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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】車載用電源システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20231205BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20231205BHJP
   H02J 7/16 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H02J7/00 302C
B60R16/03 A
B60R16/03 S
H02J7/16 H
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019137773
(22)【出願日】2019-07-26
(65)【公開番号】P2021023018
(43)【公開日】2021-02-18
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000143639
【氏名又は名称】株式会社今仙電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100109597
【弁理士】
【氏名又は名称】西尾 章
(72)【発明者】
【氏名】高橋 正好
(72)【発明者】
【氏名】槇尾 大介
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03360719(EP,A1)
【文献】特開2008-043116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L1/00-3/12
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60R16/00-17/02
H02J7/00-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用の電源システムであって、
高電圧出力端子と低電圧出力端子とを有する一次側蓄電装置と、
二次側蓄電装置であって、補助電源として低電圧の電力を供給する蓄電装置である二次側蓄電装置と、
前記一次側蓄電装置及び前記二次側蓄電装置に電力を供給する発電装置と、
前記発電装置と前記一次側蓄電装置との間に配置された第一のスイッチと、
前記発電装置と前記二次側蓄電装置との間に配置された第二のスイッチと、
前記一次側蓄電装置の前記低電圧出力端子と前記二次側蓄電装置の出力端子との間に配置された第三のスイッチと、を備えており、
前記発電装置が可変電圧出力可能であることを特徴とする車載用の電源システム。
【請求項2】
前記二次側蓄電装置が、リチウムイオンバッテリ、電気二重層コンデンサ、または電解コンデンサのいずれかで構成されていることを特徴とする請求項1記載の車載用の電源システム。
【請求項3】
低電圧の電力を要求する負荷に対して、前記一次側蓄電装置の低電圧出力端子と前記二次側蓄電装置とから並列に電力を供給可能であることを特徴とする請求項1記載の車載用の電源システム。
【請求項4】
前記二次側蓄電装置の出力端に第四のスイッチが配置されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載車載用の電源システム。
【請求項5】
前記第四のスイッチが開であるとき、低電圧の電力を要求する負荷に電力を供給可能であることを特徴とする請求項4記載の車載用の電源システム。
【請求項6】
前記一次側蓄電装置に不具合が生じたとき、前記第一のスイッチおよび前記第三のスイッチが開となり、前記第二のスイッチが閉となることによって、前記発電装置からの電力
を、高電圧を要求する負荷および低電圧を要求する負荷の両方に供給可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の車載用の電源システム。
【請求項7】
前記一次側蓄電装置に不具合が生じたとき、前記第一のスイッチおよび前記第三のスイッチが開となり、前記第二のスイッチが閉となることによって、充電された前記二次側蓄電装置から電力を供給可能であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の車載用の電源システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用電源システムに関する。特に、発電装置と蓄電装置とを備えており、二以上の異なる電圧で電力を供給する車載用電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載可能で、48Vまたは24Vの高電圧の電力を供給することのできる蓄電装置として、複数のセル(単電池)を直列に接続したバッテリが知られている。このような高電圧の蓄電装置は、主に、車両を駆動するモータなどに給電を行っている。通常、高電圧の蓄電装置を搭載した車両では、電気系統の装備品等への給電のために、低電圧電力を供給する蓄電装置が、別途搭載されている。
【0003】
