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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】パレット交換装置、及び、その作動方法
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/00 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B23Q7/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022078398
(22)【出願日】2022-05-11
(65)【公開番号】P2023167318
(43)【公開日】2023-11-24
【審査請求日】2022-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】303024138
【氏名又は名称】株式会社ニイガタマシンテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】平田 武彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】児玉 雄治
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-319951(JP,A)
【文献】特開平10-263977(JP,A)
【文献】特開2005-186186(JP,A)
【文献】特開2001-009665(JP,A)
【文献】特開2008-062312(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワーク載置用のパレットを保持する複数のパレット保持部を有し、旋回中心を中心として旋回することにより、前記パレット保持部に保持された前記パレットを待機位置と受け渡し位置の間で移動させる旋回ブロックと、
前記受け渡し位置で前記パレットをワークとともに受け取るワーク受取ブロックと、
前記ワーク受取ブロックに設けられ、前記パレットよりも上方に突出して前記パレットに載置された前記ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具と、
前記旋回ブロックを旋回させる旋回アクチュエータと、
前記ワーク受取ブロックを、前記受け渡し位置と別位置との間で移動させる移動アクチュエータと、
前記旋回アクチュエータと前記移動アクチュエータの作動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記パレットの交換時に、前記旋回アクチュエータによって前記旋回ブロックを旋回させる前に、前記移動アクチュエータによって前記ワーク受取ブロックを退避位置に移動させ、その後に前記旋回アクチュエータによって前記旋回ブロックを旋回させ、前記旋回ブロックの旋回の完了の後に前記移動アクチュエータによって前記ワーク受取ブロックを前記受け渡し位置に移動させることを特徴とするパレット交換装置。
【請求項2】
ワーク載置用のパレットを保持する複数のパレット保持部を有し、旋回中心を中心として旋回することにより、前記パレット保持部に保持された前記パレットを待機位置と受け渡し位置の間で移動させる旋回ブロックと、
前記受け渡し位置で前記パレットをワークとともに受け取るワーク受取ブロックと、
前記ワーク受取ブロックに設けられ、前記パレットよりも上方に突出して前記パレットに載置された前記ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具と、
各前記パレットと前記ワーク受取ブロックに設けられ、上下方向で相互に嵌合する嵌合部と、
前記旋回ブロックを旋回させる旋回アクチュエータと、
前記旋回ブロックを昇降させる昇降アクチュエータと、
前記ワーク受取ブロックを、前記受け渡し位置と別位置との間で移動させる移動アクチュエータと、
前記旋回アクチュエータ、前記昇降アクチュエータ、及び、前記移動アクチュエータの作動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記パレットの交換時に、前記旋回アクチュエータによって前記旋回ブロックを旋回させる前に、前記昇降アクチュエータによって前記旋回ブロックを上昇させて前記嵌合部による前記受け渡し位置の前記パレットと前記ワーク受取ブロックの嵌合を解除し、その後に前記移動アクチュエータによって前記ワーク受取ブロックを退避位置に移動させた後に、前記旋回アクチュエータによって前記旋回ブロックを旋回させ、前記旋回ブロックの旋回の完了の後に前記移動アクチュエータによって前記ワーク受取ブロックを前記受け渡し位置に移動させ、さらにその後に、前記昇降アクチュエータによって前記旋回ブロックを下降させて前記嵌合部によって前記受け渡し位置の前記パレットを前記ワーク受取ブロックに嵌合させることを特徴とするパレット交換装置。
【請求項3】
前記退避位置は、前記旋回中心と前記受け渡し位置にある前記パレットの中心を結ぶ直線の延長上に位置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のパレット交換装置。
【請求項4】
ワーク載置用のパレットを保持する複数のパレット保持部を有し、旋回中心を中心として旋回することにより、前記パレット保持部に保持された前記パレットを待機位置と受け渡し位置の間で移動させる旋回ブロックと、
前記受け渡し位置で前記パレットをワークとともに受け取るワーク受取ブロックと、
