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特許7396637東洋医療カルテ共有装置、東洋医療カルテ共有方法、プログラム、記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】東洋医療カルテ共有装置、東洋医療カルテ共有方法、プログラム、記録媒体
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/60 20180101AFI20231205BHJP
   G16H 80/00 20180101ALI20231205BHJP
【FI】
G16H10/60
G16H80/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019192001
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021068107
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(72)【発明者】
【氏名】宮井 誠
【審査官】今井 悠太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-079271(JP,A)
【文献】特開2008-197742(JP,A)
【文献】特開2003-242255(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者ボックス記憶部、提供者ボックス記憶部、患者認証部、提供者認証部、およびアクセス制御部を含み、
前記患者ボックス記憶部は、
患者ごとの患者ボックスを記憶し、
前記患者ボックスは、患者アクセス情報フォルダと、患者録フォルダと、施術提供者ごとの施術フォルダとを含み、
前記患者アクセス情報フォルダは、患者がアクセスするための患者アクセス情報ファイルを含み、
前記患者録フォルダは、患者の識別情報ファイルと患者の身体情報ファイルとを含み、
前記施術フォルダは、施術提供者の識別情報ファイルと、一回の施術ごとの施術録ファイルと、施術提供者が施術録ファイルにアクセスするための施術録アクセス情報ファイルを含み、
前記提供者ボックス記憶部は、
施術提供者ごとの提供者ボックスを記憶し、
前記提供者ボックスは、施術提供者の識別情報ファイルと、施術提供者が前記提供者ボックスにアクセスするための提供者アクセス情報ファイルとを含み、
前記患者認証部は、
患者から入力される患者アクセス情報と、前記患者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、一致する場合、一致する前記患者ボックスへのアクセスを前記患者に対して許可し、
前記提供者認証部は、
施術提供者から入力される提供者アクセス情報と、前記提供者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、且つ、前記施術提供者から入力される施術録アクセス情報と、前記施術録アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、両方が一致する場合、一致する前記施術録ファイルへのアクセスを前記施術提供者に対して許可し、
前記アクセス制御部は、
前記患者認証部により患者に対するアクセスが許可され、アクセスが許可された患者により、任意の施術録ファイルが共有対象として選択され且つ前記施術録ファイルの施術提供者以外の識別情報が共有者の識別情報として選択されると、前記提供者認証部による前記選択された共有者に対するアクセスの許可により、前記共有対象の施術録ファイルへのアクセスを前記共有者に対して許可する、
ことを特徴とする東洋医療カルテ共有装置。
【請求項2】
さらに、施術フォルダ作成部を含み、
前記施術フォルダ作成部は、前記患者認証部により前記患者に対するアクセスが許可され、前記患者が選択した施術提供者の識別情報が入力されると、前記施術提供者の施術フォルダが前記患者ボックス記憶部にない場合、前記施術提供者の施術フォルダを作成し、
作成された施術フォルダは、前記患者ボックス記憶部に記憶される、請求項1に記載の東洋医療カルテ共有装置。
【請求項3】
前記施術フォルダ作成部は、前記患者認証部により前記患者に対するアクセスが許可され、前記患者が選択した施術提供者の識別情報が入力されると、前記施術提供者の施術フォルダが前記患者ボックス記憶部にある場合、次回の施術のための施術録ファイルを作成し、作成された施術録ファイルは、前記患者ボックス記憶部に記憶される、請求項2に記載の東洋医療カルテ共有装置。
【請求項4】
患者ボックス記憶部、および提供者ボックス記憶部を使用し、患者認証工程、提供者認証工程、およびアクセス制御工程を含み、
前記患者ボックス記憶部は、
患者ごとの患者ボックスを記憶し、
前記患者ボックスは、患者アクセス情報フォルダと、患者録フォルダと、施術提供者ごとの施術フォルダとを含み、
前記患者アクセス情報フォルダは、患者がアクセスするための患者アクセス情報ファイルを含み、
前記患者録フォルダは、患者の識別情報ファイルと患者の身体情報ファイルとを含み、
前記施術フォルダは、施術提供者の識別情報ファイルと、一回の施術ごとの施術録ファイルと、施術提供者が施術録ファイルにアクセスするための施術録アクセス情報ファイルを含み、
前記提供者ボックス記憶部は、
施術提供者ごとの提供者ボックスを記憶し、
前記提供者ボックスは、施術提供者の識別情報ファイルと、施術提供者が前記提供者ボックスにアクセスするための提供者アクセス情報ファイルとを含み、
前記患者認証工程は、
患者から入力される患者アクセス情報と、前記患者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、一致する場合、一致する前記患者ボックスへのアクセスを前記患者に対して許可し、
前記提供者認証工程は、
