(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】逆止弁と袋
(51)【国際特許分類】
F16K 15/14 20060101AFI20231205BHJP
B65D 81/05 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
F16K15/14 C
B65D81/05 400
(21)【出願番号】P 2019046683
(22)【出願日】2019-03-14
【審査請求日】2022-03-12
(73)【特許権者】
【識別番号】591151163
【氏名又は名称】株式会社ニチワ
(74)【代理人】
【識別番号】100092842
【氏名又は名称】島野 美伊智
(74)【代理人】
【識別番号】100166578
【氏名又は名称】鳥居 芳光
(72)【発明者】
【氏名】阿部 留松
【審査官】橋本 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特許第6359731(JP,B1)
【文献】実開平03-060275(JP,U)
【文献】実開平02-027067(JP,U)
【文献】特開2019-014535(JP,A)
【文献】特開2011-058512(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0056647(US,A1)
【文献】米国特許第05860441(US,A)
【文献】特開2016-043934(JP,A)
【文献】特開平11-201307(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/00-33/38
57/00-59/08
81/00-81/17
F16K 15/00-15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の開口部内に一端側が挿し込まれて取り付けられ、
第1フィルムと、
上記第1フィルムに重合され両側部を溶着されることにより上記第1フィルムとの間に空気注入路を形成する第2フィルムと、
上記第1フィルムと上記第2フィルムの間に設けられた第1非溶着部と、
上記第1フィルムと上記第2フィルムの間に設けられ上記第1非溶着部に重ね合される第2非溶着部と、
を具備し、
上記一端側に対する他端側において、上記第2フィルムはその端を上記第1フィルムの端に対して上記一端側にずらした状態で重ね合されていて、
上記第1非溶着部は上記開口部を跨ぐとともに、上記他端側において上記第2フィルムの端を跨ぐ位置まで面条に設けられていて、
上記第2非溶着部は上記開口部を跨ぐとともに、上記他端側において上記第2フィルムの端の近くまで面状に設けられていて、
上記第1非溶着部と上記第2非溶着部には異なる色が付けられていて、
上記開口部を熱溶着することにより上記開口部は閉塞され、上記第1フィルムと第2フィルムは上記第1非溶着部と第2非溶着部の作用により解放されたままの状態になることを特徴とする逆止弁。
【請求項2】
請求項1記載の逆止弁において、
上記第1非溶着部には青色が付けられていて、上記第2非溶着部には黄色が付けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の逆止弁において、
逆止弁を袋の開口部にセットする際その位置を決める為の位置決め部が設けられていて、
上記位置決め部は2本のラインから構成されていて、
上記第1非溶着部において上記2本のラインに該当する位置を非着色部とし、上記第1非溶着部と第2非溶着部を重ねることにより、上記2本のラインに該当する箇所は上記第2非溶着部の色となりそれ以外の部分は上記第1非溶着部の色と第2非溶着部の色が重なった色となり、それによって上記2本のラインを視認可能としたことを特徴とする逆止弁。
【請求項4】
請求項3記載の逆止弁において、
一方のラインを上記袋の開口部の縁に合わせることにより位置決めし、上記2本のラインの間を熱溶着するようにしたことを特徴とする逆止弁。
【請求項5】
請求項1~請求項4の何れかに記載の逆止弁において、
上記第2非溶着部は上記第1非溶着部に対して幅狭に設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項6】