前記ワーク受取ブロックに設けられ、前記パレットよりも上方に突出して前記パレットに載置された前記ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具と、を備えたパレット交換装置の作動方法であって、
前記ワーク受取ブロックを、前記受け渡し位置から退避位置に移動させた後に前記旋回ブロックを旋回させ、前記旋回ブロックの旋回の完了の後に前記ワーク受取ブロックを前記受け渡し位置に移動させることを特徴とするパレット交換装置の作動方法。
【請求項5】
ワーク載置用のパレットを保持する複数のパレット保持部を有し、旋回中心を中心として旋回することにより、前記パレット保持部に保持された前記パレットを待機位置と受け渡し位置の間で移動させる旋回ブロックと、
前記受け渡し位置で前記パレットをワークとともに受け取るワーク受取ブロックと、
前記ワーク受取ブロックに設けられ、前記パレットよりも上方に突出して前記パレットに載置された前記ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具と、
各前記パレットと前記ワーク受取ブロックに設けられ、上下方向で相互に嵌合する嵌合部と、を備えたパレット交換装置の作動方法であって、
前記旋回ブロックを上昇させて前記嵌合部による前記受け渡し位置の前記パレットと前記ワーク受取ブロックの嵌合を解除し、その後、前記ワーク受取ブロックを、前記受け渡し位置から退避位置に移動させた後に前記旋回ブロックを旋回させ、前記旋回ブロックの旋回の完了の後に前記ワーク受取ブロックを前記受け渡し位置に移動させ、さらにその後に前記旋回ブロックを下降させて前記嵌合部によって前記受け渡し位置の前記パレットを前記ワーク受取ブロックに嵌合させることを特徴とするパレット交換装置の作動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークが載置されたパレットを交換するパレット交換装置、及び、その作動方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マシニングセンタ等の工作機械においては、加工済みのワークと未加工のワークが夫々パレットに載置された状態でパレットとともにパレット交換装置によって交換されることがある。こここで用いられるパレット交換装置として、複数のパレット保持部(フォーク)を有する旋回ブロックが旋回中心を中心として略水平に旋回することにより、待機位置にあるパレットと受け渡し位置にあるパレットを交換するものが知られている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
このパレット交換装置は、相反方向に延びる一対のフォーク(パレット保持部)が旋回ブロックに設けられ、ワークを載置したパレットが各フォークに保持されるようになっている。旋回ブロックは、旋回中心を中心として略水平に180°回転することにより、加工済みのワークを載置したパレットと、未加工のワークを載置したパレットの位置を入れ替える。
【0004】
待機位置では、パレット上の加工済みのワークが未加工のワークと交換され、受け渡し位置では、未加工のワークを載置したパレットがワーク受取ブロックに受け渡される。ワーク受取ブロックは、ワークを載置したパレットを受け取ると、工作機械によるワークの加工位置まで移動し、ワークの加工を終えると、加工位置から受け渡し位置に再び戻る。ワーク受取ブロックが受け渡し位置に戻ると、加工済みのワークを載置したパレットが旋回ブロックのフォークに戻される。この後、旋回ブロックが再び180°回転し、受け渡し位置にあるパレットが待機位置まで移動し、待機位置にある別のパレットが受け渡し位置まで移動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-262260号公報
【文献】特開2009-297821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のパレット交換装置は、旋回ブロックが略水平に旋回することにより、待機位置にあるパレットと受け渡し位置にあるパレットが交換され、受け渡し位置に移動したパレットがワーク受取ブロックに受け渡される。このため、ワーク受取ブロックに、ワーク受取ブロックのパレット受取部よりも上方に突出する突出物があると、旋回時に旋回ブロックが突出物と干渉してしまう。したがって、旋回ブロックの旋回によってパレットの交換を行うこの種のパレット交換装置では、パレット受取部よりも上方に突出するワーク押え治具等の突出物をワーク受取ブロックに取り付けることができなかった。
【0007】
そこで本発明は、ワーク受取ブロックに、ワーク受取ブロックのパレット受取部よりも上方に突出する突出物がある場合でも、パレットの円滑な交換動作を行うことができるパレット交換装置、及び、その作動方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るパレット交換装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用した。
即ち、本発明の一の態様のパレット交換装置は、ワーク載置用のパレットを保持する複数のパレット保持部を有し、旋回中心を中心として旋回することにより、前記パレット保持部に保持された前記パレットを待機位置と受け渡し位置の間で移動させる旋回ブロックと、前記受け渡し位置で前記パレットをワークとともに受け取るワーク受取ブロックと、前記ワーク受取ブロックに設けられ、前記パレットよりも上方に突出して前記パレットに載置された前記ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具と、前記旋回ブロックを旋回させる旋回アクチュエータと、前記ワーク受取ブロックを、前記受け渡し位置と別位置との間で移動させる移動アクチュエータと、前記旋回アクチュエータと前記移動アクチュエータの作動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記パレットの交換時に、前記旋回アクチュエータによって前記旋回ブロックを旋回させる前に、前記移動アクチュエータによって前記ワーク受取ブロックを退避位置に移動させ、その後に前記旋回アクチュエータによって前記旋回ブロックを旋回させ、前記旋回ブロックの旋回の完了の後に前記移動アクチュエータによって前記ワーク受取ブロックを前記受け渡し位置に移動させることを特徴とする。
