(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】移動体制御装置、移動体制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/00 20060101AFI20231205BHJP
B64C 13/20 20060101ALI20231205BHJP
B64C 39/02 20060101ALI20231205BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G05D1/00 B
B64C13/20 Z
B64C39/02
G05D1/10
(21)【出願番号】P 2019196500
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002044
【氏名又は名称】弁理士法人ブライタス
(72)【発明者】
【氏名】森下 幸司
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/020853(WO,A1)
【文献】特開2015-195020(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123747(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00
B64C 13/20
B64C 39/02
G05D 1/10
G06F 3/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体の傾きを計測する、計測手段と、
設定フェーズにおいて、前記体の傾きを判定するために用いる判定情報を設定する、設定手段と、
運用フェーズにおいて、設定された前記判定情報に基づいて前記体の傾きを判定し、判定した前記体の傾きに応じて、
移動体を操作するために用いる操作情報を生成する、生成手段と、を有
し、
前記設定手段は、計測された前記体の傾きを表す体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈姿勢へ体の傾きが変化したことを検知した場合、前記基準姿勢であるか否かを判定するために用いる第一の判定情報を設定し、その後、前屈姿勢であるか否かを判定するために用いる第二の判定情報を設定する、
ことを特徴とする移動体制御装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の移動体制御装置であって、
前記設定手段は、計測された前記体の傾きを表す体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈右向き姿勢又は前屈左向き姿勢へ体の傾きが変化したことを検知した場合、前記前屈右向き姿勢であるか否かを判定するために用いる第三の判定情報、及び、前屈左向き姿勢であるか否かを判定するために用いる第四の判定情報を設定する
ことを特徴とする移動体制御装置。
【請求項3】
(a)体の傾きを計測し、
(b)設定フェーズにおいて、前記体の傾きを判定するために用いる判定情報を設定し、
(c)運用フェーズにおいて、設定された前記判定情報に基づいて前記体の傾きを判定し、判定した前記体の傾きに応じて、
移動体を操作するために用いる操作情報を生成
し、
前記(b)において、計測された前記体の傾きを表す体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈姿勢へ体の傾きが変化したことを検知した場合、前記基準姿勢であるか否かを判定するために用いる第一の判定情報を設定し、その後、前屈姿勢であるか否かを判定するために用いる第二の判定情報を設定する、
ことを特徴とする移動体制御方法。
【請求項4】
請求項
3に記載の移動体制御方法であって、
前記(b)において、計測された前記体の傾きを表す体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈右向き姿勢又は前屈左向き姿勢へ体の傾きが変化したことを検知した場合、前記前屈右向き姿勢であるか否かを判定するために用いる第三の判定情報、及び、前屈左向き姿勢であるか否かを判定するために用いる第四の判定情報を設定する
ことを特徴とする移動体制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
(a)体の傾きを計測する、ステップと、
(b)設定フェーズにおいて、前記体の傾きを判定するために用いる判定情報を設定する、ステップと、
(c)運用フェーズにおいて、設定された前記判定情報に基づいて前記体の傾きを判定し、判定した前記体の傾きに応じて、
移動体を操作するために用いる操作情報を生成する、ステップと、を実行させ
、
前記(b)のステップにおいて、計測された前記体の傾きを表す体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈姿勢へ体の傾きが変化したことを検知した場合、前記基準姿勢であるか否かを判定するために用いる第一の判定情報を設定し、その後、前屈姿勢であるか否かを判定するために用いる第二の判定情報を設定する、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項6】
請求項
5に記載のプログラムであって、
前記(b)のステップにおいて、計測された前記体の傾きを表す体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈右向き姿勢又は前屈左向き姿勢へ体の傾きが変化したことを検知した場合、前記前屈右向き姿勢であるか否かを判定するために用いる第三の判定情報、及び、前屈左向き姿勢であるか否かを判定するために用いる第四の判定情報を設定する
ことを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動体を制御する移動体制御装置、移動体制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
無人航空機は、災害、警備などの支援に有効活用することができるが、操作が難しいため、操作を容易に行いたいという要望がある。また、無人航空機は購入し易くなり、利用者が増えたため、そのような要望が更に増している。
【0003】
ところで、無人航空機の操作は多くの場合、プロポーショナル式の操作機器を採用しているため、操作者が無人航空機を直感的に操作することが難い。そこで、操作者の動作に応じて無人航空機などの移動体を操作する技術が提案されている。
【0004】
関連する技術として、特許文献1には操作者の動作により無人航空機を操作する移動体操縦システムが開示されている。特許文献1の移動体操縦システムによれば、操作者が体を傾けることにより、移動体を前進させる操作をすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示されている移動体操縦システムでは、操作者が前屈みになることにより無人航空機を前進させることはできるが、容易に前進させることができない。理由は、操作者が前屈みになる動作をしたつもりでも、操作者の体格・姿勢・性格などの影響により、実際には適切に前屈みの姿勢をとっていないためである。
【0007】
