(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】バッグ・イン・バッグ包装システム
(51)【国際特許分類】
B65D 77/04 20060101AFI20231205BHJP
B65D 65/46 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65D77/04 F
B65D65/46
(21)【出願番号】P 2020544606
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 EP2019056441
(87)【国際公開番号】W WO2019175322
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2021-11-12
(32)【優先日】2018-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】アッカー, ジハネ
(72)【発明者】
【氏名】ブルバレッロ, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】コノリー, アラン
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0152093(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0298895(US,A1)
【文献】特開2002-362577(JP,A)
【文献】特開平08-244836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 77/04
B65D 65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部バッグと、その中に封止された複数の内部バッグと、を有する包装システムであって、前記内部バッグが、生分解性及び/又はコンポスト可能な包装材料で製造されており、且つ前記内部バッグのそれぞれが、その中に封止された多数の押出物を有し、前記押出物が、少なくとも1種類の酸化性化合物を有し、
空の前記外部バッグの重量と、空の前記内部バッグの総重量との比が、2:1未満であり、
前記外部バッグが、23℃及び相対湿
度0%にて24時間、1cm
3/cm
2未満の酸素透過度(OTR)を有する包装材料で製造されている、又は38℃及び相対湿度90%にて24時間、1g/m
2未満の水蒸気透過度(WVTR)を有する包装材料で製造されている、包装システム。
【請求項2】
前記外部バッグが、23℃及び相対湿
度0%にて24時間、1cm
3/cm
2未満の酸素透過度(OTR)を有する包装材料で製造されており、且つ38℃及び相対湿度90%にて24時間、1g/m
2未満の水蒸気透過度(WVTR)を有する包装材料で製造されている、請求項1に記載の包装システム。
【請求項3】
前記外部バッグが、少なくとも10個の内部バッグを含む、請求項1又は2に記載の包装システム。
【請求項4】
空の前記外部バッグの重量と、空の前記内部バッグの総重量との比が、1:1~1:50である、請求項1から3のいずれか一項に記載の包装システム。
【請求項5】
前記外部バッグ内の空気が、酸素ガスを10体積%未満含み、且つ/又は前記内部バッグのそれぞれが、酸素ガスを10体積%未満含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の包装システム。
【請求項6】
前記外部バッグ内の空気が、酸素ガスを5体積%未満含み、且つ前記内部バッグのそれぞれが、酸素ガスを5体積%未満含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の包装システム。
【請求項7】
再利用可能、リサイクル可能及び/又は再封止可能である、請求項1から6のいずれか一項に記載の包装システム。
【請求項8】
前記押出物が、ビタミンA若しくはビタミンAのエステルなど少なくとも1種類の酸化性化合物を含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の包装システム。
【請求項9】
前記押出物2.7gが、10cm
3未満の体積を有する、請求項8に記載の包装システム。
【請求項10】
前記押出物2.7gが、5cm
3未満の体積を有する、請求項8に記載の包装システム。
【請求項11】
それぞれの内部バッグが、
‐少なくとも3種類のビタミンと、
‐少なくとも3種類のミネラル、
の1日当たりの推奨摂取量(RDI)を少なくとも80%を含有し、