【0009】
本態様のパレット交換装置では、パレットの交換時に、旋回ブロックが旋回する前にワーク受取ブロックが退避位置に移動する。このため、ワーク受取ブロックのパレット受取部よりも上方に突出するワーク押え治具があっても、旋回ブロックの旋回時に旋回ブロックがワーク押え治具と干渉するのを回避することができる。
また、この場合、ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具がワーク受取ブロックに設けられるため、多様な形状のワークをワーク押え治具によって安定してパレットに固定することが可能になる。
【0010】
本発明の他の態様のパレット交換装置は、ワーク載置用のパレットを保持する複数のパレット保持部を有し、旋回中心を中心として旋回することにより、前記パレット保持部に保持された前記パレットを待機位置と受け渡し位置の間で移動させる旋回ブロックと、前記受け渡し位置で前記パレットをワークとともに受け取るワーク受取ブロックと、前記ワーク受取ブロックに設けられ、前記パレットよりも上方に突出して前記パレットに載置された前記ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具と、各前記パレットと前記ワーク受取ブロックに設けられ、上下方向で相互に嵌合する嵌合部と、前記旋回ブロックを旋回させる旋回アクチュエータと、前記旋回ブロックを昇降させる昇降アクチュエータと、前記ワーク受取ブロックを、前記受け渡し位置と別位置との間で移動させる移動アクチュエータと、前記旋回アクチュエータ、前記昇降アクチュエータ、及び、前記移動アクチュエータの作動を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記パレットの交換時に、前記旋回アクチュエータによって前記旋回ブロックを旋回させる前に、前記昇降アクチュエータによって前記旋回ブロックを上昇させて前記嵌合部による前記受け渡し位置の前記パレットと前記ワーク受取ブロックの嵌合を解除し、その後に前記移動アクチュエータによって前記ワーク受取ブロックを退避位置に移動させた後に、前記旋回アクチュエータによって前記旋回ブロックを旋回させ、前記旋回ブロックの旋回の完了の後に前記移動アクチュエータによって前記ワーク受取ブロックを前記受け渡し位置に移動させ、さらにその後に、前記昇降アクチュエータによって前記旋回ブロックを下降させて前記嵌合部によって前記受け渡し位置の前記パレットを前記ワーク受取ブロックに嵌合させることを特徴とする。
【0011】
本態様のパレット交換装置では、パレットの交換時には、旋回ブロックが上昇することにより、受け渡し位置にあるパレットとワーク受取ブロックの嵌合を解除し、旋回ブロックが旋回する前にワーク受取ブロックが退避位置に移動する。このため、ワーク受取ブロックのパレット受取部よりも上方に突出するワーク押え治具がワーク受取ブロックに設置されていても、旋回時に旋回ブロックがワーク押え治具と干渉するのを回避することができる。
また、ワーク受取ブロックが退避位置に移動する前には、昇降アクチュエータの作動によって旋回ブロックが上昇することにより、受け渡し位置で旋回ブロックに保持されているパレットと移動ブロックの間の嵌合が外される。このため、退避位置への移動ブロックの移動時に、旋回ブロックに保持されたパレットの位置ずれや、各部に不要な応力が発生のを抑制することができる。
さらに、ワーク受取ブロックが退避位置から受け渡し位置に戻ったときには、昇降アクチュエータの作動によって旋回ブロックが下降することにより、受け渡し位置で旋回ブロックに保持されているパレットがワーク受取ブロックに嵌合される。このため、パレットは、ワーク受取ブロックに安定状態で支持されるようになる。
また、この場合、ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具がワーク受取ブロックに設けられるため、多様な形状のワークをワーク押え治具によって安定してパレットに固定することが可能になる。
【0012】
前記退避位置は、前記旋回中心と前記受け渡し位置にある前記パレットの中心を結ぶ直線の延長上に位置されることが望ましい。
【0013】
この場合、受け渡し位置と退避位置の間を移動するワーク受取ブロックの移動距離が最短距離となるため、パレットの交換をより迅速に行うことが可能になる。
【0016】
本発明の一の態様のパレット交換装置の作動方法は、ワーク載置用のパレットを保持する複数のパレット保持部を有し、旋回中心を中心として旋回することにより、前記パレット保持部に保持された前記パレットを待機位置と受け渡し位置の間で移動させる旋回ブロックと、前記受け渡し位置で前記パレットをワークとともに受け取るワーク受取ブロックと、前記ワーク受取ブロックに設けられ、前記パレットよりも上方に突出して前記パレットに載置された前記ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具と、を備えたパレット交換装置の作動方法であって、前記ワーク受取ブロックを、前記受け渡し位置から退避位置に移動させた後に前記旋回ブロックを旋回させ、前記旋回ブロックの旋回の完了の後に前記ワーク受取ブロックを前記受け渡し位置に移動させることを特徴とする。
