(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】AI管路劣化予測システム、AI管路劣化予測方法及びAI管路劣化予測プログラム
(51)【国際特許分類】
G01M 99/00 20110101AFI20231205BHJP
G01M 3/00 20060101ALI20231205BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20231205BHJP
【FI】
G01M99/00 Z
G01M3/00 H
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2023074756
(22)【出願日】2023-04-28
【審査請求日】2023-06-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391044410
【氏名又は名称】フジ地中情報株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137338
【氏名又は名称】辻田 朋子
(74)【代理人】
【識別番号】100224719
【氏名又は名称】長谷川 隆治
(72)【発明者】
【氏名】田中 寿一
【審査官】岡村 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-094665(JP,A)
【文献】特表2021-519433(JP,A)
【文献】国際公開第2015/129031(WO,A1)
【文献】特開2014-145603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
G01M 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を供給する管路の劣化を予測するAI管路劣化予測システムであって、
管路に起こったイベントのイベント種別及びタイミング情報を含むイベント情報、管路の属性を示す管路属性情報を格納
する1又は複数の拠点における記憶部と、
複数の事業者拠点より前記イベント情報と、前記イベント情報と紐づいた前記管路属性情報を取得して記憶する取得部と、
1又は複数の拠点において、前記イベント情報及び前記管路属性情報を用いて数理モデルの学習を行う学習部と、
前記数理モデルを用いて前記管路属性情報に基づく管路劣化予測を行い予測結果を決定する予測部と、
を備え、
前記学習部は、複数の事業者拠点より収集された前記イベント情報及び前記管路属性情報に基づいて統合モデルの学習を行い、
それぞれの事業者拠点における管路属性情報及びイベント情報を用いて、更に、前記統合モデルの再学習を行い、拠点モデルを生成する、
AI管路劣化予測システム。
【請求項2】
前記予測部は、前記数理モデルを利用して、イベント調査済みエリアに属する管路及び/又はイベント発生済の管路の前記管路属性情報に基づく管路劣化予測を行い予測結果を決定する、請求項1に記載のAI管路劣化予測システム。
【請求項3】
AI管路劣化予測システムは、更に、前記管路属性情報に基づいて管路を分類する分類部を備え、
前記予測部は、分類結果と前記管路属性情報とに基づく管路劣化予測を行い予測結果を
決定する、請求項1に記載のAI管路劣化予測システム。
【請求項4】
前記数理モデルの学習に利用される前記管路属性情報は、地域特性を示すデータを含む、請求項1に記載のAI管路劣化予測システム。
【請求項5】
AI管路劣化予測システムは、更に、新たに追加された前記イベント情報と、前記イベント情報が追加された管路の前記管路属性情報と、を用いて、前記数理モデルの学習を行う
前記学習部を備える、請求項1に記載のAI管路劣化予測システム。
【請求項6】
前記数理モデルの学習に利用される前記管路属性情報は、異常な劣化を示す管を表す異常情報を含む、請求項1に記載のAI管路劣化予測システム。
【請求項7】
AI管路劣化予測システムは、更に、所定期間別のイベント件数に基づいて異常な劣化を示す布設管路を検出し、異常情報を管路に対して付与する異常検出部を備える、
請求項1に記載のAI管路劣化予測システム。
【請求項8】
前記学習部は、特定のイベント種別に分類される管路の前記管路属性情報を用いて、それぞれのイベント種別に対応する前記数理モデルの学習を行う、請求項5に記載のAI管路劣化予測システム。
【請求項9】
前記流体を供給する管路は上水道であって、前記数理モデルの学習に利用される前記管路属性情報は、水理計算に関する水理計算特徴量を含む、請求項1に記載のAI管路劣化予測システム。
【請求項10】
AI管路劣化予測システムは、更に、単一の管路として扱うべき複数の管路を特定し、特定した複数の管路の前記管路属性情報を結合する結合処理を行う結合処理部を備え、
前記数理モデルは、前記結合処理部により処理された前記管路属性情報を利用して学習されたモデルである、
請求項1に記載のAI管路劣化予測システム。
【請求項11】
コンピュータが実行する流体を供給する管路の劣化を予測するAI管路劣化予測方法であって、
コンピュータは、管路に起こったイベントのイベント種別及びタイミング情報を含むイベント情報、管路の属性を示す管路属性情報を
1又は複数の拠点における記憶部に格納し、
複数の事業者拠点より前記イベント情報と、前記イベント情報と紐づいた前記管路属性情報を取得して記憶する取得工程と、
1又は複数の拠点において、前記イベント情報及び前記管路属性情報を用いて数理モデルの学習を行う学習工程と、
前記数理モデルを用いて前記管路属性情報に基づく管路劣化予測を行う予測工程と、
を備え、
前記学習工程では、複数の事業者拠点より収集された前記イベント情報及び前記管路属性情報に基づいて統合モデルの学習を行い、
それぞれの事業者拠点における管路属性情報及びイベント情報を用いて、更に、前記統合モデルの再学習を行い、拠点モデルを生成する、
AI管路劣化予測方法。
【請求項12】
流体を供給する管路の劣化を予測するAI管路劣化予測プログラムであって、
管路に起こったイベントのイベント種別及びタイミング情報を含むイベント情報、管路の属性を示す管路属性情報を格納する
1又は複数の拠点における記憶部を備え
たコンピュータを、
複数の事業者拠点より前記イベント情報と、前記イベント情報と紐づいた前記管路属性情報を取得して記憶する取得部と、
1又は複数の拠点において、前記イベント情報及び前記管路属性情報を用いて数理モデルの学習を行う学習部と、
前記数理モデルを用いて前記管路属性情報に基づく管路劣化予測を行い予測結果を決定する予測部と、
として機能させ、
前記学習部は、複数の事業者拠点より収集された前記イベント情報及び前記管路属性情報に基づいて統合モデルの学習を行い、
それぞれの事業者拠点における管路属性情報及びイベント情報を用いて、更に、前記統合モデルの再学習を行い、拠点モデルを生成する、
AI管路劣化予測プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、AI管路劣化予測システム、AI管路劣化予測方法及びAI管路劣化予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
水道管やガス管などの流体を供給する管路を管理する事業者は、管路の耐用年数の限界や破損が起こった際、管路の交換を行う必要がある。一方で、それぞれの事業者が管理すべき管路の数は非常に多く、交換する必要のある管路を把握することは非常に困難である。
【0003】
特許文献1では、損傷履歴に関する履歴データ及び機械学習に基づいて作成された損傷モデルを利用して将来の配管の破損の尤度の予測を行うシステムに関して開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【0005】
