利用者Dが落とした物と一致するかを利用者Dに尋ねる。オペレーターBが見つけた落とし物が利用者Dが落とした物と一致すれば、オペレーターBは、表示器41に表示された通知釦を押す。
【0059】
当該通知釦が押されると、画像提供部46は、サーバ2の記憶部21に記憶された第2画像を保守員Aに提供する(S117)。これにより、派遣要請を受けて派遣された保守員Aの携帯端末3の表示器31に第2画像が表示される。
【0060】
本実施の形態に示す例では、派遣要請を受けてエレベーター装置1の現場に向かっている保守員Aの携帯端末3に、落とし物が写った第1画像或いは第2画像が送られる。保守員Aは、携帯端末3に送られてきた第1画像或いは第2画像から、現場に到着する前に、落とし物の外観と落とし物の位置とを把握することができる。このため、本実施の形態に示す例であれば、保守員Aが昇降路12への落とし物を見つけ出すまでの時間を短縮することができる。また、保守員Aが落とし物を拾うためには、エレベーター装置1のサービスを停止しなければならない。本実施の形態に示す例であれば、サービスを停止する時間を短くすることもできる。
【0061】
本実施の形態では、S111に示す処理が行われる前にS110に示す処理が行われる例について説明した。他の例として、S110に示す処理は実施されなくても良い。かかる場合、S108でYesと判定されると、S111に示す処理が行われる。同様に、S116に示す処理は実施されてなくても良い。かかる場合、S115でYesと判定されると、S117に示す処理が行われる。
【0062】
本実施の形態では、第1専用運転及び第2専用運転が行われている間は、自動運転が実施されない例について説明した。他の例として、第1専用運転及び第2専用運転よりも自動運転を優先して実施しても良い。かかる場合、例えば、監視装置14では、S301でYesと判定されても、呼びがなく且つかご11が無人である状態が一定時間継続しなければ、S302に示す処理は開始されない。また、第1専用運転が行われている時に呼びが発生すると、第1専用運転が中断されて自動運転が開始される。同様に、第2専用運転が行われている時に呼びが発生すると、第2専用運転が中断されて自動運転が開始される。他の方法によって自動運転を優先しても良い。
【0063】
図8は、端末装置4のハードウェア資源の例を示す図である。端末装置4は、ハードウェア資源として、プロセッサ81とメモリ82とを含む処理回路80を備える。処理回路80に複数のプロセッサ81が含まれても良い。処理回路80に複数のメモリ82が含まれても良い。
【0064】
本実施の形態において、符号43~46に示す各部は、端末装置4が有する機能を示す。符号43~46に示す各部の機能は、プログラムとして記述されたソフトウェア、ファームウェア、又はソフトウェアとファームウェアとの組み合わせによって実現できる。当該プログラムは、メモリ82に記憶される。端末装置4は、メモリ82に記憶されたプログラムをプロセッサ81によって実行することにより、符号43~46に示す各部の機能を実現する。メモリ82として、半導体メモリ等が採用できる。
【0065】
図9は、端末装置4のハードウェア資源の他の例を示す図である。図9に示す例では、端末装置4は、プロセッサ81、メモリ82、及び専用ハードウェア83を含む処理回路80を備える。図9は、端末装置4が有する機能の一部を専用ハードウェア83によって実現する例を示す。端末装置4が有する機能の全部を専用ハードウェア83によって実現しても良い。専用ハードウェア83として、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、FPGA、又はこれらの組み合わせを採用できる。
【0066】
監視装置14のハードウェア資源は、図8或いは図9に示す例と同様である。監視装置14は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。監視装置14は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、符号62~65に示す各部の機能を実現する。記憶部61の機能は、メモリによって実現される。監視装置14は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。監視装置14が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【0067】
制御装置13のハードウェア資源は、図8或いは図9に示す例と同様である。制御装置13は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。制御装置13は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、上述した各機能を実現する。制御装置13は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。制御装置13が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【0068】
サーバ2のハードウェア資源は、図8或いは図9に示す例と同様である。サーバ2は、ハードウェア資源として、プロセッサとメモリとを含む処理回路を備える。サーバ2は、メモリに記憶されたプログラムをプロセッサによって実行することにより、通信部22の機能を実現する。記憶部21の機能は、メモリによって実現される。サーバ2は、ハードウェア資源として、プロセッサ、メモリ、及び専用ハードウェアを含む処理回路を備えても良い。サーバ2が有する機能の一部或いは全部を専用ハードウェアによって実現しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本開示に係るエレベーターシステムは、エレベーター装置のかごがカメラを備えたシステムに適用できる。
【符号の説明】
【0070】
1 エレベーター装置、 2 サーバ、 3 携帯端末、 4 端末装置、 5 ネットワーク、 6 乗場、 11 かご、 11a かご室、 12 昇降路、 13 制御装置、 14 監視装置、 16 表示器、 17 ランプ、 18 カメラ、 19 ランプ、 21 記憶部、 22 通信部、 30 保守拠点、 31 表示器、 32 入力装置、 40 コールセンター、 41 表示器、 42 入力装置、 43 表示制御部、 44 画像要求部、 45 派遣要請部、 46 画像提供部、 51 運転制御部、 52 表示制御部、 61 記憶部、 62 通信部、 63 運転指令部、 64 カメラ制御部、 65 画像取得部、 80 処理回路、 81 プロセッサ、 82 メモリ、 83 専用ハードウェア
図1
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