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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/19 20060101AFI20231205BHJP
   A61K 8/365 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 8/362 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 8/39 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 8/73 20060101ALI20231205BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20231205BHJP
   A61Q 5/00 20060101ALN20231205BHJP
   A61Q 7/00 20060101ALN20231205BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALN20231205BHJP
   A61Q 9/00 20060101ALN20231205BHJP
   A61Q 17/04 20060101ALN20231205BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALN20231205BHJP
【FI】
A61K8/19
A61K8/365
A61K8/362
A61K8/36
A61K8/39
A61K8/86
A61K8/34
A61K8/73
A61K8/04
A61Q5/00
A61Q7/00
A61Q19/00
A61Q9/00
A61Q17/04
A61Q19/10
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2019207881
(22)【出願日】2019-11-18
(65)【公開番号】P2021080193
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-09-14
(73)【特許権者】
【識別番号】592262543
【氏名又は名称】日本メナード化粧品株式会社
(72)【発明者】
【氏名】古賀 一成
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-229318(JP,A)
【文献】特開2016-222578(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0231271(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第102415997(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00-12/14
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの組成物が独立して充填され、使用時に同時に吐出できる機構を有するエアゾール製品であって、第一組成物が
(A)有機酸、
(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル 3~10重量%、及び
(C)炭素数が12~22までの高級アルコール 1~10重量%
を含有し、かつ第二組成物が
(D)炭酸水素ナトリウム 1~8重量%、及び
(E)発酵セルロース 0.5~3重量%
を含有し、吐出後に2つの組成物が混合されることにより泡沫が形成される二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、二酸化炭素を発生させる泡沫組成物として、クエン酸等の有機酸を含有した組成物と、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩物質を含有した組成物を混合して使用する物が知られている(特許文献1、2)。
【0003】
このような2剤から成る組成物は、使用時に各々を容器から取り出し、用具を用いて混合するという手間が発生する。さらに、各々の容器からの取り出し量を調整することが困難であり、適切な混合比で混合できない恐れがある。また、適切な混合比で混合するために、1回で使い切る個包装品も知られてはいるが、使用者の好みの使用量に対応できない点で問題であった。
【0004】
上記問題を解決するために、噴射剤用充填空間と各々独立した2つの原液用充填空間とを有し、当該2つの原液用充填空間に充填された内容物を同時に吐出させるための吐出機構が設けられてなる二重構造容器を備え、当該二重構造容器における噴射剤用充填空間には、圧縮ガスよりなる噴射剤が充填され、当該二重構造容器における第1の原液用充填空間内には、有機酸と、水と、界面活性剤と、高級アルコールとを含有した原液組成物が充填され、当該二重構造における第2の原液用充填空間には、炭酸水素塩物質と、水と、界面活性剤と、高級アルコールとを含有した原液組成物が充填されており、前記第1の原液用充填空間から吐出される第1の原液組成物と、前記第2の原液用充填空間から吐出される第2の原液組成物とが混合されることにより泡沫が形成されるエアゾール製品が知られている(特許文献3)。
【0005】