ここで、特許文献1に記載の技術では、損傷を高度に強調したモデル(漏洩モデル)であり、且つ他方は損傷履歴を包含することのないモデル(汎用モデル)を利用して予測を行っているが、管路の損傷原因ごとに予測を行う技術について開示されていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、数理モデルを用いて、個別の管路劣化予測を行う新規な技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、流体を供給する管路の劣化を予測するAI管路劣化予測システムであって、
管路に起こったイベントのイベント種別及びタイミング情報を含むイベント情報、管路の属性を示す管路属性情報、並びに前記イベント情報及び前記管路属性情報を用いて学習済の数理モデル又はパラメータを格納した記憶部と、
イベント種別に対応した前記数理モデルを用いて前記管路属性情報に基づく管路劣化予測を行い予測結果を決定する予測部と、
を備える。
【0008】
このような構成とすることで、管路劣化予測を、漏洩原因などの発生するイベントの種別に応じて行うことができる。
【0009】
本発明の好ましい形態では、前記予測部は、前記数理モデルを利用して、イベント調査済みエリアに属する管路及び/又はイベント発生済の管路の前記管路属性情報に基づく管路劣化予測を行い予測結果を決定する。
【0010】
このような構成とすることで、漏水調査済エリアなど、イベントの発生に関するデータを取得した管路に関して管路属性情報を利用した管路劣化予測を行うことができる。
【0011】
本発明の好ましい形態では、AI管路劣化予測システムは、更に、前記管路属性情報に基づいて管路を分類する分類部を備え、
前記予測部は、分類結果と前記管路属性情報とに基づく管路劣化予測を行い予測結果を決定する。
【0012】
このような構成とすることで、イベント情報を有さないなど、データの少ない管路に関しても分類結果を利用することで管路劣化予測を行うことができる。
【0013】
本発明の好ましい形態では、前記数理モデルの学習に利用される前記管路属性情報は、地域特性を示すデータを含む。
【0014】
このような構成とすることで、それぞれの地域の特性を考慮して管路劣化予測を行うことができる。
【0015】
本発明の好ましい形態では、AI管路劣化予測システムは、更に、新たに追加された前記イベント情報と、前記イベント情報が追加された管路の前記管路属性情報と、を用いて、前記数理モデルの学習を行う学習部を備える。
【0016】
このような構成とすることで、追加された管路に関するデータを利用して数理モデルの学習を行い、当該システムの更新を行うことができる。
【0017】
本発明の好ましい形態では、AI管路劣化予測システムは、更に、複数の拠点より前記イベント情報と、前記イベント情報と紐づいた前記管路属性情報と、をともに収集し、前記管路属性情報と前記イベント情報とを対応付けて記憶する取得部を備え、
前記学習部は、収集された前記イベント情報と前記管路属性情報に基づいて統合モデルの学習を行う。
【0018】
このような構成とすることで、それぞれの拠点において取得された管路に関するデータを利用して汎用的に管路劣化予測を行うことができる統合モデルを生成することができる。
【0019】
本発明の好ましい形態では、前記学習部は、それぞれの拠点において取得された前記管路属性情報と前記イベント情報とを用いて前記統合モデルの学習を行い拠点モデルを生成する。
【0020】
このような構成とすることで、それぞれの事業者の拠点における管路劣化予測に対応する拠点モデルを生成することができる。
【0021】
本発明の好ましい形態では、前記数理モデルの学習に利用される前記管路属性情報は、異常な劣化を示す管を表す異常情報を含む。
【0022】
布設工事手法や資材の不良などの理由により異常な劣化を示す管路が存在する場合がある。このような構成とすることで、正常な管路と、学習の際にノイズとなるような異常な管路を区別して数理モデルの学習に利用することができ、数理モデルによる管路劣化予測の精度を高めることができる。
【0023】
本発明の好ましい形態では、AI管路劣化予測システムは、更に、所定期間別のイベント件数に基づいて異常な劣化を示す布設管路を検出し、異常情報を管路に対して付与する異常検出部を備える。
【0024】
このような構成とすることで、例えば、イベントの発生件数が非常に多い布設年における管路に対して異常情報を付与し、数理モデルによる管路劣化の精度を高めることができる。
【0025】
本発明の好ましい形態では、前記学習部は、特定のイベント種別に分類される管路の前記管路属性情報を用いて、それぞれのイベント種別に対応する前記数理モデルの学習を行う。
【0026】
このような構成とすることで、それぞれのイベント種別ごとに学習を行った数理モデルを利用した様々なイベント種別に対応する管路劣化予測を行うことができる。
【0027】
本発明の好ましい形態では、前記流体を供給する管路は上水道であって、前記数理モデルの学習に利用される前記管路属性情報は、水理計算に関する水理計算特徴量を含む。
【0028】
このような構成とすることで、水理計算特徴量を利用した液体を供給する管路に特に適合する管路劣化予測を行うことができる。
【0029】
本発明の好ましい形態では、AI管路劣化予測システムは、更に、単一の管路として扱うべき複数の管路を特定し、特定した複数の管路の前記管路属性情報を結合する結合処理を行う結合処理部を備え、
前記数理モデルは、前記結合処理部により処理された前記管路属性情報を利用して学習されたモデルである。
【0030】
このような構成とすることで、単一の管路として扱うべき複数の管路を紐づけて単一の管路として学習に利用することができ、より精度よく管路劣化予測を行うことができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明は、学習済の数理モデルを利用してイベント種別に対応した管路劣化予測を行う新規な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図3】管路属性情報及びイベント情報のデータ構成の例
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照して、本発明をよりに詳細に説明する。図面には好ましい実施形態が示されるが、本発明は、異なる形態で実施されることが可能であり、本明細書に記載される実施形態に限定されない。本実施形態では統合装置、拠点装置の構成、動作などについて説明するが、装置などにより実行される方法、コンピュータプログラムなどによっても、同様の作用効果を奏することができる。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能な非一過性の記録媒体として提供されてもよい。
【0034】
以下、説明する実施例において、流体の供給を行う管路の劣化を予測する当該AI管路劣化予測システム0は、上水道管などの液体を供給する管路の劣化予測を行うが、管路に関する劣化予測であれば、ガス管などの管路の劣化予測を行ってもよい。
【0035】
また、当該AI管路劣化予測システム0は、学習済の数理モデル等のAI(artificial intelligence)を利用するシステムである。AIとは、人間の知的能力を模倣して各種処理を行う技術である。本実施形態では、教師あり学習を利用して学習を行った学習済の数理モデルを利用して管路劣化予測を行うが、教師なし学習、強化学習、深層学習等の機械学習に関するその他の手法により生成された学習済モデルを利用して管路劣化予測を行ってもよい。