請求項1~請求項5の何れかに記載の逆止弁において、
上記第1非溶着部と上記第2非溶着部は印刷により面状に設けられていることを特徴とする逆止弁。
【請求項7】
請求項1~請求項
6の何れかに記載の逆止弁を備えたことを特徴とする袋。
【請求項8】
請求項7記載の袋において、
緩衝用であることを特徴とする袋。
【請求項9】
請求項7記載の袋において、
包装用であることを特徴とする袋。
【請求項10】
請求項7記載の袋において、
緩衝・包装用であることを特徴とする袋。
【請求項11】
請求項7記載の袋において、
梱包用であることを特徴とする袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、例えば、卵、豆腐、野菜、果物、牛乳といった断熱材を必要とする飲食物、衣類、調度品といった生活用品、壊れ易い電子部品、精密機器、半導体、等の物品(以下、被搬送体という。)を搬送する場合に使用される逆止弁と袋に係り、特に、逆止弁を袋に取り付ける際の熱溶着により逆止弁の空気注入路が誤って閉塞されることがないように工夫したものに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の逆止弁は概略次のような構成をなしている。
まず、表側フィルムと裏側フィルムがあり、これら表側フィルムと裏側フィルムが重ね合されていてその左右両側部が熱溶着されている。上記表側フィルムと上側フィルムの間であって上記左右の熱溶着部の間は空気注入路となっている。又、上記左右の熱溶着部には複数個の枝状熱溶着部が設けられている。
【0003】
上記逆止弁は、例えば、フィルム状の緩衝袋の開口部に熱溶着により取り付けられる。すなわち、緩衝袋の開口部に上記逆止弁を挿し込んだ状態で上記開口部を熱溶着により閉じる。その際、逆止弁の空気注入路が閉塞されないように、上記裏側フィルムの内面には非溶着部が印刷により設けられている。このような非溶着部を設けた部位は熱溶着により溶着されることはなくその結果上記空気注入路は確保される。
【0004】
上記緩衝袋内に空気を注入する場合には、緩衝袋の外に飛び出ている逆止弁の空気注入口にエアーガンのノズルを挿し込んで空気を注入する。注入された空気は逆止弁の空気注入路を介して緩衝袋内に封入される。封入された空気は表側フィルムと裏側フィルムが密着されることにより外に漏れることはない。上記逆止弁は上記緩衝袋だけでなくフィルム状の包装袋、梱包袋(段ボール箱内に収容されることなくそのまま出荷される袋)にも適用される。
【0005】
この種の逆止弁の構成を開示するものとして、例えば、特許文献1、特許文献2、等がある。これらは何れも本件特許出願人によるものである。
尚、最近では裏側フィルムの非溶着部に色を付けたものもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-118455号公報
【文献】特開2012-101819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の構成によると次のような問題があった。
すなわち、逆止弁をフィルム状の緩衝袋、包装袋、梱包袋の開口部に熱溶着により取り付ける際、空気注入路が誤って閉塞されてしまうことがあるという問題があった。これは熱溶着時の熱溶着温度のバラツキ、非溶着部を提供するための印刷面の塗膜の厚さのバラツキ、等に起因する。
通常は熱溶着後に治具を使用した空気注入路貫通チェックが行われるので、空気注入路が閉塞された逆止弁を備えた緩衝袋、包装袋、梱包袋がそのまま出荷されることはないが、不良品として処理されることになり歩留まりが低下してしまう。
【0008】