しかしながら、上記発明の炭酸水素塩物質を含有する第2の原液組成物は主に界面活性剤と高級アルコールによって粘度を付与しており、使用時のタレ落ちにくさ等の使用性に適した粘度を得るには、多量の界面活性剤と高級アルコールが必要となる。その一方で、炭酸水素塩物質のうち、特に汎用されている炭酸水素ナトリウムは水への溶解性があまり高くなく、冷温下では飽和溶解度の低下による析出も懸念されることから、十分な起泡性を安定して得るには溶媒である水が多量に必要となる。そのため、粘度と起泡性を両立するには界面活性剤と高級アルコールの高配合、溶媒である水の高配合という相反する条件が必要となるため、両者を満たすのは困難であった。
【0006】
また、炭酸水素ナトリウムを含有する組成物の粘度を付与する方法として、増粘剤の使用が容易に想到し得るが、汎用されている増粘剤では、炭酸水素ナトリウムとの併用によって、経時的に減粘したり、増粘剤の沈殿を生じることがあり、こちらも製剤への応用は困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2000-297007号公報
【文献】特開2000-297008号公報
【文献】特開2012-229318号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、第一組成物と第二組成物とを同時に吐出する機構を有するエアゾール容器に充填した二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品において、経時安定性、起泡性、混ざりやすさ、タレ落ちにくさに優れ、冷温条件下においても問題なく使用できる二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち、本発明は第一組成物として(A)有機酸、(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及び(C)高級アルコールを含有し、第二組成物として(D)炭酸水素ナトリウム、及び(E)発酵セルロースを含有し、噴射剤用充填空間と各々独立した2つの組成物用充填内袋とを有し、当該2つの組成物用充填内袋に充填された組成物を同時に吐出させるための吐出機構が設けられてなる二重構造容器を備え、当該二重構造容器における噴射剤用充填空間には、圧縮ガスよりなる噴射剤が充填されているエアゾール容器、もしくは内袋を有した耐圧容器の内部に第一組成物が充填され、さらに内袋と耐圧容器間に圧縮ガスよりなる噴射剤が充填された第一容器と、内袋を有した耐圧容器の内部に第二組成物が充填され、さらに内袋と耐圧容器間に圧縮ガスよりなる噴射剤が充填された第二容器からなり、同時に吐出可能なアタッチメントを取り付けることで、二種の充填物を同時に吐出させうるエアゾール容器を用いることを特徴とする二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品は、経時安定性、起泡性、混ざりやすさ、タレ落ちにくさに優れ、冷温条件下においても問題なく使用できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の第一組成物の(A)有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸等の直鎖脂肪酸又はその塩類、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のジカルボン酸又はその塩類、グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸又はその塩類、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、ヒドロキシアクリル酸、α-オキシ酪酸、グリセリン酸、タルトロン酸、サリチル酸、没食子酸、トロパ酸、アスコルビン酸、グルコン酸等のオキシ酸又はその塩類等が挙げられるが、水への溶解性及び起泡性の観点からクエン酸を用いることが好ましい。
【0012】
本発明の第一組成物の(A)有機酸の含有量は特に限定されないが、1~10重量%が好ましい。1重量%未満であると、第二組成物との混合時に十分な起泡性が得られない恐れがある。また、10重量%より多いと、皮膚への刺激が強く、安全性の観点から好ましくない恐れがある。
【0013】
本発明の第一組成物の(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレン数2~60、炭素数8~24のアルキルエーテルが挙げられる。その具体例としてはポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンパルミチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が挙げられる。これらのポリオキシエチレンアルキルエーテルは1種又は2種以上用いることができる。
【0014】
本発明の第一組成物の(B)ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量は特に限定されないが、3~10重量%が好ましい。3重量%未満であると、十分な粘度が得られず、使用時にタレ落ちが生じる恐れがある。また、10重量%より多いと、粘度が高くなり過ぎ、第二組成物との混合が困難になる恐れがある。
【0015】
本発明の第一組成物の(C)高級アルコールとしては、炭素数が12~22までの高級アルコールが挙げられる。その具体例としてはラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール及びそれらの混合物等が挙げられる。これらの高級アルコールは1種又は2種以上用いることができる。
【0016】
本発明の第一組成物の(C)高級アルコールの含有量は特に限定されないが、1~10重量%が好ましい。1重量%未満であると、十分な粘度が得られず、使用時にタレ落ちが生じる恐れがある。また、10重量%より多いと、粘度が高くなり過ぎ、第二組成物との混合が困難になる恐れがある。