前記1日当たりの推奨摂取量(RDI)が、Food and Nutrition Board of the Institute of Medicine,National Academy of Sciencesによる食事ガイドラインに準拠した、幼児、小児又は成人に関するRDIであり、前記ガイドラインは2018年1月1日に有効となっている、請求項8から10のいずれか一項に記載の包装システム。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、1回限りの小袋及びスティックパックによって生じるごみに関する。本発明は、ビタミンAなどの酸化性製品の包装にも関する。
【0002】
[発明の背景]
ビタミンを含む組成物には、大量の包装が必要となる場合が多い。これは、ビタミンAを含む押出物(extrudate)に特に当てはまる。ビタミンAは酸素の影響を受けやすい。
【0003】
ビタミン及びミネラルを含む押出物は、微量養分欠乏の人々に与えられ得る。微量養分欠乏は、「隠れた飢餓(hidden hunger)」とも称される。
【0004】
一般に、かかる押出物は、205~1000μmの粒径を有する。したがって、それらはブリスター内に包装するには小さすぎる。ボトルも選択肢ではない。ボトルを開けた場合、その内容物は酸素に完全に曝露される。かかるボトルの使用時安定性は低い。
【0005】
現在、アルミニウム層を有するバッグが、酸化性製品に好ましい包装の解決策である。市販のビタミン粉末は、アルミニウム製ラミネートを含む1回限りの小袋で販売されている。アルミニウム層を有する1回限りの小袋は、良好な貯蔵安定性を有し、したがって十分に長い貯蔵寿命を有する。しかしながら、その小袋には著しい欠点もある。1回限りの小袋は、より大きなサイズの包装と比べて高価であり、最も重要なことには、世界の廃棄物の山を増やし続ける。1回限りの製品(たとえば1回限りのコーヒー容器)によって引き起こされる廃棄物問題は広く議論されている。
【0006】
より持続可能な、環境に優しい手法で隠れた飢餓と緊急に戦う必要がある。
【0007】
コンポスト化による廃棄物管理は、Richard J.Palczynski,Canadaによって設けられた、African Development Bank,Sustainable Development & Poverty Reduction Unit,Abidjanのために作成された「STUDY ON SOLID WASTE MANAGEMENT OPTIONS FOR AFRICA」(2002)において議論されている。
【0008】
米国特許出願公開第2010/0272868号明細書には、保管中に互いに悪影響を及ぼし得る薬物を分けるための、マルチチャンバの食品容器が開示されている。
【0009】
欧州特許第0442659B1号明細書には、指で外圧をかけるだけで、その内部バッグが破断される、包装が開示されている。
【0010】
欧州特許第0719715B1号明細書には、その内部容器が、透湿度44g/m2を有する二重包装が開示されている。
【0011】
[発明の概要]
本発明により解決される問題は、少なくとも1つの酸化性製品を含有する1回限りのバッグ(「小袋」とも呼ばれる)で生じるごみの影響を低減することである。解決すべきより具体的な問題は、酸化性ビタミンの1日分を含む押出物を包装した場合の廃棄物の低減である。
【0012】
酸化性ビタミンを含む押出物は、サブサハラアフリカ(sub-Saharan Africa)における隠れた飢餓と戦うために使用され得る。したがって、本発明の根底にある問題は、隠れた飢餓と戦う場合の、サブサハラアフリカにおける廃棄物を減らすこと、且つごみの影響を減らすことである。
【0013】
本発明は、2つの相乗的に相互作用するアプローチを開示する:
・製品の体積の低減:体積が小さいほど、必要な包装が少ない;市販の粉末はかなりの量の充填剤を含む場合が多い。
・生分解性又はコンポスト可能な包装材料の使用。
【0014】
しかしながら、これら2つのアプローチ(別々、又は組み合わせて)の実現は決して容易ではない。
【0015】
生分解性又はコンポスト可能な包装材料内に包装されたビタミンA製品は、貯蔵寿命が不十分である。これは特に、気候ゾーンIII、IVa又はIVbの貯蔵安定性に特に当てはまる(安定性の研究に関するICH安定性ゾーンの現在の定義を参照)。サブサハラの国々においてビタミンA含有製品への大きな需要があり:微量養分欠乏と戦うために、何百、何千もの1回限りのバッグがアフリカの学童達に毎日与えられているため、これは特に難題である。今まで、サブサハラアフリカにおいて十分な貯蔵寿命を有する、生分解性又はコンポスト可能な1回限りのバッグを製造することは不可能であった。
【0016】
製品の体積を減らすことも容易ではなく:補助剤(コロイド及び充填剤としての)自体を減らすことは、酸化性化合物の貯蔵安定性に悪影響を及ぼす場合が多い。
【0017】