図5は、従来知られている電源システム101の構成を模式的に示した図である。電源システム101は、高電圧の電力を供給する蓄電装置102と負荷106に低電圧電力を供給する蓄電装置103とを備えている。それぞれの蓄電装置102,103は発電機104から給電される。蓄電装置102と蓄電装置103の間には、DCDCコンバータが配置されており、蓄電装置103側には、降圧された電力が供給される。
【0004】
車両に搭載される電源システムには、高い信頼性と耐久性が要求される。そこで、高電圧の蓄電装置と低電圧の蓄電装置の一方に不具合が生じた場合であっても、正常な蓄電装置から電力を供給して、車両の動作を継続させることのできる構成が、求められている。例えば、特許文献1には、高電圧の蓄電体としてリチウムイオンバッテリを備え、低電圧の蓄電体として鉛バッテリを備えた電源装置が開示されている。特許文献1は、リチウムイオンバッテリと鉛バッテリの導通と遮断を制御するスイッチ制御部によって、センサ異常が発生した場合でも車両用電源を適切に制御する技術が開示されている。
【0005】
特許文献1に開示されているように、低電圧電力を供給する蓄電装置として、鉛蓄電池が広く普及している。鉛バッテリは、安価な材料で製造することができ、大電流の放電に耐えられる安定性の高い蓄電装置である。一方で、電極に鉛を使用するため、電源システム全体が重くなる傾向がある。また、電解液が硫酸を使用するため、万一の破損の際の危険性が指摘されている。このため、鉛バッテリを用いずに、信頼性の高い電源システムを提供する技術が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-198519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鉛バッテリを用いることなく、車両における電源を多重化し、高電圧から低電圧まで異なる電圧の電力を信頼性高く供給することのできる車載用電源システムが求められている。
【0008】
本発明は上記現状に鑑みてなされたものであって、鉛バッテリを用いることなく、信頼性と耐久性の高い車載用の電源システムを提供することを、解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1にかかる発明は、車載用の電源システムに関する。本発明の電源システムは、高電圧出力端子と低電圧出力端子とを有する一次側蓄電装置と、補助電源として低電圧の電力を供給する蓄電装置である二次側蓄電装置と、一次側蓄電装置及び二次側蓄電装置に電力を供給する発電装置とを備えている。さらに本発明の電源システムは、発電装置と一次側蓄電装置との間に配置された第一のスイッチと、発電装置と二次側蓄電装置との間に配置された第二のスイッチと、一次側蓄電装置の低電圧出力端子と二次側蓄電装置の出力端子との間に配置された第三のスイッチと、を備えている。本発明の車載用の電源システムは、発電装置が可変電圧出力可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明の車載用の電源システムは、二次側蓄電装置が、リチウムイオンバッテリ、電気二重層コンデンサ、または電解コンデンサのいずれかで構成されていることが好ましい。また、低電圧の電力を要求する負荷に対して、一次側蓄電装置の低電圧出力端子と二次側蓄電装置とから並列で電力を供給可能であることが好ましい。

【0011】
本発明の車載用の電源システムは、二次側蓄電装置の出力端に第四のスイッチが配置されていることが好ましい。また、第四のスイッチが開であるとき、低電圧の電力を要求する負荷に電力を供給可能に構成されていることが好ましい。
本発明の車載用の電源システムは、一次側蓄電装置に不具合が生じたとき、第一のスイッチおよび第三のスイッチが開となり、第二のスイッチが閉となることによって、発電装置からの電力を、高電圧を要求する負荷および低電圧を要求する負荷の両方に供給することが好ましい。また、一次側蓄電装置に不具合が生じたとき、前記第一のスイッチおよび前記第三のスイッチが開となり、前記第二のスイッチが閉となることによって、充電された前記二次側蓄電装置から電力を供給することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の電源システムは、一次側蓄電装置が、高電圧出力端子に加えて低電圧出力端子を有しており、通常稼働時は、一次側蓄電装置が、高電圧の電力に加えて低電圧の電力を給電する。二次側蓄電装置の給電する機会を減らすことができるため、二次側蓄電装置の交換頻度を下げることができ、また二次側蓄電装置を小型小容量とすることができる。
【0013】
本発明の電源システムは、一次側蓄電装置に不具合が発生した場合に、第一のスイッチと第二のスイッチをオフにして一次側蓄電装置を切り離し、発電装置および二次側蓄電装置によって、給電を継続し、車両を安定して走行させることができる。
【0014】
本発明の電源システムは、一次側蓄電装置の冗長化が不要であり、かつ二次側蓄電装置を小型小容量にできることにより、電源システム全体の信頼性を維持しながら、車両重量を軽量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明の好適な実施形態に従った電源システムの構成を模式的に示す図である。
図2図2は、本発明の好適な実施形態に従った電源システムの構成を模式的に示す図である。
図3図3は、一次側蓄電装置が正常に稼働しているときの電力の供給状態を模式的に示す図である。
図4図4は、一次側蓄電装置に不具合が発生しているときの電力の供給状態を模式的に示す図である。