本発明はこのような点に基づいてなされたものでその目的とするところは、逆止弁を熱溶着により袋に取り付ける際逆止弁の空気注入路が誤って閉塞されることがない逆止弁とその逆止弁を使用した袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するべく本発明の請求項1による逆止弁は、袋の開口部内に一端側が挿し込まれて取り付けられ、第1フィルムと、上記第1フィルムに重合され両側部を溶着されることにより上記第1フィルムとの間に空気注入路を形成する第2フィルムと、上記第1フィルムと上記第2フィルムの間に設けられた第1非溶着部と、上記第1フィルムと上記第2フィルムの間に設けられ上記第1非溶着部に重ね合される第2非溶着部と、を具備し、上記一端側に対する他端側において、上記第2フィルムはその端を上記第1フィルムの端に対して上記一端側にずらした状態で重ね合されていて、上記第1非溶着部は上記開口部を跨ぐとともに、上記他端側において上記第2フィルムの端を跨ぐ位置まで面条に設けられていて、上記第2非溶着部は上記開口部を跨ぐとともに、上記他端側において上記第2フィルムの端の近くまで面状に設けられていて、上記第1非溶着部と上記第2非溶着部には異なる色が付けられていて、上記開口部を熱溶着することにより上記開口部は閉塞され、上記第1フィルムと第2フィルムは上記第1非溶着部と第2非溶着部の作用により解放されたままの状態になることを特徴とするものである。
又、請求項2による逆止弁は、請求項1記載の逆止弁において、上記第1非溶着部には青色が付けられていて、上記第2非溶着部には黄色が付けられていることを特徴とするものである。
又、請求項3による逆止弁は、 請求項1又は請求項2記載の逆止弁において、逆止弁を袋の開口部にセットする際その位置を決める為の位置決め部が設けられていて、上記位置決め部は2本のラインから構成されていて、上記第1非溶着部において上記2本のラインに該当する位置を非着色部とし、上記第1非溶着部と第2非溶着部を重ねることにより、上記2本のラインに該当する箇所は上記第2非溶着部の色となりそれ以外の部分は上記第1非溶着部の色と第2非溶着部の色が重なった色となり、それによって上記2本のラインを視認可能としたことを特徴とするものである。
又、請求項4による逆止弁は、請求項3記載の逆止弁において、一方のラインを上記袋の開口部の縁に合わせることにより位置決めし、上記2本のラインの間を熱溶着するようにしたことを特徴とするものである。
又、請求項5による逆止弁は、請求項1~請求項4の何れかに記載の逆止弁において、上記第2非溶着部は上記第1非溶着部に対して幅狭に設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項6による逆止弁は、請求項1~請求項5の何れかに記載の逆止弁において、上記第1非溶着部と上記第2非溶着部は印刷により面状に設けられていることを特徴とするものである。
又、請求項7による袋は、請求項1~請求項6の何れかに記載の逆止弁を備えたことを特徴とするものである。
又、請求項8による袋は、請求項7記載の袋において、緩衝用であることを特徴とするものである。
又、請求項9による袋は、請求項7記載の袋において、包装用であることを特徴とするものである。
又、請求項10による袋は、請求項7記載の袋において、緩衝・包装用であることを特徴とするものである。
又、請求項11による袋は、請求項7記載の袋において、梱包用であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
以上述べたように本発明の請求項1による逆止弁によると、第1フィルムと、上記第1フィルムに重合され左右両側部を溶着されることにより上記第1フィルムとの間に空気注入路を形成する第2フィルムと、上記第1フィルムと上記第2フィルムの間に設けられた第1非溶着部と、上記第1フィルムと上記第2フィルムの間に設けられ上記第1非溶着部に重ね合される第2非溶着部と、を具備した構成になっているので、非溶着部が二重に設けられたことにより、逆止弁を熱溶着により袋の開口部に取り付ける際空気注入路が誤って閉塞されてしまうことを防止することができる。
又、請求項2に記載された逆止弁によると、請求項1記載の逆止弁において、上記第1非溶着部と上記第2非溶着部には色が付けられているので、第1非溶着部と第2非溶着部が確実に設けられていることを視認することができ、上記第1非溶着部と第2非溶着部が重ね合されていることを視認することができる。
又、請求項3に記載された逆止弁によると、請求項2記載の逆止弁において、上記第1非溶着部と上記第2非溶着部には異なる色が付けられているので、第1フィルムと第2フィルムの境目、すなわち、空気注入口を容易に特定することができる。
