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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】工具携帯具
(51)【国際特許分類】
   B25H 3/00 20060101AFI20231205BHJP
   G01B 3/10 20200101ALI20231205BHJP
【FI】
B25H3/00 Z
G01B3/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019189049
(22)【出願日】2019-10-16
(65)【公開番号】P2021062452
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】591073050
【氏名又は名称】シンワ測定株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100080089
【弁理士】
【氏名又は名称】牛木 護
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 恵介
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-016996(JP,A)
【文献】特開2009-058269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25H 3/00
G01B 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト部材に取り付けるホルダー本体と、
工具に取り付け、前記ホルダー本体に着脱自在のブラケットと、を備える工具携帯具であって、
前記ホルダー本体は、前記ブラケットの取付部を取り付ける取付受部と、抜止部と、を有し、
前記取付受部は、前記取付部を保持する複数の保持部を有し、
前記複数の保持部のうち1以上の保持部が他の保持部に接近する方向と離隔する方向に移動可能であり、
前記1以上の保持部は、前記他の保持部に向かって厚さが徐々に薄くなる受面部を有し、
前記取付部を前記受面部に当接させて押し込むことで前記1以上の保持部が前記他の保持部と離隔する方向に移動し、
前記ブラケットにより前記抜止部を所定の方向に押圧することで前記抜止部が移動し、前記保持部を移動させることなく前記ブラケットを前記ホルダー本体に取り付け可能であり、
前記保持部が接近位置にあるときに前記ブラケットが前記ホルダー本体に保持可能であることを特徴とする工具携帯具。
【請求項2】
前記保持部が第1の保持部と第2の保持部からなり、
前記取付受部は、対向して設けられた第1の移動体と第2の移動体を有し、
前記第1の保持部が前記第1の移動体に形成され、
前記第2の保持部が前記第2の移動体に形成され、
前記第1の移動体と前記第2の移動体は、互いに接近する方向と離隔する方向に移動可能であり、
前記第1の移動体と前記第2の移動体は、互いに接近する方向に弾性部材により付勢され、
前記取付部は円板状に形成され、
前記第1の移動体と前記第2の移動体との距離が、接近時に前記取付部の直径よりも短く、離隔時に前記取付部の直径よりも長いことを特徴とする請求項1に記載の工具携帯具。
【請求項3】
前記ホルダー本体は、前記抜止部を移動させる操作部を有し、
前記操作部を操作し前記抜止部を移動させることで、前記ブラケットを前記ホルダー本体から取り外し可能となることを特徴とする請求項1又は2に記載の工具携帯具。
【請求項4】
前記取付受部はベース部を有し、
前記ベース部と前記第1の保持部との間に第1の隙間が形成され、
前記ベース部と前記第2の保持部との間に第2の隙間が形成され、
前記ブラケットを前記ホルダー本体に取り付けると、前記第1の隙間と前記第2の隙間に前記取付部が配置されることを特徴とする請求項2に記載の工具携帯具。
【請求項5】
前記第1の移動体が凹状の第1の円弧部を有し、
前記第2の移動体が凹状の第2の円弧部を有し、
前記第1の円弧部と前記第2の円弧部が対向していることを特徴とする請求項2に記載の工具携帯具。
【請求項6】
前記取付部の中心位置を中心とする円周上に第1の磁石が設けられ、
前記ブラケットを前記ホルダー本体に取り付けた状態で、前記取付受部の前記円周に対向する位置に第2の磁石が設けられていることを特徴とする請求項2~5の何れか1項に記載の工具携帯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具(主として巻尺)を携帯する際に工具を取り付ける工具携帯具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
巻尺等の工具を携帯する工具携帯具として、使用者のベルトに装着するものが知られている。例えば、特許文献1には、ベルトに装着したホルダ本体に、工具(巻き尺)に固定保持されたブラケットを着脱自在とする構造の携帯工具用ホルダが開示されている。また、特許文献2には、巻尺ケースに装着した磁着部材を腰ベルトに装着したマグネット保持具に着脱自在とするマグネット保持具が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載された携帯工具用ホルダは、ホルダ本体がベースプレートと連結するサブプレートからなっており、表面側に収納空間が設けられ、背面側にベルトを通す開口が設けられている。また、収納空間にスライドさせて収納されたブラケットが収納空間から抜け落ちるのを防止するストッパーを備えている。そして、ストッパーを強制的にスライドさせることでブラケットを収納空間から引き抜くことができる。