図5図5は、従来技術の電源システムの構成を模式的に示す図である。
図6図6は、比較例の電源システムの構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の電源システムについて、最初に用語を定義し、次に、最も好適な実施形態を説明する。
【0017】
本発明において、一次側蓄電装置とは、車両が備えている一以上の負荷に対して主電源として電力を供給する蓄電装置である。本発明の一次側蓄電装置は、異なる電圧の電力を様々な負荷に対して供給できるように、高電圧出力端子と低電圧出力端子とを備えている。
【0018】
本発明において二次側蓄電装置とは、通常稼働時に、補助電源として低電圧の電力を供給する蓄電装置である。一方で、二次側蓄電装置は、一次側蓄電装置に不具合が発生した場合に、発電装置と共働して様々な負荷に異なる電圧で電力を供給することのできる蓄電装置である。
【0019】
本発明における発電装置とは、発電機を含み、負荷および蓄電装置に電力を供給する装置である。ここでいう発電機とは、回生エネルギーで発電するモータ、車両のエンジンを動力源として発電を行うオルタネータ、その他車両への給電装置である。
【0020】
以下、図1および図2を参照しつつ、本発明に係る車載用の電源システム1、61の好適な実施形態を説明する。本実施形態における電源システム1は、一次側蓄電装置2と、二次側蓄電装置3と、発電装置4とを備えている。電源システム1と電源システム61の相違点は、二次側蓄電装置3の構成の違いである。
【0021】
好適な実施形態において、一次側蓄電装置2は、複数のセルからなるバッテリを複数備えており、これらのバッテリは直列接続されている。図1および図2に示した一次側蓄電装置2では、一実施形態として、4個のバッテリ2a,2b,2c,2dが直列接続された状態を示している。しかしながら、バッテリに含まれるセルの定格電圧、セルの数、及び一次側蓄電装置2内で直列接続するバッテリの個数は、供給する電圧に応じて適宜変更が可能である。一次側蓄電装置2に適用可能なセルの種類は、リチウムイオンセル、ニッケル水素セルなどである。
【0022】
一次側蓄電装置2は、高電圧出力端子11と低電圧出力端子12とを有している。高電圧出力端子11は、バッテリ2a,2b,2c,2d全体から電力を供給することで、出力可能な最大電圧の電力を供給することができる。低電圧出力端子12は、バッテリの一部から電力を供給することで、出力電圧を低く制御している。図1および図2では、バッテリ2aから電力を供給している。
【0023】
図1に示すように、電源システム1では、二次側蓄電装置3を、複数のセルを含む単一のバッテリ31で構成することができる。バッテリ31に好適に適用可能なセルは、一次側蓄電装置2と同様に、リチウムイオンセル、ニッケル水素セルなどである。
【0024】
図2に示すように、電源システム61では、二次側蓄電装置3をコンデンサ32で構成することができる。コンデンサ32としては、出力密度が高く性能劣化の少ない電気二重層コンデンサや、容量の大きな電解コンデンサを好適に適用することができる。
【0025】
好適な実施形態において、発電装置4は、インバータ41を備えた発電機42を備えている。発電機42が出力する電力はインバータ41によって任意の電圧に変換される。発電装置4は、一次側蓄電装置2と二次側蓄電装置3に給電することができ、さらに、図示されない車内の負荷に給電することができる。
【0026】
また本発明の発電装置4は、可変電圧出力可能な発電機で構成することができる。この場合の発電機4は、接続されている負荷の要求に応じて、出力電圧を調整する。
【0027】
本実施形態の電源システム1は、一次側蓄電装置2と発電装置4との間に第一のスイッチ21が配置されている。また、二次側蓄電装置3と発電装置4との間に第二のスイッチ22が配置されている。さらに、一次側蓄電装置2の低電圧出力端子12と二次側蓄電装置3の出力端子13との間に配置された第三のスイッチ23とを備えている。
【0028】
必須ではないが、電源システム1は、二次側蓄電装置3の出力端に、第四のスイッチ24を備えることが好ましい。
【0029】
電源システム1は、図示されない制御手段によって第一のスイッチ21から第四のスイッチ24までの開閉を切り替えることにより、それぞれの負荷に対する電力の供給源を適宜変更する。
【0030】
本実施形態では、一次側蓄電装置2の全てのバッテリ2a,2b,2c,2dと並列に接続されてバイパス回路を形成しているバランサー5を備えることが望ましい。図1および図2に示したように、一次側蓄電装置2の複数のバッテリの中から、たとえばバッテリ2aのみで二次側蓄電装置3や外部負荷に給電した場合、バッテリ間の電圧や残容量のバランスを維持しにくくなる。そこでバランサー5は、一次側蓄電装置2内の各バッテリの電位と残容量を均等に維持するように充放電時のバランス制御を行い、バッテリの過放電や過充電を未然に防いでいる。
【実施例
【0031】
以下、図1,3,4を参照しつつ、一次側蓄電装置2と二次側蓄電装置3にそれぞれリチウムイオンバッテリを適用した電源システム1についての構成と動作を詳細に説明する。さらに、電源の多重化を行わない比較例について、図6を参照しつつ説明する。
【0032】
(実施例)