施術提供者から入力される提供者アクセス情報と、前記提供者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、且つ、前記施術提供者から入力される施術録アクセス情報と、前記施術録アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、両方が一致する場合、一致する前記施術録ファイルへのアクセスを前記施術提供者に対して許可し、
前記アクセス制御工程は、
前記患者認証工程により患者に対するアクセスが許可され、アクセスが許可された患者により、任意の施術録ファイルが共有対象として選択され且つ前記施術録ファイルの施術提供者以外の識別情報が共有者の識別情報として選択されると、前記提供者認証工程による前記選択された共有者に対するアクセスの許可により、前記共有対象の施術録ファイルへのアクセスを前記共有者に対して許可する、
ことを特徴とする、前記各工程がコンピュータにより実行される東洋医療カルテ共有方法。
【請求項5】
さらに、施術フォルダ作成工程を含み、
前記施術フォルダ作成工程は、前記患者認証工程により前記患者に対するアクセスが許可され、前記患者が選択した施術提供者の識別情報が入力されると、前記施術提供者の施術フォルダが前記患者ボックス記憶部にない場合、前記施術提供者の施術フォルダを作成し、
作成された施術フォルダは、前記患者ボックス記憶部に記憶される、請求項4に記載の東洋医療カルテ共有方法。
【請求項6】
前記施術フォルダ作成工程は、前記患者認証工程により前記患者に対するアクセスが許可され、前記患者が選択した施術提供者の識別情報が入力されると、前記施術提供者の施術フォルダが前記患者ボックス記憶部にある場合、次回の施術のための施術録ファイルを作成し、作成された施術録ファイルは、前記患者ボックス記憶部に記憶される、請求項5に記載の東洋医療カルテ共有方法。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一項に記載の東洋医療カルテ共有方法をコンピュータ上で実行可能なプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、東洋医療カルテ共有装置、東洋医療カルテ共有方法、プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
鍼、灸、あん摩マッサージ指圧は、国家資格である鍼灸あん摩マッサージ指圧師に認められた東洋医療に基づく施術である。近年、西洋医学に基づく治療においても、東洋医療への関心が高く、東洋医療との併用も進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】国際公開2015-174425
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように関心が高い鍼灸あん摩マッサージ指圧であるが、基本的に、患者側は、自ら施術者を探し出すしかなく、実際に、鍼灸院等の施術所に出向いて、自らの情報を説明し、施術を受けなければ、施術者に状況を把握してもらうことができない。また、施術者側も、実際に来院した患者に、問診票の記入を依頼し、実際に施術をしなければ、患者の状況を把握することができない。このため、患者にとっても施術者にとっても、情報を有効に活用し、より良い施術の提供を実現することが必要と考えられる。
【0005】
そこで、本発明は、鍼灸あん摩マッサージ指圧等の東洋医療について、施術を提供する施術提供者側および施術の提供を受ける患者側の双方に対して、施術に関する情報を容易に活用でき、東洋医療の利用を広げるためのシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明の東洋医療カルテ共有装置は、
患者ボックス記憶部、提供者ボックス記憶部、患者認証部、提供者認証部、およびアクセス制御部を含み、
前記患者ボックス記憶部は、
患者ごとの患者ボックスを記憶し、
前記患者ボックスは、患者アクセス情報フォルダと、患者録フォルダと、施術提供者ごとの施術フォルダとを含み、
前記患者アクセス情報フォルダは、患者がアクセスするための患者アクセス情報ファイルを含み、
前記患者録フォルダは、患者の識別情報ファイルと患者の身体情報ファイルとを含み、
前記施術フォルダは、施術提供者の識別情報ファイルと、一回の施術ごとの施術録ファイルと、施術提供者が施術録ファイルにアクセスするための施術録アクセス情報ファイルを含み、
前記提供者ボックス記憶部は、
施術提供者ごとの提供者ボックスを記憶し、
前記提供者ボックスは、施術提供者の識別情報ファイルと、施術提供者が前記提供者ボックスにアクセスするための提供者アクセス情報ファイルとを含み、
前記患者認証部は、
患者から入力される患者アクセス情報と、前記患者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、一致する場合、一致する前記患者ボックスへのアクセスを前記患者に対して許可し、
前記提供者認証部は、
施術提供者から入力される提供者アクセス情報と、前記提供者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、且つ、前記施術提供者から入力される施術録アクセス情報と、前記施術録アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、両方が一致する場合、一致する前記施術録ファイルへのアクセスを前記施術提供者に対して許可し、
前記アクセス制御部は、
前記患者認証部により患者に対するアクセスが許可され、アクセスが許可された患者により、任意の施術録ファイルが共有対象として選択され且つ前記施術録ファイルの施術提供者以外の識別情報が共有者の識別情報として選択されると、前記提供者認証部による前記選択された共有者に対するアクセスの許可により、前記共有対象の施術録ファイルへのアクセスを前記共有者に対して許可する、ことを特徴とする
【0007】
本発明の東洋医療カルテ共有方法は、
患者ボックス記憶部、および提供者ボックス記憶部を使用し、患者認証工程、提供者認証工程、およびアクセス制御工程を含み、
前記患者ボックス記憶部は、
患者ごとの患者ボックスを記憶し、
前記患者ボックスは、患者アクセス情報フォルダと、患者録フォルダと、施術提供者ごとの施術フォルダとを含み、