【0017】
本発明の他の態様のパレット交換装置の作動方法は、ワーク載置用のパレットを保持する複数のパレット保持部を有し、旋回中心を中心として旋回することにより、前記パレット保持部に保持された前記パレットを待機位置と受け渡し位置の間で移動させる旋回ブロックと、前記受け渡し位置で前記パレットをワークとともに受け取るワーク受取ブロックと、前記ワーク受取ブロックに設けられ、前記パレットよりも上方に突出して前記パレットに載置された前記ワークを上方から押圧固定するワーク押え治具と、各前記パレットと前記ワーク受取ブロックに設けられ、上下方向で相互に嵌合する嵌合部と、を備えたパレット交換装置の作動方法であって、前記旋回ブロックを上昇させて前記嵌合部による前記受け渡し位置の前記パレットと前記ワーク受取ブロックの嵌合を解除し、その後、前記ワーク受取ブロックを、前記受け渡し位置から退避位置に移動させた後に前記旋回ブロックを旋回させ、前記旋回ブロックの旋回の完了の後に前記ワーク受取ブロックを前記受け渡し位置に移動させ、さらにその後に前記旋回ブロックを下降させて前記嵌合部によって前記受け渡し位置の前記パレットを前記ワーク受取ブロックに嵌合させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のパレット交換装置、及び、その作動方法は、ワーク受取ブロックに、ワーク受取ブロックのパレット受取部よりも上方に突出するワーク押え治具があっても、旋回時に旋回ブロックがワーク押え治具と干渉するのを回避することができるため、パレットの円滑な交換動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、実施形態のパレット交換装置の側面図である。
図2図2は、実施形態のパレット交換装置の図1のII-II線に沿う断面図である。
図3図3は、実施形態のパレット交換装置の平面図である。
図4図4は、実施形態のパレット交換装置の作動を(a),(b),(c)で順次示す側面図である。
図5図5は、実施形態のパレット交換装置のつづく作動を(d),(e),(f)で順次示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態のパレット交換装置1の側面図であり、図2は、パレット交換装置1の図1のII-II線に沿う断面図である。また、図3は、パレット交換装置1の平面図である。
パレット交換装置1は、例えば、マシニングセンタ等の工作機械に用いられる。パレット交換装置1は、床面F上に設置される一方向(鉛直方向と直交する一方向)に長い設置ベース10と、設置ベース10の長手方向の一端側寄りの上部に設置された旋回昇降ベース11と、旋回昇降ベース11の上部に旋回可能、かつ昇降可能に配置された旋回ブロック12と、を備えている。旋回ブロック12には、後に詳述するようにワークwを上部に載置する二つのパレット50が保持可能とされている。
以下では、設置ベース10の長手方向を「z方向」と称し、上下方向(鉛直方向)及び「z方向」と直交する方向を「x方向」と称する。図面の適所には、z方向を示す矢印zと、x方向を示す矢印xと、上下方向を示す矢印yが記されている。
【0021】
図1に示すように、旋回昇降ベース11の内部には、旋回ブロック12を旋回させる旋回アクチュエータ13と、旋回ブロック12を昇降させる昇降アクチュエータ14が内蔵されている。旋回アクチュエータ13は、例えば、油圧シリンダやサーボモータによって構成され、昇降アクチュエータ14は、例えば、油圧シリンダ若しくはサーボモータとボールネジを組み合わせたアクチュエータによって構成されている。旋回アクチュエータ13と昇降アクチュエータ14の各作動は、コントローラ100(制御部)によって制御される。
【0022】
旋回昇降ベース11のz方向の一側には、支持ステイ15を介して待機テーブル16が設置されている。待機テーブル16は、後述する待機位置P1(図3参照)において、旋回ブロック12に保持されるパレット50を下方から支持する。
【0023】
設置ベース10上の旋回昇降ベース11のz方向の他側には、図2に示すように一対のガイドレール17が配置されている。ガイドレール17は、旋回昇降ベース11と工作機械の本体部90(図4図5参照)を連結するように、z軸方向に沿って延出している。一対のガイドレール17は、x方向に相互に離間して配置されている。ガイドレール17には、上面側でロータリテーブル18を支持するテーブルベース19が摺動自在に支持されている。テーブルベース19は、ガイドレール17に沿ってz方向に移動可能とされている。
【0024】
また、一対のガイドレール17の間には、図2に示すように、z方向に沿って延出するボールネジ20が配置されている。テーブルベース19の下面には、ボールネジ20に螺合される螺合ブロック21が設けられている。ボールネジ20の軸方向の一端部は、図1に示す駆動用のサーボモータ22に連結されている。テーブルベース19は、サーボモータ22によるボールネジ20の回転により、ガイドレール17に案内された状態で、ロータリテーブル18とともにz方向に移動操作される。サーボモータ22の作動は、コントローラ100(制御部)によって制御される。
【0025】