【0036】
本実施形態において、AI管路劣化予測システム0は、教師あり学習により学習を行った数理モデルを利用する。本実施形態では、教師あり学習の手法として、決定木やk近傍法等の手法を利用して学習を行った学習済の数理モデルを利用して管路劣化予測を行うが、ニューラルネットワーク、サポートベクターマシン等の手法を利用して学習を行った学習済のモデルであってもよい。
【0037】
<1.1.システム構成>
図1は、一実施の形態のシステムの構成を示すブロック図である。
図1に示すように、AI管路劣化予測システム0は、中央拠点に配置された統合装置1及び学習用DBと、1又は複数の事業者拠点に配置された拠点装置2及び管路情報管理装置4と、を備える。
【0038】
<1.1.1.データの定義>
本実施形態では、管路情報管理装置4が管理する拠点内における管路に関するデータを、管路に関する生データとする。統合装置1又は拠点装置2では、管路に関する処理データを用いて、学習や予測が行われる。この生データに対しては、システム内で利用可能とする為に、必要に応じて情報の置換、追加、削除等の変換処理を行う場合があるが、例えば、この変換処理が行われたデータが管路に関する処理データとなる。なお、加工が不要であれば、生データをそのまま処理データとする。また、本実施形態において、数理モデルの学習で利用するために各種変換処理が行われた処理データを学習用データとする。処理データ並びに生データは、管路に関するデータであって、管路属性情報とイベント情報とを含む。
【0039】
この処理データ並びに生データには、過去のイベント発生が記録されたデータと、過去にイベントが発生していないことが記録されたデータと、過去にイベントが発生したか不明なデータと、が含まれる。過去のイベント発生が記録されたデータとは、例えば、過去にイベントが検出されたイベント発生済管路に関するデータである。過去にイベントが発生していないことが記録されたデータとは、例えば、管路の調査が実施され、イベントが発生していないことが確認されたイベント調査済エリアの管路に関するデータである。また、過去にイベントが発生したか不明なデータとは、例えば、イベントが発生しておらず、また調査未実施のイベント未調査エリアにおける管路に関するデータである。過去のイベント発生が記録されたデータと、過去のイベントが発生していないことが記録されたデータが数理モデルの学習に利用される。
【0040】
<1.1.2.AI管路劣化予測システムにおける処理の概要>
以下に示す実施形態では、当該システムの管理者の拠点である中央拠点と、当該システムを利用し、管路の管理を行う事業者の拠点である事業者拠点と、を含む複数の拠点における管路劣化予測について説明を行うが、一か所の拠点内で管路劣化予測及び数理モデルの学習に関する処理が行われてもよい。
【0041】
中央拠点は、AI管路劣化予測システム0管理者の管理する中央の拠点である。また、事業者拠点は、管路を管理する事業者の拠点である。本実施形態において、事業者は、上水道などを管理する水道事業者である。
【0042】
中央拠点では、学習用データを記憶する学習用DBと、管路劣化予測を行うための数理モデル(統合モデル)の学習を行う統合装置1と、が配置される。中央拠点に配置される統合装置1は、後述する機能構成を実現可能に構成される。本実施形態において、中央拠点に配置される統合装置1は、複数の事業者拠点より管路属性情報とイベント情報とを含む学習用データを収集し、収集したデータを利用して数理モデル(統合モデル)の学習に関する処理を行う。本実施形態において、統合装置1は、学習用データを利用して数理モデルの学習に関する処理を行うが、処理前の生データを収集し、収集した生データを利用して数理モデルの学習に関する処理を行ってもよい。また、本実施形態において数理モデルの学習に利用される管路に関する情報は、イベント調査済エリアの管路又はイベント発生済管路に関する情報である。
【0043】
中央拠点に配置される学習用DBは、それぞれの事業者拠点より収集した管路属性情報及びイベント情報に基づく学習用データを記憶するDBであって、統合装置1と同じ情報処理装置に構成されてもよい。
【0044】
事業者の事業者拠点では、数理モデル(拠点モデル)の学習及び管路劣化予測を行う拠点装置2と、端末装置3と、管路情報管理装置4と、が配置される。本実施形態において、管路情報管理装置4は、事業者拠点内における管路に関する情報を管理するGIS(Geographic Information System)として機能する。
【0045】
拠点装置2は、管路情報管理装置4で管理する管路に関する情報を受け取り、拠点用のデータを生成する。そして、拠点用のデータのうち、学習用データを統合装置1に渡す。そして、統合装置1では、この学習用データを利用して統合モデルの学習に関する処理が行われる。拠点装置2では、学習され、拠点に戻された統合モデルに、更に、事業者拠点における管路のデータを利用して学習を行うことで拠点モデルが生成され、生成された拠点モデルを利用した管路劣化予測が行われる。
【0046】
本実施形態において事業者拠点において配置される拠点装置2は、後述する機能構成を実現可能に構成される。拠点装置2は1又は複数の情報処理装置10によって構成されてよく、拠点装置2に含まれる機能構成は、その一部が拠点装置2と通信可能に接続された他の情報処理装置10で実現されてもよい。本実施形態において、事業者拠点における管路劣化予測は、管路DBのデータを利用して学習を行った数理モデルである拠点モデルを利用して行われるが、統合モデルを利用して行われてもよい。また、本実施形態において、拠点装置2の機能構成の一部又は全部は、管路情報管理装置4と同じ情報処理装置10内に構成されてもよい。
【0047】
本実施形態において、事業者拠点に配置される管路情報管理装置4は、管路情報管理部41と、事業者が管理する管路に関する情報のデータベースである管路DBと、を備える。管路情報管理装置4としては、例えば、汎用のサーバやパーソナルコンピュータなどの情報処理装置が用いられてもよい。
【0048】
事業者の拠点において利用される管路情報管理装置4は、事業者が拠点内の管路に関する情報を管理するための管路情報管理部41(GIS等)の機能を備える装置であって、管路属性情報及びイベント情報の管理を行う。本実施形態において、管路情報管理装置4に含まれる管路DBは、事業者が管理する管路のデータベースである。なお、管路情報管理部41が管路DBに格納した管路属性情報、若しくは、管路属性情報及びイベント情報に対しては、住所、座標やEPSGコード等のコード、GeohashやQuadkey等のハッシュ化位置情報、標準地域メッシュ等のメッシュコード等(これらを総称して、位置情報とする)、管路の所在を示す位置情報が1又は複数が付加されているものとする。
【0049】
端末装置3は、学習に用いるデータを拠点装置2に受け渡すなど、情報の入出力に用いられてもよい。端末装置3としては、パーソナルコンピュータやスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータなどの装置を利用することができる。端末装置3は複数台用いられてもよいし、1台であってもよい。
【0050】
また、本実施形態において、AI管路劣化予測システム0は、更に、気象データを提供する気象情報提供システムや地図情報提供システムなどの外部システムにアクセスし、管路劣化予測に利用するためのデータを取得して外部DBに格納する外部データ配信装置と、取得したデータが格納される外部DBと、を備える。
【0051】