前記患者アクセス情報フォルダは、患者がアクセスするための患者アクセス情報ファイルを含み、
前記患者録フォルダは、患者の識別情報ファイルと患者の身体情報ファイルとを含み、
前記施術フォルダは、施術提供者の識別情報ファイルと、一回の施術ごとの施術録ファイルと、施術提供者が施術録ファイルにアクセスするための施術録アクセス情報ファイルを含み、
前記提供者ボックス記憶部は、
施術提供者ごとの提供者ボックスを記憶し、
前記提供者ボックスは、施術提供者の識別情報ファイルと、施術提供者が前記提供者ボックスにアクセスするための提供者アクセス情報ファイルとを含み、
前記患者認証工程は、
患者から入力される患者アクセス情報と、前記患者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、一致する場合、一致する前記患者ボックスへのアクセスを前記患者に対して許可し、
前記提供者認証工程は、
施術提供者から入力される提供者アクセス情報と、前記提供者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、且つ、前記施術提供者から入力される施術録アクセス情報と、前記施術録アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、両方が一致する場合、一致する前記施術録ファイルへのアクセスを前記施術提供者に対して許可し、
前記アクセス制御工程は、
前記患者認証工程により患者に対するアクセスが許可され、アクセスが許可された患者により、任意の施術録ファイルが共有対象として選択され且つ前記施術録ファイルの施術提供者以外の識別情報が共有者の識別情報として選択されると、前記提供者認証工程による前記選択された共有者に対するアクセスの許可により、前記共有対象の施術録ファイルへのアクセスを前記共有者に対して許可する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明のプログラムは、前記本発明の東洋医療カルテ共有方法をコンピュータ上で実行可能なプログラムである。
【0009】
本発明の記録媒体は、前記本発明のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
通常、施術の提供者が得られる情報は、実際に来院した患者への問診と、自らが行った施術の内容にとどまっている。しかしながら、本発明によれば、患者側が許諾する範囲において、自らの施術情報に限らず、例えば、別の提供者による施術情報に関しても、容易に入手することができる。このため、患者および提供者が、容易にそれぞれの情報を利用することができるため、医療分野でも、その重要性が着目されている東洋医療を、より簡便に提供し、また、提供を受けることができ、さらなる利用の拡大も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態1の東洋医療カルテ共有装置の一例の構成を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態1の東洋医療カルテ共有装置の一例を示す概略図である。
図3図3は、実施形態1の東洋医療カルテ共有装置のハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図4図4は、実施形態1における患者ボックスの一例を示す概略図である。
図5図5は、実施形態1における提供者ボックスの一例を示す概略図である。
図6図6は、実施形態1における共有方法の一部のフローチャートである。
図7図7は、実施形態1における共有方法の一部のフローチャートである。
図8図8は、実施形態1における共有方法の一部のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本願において、「東洋医療」とは、いわゆる、針、灸、およびあん摩マッサージ指圧である。これらの東洋医療は、国家資格を有する者(はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師)のみが施すことができるため、本発明において、「施術提供者」とは、「施術者」、すなわち、これらの国家資格を有する者と、「施術所」、すなわち、前記施術者が所属する治療院(例えば、鍼灸院等)である。本発明において、「患者」とは、実際に東洋医療の施術を受けたことのある者には限られず、これから施術を受ける予定の者、施術に興味のある者等も含まれる。本発明の東洋医療カルテ共有装置のユーザは、前記提供者および前記患者の他に、例えば、前記施術所のスタッフ、前記患者の近親者、東洋医療カルテ共有装置の管理者等も含まれる。
【0013】
つぎに、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態によって何ら限定されない。各図において、同一部分には、同一符号を付している。各実施形態における説明は、それぞれ、互いを援用できる。
【0014】
[実施形態1]
図1は、本実施形態の東洋医療カルテ共有装置10の一例の構成を示すブロック図である。以下、「東洋医療カルテ共有装置」を、共有装置といい、「東洋医療カルテ共有方法」を、共有方法という。
【0015】
図1に示すように、共有装置10は、患者ボックス記憶部111と提供者ボックス記憶部112とを含む記憶部11、患者認証部13、提供者認証部14、およびアクセス制御部15を含む。共有装置10は、さらに、入力部12、および出力部16を含んでもよい。共有装置10は、例えば、共有システムともいう。共有装置10は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。前記通信回線網は、例えば、特に制限されず、公知の通信回線網を使用でき、有線でも無線でもよい。前記通信回線網は、例えば、インターネット回線、電話回線、LAN(Local Area Network)、WiFi(Wireless Fidelity)等があげられる。共有装置10は、例えば、各部の処理がクラウド上で行われてもよい。共有装置10は、例えば、サーバでもよいし、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピューター(PC)等でもよい。