【0017】
本発明の第一組成物の粘度は5,000~30,000mPa・sが好ましい。5,000mPa・s未満だと使用時にタレ落ちが生じる恐れがある。また、30,000mPa・sを超えると第二組成物との混合が困難になる恐れがある。なお、ここでいう粘度は、調製後に20℃にて24時間以上放置した後、B型粘度計(VISCOMETER TVB-10M,東機産業)で1分間、12rpmの条件で測定した値のことを言う。
【0018】
本発明の第二組成物の(D)炭酸水素ナトリウムの含有量は特に限定されないが、1~8重量%が好ましい。1重量%未満であると、十分な起泡性が得られない恐れがある。また、8重量%より多いと、飽和溶解度を超え冷温下で析出を生じる恐れがある。
【0019】
本発明の第二組成物の(E)発酵セルロースは、工業的に酢酸菌を通気撹拌培養し、菌体から作られた非常に細かい繊維状のセルロースを分離・回収して得られたものである。植物パルプ由来の結晶セルロースと比較して繊維質が細かく、絡み合いがより緻密であるといった特徴を有する。発酵セルロースを製造するための酢酸菌としては、アセトバクター属等を利用することができる。市販されている商品として、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社のサンアーティスト[商標]シリーズが挙げられる。
【0020】
本発明の第二組成物の(E)発酵セルロースの含有量は特に限定されないが、0.5~3重量%が好ましい。0.5重量%未満であると、十分な粘度が得られず、使用時にタレ落ちが生じる恐れがある。また、3重量%より多いと、粘度が高くなり過ぎ、第一組成物との混合が困難になる恐れがある。
【0021】
本発明の第二組成物の粘度は5,000~30,000mPa・sが好ましい。5,000mPa・s未満だと使用時にタレ落ちが生じる恐れがある。また、30,000mPa・sを超えると第一組成物との混合が困難になる恐れがある。なお、ここでいう粘度は、調製後に20℃にて24時間以上放置した後、B型粘度計(VISCOMETER TVB-10M,東機産業)で1分間、12rpmの条件で測定した値のことを言う。
【0022】
本発明の二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品は第一組成物と第二組成物が同時に吐出できる機構を有する容器に充填されるのが好ましい。例えば、噴射剤用充填内袋と各々独立した2つの組成物用充填内袋とを有し、当該2つの組成物用充填空間に充填された組成物を同時に吐出させるための吐出機構が設けられてなる二重構造容器を備え、当該二重構造容器における噴射剤用充填空間には、圧縮ガスよりなる噴射剤が充填されているエアゾール容器(以下二重構造エアゾール容器とする)が挙げられる。
【0023】
他にも、内袋を有した耐圧容器の内部に第一組成物が充填され、さらに内袋と耐圧容器間に圧縮ガスよりなる噴射剤が充填された第一容器と、内袋を有した耐圧容器の内部に第二組成物が充填され、さらに内袋と耐圧容器間に圧縮ガスよりなる噴射剤が充填された第二容器からなり、同時に吐出可能なアタッチメントを取り付けることで、二種の充填物を同時に吐出させうるエアゾール容器(以下二連缶エアゾール容器とする)が挙げられる。
【0024】
本発明の二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品には、発明の効果を損なわない範囲で、その使用目的に応じて各種成分、例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、油剤、紫外線吸収剤、防腐剤、保湿剤、増粘剤、色剤、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、美容成分、香料、清涼剤、pH調整剤等を適宜含有することができる。
【0025】
本発明の二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品は、身体用あるいはその他さまざまな用途に用いることができる。具体的にはヘアスタイリング剤、ヘアワックス剤、ヘアトリートメント剤、シャンプー剤、コンディショナー剤、育毛剤、マッサージ剤、洗顔剤、クレンジング剤、シェービング剤、パック剤、化粧下地剤、皮膚保護剤、保湿剤、日焼け剤、除毛剤、ハンドソープ剤、ボディソープ剤などとして用いることができる。
【実施例
【0026】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲がこれらに限定されるものではない。なお、含有量については、他に指定のない限り重量%で表す。
【0027】
表1に示す第二組成物を以下に示す方法により調製した。
(調製方法)
成分aに成分bを均一溶解させた後に、成分cを添加し、ホモミキサー6,000rpmで30分間分散した。
【0028】
(粘度評価方法)
得られた第二組成物を、20℃の恒温槽にて24時間保管した後、粘度測定を行い、その後50℃の恒温槽にて1か月保管した後、再び粘度測定を行った。なお、50℃の恒温槽にて1か月保管した後の外観に問題がある場合は測定を省略した。
【0029】
(外観評価方法)
50℃の恒温槽にて1か月保管した後、外観を目視で観察し、沈殿、分離等の外観変化の有無を確認した。
【0030】
(総合評価基準)
以下の評価基準で総合評価を行った。
〇:初期粘度及び、50℃1か月後の粘度が5,000mPa・s以上であり、外観が良好である。
×:初期粘度及び、50℃1か月後の粘度が5,000mPa・s未満、及び/又は外観が不良である。
【0031】
【表1】
【0032】
※1 炭酸水素ナトリウム:関東化学株式会社製