本発明の目的の一例は、移動体の操作を容易にできる移動体制御装置、移動体制御方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における移動体制御装置は、
体の傾きを計測する、計測手段と、
設定フェーズにおいて、前記体の傾きを判定するために用いる判定情報を設定する、設定手段と、
運用フェーズにおいて、設定された前記判定情報に基づいて前記体の傾きを判定し、判定した前記体の傾きに応じて、前記移動体を操作するために用いる操作情報を生成する、生成手段と、
を有することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における移動体制御方法は、
(a)体の傾きを計測し、
(b)設定フェーズにおいて、前記体の傾きを判定するために用いる判定情報を設定し、
(c)運用フェーズにおいて、設定された前記判定情報に基づいて前記体の傾きを判定し、判定した前記体の傾きに応じて、前記移動体を操作するために用いる操作情報を生成する
ことを特徴とする。
【0010】
さらに、上記目的を達成するため、本発明の一側面におけるプログラムは、
コンピュータに、
(a)計測した体の傾きを取得する、ステップと、
(b)設定フェーズにおいて、前記体の傾きを判定するために用いる判定情報を設定する、ステップと、
(c)運用フェーズにおいて、設定された前記判定情報に基づいて前記体の傾きを判定し、判定した前記体の傾きに応じて、前記移動体を操作するために用いる操作情報を生成する、ステップと、
を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
以上のように本発明によれば、移動体の操作を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、移動体の操作方法の一例を説明するための図である。
【
図2】
図2は、移動体制御装置の一例を説明するための図である。
【
図3】
図3は、操作移動体制御装置を有するシステムの一例を示す図である。
【
図4】
図4は、傾斜角を用いて姿勢の判定を説明するための図である。
【
図5】
図5は、設定フェーズにおける移動体制御装置の動作の一例を説明するための図である。
【
図6】
図6は、運用フェーズにおける移動体制御装置の動作の一例を説明するための図である。
【
図7】
図7は、移動体の操作方法の一例を説明するための図である。
【
図8】
図8は、傾斜角を用いて姿勢の判定を説明するための図である。
【
図9】
図9は、設定フェーズにおける移動体制御装置の動作の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は、運用フェーズにおける移動体制御装置の動作の一例を説明するための図である。
【
図11】
図11は、移動体制御装置を実現するコンピュータの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
はじめに、無人航空機(以降、移動体と呼ぶ)の操作方法について説明する。
図1は、移動体の操作方法の一例を説明するための図である。
図1の例には、操作者が移動体制御装置10及び計測部11を装着して、移動体20を前進させる操作が示されている。
【0014】
移動体20の前進を、直感的に、操作者が操作するには、まず、操作者は基準となる姿勢をとり、その後、操作者は前屈みとなる姿勢(腰を曲げ前方を向く姿勢)をとるようにするのが好適である。
【0015】
基準となる姿勢(以降、基準姿勢と呼ぶ)は、例えば、
図1のシーン1に示すように、操作者が正常と考える立位姿勢(体が正面を向く姿勢/体が傾いていない姿勢)などの姿勢である。基準姿勢を操作者がした場合、移動体制御装置10は、体が基準となる状態(体が傾いていない状態)であると判定する。
【0016】
前屈み(腰を曲げ前方を向く姿勢:以降、前屈姿勢と呼ぶ)は、例えば、
図1のシーン2に示すように、操作者が、基準姿勢から、体を前方に傾けた姿勢である。前屈姿勢を操作者がした場合、移動体制御装置10は、体の上半身が基準線に対して前方に傾いている状態であると判定する。
【0017】
また、移動体制御装置10は、基準姿勢を表す判定結果を得た後、前屈姿勢を表す判定結果を得た場合、操作者が移動体20を前進させるための動作(操作)をしたと判定して、前進を表す指示を移動体20へ送信する。その結果、移動体20は、受信した指示に基づいて、自身を前進させる。
【0018】
ところが、基準姿勢、前屈姿勢、更には基準姿勢から前屈姿勢へと移行する時間などは、操作者の体格・姿勢・性格などにより異なるため、移動体20を前進させる操作は、操作者によっては容易に行うことができないことがある。
【0019】
そこで、発明者は、操作者ごとの体格・姿勢・基準姿勢から前屈姿勢への動作の変化をあらかじめ計測し、計測した結果を移動体制御装置10の判定に反映させることにより、移動体20を前進させる操作を容易できることに気付いた。以降、第一の実施形態について説明をする。
【0020】
(第一の実施形態)
第一の発明の実施形態について、
図2から
図6を参照しながら説明する。
【0021】
[装置構成]
図2を用いて、第一の実施形態における移動体制御装置10の構成について説明する。
図2は、移動体制御装置の一例を説明するための図である。
【0022】
図2に示す移動体制御装置10は、無人航空機などの移動体20の操作精度を向上させる操作機器である。また、
図1に示すように、移動体制御装置10は、計測部11と、設定部12と、生成部13とを有する。ただし、計測部11は、移動体制御装置10に搭載されていてもよいし、移動体制御装置10の外部に設けてもよい。
【0023】
このうち、計測部11は、体の傾きを計測する。設定部12は、設定フェーズにおいて、体の傾きを判定するために用いる判定情報を設定する。生成部13は、運用フェーズにおいて、設定された判定情報に基づいて体の傾きを判定し、判定した体の傾きに応じて、移動体20を操作するために用いる操作情報を生成する。
【0024】
このように、第一の実施形態においては、操作者ごとの体の傾きに応じて、移動体制御装置10の判定情報を調整するので、無人航空機などの移動体20の操作を容易にすることができる。
【0025】
[システム構成]
続いて、
図3を用いて、第一の実施形態における移動体制御装置10の構成をより具体的に説明する。
図3は、操作移動体制御装置を有するシステムの一例を示す図である。
【0026】
図3に示すように、第一の実施形態におけるシステム30は、移動体制御装置10に加えて、移動体20を有する。移動体制御装置10は、計測部11、設定部12、生成部13に加えて、通信部14と、表示部15と、制御部16と、計測部17とを有する。移動体20は、通信部21と、撮像部22と、位置計測部23と、制御部24と、推力発生部25とを有する。
【0027】
移動体制御装置について説明する。
移動体制御装置10は、操作者の頭部に装着して、移動体20を操作する操作機器である。移動体制御装置10は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ、VR(Virtual Reality)ヘッドセットなどが考えられる。さらに、スマートフォンを利用したVRヘッドセットなどでもよい。
【0028】
図3の例では、計測部11は操作者の頭以外の上半身に装着され、計測部17は移動体制御装置10に搭載されているものとする。なお、