【0016】
共有装置10は、例えば、外部機器と通信回線網を介して接続可能である。前記外部機器は、例えば、サーバ、PC(パーソナルコンピュータ)、その他に、タブレット、スマートフォン、携帯電話等の端末である。共有装置10は、患者および施術提供者からの情報を記憶し、また、患者および施術提供者に情報を提供する。このため、これらの情報のやりとりが可能なように、図2に示すように、共有装置10は、患者および施術提供者(施術者、施術所)の外部機器30と、通信回線網20を介して接続可能である。共有装置10は、例えば、サーバ(図示せず)と、通信回線網20を介して接続可能であってもよく、各種情報は、サーバに記憶されてもよい。
【0017】
記憶部11の患者ボックス記憶部111は、患者ごとの患者ボックスを記憶する。前記患者ボックスとは、患者ごとに、様々な情報を記憶するボックスである。前記患者ボックスについて、図4を用いて説明する。図4は、患者ボックスの概略の一例を示す図である。患者ボックス記憶部111には、図4に示すような患者ごとのボックス40(40A、40B、40C)が、患者の数だけ記憶される。図4に示すように、患者ボックス40Aは、患者アクセス情報フォルダ41と、患者録フォルダ42と、施術提供者ごとの施術フォルダ43(43A、43B、43C)とを含む。
【0018】
患者アクセス情報フォルダ41は、患者がアクセスするための患者アクセス情報ファイル411を含む。患者アクセス情報ファイル411における「アクセス」とは、共有装置10へのアクセスを意味する。共有装置10に患者がアクセスするための情報は、特に制限されず、患者ごとで異なる情報であればよく、例えば、アクセスID、パスワード、生体認証用情報、これらの組合せ等があげられる。前記患者アクセス情報は、例えば、患者が初めて共有装置10へのアクセスを行う際に設定され、患者アクセス情報フォルダ41が生成される。
【0019】
患者録フォルダ42は、患者識別情報ファイル421と患者身体情報ファイル422とを含む。
【0020】
患者識別情報ファイル421に記憶される患者識別情報は、特に制限されず、患者を特定できる情報であり、例えば、特定ID、基本情報等があげられ、好ましくは、前記特定IDに前記基本情報が紐づけられている。患者識別情報ファイル421における特定IDは、例えば、システム上、他の患者と区別するために付与されるIDであり、診察券番号、保険番号等でもよい。前記基本情報は、例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、性別、保険証情報、医師の同意書情報、既往歴、および家族の既往歴等があげられ、患者ごとに、可能な全ての情報を含むことが好ましい。前記同意書とは、例えば、患者の主治の医師が、診察に基づいて交付する、患者に対する東洋医療法(鍼灸あん摩マッサージ指圧)の施術に係る同意書(診断書を含む)である。前記同意書の交付により、前記東洋医療の施術費に対して保険が適用される。前記医師の同意書情報とは、例えば、前記同意書の有無、前記同意書の写し等である。
【0021】
患者身体情報ファイル422に記憶される患者身体情報は、特に制限されず、患者による問診情報、所見情報等があげられる。前記所見情報は、例えば、痛み程度を示すVAS情報等があげられる。前記VAS(Visual Analog Scale;視覚的評価スケール)情報とは、例えば、患者自らが判断した痛みの程度を、直線上における位置で示す情報である。前記VAS情報は、例えば、施術前のVAS情報、施術後のVAS情報、施術と施術との間におけるVAS情報等がある。
【0022】
施術フォルダ43は、患者ボックス40の対象者である患者に対する、施術提供者ごとの施術フォルダ43(43A、43B、43C)である。施術提供者ごとの施術フォルダ43は、例えば、後述するように、患者ボックス40の患者により、後述する提供者ボックスに記憶されている複数の施術提供者から、初めて選択された際に作成される。具体的には、例えば、患者ボックス1の患者(特定ID=1)が、これまで施術提供者A(特定ID=A)を選択したことがなかった場合、患者ボックス1に、施術提供者Aの施術フォルダ43が無いが、患者(特定ID=1)が、施術提供者Aを選択すると、患者ボックス1内に、施術提供者Aの施術フォルダ43Aが作成される。前記患者による前記施術提供者の選択は、例えば、後述する提供者ボックスに記憶されている施術提供者のリストから、前記施術提供者の特定ID、氏名等を選択することによって行える。
【0023】
施術フォルダ43は、施術提供者識別情報ファイル431と、一回の施術ごとの施術録ファイル433(4331、4332)と、施術提供者が施術録ファイル433にアクセスするための施術録アクセス情報ファイル432を含む。
【0024】
施術提供者識別情報ファイル431は、例えば、前述のように、患者が施術提供者を選択して、施術フォルダ43が作成された際に、後述する前記提供者ボックスの施術提供者の識別情報ファイルに記憶されている情報の一部が記憶される。前記情報の一部は、例えば、施術提供者の識別情報のうち、患者に開示可能な情報であり、前記施術提供者によって、予め開示の可否を設定できる。前記一部の情報は、例えば、特定ID、氏名、院名等である。
【0025】
施術フォルダ43は、一回の施術ごとの施術録ファイル433(4331、4332)を含む。ここで、「一回の施術ごと」とは、例えば、「一回の通院ごとの施術」ともいえる。施術録ファイル433には、例えば、施術提供者による施術の情報が、施術提供者によって共有装置10に入力され、記録される。前記施術の情報は、例えば、施された施術の内容、患者の問診情報に基づく施術提供者による予診情報、施術にあたっての施術提供者の診断情報等である。
【0026】