又、請求項4に記載された逆止弁によると、請求項3記載の逆止弁において、上記第1非溶着部には青色が付けられていて、上記第2非溶着部には黄色が付けられているので、上記効果をより高めることができる。
又、請求項5に記載された逆止弁によると、請求項1~請求項4の何れかに記載の逆止弁において、上記第2フィルムはその端を上記第1フィルムの端に対してずらした状態で重ね合されているので、それによっても、第1フィルムと第2フィルムの境目、すなわち、空気注入口を容易に特定することができる。
を容易に視認することができる。
又、請求項6に記載された逆止弁によると、請求項1~請求項5の何れかに記載の逆止弁において、逆止弁を袋の開口部にセットする際その位置を決める為の位置決部が設けられているので、逆止弁の袋の開口部に対する位置決作業の容易化を図ることができる。
又、請求項7に記載された逆止弁によると、請求項6記載の逆止弁において、上記位置決部は2本のラインから構成されていて、一方のラインを上記袋の開口部の縁に合わせることにより位置決めし、上記二本のラインの間を溶着するようにしたので、逆止弁の袋の開口部に対する位置決作業の容易化を図ることができるとともに熱溶着位置の特定も容易になる。
又、請求項8に記載された逆止弁によると、請求項1~請求項7の何れかに記載の逆止弁において、上記第2非溶着部は上記第1非溶着部に対して幅狭に設けられているので、逆止弁製造時に第1フィルムと第2フィルムが幅方向に僅かにずれるようなことがあってもこれを吸収することができる。
又、請求項9に記載された逆止弁によると、請求項1~請求項8の何れかに記載の逆止弁において、上記第1非溶着部と上記第2非溶着部は印刷により面状に設けられているので、第1非溶着部と上記第2非溶着部を設ける作業も容易である。
又、請求項10に記載された袋によると、請求項1~請求項9の何れかに記載の逆止弁を具備した構成になっているので、逆止弁の空気注入路が閉塞された不良品になる確率は低く袋としての品質の向上を図ることができる。
又、請求項11に記載された袋によると、請求項10記載の袋において、緩衝用であるので緩衝用の袋としての品質の向上を図ることができる。
又、請求項12に記載された袋によると、請求項10記載の袋において、包装用あるので、包装用の袋としての品質の向上を図ることができる。
又、請求項13に記載された袋によると、請求項10記載の袋において、緩衝・包装用であるので、緩衝・包装用の袋としての品質の向上を図ることができる。
又、請求項14による袋によると、梱包用の袋としての品質の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の第1の実施の形態を示す図で、逆止弁の斜視図である。
【
図2】本発明の第1の実施の形態を示す図で、逆止弁の平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施の形態を示す図で、
図3(a)は第1フィルムの一部平面図、
図3(b)は第2フィルムの一部平面である。
【
図4】本発明の第1の実施の形態を示す図で、第1フィルムの上に第2フィルムを重ねた状態を示す一部平面図である。
【
図5】本発明の第1の実施の形態を示す図で、第1フィルムの上に第2フィルムを重ねた状態で所定位置を熱溶着し切断して逆止弁を製造する様子を示す平面図である。
【
図6】本発明の第1の実施の形態を示す図で、逆止弁をフィルム状の緩衝袋の開口部に位置決めして熱溶着により固定した状態を示す平面図である。
【
図7】本発明の第1の実施の形態を示す図で、非搬送体が収容された段ボール箱内の所定位置に緩衝袋を内装した状態で梱包した後逆止弁を介して空気を注入している様子を示す斜視図である。
【
図8】本発明の第2の実施の形態を示す図で、フィルム状の緩衝・包装袋の包装袋内に長尺の被搬送体が挿入された状態を示す平面図である。
【
図9】本発明の第2の実施の形態を示す図で、フィルム状の緩衝・包装袋の包装袋内に長尺の被搬送体が収容された状態で段ボール箱内に挿入した状態を示す平面図である。
【
図10】本発明の第2の実施の形態を示す図で、フィルム状の緩衝・包装袋の包装袋内に長尺の被搬送体を収容した状態で段ボール箱内に挿入して梱包した後に逆止弁を介して空気を注入している様子を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1乃至