本発明の根底にある問題は、特許請求の範囲において定義される製品によって解決される。前記製品は、その中に密閉された複数の内部バッグを有する外部バッグを含む、又はからなり、前記内部バッグは、生分解性及び/又はコンポスト可能な包装材料で製造されており、かつ前記内部バッグは、少なくとも1種類の酸化性化合物を封入する(「バッグ・イン・バッグ包装システム」)。好ましい実施形態において、内部バッグは、高度に濃縮された押出物、つまり体積が低減された押出物を含む。
【0018】
分解性及び/又はコンポスト可能な内部バッグが、水及び酸素に対する一定の透過性を有するとしても、本発明のバッグ・イン・バッグ包装システムは、優れた貯蔵安定性を提供する。内部バッグの大部分は1日以内に分配され、かつ消費されるため、透過性は許容可能である。
【0019】
通常の状況では、アフリカの村の学校の教師が外部バッグを開け、内部バッグを学校の子供たちに配る。次いで、子供達は家庭又は学校のいずれかで、内部バッグの内容物を同日に消費する。学校が子供達に無料の昼食を提供するため、通常は学校で消費される。
【0020】
学校で外部バッグが再利用されるか、又は外部バッグの適切な廃棄が引き受けられるのに対して、内部バッグの一部は未舗装の道路又は他のどこかに捨てられ得る。しかしながら、生分解性又はコンポスト可能な包装材料で内部バッグが製造されていることから、ごみの種類はもはや問題ではない。微生物によって、生分解性又はコンポスト可能なバッグは適度な時間内に消滅する。
【0021】
[本発明の詳細な説明]
本発明は、生分解性及び/又はコンポスト可能な包装材料で製造されたバッグに関する。
【0022】
本発明の文脈では、「バッグ」という用語は、フォイルバッグなどの可撓性容器を意味する。前記フォイルは可撓性のラミネートであり得る。本発明のバッグは、その上部に、封止される開口を有する。異なる種類の封止が使用され得る。一実施形態において、再利用可能なジップロックが使用される。しかしながら、好ましい実施形態において、そのバッグはヒートシール可能なバッグである。
【0023】
市販のいずれかの生分解性及び/又はコンポスト可能な包装材料が使用され得る。好ましい生分解性及び/又はコンポスト可能な包装材料は、修飾又は未修飾ポリ乳酸(PLA)を含む。特に好ましいのは、PLAでコーティングされた紙である。修飾ポリ乳酸を含む、デンプンをベースとする生分解性フィルムも好ましい。かかるフィルムは中国特許第107417982号明細書に開示されている。
【0024】
生分解は、生物化学的に誘導されるプロセスである。本発明の文脈において、包装材料の少なくとも80重量%、好ましくは少なくとも85重量%、最も好ましくは少なくとも90重量%(包装材料の総重量に対して)が、微生物の助けを借りて、水、二酸化炭素、及びバイオマスへと代謝される場合に、包装材料は「生分解性」である。
【0025】
本発明の文脈において、「コンポスト可能な」という用語は、European standard EN 13432「Requirements for packaging recoverable through composting and biodegradation」の条件を満たす包装材料に関する。
【0026】
残念なことに、現在入手可能な生分解性及びコンポスト可能な包装材料は、水及び/又は酸素に対する特定の透過性を有する。したがって、酸化性化合物の貯蔵寿命は、生分解性又はコンポスト可能な包装材料で包装する場合には不十分である。
【0027】
アルミニウム箔は水及び酸素に対して不透過性であるが、生分解性でも、コンポスト可能でもない。
【0028】
本発明の文脈において、「酸化性化合物」という用語は好ましくは、20℃及び相対湿度50%にて24時間空気にさらされた後には、消費者にもはや販売することができない(その色、味、感触及び/又は栄養値の酸化的変化のために)食用化合物を意味する。本発明の好ましい実施形態において、「酸化性化合物」という用語は、酸化性ビタミンなどの食用化合物を意味する。またさらに好ましい本発明の実施形態において、「酸化性化合物」という用語は、ビタミンA、又はビタミンAエステルなどのビタミンAの誘導体を意味する。本発明の最も好ましい実施形態において、「酸化性化合物」という用語は、ビタミンAパルミチン酸エステルを意味する。
【0029】
[包装システム]
生分解性及びコンポスト可能な包装材料の欠点は、その中に封止された複数の(つまり、少なくとも2つの)内部バッグを有する外部バッグを含む、又はからなる製品であって、前記内部バッグが生分解性及び/又はコンポスト可能な包装材料で製造されており、且つ前記内部バッグそれぞれが、その中に封止された少なくとも1種類の酸化性化合物を有する、製品を提供することによって克服することができる。
【0030】
