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特許7396656可動間仕切壁パネルの固定装置及び可動間仕切壁
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】可動間仕切壁パネルの固定装置及び可動間仕切壁
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/00 20060101AFI20231205BHJP
   E06B 7/18 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
E05D15/00 F
E06B7/18
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020040349
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021139247
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】592114703
【氏名又は名称】株式会社ベスト
(74)【代理人】
【識別番号】100160299
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 卓
(72)【発明者】
【氏名】山本 淳一郎
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-098865(JP,A)
【文献】特開昭59-126888(JP,A)
【文献】特開2007-177588(JP,A)
【文献】特開平10-238250(JP,A)
【文献】特開平09-273364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05D 15/00
E06B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長さ方向の所定位置に第1突出体を有するロッド部材と、
前記ロッド部材の先端に設けられている押圧部材と、
横方向に移動自在であり、傾斜案内部が形成されている第1スライド部材と、
前記第1スライド部材の移動を規制する規制手段と、を備え、
前記規制手段は、
横方向に移動自在である第2スライド部材と、
前記第2スライド部材と一体的に又は別体で形成されている押圧力吸収手段と、
前記第2スライド部材と連動し、前記第1スライド部材の移動を規制するストッパ部材と、を有し、
前記ロッド部材の前記第1突出体は、前記第1スライド部材の前記傾斜案内部に移動自在となるように挿通されており、かつ、前記ロッド部材は、上下方向に移動自在となるように構成されており、
前記ロッド部材の前記第1突出体が前記傾斜案内部の下側端部に当接したときに、前記ストッパ部材が、前記第1スライド部材を移動不能の状態に保持することが可能となるように構成されていること、を特徴とする可動間仕切壁パネルの固定装置。
【請求項2】
前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材は、取付用の筐体に収容されており、
前記第2スライド部材には、第2案内部が形成され、
前記ストッパ部材は、所定位置に第2突出体を有し、前記第2突出体が、移動自在となるように前記第2案内部に挿通されているとともに、
前記筐体及前記第1スライド部材は、それぞれ前記ストッパ部材を挿入するためのストッパ部材挿入部を有しており、
前記ストッパ部材が前記各ストッパ部材挿入部に挿入されることにより、前記第1突出体が移動不能の状態に保持されること、を特徴とする請求項1に記載の可動間仕切壁パネルの固定装置。
【請求項3】
長さ方向の所定位置に第1突出体を有するロッド部材と、
前記ロッド部材の先端に設けられている押圧部材と、
横方向に移動自在であり、傾斜案内部が形成されている第1スライド部材と、
前記第1スライド部材の移動を規制する規制手段と、を備え、
前記ロッド部材の前記第1突出体は、前記第1スライド部材の前記傾斜案内部に移動自在となるように挿通されており、かつ、前記ロッド部材は、上下方向に移動自在となるように構成されており、
前記規制手段は、
横方向に移動自在であり、第2案内部が形成されている第2スライド部材と、
前記第2スライド部材と連動し、前記第1スライド部材の移動を規制するストッパ部材と、
前記ストッパ部材を下方に押圧するための押圧手段と、を備え、
前記第1スライド部材及び前記第2スライド部材は、取付用の筐体に収容されており、
前記ストッパ部材は、所定位置に第2突出体を有し、前記第2突出体が移動自在となるように前記第2案内部に挿通されているとともに、
前記筐体及前記第1スライド部材は、それぞれ前記ストッパ部材を挿入するためのストッパ部材挿入部を有しており、