テーブルベース19には、ロータリテーブル18を鉛直方向に沿う軸線C2回りに回動させる回動アクチュエータ23(図1参照)が内蔵されている。回動アクチュエータ23は、例えば、サーボモータによって構成されている。回動アクチュエータ23の作動は、コントローラ100(制御部)によって制御される。ロータリテーブル18の上部は、旋回ブロック12からパレット50を受け取るパレット受取部とされている。ロータリテーブル18の上面には、ロータリテーブル18の軸線C2の回りにテーパーコーン状の複数の(例えば、4つの)突部24が突設されている。各パレット50の下面には、ロータリテーブル18の各突部24が上下方向で嵌合される図示しない凹部が形成されている。突部24と凹部は、パレット50をロータリテーブル18上に係止するための嵌合部を構成している。
【0026】
また、各突部24の先端部には、突部24が対応する凹部に嵌合された状態において、その嵌合状態を維持するための図示しないロック機構が設けられている。ロック機構としは、例えば、突部24の先端側の外周部にロック用の球体を径方向移動可能に保持させておき、ロック用の球体を径方向外側に押し付けることにより、凹部内からの突部24の抜けを規制する構造等を採用することができる。この場合、ロック用の球体は、例えば、油圧によって操作される。
なお、本実施形態では、テーブルベース19とロータリテーブル18が、旋回ブロック12からパレット50をワークwとともに受け取るワーク受取ブロック(テーブルベース19及びロータリテーブル18)を構成している。また、ボールネジ20とサーボモータ22は、ワーク受取ブロックを、後述するパレット50の受け渡し位置P2(図3参照)と別位置(工作機械の本体部90の近傍のワーク加工位置)との間で移動させる移動アクチュエータを構成している。
【0027】
旋回ブロック12は、図1図3に示すように、中央の略長方体状の連結基部12aのの両側部に、平面視が略U字状の一対のパレット保持部12bが連設されている。一対のパレット保持部12bは、略U字状の開口が、水平方向において、互いに相反方向を向くように連結基部12aに連設されている。各パレット保持部12bの上部側の開口の内側縁部には、外側縁部よりも低位のパレット載置面12bs(図3参照)が形成されている。パレット載置面12bs上には、平面視が略正方形状のパレット50の外側縁部が載置可能とされている。なお、各パレット50は、外側縁部がパレット載置面12bsに載置されるパレット基壁(符号省略)の下面に、下方に突出する下面ブロック(符号省略)が突設されている。下面プロックは、パレット基壁がパレット載置面12bsに載置された状態において、パレット保持部12bの開口を通して下方側に露出する。下方に露出する下面ブロックの下面には、ロータリテーブル18の突部24と嵌合される上記の凹部が形成されている。
一対のパレット保持部12bにパレット50が夫々保持された状態では、パレット50と旋回ブロック12は、図3に示すように、一方向に長い略長方形状の平面視形状を呈する。以下、旋回ブロック12については、この略長方形状の長辺の向く方向を長手方向と称する。
【0028】
連結基部12aは、旋回ブロック12の平面視の中心位置において、旋回アクチュエータ13の旋回軸13aに連結されている。旋回アクチュエータ13の旋回軸13aは、鉛直方向に沿って上方に突出している。旋回ブロック12は、旋回軸13aの軸心である旋回中心C1を中心として水平に旋回可能とされている。また、旋回アクチュエータ13の旋回軸13aは、昇降アクチュエータ14の昇降作動によって昇降可能とされている。旋回ブロック12は、旋回アクチュエータ13の旋回作動によって旋回し、昇降アクチュエータ14の昇降作動によって昇降する。
【0029】
旋回ブロック12の連結基部12aの上面には、工作機械の本体部90によってワークwの加工を行う加工エリアA1と、加工を行うワークwやパレット50が準備される待機エリアA2と、を隔てる仕切壁70が取り付けられている。仕切壁70は、台座部71を介して連結基部12aの上面に固定されている。仕切壁70は、横長の長方形状に形成され、旋回ブロック12の長手方向と直交するように連結基部12aの上部に延在している。仕切壁70は、旋回ブロック12の長手方向がz方向を向いた状態において、加工エリアA1と待機エリアA2の間を遮蔽する。また、旋回アクチュエータ13の駆動によって旋回ブロック12が旋回中心C1を中心として旋回すると、仕切壁70は旋回ブロック12と一体に旋回する。このとき、旋回ブロック12が180°旋回すると、仕切壁70は、旋回ブロック12と一体に180°旋回して、加工エリアA1と待機エリアA2に臨む表裏が反転する。
【0030】
旋回ブロック12は、長手方向がz方向に沿う状態のときに、一方のパレット保持部12bに保持されたパレット50が待機位置P1に位置され、他方のパレット保持部12bに保持されたパレット50が受け渡し位置P2に位置されることになる。待機位置P1では、一方のパレット保持部12bに保持されたパレット50の下面が、待機テーブル16上の突部25(図1参照)に支持される。これにより、一方のパレット保持部12bに保持されたパレット50は、待機位置において、待機テーブル16に安定して支持されることになる。
なお、待機テーブル16上の突部25は、ロータリテーブル18上の突部24と同様にテーパーコーン状に形成して、パレット50の下面の凹部に上下方向で嵌合されるようにしても良い。
【0031】
また、受け渡し位置P2では、他方のパレット保持部12bに保持されたパレット50の下面(下面ブロックの下面)の凹部が、ロータリテーブル18上の突部24に嵌合される。このとき、突部24は、上述のようにロック機構によってパレット50側の凹部にロックすることができる。突部24がロック機構によってパレット50側の凹部にロックされると、他方のパレット保持部12bに保持されたパレット50は、受け渡し位置P2において、ロータリテーブル18に固定されることになる。
【0032】
