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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】空気調和装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/16 20110101AFI20231205BHJP
   F24F 1/0323 20190101ALI20231205BHJP
   F24F 1/48 20110101ALI20231205BHJP
【FI】
F24F1/16
F24F1/0323
F24F1/48
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019232210
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021099208
(43)【公開日】2021-07-01
【審査請求日】2021-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000103921
【氏名又は名称】オリオン機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104787
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 伸司
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝典
(72)【発明者】
【氏名】永田 隼大
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特許第6597846(JP,B1)
【文献】特開2008-070045(JP,A)
【文献】特開2014-092306(JP,A)
【文献】特開2007-024419(JP,A)
【文献】特開平04-187992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0376701(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/16
F24F 1/48
F24F 1/0323
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍サイクルにおける蒸発器および凝縮器の熱交換器と送風用ファンとが筐体内に収容されると共に、当該熱交換器内の冷媒と熱交換させる空気を導入する導入口および当該熱交換器内の当該冷媒と熱交換させた当該空気を吹き出す吹出口が前記筐体に当該熱交換器毎にそれぞれ1つずつ開口された空気調和装置であって、
前記熱交換器は、前記筐体内に配置された状態において、前記導入口から当該筐体内への前記空気の導入方向と当該空気が当該熱交換器を通過する通過方向との交差角度が相違する第1の熱交換部および第2の熱交換部を備えたフィンアンドチューブ式熱交換器で構成され、前記第1の熱交換部における前記交差角度よりも前記第2の熱交換部における前記交差角度の方が大きくなると共に、当該第1の熱交換部の方が当該第2の熱交換部よりも前記導入口寄りに位置するように配置され、かつ前記第2の熱交換部において前記導入口からの距離が短い部位から当該第2の熱交換部において当該導入口からの距離が長い部位に向かうに従ってフィンの配設間隔が徐々に大きくなるように形成されて前記空気の通過抵抗が徐々に小さくなると共に、前記第1の熱交換部の全体、および前記第2の熱交換部において前記導入口からの距離が短い部位の前記フィンの配設間隔が同程度となるように形成されて前記空気の通過抵抗が同程度となるように構成され、
前記送風用ファンは、プロペラファンで構成されて翼回転面が前記第2の熱交換部と対向するように前記空気の流路における前記熱交換器の下流側に配設されると共に、当該熱交換器において前記冷媒と熱交換された当該空気を前記吹出口から吹き出すことで前記導入口から前記筐体内に新たな前記空気を導入する空気調和装置。
【請求項2】
冷凍サイクルにおける蒸発器および凝縮器の熱交換器と送風用ファンとが筐体内に収容されると共に、当該熱交換器内の冷媒と熱交換させる空気を導入する導入口および当該熱交換器内の当該冷媒と熱交換させた当該空気を吹き出す吹出口が前記筐体に当該熱交換器毎にそれぞれ1つずつ開口された空気調和装置であって、
前記熱交換器は、前記筐体内に配置された状態において、前記導入口から当該筐体内への前記空気の導入方向と当該空気が当該熱交換器を通過する通過方向との交差角度が相違する第1の熱交換部および第2の熱交換部を備え、前記第1の熱交換部における前記交差角度よりも前記第2の熱交換部における前記交差角度の方が大きくなると共に、当該第1の熱交換部の方が当該第2の熱交換部よりも前記導入口寄りに位置するように配置され、かつ前記第2の熱交換部において前記導入口からの距離が短い部位における前記空気の通過抵抗よりも当該第2の熱交換部において当該導入口からの距離が長い部位における当該空気の通過抵抗の方が小さくなるように形成され、
前記筐体は、前記熱交換器が収容された第1の収容空間とは別個に前記筐体内における前記導入方向の奥側に設けられた第2の収容空間内に、前記冷凍サイクルにおける圧縮機、当該冷凍サイクルの動作を制御する制御部、および当該空気調和装置の各部に電源を供給する電源部のうちの少なくとも1つを収容可能に構成されると共に、前記導入口から前記第2の熱交換部に至る前記空気の流路において当該導入口からの距離が長い部位の近傍で前記第2の収容空間を前記第1の収容空間に連通させる通気口が開口されて当該第2の収容空間内の前記空気が当該通気口から当該第1の収容空間に導入されるように構成され、
前記送風用ファンは、プロペラファンで構成されて翼回転面が前記第2の熱交換部と対向するように前記空気の流路における前記熱交換器の下流側に配設されると共に、当該熱交換器において前記冷媒と熱交換された当該空気を前記吹出口から吹き出すことで前記導入口および前記通気口から前記第1の収容空間内に新たな前記空気を導入し、
前記通気口は、前記吹出口からの前記空気の吹出方向に沿って当該空気調和装置を見たときに前記送風用ファンの翼回転中心に対する前記導入方向の奥側に位置するように開口されている空気調和装置。
【請求項3】
前記筐体内に設けられた蒸発器収容空間内に前記蒸発器が収容されると共に当該筐体内に当該蒸発器収容空間とは別個に当該筐体内に設けられた凝縮器収容空間内に前記凝縮器が収容され、
前記筐体には、前記蒸発器と熱交換させる前記空気を前記蒸発器収容空間に導入する第1の導入口からの当該空気の導入方向である第1の導入方向と前記凝縮器と熱交換させた前記空気を前記凝縮器収容空間から吹き出す第2の吹出口からの当該空気の吹出方向である第2の吹出方向とが交差する第1の交差状態、および当該蒸発器と熱交換させた前記空気を当該蒸発器収容空間から吹き出す第1の吹出口からの当該空気の吹出方向である第1の吹出方向と当該凝縮器と熱交換させる前記空気を当該凝縮器収容空間に導入する第2の導入口からの当該空気の導入方向である第2の導入方向とが交差する第2の交差状態のいずれか少なくとも一方の交差状態が生じるように、当該第1の導入口、当該第1の吹出口、当該第2の導入口および当該第2の吹出口がそれぞれ開口されている請求項1または2記載の空気調和装置。
【請求項4】