図3の例では、計測部11が体の傾きを計測し、計測部17が頭の傾きを計測しているが、計測部11を用いず、計測部17を用いて体の傾きを計測してもよい。
【0029】
通信部14は、移動体20の通信部21と通信をする。具体的には、通信部14は、移動体20を制御するために用いる制御情報などを含む信号を、移動体20へ送信する。また、通信部14は、移動体20により計測された計測距離、及び移動体20により撮像された画像などを含む信号を、移動体20から受信する。通信部14は、例えば、無線通信用の通信デバイスにより実現される。
【0030】
計測部11は、操作者の体の傾きを計測する。具体的には、計測部11は、センサが計測した計測結果に基づいて、操作者の体の傾きを表す体傾き情報を生成し、制御部16に送信する。体傾き情報、例えば、基準線に対する体の傾斜角(角度)などが考えられる。なお、計測部11が有するセンサは、例えば、角速度センサ、加速度センサなどである。また、計測部11は、操作者の肩、胸などに装着可能である。
【0031】
計測部17は、操作者の頭の傾きを計測する。具体的には、計測部17は、センサが計測した計測結果に基づいて、操作者の頭の傾きを表す頭傾き情報を生成し、制御部16に送信する。頭傾き情報、例えば、頭以外を基準姿勢とし、頭を上下左右に動かしたときの頭の傾斜角(角度)などが考えられる。また、計測部17は、上述したように計測部11の代わりに用いてもよい。
【0032】
なお、計測部17は、例えば、ヘッドマウントディスプレイ、VRヘッドセット、スマートフォンなどに搭載されている。計測部17が有するセンサは、例えば、角速度センサ、加速度センサなどである。
【0033】
表示部15は、移動体20が撮像した画像を表示する装置である。具体的に、表示部15は、ヘッドマウントディスプレイ、VRヘッドセットなどに設けられ、操作者に移動体20が撮像した画像を表示する。表示部15は、例えば、液晶、有機EL(Electro Luminescence)などを有する画像表示装置である。さらに、表示部15は、スピーカなどの音声出力装置などを備えてもよい。なお、スマートフォンを利用したVRヘッドセットの場合には、表示部15として、スマートフォンの表示部を用いる。
【0034】
設定部12は、設定フェーズにおいて、操作者の体の傾きと、その傾きの変化を判定するために用いる判定情報を設定する。設定部12は、計測された体の傾きを表す体傾き情報を用いて、基準姿勢(基準となる体の傾き状態)から前屈姿勢へ体の傾きが変化したことを検知した場合、基準姿勢であるか否かを判定するために用いる第一の判定情報を設定し、その後、前屈姿勢であるか否かを判定するために用いる第二の判定情報を設定する。
【0035】
図4を用いて具体的に説明する。
図4は、傾斜角を用いて姿勢の判定を説明するための図である。設定部12は、計測部11が計測した体傾き情報を取得する。また、上述したように計測部11の代わりに計測部17だけを用いる場合には、頭傾き情報を取得し、体傾き情報として用いる。
【0036】
設定部12は、
図4に示すように、あらかじめ設定された期間TSごとに、期間TSで取得した体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈姿勢に変化したことを表す体の角度の変化を検知する。
図4の例では、期間T1において基準姿勢から前屈姿勢への変化(体の角度の変化)が検知されている。基準姿勢から前屈姿勢への変化(体の角度の変化)の検知は、例えば、取得した体の角度に基づいて算出された角度変化量α(単位時間当たりの角度の変化量)が、あらかじめ設定された体の角度の変化量を検知するための閾値S1以上になり、その閾値S1以上である期間が期間TS以上継続したことを検知することである。
【0037】
続いて、設定部12は、期間T1の前の期間T2(基準姿勢検知期間:第一の期間)において取得した体の角度を用いて、期間T2における体の角度の変化が、あらかじめ設定された所定範囲(基準姿勢と判定できる角度範囲:第一の範囲)内の変化である場合、期間T2における体の角度に基づいて、操作者の基準姿勢における体の角度h1(第一の判定情報)を算出する。例えば、設定部12は、期間T2における体の角度の平均を算出する。
【0038】
その後、設定部12は、この算出した体の角度h1を、操作者の基準姿勢における体の角度として記憶部(不図示)に記憶する。なお、体の角度h1は、体の角度h1を含む所定範囲(例えば、h1±Δh1など)としてもよい。
【0039】
なお、期間T2における体の角度の変化が第一の範囲を超える場合には、基準姿勢における体の角度h1として記憶しない。
【0040】
期間T2は、例えば、1[秒]から4[秒]に設定することが好適である。ただし、期間T2は、上述した設定に限定されるものではない。
【0041】
続いて、設定部12は、期間T1の後の期間T3(前屈姿勢検知期間:第二の期間)において取得した体の角度を用いて、期間T3における体の角度の変化が、あらかじめ設定された所定範囲(前屈姿勢と判定できる角度範囲:第二の範囲)内の変化である場合、期間T3における体の角度に基づいて、操作者の前屈姿勢における体の角度h2(第二の判定情報)を算出する。例えば、設定部12は、期間T3における体の角度の平均を算出する。
【0042】
その後、設定部12は、この算出した体の角度h2を、操作者の前屈姿勢における体の角度として記憶部に記憶する。なお、体の角度h2は、体の角度h2を含む所定範囲(例えば、h2±Δh2など)としてもよい。
【0043】
なお、期間T3における体の角度の変化が第二の範囲を超える場合には、前屈姿勢における体の角度h2として記憶しない。
【0044】
期間T3は、例えば、1[秒]から4[秒]に設定することが好適である。ただし、期間T3は、上述した設定に限定されるものではない。
【0045】
記憶部は、移動体制御装置10に設けてもよいし、移動体制御装置10の外部に設けられた記憶装置としてもよい。
【0046】
このように、操作者ごとに、基準姿勢に対応する角度h1と、前屈姿勢に対応する角度h2を自動で設定することで、操作者にとって使い易く無理のない姿勢で、操作ができるようになる。
【0047】
さらに、前進する操作をするように指示された後、例えば表示部15などを用いて操作者に前進する操作が指示された後、上述した角度h1、h2を設定してもよい。そうすることで、操作者は基準姿勢と前屈姿勢を意識して操作するので、基準姿勢に対応する角度h1及び前屈姿勢に対応する角度h2の設定が、更に精度よくできる。
【0048】
生成部13は、運用フェーズにおいて、移動体20を操作する場合、設定された判定情報に基づいて、移動体20を操作するために用いる操作情報を生成する。具体的には、生成部13は、体の傾きが、基準姿勢(基準となる体の傾き状態)と判定された後、計測された体の傾きが、前屈姿勢と判定された場合、移動体20を前進させるために用いる操作情報を生成する。
【0049】
基準姿勢の判定をする場合、生成部13は、計測部11から体傾き情報を取得する。生成部13は、体傾き情報が、一定期間(例えば、期間T1程度の期間)、あらかじめ設定した体の角度h1を含む所定範囲(h1±Δh1)である場合、操作者は現在基準姿勢をとっていると判定する。
【0050】
前屈姿勢の判定をする場合、生成部13は、計測部11から体傾き情報を取得する。生成部13は、体傾き情報が、一定期間(例えば、期間T3程度の期間)、あらかじめ設定した体の角度h2を含む所定範囲(h2±Δh2)である場合、操作者は現在前屈姿勢をとっていると判定する。