施術録アクセス情報ファイル432に記録される情報は、施術提供者が施術録ファイル433にアクセスするための情報である。施術録アクセス情報ファイル432における「アクセス」とは、施術提供者による、自らが関与する施術録ファイル433へのアクセスを意味する。施術提供者による患者に対する施術の情報は、例えば、施術提供者が、共有装置10にアクセスし、さらに、特定の患者に対する施術フォルダ43中の施術録ファイル433にアクセスし、入力することによって記録される。この際、共有装置10は、ある施術提供者が、他の施術提供者の施術フォルダ43の施術録ファイル433に自由にアクセスすることを制限する必要がある。つまり、例えば、施術提供者Aの場合、患者ボックス40Aのうち、他の施術提供者BおよびCの施術フォルダ43B、43Cではなく、自らの施術フォルダ43Aの施術録ファイル433にのみアクセスできるように制限する必要がある。このため、患者ボックス40において、施術提供者ごとに作成される施術フォルダ43の施術録ファイル433のみに使用できるアクセス情報が設定され、施術録アクセス情報ファイル432に記憶される。前記アクセス情報は、例えば、患者が設定してもよいし、共有装置10において、自動的に付与されてもよい。このアクセス情報が、例えば、患者または共有装置10から、該当する施術提供者のみに通知されると、前記施術提供者は、共有装置10にアクセスした後、さらに、前記通知されたアクセス情報を用いることで、自らの施術情報を記録するための施術録ファイル433にアクセスすることが可能になる。
【0027】
記憶部11の提供者ボックス記憶部112は、施術提供者ごとの提供者ボックスを記憶する。前記提供者ボックスとは、施術提供者ごとに、様々な情報を記憶するボックスである。前記提供者ボックスについて、図5を用いて説明する。図5は、提供者ボックスの概略の一例を示す図である。提供者ボックス記憶部112には、図5に示すような施術提供者ごとの提供者ボックス50(50A、50B、50C)が、施術提供者の数だけ記憶される。図5に示すように、提供者ボックス50Aは、施術提供者識別情報ファイル51と、提供者アクセス情報ファイル52とを含む。
【0028】
施術提供者識別情報ファイル51に記憶される施術提供者識別情報は、特に制限されず、施術提供者を特定できる情報であり、例えば、特定ID、基本情報等があげられ、好ましくは、前記特定IDに前記基本情報が紐づけられている。施術提供者識別情報ファイル51における特定IDは、例えば、システム上、他の施術提供者と区別するために付与されるIDであり、公益財団法人東洋医療法研修試験財団に登録された登録番号等でもよい。前記基本情報は、施術者個人の場合、例えば、氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日、性別、取得資格、東洋医療関係の会員歴、受講暦等があげられ、可能な全ての情報を含むことが好ましい。前記基本情報は、前記施術所の場合、例えば、院名(屋号)、住所、電話番号、メールアドレス、開業者、院長、責任者、所属する施術者の個人の前記IDおよび前記基本情報等があげられ、可能な全ての情報を含むことが好ましい。
【0029】
提供者アクセス情報ファイル52に記憶される情報は、施術提供者がアクセスするための情報である。提供者アクセス情報ファイル52における「アクセス」とは、共有装置10へのアクセスを意味する。共有装置10に施術提供者がアクセスするための情報は、特に制限されず、施術提供者ごとに異なる情報であればよく、例えば、アクセスID、パスワード、これらの組合せ等があげられる。また、施術提供者が施術所の場合、属する施術者のアクセスID、パスワード、生体認証用情報、これらの組合せ等でもよい。
【0030】
入力部12は、例えば、患者および施術提供者からの情報を入力し、入力された情報は、例えば、記憶部11に記憶される。
【0031】
基本的に、個人情報は、何ら制限なく、他人に提供することはできない。そこで、共有装置10において、前述のように、記憶部11の患者アクセス情報ファイルには、患者が共有装置10にアクセスするための情報が記憶される。そして、例えば、入力部12から患者が患者アクセス情報を入力すると、共有装置10の患者認証部13は、患者から入力される患者アクセス情報と、前記患者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、一致する場合、一致する前記患者ボックスへのアクセスを前記患者に対して許可する。このため、患者のうちアクセスが許可された患者のみが、その患者の情報が含まれる患者ボックスにアクセスでき、他の患者によるアクセスを回避できる。
【0032】
基本的に、同じ患者に対する施術録であっても、個人情報であるため、ある施術提供者が、異なる施術提供者による施術録を自由に閲覧することはできない。そこで、共有装置10において、前述のように、記憶部11の提供者アクセス情報ファイルには、施術提供者が共有装置10にアクセスするための情報が記憶され、記憶部11の患者ボックスの施術録アクセス情報ファイルには、施術提供者が施術録ファイルにアクセスするための情報が記憶される。そして、例えば、入力部12から施術提供者が提供者アクセス情報および施術録アクセス情報を入力すると、共有装置10の提供者認証部14は、施術提供者から入力される提供者アクセス情報と、前記提供者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、且つ、前記施術提供者から入力される施術録アクセス情報と、前記施術録アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、両方が一致する場合、一致する前記施術録ファイルへのアクセスを前記施術提供者に対して許可する。このため、施術提供者のうちアクセスが許可された施術提供者のみが、その提供者が施術した施術情報が含まれる患者ボックスの施術録ファイルにアクセスでき、他の施術提供者によるアクセスを回避できる。
【0033】