【0004】
そして、ブラケットの先端には切り欠部が設けられており、ブラケットを収納空間に収納したときに、この切り欠部がベースプレートに設けられた位置決め部材に接触することで、ブラケットが位置決めされるようになっている。
【0005】
そのため、特許文献1に記載された携帯工具用ホルダは、ブラケットを固定保持した工具を取り付ける際は、ブラケットの切り欠部を下にし、上側から下側に向かって収納空間に収納し、工具を取り出す際は、ブラケットを上側に引き抜く構造となっている。
【0006】
特許文献2に記載されたマグネット保持具は、巻尺ケースに装着した磁着部材がマグネットを備えると共に、腰ベルトに装着したマグネット保持具がマグネットを備える。そして、磁着部材のマグネットとマグネット保持具のマグネットを磁着さることで、巻尺をマグネット保持具に取り付け、保持することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2003-127072号公報
【文献】特開2009-58269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された携帯工具用ホルダは、工具を携帯工具用ホルダに取り付ける方向(収納空間に対してブラケットをスライドさせる方向)が一方向に限定されており、かつ、工具に固定保持されたブラケットの切り欠部を収納空間側に向けて取り付ける必要がある。そのため、携帯工具用ホルダを使用する使用者5は、工具を取り付ける際にブラケットの向きと、収納空間の上側の位置を確認しながら取り付け動作を行う必要があった。
【0009】
特許文献2に記載されたマグネット保持具は、磁着部材及び巻尺の取り付け方向が限定されないという利点があるものの、磁着部材とマグネット保持具との連結がマグネットの磁力のみであるため、巻尺をマグネット保持具に取り付けた状態で、例えば、使用者の動きによって意図せず巻尺が周囲の物に接触する等して、巻尺に外力が付加された場合に、磁着が解除され、巻尺が落下してしまう虞があった。
【0010】
そこで、本発明は以上の問題点を解決し、工具の取り付け方向が限定されず、工具の脱落防止機構を有する工具携帯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る工具携帯具は、ベルト部材に取り付けるホルダー本体と、工具に取り付け、前記ホルダー本体に着脱自在のブラケットと、を備える工具携帯具であって、前記ホルダー本体は、前記ブラケットの取付部を取り付ける取付受部と、抜止部と、を有し、前記取付受部は、前記取付部を保持する複数の保持部を有し、前記複数の保持部のうち1以上の保持部が他の保持部に接近する方向と離隔する方向に移動可能であり、前記1以上の保持部は、前記他の保持部に向かって厚さが徐々に薄くなる受面部を有し、前記取付部を前記受面部に当接させて押し込むことで前記1以上の保持部が前記他の保持部と離隔する方向に移動し、前記ブラケットにより前記抜止部を所定の方向に押圧することで前記抜止部が移動し、前記保持部を移動させることなく前記ブラケットを前記ホルダー本体に取り付け可能であり、前記保持部が接近位置にあるときに前記ブラケットが前記ホルダー本体に保持可能であることを特徴とする。
【0012】
前記保持部が第1の保持部と第2の保持部からなり、前記取付受部は、対向して設けられた第1の移動体と第2の移動体を有し、前記第1の保持部が前記第1の移動体に形成され、前記第2の保持部が前記第2の移動体に形成され、前記第1の移動体と前記第2の移動体は、互いに接近する方向と離隔する方向に移動可能であり、前記第1の移動体と前記第2の移動体は、互いに接近する方向に弾性部材により付勢され、前記取付部は円板状に形成され、前記第1の移動体と前記第2の移動体との距離が、接近時に前記取付部の直径よりも短く、離隔時に前記取付部の直径よりも長いことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る工具携帯具は、前記ホルダー本体が、前記抜止部を移動させる操作部を有し、前記操作部を操作し前記抜止部を移動させることで、前記ブラケットを前記ホルダー本体から取り外し可能となることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る工具携帯具は、前記取付受部はベース部を有し、前記ベース部と前記第1の保持部との間に第1の隙間が形成され、前記ベース部と前記第2の保持部との間に第2の隙間が形成され、前記ブラケットを前記ホルダー本体に取り付けると、前記第1の隙間と前記第2の隙間に前記取付部が配置されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る工具携帯具は、前記第1の移動体が凹状の第1の円弧部を有し、前記第2の移動体が凹状の第2の円弧部を有し、前記第1の円弧部と前記第2の円弧部が対向していることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る工具携帯具は、前記取付部の中心位置を中心とする円周上に第1の磁石が設けられ、前記ブラケットを前記ホルダー本体に取り付けた状態で、前記取付受部の前記円周に対向する位置に第2の磁石が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、工具を所望の方向から工具携帯具に取り付けることができると共に、工具の意図しない脱落を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】実施例1の工具携帯具及び巻尺の斜視図である。