この状態からサーボモータ22の駆動によってボールネジ20が所定方向に回転すると、テーブルベース19が工作機械の本体部90に近接する方向に移動する。これにより、ロータリテーブル18上に固定されたパレット50が、パレット50上のワークwとともに受け渡し位置P2からワークwの加工位置まで移動することになる。
【0033】
一方、受け渡し位置P2にあるパレット50の凹部とロータリテーブル18の突部24のロック機構がロック解除状態とされ、その状態で昇降アクチュエータ14の駆動によって旋回ブロック12が上昇すると、受け渡し位置P2のパレット50の凹部とロータリテーブル18上の突部24の嵌合が外れる。これにより、パレット50を保持する旋回ブロック12と、ロータリテーブル18を支持するテーブルベース19の相対的な移動が可能になる。
【0034】
具体的には、この状態において、サーボモータ22の駆動によってボールネジ20が所定方向に回転すると、工作機械の本体部90方向へのテーブルベース19の移動が可能になる。また、テーブルベース19が後述する退避位置まで移動した後には、旋回ブロック12は、二つのパレット50を保持した状態において、旋回中心C1を中心として旋回可能になる。この状態において、旋回アクチュエータ13の駆動によって旋回ブロック12が旋回中心C1を中心として180°旋回すると、待機位置P1で一方のパレット保持部12bに保持されているパレット50が受け渡し位置P2に移動し、受け渡し位置P2で他方のパレット保持部12bに保持されているパレット50が待機位置P1に移動する。この後に、昇降アクチュエータ14の駆動によって旋回ブロック12が下降すると、受け渡し位置P2に移動したパレット50の凹部がロータリテーブル18の突部24に嵌合され、待機位置P1に移動したパレット50が待機テーブル16上の突部25に支持される。この結果、二つのパレット50がパレット交換装置1によって交換されることになる。
【0035】
テーブルベース19には、パレット50上のワークwを上方側から押圧固定するためのワーク押え治具60が取り付けられている。ワーク押え治具60は、図2に示すように、テーブルベース19のx方向の両側部から上方に起立する一対の側部ステイ30sと、一対の側部ステイ30sの上端部に架設される頂部ステイ30tと、を有する門型状の固定フレーム30を備えている。ワーク押え治具60は、さらに、頂部ステイ30tに固定された押圧アクチュエータ31と、頂部ステイ30tの下方において、押圧アクチュエータ31の可動部に連結された支持ブロック32と、を備えている。
【0036】
固定フレーム30は、一対の側部ステイ30sが、ロータリテーブル18上に支持されるパレット50や、パレット50上に載置されるワークwよりも上方側に延びている。一対の側部ステイ30sの上部に支持される頂部ステイ30tは、パレット50上に載置されたワークwよりも上方に位置されるようになっている。具体的には、頂部ステイ30tは、テーブルベース19とロータリテーブル18が、図1に示すように、受け渡し位置にあるときに、パレット50を保持した旋回ブロック12が昇降アクチュエータ14の駆動によって上昇した場合に、パレット50上のワークwが支持ブロック32と干渉しない高さに配置されている。
【0037】
押圧アクチュエータ31は、例えば、油圧シリンダ等によって構成されている。押圧アクチュエータ31の可動部に連結された支持ブロック32は、押圧アクチュエータ31の駆動により頂部ステイ30tの下方において昇降する。また、支持ブロック32は、押圧アクチュエータ31から押圧力を受けてパレット50上のワークwの上面を上方から押圧する。ワークwは、これによりパレット50上に押圧固定される。
【0038】
また、側部ステイ30sを介してテーブルベース19に固定された固定フレーム30は、ロータリテーブル18や、ロータリテーブル18上のパレット50に対して非接触状態とされている。回動アクチュエータ23の駆動によってロータリテーブル18とパレット50が軸線C2回りに回転する場合には、ロータリテーブル18とパレット50は、固定フレーム30と干渉しない。工作機械によってワークwの加工を行う際には、押圧アクチュエータ31と支持ブロック32によるワークwの押圧固定を解除し、その状態でロータリテーブル18を回転させることにより、加工を施すワークwの向きを任意の向きに変えることができる。この後、任意の向きに向きを変えたワークwに対して加工を施す場合には、押圧アクチュエータ31と支持ブロック32によってワークwをパレット50上に再度押圧固定する。
【0039】
つづいて、パレット50の交換時におけるコントローラ100(制御部)による各部の制御について、図4図5を参照して説明する。
図4は、パレット50の交換時におけるパレット交換装置1の作動を(a),(b),(c)で順次示す側面図であり、図5は、パレット交換装置1のつづく作動を(d),(e),(f)で順次示す側面図である。なお、図4図5では、パレット50に載置されたワークwの図示が省略されている。
【0040】
図4(a)は、パレット50の交換前の状態を示している。この状態では、旋回ブロック12の一対のパレット保持部12bには、未加工のワークwを載置したパレット50と加工済みのワークwを載置したパレット50が載置され、未加工のワークwを載置したパレット50は待機位置P1に位置され、加工済みのワークwを載置したパレット50は受け渡し位置P2に位置されている。図4図5では、理解を容易にするために図4(a)に示す初期状態のときに、待機位置P1にあるパレット50に符号50Bを付し、受け渡し位置P2にあるパレット50に符号50Aを付している。
【0041】