前記筐体は、前記第1の吹出方向および前記第2の吹出方向が逆向きとなるように前記第1の吹出口および前記第2の吹出口がそれぞれ開口されている請求項3記載の空気調和装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器(蒸発器や凝縮器)が筐体内に収容されると共に、空気の導入口および吹出口が筐体にそれぞれ開口された空気調和装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の空気調和装置として、室内(床の上)に設置して使用可能に構成された冷風機が下記の特許文献に開示されている。この冷風機は、冷風として供給する空気が通過させられる第1の通気路、および廃熱用の空気が通過させられる第2の通気路が扁平箱状の本体(外殻:以下、「筐体」ともいう)内にそれぞれ設けられている。
【0003】
また、この冷風機では、第1の通気路への空気の入口である第1の吸込み口が筐体の前面(正面)に開口され、かつ第1の通気路からの空気の出口である第1の吹出し口が筐体の前面から上面にかけて開口されると共に、第1の通気路内における空気の流動方向に沿って蒸発器および第1の送風機が第1の通気路内にこの順で配設されている。また、この冷風機では、第2の通気路への空気の入口である第2の吸込み口が筐体の後面(背面)に開口され、かつ第2の通気路からの空気の出口である第2の吹出し口が筐体の後面(第2の吸込み口の直上)に開口されると共に、第2の通気路内における空気の流動方向に沿って凝縮器および第2の送風機が第2の通気路内にこの順で配設されている。さらに、この特許文献に開示の冷風機では、第2の通気路内の温風を第1の通気路内に案内するダンパを備えている。
【0004】
この冷風機を冷風運転させるときには、第2の通気路から第1の通気路への温風の流入を阻止するようにダンパを動作させる。この際には、蒸発器内の冷媒との熱交換によって冷却された空気が第1の吹出し口から冷風機の正面上方に向かって吹き出され、かつ凝縮器内の冷媒との熱交換によって温度上昇した空気が、第2の吹出し口から冷風機の後方に向かって吹き出される。一方、乾燥運転させるときには、第2の通気路から第1の通気路に温風を流入させるようにダンパを動作させる。この際には、蒸発器内の冷媒との熱交換によって冷却された空気(すなわち、除湿されて乾燥させられた空気)と、凝縮器内の冷媒との熱交換によって温度上昇した空気とが第1の通気路内で混ざり合った状態で第1の吹出し口から冷風機の正面上方に向かって吹き出される。これにより、第1の吹出し口から吹き出される空気によって衣類等を好適に乾燥させることが可能となる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-190803号公報(第4-7頁、第1-5図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記特許文献に開示の冷風機には、以下のような解決すべき課題が存在する。具体的には、上記特許文献に開示の冷風機では、第1の送風機を動作させることによって筐体外の空気が第1の吸込み口から第1の通気路内に吸い込まれて蒸発器を通過させられ、蒸発器内の冷媒との熱交換によって温度低下させられた後に第1の吹出し口から筐体外に吹き出されると共に、第2の送風機を動作させることによって筐体外の空気が第2の吸込み口から第2の通気路内に吸い込まれて凝縮器を通過させられ、凝縮器内の冷媒との熱交換によって温度上昇させられた後に第2の吹出し口から筐体外に吹き出される構成が採用されている。
【0007】
この場合、この冷風機の構成において、より多くの冷風を吹き出させたり、より低温の空気を吹き出させたりするには、蒸発器を大型のもの(大容量のもの)に変更する必要がある。また、大型の蒸発器を採用するには、蒸発器において必要とされる量の冷媒を供給するために大型の凝縮器を採用する必要が生じる。しかしながら、上記特許文献に開示の冷風機では、蒸発器や凝縮器として平板状の熱交換器が採用されている。このため、これらの熱交換器の大容量化に際して厚み方向のサイズを大きくしたときには、空気の通過抵抗が増加する分だけ圧力損失が大きくなり、送風量の低下を招くこととなる。また、幅方向や高さ方向のサイズを大きくしたときには、大型の熱交換器を収容可能な広いスペースが必要となり、冷風機の大型化を招くこととなる。
【0008】
一方、例えば、図5に示す蒸発器14xのようなL型の熱交換器を採用することにより、限られた収容スペース内に十分な容量の熱交換器を収容することが可能となる。この場合、同図は、上記特許文献に開示の冷風機における第1の通気路内に配設された蒸発器をL型の蒸発器14xに変更した冷風機1xの構成を示す図であって、第2の通気路やダンパ等の図示を省略している。なお、冷風機1xの構成要素および冷風機1xの動作に関する要素については、符号の末尾に「x」を付して説明する。この冷風機1xでは、L字型に配置された熱交換部21x,22xの合計容量が蒸発器14xの総容量となるため、冷風機1xの大型化を招くことなく十分な処理能力を得ることが可能となる。
【0009】
この場合、第1の吸込み口H1ixからの距離が短く、第1の吸込み口H1ixからの空気の吸込方向(同図における矢印Axの向き)と同じ向きで空気が通過させられる(吸込方向と通過方向との交差角度が小さい)熱交換部21xについては、その端部P21axから端部P21bxまでの全域において熱交換対象の空気をスムースに通過させることが可能となっている。
【0010】
これに対して、第1の吸込み口H1ixからの空気の吸込み方向(矢印Axの向き)と、空気の通過方向(同図における矢印Bxの向き)とが交差している(吸込方向と通過方向との交差角度が大きい)熱交換部22xについては、第1の吸込み口H1ixから吸い込まれた空気の流動方向が熱交換部22xの通過時に変化させられる分だけ、端部P22axから端部P22bxまでの全域において空気の通過抵抗がやや大きくなる。このため、第1の吸込み口H1ixから吸い込まれた空気の多くが熱交換部22xに到達する以前に冷凍熱交換部21xを通過することとなってしまうため、熱交換部22xを十分な量の空気が通過しない状態となる。
【0011】
特に、熱交換部22xにおいて第1の吸込み口H1ixから最も離れている端部P22bx側においては、第1の吸込み口H1ixから吸い込まれた空気の多くが熱交換部21xや、熱交換部22xにおける端部P22ax側を通過してしまうため、極く少量の空気しか通過しない状態となる。このため、熱交換処理能力の向上のために容量を大きくしているにも拘わらず、同容量の平板状の蒸発器を採用した場合と比較して処理能力を十分に向上させるのが困難となる。なお、「蒸発器」において生じる課題について説明したが、同様の課題は「凝縮器」においても生じることがある。
【0012】
本発明は、かかる解決すべき課題に鑑みてなされたものであり、装置全体の大型化を招くことなく、熱交換器の熱交換処理能力を十分に向上させ得る空気調和装置を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成すべく、請求項1記載の空気調和装置は、冷凍サイクルにおける蒸発器および凝縮器の熱交換器と送風用ファンとが筐体内に収容されると共に、当該熱交換器内の冷媒と熱交換させる空気を導入する導入口および当該熱交換器内の当該冷媒と熱交換させた当該空気を吹き出す吹出口が前記筐体に当該熱交換器毎にそれぞれ1つずつ開口された空気調和装置であって、前記熱交換器は、前記筐体内に配置された状態において、前記導入口から当該筐体内への前記空気の導入方向と当該空気が当該熱交換器を通過する通過方向との交差角度が相違する第1の熱交換部および第2の熱交換部を備えたフィンアンドチューブ式熱交換器で構成され、前記第1の熱交換部における前記交差角度よりも前記第2の熱交換部における前記交差角度の方が大きくなると共に、当該第1の熱交換部の方が当該第2の熱交換部よりも前記導入口寄りに位置するように配置され、かつ前記第2の熱交換部において前記導入口からの距離が短い部位から当該第2の熱交換部において当該導入口からの距離が長い部位に向かうに従ってフィンの配設間隔が徐々に大きくなるように形成されて前記空気の通過抵抗が徐々に小さくなると共に、前記第1の熱交換部の全体、および前記第2の熱交換部において前記導入口からの距離が短い部位の前記フィンの配設間隔が同程度となるように形成されて前記空気の通過抵抗が同程度となるように構成され、前記送風用ファンは、プロペラファンで構成されて翼回転面が前記第2の熱交換部と対向するように前記空気の流路における前記熱交換器の下流側に配設されると共に、当該熱交換器において前記冷媒と熱交換された当該空気を前記吹出口から吹き出すことで前記導入口から前記筐体内に新たな前記空気を導入する。