図2】実施例1のホルダー本体を胴ベルトに装着した状態を示す斜視図である。
図3】実施例1のホルダー本体の正面図である。
図4】実施例1のホルダー本体の背面図である。
図5】実施例1のホルダー本体の平面図である。
図6】実施例1のホルダー本体の底面図である。
図7】実施例1のベルト装着部の開状態を示すホルダー本体の背面側斜視図である。
図8】実施例1の左移動体と右移動体が離間した状態を示すホルダー本体の正面図である。
図9】実施例1の左移動体及び右移動体を取り外した状態を示すホルダー本体の正面図である。
図10】実施例1の工具携帯具に巻尺を取り付けた状態を示す平面図である。
図11】実施例1の隙間調節具の(A)第1の使用状態、(B)第2の使用状態、(C)第3の使用状態を示すホルダー本体の右側面図である。
図12】実施例1の隙間調節具の斜視図である。
図13】実施例1のブラケットの正面図である。
図14】実施例1のブラケットの平面図である。
図15】実施例1のホルダー本体をハーネスベルトに装着した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例について、添付の図1図15を参照して説明する。以下に説明する実施例は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例1】
【0020】
図1に示すように、本実施例の工具携帯具1は、ホルダー本体2とブラケット3で構成されている。ブラケット3は、ホルダー本体2に着脱自在となっている。ブラケット3は、工具である巻尺4に取り付けられ、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けることで巻尺4が工具携帯具1に取り付けられる。また、図2に示すように、ホルダー本体2は、工具携帯具1を使用する使用者5のベルト部材であるベルト6に着脱自在となっている。
【0021】
主に図3図7に示すように、ホルダー本体2は、ベース部11と、ベース部11の裏面部12に回動自在に取り付けられたベルト装着部61から構成されている。ベース部11は、八角形状に形成された下側の八角形部13と横長長方形状に形成された上側の長方形部14を一体とした板状に形成されている。なお、ベース部11の形状は、工具携帯具1の機能を妨げず、必要な強度を有するものであれば、他の形状としてもよい。
【0022】
ベース部11の表面部16であって、八角形部13の左右方向中央の上側部分には、ストッパー17が出入りする開口であるストッパー用開口部18が形成されている。抜止部としてのストッパー17は、ベース部11の内部に収容されており、その一部がストッパー用開口部18から出入り可能となっている。ストッパー17は、ベース部11内に収容された弾性部材であるコイルばね(図示せず)によりベース部11の外側に突出する方向に付勢されている。ストッパー17は、正面側に向かって下側に傾斜した傾斜部20と、平坦に形成された下面部21(図11参照)を有しており、先端部22に向かって徐々に薄くなっている。ストッパー17は、傾斜部20を押圧することにより、前記コイルばねの付勢力に抗し、ベース部11の内部に退避し収容されるが、下面部21を押圧した場合には、ストッパー17がベース部11に当接し、ベース部11内には収容されないようになっている。
【0023】
ベース部11の長方形部14には、凹形状の操作体配置部23が形成されている。この操作体配置部23に、ストッパー17を退避動作させる操作部としての操作体24が配置されている。操作体24は、ベース部11に対して上下方向に移動可能に設けられており、ベース部11内に配設された弾性部材であるコイルばね(図示せず)により上側方向に付勢されている。操作体24を下側方向に押圧することにより、操作体24がストッパー17を押圧し、ストッパー17がベース部11内に退避し収容されるようになっている。
【0024】
ベース部11の八角形部13の左右両端部には、左右一対の移動体である左移動体25Aと右移動体25Bが対向して設けられている。第1の移動体である左移動体25Aは、ベース部11に対して左右方向に移動可能に取り付けられており、ベース部11に設けられた左側のばね収容部26Aに収容された弾性部材であるコイルばね27A(図9参照)により、正面視において右側方向(右移動体25B側方向)に付勢されている。ばね収容部26Aの上下には、左移動体25Aの支持片部(図示せず)を配置する上溝部28Aと下溝部29Aが形成されている(図9参照)。左移動体25Aに対して、正面視において左側方向(右移動体25Bと反対側方向)に外力を付加し、コイルばね27Aの付勢力に抗することで、左移動体25Aの支持片部が上溝部28Aと下溝部29A内を移動し、左移動体25Aを移動させることができる。ばね収容部26Aは、ベース部11の表面部16から僅かに突出している。
【0025】