したがって、本発明は、その外部バッグが少なくとも2つの内部バッグを含む、「バッグ・イン・バッグ包装システム」に関する。前記内部バッグは、外部バッグから取り外され、ナイフ又は他のいずれかの種類の器具を使用することなく、開いた外部バッグから1つ若しくは複数の内部バッグを取り出すことができる。外部バッグは複数の内部バッグを含む。外部バッグ内に封止される内部バッグが多いほど、包装の解決法の持続性は高くなる(実施例を参照)。したがって、好ましい実施形態において、本発明による外部バッグは、少なくとも10個、好ましくは少なくとも50個の内部バッグを含み、且つ/又は空の外部バッグの重量と、空の内部バッグの総重量との比は、2:1未満であり、好ましくは1:1~1:50である。
【0031】
本発明の文脈で使用される「封止」とは、液状の水がシールを通過してバッグ内に入るのを、及びバッグ外に出るのを防ぐように、密封容器を形成するために、外部バッグの包装材料が互いに接合されることを意味する。好ましくは、「封止」とは「気密封止」を意味する。「気密封止」とは、シールを通じたバッグ内及びバッグ外への空気の通過を排除して、シールを気密にする封止のいずれかの種類を意味する。
【0032】
したがって、本発明の好ましい実施形態は、その中に気密封止された複数の内部バッグを有する外部バッグに関し、前記内部バッグは、生分解性及び/又はコンポスト可能な包装材料で製造されており、且つ前記内部バッグのそれぞれが、その中に気密封止された少なくとも一つの酸化性化合物を有する。
【0033】
本発明の包装システムは、気候ゾーンIII、IVa及び/又はIVbでさえ、何か月又は何年間もの間、酸化性化合物を保管することを可能にする。この包装システムの大部分が生分解性及び/又はコンポスト可能であることを考慮すると、これは驚くべきことである。
【0034】
封止された外部バッグ内の雰囲気(ヘッドスペース雰囲気とも呼ばれる)が、酸素を10体積%未満、好ましくは酸素を5体積%未満、より好ましくは酸素を1体積%未満、最も好ましくは酸素を0.1体積%未満含む場合に、酸化性化合物の貯蔵寿命をさらに改善することができる。これは、ガス置換包装(MAP)と呼ばれる。酸素含有量を確認するために、OXYBABY(登録商標)6.0 O2(wittgas.comにて市販されている)などの移動式へッドスペースガス分析計を使用することができる。MAPは、以下の工程:
-外部バッグ内に複数の内部バッグを詰めて、任意に、前記外部バックを窒素などの保護ガスでパージする工程と、
-前記外部バッグを封止する工程と、
を含む方法によって達成することができる。
【0035】
前記方法において、外部バッグ内に内部バックを詰める前及び/又は後に、保護ガスで外部バッグをパージすることができる。しかしながら、好ましくは、外部バッグは、内部バッグを外部バッグ内に詰めた後に保護ガスでパージされる。それより好ましさが低い実施形態において、保護ガスの代わりに真空が用いられる。
【0036】
好ましい実施形態において、この方法は以下の工程:
-窒素などの保護ガスで内部バッグをパージする工程と、
-前記内部バッグのそれぞれの中に、少なくとも1つの酸化性化合物を詰める工程と、
-前記内部バッグを封止して、複数の内部バッグが形成される工程と、
-窒素などの保護ガスで外部バッグをパージする工程と、
-前記外部バッグ内に複数の内部バッグを詰める工程と、
-前記外部バッグを封止する工程と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施例を図示する。外部バッグ(1)は8個の内部バッグ(2)を含む。内部バッグ(2)それぞれが2個の押出物(3)を封入し、前記押出物のそれぞれが、少なくとも1種類の酸化性化合物を含む(
図1に図示せず)。外部バッグ(1)は、内部バッグ(2)及び窒素などの保護ガス(5)を封入する。これは複数の内部バッグにも当てはまり:それぞれの内部バッグ(2)は、押出物(3)及び窒素などの保護ガス(4)を封入する。内部バッグ(2)は、生分解性及び/又はコンポスト可能な包装材料で製造されている。外部バッグ(1)は、再利用可能であり、リサイクル又は再封止可能である。
【0038】
[外部バッグ]
低酸素透過度(OTR)及び/又は低水蒸気透過度(WVTR)を有する包装材料で外部バッグが製造されている場合には、本発明の包装システムの貯蔵寿命は特に長い。好ましい実施形態において、前記包装材料は、低OTRと低WVTRの両方を有する。最も好ましい実施形態において、外部バッグは、「完全バリア」の状態を有する包装材料で製造される。「完全バリア」状態を有する包装材料は、水及び酸素に対して完全に不透過性である。かかる材料の一例は、アルミニウム箔である(ピンホールを含まない場合)。したがって、「Whole bag method for determining oxygen transmission rate」(Moyls,A.L.,Transactions of the American Society of Agricultural Engineers,January 2004,47(1):159-164)を適用した場合に使用することができる、ピンホール不含アルミニウム箔と同程度に良く、又はピンホール不含アルミニウム箔よりも良く機能する材料は、「完全バリア」状態を有すると考えられる。