【0014】
請求項2記載の空気調和装置は、冷凍サイクルにおける蒸発器および凝縮器の熱交換器と送風用ファンとが筐体内に収容されると共に、当該熱交換器内の冷媒と熱交換させる空気を導入する導入口および当該熱交換器内の当該冷媒と熱交換させた当該空気を吹き出す吹出口が前記筐体に当該熱交換器毎にそれぞれ1つずつ開口された空気調和装置であって、前記熱交換器は、前記筐体内に配置された状態において、前記導入口から当該筐体内への前記空気の導入方向と当該空気が当該熱交換器を通過する通過方向との交差角度が相違する第1の熱交換部および第2の熱交換部を備え、前記第1の熱交換部における前記交差角度よりも前記第2の熱交換部における前記交差角度の方が大きくなると共に、当該第1の熱交換部の方が当該第2の熱交換部よりも前記導入口寄りに位置するように配置され、かつ前記第2の熱交換部において前記導入口からの距離が短い部位における前記空気の通過抵抗よりも当該第2の熱交換部において当該導入口からの距離が長い部位における当該空気の通過抵抗の方が小さくなるように形成され、前記筐体は、前記熱交換器が収容された第1の収容空間とは別個に前記筐体内における前記導入方向の奥側に設けられた第2の収容空間内に、前記冷凍サイクルにおける圧縮機、当該冷凍サイクルの動作を制御する制御部、および当該空気調和装置の各部に電源を供給する電源部のうちの少なくとも1つを収容可能に構成されると共に、前記導入口から前記第2の熱交換部に至る前記空気の流路において当該導入口からの距離が長い部位の近傍で前記第2の収容空間を前記第1の収容空間に連通させる通気口が開口されて当該第2の収容空間内の前記空気が当該通気口から当該第1の収容空間に導入されるように構成され、前記送風用ファンは、プロペラファンで構成されて翼回転面が前記第2の熱交換部と対向するように前記空気の流路における前記熱交換器の下流側に配設されると共に、当該熱交換器において前記冷媒と熱交換された当該空気を前記吹出口から吹き出すことで前記導入口および前記通気口から前記第1の収容空間内に新たな前記空気を導入し、前記通気口は、前記吹出口からの前記空気の吹出方向に沿って当該空気調和装置を見たときに前記送風用ファンの翼回転中心に対する前記導入方向の奥側に位置するように開口されている。
【0015】
請求項3記載の空気調和装置は、請求項1または2記載の空気調和装置において、前記筐体内に設けられた蒸発器収容空間内に前記蒸発器が収容されると共に当該筐体内に当該蒸発器収容空間とは別個に当該筐体内に設けられた凝縮器収容空間内に前記凝縮器が収容され、前記筐体には、前記蒸発器と熱交換させる前記空気を前記蒸発器収容空間に導入する第1の導入口からの当該空気の導入方向である第1の導入方向と前記凝縮器と熱交換させた前記空気を前記凝縮器収容空間から吹き出す第2の吹出口からの当該空気の吹出方向である第2の吹出方向とが交差する第1の交差状態、および当該蒸発器と熱交換させた前記空気を当該蒸発器収容空間から吹き出す第1の吹出口からの当該空気の吹出方向である第1の吹出方向と当該凝縮器と熱交換させる前記空気を当該凝縮器収容空間に導入する第2の導入口からの当該空気の導入方向である第2の導入方向とが交差する第2の交差状態のいずれか少なくとも一方の交差状態が生じるように、当該第1の導入口、当該第1の吹出口、当該第2の導入口および当該第2の吹出口がそれぞれ開口されている。
【0016】
請求項4記載の空気調和装置は、請求項3記載の空気調和装置において、前記筐体は、前記第1の吹出方向および前記第2の吹出方向が逆向きとなるように前記第1の吹出口および前記第2の吹出口がそれぞれ開口されている。
【発明の効果】
【0017】
請求項1,2記載の空気調和装置では、蒸発器および凝縮器の熱交換器が、筐体内に配置された状態において、導入口から筐体内への空気の導入方向と空気が熱交換器を通過する通過方向との交差角度が相違する第1の熱交換部および第2の熱交換部を備え、第1の熱交換部における交差角度よりも第2の熱交換部における交差角度の方が大きくなると共に、第1の熱交換部の方が第2の熱交換部よりも導入口寄りに位置するように配置され、かつ第2の熱交換部において導入口からの距離が短い部位における空気の通過抵抗よりも第2の熱交換部において導入口からの距離が長い部位における空気の通過抵抗の方が小さくなるように形成されている。
【0018】
したがって、請求項1,2記載の空気調和装置によれば、一方の熱交換器としての蒸発器を備えた構成では、空気調和装置の大型化を招くことなく、冷風供給を目的として空気調和装置を動作させるときには、蒸発器の容量を十分に大きくして十分な量の空気を蒸発器において温度低下させ、温風供給を目的として空気調和装置を動作させるときには、蒸発器において十分な量の冷媒を気化させることができる。また、蒸発器における第2の熱交換部の全域において第1の熱交換部と同様に十分な量の空気をそれぞれ通過させて蒸発器内の冷媒と熱交換させることができるため、蒸発器における熱交換処理能力が十分に高い空気調和装置を提供することができる。また、一方の熱交換器としての凝縮器を備えた構成では、空気調和装置の大型化を招くことなく、冷風供給を目的として空気調和装置を動作させるときには、凝縮器において十分な量の冷媒を凝縮させ、温風供給を目的として空気調和装置を動作させるときには、凝縮器の容量を十分に大きくして十分な量の空気を凝縮器において温度上昇させることができる。また、凝縮器における第2の熱交換部の全域において第1の熱交換部と同様に十分な量の空気をそれぞれ通過させて凝縮器内の冷媒と熱交換させることができるため、凝縮器における熱交換処理能力が十分に高い空気調和装置を提供することができる。
【0019】
請求項2記載の空気調和装置では、熱交換器が収容された第1の収容空間とは別個に筐体内に設けられた第2の収容空間内に、冷凍サイクルにおける圧縮機、冷凍サイクルの動作を制御する制御部、および空気調和装置の各部に電源を供給する電源部のうちの少なくとも1つが収容されると共に、導入口から第2の熱交換部に至る空気の流路において導入口からの距離が長い部位の近傍で第2の収容空間が第1の収容空間に連通させられている。したがって、請求項2記載の空気調和装置によれば、導入口から導入された空気が到達し難い第2の熱交換部の奥側端部の近傍にも十分な量の空気がスムースに流入するため、熱交換器の全体において偏りなく空気と冷媒との熱交換が行われる結果、熱交換器全体としての熱交換効率を一層向上させることができる。
【0020】