左移動体25Aは、対向する右移動体25B側に設けられた左保持部30Aを有している。第1の保持部である左保持部30Aは、正面視において、左側から右側に向かって厚さが徐々に薄くなる受面部31Aを有している。受面部31Aは、手前側の円弧部である手前側円弧部32Aと奥側の円弧部である奥側円弧部33Aを有しており、全体として円弧状に形成されている。手前側円弧部32Aと奥側円弧部33Aは、凹状に形成されており、後述する手前側円弧部32Bと奥側円弧部33Bに対向している。本実施例では、手前側円弧部32Aと奥側円弧部33Aが本願発明の第1の円弧部に相当する。また、左移動体25Aの正面側の上下角部には、上側面取部34Aと下側面取り部35Aが形成されている。
【0026】
左保持部30Aは、左移動体25Aがコイルばね27Aにより付勢され、図3に示すように、右移動体25Bに最も接近した位置(接近位置)にあるときに、ばね収容部26Aの右側面部36Aよりも右移動体25B側に突出する部分であり、ベース部11の表面部16と左保持部30Aとの間には第1の隙間である隙間C1(図5及び図10参照)が形成されている。
【0027】
第2の移動体である右移動体25Bは、ベース部11に対して左右方向に移動可能に取り付けられており、ベース部11に設けられたばね収容部26Bに収容された弾性部材であるコイルばね27B(図9参照)により、正面視において左側方向(左移動体25A側方向)に付勢されている。ばね収容部26Bの上下には、右移動体25Bの支持片部(図示せず)を配置する上溝部28Bと下溝部29Bが形成されている(図9参照)。右左移動体25Bに対して、正面視において右側方向(左移動体25Aと反対側方向)に外力を付加し、コイルばね27Bの付勢力に抗することで、右移動体25Bの支持片部が上溝部28Bと下溝部29B内を移動し、右移動体25Bを移動させることができる。ばね収容部26Bは、ベース部11の表面部16から僅かに突出している。
【0028】
右移動体25Bは、対向する左移動体25A側に設けられた右保持部30Bを有している。第2の保持部である右保持部30Bは、正面視において、右側から左側に向かって厚さが徐々に薄くなる受面部31Bを有している。受面部31Bは、手前側の円弧部である手前側円弧部32Bと奥側の円弧部である奥側円弧部33Bを有しており、全体として円弧状に形成されている。手前側円弧部32Bと奥側円弧部33Bは、凹状に形成されている。本実施例では、手前側円弧部32Bと奥側円弧部33Bが本願発明の第2の円弧部に相当する。また、右移動体25Bの正面側の上下角部には、上側面取部34Bと下側面取り部35Bが形成されている。
【0029】
右保持部30Bは、右移動体25Bがコイルばね27Bにより付勢され、図3に示すように、左移動体25Aに最も接近した位置(接近位置)にあるときに、ばね収容部26Bの左側面部36Bよりも左移動体25A側に突出する部分であり、ベース部11の表面部16と右保持部30Bとの間には第2の隙間である隙間C2(図5及び図10参照)が形成されている。
【0030】
ベース部11の下側部分には、支持部37が設けられている。支持部37の上辺部は、中央の下円弧部38と、下円弧部38の正面視左側に形成された左直線部39と、下円弧部38の正面視右側に形成された右直線部40を有している。また、支持部37には、ベルト装着部61を閉状態でロックするロック部41が設けられている。
【0031】
図11に示すように、支持部37は、表面部16よりも突出しているが、左移動体25A及び右移動体25Bよりは低く形成されている。本実施例では、側面視における支持部37の表面部16からの高さDは、隙間C1,C2よりも長く形成されているが(図5参照)、ブラケット3が支持部37側から脱落しなければ、高さDは適宜変更可能である。
【0032】
主に図3図4及び図7に示すように、ロック部41は、頭部(図示せず)にノブ42を取り付けたボルトであるサムスクリュー43と、サムスクリュー43を螺合させる雌螺子部44から構成されている。サムスクリュー43は、ベース部11に穿設された挿通孔45に雄螺子部46を挿通させた状態で保持されている。雌螺子部44は、ベルト装着部61の下部に形成されている。ベルト装着部61を下方に回動させ、雌螺子部44と雄螺子部46を螺合させることで、ベルト装着部61を閉状態で保持させることができる。ノブ42には、直線状の係止溝47が形成されており、この係止溝47にマイナスドライバー等を係止し、ノブ42を回転操作することができるようになっている。
【0033】
サムスクリュー43のノブ42は、支持部37に形成された略半円状の凹状溝部48に配置されている。凹状溝部48は、正面側と下側が開口しており、ノブ42が正面側の開口である正面開口部49と下側の開口である下開口部50から露出しており、使用者5が指でノブ42の回転操作をすることができるようになっている。
【0034】
主に図3に示すように、ベース部11であって、ストッパー用開口部18のやや下方の位置には、永久磁石であるベース部側磁石51の一部が露出する円形の開口孔52が穿設されている。ベース部側磁石51は、ベース部11内に配設されている。ストッパー17、左移動体25A、右移動体25B及び支持部37に囲まれた範囲である取付開口部53は正面視において略円形状を有しており、開口孔52は、取付開口部53の中心位置E1よりもやや上方に配設されている。ベース部側磁石51は、中心位置E1を中心とした仮想の円周F1上に設けられている。この円周F1は、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた状態で、後述するブラケット側磁石84が設けられた円周F2(図13参照)に対向するものである。そのため、ベース部側磁石51は、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた状態で、円周F2に対向する位置に設けられることになる。