本実施形態において、外部データ配信装置は、管路劣化に利用するために外部より取得したデータを、当該システムで利用可能な形式に変換する処理を行い、外部より取得したデータを外部DBに格納し、格納されたデータを統合装置1や拠点装置2に受け渡すが、取得したデータをそのまま受け渡してもよい。外部データ配信装置における変換する処理とは、外部より取得したデータを所定の桁数や単位に変換したり、データ置換し、統合装置1や拠点装置2で扱う形式に変換する処理である。外部データ配信装置は、例えば、外部システムが提供するウェブAPI(Application Programming Interface)等のAPIに対して、位置情報を送信して外部データを収集し、所定の変換を行う。
【0052】
外部DBは、外部データ配信装置が取得した外部のデータを格納するデータベースである。外部データ配信装置は、外部DBに格納されたデータを配信する装置である。外部DBに格納され管路劣化予測に利用されるデータは、USBメモリやCD-ROMなどの可搬記憶媒体を利用して拠点装置2に提供されるが、ネットワークを介して提供されてもよい。
【0053】
本実施形態において、外部データ配信装置は、当該システムの管理者が管理する装置であって、外部のデータベース等より管路に関する外部情報を取得し、外部DBに格納する処理を行うが、取得した情報をそのまま受け渡す処理を行ってもよい。
【0054】
また、統合装置1や拠点装置2等の情報処理装置10は、外部データ配信装置を介さず、APIを利用する等の様々な方法を用いて、ネットワーク等を介して通信可能に接続された気象情報提供システムや地図情報提供システム等の外部システムより直接管路劣化予測に必要な情報を取得する処理を行ってもよい。
【0055】
本実施形態において、事業者拠点に設置される拠点装置2及び管路情報管理装置4は、扱うデータが流出するリスクなどの観点から、USBメモリやCD-ROMなどの可搬記憶媒体を用いて拠点間でデータのやり取りを行うものとする。一方で、これら事業者の一部又はすべての事業者に関して、拠点装置2や、拠点装置2と接続された端末装置3等と、統合装置1と、を図示しないIP(Internet Protocol)ネットワーク上のVPN(Virtual Private Network)など任意のネットワークを介して通信可能に構成し、ネットワーク経由でのデータのやり取りを行ってもよい。
【0056】
<1.2.ハードウェア構成>
図2は、ハードウェア構成図である。
図2(a)に示すように、情報処理装置10(統合装置1、拠点装置2)は、処理部101、記憶部102、及び通信部103を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。また、
図2(b)に示すように、端末装置3は、処理部301、記憶部302、通信部303、入力部304、及び出力部305を有し、各部及び各工程の作用発揮に用いられる。
【0057】
統合装置1及び拠点装置2としては、汎用のサーバやパーソナルコンピュータなどの情報処理装置10を1又は複数利用することができる。また、統合装置1及び拠点装置2は、後述する機能構成を備えているが、統合装置1及び拠点装置2の備えた機能構成の一部が、統合装置1及び拠点装置2と通信可能に構成された別の装置に配置されてもよい。
【0058】
処理部101及び処理部301は、命令セットを実行可能なCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサを有し、OS(Operating System)並びに、学習プログラム(統合装置1又は拠点装置2の場合)、AI管路劣化予測プログラム(拠点装置2の場合)、又は管路管理プログラム(管路情報管理装置4の場合)や、統合装置利用プログラム又は拠点装置利用プログラム(端末装置3の場合)などを実行する。
【0059】
記憶部102及び記憶部302は、命令セットを記憶可能なRAM(Random Access Memory)などの揮発性メモリ、OSなどを記録可能な、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記録媒体を有する。統合装置1の記憶部102は、学習プログラムを記憶する。また、拠点装置2の記憶部102は、学習プログラムを含むAI管路劣化予測プログラム並びに、管路劣化予測のための学習済みの数理モデル又は学習済の数理モデルのパラメータを記憶する。端末装置3の、記憶部302は、統合装置利用プログラム又は拠点装置利用プログラムなどを記憶する。管路情報管理装置4の記憶部302は、管路管理プログラムを記憶する。
【0060】
通信部103及び通信部303は、ネットワークに物理的に接続するためのインタフェースを有し、ネットワークとの通信制御を実行して、他の情報処理装置10や端末装置3との通信を行う。
【0061】
入力部304は、タッチパネルやキーボードなどの入力処理が可能な操作入力デバイス、マイクなどの音声入力が可能な音声入力デバイスなどを有する。出力部305は、ディスプレイなどの表示処理が可能な表示デバイス、スピーカなどの音声出力デバイスを有する。
【0062】
<1.3.機能構成>
図1に示すように、統合装置1は、取得部11と、学習部12と、を備える。
【0063】
また、
図1に示すように、拠点装置2は、取得部21と、学習部12と、異常検出部13と、結合処理部14と、予測部15と、分類部16と、を備える。また、管路情報管理装置4は、管路情報管理部41を備える。これは、ソフトウェア(記憶部などに一過的又は非一過的に記憶されたプログラム)による情報処理が、ハードウェア(処理部など)によって具体的に実現されたものである。
【0064】
<1.3.1.取得部11及び取得部21の構成>
取得部11及び取得部21は、受け渡された管路属性情報やイベント情報などのデータを管路DBや学習用DBなどの通信可能に接続されたデータベースより取得し、統合装置1や拠点装置2に受け渡す処理を行う。
【0065】
本実施形態において、取得部11及び取得部21は、学習用DBや管路DB等の管路属性情報及びイベント情報を含む管路に関する情報を記憶するデータベースにアクセスして必要な各種情報を取得して学習部12や予測部15に受け渡す処理を行うが、ネットワークを介して通信可能に接続された外部データ配信装置より外部DBに格納されるデータを取得する処理や、API等を利用して外部の情報提供システムにアクセスして必要なデータを取得する処理を行ってもよい。
【0066】
また、取得部11又は取得部21は、それぞれの事業者で管路の呼称が違う場合やデータのフォーマットが異なる場合など、各拠点で管路情報管理装置4が管理するデータの形式が揃っていない場合、管路名の統一やフォーマットを揃える処理等、当該システムで利用可能な形式に変換する処理を行う。本実施形態では、中央拠点の統合装置1に提供される学習用データは、拠点装置2において変換されたデータである。また、統合装置1又は拠点装置2の記憶部102は、管路の名称の変換に利用する辞書データ、対応表等、変換に利用するデータを記憶していてもよい。また、取得部11又は取得部21は、外部の情報提供システムや外部DBより情報を取得し、管路情報管理部41が管路DBに格納した管路属性情報及び/又はイベント情報や、変換後の情報に対して、後述の環境特徴量や地域特徴量等のデータを付加してもよい。この時、必要に応じて、外部より取得したデータを所定の桁数や単位に変換したり、データ置換したりする等、統合装置1や拠点装置2で扱う形式への変換を行い、付加してもよい。
【0067】
取得部11は、中央拠点の統合装置1に配置され、事業者拠点より管路属性情報とイベント情報とを含む管路に関する情報を取得して、学習用DBに格納する。また、学習用DBより学習用データを取得し、統合装置1の学習部12に受け渡す処理を行う。また、統合装置1の取得部11は、通信可能に接続された外部データ配信装置等の装置より学習に利用するデータを取得し、補完や形式等を揃える等の前処理を行ってから処理済みのデータを学習用DBに格納する処理を行ってもよい。