※2 サンアーティスト H-PN:三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製(発酵セルロース、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム混合品。発酵セルロースとしての有効成分濃度は50%であり、表中は有効成分濃度を表示)
※3 エコーガム:DSP五協フード&ケミカル株式会社製
※4 HEC CF-V:住友精化株式会社製
※5 HPC-H:日本曹達株式会社製
※6 CMC 1330:株式会社ダイセル製
※7 グリロイド6C:DSP五協フード&ケミカル株式会社製
※8 ソアギーナ MV201G:エムアールシー ポリサッカライド株式会社製
【0033】
表1の結果より発酵セルロースを用いた場合のみ、炭酸水素ナトリウムを含有していても増粘効果が高く、経時安定性に優れる第二組成物が得られた。
【0034】
表2に示す第一組成物と第二組成物を以下に示す方法により調製し、二重構造エアゾール容器を用いて、内袋に第一組成物及び第二組成物をそれぞれ充填し、噴射剤用充填空間内に噴射剤として窒素ガスを二重構造エアゾール容器内における製品内圧が25℃で0.7Mpaとなるように充填し、二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品を得た。
【0035】
(第一組成物調製方法)
成分aを70℃に加熱し均一に混合した後、70℃に加熱したbを添加し、撹拌しながら30℃まで冷却を行った。そこへ均一に溶解させたcを徐々に加え十分に撹拌混合した。
【0036】
(第二組成物調製方法)
成分dに成分eを均一溶解させた後に、成分fを添加し、ホモミキサー6,000rpmで30分間分散した。
【0037】
(起泡性評価方法)
100mLビーカーに二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品の組成物を10g吐出し、長さ250mm、太さ直径8.7mmの樹脂製撹拌棒を10秒間で10回転することで混合した際のビーカー内の混合された組成物の体積を測定し、以下の基準で起泡性を評価した。
◎:体積が80mL以上
〇:体積が40mL以上80mL未満
×:体積が40mL未満
【0038】
(第二組成物の析出評価)
冷温条件下での使用を想定し、10℃の恒温槽にて二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品を1週間保管した後、組成物を吐出し、第二組成物の析出の有無を確認した。
【0039】
【表2】
【0040】
※9 NIKKOL BC-10:日光ケミカルズ株式会社製
※10 NIKKOL BC-30:日光ケミカルズ株式会社製
※11 ベヘニルアルコール:高級アルコール工業株式会社製
※12 クエン酸:米山薬品工業株式会社製
【0041】
表2の結果より、第二組成物の炭酸水素ナトリウムの含有量は、1~8重量%が起泡性に優れ、冷温使用時の安定性も良好であるため、好ましかった。
【0042】
表3に示す第一組成物と第二組成物を以下に示す方法により調製し、二連缶エアゾール容器を用いて内袋に第一組成物及び第二組成物をそれぞれ充填し、内袋と耐圧容器間に噴射剤として窒素ガスを製品内圧が25℃で0.6Mpaとなるように充填し、二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品を得た。
【0043】
(第一組成物調製方法)
成分aを70℃に加熱し均一に混合した後、70℃に加熱したbを添加し、撹拌しながら30℃まで冷却を行った。そこへ均一に溶解させたcを徐々に加え十分に撹拌混合した。
【0044】
(第二組成物調製方法)
成分dに成分eを均一溶解させた後に、成分fを添加し、ホモミキサー6,000rpmで30分間分散した。
【0045】
(混ざりやすさ評価方法)
100mLビーカーに二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品の組成物を10g吐出し、長さ250mm、太さ直径8.7mmの樹脂製撹拌棒を10秒間で10回転する速度で混合した際のビーカー内の混合された組成物の体積が40mLを超える時間を測定し、以下の基準で混ざりやすさを評価した。
◎:5秒未満
〇:5秒以上10秒未満
×:10秒以上
【0046】
(タレ落ちにくさ評価方法)
専門パネル(10名)による二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品の使用試験を実施し、以下の基準でタレ落ちにくさを評価した。
◎:9名以上が、タレ落ちないと判定した。
○:6~8名が、タレ落ちないと判定した。
×:タレ落ちないと判定した人が5名以下。
【0047】
【表3】
【0048】
※13 NIKKOL BC-20:日光ケミカルズ株式会社製
※14 NIKKOL BC-40:日光ケミカルズ株式会社製
※15 NAA-44:日油株式会社製
※16 NAA-45:日油株式会社製
【0049】
表3の結果より、第一組成物のポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量は、3~10重量%、高級アルコールの含有量は1~10重量%で混ざりやすさ、タレ落ちにくさに優れ、好ましかった。
【0050】
表4に示す第一組成物と第二組成物を以下に示す方法により調製し、二重構造エアゾール容器を用いて、内袋に第一組成物及び第二組成物をそれぞれ充填し、噴射剤用充填空間内に噴射剤として窒素ガスを二重構造エアゾール容器内における製品内圧が25℃で0.7Mpaとなるように充填し、二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品を得た。
【0051】
(第一組成物調製方法)