最初に、図4(b)に示すように、旋回アクチュエータ13によって旋回ブロック12を旋回させる前に、コントローラ100は、昇降アクチュエータ14を作動させて旋回ブロック12を所定高さまで上昇させる。このとき、受け渡し位置P2のパレット50Aの凹部とロータリテーブル18の突部24の間のロックは予め解除されている。昇降アクチュエータ14の作動によって旋回ブロック12が所定高さまで上昇すると、受け渡し位置P2のパレット50Aの凹部とロータリテーブル18の突部24の上下方向の嵌合が外れる。
【0042】
次に、コントローラ100は、サーボモータ22を作動させてボールネジ20を所定方向に回転させ、図4(c)に示すように、テーブルベース19をロータリテーブル18とともに、受け渡し位置P2から退避位置まで移動させる。
【0043】
ここで、退避位置とは、旋回アクチュエータ13の作動によって旋回ブロック12が旋回中心C1を中心として旋回するときに、旋回ブロック12と一体に旋回する部材が、テーブルベース19側の部材と干渉するのを避けることができる位置である。本実施形態の場合、旋回ブロック12が旋回中心C1を中心として旋回するときに、図3に示すように、仕切壁70の外端部の旋回軌道が旋回中心C1から最も離れた位置を通るため、退避位置は、仕切壁70の外端部の旋回軌道とテーブルベース19上のワーク押え治具60が干渉しない位置に設定されている。
【0044】
この後、コントローラ100は、旋回アクチュエータ13を作動させ、図5(d)に示すように、旋回ブロック12を、旋回中心C1を中心として180°旋回させる。これにより、待機位置P1の上方に位置されていたパレット50Bが受け渡し位置P2の上方に移動し、受け渡し位置P2の上方に位置されていたパレット50Aが待機位置P1の上方に移動する。
このとき、ワーク押え治具60(突出物)は、テーブルベース19とともに旋回ブロック12(仕切壁70)の旋回軌道の外側の退避位置に位置されているため、仕切壁70を含む旋回ブロック12がワーク押え治具60と干渉する事象は回避される。
【0045】
この後、コントローラ100は、移動アクチュエータであるサーボモータ22を作動させ、退避位置にあるテーブルベース19とロータリテーブル18(ワーク受取ブロック)を、図5(e)に示すように、受け渡し位置P2まで移動させる。
【0046】
さらにその後、コントローラ100は、昇降アクチュエータ14を作動させ、旋回ブロック12を、図5(f)に示すように、下降させる。これにより、受け渡し位置P2において下降したパレット50Bの下面の凹部が、ロータリテーブル18上の対応する突部24に嵌合する。この後、突部24と対応する凹部がロック機構によってロックされ、パレット50Bがロータリテーブル18に固定される。
【0047】
以上のように、本実施形態のパレット交換装置1は、パレット50の交換時に、制御部であるコントローラ100が以下のように各部を制御する。
即ち、コントローラ100は、旋回アクチュエータ13によって旋回ブロック12を旋回させる前に、移動アクチュエータであるサーボモータ22とボールネジ20によってテーブルベース19及びロータリテーブル18を退避位置まで移動させる。コントローラ100は、この後、旋回アクチュエータ13によって旋回ブロック12を旋回させて二つのパレット50の位置を入れ替え、旋回ブロック12の旋回の完了の後に移動アクチュエータであるサーボモータ22とボールネジ20によってテーブルベース19及びロータリテーブル18を受け渡し位置P2まで戻す。
【0048】
このため、本実施形態のパレット交換装置1とその作動方法を採用した場合には、テーブルベース19(ワーク受取ブロック)に、ロータリテーブル18のパレット受取部よりも上方に突出するワーク押え治具60等の突出物が設置されていても、旋回ブロック12の旋回時に旋回ブロック12(仕切壁70を含む)が突出物と干渉するのを回避することができる。したがって、本実施形態のパレット交換装置1とその作動方法を採用した場合には、テーブルベース19(ワーク受取ブロック)に突出物がある場合であっても、パレット50の円滑な交換動作を行うことができる。
【0049】
また、本実施形態のパレット交換装置1は、より詳細には、パレット50の交換時にコントローラ100が以下のように各部を制御する。
即ち、コントローラ100は、旋回アクチュエータ13によって旋回ブロック12を旋回させる前に、最初に、昇降アクチュエータ14によって旋回ブロック12を上昇させて受け渡し位置P2のパレット50の凹部とロータリテーブル18の突部24の嵌合を外す。コントローラ100は、この後に移動アクチュエータであるサーボモータ22とボールネジ20によってテーブルベース19及びロータリテーブル18を退避位置まで移動させる。コントローラ100は、つづいて、旋回アクチュエータ13によって旋回ブロック12を旋回させて二つのパレット50の位置を入れ替え、旋回ブロック12の旋回の完了の後に移動アクチュエータであるサーボモータ22とボールネジ20によってテーブルベース19及びロータリテーブル18を受け渡し位置P2まで戻す。そして、コントローラ100は、最後に、昇降アクチュエータ14によって旋回ブロック12を下降させて受け渡し位置P2のパレット50の凹部にロータリテーブル18上の突部24を嵌合させる。
【0050】
このため、テーブルベース19(ワーク受取ブロック)に、ロータリテーブル18のパレット受取部よりも上方に突出するワーク押え治具60等の突出物が設置されていても、旋回ブロック12の旋回時に旋回ブロック12(仕切壁70も含む)が突出物と干渉するのを回避することができ、かつ、一連の動作の中で、受け渡し位置P2にあるパレット50をロータリテーブル18に対して適切なタイミングで係合離脱させることができる。また、昇降アクチュエータ14によって旋回ブロック12を下降させた後には、受け渡し位置P2にあるパレット50がロータリテーブル18上の突部24に嵌合されるため、ロータリテーブル18に受け渡されたパレット50を安定して支持することが可能になる。