【0035】
主に図1及び図6に示すように、ベース部11の下端部54には、落下防止コード55を係止する環状のコード係止部56が設けられている。
【0036】
本実施例では、ベース部11、ストッパー17、左移動体25A、右移動体25B、ばね収容部26Aの右側面部35A、ばね収容部26Bの左側面部35B、支持部37及びベース部側磁石51により取付受部57を構成しているが、ベース部側磁石51を設けなくてもブラケット3の着脱を行うことができるため、ベース部側磁石51は必須の構成ではない。
【0037】
主に図4及び図7に示すように、ベルト装着部61は、回動軸62を収容する軸収容部63と、装着部本体64と、突当部65を有している。軸収容部63は円筒状に形成されている。回動軸62は、軸収容部63と、ベース部11の裏面部12に突設された軸挿通部58に挿通されており、ベルト装着部61は、ベース部11に対して回動自在に取り付けられている。
【0038】
装着部本体64は、縦長の矩形板状に形成されている。装着部本体64の外側面である外面部66には、矩形状の凹部67が形成されており、この凹部67内に本体部を貫通する縦長の係止孔68A,68Bが2箇所に平行に穿設されている。この係止孔68A,68Bは、ベース部11の裏面部12と装着部本体64との間の間隙G(図11参照)を調節する隙間調節具71を係止するためのものである。
【0039】
ベルト装着部61は、ベース部11の裏面部12の上部に回動自在に軸支されている。ベース部11の裏面部12とベルト装着部61の装着部本体64の内面部69との間には、間隙Gが形成されており、この間隙Gにベルト6が配置される。図7は、ベルト装着部61を上方に回動させたベルト装着部61の開状態を示しており、図4及び図11は、ベルト装着部61をロック部41によりベース部11に固定させたベルト装着部61の閉状態を示している。
【0040】
突当部65は、ベルト装着部61を閉状態としたときにベース部11の裏面部12に当接する。図11に示すように、突当部65は、ベルト装着部61が閉状態のときに、装着部本体64よりもベース部11の裏面部12側に位置するように形成されており、突当部65が裏面部12に当接した状態で裏面部12と装着部本体64との間に間隙Gが形成されるようになっている。
【0041】
図12に示すように、隙間調節具71は、矩形板状に形成された板状本体部72と、板状本体部72の左右両端から立設された係止爪部73A,73Bを有している、板状本体部72の外面74には、滑止め用溝75が6箇所に形成されている。なお、滑り止めの効果を発揮することができれば、滑止め用溝75の数は適宜変更可能であり、溝ではなく複数の突起等を形成したものであってもよい。
【0042】
隙間調節具71は、3種類の使用方法を有している。第一の使用方法は、図11(A)に示すように、板状本体部72を凹部67側に配置した状態で係止孔68A,68Bに係止爪部73A,73Bを挿通し係止したものである。第一の使用方法により隙間調節具71を取り付けた場合、係止爪部73A,73Bが装着部本体64の内面部69から突出し、この突出した係止爪部73A,73Bの長さHの分だけ間隙Gを狭くすることができる。第二の使用方法は、図11(B)に示すように、係止爪部73A,73Bを凹部67側に配置した状態で係止孔68A,68Bに係止爪部73A,73Bを挿通し係止したものである。第二の使用方法により隙間調節具71を取り付けた場合、板状本体部72の厚さJの分だけ間隙Gを狭くすることができる。第三の使用方法は、図11(C)に示すように、隙間調節具71を取り付けない使用方法である。隙間調節具71を取り付けないことにより、間隙Gを最大とすることができる。
【0043】
隙間調節具71を第一の使用方法、第二の使用方法の何れの方法で使用しても、板状本体部72の厚さJと係止爪部73A,73Bの突出の長さHは凹部67の深さKよりも短く、板状本体部72の外面74よりも突出しないようになっている。そのため、工具携帯具1をベルト6に取り付けた際に、板状本体部72と係止爪部73A,73Bが、使用者5の体を圧迫しないようになっている。
【0044】
なお、本実施例の隙間調節具71は、間隙Gが、第一の使用方法<第二の使用方法<第三の使用方法、となるように板状本体部72と係止爪部73A,73Bが形成されているが、板状本体部72の厚さJと係止爪部73A,73Bの突出長さHを変更し、間隙Gが、第二の使用方法<第一の使用方法<第三の使用方法、となるようにしてもよい。この場合、板状本体部72の厚さJと係止爪部73A,73Bの突出長さHは凹部67の深さKよりも短くすることが好ましい。
【0045】
図13及び図14に示すように、ブラケット3は、巻尺4に当接させるブラケット本体81と、円板状に形成された取付部82を有している。本実施例のブラケット3は巻尺4にねじ止めされているが、ブラケット3を巻尺4に確実に取り付けることができれば、他の取り付け構造を用いてもよい。
【0046】
取付部82のブラケット本体81と接続している面と反対側の面である当接面部83の中心位置E2のやや上方の位置には、永久磁石であるブラケット側磁石84の一部が露出する開口孔85が穿設されている。ブラケット側磁石84は、ブラケット本体81と取付部82の内部に配設されている。ブラケット側磁石84は、当接面部83の正面視において、中心位置E2を中心とする仮想の円周F2上に設けられている。