図7を参照して本発明の第1の実施の形態を説明する。
図1は本実施の形態による逆止弁1の構成を示す斜視図である。上記逆止弁1は第1フィルム3と第2フィルム5を重ね合せた構成をなしている。上記第1フィルム3と第2フィルム5は左右両側部を熱溶着されている。図中熱溶着部を符号7、9で示す。上記第1フィルム3と第2フィルム5の間であって上記熱溶着7と熱溶着部9との間が空気注入路11となっている。上記熱溶着部7、9には内側に突出した複数個の枝状熱溶着部13が設けられている。
【0013】
又、上記第2フィルム5は上記第1フィルム3に対して所定量短くなっており、第2フィルム5の
図1中右端は第1フィルム3の右端に対して所定量ずれている。上記第2フィルム5の右端の位置が空気注入口15となっている。上記第2フィルム5の右端を上記第1フィルム3の右端に対して所定量ずらすことにより、上記空気注入口15の位置を特定し易くしている。
【0014】
上記第1フィルム3の上記第2フィルム5側の面には第1非溶着部21が設けられている。又、上記第2フィルム5の上記第1フィルム3側の面には第2非溶着部23が設けられている。上記第1非溶着部21と第2非溶着部23は輪転機による印刷により面状に設けられていて、熱溶着を施されても溶着されない非溶着特性を備えている。
尚、上記第1非溶着部21と第2非溶着部23の何れか一方でも非溶着特性を発揮することはできるが、本実施の形態の場合にはそれをより確実なものとするべく二重に設けている。
【0015】
又、上記第1非溶着部21は青色に着色されているとともに、上記第2非溶着部23は黄色に着色されている。それによって、第1非溶着部21と第2非溶着部23が設けられていることの視認を可能にし、空気注入口15の位置の特定を容易なものにしている。
【0016】
又、上記第2非溶着部23は上記第1非溶着部21の幅に対して所定量だけ幅狭に設けられている。それによって、逆止弁1の製造時において上記第2非溶着部23の第1非溶着部21に対する位置ずれのバラツキを吸収する。
【0017】
又、上記逆止弁1には位置決め部31が設けられている。この位置決め部31は二本のライン35、37とから構成されている。上記ライン35、37は上記第1非溶着部21と第2非溶着部23が重なっている所定位置に設けられていて、第1非溶着部21側に非着色部を二本設けることにより提供されている。つまり、ライン35、37の部分は上記第2非溶着部23の黄色がそのまま視え、その他の部分は上記第1非溶着部21の青色と第2非溶着部23の黄色が重なって黄緑色に視える。
【0018】
上記二本のライン
35、
37は、
図6に示すように、逆止弁1を、例えば、フィルム状の緩衝袋に取り付ける際に位置決め用として機能するとともに熱溶着位置の特定に寄与する。これについては追って詳細に説明する。
【0019】
次に、
図3乃至
図5を参照して逆止弁1の製造工程を説明する。
まず、
図3(a)に示すように、第1フィルム3があり、
図3(b)に示すように、第2フィルム5がある。上記第1フィルム3の表面には第1非溶着部21が輪転機による印刷により所定のピッチで複数設けられている。又、上記第2フィルム5の裏面には第2非溶着部23が輪転機による印刷により所定のピッチで複数設けられている。
【0020】
次に、
図4に示すように、上記第1フィルム3の上に上記第2フィルム5を長手方向に所定量オフセットさせた状態、すなわち、第1フィルム3の端に対して第2フィルム5の端を所定量ずらした状態で重ね合せる。
次に、
図5に示すように、上記第1非溶着部21と第2非溶着部23が重なった部分の両側部を熱溶着する。
後は切断することにより既に説明した逆止弁1を得る。
【0021】
次に、上記逆止弁1をフィルム状の緩衝袋41に取り付ける工程を説明する。上記緩衝袋41は2枚のフィルム43、45を重ねあわせて三辺を熱溶着した構成になっている。図中熱溶着部を符号47、49、51で示す。又、残りの一辺は開口部53となっている。
【0022】