請求項3記載の空気調和装置では、蒸発器と熱交換させる空気を蒸発器収容空間に導入する第1の導入口からの空気の導入方向である第1の導入方向と凝縮器と熱交換させた空気を凝縮器収容空間から吹き出す第2の吹出口からの空気の吹出方向である第2の吹出方向とが交差する第1の交差状態、および蒸発器と熱交換させた空気を蒸発器収容空間から吹き出す第1の吹出口からの空気の吹出方向である第1の吹出方向と凝縮器と熱交換させる空気を凝縮器収容空間に導入する第2の導入口からの空気の導入方向である第2の導入方向とが交差する第2の交差状態のいずれか少なくとも一方の交差状態が生じるように、第1の導入口、第1の吹出口、第2の導入口および第2の吹出口が筐体にそれぞれ開口されている。
【0021】
したがって、請求項3記載の空気調和装置によれば、第1の交差状態が生じる構成では、第2の吹出口から吹き出される高温の空気が第1の導入口から蒸発器収容空間に導入され難いため、第1の導入口から蒸発器収容空間内に導入される空気を蒸発器の通過時に十分に低い温度まで温度低下させた後に第1の吹出口から吹き出させることができ(冷風供給を目的として空気調和装置を動作させるとき)、蒸発器において十分な量の冷媒を気化させることができる(温風供給を目的として空気調和装置を動作させるとき)。また、第2の交差状態が生じる構成では、第1の吹出口から吹き出される低温の空気が第2の導入口から凝縮器収容空間に導入され難いため、蒸発器の通過時に十分に低い温度まで温度低下さられた空気を供給対象に対して無駄なく供給することができると共に凝縮器において十分な量の冷媒を凝縮させることができ(冷風供給を目的として空気調和装置を動作させるとき)、第2の導入口から凝縮器収容空間内に導入される空気を凝縮器の通過時に十分に高い温度まで温度上昇させた後に第2の吹出口から吹き出させることができる(温風供給を目的として空気調和装置を動作させるとき)。
【0022】
請求項4記載の空気調和装置によれば、第1の吹出方向および第2の吹出方向が逆向きとなるように第1の吹出口および第2の吹出口を筐体にそれぞれ開口したことにより、第2の吹出口から吹き出される高温の空気が第1の吹出口から吹き出される低温の空気と混じり難いため、冷風供給を目的として空気調和装置を動作させて蒸発器を通過した空気を供給するときには、供給対象に対して十分に低い温度の空気を供給し、温風供給を目的として空気調和装置を動作させて凝縮器を通過した空気を供給するときには、十分に高い温度の空気を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施の形態に係る空気調和装置1の構成を示す構成図である。
図2】空気調和装置1を正面側から見た内部構造図である。
図3】空気調和装置1の収容空間S1を上方から見た内部構造図である。
図4】空気調和装置1の収容空間S2を上方から見た内部構造図である。
図5】特許文献に開示の冷風機における蒸発器をL型の蒸発器14xに変更した冷風機1xの構成について説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、空気調和装置の実施の形態について説明する。
【0025】
最初に、空気調和装置1の構成について、添付図面を参照して説明する。
【0026】
図1,2に示す空気調和装置1は、「空気調和装置」の一例である可搬型の一体型冷風機であって、一例として、畜舎、温室栽培用建屋、体育館、工場、倉庫および劇場などの比較的大きな建物内や、屋外のイベント会場やスポーツ会場などに設置して使用可能に構成されている。この空気調和装置1は、冷凍サイクル2、送風用ファン3,4、操作部5、表示部6、制御部7、記憶部8および電源部9が直方体状の筐体10内に収容されている(「冷凍サイクルにおける蒸発器および凝縮器の熱交換器」としての「蒸発器」および「凝縮器」の双方が「筐体」内に収容された構成の一例)。
【0027】
冷凍サイクル2は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13および蒸発器14を備え、圧縮機11によって圧送されて凝縮器12において凝縮させられた冷媒が膨張弁13を通過して蒸発器14内に供給されることで、後述するように蒸発器14を通過させられる空気と冷媒との熱交換によって空気の温度を低下させる。なお、図2および後に参照する図3,4では、筐体10を構成する各板体と冷凍サイクル2の各構成要素とを確実かつ容易に区別可能とするために、凝縮器12や蒸発器14を筐体10の内面から大きく離間させた状態で図示しているが、実際には、凝縮器12と筐体10の内面との間や、蒸発器14と筐体10の内面との間を大量の空気が通過することのないように、凝縮器12や蒸発器14が筐体の内面に対して接するか、極く狭い隙間が生じる程度に接近させられている。また、実際の空気調和装置1では、冷凍サイクル2内の冷媒圧力を特定するための圧力センサや、冷媒温度を特定するための温度センサなどを備えているが、これらセンサについての図示および説明を省略する。
【0028】
送風用ファン3は、一例として、蒸発器14において熱交換された空気を筐体10外に吹き出すことで筐体10内に新たな空気(蒸発器14において熱交換させる空気)を導入可能に空気流路における蒸発器14の下流側に配設されている。送風用ファン4は、一例として、凝縮器12において熱交換された空気を筐体10外に吹き出すことで筐体10内に新たな空気(凝縮器12において熱交換させる空気)を導入可能に空気流路における凝縮器12の下流側に配設されている。
【0029】
操作部5は、空気調和装置1の動作開始/停止の指示や、動作条件の設定を行うための操作スイッチを備え、それらの操作に応じた操作信号を制御部7に出力する。表示部6は、空気調和装置1の動作条件や動作状態などの各情報を制御部7の制御下で表示する。
【0030】
制御部7は、空気調和装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部7は、冷凍サイクル2の圧縮機11を制御して冷媒を圧縮させると共に膨張弁13を制御して必要量の冷媒を蒸発器14内に吐出させる。また、制御部7は、送風用ファン3,4を制御して送風させると共に、空気調和装置1の動作状態を表示部6に表示させる。記憶部8は、制御部7の動作プログラムや、空気調和装置1の動作条件のデータなどを記憶する。電源部9は、上記の各構成要素2~8に電源を供給する。
【0031】
筐体10は、「筐体」の一例であって、図2~4に示すように、全体として直方体状に形成されると共に、収容空間S1~S4の4つの空間が設けられている。この場合、収容空間S1には、蒸発器14が収容されている(収容空間S1が、「蒸発器収容空間」の一例であり、かつ「一方の熱交換器」としての蒸発器14が収容された「第1の収容空間」の一例である構成の例)。また、収容空間S2には、凝縮器12が収容されている(収容空間S2が、「凝縮器収容空間」の一例であり、かつ「一方の熱交換器」としての凝縮器12が収容される「第1の収容空間」の一例である構成の例)。
【0032】
さらに、収容空間S3には、冷凍サイクル2の圧縮機11や電源部9が収容されている(収容空間S3が、「第1の収容空間とは別個に筐体内に設けられた第2の収容空間内」の一例である構成の例)。また、収容空間S4には、操作部5、表示部6、制御部7および記憶部8などからなる制御ユニット(「制御部」の一例)が収容されている(収容空間S4が、「第1の収容空間とは別個に筐体内に設けられた第2の収容空間内」の他の一例である構成の例)。
【0033】
また、一例として、筐体10の右側板10aには、蒸発器14内の冷媒と熱交換させる空気を収容空間S1内に導入する導入口H1iが開口され、正面板10bには、蒸発器14内の冷媒と熱交換させた空気を収容空間S1から吹出す吹出口H1oが開口されている。さらに、一例として、筐体10の右側板10aには、凝縮器12内の冷媒と熱交換させる空気を収容空間S2内に導入する導入口H2iが開口され、背面板10cには、凝縮器12内の冷媒と熱交換させた空気を収容空間S2から吹出す吹出口H2oが開口されている。