通常、前述のように、施術提供者は、他の施術提供者による施術録を閲覧することができない。これに対して、本発明の東洋医療カルテ共有装置は、患者の許諾する範囲においては、自らの施術情報に限らず、別の施術提供者による施術情報に関しても入手が可能となる。このため、共有装置10では、患者は、ある施術提供者による任意の施術録ファイルを選択し、且つ、他の施術提供者を選択することによって、選択した後者に対して、前記施術録ファイルの閲覧を許諾することができる。すなわち、共有装置10は、アクセス制御部15を有し、アクセス制御部15は、患者認証部13により患者に対するアクセスが許可され、アクセスが許可された患者により、任意の施術録ファイルが共有対象として選択され且つ前記施術録ファイルの施術提供者以外の識別情報が共有者の識別情報として選択されると、提供者認証部14による前記選択された共有者に対するアクセスの許可により、前記共有対象の施術録ファイルへのアクセスを前記共有者に対して許可する。これによって、患者の許諾に応じて、施術提供者は、共有装置10により、他の施術提供者の施術録ファイルを閲覧することが可能となる。
【0034】
出力部16は、患者および施術提供者に対して、それぞれ許諾された範囲における情報を出力できる。前記出力は、例えば、共有装置10がディスプレイを有する場合、前記ディスプレイへの表示でもよいし、患者および施術提供者の端末30への出力でもよい。
【0035】
共有装置10は、例えば、さらに、施術フォルダ作成部を含んでもよい。前記施術フォルダ作成部は、例えば、患者認証部13により前記患者に対するアクセスが許可され、前記患者が選択した施術提供者の識別情報が入力されると、前記施術提供者の施術フォルダが患者ボックス記憶部111にない場合、前記施術提供者の施術フォルダを作成する。そして、作成された施術フォルダは、患者ボックス記憶部111に記憶される。
【0036】
また、前記施術フォルダ作成部は、例えば、患者認証部13により前記患者に対するアクセスが許可され、前記患者が選択した施術提供者の識別情報が入力されると、前記施術提供者の施術フォルダが患者ボックス記憶部111にある場合、次回の施術のための施術録ファイルを作成する。そして、作成された施術録ファイルは、患者ボックス記憶部111に記憶される。
【0037】
つぎに、図3に、共有装置10のハードウエア構成のブロック図を例示する。共有装置10は、例えば、プロセッサの一例としてCPU(中央処理装置)101、メモリ102、バス103、入力装置104、ディスプレイ105、通信デバイス106、記憶装置107等を有する。
【0038】
共有装置10の各部は、例えば、それぞれのインターフェイス(I/F)により、バス103を介して、相互に接続されている。前記I/Fは、例えば、外部機器とも接続できる。前記外部機器は、例えば、後述するような、ユーザの端末があげられる。共有装置10は、例えば、前記I/Fに接続された通信デバイス106により、通信回線網20に接続でき、通信回線網20を介して、前記端末等の外部機器と接続することもできる。
【0039】
CPU101は、共有装置10の全体の制御を担うプロセッサであり、CPUには限定されず、他のプロセッサでもよい。共有装置10において、CPU101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。
【0040】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)を含み、前記メインメモリは、主記憶装置ともいう。CPU101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置107に記憶されている本発明のプログラム等の種々のプログラム108を、メモリ102が読み込み、CPU101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラム108を実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。メモリ102は、例えば、さらに、ROM(読み出し専用メモリ)を含む。
【0041】
記憶装置107は、例えば、前記メインメモリに対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。記憶装置107には、前述のように、本発明のプログラムを含むプログラム108および記憶部11が格納されている。前述のように、記憶部11は、患者ボックス記憶部111および提供者ボックス記憶部112を含む。記憶装置107は、例えば、記憶媒体と、前記記憶媒体に読み書きするドライブとを含む。前記記憶媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、FD(フロッピー(登録商標)ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等があげられ、前記ドライブは、特に制限されない。記憶装置107は、例えば、記憶媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)も例示できる。
【0042】
共有装置10は、例えば、さらに、入力装置104、ディスプレイ105を有する。入力装置104は、例えば、タッチパネル、キーボード、マウス等である。ディスプレイ105は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等があげられる。
【0043】
つぎに、本実施形態の共有方法について説明する。本実施形態の共有方法は、例えば、図1から図3の共有装置10により行うことができる。なお、本実施形態の共有方法は、共有装置10の使用には限定されない。
【0044】
本発明の共有方法は、患者ボックス記憶部、および提供者ボックス記憶部を使用する。これらの記憶部に記憶される情報は、前記本発明の共有装置における説明と同様である。
【0045】
本発明の共有方法は、患者認証工程、提供者認証工程、およびアクセス制御工程を含む。前記患者認証工程は、患者から入力される患者アクセス情報と、前記患者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、一致する場合、一致する前記患者ボックスへのアクセスを前記患者に対して許可する。この工程は、例えば、共有装置10の患者認証部13により実施できる。
【0046】