【0068】
また、本実施形態において、取得部11は、可搬記憶媒体を利用して事業者拠点より提供された管路に関する情報を中央拠点において図示しない端末装置を介して受け付け、学習用DBに格納する処理を行う。取得部11は、可搬記憶媒体やネットワークを介して提供された管路劣化予測に利用する管路に関する情報を補完や形式を揃える処理を行ってもよい。
【0069】
取得部21は、事業者拠点の拠点装置2に配置され、管路DBより統合モデルの学習に利用する管路属性情報とイベント情報とを含む管路に関する情報を取得し、拠点装置2の学習部12又は予測部15に受け渡す処理を行う。また、本実施形態において、事業者拠点における取得部21は、記憶媒体を介して取得された管路劣化予測に用いる数理モデルを受け付け、記憶部102に記憶する。また、事業者拠点において、取得部21は、端末装置3を介して入力される管路に関する情報を受け付ける処理を行ってもよい。取得部21は、管路DBより取得した数理モデルの学習や管路劣化予測に利用する管路に関する情報の補完や形式を揃える処理等利用しやすい形に変換する処理を行う。
【0070】
<1.3.2.データ構成>
図3において、統合装置1又は拠点装置2に受け渡され、学習処理又は管路劣化予測に利用されるデータ構成の例を示す。
【0071】
図3(a)において、それぞれの管路の特徴に関する管路属性情報のデータ構成の例を示す。本実施形態において管路属性情報は、管路に関する情報であって、管路の管理を行う事業者のデータベースなどより取得されるデータであるが、一部の管路属性情報は、統合装置1や拠点装置2と通信可能に接続された端末装置3などを介して、管路の管理を行う事業者や当該システムの管理者により入力されたデータであってもよい。管路属性情報は、学習部12又は予測部15において利用される管路に関する特徴量を含む。また、本実施形態において、学習部12及び予測部15は、管路属性情報に含まれる60から70程度の管路に関する特徴量を利用して学習又は管路劣化予測を行うが、管路属性情報に含まれる特徴量の数はこの範囲に限定されない。
【0072】
図3(a)に示す管路属性情報は、管路に関する情報であって、管路の布設された年度に関する布設年と、ダクタイル鋳鉄管(DIP)や普通鋳鉄管(CIP)などの管路の材料に関する情報である管種と、管路の口径と、漏水調査が行われたかなどのイベント情報の有無に関する漏水調査の有無と、に関する管路属性情報に含まれる特徴量と管路を特定する一意なIDで紐づけたものであるデータを含む。
【0073】
本実施形態において、管路劣化予測に利用する管路属性情報は、
図3(a)に示す情報に加えて、水理計算に関連する特徴量である水理計算特徴量と、管路の布設位置における環境に関する環境情報と、異常な劣化を示す管路を表す異常情報と隣接する管路の管種を含む隣の管路に関する隣接管路情報などの管路に関する情報を含む。
【0074】
本実施形態において、管路の布設された場所の環境に関する環境情報は、布設場所の平均気温、平均降水量、主要道路からの距離や道路の交通量などの情報を含む。また、管路の劣化に関係する特徴量であれば、管路の設置場所など、その他の情報が管路属性情報として含まれてもよい。また、取得部11及び取得部21は、管路劣化予測又は学習に利用するデータを外部の情報配信システムや外部DBなどより外部データ配信装置を介して取得し、取得したデータを管路属性情報として記憶部102に記憶してもよい。
【0075】
水理計算特徴量は、管路属性情報に含まれる特徴量などに基づいて水理計算を行ったことで得られた特徴量と、現地調査による実測値と、を含む水理計算に関連する特徴量であって、管路における水流の流量や圧力、給水人口、流量、流速などを含む。本実施形態において、水理計算特徴量を取得するための現地調査は、水圧測定と、流量測定と、給水使用量と、を含む。
【0076】
管路属性情報は、地域特性を示すデータである地域特徴量を含む。地域特性を示すデータは、管路の布設される地域の特性を示すデータであって、例えば管路の布設される地域の土壌の特性や気候に関するデータであってもよい。
【0077】
図3(b)において、取得部11又は取得部21において取得されるイベント情報のデータ構成の例を示す。イベント情報は、水道やガス管等の管路において発生した漏水や破損、漏洩などのイベントに関する情報であって、本実施形態では、水道事業者などの管路を管理する事業者によるイベント調査によって取得された漏水の発生履歴などのイベントに関する情報と、突発的な漏水事故が発生した管路の修理や交換を行った水道事業者などによって取得された管路において発生済みのイベントに関する情報とを含む。
【0078】
イベント調査は、管路の管理を行う事業者によって実施される、管路において漏水等のイベントが発生したかに関する調査であって、本実施形態では管路の漏水調査である。また、本実施形態において、イベント情報は、まだイベント調査が行われていないイベント未調査エリアにおいて、突発的に発生した漏水事故やガス管の破損などのイベントに関する情報を含む。また、このような突発的に管路に発生したイベントに関するイベント情報は、管路属性情報と紐づいていなくてもよい。
【0079】
図3(b)に示すイベント情報は、イベントを特定するための一意なIDである漏水データIDと、イベントが発生した管路の管路IDと、漏水原因と、タイミング情報としてイベントの発生した年度に関するイベント発生年度(漏水年)を含む。タイミング情報は管路においてイベントが発生したタイミングに関する情報である。
図3(b)に示すデータでは、タイミング情報としてイベントが発生した年度に関するデータが含まれるが、管路の布設年とイベント発生年度より取得したイベント発生までの管路の生存時間がタイミング情報として含まれていてもよい。本実施形態において、イベント情報とタイミング情報とは同じ漏水データIDに紐づいて管理される。
【0080】
本実施形態において、イベント情報に含まれるイベント種別は、漏水原因等の管路の損傷の原因及びイベント発生の有無を示す情報であって、例えば、水道管の腐食劣化と電食漏水と振動漏水などの漏水原因に関する情報が格納される。また、漏水の発生していない管路に関しては、イベント種別として漏水無しという情報が格納されてもよい。本実施形態では、イベント情報は水道管の漏水に関する情報であるが、ガス管の破裂や破損など、その他管路で発生するイベントに関する情報であってもよい。
【0081】
また、管路属性情報やイベント情報などの管路に関する情報は、事業者ごとに形式が異なることや、欠落が発生することが想定される。取得部11又は取得部21は、管路属性情報やイベント情報などの管路に関する情報に対して、データの形式などを揃えたり、欠落したデータを補完したりするなどの前処理を行ってもよい。また、本実施形態において、取得部11又は取得部21は、取得した管路に関する情報がイベント未調査エリアにおいて取得されたなどイベント情報を有さないデータを含む場合、イベント未調査エリアにおいて取得されたデータなど、イベント情報未取得管路のデータを除外した学習用データを生成する。
【0082】
<1.3.3.異常検出部13の構成>
異常検出部13は、異常な劣化を示す管路に対して異常情報を付与する。本実施形態において、異常検出部13は、1年間で布設管路数ごとに漏水や漏ガスなどの発生したイベント件数に基づいて異常年度を検出し、検出した異常年度に布設された管路に対して異常情報を付与する。異常検出部13は、年度ごとのイベント件数と年度ごとの布設管路数とに基づいて布設管路数ごとのイベント件数を算出する。異常検出部13は、特定の年度の布設管路数ごとのイベント件数が多く、特定の年度の布設管路が異常な劣化を示す場合、その年度に布設された管路に対して異常情報を付与する。