成分aを70℃に加熱し均一に混合した後、70℃に加熱したbを添加し、撹拌しながら30℃まで冷却を行った。そこへ均一に溶解させたcを徐々に加え十分に撹拌混合した。
【0052】
(第二組成物調製方法)
成分dに成分eを均一溶解させた後に、成分fを添加し、ホモミキサー6,000rpmで30分間分散した。
【0053】
(混ざりやすさ評価方法)
100mLビーカーに二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品の組成物を10g吐出し、長さ250mm、太さ直径8.7mmの樹脂製撹拌棒を10秒間で10回転する速度で混合した際のビーカー内の混合された組成物の体積が40mLを超える時間を測定し、以下の基準で混ざりやすさを評価した。
◎:5秒未満
〇:5秒以上10秒未満
×:10秒以上
【0054】
(タレ落ちにくさ評価方法)
専門パネル(10名)による二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品の使用試験を実施し、以下の基準でタレ落ちにくさを評価した。
◎:9名以上が、タレ落ちないと判定した。
○:6~8名が、タレ落ちないと判定した。
×:タレ落ちないと判定した人が5名以下。
【0055】
【表4】
【0056】
表4の結果より、第二組成物の発酵セルロースの含有量は、0.5~3重量%で混ざりやすさ、タレ落ちにくさに優れ、好ましかった。
【0057】
以下に、本発明のその他の実施例を示す。
(実施例10:炭酸パック)
(成分)
第一組成物 (重量%)
(1)セタノール 4.5
(2)ステアリルアルコール 1.0
(3)セテス-20 2.0
(4)セテス-40 2.0
(5)精製水 残 余
(6)グリセリン ※17 10.0
(7)精製水 25.0
(8)クエン酸 6.0
(9)香料 適 量
第二組成物
(10)精製水 残 余
(11)炭酸水素ナトリウム 7.0
(12)BG ※18 3.0
(13)メチルパラベン ※19 適 量
(14)発酵セルロース ※2 1.0
(15)キサンタンガム ※2 0.66
(16)カルボキシメチルセルロース ※2 0.34
【0058】
第一組成物と第二組成物を以下に示す方法により調製し、二重構造エアゾール容器を用いて、内袋に第一組成物及び第二組成物をそれぞれ充填し、噴射剤用充填空間内に噴射剤として窒素ガスを二重構造エアゾール容器内における製品内圧が25℃で0.7Mpaとなるように充填し、二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品を得た。
【0059】
(第一組成物調製方法)
成分1~4を70℃に加熱し均一に混合した後、70℃に加熱した成分5、6を添加し、撹拌しながら30℃まで冷却を行った。そこへ均一に溶解させた成分7、8を徐々に加えさらに成分9を加え十分に撹拌混合した。
【0060】
(第二組成物調製方法)
成分10に成分11を均一溶解させた後に、成分12、13を加え、さらに成分14~16を添加し、ホモミキサー6,000rpmで30分間分散した。
【0061】
※17 グリセリン RG・コ・P:日油株式会社製
※18 1,3-ブチレングリコール:株式会社ダイセル製
※19 メッキンスM:上野製薬株式会社製
【0062】
(実施例11:保湿クリーム)
(成分)
第一組成物 (重量%)
(1)セタノール 8.0
(2)ホホバ種子油 ※20 2.0
(3)セテス-30 3.5
(4)精製水 残 余
(5)ジグリセリン ※21 15.0
(6)精製水 25.0
(7)クエン酸 2.0
(8)香料 適 量
第二組成物
(9)精製水 残 余
(10)炭酸水素ナトリウム 3.0
(11)ペンチレングリコール ※22 1.0
(12)フェノキシエタノール ※23 適 量
(13)発酵セルロース ※2 2.5
(14)キサンタンガム ※2 1.66
(15)カルボキシメチルセルロース ※2 0.84
【0063】
第一組成物と第二組成物を以下に示す方法により調製し、二連缶エアゾール容器を用いて内袋に第一組成物及び第二組成物をそれぞれ充填し、内袋と耐圧容器間に噴射剤として窒素ガスを製品内圧が25℃で0.6Mpaとなるように充填し、二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品を得た。
【0064】
(第一組成物調製方法)
成分1~3を70℃に加熱し均一に混合した後、70℃に加熱した成分4、5を添加し、撹拌しながら30℃まで冷却を行った。そこへ均一に溶解させた成分6、7を徐々に加えさらに成分8を加え十分に撹拌混合した。
【0065】
(第二組成物調製方法)
成分9に成分10を均一溶解させた後に、成分11、12を加え、さらに成分13~15を添加し、ホモミキサー6,000rpmで30分間分散した。
【0066】
※20 ホホバ油E:日光ケミカルズ株式会社製
※21 ジグリセリン801:阪本薬品工業株式会社製
※22 ハイドロライト-5:シムライズ株式会社製
※23 フェノキセトール:クラリアントジャパン株式会社製
【0067】
実施例10、11どちらの二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品も経時安定性、起泡性、混ざりやすさ、タレ落ちにくさに優れ、冷温条件での使用も問題なかった。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明によれば、二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品に関し、詳しくは経時安定性、起泡性、混ざりやすさ、タレ落ちにくさに優れ、冷温条件下においても問題なく使用できる二剤同時吐出型泡沫形成エアゾール製品を提供できる。