図1に示すように、本実施例の一次側蓄電装置2は、4個のバッテリ2a,2b,2c,2dを備えており、それぞれのバッテリの中に、リチウムイオンセルが4個ずつ含まれている。本実施例において、それぞれの蓄電装置には、出力電圧3Vであるリチウムイオンセルが適用されている。その結果、一次側蓄電装置2が高電圧出力端子11から供給する最大出力電圧は48Vとなる。また、二次側蓄電装置3の出力端子24から供給する電力の電圧は12Vとなる。
【0033】
図3に、一次側蓄電装置2が正常に稼働しているときの、電源システム1の構成と動作を模式的に示す。発電装置4からは、図中で矢印Aから矢印Bで示される方向に電力が供給されており、一次側蓄電装置2と発電装置4との間の第一のスイッチ21が閉となっており、発電装置4は一次側蓄電装置2を充電する。また、車両の運行状況に応じて、一次側蓄電装置2と発電装置4のいずれか一方が、高電圧の電力を要求する負荷に対して給電する。
【0034】
一次側蓄電装置2が正常に稼働しているとき、二次側蓄電装置3と発電装置4との間の第二のスイッチ22は開となっており、発電装置4から二次側蓄電装置3との間は、直接接続されていない。一方で、一次側蓄電装置2の低電圧出力端子12と二次側蓄電装置3の出力端子13との間に配置された第三のスイッチ23とは閉となっており、また二次側蓄電装置の出力端に設けられた第四のスイッチも閉となっている。これにより、図中の矢印Cおよび矢印Dで示したとおり、低電圧の電力を要求している負荷に対して、一次側蓄電装置2からも、二次側蓄電装置3からも給電することができる。また、一次側蓄電装置2を経由して二次側蓄電装置3を充電しておくことが可能である。
【0035】
一次側蓄電装置2が正常に稼働しているとき、二次側蓄電装置の出力端に設けられた第四のスイッチが開であっても、第四のスイッチが閉である場合と同様に、低電圧の電力を要求している負荷に対して、電力を供給することができる。
【0036】
図4に、一次側蓄電装置2に不具合が生じているときの、電源システム1の構成と動作を模式的に示す。第一のスイッチ21と第三のスイッチ23が開となっており、電源システム1から一次側蓄電装置2が電気的に切り離されている。同時に、第二のスイッチ22は閉となっている。発電装置4から、図中の矢印Eで示される方向で電力が供給される。このとき発電装置4から供給される電力は、インバータ41によって電圧が調整されており、高電圧を要求する負荷と低電圧を要求する負荷のいずれに対しても、給電が可能となっている。また、通常の稼働時に充電されていた二次側蓄電装置3から、給電を行うことが可能である。
【0037】
本発明の電源システム1は、通常では一次側蓄電装置2が、高電圧の電力を要求する負荷と低電圧の電力を要求する負荷の両方に、電力を供給することが可能であり、二次側蓄電装置3は、予備の電源として機能する。万一、一次側蓄電装置2に不具合が生じた場合には、二次側蓄電装置3と発電装置4から負荷に対する給電が可能である。このように、本発明の電源システムは、車両における電源を多重化する事が可能であり、高電圧の電力と低電圧の電力とをそれぞれ信頼性高く供給することができる。
【0038】
(比較例)
比較例として、電源を多重化していない電源システム111の構成を図6に示す。図6の電源システム111は、発電装置104と蓄電装置107とを備えている。蓄電装置107は、直列接続されたバッテリ107a,107b,107c,107dを備えており、バッテリ107aとバッテリ107bとの間に出力端子が設けられている。蓄電装置107は、バッテリ107aのみから負荷106に電力を供給することで、電圧の低い電力を供給することができる。また、全てのバッテリ107a,107b,107c,107dから電力を供給する場合には、より高い電圧の電力を供給することができる。電源システム111は、蓄電装置107の全てのバッテリ107a,107b,107c,107dと並列に接続されてバイパス回路を形成しているバランサー108を備えており、バランサー108は、それぞれのバッテリの充放電制御を行って、蓄電装置の過放電や過充電を防止している。
【0039】
比較例の電源システム111は、簡易な構成によって、高電圧の電力と低電圧の電力を適宜供給することができる。しかしながら、単一の蓄電装置によって電力を供給しているため、万一蓄電装置に不具合が生じたときに、電力の供給が滞るおそれがある。実施例の電源システム1,61は、より信頼性高く、電圧の異なる電力を供給するとの比較例にない特徴を有している。
【0040】
本実施例で説明した電源システムの構成は、適宜変更が可能である。例えば、要求される出力電圧と電流に応じて、複数のバッテリから電力を供給することが可能である。またスイッチの位置やセルの種類も、適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明に係る電源システムは、車両に最も好適に適用される。これに加えて、異なる電圧の電力を供給する任意の産業用機器にも搭載することが可能である。
【符号の説明】
【0042】
1,61,101,111 電源システム
2 一次側蓄電装置
3 二次側蓄電装置
4 発電装置
5 バランサー
2a,2b,2c,2d,31 バッテリ
11 高電圧出力端子
12 低電圧出力端子
13 出力端子
21 第一のスイッチ
22 第二のスイッチ
23 第三のスイッチ
24 第四のスイッチ
31 発電装置
32 コンデンサ
41 インバータ
42 発電機



図1
図2
図3
図4
図5
図6