前記提供者認証工程は、施術提供者から入力される提供者アクセス情報と、前記提供者アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、且つ、前記施術提供者から入力される施術録アクセス情報と、前記施術録アクセス情報ファイルのアクセス情報とを照合し、両方が一致する場合、一致する前記施術録ファイルへのアクセスを前記施術提供者に対して許可する。この工程は、例えば、共有装置10の提供者認証部14により実施できる。
【0047】
前記アクセス制御工程は、前記患者認証工程により患者に対するアクセスが許可され、アクセスが許可された患者により、任意の施術録ファイルが共有対象として選択され且つ前記施術録ファイルの施術提供者以外の識別情報が共有者の識別情報として選択されると、前記提供者認証工程による前記選択された共有者に対するアクセスの許可により、前記共有対象の施術録ファイルへのアクセスを前記共有者に対して許可する。この工程は、例えば、共有装置10のアクセス制御部15により実施できる。
【0048】
本発明の共有方法は、例えば、さらに、施術フォルダ作成工程を含んでもよい。前記施術フォルダ作成工程は、例えば、前記患者認証工程により前記患者に対するアクセスが許可され、前記患者が選択した施術提供者の識別情報が入力されると、前記施術提供者の施術フォルダが前記患者ボックス記憶部にない場合、前記施術提供者の施術フォルダを作成する。そして、前記作成された施術フォルダは、前記患者ボックス記憶部に記憶される。この工程は、例えば、共有装置10の前記施術フォルダ作成部により実施できる。
【0049】
また、前記施術フォルダ作成工程は、前記患者認証工程により前記患者に対するアクセスが許可され、前記患者が選択した施術提供者の識別情報が入力されると、前記施術提供者の施術フォルダが前記患者ボックス記憶部にある場合、次回の施術のための施術録ファイルを作成してもよい。そして、前記作成された施術録ファイルは、前記患者ボックス記憶部に記憶される。
【0050】
以下に、本実施形態における共有装置10、および前記共有方法の使用について、具体例をあげて説明する。なお、本発明は、これらの例示には制限されない。
【0051】
まず、共有装置10を用いた共有方法の利用を希望する施術提供者は、初期設定として、共有装置10の入力部12より、前述した施術提供者識別情報(例えば、特定ID、基本情報等)を入力する。共有装置10は、記憶部11の提供者ボックス記憶部112において、施術提供者ごとの提供者ボックス50を作成し、提供者ボックス50に、入力された前記施術提供者識別情報を施術提供者識別情報ファイル51として記憶する。また、初期設定において、任意の提供者アクセス情報(例えば、アクセス用ID)が設定され、共有装置10は、提供者ボックス50に、提供者アクセス情報ファイル52として記憶する。前記提供者アクセス情報は、例えば、前記施術提供者が設定して入力部12により入力してもよいし、共有装置10が、施術提供者ごとに自動設定してもよい。
【0052】
また、共有装置10を用いた共有方法の利用を希望する患者も、同様に、初期設定として、共有装置10の入力部12より、前述した患者識別情報(例えば、特定ID、基本情報等)を入力する。共有装置10は、記憶部11の患者ボックス記憶部111において、患者ごとの患者ボックス40を作成し、患者ボックス40に、入力された前記患者識別情報を、患者ボックス40の患者録フォルダ42内に、患者識別情報ファイル421として記憶する。また、初期設定において、任意の提供者アクセス情報(例えば、アクセス用ID)が設定され、共有装置10は、患者ボックス40の患者アクセス情報フォルダ41内に、患者アクセス情報ファイル411として記憶する。前記患者アクセス情報は、例えば、前記患者が設定して入力部12により入力してもよいし、共有装置10が、患者ごとに自動設定してもよい。
【0053】
施術提供者および患者は、それぞれ、以上のような初期設定を行うことによって、それぞれ、許容されている範囲において、共有装置10にアクセスすることが可能となる。初期設定後、患者は、共有装置10にアクセスして、任意で、共有装置10の入力部により、前述した身体情報(例えば、問診情報、所見情報等)を入力する。共有装置10は、入力された前記身体情報を、患者ボックス40の患者録フォルダ42内に、身体情報ファイル422として記憶する。
【0054】
つぎに、患者が新たに施術を希望してからの共有装置10によるフローを、図6-8を用いて説明する。患者1が、施術者(施術提供者)Aによる施術を希望し、さらに、患者1が、施術者Bによる施術情報を施術者Aに対して共有することを許容する例を示す。
【0055】
まず、患者の基本的なフローを図6に示す。共有装置10は、患者1によりアクセス用IDが入力されると(S101)、患者認証部13により、入力されたアクセス用IDと、患者ボックス1の患者アクセス情報ファイル411のアクセス用IDとを照合する(S102)。そして、一致しない場合(NO)は、患者ボックス1への患者1のアクセスを許可しない(S103)。一方、一致する場合(YES)、患者ボックス1への患者1へのアクセスを許可する(S104)。
【0056】
アクセスが許可された患者1が、施術者リストから施術を希望する施術者を選択すると、選択した施術者Aを入力する(S105)。施術者Aの入力は、例えば、ID、氏名等でもよい。共有装置10は、例えば、提供者ボックス記憶部12の提供者ボックス50に記憶されている施術提供者をリストとして、出力部16に出力し、出力されたリストから、患者1が施術者を選択することによって、入力できる。前記リストには、例えば、施術者の識別情報(例えば、特定ID、基本情報)が含まれる。
【0057】
そして、患者ボックス1に、選択された施術者Aの施術フォルダAがあるかを判定し(S106)、無い場合(NO)、患者ボックス1内に、施術者Aの施術フォルダA(43A)を作成し(S107)、さらに、施術フォルダA(43A)内に、施術提供者識別情報ファイル431を作成する(S108)。施術提供者識別情報ファイル431には、例えば、提供者ボックス記憶部12における提供者Aの提供者ボックスA(50A)内の施術提供者識別情報ファイル51にリンクされてもよいし、施術提供者識別情報ファイル51の情報がコピーされてもよい。さらに、患者ボックス1の施術フォルダA(43A)内に、施術者A用の施術録アクセス情報ファイルが作成される(S109)。前述のように、前記施術録アクセス情報は、例えば、患者1が設定してもよいし、共有装置10により設定されてもよい。