前記ロッド部材の前記第1突出体が、前記傾斜案内部の下側端部に当接したときに、前記ストッパ部材が前記各ストッパ部材挿入部に挿入されることにより、前記第1突出体が移動不能の状態に保持されること、を特徴とする可動間仕切壁パネルの固定装置。
【請求項4】
天井部又は壁面部において、スライド可動に吊り下げられた1枚以上の矩形形状の可動間仕切壁パネルを備える可動間仕切壁において、
前記少なくとも1枚の可動間仕切壁パネルにおける、少なくとも一方の下縁隅角部近傍又は上縁隅角部近傍に、端面から前記第1スライド部材の先端が突出する向きに、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の可動間仕切壁パネルの固定装置が設けられていること、を特徴とする可動間仕切壁。
【請求項5】
天井部又は壁面部において、スライド可動に吊り下げられた1枚以上の矩形形状の可動間仕切壁パネルを備える可動間仕切壁において、
前記少なくとも1枚の可動間仕切壁パネルにおける、左右の下縁隅角部近傍又は左右の上縁隅角部近傍に、各々の端面から前記第1スライド部材が突出する向きに、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の可動間仕切壁パネルの固定装置が設けられており、
前記左右の可動間仕切壁パネルの固定装置における、前記各押圧部材の設置面間に架設されている接面部材を備えていること、を特徴とする可動間仕切壁。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数枚の可動間仕切壁パネルを走行自在に並設して構成される可動間仕切壁及び当該可動間仕切りパネルの固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、天井部に取り付けたレールに、複数枚の間仕切壁パネルをスライド自在に懸吊し、並設することにより、室内を画設する可動間仕切壁が知られている。このような可動間仕切壁を固定するために、下記のような構造が知られている。
【0003】
すなわち、間仕切壁パネルに上下動可能な落とし棒を設け、固定状態においては、床面に設けた上記落とし棒の外径と略同一の内径を有する部位と、上記落とし棒の外径よりも大きい内径を有する部位とを備えた開口周縁部を有するヒジツボに、上記落とし棒の下端部を係入可能とする一方、固定解除状態においては、上記落とし棒を上記ヒジツボから離脱、保持可能に形成するものであり、固定状態において、係入された落とし棒の下端部を、開口周縁部の上記落とし棒の外径と略同一の内径を有する部位に付勢するバネ手段を可動間仕切壁パネルに配設している固定構造である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-193598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の固定構造では、操作が煩雑であるとともに、可動間仕切壁パネルを落とし棒で支持することになるため強固に固定することが難しく、がたつき等が生じてしまうという問題点が存在していた。また、ヒジツボが存在することにより、意匠的にも改善が求められていた。
【0006】
本発明は、上記各問題点を解決するためになされたものであり、操作が不要、かつ、簡易な構造で強固に固定することが可能であり、意匠的に優れた可動間仕切壁パネルの固定装置及び当該固定装置を使用した可動間仕切壁を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、長さ方向の所定位置に第1突出体を有するロッド部材と、上記ロッド部材の先端に設けられている押圧部材と、横方向に移動自在であり、傾斜案内部が形成されている第1スライド部材と、上記第1スライド部材の移動を規制する規制手段と、を備え、上記規制手段は、横方向に移動自在である第2スライド部材と、上記第2スライド部材と一体的に又は別体で形成されている押圧力吸収手段と、上記第2スライド部材と連動し、上記第1スライド部材の移動を規制するストッパ部材と、を有し、上記ロッド部材の上記第1突出体は、上記傾斜案内部に沿って、上記第1スライド部材の上記傾斜案内部に移動自在となるように挿通されており、かつ、上記ロッド部材は、上下方向に移動自在となるように構成されており、上記ロッド部材の上記第1突出体が上記傾斜案内部の下側端部に当接したときに、上記ストッパ部材が、上記第1スライド部材を移動不能の状態に保持することが可能となるように構成されていること、を特徴とする可動間仕切壁パネル(以下、「本固定装置」という場合がある。)を提供するものである。
【0008】
ここで、第1突出体は、本体部に突設されている部材であり、突起、ピン等その形態、寸法等に制限はない。
また、横方向とは、厳密に水平方向のみではなく、その効果を奏する限りにおいて斜め方向等であってもよいものである(以下も同様である)。また、第1スライド部材は、端部が出没自在となるように、所定形状の筐体内に収納される構成とすることが実装をする上で好適である。
【0009】