【0034】
また、一例として、筐体10の底板10dには、電源部9や圧縮機11を冷却するための空気を収容空間S3内に導入する導入口H3iが開口され、収容空間S2,S3を仕切る仕切板10eには、収容空間S3内の空気の一部を収容空間S2内に導入させる通気口H3oが開口されている。さらに、一例として、収容空間S3,S4を仕切る仕切板10fには、制御ユニットを冷却するための空気を収容空間S3内から収容空間S4内に導入させる通気口H4iが開口され、収容空間S4,S1を仕切る仕切板10gには、収容空間S4内の空気を収容空間S1内に導入させる通気口H4oが開口されている。
【0035】
この場合、この筐体10の構成の例では、導入口H1iが、「第1の導入口」に相当すると共に、蒸発器14を「一方の熱交換器」としたときの「導入口」に相当し、かつ吹出口H1oが、「第1の吹出口」に相当すると共に、蒸発器14を「一方の熱交換器」としたときの「吹出口」に相当する。また、この筐体10の構成の例では、導入口H2iが、「第2の導入口」に相当すると共に、凝縮器12を「一方の熱交換器」としたときの「導入口」に相当し、かつ吹出口H2oが、「第2の吹出口」に相当すると共に、凝縮器12を「一方の熱交換器」としたときの「吹出口」に相当する。さらに、この筐体10の構成の例では、通気口H3o,H4oが「第2の収容空間が第1の収容空間に連通させられている」との状態とするための連通孔として機能する。
【0036】
また、本例の空気調和装置1(冷凍サイクル2)では、蒸発器14および凝縮器12の双方が「L型熱交換器」で構成されている。この場合、蒸発器14は、図3に示すように、筐体10内に配置された状態において、導入口H1iから筐体10内(収容空間S1内)への空気の「導入方向(同図に示す矢印Aの向き)」と、導入された空気が蒸発器14を通過する「通過方向(同図に示す矢印Aの向き、および矢印Bの向き)」との「交差角度」が相違する熱交換部21(「第1の熱交換部」の一例)および熱交換部22(「第2の熱交換部」の一例)を備えている。
【0037】
また、蒸発器14は、熱交換部21における「交差角度(本例では、0度)」よりも熱交換部22における「交差角度(本例では、90度)」の方が大きくなると共に、熱交換部21の方が熱交換部22よりも導入口H1i寄りに位置するように配置されている。さらに、本例の空気調和装置1では、導入口H1iから導入された空気が蒸発器14の熱交換部22までスムースに到達するように熱交換部22が筐体10の背面板10cから十分に離間した状態(熱交換部22と背面板10cとの間に十分な広さのスペースが生じる状態:一例として、筐体10の正面板10bと背面板10cとの間の中央部に熱交換部22が位置する状態)となるように蒸発器14が配置されている。
【0038】
また、凝縮器12は、図4に示すように、筐体10内に配置された状態において、導入口H2iから筐体10内(収容空間S2内)への空気の「導入方向(同図に示す矢印Aの向き)」と、導入された空気が凝縮器12を通過する「通過方向(同図に示す矢印Aの向き、および矢印Cの向き)」との「交差角度」が相違する熱交換部31(「第1の熱交換部」の他の一例)および熱交換部32(「第2の熱交換部」の他の一例)を備えている。
【0039】
また、凝縮器12は、熱交換部31における「交差角度(本例では、0度)」よりも熱交換部32における「交差角度(本例では、90度)」の方が大きくなると共に、熱交換部31の方が熱交換部32よりも導入口H2i寄りに位置するように配置されている。さらに、本例の空気調和装置1では、導入口H2iから導入された空気が凝縮器12の熱交換部32までスムースに到達するように熱交換部32が筐体10の正面板10bから十分に離間した状態(熱交換部32と正面板10bとの間に十分な広さのスペースが生じる状態:一例として、筐体10の正面板10bと背面板10cとの間の中央部に熱交換部32が位置する状態)となるように凝縮器12が配置されている。
【0040】
また、本例の空気調和装置1では、蒸発器14と熱交換させる空気を導入する「第1の導入口」としての導入口H1iへの「第1の導入方向(本例では、矢印Aの向き)」と、凝縮器12と熱交換させた空気を吹出す「第2の吹出口」としての吹出口H2oからの空気の「第2の吹出方向(本例では、矢印Cの向き)」とが交差する(本例では、直交する)ように導入口H1iおよび吹出口H2oが筐体10にそれぞれ開口されている(「少なくとも一方の交差状態」としての「第1の交差状態」が生じるように「第1の導入口」および「第2の吹出口」が開口された構成の例)。
【0041】
また、本例の空気調和装置1では、蒸発器14と熱交換させた空気を吹出す「第1の吹出口」としての吹出口H1oからの「第1の吹出方向(本例では、矢印Bの向き)」と、凝縮器12と熱交換させる空気を導入する「第2の導入口」としての導入口H2iへの空気の「第2の導入方向(本例では、矢印Aの向き)」が交差する(本例では、直交する)ように吹出口H1oおよび導入口H2iが筐体10にそれぞれ開口されている(「少なくとも一方の交差状態」としての「第2の交差状態」が生じるように「第1の吹出口」および「第2の導入口」が開口された構成の例)。
【0042】
さらに、本例の空気調和装置1では、「第1の吹出方向(矢印Bの向き)」および「第2の吹出方向(矢印Cの向き)」が逆向きとなるように吹出口H1o,H2oが筐体10にそれぞれ開口されている。
【0043】
また、本例の空気調和装置1における蒸発器14では、熱交換部22において導入口H1iからの距離が短い端部P22a側の部位における空気の通過抵抗よりも、熱交換部22において導入口H1iからの距離が長い端部P22b側の部位における空気の通過抵抗の方が小さくなるように形成されている。具体的には、本例の蒸発器14は、フィン&チューブ形式の熱交換器であって、熱交換部22における端部P22a近傍のフィンの配設間隔(以下、「フィンピッチ」ともいう)が熱交換部21における端部P21aから端部P21bまでのフィンピッチと同程度で、端部P22aから端部P22bに向かうに従ってフィンピッチが徐々に大きくなるように形成されている。
【0044】
さらに、本例の空気調和装置1における凝縮器12では、熱交換部32において導入口H2iからの距離が短い端部P32a側の部位における空気の通過抵抗よりも、熱交換部32において導入口H2iからの距離が長い端部P32b側の部位における空気の通過抵抗の方が小さくなるように形成されている。具体的には、本例の凝縮器12は、フィン&チューブ形式の熱交換器であって、熱交換部32における端部P32a近傍のフィンピッチが、熱交換部31における端部P31aから端部P31bまでのフィンピッチと同程度で、端部P32aから端部P32bに向かうに従ってフィンピッチが徐々に大きくなるように形成されている。
【0045】
この場合、本例の蒸発器14や凝縮器12では、上記のように、フィンピッチを大きくすることで空気の通過抵抗を小さくする構成を採用しているが、このような構成に代えて(または、このような構成と組み合わせて)、空気の通過距離(通過方向に沿った熱交換器の厚み)を薄くして通過抵抗を小さくする構成を採用することもできる。また、熱交換部21,31や熱交換部22,32を構成するフィンの形状を異ならせることで空気の通過抵抗を異ならせることもできる。具体的には、一例として、熱交換部21,31を構成するフィンにおける空気の通過方向に沿った断面形状を非直線状とし、かつ熱交換部22,32を構成するフィンにおける空気の通過方向に沿った断面形状を直線状とすることにより、熱交換部22,33の空気の通過抵抗の方が熱交換部21,31の空気の通過抵抗よりも相対的に小さくなるように構成することもできる。