【0083】
本実施形態において、異常検出部13により付与された異常情報は、特定の布設年における特定の事業者の布設工事手法などの理由で異常な劣化を示す特定の布設年に布設された管路であるか否かを表す異常年度フラグであるが、その他、異常な劣化を示す管路を表す情報であればどのような情報であってもよい。
【0084】
図4(a)において、特定の事業者UAの管理する管路の布設年ごとのイベント発生率を示す。以下の式(1)において、本実施形態におけるイベント発生率の算出法を示す。
【0085】
【0086】
図4(a)において、特定の事業者UAが管理する管路のイベント発生率のグラフの例を示す。
図4(a)に示すように、1959年に布設された管路が他の年度に布設された管路に対して非常に高いイベント発生率を示す。異常検出部13は、式(1)により算出された布設管路数ごとのイベント発生率が他の年度と比較して非常に高い1959年に布設された管路に対して異常情報を付与する。本実施形態において、異常検出部13は、イベントの発生件数や発生率を集計し、指数加重移動平均を用いて、異常にイベント発生件数が高い年度に布設された管路に異常情報を付与する。また、本実施形態において、異常検出部13は、特定の事業者UAの管理する1959年に布設された管路に対して異常情報を付与した場合であっても、他の事業者UBの管理する1959年に布設された管路に対して異常情報の付与は行わない。
【0087】
<1.3.4.結合処理部14の構成>
結合処理部14は、2以上の管路の管路属性情報の類似度を算出し、類似度が閾値以上であるとき、管路属性情報を同じ管路IDに紐づける結合処理を行う。また、結合処理部14は、イベント情報が管路属性情報と紐づいていない場合、イベントの発生した近隣における同種の管路や類似する管路属性情報を備える管路の管路属性情報をイベント情報とを紐づける処理を行ってもよい。本実施形態において、結合処理部14は、近隣に存在するほとんど同じと見なせるような複数の管路に一つのイベント情報を紐づけるため、類似する管路属性情報を備える複数の管路の管路属性情報を紐づける処理を行う。
【0088】
図4(b)に示すように、複数の管路が継手により接続している場合、結合処理部14は、管種と口径と布設年とが同じ隣り合う複数の管路に関して、管種と口径と布設年以外の管路属性情報の類似度を算出する処理を行う。また、結合処理部14は、管種と口径と布設年を含むすべての管路属性情報を利用して類似度を算出する処理を行ってもよい。
【0089】
図4(b)に示す例では、管A及び管Cの類似度の算出を以下のような式を利用して算出する。以下の式(2)で算出した類似度が閾値以上であるとき、結合処理部14は、管A及び管Cの管路属性情報を同じ管路IDに紐づけ、記憶部102に記憶する。
【0090】
本実施形態において、結合処理部14は、以下に示すコサイン類似度を利用して類似度を算出する処理を行うが、ユークリッド距離やジャッカード係数、ダイス係数等の他の方法を利用して類似度を求める処理を行ってもよい。
【0091】
【0092】
本実施形態において、異常検出部13及び結合処理部14は、拠点装置2に設けられるが、統合装置1に設けられてもよい。
【0093】
<1.3.5.学習部12の構成>
学習部12は、管路属性情報とイベント情報の組み合わせを教師データとして管路劣化予測を行うための数理モデルの学習を行う。学習部12は、それぞれのイベント種別ごとに対応する複数の数理モデルの学習を行う。
【0094】
図5において、取得部11又は取得部21において収集され、学習のために形式を整えられた管路属性情報及びイベント情報を含む学習用データのデータ構成の例を示す。
図5に示す学習用データは、取得部11又は取得部21により収集された管路属性情報及びイベント情報に基づいて生成され、学習部12における数理モデルの学習に利用される学習用のデータである。本実施形態において、学習部12は、取得部11により形式を整えられた学習用データを利用して学習を行うが、
図3に示す管路属性情報とイベント情報とを利用して学習を行ってもよい。
【0095】
学習用データは、管路に関する情報であって、漏水データIDと、布設年と、管路IDと、管路の布設からイベント発生までの時間又は前回のイベント発生からその次のイベント発生までの時間である生存時間と、イベント種別に関するラベルである教師ラベルと、イベントが発生した管路におけるその時点での過去の漏水発生件数等のイベント件数と、異常年度に関する異常情報と、を含む。本実施形態において、学習用データに含まれる教師ラベルは、イベント種別に関するデータであって、それぞれのイベント種別ごとに付与されるラベルである。また、学習用データは、管路属性情報に含まれるデータであればどのようなデータを含んでもよい。取得部11又は取得部21は、取得した管路に関する情報よりそれぞれのイベント種別に基づく教師ラベルを付与された学習用データを生成する処理を行ってもよい。
【0096】
学習部12は、管路属性情報とイベント情報とを利用してイベント種別に対応する数理モデルの学習を行う。本実施形態において、学習部12は、腐食劣化と、漏水無しと、電食漏水と、振動漏水と、その他不良漏水と、を含む複数のイベント種別に基づいて、それぞれのイベント種別に対応した複数の数理モデルの学習を行う。
【0097】
本実施形態において、学習部12は、イベント種別に関する教師ラベルに基づいて学習用データを利用して管路劣化予測のための数理モデルの学習を行う。例えば、腐食劣化による管路劣化を予測する数理モデルによる腐食劣化モデルを生成する場合、学習部12は、教師ラベルとして腐食劣化に関するラベルが付与された漏水データIDが1の管Aのデータと漏水データIDが2の管Cのデータを利用して学習した数理モデルより腐食劣化モデルの生成を行う。また、腐食劣化以外の不良による管路劣化を予測する数理モデルによるその他不良モデルを生成する場合、学習部12は、教師ラベルとしてその他不良に関するラベルが付与された漏水データIDが3の管Cのデータを利用して学習した数理モデルよりその他不良モデルの生成を行う。
【0098】
図6(a)を用いて統合モデルの生成及び拠点モデルの生成に関して説明を行う。
【0099】
図6(a)を用いて統合モデルの生成に関する統合処理について説明する。統合装置1は、事業者UAと事業者UBと事業者UCのそれぞれの事業者の拠点において取得された管路属性情報とイベント情報とを当該システムの管理者の中央拠点に収集し、収集したデータを利用して学習を行った数理モデルである統合モデルを生成する。
【0100】
当該システムの管理者による中央拠点に配置される統合装置1は、それぞれの事業者拠点より収集され、中央拠点において統合されたデータを利用して学習を行い、生成した数理モデルによる統合モデルを生成する統合処理を行う。統合装置1の学習部12は、事業者UAと事業者UBと事業者UCのそれぞれの事業者拠点において収集された管路属性情報及びイベント情報を含む管路に関する情報を取得し、収集した管路に関する情報を利用して学習を行った数理モデルである統合モデルを生成する統合処理を行う。
【0101】
本実施形態において、学習部12は、当該システムの管理者が有するそれまでに取得した管路属性情報とイベント情報を利用して学習を行った統合モデルに新たなデータを利用するファインチューニングを行うことで統合モデルの学習を行う。また、学習部12は、システムの管理者が学習済の統合モデルを有さない場合、取得した管路属性情報及びイベント情報を利用して学習を行い新たに学習済の数理モデルである統合モデルを生成してもよい。