【0058】
そして、患者ボックス1の施術フォルダAが作成されると(S107-S109)、または、施術フォルダAが初めからある場合(S106 YES)、施術フォルダA(43A)に、これから施術者Aに受ける予定の施術情報を記憶するための、施術録ファイルAが作成される(S110)。
【0059】
つぎに、患者1より施術の予約を受けた施術者の基本的なフローを図7に示す。患者1より施術の予約を受けた施術者Aは、予約時に、患者1より、施術者Aが患者ボックス1の施術録ファイルAにアクセスするための施術録アクセス用IDを、例えば、電話、メール等で受け取っている。
【0060】
そこで、共有装置10は、施術者Aにより共有装置10にアクセスするためのアクセス用IDが入力されると(S201)、提供者認証部14により、入力されたアクセス用IDと、提供者ボックスAの提供者アクセス情報ファイル52のアクセス用IDとを照合する(S202)。そして、一致しない場合(NO)は、施術者ボックスAへの施術者Aのアクセスを許可しない(S203)。一方、一致する場合(YES)、施術者ボックスAへの施術者Aへのアクセスを許可する(S204)。
【0061】
さらに、共有装置10は、施術者Aにより、患者1から受け取った患者ボックス1の施術フォルダAの施術録ファイルにアクセスするための施術録アクセス用IDが入力されると(S205)、提供者認証部14により、入力された施術録アクセス用IDと、患者ボックス1(40A)の施術フォルダA(43A)の施術録アクセス情報ファイル432の施術録アクセス用IDとを照合する(S206)。そして、一致しない場合(NO)は、施術フォルダAの施術録ファイルへの施術者Aのアクセスを許可しない(S207)。一方、一致する場合(YES)、施術者フォルダAの施術録ファイルへの施術者Aのアクセスを許可する(S208)。
【0062】
これによって、施術者Aは、患者1の患者ボックス1における施術フォルダAの施術録ファイルにアクセスでき、例えば、施術後に、患者1に対する施術情報を入力できる(S209)。入力された施術情報は、共有装置10の患者ボックス1の施術フォルダAにおいて、施術録ファイルの更新として記憶される。
【0063】
前記施術録ファイルへのアクセスが許容された施術者は、例えば、前記アクセスの許容により、さらに、自らの施術録ファイルの他に、患者フォルダの閲覧等のアクセスも可能である。なお、患者フォルダの閲覧は、例えば、施術に必須とされる情報以外は、患者それぞれによって閲覧の可否を設定することもできる。
【0064】
患者は、例えば、新たな施術者に施術を受ける場合、これまでの施術内容を、新たな施術者に理解しておいて欲しいという希望がある。また、施術者側も、すでに東洋医療の施術を受けたことがある患者の場合、これまでの施術内容を把握した上で、患者に適した施術を提供したいという希望がある。しかし、これらの情報は、個人情報であり、通常では、新たな施術者がこれまでの施術内容を容易に確認することは困難であった。しかし、本発明によれば、患者が許容する限りにおいて、他の施術者による施術録ファイルへのアクセスも可能になる。この点について、図8を用いて説明する。
【0065】
図6と同様に、患者1に対する患者ボックス1へのアクセスが許容されると(S101~S104)、患者1は、他の施術者(施術者A)に対して閲覧共有を行う施術録ファイル(施術者Bの施術録ファイル)を選択し、選択結果が、共有装置10に入力される(S301)。続いて、患者1は、施術者Bの施術録ファイルを閲覧許可する施術者B(共有者ともいう)を選択し、選択結果が、共有装置10に入力される(S302)。
【0066】
すると、共有装置10のアクセス制御部15は、提供者認証部14による前記選択された共有者に対するアクセスの許可により、前記共有対象の施術録ファイルへのアクセスを前記共有者に対して許可する。これによって、施術者Aは、自らの施術に関する施術フォルダAの施術録ファイルだけでなく、他の施術者Bの施術フォルダBの施術録ファイルへのアクセスが可能になる。具体的には、前記図7と同様のフローによって、入力した施術録アクセス用IDと、施術フォルダAの施術録アクセス用IDとが一致すれば、これをもって、患者1によって許容された施術者Bの施術フォルダBにおける施術録ファイルへのアクセスが許容されることになる。
【0067】
[実施形態2]
本実施形態のプログラムは、前記実施形態の共有方法を、コンピュータ上で実行可能なプログラムである。または、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体としては、特に限定されず、例えば、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、光ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。
【0068】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更ができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
通常、施術の提供者が得られる情報は、実際に来院した患者への問診と、自らが行った施術の内容にとどまっている。しかしながら、本発明によれば、患者側が許諾する範囲において、自らの施術情報に限らず、例えば、別の提供者による施術情報に関しても、容易に入手することができる。このため、患者および提供者が、容易にそれぞれの情報を利用することができるため、医療分野でも、その重要性が着目されている東洋医療を、より簡便に提供し、また、提供を受けることができ、さらなる利用の拡大も可能になる。
【符号の説明】
【0070】
10 共有装置
11 記憶部
12 入力部
13 患者認証部
14 提供者認証部
15 アクセス制御部
16 出力部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8