【0047】
取付部82は、ブラケット本体81よりも外周方向に張り出したフランジ部86を有しており、フランジ部86の当接面部83の角部には、全周にわたって面取りされたテーパ部87が形成されている。ホルダー本体2の左移動体25Aと右移動体25Bがコイルばね27A,27Bにより付勢され、左移動体25Aと右移動体25Bが接近位置にあるときにおいて、取付部82の直径Lは、左移動体25Aの手前側円弧部32Aと右移動体25Bの手前側円弧部32Bとの距離M1(図3及び図8参照)よりも短く、左移動体25Aの奥側円弧部33Aと右移動体25Bの奥側円弧部33Bとの距離M2(図3及び図8参照)よりも長くなるように形成されている。そして、図8に示すように、左移動体25Aと右移動体25Bが最も離れた位置(離隔位置)にあるときにおいて、取付部82の直径Lは、手前側円弧部32Aと手前側円弧部32Bとの距離M1及び奥側円弧部33Aと奥側円弧部33Bとの距離M2よりも短くなるように形成されている。
【0048】
ここで、工具携帯具1の使用方法について説明する。先ず、ブラケット3をホルダー本体2に取り付ける方法について説明する。なお、ブラケット3は、事前に巻尺4に取り付け、固定しておく。まず、サムスクリュー43のノブ42を回転操作し、雌螺子部44と雄螺子部46との螺合を解除し、図7に示すように、ベルト装着部61を開状態とする。次に、ベルト6がホルダー本体2と装着部本体64との間隙Gに配置されるように工具携帯具1をベルト6に取り付ける。サムスクリュー43のノブ42を回転操作し、雌螺子部44と雄螺子部46を螺合させ、ベルト装着部61を閉状態とする。この状態が、図2に示す状態である。次に、ブラケット3の取付部82を取付受部57に取り付ける。
【0049】
ブラケット3は、取付受部57に対して所望の方向から取り付けることができる。以下、取り付ける方向を例示する。
(1)正面開口部49側からの取り付け
取付部82を左移動体25Aの受面部31A及び右移動体25Bの受面部31Bに当接させて押し込むと、左移動体25Aと右移動体25Bが左右外側方向に移動し、取付部82の当接面部83がベース部11の表面部16に当接することで、左移動体25Aと右移動体25Bが元の位置(接近位置)に戻り、取付部82のフランジ部86が隙間C1と隙間C2に配置されてブラケット3がホルダー本体2に取り付けられる。
(2)正面視左側からの取り付け
取付部82を左移動体25Aに沿って左側から右側へスライドさせると、フランジ部86が隙間C2に配置される。次に、取付部82を左移動体25Aの受面部31Aに当接させて押し込むと、左移動体25Aが左右方向外側(左側)に移動し、取付部82の当接面部83がベース部11の表面部16に当接することで、左移動体25Aが元の位置(接近位置)に戻り、フランジ部86が隙間C1に配置されてブラケット3がホルダー本体2に取り付けられる。
(3)正面視右側からの取り付け
取付部82を右移動体25Bに沿って右側から左側へスライドさせると、フランジ部86が隙間C1に配置される。次に、取付部82を右移動体25Bの受面部31Bに当接させて押し込むと、右移動体25Bが左右方向外側(右側)に移動し、取付部82の当接面部83がベース部11の表面部16に当接することで、右移動体25Bが元の位置(接近位置)に戻り、フランジ部86が隙間C2に配置されてブラケット3がホルダー本体2に取り付けられる。
(4)正面視上側からの取り付け
取付部82をストッパー17の上側から下側に向かって移動させると、取付部82がストッパー17の傾斜部20に当接し、さらに下方に移動させると、ストッパー17が取付部82に所定の方向である上側から下側に向かって押圧され、ベース部11内に収容される。さらにフランジ部82を下方に移動させると、取付部82の当接面部83がベース部11の表面部16に当接すると共に、フランジ部82が隙間C1,C2に配置され、ブラケット3がホルダー本体2に取り付けられる。
(5)正面視下側からの取り付け
取付部82を支持部37に沿って下方から上方に向かって移動させると、取付部82が左移動体25Aと右移動体25Bを押圧し、左移動体25Aと右移動体25Bが左右外側方向に移動する。取付部82の当接面部83がベース部11の表面部16に当接することで、左移動体25Aと右移動体25Bが元の位置(接近位置)に戻り、取付部82のフランジ部86が隙間C1,C2に配置されてブラケット3がホルダー本体2に取り付けられる。
(6)その他の方向からの取り付け
上記(1)~(5)以外の、例えば、正面視斜め方向から取付受部57に向かって取付部82を移動させることで、左移動体25A及び右移動体25Bやストッパー17を移動させ、取付部82のフランジ部86が隙間C1,C2に配置されることでブラケット3をホルダー本体2に取り付けることができる。
【0050】
ブラケット3と取付受部57にはそれぞれブラケット側磁石84とベース部側磁石51が配設されていることから、ブラケット3を取付受部57に接近させると、ブラケット側磁石84とベース部側磁石51が互いの磁力により引き合う。そのため、左移動体25Aと右移動体25Bを押圧する際に、使用者5は強い力を要することなく左移動体25Aと右移動体25Bを左右方向外側に移動させることができる。また、図10参照に示すように、ばね収容部26Aの右側面部36Aとばね収容部26Bの左側面部36Bとの距離N(図9参照)は、取付部82の直径Lよりも僅かに長く形成されている。そのため、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた状態で、ブラケット3を回転させることができるようになっている。