【0102】
統合装置1の学習部12は、収集したそれぞれの事業者が管理する管路におけるイベント情報と、イベント情報に紐づいた管路属性情報に基づく学習用データを利用して統合モデルの学習を行う。本実施形態において、統合モデルは定期的に更新され、学習部12は、前回の更新から今回の更新までの間に事業者拠点で収集されたイベント情報と、収集されたイベント情報と紐づいた管路属性情報と、に基づいて生成された学習用データを利用して統合モデルの再学習を行う。
【0103】
本実施形態において、学習部12は、イベント調査済エリア又はイベント発生済管路において取得されたイベント情報が取得されている管路のイベント情報及びイベント情報と紐づいた管路属性情報を利用して学習を行う。
【0104】
また、各事業者の事業者拠点において、拠点装置2の学習部12は、それぞれの事業者の拠点において利用されるそれぞれの事業者の管路に対応する拠点モデルの生成を行う。
【0105】
本実施形態において、拠点装置2の学習部12は、事業者拠点において、管路DBに格納される管路に関する情報を利用して統合モデルの再学習を行い、それぞれの事業者拠点に対応する拠点モデルを生成する。例えば、当該システムを利用する事業者UAの管理する管路に関して対応する管路劣化予測を行うための拠点モデルを生成する際、学習部12は、統合モデルを拠点BAにおいて取得された管路属性情報及びイベント情報を含む管路に関する情報を利用して学習を行うことで事業者UAの事業者拠点における管路劣化予測に対応する拠点モデルMAを生成する。
【0106】
本実施形態において、学習部12は、それぞれの事業者の事業者拠点や中央拠点において十分なデータが収集された際に上記の統合処理及び拠点モデルの生成に関する処理を行い、数理モデルの更新を行う。また、本実施形態において、学習部12は、ファインチューニングにより追加のデータを利用した学習済の統合モデルの再学習を行っているが、学習済のモデルに関して追加のデータを利用して学習を行うような方法であれば、どのような方法を利用して処理を行ってもよい。
【0107】
本実施形態において、学習部12は、新たに取得したデータを利用して統合モデルの学習と学習済の統合モデルの再学習による拠点モデルの学習を繰り返し行う。中央拠点の学習部12は、例えば、昨年度の統合モデルを今年度に収集されたデータを利用して更に学習を行うことで今年度の統合モデルの生成を行う。事業者拠点の学習部12は、生成した今年度の統合モデルを今年度に事業者拠点において収集されたデータを利用して更に学習を行うことで今年度の拠点モデルの再学習を行う。
【0108】
<1.3.6.予測部15及び分類部16の構成>
予測部15は、それぞれのイベント種別ごとに対応する数理モデルを利用して管路属性情報に基づく管路劣化予測を行う。本実施形態において、予測部15は、腐食劣化と、漏水無しと、電食漏水と、振動漏水と、その他不良漏水とを含む複数のイベント種別に対応する数理モデルを利用して管路劣化予測を行う。予測部15は、管路に関する情報に基づいて管路劣化予測を行い、それぞれのイベント種別ごとに特定の期間におけるイベントの発生する確率である管路劣化率を予測結果として出力する。予測部15は、1年以内のイベントの発生する確率と3年以内のイベントの発生する確率と5年以内のイベントの発生する確率と10年以内のイベントの発生する確率とをそれぞれのイベント種別ごとに出力してもよい。
【0109】
また、予測部15は、特徴量の重要度を算出し、取得した重要度に基づいて貢献度の高い管路属性情報の名称を出力する。本実施形態では、予測部15は、貢献度が上位3位までの管路属性情報の名称を出力する。また、本実施形態において、予測部15は、特徴量の重要度を示す指標としてシャープレイ値を利用するが、相関係数など、その他の特徴量の重要度を利用してもよい。
【0110】
また、本実施形態において、予測部15は、管路属性情報に含まれる管路の布設年とイベント情報に含まれるイベント発生年度を利用して算出した管路の生存時間をタイミング情報として利用して管路劣化予測を行う。
【0111】
予測部15は、機械学習を行った数理モデルであれば、勾配降下法やブースティング、決定木やニューラルネットワーク、ロジスティック回帰やk近傍法など、また、複数の手法を組み合わせるような手法など、どのような手法で構成された数理モデルを利用して管路劣化予測を行ってもよい。予測部15は、イベント種別ごとに異なる手法により構成された数理モデルを利用して管路劣化予測を行ってもよい。また、予測部15は、複数の数理モデルを利用して管路劣化予測を行ってもよい。
【0112】
腐食劣化に対応する数理モデルを利用した管路劣化予測について説明する。本実施形態において、予測部15は、腐食劣化に対応する数理モデルを利用した管路劣化予測として生存時間分析を行う。本実施形態において、予測部15は、腐食劣化というイベントの発生までの時間を予測し、その予測結果を利用して管路劣化予測の結果として管路劣化率を出力するが、腐食劣化が発生するまでの時間の予測値を管路劣化予測の結果として出力してもよい。また、本実施形態において、予測部15は腐食劣化に関する管路劣化予測をカプランマイヤー法やCox比例ハザードモデルなどの生存時間分析の手法を利用して行うが、生存時間分析に関する手法であれば、どのような手法を用いて腐食劣化に関する管路劣化予測を行ってもよい。
【0113】
本実施形態において、予測部15は、漏水無しと、電食漏水と、振動漏水と、その他不良漏水とを含む腐食劣化以外のイベント種別に対応する数理モデルを利用して管路劣化予測を行う。本実施形態において、予測部15は、腐食劣化以外のイベント種別に関する管路劣化予測では管路の生存時間を含むタイミング情報を一つの特徴量として管路劣化予測を行う。
【0114】
予測部15は、予測を行う管路の管路属性情報が漏水調査済エリアなどのイベント調査済エリアやイベント発生済管路において取得されたデータであるとき、それぞれのイベント種別ごとに対応した数理モデルを利用して管路属性情報に基づく管路劣化予測を行う。予測部15は、管路属性情報に含まれる管路に関する特徴量をそれぞれのイベント種別に関する教師ラベルと紐づけて学習を行った多値分類のモデルを利用して管路劣化予測を行う。
【0115】
分類部16は、管路属性情報に基づいて管路の分類を行う。分類部16は、分類を行うと、分類結果に関する情報を管路属性情報と関連付けて記憶する。本実施形態において、分類部16は、管路属性情報に含まれる空間的自己相関性の少ないデータを利用して管路の分類を行う。また、本実施形態において、分類部16は、予測部15が管路属性情報に基づいて出力した管路の管路劣化率の推論値と管路属性情報を利用して分類を行うが、管路属性情報のみを利用して分類を行ってもよい。
【0116】
予測部15は、予測を行う管路の管路属性情報が、漏水未調査エリアなどイベント調査を行っていないイベント未調査エリアのイベント情報未取得管路のデータであるとき、学習済の数理モデルを利用した管路属性情報に基づく推論値と、分類部16による分類結果と、を利用した管路劣化予測を行う。以下、
図6(b)を用いて漏水未調査エリアなどイベント未調査エリアにおけるイベント情報未取得管路に関する管路劣化予測の方法を説明する。
【0117】
図6(b)に示すように、管A、管B、管Cは、分類部16により管路属性情報に基づく管路劣化率の推論値と管路属性情報に含まれる管路に関する特徴量に基づいて類似する特徴を備える管ごとに分類される。イベント情報未取得管路である管Bに関して管路劣化予測を行う際、予測部15は、管Bに関する管路属性情報に含まれる特徴量に基づき学習済の数理モデルを利用して算出された管路劣化率の推論値と管Bと同じ分類に分類された、イベント調査済エリアにおける管路又はイベント発生済管路である管Aの推論値を利用して予測結果を決定する。予測部15は、イベント情報未取得管路の管Bの管路劣化予測を行う際、管Aの推論値と管Bの推論値の平均値を予測結果として出力してもよい。