【0039】
本発明の一実施形態において、本発明の外部バッグは、23℃及び相対湿度0%(RH;乾燥条件)にて24時間、1cm3/cm2未満、好ましくは0.5cm3/cm2未満の酸素透過度(OTR)を有し、且つ/又は38℃及び相対湿度90%にて24時間、1g/m2未満、好ましくは0.5g/m2未満の水蒸気透過度(WVTR)を有する包装材料で製造されている。
【0040】
酸素透過性試験は好ましくは、ASTM D-3985に準拠して、例えばMOCON OX-TRAN2/21装置を使用して行われる。
【0041】
水蒸気透過度試験は好ましくは、ASTM F1249に準拠して、例えばMOCON PERMATRANW3/33を使用して行われる。
【0042】
使用後、外部バッグは廃棄することができる。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、外部バッグは再利用、リサイクル可能、及び/又は再封止可能である。最も好ましい実施形態では、外部バッグは手作業で再封止可能であるか、又は携帯用シール機を使用して再封止可能である。
【0043】
[内部バッグ]
本発明は、中間製品、つまり生分解性及び/又はコンポスト可能な包装で製造されたバッグにも関し、前記バッグのそれぞれは、ビタミンA又はビタミンAのエステルなど、少なくとも1種類の酸化性化合物を封入する。
【0044】
完成品(つまり、本発明のバッグ・イン・バッグ包装システム)は、これらの複数のバッグを含む。したがって、これらのバッグは「内部バッグ」とも呼ばれる。
【0045】
本発明の好ましい実施形態において、前記内部バッグのそれぞれが、多数の押出物を封入する。一実施形態において、前記内部バッグのそれぞれが、200個を超える押出物を封入し、それぞれの押出物は粒径205~1000μを有する(ふるいで測定された)。
【0046】
それぞれの押出物の組成は同一であり得る。しかしながら、本発明の好ましい実施形態において、前記内部バッグのそれぞれが、異なる種類の押出物を封入する。一方の種類の押出物が脂溶性ビタミン(ビタミンAなど)を含み得るのに対して、もう一方の種類の押出物は水溶性ビタミンを含み得る。さらに他の種類の押出物はミネラルを含み得る。
【0047】
本発明の好ましい実施形態において、前記内部バッグそれぞれが、少なくとも3種類、好ましくは少なくとも5種類のビタミン、及び/又は少なくとも3種類、好ましくは少なくとも5種類のミネラルの1日当たりの推奨摂取量(RDI)を含有する。かかる製品を用いて、隠れた飢餓に非常に有効に対処することができる。
【0048】
本発明の文脈において、「1日当たりの推奨摂取量(RDI)」は、Food and Nutrition Board of the Institute of Medicine,National Academy of Sciencesによる食事ガイドラインに準拠した、幼児、小児又は成人に関するRDIである。時々、前記ガイドラインはアップデートされている。本発明の文脈において、2018年1月1日に有効となったバージョンを意味する。
【0049】
1日当たりの推奨摂取量(RDI)からのいくらかの逸脱は許容可能であることは、当業者によって理解される。したがって、本発明は複数のバッグにも関し、それぞれのバッグは、
-少なくとも3種類、好ましくは少なくとも4種類、最も好ましくは少なくとも5種類のビタミン、
-少なくとも3種類、好ましくは少なくとも4種類、最も好ましくは少なくとも5種類のミネラル
の1日当たりの推奨摂取量(RDI)を少なくとも80%を含有し、
前記1日当たりの推奨摂取量(RDI)が、Food and Nutrition Board of the Institute of Medicine,National Academy of Sciencesによる食事ガイドラインに準拠した、幼児、小児又は成人に関するRDIであり、前記ガイドラインは2018年1月1日に有効となっている。
【0050】
サブサハラアフリカにおける隠れた飢餓と戦うために現在利用可能な製品は、ビタミン粉末を含有する。粉末を使用する代わりに、押出物を使用する利点は体積が低減されることである。
【0051】
ビタミンA、E、D3、リボフラビン、葉酸、C、ナイアシンアミド、B12、チアミンビタミン、鉄、銅、カルシウム、亜鉛及びセレンの1日当たりの推奨摂取量(RDI)を含有する従来の粉末は、10cm3までの体積を有する。