【0051】
生成部13は、基準姿勢の後に前屈姿勢を検出した場合、操作者が移動体20を前進させる動作(操作)をしたとして操作情報を生成する。そして、生成部13は、制御部16に操作情報を送信する。
【0052】
制御部16は、操作情報を用いて、移動体20を制御するための制御情報を生成する。具体的には、制御部16は、まず、生成部13から操作情報を取得する。続いて、制御部16は、操作情報に基づいて制御情報を生成する。続いて、制御部16は、通信部14を用いて、生成した制御情報を移動体20の通信部21へ送信させる。
【0053】
また、制御部16は、通信部14を介して受信した、移動体20により計測された計測距離、及び移動体20により撮像された画像など用いて、各部の制御をする。
【0054】
移動体20について説明する。
移動体20は、例えば、複数のローターを有するマルチコプターなどの、いわゆるドローンである。
【0055】
通信部21は、移動体制御装置10の通信部14と通信をする。具体的には、通信部21は、移動体制御装置10から送信された制御情報などを含む信号を受信する。また、通信部21は、移動体制御装置10へ送信する計測距離、画像などを含む信号を送信する。通信部21は、例えば、無線通信用の通信デバイスにより実現される。
【0056】
撮像部22は、移動体20に搭載された撮像装置である。具体的には、撮像部22は、操作者があらかじめ決められた動作(操作)をすることにより、撮像をする。撮像部22は、例えば、ビデオカメラ、デジタルカメラなどである。また、撮像部22は、撮影方向を変更するための調整機構に取り付けられている。調整機構は、操作者があらかじめ決められた動作(操作)をすることにより、撮像方向を変更できる。
【0057】
位置計測部23は、移動体20の現在の位置(緯度及び経度)、及び高度(計測距離)を計測する。位置計測部23は、例えば、衛星からのGPS(Global Positioning System)信号を受信し、受信したGPS信号に基づいて、現在の位置、及び高度を計測する。
【0058】
制御部24は、位置計測部23により計測された現在の位置及び計測距離に基づいて、移動体20の速度を算出する。また、制御部24は、算出した速度と、現在の位置及び計測距離と、画像とを状態情報として、通信部21を介して、移動体制御装置10に送信する。さらに、制御部24は、推力発生部25の推力を調整することで、移動体20の速度、計測距離、進行方向を制御する。
【0059】
推力発生部25は、推力を発生させるプロペラと、そのプロペラと連結された電動機とを有する。また、推力発生部25の各部は、制御情報に基づいて制御部24により制御される。
【0060】
[装置動作]
次に、本発明の第一の実施形態における移動体制御装置の動作について
図5、
図6を用いて説明する。
図5は、設定フェーズにおける移動体制御装置の動作の一例を説明するための図である。
図6は、運用フェーズにおける移動体制御装置の動作の一例を説明するための図である。以下の説明においては、適宜
図1から4を参照する。また、第一の実施形態では、移動体制御装置を動作させることによって、移動体制御方法が実施される。よって、第一の実施形態における移動体制御方法の説明は、以下の移動体制御装置の動作説明に代える。
【0061】
設定フェーズについて説明する。
図5に示すように、最初に、設定部12は、計測部11(又は計測部17)が計測した体傾き情報(又は頭傾き情報)を取得する(ステップA1)。次に、設定部12は、あらかじめ設定された期間TSごとに、期間TSで取得した体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈姿勢に変化したことを表す体の角度の変化を検知する(ステップA2)。
【0062】
ステップA2においては、基準姿勢から前屈姿勢に変化(体の角度の変化)の検知は、例えば、取得した体の角度に基づいて算出された角度変化量α(単位時間当たりの角度の変化量)が、あらかじめ設定された体の角度の変化量を検知するための閾値S1以上になり、その閾値S1以上である期間が期間TS以上継続したことを検知することである。
【0063】
次に、設定部12は、期間T1の前の期間T2において取得した体の角度を用いて、期間T2における体の角度の変化が、あらかじめ設定された第一の範囲内の変化である場合、期間T2における体の角度に基づいて、操作者の基準姿勢における体の角度h1を算出する(ステップA3)。例えば、設定部12は、期間T2における体の角度の平均を算出する。
【0064】
その後、設定部12は、この算出した体の角度h1を、操作者の基準姿勢における体の角度h1として記憶部(不図示)に記憶する(ステップA4)。なお、体の角度h1は、体の角度h1を含む所定範囲(h1±Δh1)としてもよい。
【0065】
なお、期間T2における体の角度の変化が第一の範囲を超える場合には、基準姿勢における体の角度h1として記憶しない。
【0066】
次に、設定部12は、期間T1の後の期間T3において取得した体の角度を用いて、期間T3における体の角度の変化が、あらかじめ設定された第二の範囲内の変化である場合、期間T3における体の角度に基づいて、操作者の前屈姿勢における体の角度h2を算出する(ステップA5)。例えば、設定部12は、期間T3における体の角度の平均を算出する。
【0067】
その後、設定部12は、この算出した体の角度h2を、操作者の前屈姿勢における体の角度h2として記憶部に記憶する(ステップA6)。なお、体の角度h2は、体の角度h2を含む所定範囲(h2±Δh2)としてもよい。
【0068】
なお、期間T3における体の角度の変化が第二の範囲を超える場合には、前屈姿勢における体の角度h2として記憶しない。
【0069】
上述したステップA1からA6の動作を繰り返すことで、自動的に基準姿勢と前屈姿勢に対応する体の傾き情報を記憶部に記憶する。
【0070】
さらに、操作者に、前進する操作が指示された後、例えば表示部15などを用いて操作が指示された後、上述した設定をしてもよい。そうすることで、操作者は基準姿勢と前屈姿勢を意識して操作するので、更に精度よく、基準姿勢に対応する角度h1と、前屈姿勢に対応する角度h2の設定ができる。
【0071】
運用フェーズについて説明する。
図6に示すように、生成部13は、移動体20を前進させる動作(操作)する場合、設定された判定情報に基づいて、移動体20を操作するために用いる操作情報を生成する。
【0072】
生成部13は、まず、体の傾きが、基準姿勢(基準となる体の傾き状態)であるか否かを判定する(ステップB1)。基準姿勢の判定をする場合、具体的には、ステップB1において、生成部13は、計測部11から体傾き情報を取得する。続いて、ステップB1において、生成部13は、体傾き情報が、期間T2において、あらかじめ設定した体の角度h1を含む所定範囲(h1±Δh1)である場合、操作者は現在基準姿勢をとっていると判定する。
【0073】
次に、生成部13は、基準姿勢を判定した後、計測された体の傾きが、前屈姿勢か否かを判定する(ステップB2)。具体的には、ステップB2において、前屈姿勢の判定をする場合、生成部13は、計測部11から体傾き情報を取得する。続いて、ステップB2において、生成部13は、体傾き情報が、期間T3において、あらかじめ設定した体の角度h2を含む所定範囲(h2±Δh2)である場合、操作者は現在前屈姿勢をとっていると判定する。