逆止弁1を上記緩衝袋41に取り付ける場合には、逆止弁1を上記開口部53の所定位置に挿し込む。その際、ライン37を開口部53の縁に合せる。それによって、逆止弁1の差込位置を決める。次に、ライン35、37の間を通るように、開口部53を全長にわたって熱溶着する。図中熱溶着部を符号55で示す。これによって、逆止弁1が緩衝袋41に取り付けられる。
【0023】
逆止弁1において、第1非溶着部21と第2非溶着部23が設けられている部位は第1フィルム3と第2フィルム5同士が熱溶着により溶着されることはなく空気注入路11が閉塞されることもない。又、逆止弁1の第1フィルム3は熱溶着により緩衝袋41のフィルム45に溶着され、第2フィルム5は熱溶着により緩衝袋41のフィルム43に溶着される。
【0024】
次に、実際の梱包作業について説明する。
まず、
図6に示した緩衝袋41は、
図7に示すように、段ボール箱61内にL字状に配置される。上記段ボール箱61内であって緩衝袋41の下には図示しない被搬送体が内装されている。
【0025】
段ボール箱61の天板と側板の境界部には切起片63が切り起されていて開口部65が設けられている。上記開口部65を介して逆止弁1が上記切起片63上に引き出されている。上記逆止弁1を介してエアーガン67によって空気の注入が行われる。それによって、緩衝袋41が膨張して緩衝機能が発揮される状態となる。上記切起片63を上記開口部65を介して段ボール箱61内に押し込んで出荷可能状態となる。
【0026】
以上、本実施の形態によると次のような効果を奏することができる。
まず、逆止弁1を緩衝袋41に取り付ける際、逆止弁1の空気注入路11が熱溶着により誤って閉塞されてしまうことを防止することができる。これは、第1非溶着部21だけでなく第2非溶着部23を設けたからであり、それによって、熱溶着時における非溶着性能が向上したからである。
又、緩衝袋41としての品質も向上し、不良品として処理されるものも少なくなるので歩留まりも高くなる。
又、第1非溶着部21と第2非溶着部23には色が付けられているので、第1非溶着部21と第2非溶着部23が確実に設けられていることを視認できるとともに、第1非溶着部21と第2非溶着部23が確実に重ね合されていることをも視認することができる。
又、逆止弁1を緩衝袋41に熱溶着により取り付ける際、逆止弁1の第1フィルム3が熱溶着により緩衝袋41のフィルム45に溶着されたことを色の変化(青色が抜けたように視える)で視認できる。同様に、第2フィルム5が熱溶着により緩衝袋41のフィルム43に溶着されたことを色の変化(黄色が抜けたように視える)で視認できる。
又、第1非溶着部21と第2非溶着部23には異なる色が付けられているので、第1非溶着部21と第2非溶着部23の合わせ目、すなわち、空気注入口15の位置を容易に特定することができる。
又、第2フィルム5はその端を第1フィルム3の端に対して所定量ずらした状態で重ね合されているので、それによっても、第1非溶着部21と第2非溶着部23の合わせ目、すなわち、空気注入口15の位置を容易に特定することができる。本実施の形態の場合には既に述べたように第1非溶着部21と第2非溶着部23には異なる色が付けられているので、その構成とあいまって空気注入口15の特定は極めて容易である。
又、逆止弁1を緩衝袋41に取り付ける際その取付位置を容易に特定することができる。これは、逆止弁1にライン35、37が設けられていて、この内ライン37を緩衝袋41の開口部53の縁に合せれば良いからである。
又、逆止弁1を緩衝袋41に取り付ける際その溶着位置を容易に特定することができる。これは、逆止弁1にライン35、37が設けられていて、これらライン35、37の間で溶着すれば良いからである。
又、逆止弁1を製造する段階において、第2非溶着部23の幅が第1非溶着部21の幅に対して狭く設定されているので、幅方向に若干の位置ずれがあってもこれを吸収することができ、逆止弁1の製造時における位置合わせ作業が容易になる。
【0027】
次に、
図8乃至
図10を参照して本発明の第2の実施の形態を説明する。前記第1の実施の形態の場合にはフィルム状の緩衝袋を例に挙げて説明したが、この第2の実施の形態の場合にはフィルム状の緩衝・包装袋101を例に挙げて説明する。
【0028】
まず、この実施の形態における緩衝・包装袋101は、