【0052】
対照的に、ビタミンA、E、D3、リボフラビン、葉酸、C、ナイアシンアミド、B12、チアミンビタミン、鉄、銅、カルシウム、亜鉛及びセレンの1日当たりの推奨摂取量(RDI)を含有する押出物は1cm3未満の体積を有する。この体積の低減によって、包装の量を少なくとも50%低減することが可能となる(実施例参照)。かかる押出物は、国際公開第2017/060320号パンフレットに開示されるように製造することができる。
【0053】
したがって、本発明は、複数のバッグであって、前記バッグのそれぞれが複数の押出物を封入し、且つ前記押出物2.7gは10cm3未満、好ましくは5cm3未満の体積を有する、複数のバッグにも関する。市場で現在入手可能な同等な製品は、粉末を約8g含有する。
【0054】
[相乗作用]
体積が小さい押出物が本発明のバッグ・イン・バッグ包装システムに包装される場合、最も持続可能な方法で隠れた飢餓と戦われ:生じる包装廃棄物が少なくなり、生じた廃棄物は生分解性/コンポスト可能な、又は再利用可能/リサイクル可能のいずれかである。
【0055】
[実施例1(バッグ・イン・バッグ包装システム)]
標準試験法ASTM D3985によって、23℃及び相対湿度0%(乾燥条件)にて、いくつかの3D試料(つまり、バッグ)の酸素透過度(OTR)を評価した。3D試料専用の試料ホルダーに3D試料を取り付けた。24時間のコンディショニング工程後に、キャリアーガス流速70mL/分(低コンディショニング)にて測定フェーズを行った。
【0056】
この評価の結果として、0.5cm3/cm2未満の酸素透過度(OTR)を有する外部バッグが選択された(供給元A.Hatzopoulos,S.A.ギリシャ(Greece))。
【0057】
第2工程において、酸化性ビタミンAを含む組成物が、種々の生分解性及び/又はコンポスト可能なバッグ(市販されている)に包装された。試験された包装材料のいずれも、十分な貯蔵寿命を有する製品を製造することができないことが実験から判明した。コントロールされた条件下にて6か月間貯蔵した後、市販の生分解性及び/又はコンポスト可能なバッグ(MAPなし)を使用した場合、ビタミンAの元の量の50%未満が回収可能であった。ガス置換包装(MAP;例えば窒素ガス)を用いて、安定性自体は向上したが、十分な程度ではなかった。
【0058】
安定性を向上させるために、生分解性及び/又はコンポスト可能なバッグ(好ましくはMAP)に酸化性化合物が包装される。次いで、複数の前記生分解性及び/又はコンポスト可能なバッグが、酸素透過度(OTR)0.5cm-3/cm-2未満を有する外部バッグ内に包装される(好ましくは、MAPも)。
【0059】
[実施例2(内部バッグの最適化)]
市販のMixMe(登録商標)(供給元:DSMニュートリショナル・プロダクツ社(DSM Nutritional Products))の1日分の体積が測定された。MixMe(登録商標)は従来の微量養分粉末である(つまり、押出物ではない)。
【0060】
比較として、MixMe(登録商標)の改良版の1日分の体積を測定した。前記1日分は、市販のMixMe(登録商標)の1日分と同量の微量養分を含む。かかる押出物は国際公開第2017/060320号パンフレットに開示されるように製造することができる。
【0061】
MixMe(登録商標)の改良版は粉末の代わりに押出物で製造されているため、著しい体積の低減を達成することができた。前記の体積低減によって、包装の量が低減された。詳細を以下の表に示す:
【0062】
【0063】
したがって、測定された体積が6分の1に減少すると、包装が83%まで少なくなる。
【0064】
[実施例3(バッグ・イン・バッグ包装システムの最適化)]
本発明のバッグ・イン・バッグ包装システムの内部バッグは生分解性包装材料で製造されており、外部バッグの包装材料は通常、「完全バリア」状態を達成するためにアルミニウム層を含有する。生分解性包装材料のごみは、アルミニウムのごみよりも及ぼすダメージが少ない。アルミニウムは時間が経過しても分解しない。
【0065】
したがって、持続可能な包装システムを得るために、空の外部バッグの重量と空の内部バッグの総重量との比は、可能な限り小さくあるべきである。
【0066】
持続可能性を向上させるために、以下の最適化が考えられた:
【0067】
【0068】
実施例3から、外部(非分解性)バッグ内に入れられる内部(生分解性)バッグが多いほど、有害なごみを低減することができることが分かる。
【0069】
そのため、内部バックは小さくなければならない。包装されるべき組成物の体積が少ないことが必要とされる場合、より小さなバッグが実現可能である。粉末の代わりに押出物を製造することによって、より小さな体積が実現可能である(実施例2参照)。