【0046】
また、本例の空気調和装置1では、前述したように、収容空間S1,S4を仕切る仕切板10gに通気口H4oが開口され、これにより、導入口H1iから蒸発器14の熱交換部22に至る空気の流路において導入口H1iからの距離が長い部位の近傍(本例では、熱交換部22における端部P22bの近傍)の部位で収容空間S4が収容空間S1に連通させられている。さらに、本例の空気調和装置1では、前述したように、収容空間S2,S3を仕切る仕切板10eに通気口H3oが開口され、これにより、導入口H2iから凝縮器12の熱交換部32に至る空気の流路において導入口H2iからの距離が長い部位の近傍(本例では、熱交換部32における端部P32bの近傍)の部位で収容空間S3が収容空間S2に連通させられている。
【0047】
この空気調和装置1では、操作部5に対するスイッチ操作によって運転開始を指示されたときに、制御部7が、冷凍サイクル2や送風用ファン3,4の動作を開始させると共に、動作状態を表示部6に表示させる。この際には、送風用ファン3が電源部9から供給される電力によって送風を開始することにより、収容空間S1内の空気が吹出口H1oから筐体10外に吹き出され、これにより、筐体10外の空気が導入口H1iから収容空間S1内に導入される。また、送風用ファン4が電源部9から供給される電力によって送風を開始することにより、収容空間S2内の空気が吹出口H2oから筐体10外に吹き出され、これにより、筐体10外の空気が導入口H2iから収容空間S2内に導入される。さらに、圧縮機11が電源部9から供給される電力によって冷凍サイクル2内の冷媒を圧縮(圧送)することにより、凝縮器12において凝縮された冷媒が膨張弁13を介して蒸発器14に供給される。
【0048】
この際に、導入口H1iから収容空間S1内に導入された空気は、収容空間S1内において蒸発器14を通過する際に蒸発器14内の冷媒との熱交換によって温度低下させられた後に吹出口H1oから筐体10外(筐体10の正面側)に吹き出される。したがって、吹出口H1oから吹き出される空気の温度は、導入口H1iから導入される空気の温度よりも低温となる結果、吹出口H1oからの空気の吹出方向(図3における矢印Bの向き)の先の空間の温度が低下する。
【0049】
この場合、図3に示すように、導入口H1iから導入される空気は、矢印D21で示すように熱交換部21を通過して吹出口H1oから吹き出されると共に、矢印D22で示すように熱交換部22を通過して吹出口H1oから吹き出される。この際に、本例の空気調和装置1では、熱交換部21が熱交換部22よりも導入口H1i寄りに位置すると共に、導入口H1iからの空気の導入方向と、熱交換部21を通過する通過方向との交差角度が小さくなる(本例では、0度:交差しない状態となる)ように蒸発器14が収容空間S1内に設置されている。したがって、矢印D21で示すように移動する空気が、熱交換部21の端部P21aから端部P21bまでの全域において蒸発器14(熱交換部21)をスムースに通過させられるため、熱交換部21内の冷媒と熱交換部21を通過する空気との熱交換効率が十分に高くなっている。
【0050】
これに対して、熱交換部22は、導入口H1iからの距離が熱交換部21よりも長く、導入口H1iからの空気の導入方向と、熱交換部22を通過する通過方向との交差角度が大きい状態(本例では、90度:直交する状態)となっている。したがって、矢印D22で示すように移動する空気は、移動距離が長く、かつ蒸発器14を通過する以前に移動方向が変化させられる分だけ、熱交換部21を通過させられる空気よりもスムースな移動が困難となる傾向がある。特に、導入口H1iからの距離が最も長い端部P22b側においては、導入口H1iから導入された空気が端部P22bの近傍に到達する以前に、熱交換部21や、熱交換部22の端部P22a側において蒸発器14を通過してしまうため、この端部P22bを通過する空気の量が少量となるおそれがある。
【0051】
しかしながら、本例の空気調和装置1では、前述したように、熱交換部22における端部P22a近傍のフィンピッチが熱交換部21における端部P21aから端部P21bまでのフィンピッチと同程度で、端部P22aから端部P22bに向かうに従ってフィンピッチが徐々に大きくなるように形成されている。これにより、蒸発器14を通過させられる空気の通過抵抗は、導入口H1i寄りの端部P22aにおいては熱交換部21と同程度の通過抵抗となっているものの、導入口H1iからの距離が長い端部P22bにおいては熱交換部21や、熱交換部22における端部P22a側よりも通過抵抗が小さくなっている。したがって、本例の空気調和装置1では、導入口H1iから導入された空気が、熱交換部21や、熱交換部22における端部P22a側と同様に熱交換部22の端部P22b側をスムースに通過するため、熱交換部22についても、端部P22aから端部P22bまでの全域において冷媒と空気との熱交換効率が十分に高くなっている。
【0052】
また、本例の空気調和装置1では、前述したように、収容空間S1,S4を仕切る仕切板10gに収容空間S1,S4を連通させる通気口H4oが設けられている。この場合、本例の空気調和装置1では、通気口H4oが導入口H1iから蒸発器14に至る空気の流路における熱交換部22の端部P22bの近傍において収容空間S1,S4を連通させる位置に設けられ、かつ送風用ファン3が蒸発器14よりも吹出口H1o寄りの位置に配置されている。このため、送風用ファン3が収容空間S1内の空気を吹出口H1oから吹き出すことにより、通気口H4oにおける収容空間S1側に負圧が生じる結果、収容空間S4内の空気が収容空間S1内の熱交換部22における端部P22bの近傍に吸い込まれる。これにより、熱交換部22の端部P22b側においては、導入口H1iから導入された空気に加えて、収容空間S4から通気口H4oを介して吸い込まれた空気が通過させられる結果、十分な量の空気を温度低下させられる。
【0053】
したがって、本例の空気調和装置1では、蒸発器14における熱交換部21の端部P21aから端部P21bまでの全域、および熱交換部22の端部P22aから端部P22bまでの全域において同程度の効率で冷媒と空気との熱交換が行われるため、蒸発器14全体としての熱交換効率が十分に向上している。また、収容空間S4内の空気が収容空間S1内に吸い込まれることで収容空間S3内の空気が通気口H4iを介して収容空間S4内に吸い込まれる結果、収容空間S4内に収容されている制御ユニットが好適に冷却される。これにより、制御ユニットを安定動作させることが可能となっている。
【0054】
一方、導入口H2iから収容空間S2内に導入された空気は、収容空間S2内において凝縮器12を通過する際に凝縮器12内の冷媒との熱交換によって温度上昇させられた後に吹出口H2oから筐体10外(筐体10の背面側)に吹き出される。したがって、吹出口H2oから吹き出される空気の温度は、導入口H2iから導入される空気の温度よりも高温となるものの、前述したように吹出口H1oから筐体10の正面側に吹き出される低温の空気と直接的に交わることがないため、蒸発器14に供給すべき十分な量の冷媒を凝縮器12において凝縮させつつ、吹出口H1oからの空気(冷風)の吹出方向(図4における矢印Bの向き)の先の空間の温度を好適に低下させることが可能となっている。
【0055】