【0051】
特に、本実施形態では、受け渡し位置P2にあるパレット50がロータリテーブル18上の突部24に嵌合された後に、ロック機構によってこれらの嵌合状態をロックするため、ロータリテーブル18に受け渡されたパレット50をロータリテーブル18上により安定して固定することができる。
【0052】
ここで、旋回アクチュエータ13によって旋回ブロック12を旋回させる前にテーブルベース19とロータリテーブル18を退避させる方向は、必ずしもz方向に沿う方向である必要はなく、z方向と直交する方向や、z方向に対して傾斜する方向等であっても良い。ただし、本実施形態のように、テーブルベース19とロータリテーブル18を退避させる方向をz方向に沿う方向とし、退避位置が、旋回中心C1と受け渡し位置P2にあるパレット50の中心を結ぶ直線の延長上に位置されるようにした場合には、受け渡し位置P2と退避位置の間を移動するテーブルベース19とロータリテーブル18の移動距離が最短距離となるため、パレット50の交換をより迅速に行うことが可能になる。
【0053】
また、本実施形態のように、テーブルベース19とロータリテーブル18を退避させる方向をz方向に沿う方向とした場合、特別なアクチュエータを追加することなく、ワークwを加工位置に移動させるボールネジ20とサーボモータ22を利用してテーブルベース19とロータリテーブル18を退避位置まで移動させることができる。このため、本構成を採用した場合には、パレット交換装置1の構造を簡素化し、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0054】
また、本実施形態のパレット交換装置1では、ロータリテーブル18のパレット受取部よりも上方に突出する突出物としてワーク押え治具60がテーブルベース19に設置されている。このため、多様な形状のワークwをワーク押え治具60によって安定してパレット50上に固定することができ、しかも、パレット50の交換時に、旋回ブロック12がワーク押え治具60と干渉するのを上述のように回避することができる。
【0055】
特に、本実施形態の場合、ワーク押え治具60がロータリテーブル18やパレット50と干渉しないようにテーブルベース19に設置されているため、ワーク押え治具60によるワークwの押さえ込みを一時的に解除してロータリテーブル18を回転させることにより、加工を行うワークwの向きを任意の角度に容易に変更することができる。このため、本実施形態の構成を採用した場合には、ワークwに対する加工の自由度を高めることができる。
【0056】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、上記の実施形態では、ワーク受取ブロック(ロータリテーブル18及びテーブルベース19)のパレット受取部よりも上方に突出する突出物の一例として、ワーク押え治具60を挙げているが、パレット受取部よりも上方に突出する突出物は、ワーク押え治具60に限定されない。突出物は、例えば、レーザ光による測定装置等を支持するセンサ支持ブラケットや撮像装置を支持するカメラ支持ブラケット等であっても良い。この場合も、パレット50の交換時に、旋回ブロック12が旋回する前にワーク受取ブロック(ロータリテーブル18及びテーブルベース19)が退避位置に移動することにより、旋回ブロック12が突出物と干渉するのを回避することができる。
【0057】
また、上記の実施形態では、パレット50の交換時に、昇降アクチュエータ14によって旋回ブロックを上昇させることによって、パレット50とワーク受取ブロック(ロータリテーブル18)の嵌合を解除するようにしているが、昇降アクチュエータによってワーク受取ブロック側を下降させてパレット50とワーク受取ブロックの嵌合を解除するようにしても良い。
さらに、受け渡し位置P2でのパレット50とワーク受取ブロックの係止は、上下方向の嵌合以外の手段であっても良い。受け渡し位置P2においてパレット50をワーク受取ブロックに係止し得るものであれば、係止方向は特に限定されない。
【0058】
また、上記の実施形態では、受け渡し位置P2でパレット50を受け取るワーク受取ブロックが、ロータリテーブル18とテーブルベース19を備えた構成とされているが、ワークwの加工時にパレット50の向きを変える必要がない場合には、ロータリテーブル18は省略することもできる。
さらに、ワーク受取ブロックの移動は、ワークwを載置したパレットを受け渡し位置P2と、ワークwの加工位置の間で移動させることができるものであれば、ボールネジ20とサーボモータ22によるアクチュエータ以外の手段によって行うことも可能である。
【0059】
また、上記の実施形態では、旋回ブロック12が相反方向を向く一対のパレット保持部12bを持つ構造とされているが、旋回ブロック12の構造はこの構造に限定されない。旋回ブロック12は、旋回中心C1を中心として略水平に旋回するものであれば、三つ以上のパレット保持部を持つ構造であっても良い。
【符号の説明】
【0060】
1…パレット交換装置
12…旋回ブロック
12b…パレット保持部
13…旋回アクチュエータ
14…昇降アクチュエータ
18…ロータリテーブル18(ワーク受取ブロック)
19…テーブルベース(ワーク受取ブロック)
20…ボールネジ(移動アクチュエータ)
22…サーボモータ(移動アクチュエータ)
24…突部(嵌合部)
50…パレット
60…ワーク押え治具(突出物)
100…コントローラ(制御部)
C1…旋回中心
P1…待機位置
P2…受け渡し位置
w…ワーク
図1
図2
図3
図4
図5