【0074】
次に、基準姿勢の後に前屈姿勢が検出された場合、生成部13は、操作者が移動体20を前進させる動作(操作)をしたとして操作情報を生成する(ステップB3)。そして、生成部13は、制御部16に操作情報を送信する。
【0075】
次に、制御部16は、操作情報を用いて、移動体20を制御するための制御情報を生成する(ステップB4)。具体的には、ステップB4において、制御部16は、まず、生成部13から操作情報を取得する。続いて、ステップB4において、制御部16は、操作情報に基づいて制御情報を生成する。続いて、ステップB4において、制御部16は、通信部14を用いて、生成した制御情報を移動体20の通信部21へ送信させる(ステップB5)。
【0076】
操作者が、基準姿勢をした後に前進姿勢をとったことを、上述したステップB1からB5の処理を実行することで検出することができる。
【0077】
[第一の実施形態の効果]
以上のように第一の実施形態によれば、操作者ごとの体の傾きに応じて、移動体制御装置10の調整をするので、無人航空機などの移動体20の操作を容易にすることができる。すなわち、操作者ごとに、基準姿勢に対応する角度h1と、前屈姿勢に対応する角度h2を自動で設定することで、操作者にとって使い易く無理のない姿勢で、操作ができるようになる。
【0078】
[プログラム]
本発明の第一の実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、
図5、
図6に示すステップA1からA6とステップB1からB5を実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、第一の実施形態における操作移動体制御装置と操作移動体制御方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、設定部12、生成部13、制御部16として機能し、処理を行なう。
【0079】
また、第一の実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、設定部12、生成部13、制御部16のいずれかとして機能してもよい。
【0080】
(第二の実施形態)
次に、本発明の第二の実施形態について、
図7から
図11を参照しながら説明する。
【0081】
第一の実施形態では、移動体20を前進させるために、基準姿勢をとった後に前屈姿勢をとることについて説明した。ところが、移動体20の操作には前進以外にも、移動体20を右旋回させる操作、移動体20を左旋回させる操作などがある。
【0082】
操作者が、直感的に、移動体20を右旋回させる操作としては、基準姿勢をとった後に前屈みで体を右方向に傾かせる姿勢(以降、前屈右向き姿勢と呼ぶ)をとるのが好適な動作(操作)である。また、移動体20を左旋回させる操作としては、基準姿勢をとった後に前屈みで体を左方向に傾かせる姿勢(以降、前屈左向き姿勢と呼ぶ)をとるのが好適な動作(操作)である。
【0083】
図7は、移動体の操作方法の一例を説明するための図である。
図7のシーン1に示すように、操作者が、基準姿勢から前屈右向き姿勢をした場合、移動体制御装置10は、操作者が前屈みで、かつ基準線に対して右方向に体が傾いている状態であると判定する。
図7のシーン2に示すように、操作者が、基準姿勢から前屈左向き姿勢をした場合、移動体制御装置10は、操作者が前屈みで、かつ基準線に対して左方向に体が傾いている状態であると判定する。
【0084】
また、移動体制御装置10は、基準姿勢を表す判定結果を得た後、前屈右向き姿勢を表す判定結果を得た場合、操作者が移動体20を右旋回させるための動作(操作)をしたと判定して、右旋回を表す指示を移動体20へ送信する。その結果、移動体20は、受信した指示に基づいて、自身を右旋回させる(
図7の右旋回(実線矢印))。
【0085】
対して、移動体制御装置10は、基準姿勢を表す判定結果を得た後、前屈左向き姿勢を表す判定結果を得た場合、操作者が移動体20を左旋回させるための動作(操作)をしたと判定して、左旋回を表す指示を移動体20へ送信する。その結果、移動体20は、受信した指示に基づいて、自身を左旋回させる(
図7の左旋回(破線矢印))。
【0086】
ところが、基準姿勢、前屈姿勢、前屈右向き姿勢、前屈左向き姿勢、更には基準姿勢から前屈姿勢又は前屈右向き姿勢又は前屈左向き姿勢へと移行する時間などは、操作者の体格・姿勢・性格などにより異なる。そのため、移動体20を前進させる操作をしたつもりでも、操作者の体が左右どちらかに傾いていると、移動体20が右旋回したり、あるいは移動体20が左旋回したりすることがある。逆に、移動体20を右旋回又は左旋回させる操作をしたつもりでも、移動体20が前進してしまうことがある。そのため、操作者によっては、移動体20を容易に、前進又は右旋回又は左旋回させることができないことがある。
【0087】
そこで、第二の実施形態においては、操作者ごとの基準姿勢、前屈姿勢、基準姿勢から前屈姿勢への動作の変化に加えて、前屈右向き姿勢、基準姿勢から前屈右向き姿勢への動作の変化、前屈左向き姿勢、基準姿勢から前屈左向き姿勢への動作の変化をあらかじめ計測し、計測した結果を移動体制御装置10の判定に反映させる。以降、第二の実施形態について説明をする。
【0088】
[装置構成]
第二の実施形態における移動体制御装置10の構成は、第一の実施形態で説明した構成と同じである。
【0089】
第二の実施形態においては、計測部11は、体の傾きを計測する。設定部12は、設定フェーズにおいて、前屈姿勢の判定に加えて、前屈右向き姿勢又は前屈左向き姿勢を判定するために用いる判定情報を設定する。生成部13は、運用フェーズにおいて、設定された判定情報に基づいて体の傾きを判定し、判定した体の傾きに応じて、移動体20を操作するために用いる操作情報を生成する。
【0090】
このように、第二の実施形態においては、操作者ごとの体の傾きに応じて、移動体制御装置10の判定情報を調整するので、無人航空機などの移動体20の操作を容易にすることができる。
【0091】
[システム構成]
第二の実施形態における移動体制御装置10を有するシステムの構成は、第一の実施形態で説明した構成と同じである。
【0092】
第二の実施形態における移動体制御装置について説明する。
第二の実施形態の移動体制御装置10が有する、計測部11、通信部14、表示部15、制御部16の説明については、第一の実施形態で説明したので省略する。また、移動体20が有する通信部21、撮像部22、位置計測部23、制御部24、推力発生部25の説明についても、第一の実施形態で説明したので省略する。
【0093】
第二の実施形態における設定部12は、設定フェーズにおいて、計測された前記体の傾きを表す体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈右向き姿勢又は前屈左向き姿勢へ体の傾きが変化したことを検知した場合、前屈右向き姿勢であるか否かを判定するために用いる第三の判定情報、及び、前屈左向き姿勢であるか否かを判定するために用いる第四の判定情報を設定する。
【0094】
図8を用いて具体的に説明する。
図8は、傾斜角を用いて姿勢の判定を説明するための図である。設定部12は、計測部11が計測した体傾き情報を取得する。また、上述したように計測部11の代わりに計測部17だけを用いる場合には、頭傾き情報を取得し、体傾き情報として用いる。