この場合、図4に示すように、導入口H2iから導入される空気は、矢印D31で示すように熱交換部31を通過して吹出口H2oから吹き出されると共に、矢印D32で示すように熱交換部32を通過して吹出口H2oから吹き出される。この際に、本例の空気調和装置1では、熱交換部31が熱交換部32よりも導入口H2i寄りに位置すると共に、導入口H2iからの空気の導入方向と、熱交換部31を通過する通過方向との交差角度が小さくなる(本例では、0度:交差しない状態となる)ように凝縮器12が収容空間S2内に設置されている。したがって、矢印D31で示すように移動する空気が、熱交換部31の端部P31aから端部P31bまでの全域において凝縮器12(熱交換部31)をスムースに通過させられるため、熱交換部31内の冷媒と熱交換部31を通過する空気との熱交換効率が十分に高くなっている。
【0056】
これに対して、熱交換部32は、導入口H2iからの距離が熱交換部31よりも長く、導入口H2iからの空気の導入方向と、熱交換部32を通過する通過方向との交差角度が大きい状態(本例では、90度:直交する状態)となっている。したがって、矢印D32で示すように移動する空気は、移動距離が長く、かつ凝縮器12を通過する以前に移動方向が変化させられる分だけ、熱交換部31を通過させられる空気よりもスムースな移動が困難となる傾向がある。特に、導入口H2iからの距離が最も長い端部P32b側においては、導入口H2iから導入された空気が端部P32bの近傍に到達する以前に、熱交換部31や、熱交換部32の端部P32a側において凝縮器12を通過してしまうため、この端部P32bを通過する空気の量が少量となるおそれがある。
【0057】
しかしながら、本例の空気調和装置1では、前述したように、熱交換部32における端部P32a近傍のフィンピッチが熱交換部31における端部P31aから端部P31bまでのフィンピッチと同程度で、端部P32aから端部P22bに向かうに従ってフィンピッチが徐々に大きくなるように形成されている。これにより、凝縮器12を通過させられる空気の通過抵抗は、導入口H2i寄りの端部P32aにおいては熱交換部31と同程度の通過抵抗となっているものの、導入口H2iからの距離が長い端部P32bにおいては熱交換部31や、熱交換部32における端部P32a側よりも通過抵抗が小さくなっている。したがって、本例の空気調和装置1では、導入口H2iから導入された空気が、熱交換部31や、熱交換部32における端部P32a側と同様に熱交換部32の端部P32b側をスムースに通過するため、熱交換部32についても、端部P32aから端部P32bまでの全域において冷媒と空気との熱交換効率が十分に高くなっている。
【0058】
また、本例の空気調和装置1では、前述したように、収容空間S2,S3を仕切る仕切板10eに収容空間S2,S3を連通させる通気口H3oが設けられている。この場合、本例の空気調和装置1では、通気口H3oが導入口H2iから凝縮器12に至る空気の流路における熱交換部32の端部P32bの近傍において収容空間S2,S3を連通させる位置に設けられ、かつ送風用ファン4が凝縮器12よりも吹出口H2o寄りの位置に配置されている。このため、送風用ファン4が収容空間S2内の空気を吹出口H2oから吹き出すことにより、通気口H3oにおける収容空間S2側に負圧が生じる結果、収容空間S3内の空気が収容空間S2内の熱交換部32における端部P32bの近傍に吸い込まれる。これにより、熱交換部32の端部P32b側においては、導入口H2iから導入された空気に加えて、収容空間S3から通気口H3oを介して吸い込まれた空気が通過させられる結果、十分な量の空気が凝縮器12に到達する。
【0059】
したがって、本例の空気調和装置1では、凝縮器12における熱交換部31の端部P31aから端部P31bまでの全域、および熱交換部32の端部P32aから端部P32bまでの全域において同程度の効率で冷媒と空気との熱交換が行われるため、凝縮器12全体としての熱交換効率(冷媒の凝縮効率)が十分に向上している。また、収容空間S3内の空気が収容空間S2内に吸い込まれることで筐体10外の低温の空気が導入口H3iを介して収容空間S3内に吸い込まれる結果、収容空間S3内に収容されている電源部9や圧縮機11が好適に冷却される。これにより、電源部9から安定的に電源を供給することができると共に、圧縮機11を安定動作させることが可能となっている。
【0060】
この場合、本例の空気調和装置1では、導入口H1iからの空気の導入方向(図3,4に示す矢印Aの向き)と、吹出口H2oからの空気の吹出方向(図3,4に示す矢印Cの向き)とが交差するように(直交するように)導入口H1iおよび吹出口H2oが開口されている。これにより、凝縮器12内の冷媒との熱交換によって温度上昇させられて吹出口H2oから吹き出される高温の空気が導入口H1iから収容空間S1内に導入され難いため、蒸発器14内の冷媒との熱交換によって温度低下させられて吹出口H1oから吹き出される空気の温度を十分に低下させることができる。
【0061】
また、本例の空気調和装置1では、導入口H2iからの空気の導入方向(図3,4に示す矢印Aの向き)と、吹出口H1oからの空気の吹出方向(図3,4に示す矢印Bの向き)とが交差するように(直交するように)導入口H2iおよび吹出口H1oが開口されている。これにより、蒸発器14内の冷媒との熱交換によって温度低下させられて吹出口H1oから吹き出される低温の空気が導入口H2iから収容空間S2内に導入され難いため、供給対象に対して十分な量の冷風を好適に供給することができる。
【0062】
さらに、吹出口H2oから吹き出される空気が高温で、吹出口H1oから吹き出される空気が低温であるため、吹出口H2oから吹き出される空気は、設置場所の室内を上昇し、吹出口H1oから吹き出される空気は、設置場所の室内を下降する。したがって、室内の天井付近は温度上昇するものの、室内において、家畜、人および工作機械等が位置する下方空間については、吹出口H1oから吹き出される冷風によって好適な温度に調整される。
【0063】
このように、この空気調和装置1では、蒸発器14が、筐体10内に配置された状態において、導入口H1iから筐体10内への空気の「導入方向」と「通過方向」との「交差角度」が相違する熱交換部21および熱交換部22を備え、熱交換部21における「交差角度(本例では、0度)」よりも熱交換部22における「交差角度(本例では、90度)」の方が大きくなると共に、熱交換部21の方が熱交換部22よりも導入口H1i寄りに位置するように配置され、かつ熱交換部22において導入口H1iからの距離が短い端部P22a側の部位における空気の通過抵抗よりも熱交換部22において導入口H1iからの距離が長い端部P22b側の部位における空気の通過抵抗の方が小さくなるように形成されている。
【0064】
したがって、この空気調和装置1によれば、空気調和装置1の大型化を招くことなく、「蒸発器」の容量を十分に大きくして十分な量の空気を蒸発器14において温度低下させることができるだけでなく、熱交換部22の端部P22aから端部P22bまでの全域において熱交換部21と同様に十分な量の空気をそれぞれ通過させて蒸発器14内の冷媒と熱交換させることができるため、空気の冷却能力(熱交換処理能力)が十分に高い空気調和装置1を提供することができる。
【0065】
また、この空気調和装置1では、凝縮器12が、筐体10内に配置された状態において、導入口H2iから筐体10内への空気の「導入方向」と「通過方向」との「交差角度」が相違する熱交換部31および熱交換部32を備え、熱交換部31における「交差角度(本例では、0度)」よりも熱交換部32における「交差角度(本例では、90度)」の方が大きくなると共に、熱交換部31の方が熱交換部32よりも導入口H2i寄りに位置するように配置され、かつ熱交換部32において導入口H2iからの距離が短い端部P32a側の部位における空気の通過抵抗よりも熱交換部32において導入口H2iからの距離が長い端部P32b側の部位における空気の通過抵抗の方が小さくなるように形成されている。