【0051】
次に、ブラケット3をホルダー本体2から取り外す方法について説明する。ブラケット3がホルダー本体2に取り付けられた状態で、操作体24を押圧すると、ストッパー17がベース部11内に移動して収容される。ストッパー17がベース部11内に収容されると、ブラケット3を上方に移動することを規制するものがなくなるため、ブラケット3を上方に移動させ取付受部57の外部へ引き出すことで、ブラケット3をホルダー本体2から取り外すことができる。
【0052】
本実施例では、ベース部側磁石51が取付開口部53の中心位置E1よりもやや上側の位置に露出し、ブラケット側磁石84が取付部82の中心位置E2よりもやや上側の位置に露出している。そのため、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた状態では、ブラケット3が、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84とが対向する位置に保持され易くなる。ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた際に、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84が対向していない場合であっても、ブラケット3を回転させることで、ブラケット3をベース部側磁石51とブラケット側磁石84が対向する位置に保持させることができる。そのため、ブラケット3ひいては巻尺4を常に一定の向きに保持し易くなっている。また、使用者5はブラケット3を回転させた際に、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84が引き合う磁力を感じ、ブラケット3及び巻尺4を目視することなくブラケット3及び巻尺4の向きを認識することができる。なお、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84を配設する位置を変えることで、ブラケット3及び巻尺4を所望の向きに保持し易くすることができる。
【0053】
以上のように、本実施例の工具携帯具1は、ベルト部材であるベルト6に取り付けるホルダー本体2と、工具である巻尺4に取り付け、ホルダー本体2に着脱自在のブラケット3と、を備える工具携帯具1であって、ホルダー本体2は、ブラケット3の取付部82を取り付ける取付受部57を有し、取付受部57は、取付部82を保持する左保持部30A及び右保持部30Bを有し、左保持部30A及び右保持部30Bのうち1以上の左保持部30A及び右保持部30Bが他の左保持部30A及び右保持部30Bに接近する方向と離隔する方向に移動可能であり、左保持部30A及び右保持部30Bが接近位置にあるときにブラケット3がホルダー本体2に保持可能であることにより、左保持部30Aと右保持部30Bの両方又は一方を離隔する方向に移動させることで、ブラケット3及び巻尺4を所望の方向からホルダー本体2に取り付けることができる。また、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた状態では、左保持部30A及び右保持部30Bが接近位置にあることでブラケット3がホルダー本体2から意図せず外れることを防止できる。
【0054】
保持部が左保持部30Aと右保持部30Bからなり、取付受部57は、対向して設けられた左移動体25Aと右移動体25Bを有し、左保持部30Aが左移動体25Aに形成され、右保持部30Bが右移動体25Bに形成され、左移動体25Aと右移動体25Bは、互いに接近する方向と離隔する方向に移動可能であり、左移動体25Aと右移動体25Bは、互いに接近する方向にコイルばね27A,27Bにより付勢され、取付部82は円板状に形成され、左移動体25Aと右移動体25Bとの距離が、接近時に取付部82の直径Lよりも短く、離隔時に取付部82の直径Lよりも長いことにより、ブラケット3をホルダー本体2に取り付ける場合に、左移動体25Aと右移動体25Bを離隔する方向に移動させることで、ブラケット3及び巻尺4を所望の方向からホルダー本体2に取り付けることができる。また、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた状態では、左移動体25Aと右移動体25Bとの距離M2が、取付部82の直径Lよりも短いため、ブラケット3がホルダー本体2から意図せず外れることを防止できる。
【0055】
また、本実施例の工具携帯具1は、ホルダー本体2が、抜止部であるストッパー17と、ストッパー17を移動させる操作部である操作体24と、を有し、操作体24を操作しストッパー17を移動させることで、ブラケット3をホルダー本体2から取り外し可能となり、ストッパー17を所定の方向から押圧することでストッパー17が移動し、ブラケット3をホルダー本体2に取り付け可能であることにより、ブラケット3をホルダー本体2に取り付ける場合には、操作体24を操作することなく、ブラケット3によりストッパー17を所定の方向(傾斜部20を押圧する方向)に押圧することでブラケット3をホルダー本体2に取り付けることができる。ブラケット3をホルダー本体2から取り外す場合には、使用者5が操作体24を操作しストッパー17を移動させることでブラケット3をホルダー本体2から取り外すことができる。すなわち、使用者5が操作体24を操作した場合にブラケット3を取り外すことができ、操作体24を操作しない場合にはブラケット3を取り外すことができない。