傾斜案内部は、ロッド部材の移動方向をガイドするための部材であり、溝、孔等、その形態に制限はない。また、傾斜案内部は、第1スライド部材の突出面側である方向(下方)に傾斜する傾斜部として形成されており、その角度には制限はないが、下側先端部の傾斜角度が、基端部の傾斜角度と比較して小さく形成されている構成とすれば、押圧部材の作動状態を解除する場合において、緩やかに行わせることができ、その負荷を軽減させることができるため好適である。
【0010】
また、押圧力吸収手段は、第2スライド部材に作用する押圧力を吸収するために設ける手段である。押圧力吸収手段は、第2スライド部材の一部に又は別体で形成される手段であり、バネ等の弾性変形可能な要素(弾性変形可能な要素を一部に設けるものであってもよい)により形成されることが好適である。
【0011】
本固定装置は、ロッド部材と、その先端に設けられている押圧部材と、第1スライド部材を備えている。そして、ロッド部材は第1突出体を備え、当該第1突出体は、第1スライド部材に形成されている傾斜案内部に移動自在に挿通されており、かつ、ロッド部材は、上下方向に移動自在となるように構成されているものであり、当該ロッド部材の第1突出体が傾斜案内部の下側端部に当接したときに、ストッパ部材が、上記第1スライド部材を移動不能の状態に保持可能となるように構成されている。そのため、第1スライド部材の横方向への移動に対応して、ロッド部材が昇降動作をし、当該ロッド部材の先端に設けられている押圧部材を床部又は天井部に圧接させることが可能であるため、強固かつ安定的に可動間仕切壁パネルを固定することができる。
【0012】
また、本固定装置において、第1スライド部材の規制手段を備えており、簡易な構造で、押圧部材の圧接状態の作動と解除を実現することができるため好適である。
【0013】
そして、本固定装置において、上記第1スライド部材及び上記第2スライド部材は、取付用の筐体に収容されており、上記第2スライド部材には、第2案内部が形成され、上記ストッパ部材は、所定位置に第2突出体を有し(その一部が上記筐体に係止された状態であることが好適である)、上記第2突出体が、上記第2案内部に沿って移動自在となるように上記第2案内部に挿通されているとともに、上記筐体及上記第1スライド部材は、それぞれ上記ストッパ部材の少なくとも先端部を挿入するためのストッパ部材挿入部を有しており、上記ストッパ部材が上記各ストッパ部材挿入部(筐体部及び第1スライド部材の各ストッパ部材挿入孔(以下も同様))に、同時に挿入されることにより、上記第1突出体が移動不能の状態に保持されること、とするものであってもよい。
【0014】
ここで、第2スライド部材の第2案内部については、溝、孔等、その形態に制限はない。また、第2案内部の端部には、ストッパ部材の移動を制限するための係合部が形成されていることが好適である。この係合部の形状は、ストッパ部材を一時的に係止させ、移動を制限することができる構造であれば、係合段部、係合溝、係合顎部等、その形状に制限はない。
【0015】
本固定装置において、規制手段は、第2スライド部材と、押圧力吸収手段と、第2突出体を有するストッパ部材と、を有する構造としている。そのため、本固定装置が取り付けられた可動間仕切壁を設置する際に、第2スライド部材の移動が阻害された場合であっても、第1スライド部材の挿入部がストッパ部材の先端部に合致する位置に到達するまで、押圧力吸収手段が変形可能となることから、ストッパ部材の第2突出体を、筐体部及び第1スライド部材の各ストッパ部材挿入部に円滑に挿入させることができる。
【0016】
また、本固定装置は、長さ方向の所定位置に第1突出体を有するロッド部材と、上記ロッド部材の先端に設けられている押圧部材と、横方向に移動自在であり、傾斜案内部が形成されている第1スライド部材と、上記第1スライド部材の移動を規制する規制手段と、を備え、上記ロッド部材の上記第1突出体は、上記傾斜案内部に沿って上記第1スライド部材の上記傾斜案内部に移動自在となるように挿通されており、かつ、上記ロッド部材は、上下方向に移動自在となるように構成されており、上記規制手段は、横方向に移動自在であり、第2案内部が形成されている第2スライド部材と、上記第2スライド部材と連動し、上記第1スライド部材の移動を規制するストッパ部材と、上記ストッパ部材を下方に押圧するための押圧手段と、を備え、上記第1スライド部材及び上記第2スライド部材は、取付用の筐体に収容されており、上記ストッパ部材は、所定位置に第2突出体を有し、上記第2突出体が、上記第2案内部に沿って移動自在となるように上記第2案内部に挿通されているとともに、上記筐体及上記第1スライド部材は、それぞれ上記ストッパ部材の少なくとも先端部を挿入するためのストッパ部材挿入部を有しており、上記ロッド部材の上記第1突出体が、上記傾斜案内部の下側端部に当接したときに、上記ストッパ部材が上記各ストッパ部材挿入部に、同時に挿入されることにより、上記第1突出体が移動不能の状態に保持されること、として構成するものであってもよい。
【0017】