【0066】
したがって、この空気調和装置1によれば、空気調和装置1の大型化を招くことなく、「凝縮器」の容量を十分に大きくして十分な量の冷媒を凝縮器12において温度低下させる(凝縮させる)ことができるだけでなく、熱交換部32の端部P32aから端部P32bまでの全域において熱交換部31と同様に十分な量の空気をそれぞれ通過させて凝縮器12内の冷媒と熱交換させることができるため、冷媒の凝縮能力(熱交換処理能力)が十分に高い空気調和装置1を提供することができる。
【0067】
また、この空気調和装置1では、蒸発器14や凝縮器12が収容された収容空間S1,S2とは別個に筐体10内に設けられた収容空間S3,S4に、冷凍サイクル2における圧縮機11、冷凍サイクル2の動作を制御する制御ユニット、および空気調和装置1の各部に電源を供給する電源部9のうちの少なくとも1つ(本例では、すべて)が収容されると共に、導入口H1iから熱交換部22に至る空気の流路において導入口H1iからの距離が長い部位の近傍(本例では、端部P22bの近傍)で収容空間S4が収容空間S1に連通させられ、かつ導入口H2iから熱交換部32に至る空気の流路において導入口H2iからの距離が長い部位の近傍(本例では、端部P32bの近傍)で収容空間S3が収容空間S2に連通させられている。
【0068】
したがって、この空気調和装置1によれば、導入口H1iから導入された空気が到達し難い熱交換部22の端部P22b近傍や、導入口H2iから導入された空気が到達し難い熱交換部32の端部P32b近傍にも十分な量の空気がスムースに流入するため、蒸発器14の全体において偏りなく空気と冷媒との熱交換が行われ、かつ凝縮器12の全体において偏りなく空気と冷媒との熱交換が行われる結果、蒸発器14全体としての熱交換効率(空気の冷却効率)、および凝縮器12全体としての熱交換効率(冷媒の凝縮効率)を一層向上させることができる。
【0069】
さらに、この空気調和装置1では、蒸発器14が収容された収容空間S1とは別個に筐体10内に設けられた収容空間S2内に凝縮器12が収容されると共に、蒸発器14と熱交換させる空気を導入する導入口H1iへの空気の導入方向および凝縮器12と熱交換させた空気を吹出口H2oからの空気の吹出方向が交差する「第1の交差状態」が生じるように導入口H1iおよび吹出口H2oが筐体10にそれぞれ開口されている。したがって、この空気調和装置1によれば、吹出口H2oから吹き出される高温の空気が導入口H1iから収容空間S1に導入され難いため、導入口H1iから収容空間S1内に導入される空気を蒸発器14の通過時に十分に低い温度まで温度低下させた後に吹出口H1oから吹き出させることができる。
【0070】
さらに、この空気調和装置1では、蒸発器14と熱交換させた空気を吹出す吹出口H1oからの空気の吹出方向および凝縮器12と熱交換させる空気を導入する導入口H2iへの空気の導入方向が交差する「第2の交差状態」が生じるように吹出口H1oおよび導入口H2iが筐体10にそれぞれ開口されている。したがって、この空気調和装置1によれば、吹出口H1oから吹き出される低温の空気が導入口H2iから収容空間S2に導入され難いため、蒸発器14の通過時に十分に低い温度まで温度低下さられた空気を供給対象に対して無駄なく供給することができる。
【0071】
また、この空気調和装置1によれば、吹出口H1oからの空気の吹出方向および吹出口H2oからの空気の吹出方向が逆向きとなるように吹出口H1o,H2oを筐体10にそれぞれ開口したことにより、吹出口H2oから吹き出される高温の空気が吹出口H1oから吹き出される低温の空気と混じり難いため、供給対象に対して十分に低い温度の空気を好適に供給することができる。
【0072】
なお、「空気調和装置」の構成は、上記の空気調和装置1の構成の例に限定されない。例えば、低温の空気(吹出口H1oからの吹き出される空気)および高温の空気(吹出口H2oから吹き出される空気)の双方が建物内に吹き出されるような形態で設置された状態での使用態様を例に挙げて説明したが、吹出口H2oからの高温の空気が建物外に吹き出されるように(吹出口H2oを建物外に連通させるように)設置して使用することで、建物内を一層好適に温度低下させることができる。
【0073】
また、供給対象に対して冷風(蒸発器14における冷媒との熱交換によって温度低下させられた空気)を供給可能に構成された空気調和装置1の構成を例に挙げて説明したが、供給対象に対して温風(「凝縮器」における冷媒との熱交換によって温度上昇させられた空気)を供給可能に構成した「空気調和装置」においても上記の空気調和装置1における凝縮器12や蒸発器14と同様に構成した「熱交換器」を採用することができる。このような構成の「空気調和装置」においても、蒸発器における熱交換によって温度低下した定温の空気が建物外に吹き出されるように設置して使用することで、建物内を一層好適に温度上昇させることができる。
【0074】
また、蒸発器14および凝縮器12の双方が「一方の熱交換器」に相当するように熱交換部22,32における端部P22b,P32b側の通過抵抗を小さく構成した例について説明したが、蒸発器14については熱交換部22における端部P22b側の通過抵抗を小さくし、凝縮器12については熱交換部32における端部P32b側の通過抵抗を他の部位と同様とする構成(蒸発器14だけを「一方の熱交換器」とする構成)や、凝縮器12については熱交換部32における端部P32b側の通過抵抗を小さくし、蒸発器14については熱交換部22における端部P22b側の通過抵抗を他の部位と同様とする構成(凝縮器12だけを「一方の熱交換器」とする構成)を採用することもできる。この場合、蒸発器14だけを「一方の熱交換器」とする構成において「凝縮器」については平板状の熱交換器を採用したり、凝縮器12だけを「一方の熱交換器」とする構成において「蒸発器」については平板状の熱交換器を採用したりすることもできる。
【0075】
さらに、上記の空気調和装置1の構成の例における通気口H4oを設けない構成(制御ユニットが収容された収容空間S4と蒸発器14が収容された収容空間S1とを連通させない構成)や、上記の空気調和装置1の構成の例における通気口H3oを設けない構成(電源部9や圧縮機11が収容された収容空間S3と凝縮器12が収容された収容空間S2とを連通させない構成)を採用することもできる。加えて、L型の「熱交換器」で構成した蒸発器14や凝縮器12を備えた例について説明したが、V型の「熱交換器」や、弧状の「熱交換器」など、「交差角度」が相違する熱交換部を有する各種の「熱交換器」で「蒸発器」や「凝縮器」を構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明は、畜舎、温室栽培用建屋、体育館、工場、倉庫および劇場などの比較的大きな建物内や、屋外のイベント会場やスポーツ会場などに設置して使用可能に構成された空気調和装置の発明である。
【符号の説明】
【0077】
1 空気調和装置
2 冷凍サイクル
3,4 送風用ファン
5 操作部
6 表示部
7 制御部
8 記憶部
9 電源部
10 筐体
11 圧縮機
12 凝縮器
13 膨張弁
14 蒸発器
21,22,31,32 熱交換部
S1~S4 収容空間
H1i,H2i,H3i 導入口
H1o,H2o 吹出口
H3o,H4i,H4o 通気口
P21a,P21b,P22a,P22b,P31a,P31b,P32a,P32b 端部
図1
図2
図3
図4
図5