【0095】
設定部12は、
図8に示すように、あらかじめ設定された期間TSごとに、期間TSで取得した体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈右向き姿勢に変化したことを表す体の角度の変化及び基準姿勢から前屈左向き姿勢に変化したことを表す体の角度の変化を検知する。
【0096】
図8の例では、期間T1において、基準姿勢から前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)への変化(体の角度の変化)が検知されている。基準姿勢から前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)への変化(体の角度の変化)の検知は、例えば、取得した体の角度に基づいて算出された角度変化量β(単位時間当たりの角度の変化量)が、あらかじめ設定された体の角度の変化量を検知するための閾値S2以上になり、その閾値S2以上である期間が期間TS以上継続したことを検知することである。
【0097】
続いて、設定部2は、期間T1の前の期間T2(基準姿勢検知期間:第一の期間)において取得した体の角度を用いて、期間T2における体の角度の変化が、あらかじめ設定された所定範囲(基準姿勢と判定できる角度範囲:第一の範囲)内の変化である場合、期間T2における体の角度に基づいて、操作者の基準姿勢における体の角度h11(第一の判定情報)を算出する。例えば、設定部12は、期間T2における体の角度の平均を算出する。
【0098】
その後、設定部2は、この算出した体の角度h11を、操作者の基準姿勢における体の角度として記憶部(不図示)に記憶する。なお、体の角度h11は、体の角度h11を含む所定範囲(例えば、h11±Δh11など)としてもよい。
【0099】
なお、期間T2における体の角度の変化が所定範囲を超える場合には、基準姿勢における体の角度h11として記憶しない。
【0100】
期間T2は、例えば、1[秒]から4[秒]に設定することが好適である。ただし、期間T2は、上述した設定に限定されるものではない。
【0101】
続いて、設定部12は、期間T1の後の期間Ta(前屈姿勢検知期間(又は前屈左向き姿勢):第三の期間)において取得した体の角度を用いて、期間Taにおける体の角度の変化が、あらかじめ設定された所定範囲(前屈右姿勢(又は前屈左向き姿勢)と判定できる角度範囲:第三の範囲)内の変化である場合、期間Taにおける体の角度に基づいて、操作者の前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)における体の角度h22(第三の判定情報)を算出する。例えば、設定部12は、期間T3における体の角度の平均を算出する。
【0102】
その後、設定部12は、この算出した体の角度h22を、操作者の前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)における体の角度として記憶部に記憶する。なお、体の角度h22は、体の角度h22を含む所定範囲(例えば、h22±Δh22など)としてもよい。
【0103】
なお、期間Taにおける体の角度の変化が第三の範囲を超える場合には、前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)における体の角度h22として記憶しない。
【0104】
期間Taは、例えば、1[秒]から4[秒]に設定することが好適である。ただし、期間Taは、上述した設定に限定されるものではない。
【0105】
続いて、設定部12は、期間Tbにおいて前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)から前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢)への変化(体の角度の変化)を検知する。前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)から前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢)への変化(体の角度の変化)の検知は、例えば、取得した体の角度に基づいて算出された角度変化量γ(単位時間当たりの角度の変化量)が、あらかじめ設定された体の角度の変化量を検知するための閾値S3以上になり、その閾値S3以上である期間が期間TS以上継続したことを検知することである。
【0106】
続いて、設定部2は、期間Tbの後の期間Tc(前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢):第四の期間)において取得した体の角度を用いて、期間Tcにおける体の角度の変化が、あらかじめ設定された所定範囲(前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢)と判定できる角度範囲:第四の範囲)内の変化である場合、期間Tcにおける体の角度に基づいて、操作者の前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢)における体の角度h33(第四の判定情報)を算出する。例えば、設定部12は、期間Tcにおける体の角度の平均を算出する。
【0107】
その後、設定部2は、この算出した体の角度h33を、操作者の前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢)における体の角度として記憶部に記憶する。なお、体の角度h33は、体の角度h33を含む所定範囲(例えば、h33±Δh33など)としてもよい。
【0108】
なお、期間Tcにおける体の角度の変化が第四の範囲を超える場合には、基準姿勢における体の角度h33として記憶しない。
【0109】
期間Tcは、例えば、1[秒]から4[秒]に設定することが好適である。ただし、期間Tcは、上述した設定に限定されるものではない。
【0110】
記憶部は、移動体制御装置10に設けてもよいし、移動体制御装置10の外部に設けられた記憶装置としてもよい。
【0111】
このように、操作者ごとに、前屈右向き姿勢に対応する角度h22と、前屈左向き姿勢に対応する角度h33とを自動で設定することで、操作者にとって使い易く無理のない姿勢で、操作ができるようになる。
【0112】
さらに、右旋回、左旋回をする操作をするように指示された後、例えば表示部15などを用いて操作者に右旋回、左旋回する操作が指示された後、上述した角度h22、h33を設定してもよい。そうすることで、操作者は基準姿勢と前屈右向き姿勢と前屈左向き姿勢を意識して操作するので、前屈右向き姿勢に対応する角度h22及び前屈左向き姿勢に対応する角度h33の設定が、更に精度よくできる。
【0113】
生成部13は、運用フェーズにおいて、移動体20を操作する場合、設定された判定情報に基づいて、移動体20を操作するために用いる操作情報を生成する。具体的には、生成部13は、体の傾きが、前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)と判定された後、計測された体の傾きが、基準姿勢(基準となる体の傾き状態)と判定された後、前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)と判定された場合、移動体20を右旋回(又は左旋回)させるために用いる操作情報を生成する。