ここで、押圧手段は、第2突出体を下方に押圧するための手段であれば、その構造に制限はない。
【0018】
ストッパ部材を下方に押圧するための押圧手段を備える本固定装置によっても、第2スライド部材の移動が阻害され、第2案内部と第2突出体が当接した場合において、ストッパ部材への押圧力の作用を継続させることが可能となるため、当該ストッパ部材を筐体部及び第1スライド部材の各ストッパ部材挿入部に円滑に挿入させることができる。
【0019】
また、押圧部材には、所定長さであるロッド部材の前止体の移動をガイドするための係止溝部が形成されており、当該ロッド部材の係止体は、係止溝部内を移動自在に構成されていることとすれば、ロッド部材は、係止溝部に案内されて移動することが可能となり、押圧部材を確実に位置決めすることができるため好適である。
【0020】
さらに、本発明は、天井部又は壁面部において、スライド可動に吊り下げられた1枚以上の矩形形状の可動間仕切壁パネルを備える可動間仕切壁において、上記少なくとも1枚の可動間仕切壁パネルにおける、少なくとも一方の下縁隅角部近傍又は上縁隅角部近傍に、端面から上記第1スライド部材の先端が突出する向きに、本固定装置が設けられていること、を特徴とする可動間仕切壁を提供するものである。
【0021】
ここで、可動間仕切壁パネルは、天井部又は壁面上部の所定位置に設けられているガイドレールに吊下げられる等、可動間仕切壁パネルによって、設置空間が所望の形状に区画されるように、スライド可動に支持されていることを想定している。なお、可動間仕切壁パネルの形状、寸法、枚数等には制限はない。
【0022】
さらに、本固定装置は、左右の下縁隅角部近傍又は左右の上縁隅角部近傍のいずれの箇所に取り付けるものであってもよく、複数箇所に組み合わせて使用するものであってもよい。
【0023】
本発明の可動間仕切壁によれば、本固定装置が可動間仕切壁パネルに設けられていることから、簡易な構造で、固定度が優れた構造を実現することができる。
【0024】
また、本発明は、天井部又は壁面部において、スライド可動に吊り下げられた1枚以上の矩形形状の可動間仕切壁パネルを備える可動間仕切壁において、上記少なくとも1枚の可動間仕切壁パネルにおける、左右の下縁隅角部近傍又は左右の上縁隅角部近傍に、各々の端面から上記第1スライド部材が突出する向きに、本固定装置が設けられており、上記左右の可動間仕切壁パネルの固定装置における、上記各押圧部材の設置面間に架設(横設)されている接面部材を備え、上記接面部材は、上記ロッド部材の上下方向の移動に追従して移動可能に構成されていること、を特徴とする可動間仕切壁を提供するものである。
【0025】
本発明の可動間仕切壁によれば、可動間仕切壁パネルに設けられている本固定装置と、当該本固定装置の各押圧部材の設置面間に架設されている接面部材を備えていることから、当該接面部材を床面又は天井部に面的に当接させることにより、固定度を向上させることが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、操作が不要、かつ、簡易な構造で強固に固定することが可能であり、意匠的に優れた可動間仕切壁パネルの固定装置及び当該固定装置を使用した可動間仕切壁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の可動間仕切壁の全体を示す側面図である。
図2】本発明の可動間仕切壁パネルの固定装置における動作制御部を示す分解斜視図である。
図3】本発明の可動間仕切壁パネルの固定装置における動作制御部を示す斜め上部から見た説明図である。
図4】本発明の可動間仕切壁パネルの固定装置における押圧部を示す分解斜視図である。
図5】本発明の可動間仕切壁パネルの固定装置における押圧部を示す斜視図である。
図6】(a)は、本発明の可動間仕切壁パネルの固定装置における動作制御部の斜図部及び押圧部を示す断面図であり、(b)は、(a)におけるX部の拡大図である。
図7】本発明の可動間仕切壁の接地前の状態を説明するための図であり、(a)は、斜視図、(b)は、側面図である(説明の便宜上、ともに主要部のみを図示)。
図8】本発明の可動間仕切壁の接地動作時の状態を説明するための図であり、(a)は、斜視図、(b)は、側面図である(説明の便宜上、ともに主要部のみを図示)。
図9】本発明の可動間仕切壁の接地完了時の状態を説明するための図であり、(a)は、斜視図、(b)は、側面図である(説明の便宜上、ともに主要部のみを図示)。
図10】(a)から(c)は、本発明の本可動間仕切壁の接地動作時においける可動間仕切壁パネルの固定装置の第2スライド部材と補助押圧部材等の動作を説明するための側面図である(説明の便宜上、ともに主要部のみを図示)。
図11】隣接する2枚の本発明の可動間仕切壁パネルを示す上面図である。