【0056】
また、本実施例の工具携帯具1は、取付受部57はベース部11を有し、ベース部11と左保持部30Aとの間に第1の隙間である隙間C1が形成され、ベース部11と右保持部30Bとの間に第2の隙間である隙間C2が形成され、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けると、隙間C1と隙間C2に取付部82が配置されることにより、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた状態のときに、ブラケット3のフランジ部86が取付開口部53側へ移動することを左保持部30Aと右保持部30Bが規制するため、ブラケット3がホルダー本体2から意図せず外れることを防止することができる。
【0057】
また、本実施例の工具携帯具1は、左移動体25Aが凹状の第1の円弧部である手前側円弧部32A及び奥側円弧部33Aを有し、右移動体25Bが凹状の第2の円弧部である手前側円弧部32B及び奥側円弧部33Bを有し、手前側円弧部32A及び奥側円弧部33Aと手前側円弧部32B及び奥側円弧部33Bが対向していることにより、ブラケット3の取付部82が当接する受面部31A,31Bが略すり鉢状に形成され、円板状に形成された取付部82により右移動体25Bと左移動体25Aを押圧する際に、力が効率良く右移動体25Bと左移動体25Aに付加され、左移動体25Aと右移動体25Bを離隔する方向に容易に移動させることができる。
【0058】
また、本実施例の工具携帯具1は、取付部82の中心位置E2を中心とする円周F2上に第1の磁石であるブラケット側磁石84が設けられ、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた状態で、取付受部57の円周F1に対向する位置に第2の磁石であるベース部側磁石51が設けられていることにより、ブラケット3をホルダー本体2に取り付ける際に、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84が互いの磁力により引き合うことで、左移動体25Aと右移動体25Bを離隔する方向に移動させるために、左移動体25Aと右移動体25Bを押圧する力が小さくて済む。また、ブラケット3をホルダー本体2に取り付けた状態で、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84が対向していない場合であっても、ブラケット3を回転させることで、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84を容易に対向させることができる。ベース部側磁石51とブラケット側磁石84が対向した時に互いの磁力により引き合う力が最大となり、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84が対向した位置に保持され易くなる。使用者5はブラケット3を回転させた際に、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84が引き合う磁力を感じ、ベース部側磁石51とブラケット側磁石84が対向した位置にあることを認識することができる。そのため、使用者5は、ブラケット3及び巻尺4を目視することなくブラケット3及び巻尺4が所定の向きに配置されていることを認識するができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々の変形実施が可能である。上記実施例では使用者5の下衣用のベルト6に工具携帯具1を取り付けているが、例えば、図15に示すように、使用者5に取り付けた安全帯の上下方向に延びるベルト6に取り付けて使用してもよい。また、上記実施例1では、本願発明の保持部に相当する左保持部30A及び右保持部30Bが形成された左移動体25A及び右移動体25Bの両方が移動可能な構成としているが、何れか一方のみが移動な構成としてもよい。また、上記実施例1では、左移動体25Aと右移動体25Bの2つの移動体を有する構成としているが、3つ以上の移動体を有する構成としてもよく、その3つ以上の移動体のうち1以上の移動体を移動可能とし、ホルダー本体2にブラケット3が着脱及び保持可能としてもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 工具携帯具
2 ホルダー本体
3 ブラケット
4 巻尺(工具)
6 ベルト(ベルト部材)
11 ベース部
17 ストッパー(抜止部)
24 操作体(操作部)
25A 左移動体(第1の移動体)
25B 右移動体(第2の移動体)
27A コイルばね(弾性部材)
27B コイルばね(弾性部材)
30A 左保持部(保持部、第1の保持部)
30B 右保持部(保持部、第2の保持部)
31A 受面部
31B 受面部
32A 手前側円弧部(第1の円弧部)
32B 手前側円弧部(第2の円弧部)
33A 奥側円弧部(第1の円弧部)
33B 奥側円弧部(第2の円弧部)
57 取付受部
82 取付部
E2 中心位置
L 直径
M2 距離
C1 隙間(第1の隙間)
C2 隙間(第2の隙間)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15