図8に示すように、フィルム103とフィルム105を重ね合せた構成になっていて3辺を熱溶着により溶着している。図中熱溶着部を符号107、109、111で示す。又、上記熱溶着部107、109の間を真中で仕切るように熱溶着されている。図中熱溶着部を符号113で示す。
【0029】
上記熱溶着部107と熱溶着部113の間が包装袋115であり、熱溶着部113と熱溶着部109の間が緩衝袋117である。上記包装袋115には開口部119が形成されていて、その開口部119を介して、例えば、長尺の管部材121が収容される。又、緩衝袋117にも開口部123が形成されていて、そこには既に説明した逆止弁1が取り付けられている。上記開口部123は逆止弁1が取り付けられる際熱溶着により閉じられる。図中熱溶着部を符号125で示す。
【0030】
図8に示すのは折り重ねる前の状態であるが、包装袋115内に管部材121を挿入した後、菅部材121を挿入された包装袋115と緩衝袋117とを折り重ねた状態で、長尺の段ボール箱127内に、その側板を開いた口から挿入し、逆止弁1を介して空気の注入を行うと、
図9、
図10に示すような状態とする。
【0031】
尚、
図10では、段ボール箱127の天板と側板の境界部には、第1の実施の形態の場合と同様に、切起片129が切り起されていて開口部131が設けられている。上記開口部131を介して上記切起片129上には逆止弁1が引き出されている。上記逆止弁1を介してエアーガン67によって空気の注入が行われる。それによって、緩衝袋117が膨張して緩衝機能が発揮される状態となる。後は上記切起片129を上記開口部131を介して段ボール箱127内に押し込んで出荷可能状態となる。
【0032】
よって、前記第1の実施の形態の場合と同様の効果を奏することができるが、段ボール箱の天板と側板の境界部には、必ずしも、切起片129を切り起して開口部131を設ける必要はない。
特に、第2の実施の形態の緩衝・包装袋101は、包装袋115と緩衝袋117を併設、兼備しているので別々に用意する必要はない上に、長尺の被搬送体の長手の全長に沿わせて緩衝袋117を、長尺の段ボール箱127内に、その側板を開いた口から挿入することができる。
【0033】
尚、本発明は前記第1、第2の実施の形態に限定されるものではない。
前記第1の実施の形態の場合にはフィルム状の緩衝袋を例に挙げて説明し、第2の実施の形態の場合にはフィルム状の緩衝・包装袋を例に挙げて説明したが、フィルム状の包装袋、フィルム状の梱包袋に適用することも考えられ、その他様々な袋に適用することができる。
又、緩衝袋、包装袋、緩衝・包装袋、梱包袋の構成としては様々なものが考えられる。
又、逆止弁の第1非溶着部、第2非溶着部の構成も前記第1、第2の実施の形態に限定されず、例えば、印刷以外の方法により設けたものでも良い。
又、逆止弁の第1非溶着部、第2非溶着部の色について様々な色が考えられる。
又、前記第2の実施の形態の場合には二枚のフィルムを重ねあわせて適所を溶着することにより包装袋と緩衝袋を構成したがそれに限定されるものではない。例えば、包装袋と緩衝袋を二枚のフィルムを重ねあわせてそれぞれ別個に作成する。その際、片側のみ溶着し反対側を非溶着としておく。次に、包装袋の非溶着側の側部と緩衝袋の非溶着側の側部を重ねて溶着する。その溶着部は4枚のフィルムが重なった状態となる。このような方法により緩衝・包装袋を製造しても良い。
又、包装袋を構成するフィルムと緩衝袋を構成するフィルムの材質を変えても良い。
その他、図示した構成に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本願発明は、逆止弁と袋に係り、特に、逆止弁を袋に取り付ける際の熱溶着により逆止弁の空気注入路が誤って閉塞されることがないように工夫したものに関し、例えば、卵、豆腐、野菜、果物、牛乳といった断熱材を必要とする飲食物、衣類、調度品といった生活用品、壊れ易い電子部品、精密機器、半導体、等の物品(以下、被搬送体という。)を搬送する場合に使用される逆止弁と袋に好適である。
【符号の説明】
【0035】
1 逆止弁
3 第1フィルム
5 第2フィルム
7 熱溶着部
9 熱溶着部
11 空気注入路
21 第1非溶着部
23 第2非溶着部
41 緩衝袋
101 緩衝・包装袋