【0118】
本実施形態において、予測部15は、分類部16によって管路劣化予測を行う管路と同じ分類とされた他のイベント発生済の管路の推論値として出力された管路劣化率の平均値や中央値などの統計的指標を利用して管路劣化予測を行うが、同じ分類に含まれる他の管路に関する推論値以外の情報を利用して管路劣化予測を行ってもよい。
【0119】
<1.4.処理のフロー>
以下、
図7及び
図8を用いて処理の流れを説明する。
図7において、拠点装置2における学習処理の流れを示す。
図7及び
図8において示す処理の流れは本実施形態における例であって、図に示す順番と異なる順番で処理が実行されてもよい。
【0120】
<1.4.1.学習処理のフロー>
以下、
図7を用いて事業者拠点における拠点モデルの学習処理に関するフローを示す。
【0121】
取得部21部11は、管路属性情報とイベント情報とを含む管路に関する情報を取得し、学習用DBに記憶する(S201)。異常検出部13は、イベント情報に基づいて布設管路数ごとのイベント発生率を算出する(S202)。異常検出部13は、算出したイベント発生率に基づいて異常な劣化を示す管路の検出を行い、管路が異常な劣化を示す場合、検出した管路に対して異常情報を付与する(S203)。結合処理部14は、取得した管路属性情報より近接する管路の管路属性情報の類似度の算出を行う(S204)。結合処理部14は、近接する管路に算出した類似度が閾値以上であるとき、類似度が閾値以上の複数の管路の管路属性情報を同じ管路IDに紐づける結合処理を行う(S205)。学習部12は、収集した管路属性情報とイベント情報とを含む管路に関する情報を利用して数理モデルの学習を行い、統合モデルを生成する(S206)。
【0122】
図7に示す処理の流れは、事業者拠点における拠点モデルの生成の処理の流れの例である。本実施形態では、統合装置1における学習処理として、取得部11が、各拠点の管路に関する情報を取得し(S201)、学習部12が、統合モデルの学習を行う(S206)。
【0123】
本実施形態において、統合装置1の学習部12は、前回の学習時からの期間で収集した管路に関する情報を利用し、昨年度の統合モデルに対して追加で学習を行うことで統合モデルの更新を行うが、統合モデルが生成されていない場合、学習用DBに格納されるすべての管路に関する情報を利用して統合モデルの生成を行ってもよい。
【0124】
本実施形態において、統合モデルは、ファインチューニング及びバギング等の機械学習に関する方法を用いて生成されるが、その他の方法を用いて生成されてもよい。
【0125】
<1.4.2.管路劣化予測の処理のフロー>
図8において、拠点装置2における管路劣化予測の処理の流れを示す。本実施形態において、
図8に示す管路劣化予測の処理は事業者拠点において行われるが、中央拠点で行われてもよい。
【0126】
取得部21が管路属性情報を含む管路に関する情報を取得すると(S211)、予測部15は、数理モデルを利用して管路属性情報に基づく管路劣化予測を行い、推論値を算出する(S212)。取得された管路属性情報がイベント発生済の管路において取得された管路属性情報であるとき、予測部15は、推論値を最終的な予測結果として出力する(S213)。取得された管路属性情報がイベント未調査エリアにおいて取得されたなど、イベント情報未取得の管路の管路属性情報である場合、分類部16は管路属性情報に基づいて管路の分類を行う(S214)。予測部15は、推論値及び分類結果に基づいて管路劣化予測を行い(S215)、推論値及び分類結果に基づく値を管路劣化予測の最終的な予測結果として出力する(S216)。
【0127】
<1.5.モデル生成及び学習の具体例>
例えば、各事業者拠点では、当期に蓄積したデータを用いて、1つ以上前の期で蓄積したデータによって生成された統合モデルを用いた予測を行う。具体例には、事業者拠点において2022年12月31日までの管路に関する情報が蓄積されると、統合装置1は、各拠点において蓄積された2022年12月31日時点までの管路属性情報及びイベント情報を含む管路に関する情報(管路データ(2022以前)とする)を収集し、複数の事業者拠点から取得した情報を学習用データとして、統合モデル(2022)を生成する。生成された統合モデル(2022)又はそのパラメータは、中央拠点から各事業者拠点に配布される。この後、2022年12月31日までの拠点における管路に関する情報を蓄積している場合、各事業者拠点では、この統合モデル(2022)を管路データ(2022以前)を利用して学習を行い、拠点モデル(2022)を生成する。事業者拠点において、拠点モデルを生成した場合は拠点モデル(2022)を利用し、拠点モデルがない場合は統合モデル(2022)を利用して、管路属性情報(2023)を入力し、管路劣化予測を行う。次に、各拠点の管路情報管理装置4では、2023年1月1日~12月31日までに、新たに、管路に関する情報(管路データ(2023)とする)が収集される。統合装置1は、各拠点において蓄積された2023年の管路に関する情報(管路データ(2023)とする)を収集し、複数の事業者拠点から取得した情報を学習用データとして、統合モデル(2023)を生成する。また、前年と同様に統合モデルの配布と各拠点での拠点モデルの生成を繰り返すことで数理モデル(統合モデル、拠点モデル)の精度を上げていく。
【0128】
本実施形態において、統合装置1は、取得部11と、学習部12と、を備え、統合モデルの学習に関する処理を行うが、更に、異常検出部13と、結合処理部14と、予測部15と、分類部16と、を備え、異常情報の付与に関する処理や結合処理、管路劣化予測に関する処理を行ってもよい。
【0129】
本実施形態において、可搬記憶媒体を利用して拠点装置2より統合装置1に受け渡される管路に関する情報は、拠点装置2の異常検出部13における異常情報の付与に関する処理及び結合処理部14における結合処理が既に行われた処理済みのデータであるが、異常検出部13及び結合処理部14における処理が行われていないデータであってもよい。また、異常検出部13及び結合処理部14における処理が行われていないデータが統合装置1に受け渡される際、統合装置1は、異常検出部13及び結合処理部14を備え、異常情報の付与に関する処理及び結合処理を行う。
【符号の説明】
【0130】
0 :AI管路劣化予測システム
1 :統合装置
2 :拠点装置
3 :端末装置
4 :管路情報管理装置
11 :取得部
12 :学習部
13 :異常検出部
14 :結合処理部
15 :予測部
16 :分類部
21 :取得部
10 :情報処理装置
101 :処理部
102 :記憶部
103 :通信部
301 :処理部
302 :記憶部
303 :通信部
304 :入力部
305 :出力部
【要約】
【課題】
本発明は、数理モデルを用いて、個別の管路劣化予測を行う新規な技術を提供することを課題とする。
【解決手段】
流体を供給する管路の劣化を予測するAI管路劣化予測システムであって、
管路に起こったイベントのイベント種別及びタイミング情報を含むイベント情報、管路の属性を示す管路属性情報、並びに前記イベント情報及び前記管路属性情報を用いて学習済の数理モデル又はパラメータを格納した記憶部と、
イベント種別に対応した前記数理モデルを用いて前記管路属性情報に基づく管路劣化予測を行い予測結果を決定する予測部と、
を備える。
【選択図】
図1