【0114】
前屈右向き姿勢の判定をする場合、生成部13は、計測部11から体傾き情報を取得する。生成部13は、体傾き情報が、期間Taにおいて、あらかじめ設定した体の角度h22を含む所定範囲(h22±Δh22)である場合、操作者は現在前屈右向き姿勢をとっていると判定する。
【0115】
前屈左向き姿勢の判定をする場合、生成部13は、計測部11から体傾き情報を取得する。生成部13は、体傾き情報が、期間Tcにおいて、あらかじめ設定した体の角度h33を含む所定範囲(h33±Δh33)である場合、操作者は現在前屈左向き姿勢をとっていると判定する。
【0116】
生成部13は、基準姿勢の後に前屈右向き姿勢を検出した場合、操作者が移動体20を右旋回させる動作(操作)をしたとして操作情報を生成する。対して、生成部13は、基準姿勢の後に前屈左向き姿勢を検出した場合、操作者が移動体20を左旋回させる動作(操作)をしたとして操作情報を生成する。そして、生成部13は、制御部16に操作情報を送信する。
【0117】
[装置動作]
次に、本発明の第二の実施形態における移動体制御装置の動作について
図9、
図10を用いて説明する。
図9は、設定フェーズにおける移動体制御装置の動作の一例を説明するための図である。
図10は、運用フェーズにおける移動体制御装置の動作の一例を説明するための図である。以下の説明においては、適宜
図1から8を参照する。また、第二の実施形態では、移動体制御装置を動作させることによって、移動体制御方法が実施される。よって、第二の実施形態における移動体制御方法の説明は、以下の移動体制御装置の動作説明に代える。
【0118】
設定フェーズについて説明する。
図9に示すように、最初に、設定部12は、計測部11(又は計測部17)が計測した体傾き情報(又は頭傾き情報)を取得する(ステップC1)。次に、設定部12は、あらかじめ設定された期間TSごとに、期間TSで取得した体傾き情報を用いて、基準姿勢から前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)に変化したことを表す体の角度の変化を検知する(ステップC2)。
【0119】
ステップC2においては、基準姿勢から前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)への変化(体の角度の変化)の検知は、例えば、取得した体の角度に基づいて算出された角度変化量β(単位時間当たりの角度の変化量)が、あらかじめ設定された体の角度の変化量を検知するための閾値S2以上になり、その閾値S2以上である期間が期間TS以上継続したことを検知することである。
【0120】
次に、設定部12は、期間T1の前の期間T2において取得した体の角度を用いて、期間T2における体の角度の変化が、あらかじめ設定された第一の範囲内の変化である場合、期間T2における体の角度に基づいて、操作者の基準姿勢における体の角度h11を算出する(ステップC3)。例えば、設定部12は、期間T2における体の角度の平均を算出する。
【0121】
その後、設定部12は、この算出した体の角度h11を、操作者の基準姿勢における体の角度h11として記憶部(不図示)に記憶する(ステップC4)。なお、体の角度h11は、体の角度h11を含む所定範囲(h11±Δh11)としてもよい。
【0122】
なお、期間T2における体の角度の変化が第一の範囲を超える場合には、基準姿勢における体の角度h11として記憶しない。
【0123】
次に、設定部12は、期間T1の後の期間Taにおいて取得した体の角度を用いて、期間Taにおける体の角度の変化が、あらかじめ設定された第三の範囲内の変化である場合、期間Taにおける体の角度に基づいて、操作者の前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)における体の角度h22を算出する(ステップC5)。例えば、設定部12は、期間Taにおける体の角度の平均を算出する。
【0124】
その後、設定部12は、この算出した体の角度h22を、操作者の前屈姿勢における体の角度h22として記憶部に記憶する(ステップC6)。なお、体の角度h22は、体の角度h22を含む所定範囲(h22±Δh22)としてもよい。
【0125】
なお、期間Taにおける体の角度の変化が第三の範囲を超える場合には、前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)における体の角度h22として記憶しない。
【0126】
次に、設定部12は、期間Tbにおいて前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)から前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢)への変化(体の角度の変化)を検知する(ステップC7)。
【0127】
ステップC7においては、前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)から前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢)への変化(体の角度の変化)の検知は、例えば、取得した体の角度に基づいて算出された角度変化量γ(単位時間当たりの角度の変化量)が、あらかじめ設定された体の角度の変化量を検知するための閾値S3以上になり、その閾値S3以上である期間が期間TS以上継続したことを検知することである。
【0128】
次に、設定部2は、期間Tbの後の期間Tcにおいて取得した体の角度を用いて、期間Tcにおける体の角度の変化が、あらかじめ設定された第四の範囲内の変化である場合、期間Tcにおける体の角度に基づいて、操作者の前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢)における体の角度h33を算出する(ステップC8)。例えば、設定部12は、期間Tcにおける体の角度の平均を算出する。
【0129】
その後、設定部2は、この算出した体の角度h33を、操作者の前屈左向き姿勢(又は前屈右向き姿勢)における体の角度として記憶部に記憶する(ステップC9)。なお、体の角度h33は、体の角度h33を含む所定範囲(例えば、h33±Δh33など)としてもよい。
【0130】
なお、期間Tcにおける体の角度の変化が第四の範囲を超える場合には、基準姿勢における体の角度h33として記憶しない。
【0131】
上述したステップC1からC9の動作を繰り返すことで、自動的に基準姿勢と前屈左向き姿勢及び前屈右向き姿勢に対応する体の傾き情報を記憶部に記憶する。
【0132】
運用フェーズについて説明する。
図10に示すように、生成部13は、移動体20を前進させる動作(操作)する場合、設定された判定情報に基づいて、移動体20を操作するために用いる操作情報を生成する。
【0133】
生成部13は、まず、体の傾きが、基準姿勢(基準となる体の傾き状態)であるか否かを判定する(ステップD1)。基準姿勢の判定をする場合、具体的には、ステップD1において、生成部13は、計測部11から体傾き情報を取得する。続いて、ステップD1において、生成部13は、体傾き情報が、期間T2において、あらかじめ設定した体の角度h11を含む所定範囲(h11±Δh11)である場合、操作者は現在基準姿勢をとっていると判定する。
【0134】
次に、生成部13は、基準姿勢を判定した後、計測された体の傾きが、前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)か否かを判定する(ステップD2)。具体的には、ステップD2において、前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)の判定をする場合、生成部13は、計測部11から体傾き情報を取得する。続いて、ステップD2において、生成部13は、体傾き情報が、期間Taにおいて、あらかじめ設定した体の角度h22を含む所定範囲(h22±Δh22)である場合、操作者は現在前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)をとっていると判定する。
【0135】
次に、基準姿勢の後に前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)が検出された場合、生成部13は、操作者が移動体20を右旋回(又は左旋回)させる動作(操作)をしたとして操作情報を生成する(ステップD3)。そして、生成部13は、制御部16に操作情報を送信する。
【0136】
次に、制御部16は、操作情報を用いて、移動体20を制御するための制御情報を生成する(ステップD4)。具体的には、ステップD4において、制御部16は、まず、生成部13から操作情報を取得する。続いて、ステップD4において、制御部16は、操作情報に基づいて制御情報を生成する。続いて、ステップD4において、制御部16は、通信部14を用いて、生成した制御情報を移動体20の通信部21へ送信させる(ステップD5)。
【0137】
操作者が、基準姿勢をした後に前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)をとったことを、上述したステップD1からD5の処理を実行することで検出することができる。
【0138】
さらに、操作者に、右旋回と左旋回をする操作が指示された後、例えば表示部15などを用いて操作が指示された後、上述した設定をしてもよい。そうすることで、更に精度よく、基準姿勢に対応する角度h11と、前屈姿勢に対応する角度h22の設定ができる。
【0139】
[第二の実施形態の効果]
以上のように第二の実施形態によれば、操作者ごとの体の傾きに応じて、移動体制御装置10の調整をするので、無人航空機などの移動体20の操作を容易にすることができる。すなわち、操作者ごとに、基準姿勢に対応する角度h11と、前屈右向き姿勢(又は前屈左向き姿勢)に対応する角度h22(又はh33)を自動で設定することで、操作者にとって使い易く無理のない姿勢で、操作ができるようになる。
【0140】
[プログラム]
本発明の第二の実施形態におけるプログラムは、コンピュータに、
図9、
図10に示すステップC1からC9とステップD1からD5を実行させるプログラムであればよい。このプログラムをコンピュータにインストールし、実行することによって、第二の実施形態における操作移動体制御装置と操作移動体制御方法とを実現することができる。この場合、コンピュータのプロセッサは、設定部12、生成部13、制御部16として機能し、処理を行なう。
【0141】
また、第二の実施形態におけるプログラムは、複数のコンピュータによって構築されたコンピュータシステムによって実行されてもよい。この場合は、例えば、各コンピュータが、それぞれ、設定部12、生成部13、制御部16のいずれかとして機能してもよい。
【0142】
[物理構成]
ここで、第一、第二の実施形態におけるプログラムを実行することによって、移動体制御装置を実現するコンピュータについて
図11を用いて説明する。
図11は、本発明の第一、第二の実施形態における移動体制御装置を実現するコンピュータの一例を示すブロック図である。
【0143】
図11に示すように、コンピュータ110は、CPU(Central Processing Unit)111と、メインメモリ112と、記憶装置113と、入力インターフェイス114と、表示コントローラ115と、データリーダ/ライタ116と、通信インターフェイス117とを備える。これらの各部は、バス121を介して、互いにデータ通信可能に接続される。なお、コンピュータ110は、CPU111に加えて、又はCPU111に代えて、GPU(Graphics Processing Unit)、又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)を備えていてもよい。
【0144】
CPU111は、記憶装置113に格納された、第一、第二の実施形態におけるプログラム(コード)をメインメモリ112に展開し、これらを所定順序で実行することにより、各種の演算を実施する。メインメモリ112は、典型的には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性の記憶装置である。また、第一、第二の実施形態におけるプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体120に格納された状態で提供される。なお、第一、第二の実施形態におけるプログラムは、通信インターフェイス117を介して接続されたインターネット上で流通するものであってもよい。なお、記録媒体120は、不揮発性記録媒体である。
【0145】
また、記憶装置113の具体例としては、ハードディスクドライブの他、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置があげられる。入力インターフェイス114は、CPU111と、キーボード及びマウスといった入力機器118との間のデータ伝送を仲介する。表示コントローラ115は、ディスプレイ装置119と接続され、ディスプレイ装置119での表示を制御する。
【0146】
データリーダ/ライタ116は、CPU111と記録媒体120との間のデータ伝送を仲介し、記録媒体120からのプログラムの読み出し、及びコンピュータ110における処理結果の記録媒体120への書き込みを実行する。通信インターフェイス117は、CPU111と、他のコンピュータとの間のデータ伝送を仲介する。
【0147】
また、記録媒体120の具体例としては、CF(Compact Flash(登録商標))及びSD(Secure Digital)などの汎用的な半導体記憶デバイス、フレキシブルディスク(Flexible Disk)などの磁気記録媒体、又はCD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)などの光学記録媒体があげられる。
【産業上の利用可能性】
【0148】
以上のように本発明によれば、移動体の操作を容易にできる。本発明は、操作者の動作により移動体を操作する必要がある分野において有用である。
【符号の説明】
【0149】
10 移動体制御装置
11、17 計測部
12 設定部
13 生成部
14 通信部
15 表示部
16 制御部
20 移動体
21 通信部
22 撮像部
23 位置計測部
24 制御部
25 推力発生部
30 システム
110 コンピュータ
111 CPU
112 メインメモリ
113 記憶装置
114 入力インターフェイス
115 表示コントローラ
116 データリーダ/ライタ
117 通信インターフェイス
118 入力機器
119 ディスプレイ装置
120 記録媒体
121 バス