図12】(a)は、本発明の可動間仕切壁パネルの固定装置の他の実施形態を示す側面図であり、(b)は、(a)におけるY部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照しつつ、本固定装置及び本固定装置を下部に取り付けた可動間仕切壁(以下、「本可動間仕切壁」という。)の一実施形態について、詳細に説明する。図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0029】
[全体構成]
図1に示すように、本可動間仕切壁Hは、建物の一室における天井部W1において、所定態様で設置されているガイドレールGと、戸車ユニット3を備え、ガイドレールGにスライド可動に吊り下げられた複数枚の矩形形状の可動間仕切壁パネルPを備えており、各可動間仕切壁パネルPにおける下側隅角部の2箇所に本固定装置Kが設けられている(図1)。
なお、ガイドレールG及び可動間仕切壁パネルPは、公知の部材及び建具を用いることができる。
【0030】
[本固定装置]
本固定装置Kは、動作制御部10と押圧部50を主要部としており、倒立した略Π字形状である架台部材8に、ボルト9により取り付けられている。架台部材8の下面における長手方向の両端部には、接地部材7(接面部材)が延設されている。
【0031】
上記架台部材8及び接地部材7は、可動間仕切壁パネルPの長さ及び幅に対応する寸法に形成されており、両側の2つの本固定装置Kは、押圧部50の下面が接する状態で、架台部材8の両端部に載置されている。可動間仕切壁パネルPは、上面視で凹凸形状であり、幅方向の中央部において、本固定装置Kが架台部材8に取り付けられた状態で内装され、接地部材7が昇降して、床面W3に当接することができるよう後記取付部45において取り付けられることで、その下面が塞がれている(図6)。
【0032】
(1)動作制御部
動作制御部10は、押圧部50の動作開始及び動作解除を操作するための役割を奏しており、第1スライド部材11と、第2スライド部材21と、補助押圧部材25と、ストッパ部材22と、第1付勢バネ26と、第2付勢バネ27と、ロッド部材31と、各スライド部材11,21を収納するための筐体41を主要部としている(図2図3)(なお、第2スライド部材21と、補助押圧部材25と、第2付勢バネ27と、ストッパ部材22とが、特許請求の範囲における規制手段の主要部を構成することになり、また、補助押圧部材25と第2付勢バネ27が押圧力吸収手段を構成することになる)。
【0033】
(筐体)
筐体41は、扁平な中空の直方体であり、可動間仕切壁パネルPに取り付ける場合において、隣接する可動間仕切壁パネルP又は壁面W2と接する側の端面(以下、「当接側端面」という。)には、開口部が形成されている。なお、符号43は、一方の扁平側面を塞ぐカバーであり、当該カバー43は、ネジ44で固定されている。
【0034】
筐体41は、区画板42により、各スライド部材11,21の形状に対応した寸法となるように、上下に区画されている。そして、上部空間には第2スライド部材21と当該第2スライド部材21を押圧するための補助押圧部材25が収納され、下部空間には第1スライド部材11が収納されている。そして、補助押圧部材25と第1スライド部材11が、それそれ、開口部から水平方向に出没自在となるように収納されている。
【0035】
区画板42の略中央部には、2つの長孔が並設されている。当接側端面の側の長孔(以下、説明上「下部ストッパ部材挿入孔42a(ストッパ部材挿入部)」という。)の真上における筐体41の上面には、上部ストッパ部材挿入孔41aが設けられている。また、区画板42の他方の長孔(以下、説明上「第2長孔42b」という。)の真上における筐体41の上面及び真下における筐体の下面には、それぞれロッド挿入孔41bが設けられている(上面のロッド挿入孔は図示せず)。
【0036】
なお、筐体41には、上面のロッド挿入孔と連通するロッド挿入部41cが突設されている。また、筐体41の上下面における開口部の近傍には、可動間仕切壁パネルPへの取付部45が設けられている。
【0037】
(第2スライド部材)
第2スライド部材21は、第1スライド部材11の約半分の長さに形成されている中空の直方体であり、当接側端面と対向する側(以下、「内側」という。)には、第1付勢バネ26を捲装するための突出部21dが突設されている。また、第2スライド部材21における上下の対向する端面間には、縦長の略凸状である長溝21a(溝部)が形成されるとともに、対向する各扁平面には、当該長溝21aと繋がる略弓形形状である第2案内孔21bが形成されている。第2案内孔21bの下部曲線(正面視)は、内側から当接側端面の側に向かい下方に傾斜するように形成されており(第2案内孔21bにおける上部の水平部分を「水平部21x」、上部の傾斜部分を「傾斜面部21y」という場合がある)、その終端部(先端部)には係合ピン23(第2突出体)を係合させるための係合部21cが形成されている(図3)。
【0038】
補助押圧部材25は、第2スライド部材21より少し短い長さに形成されている。補助押圧部材25と第2スライド部材21の間には、両部材を離間させる向きの付勢力を常時作用させる、付勢部材である第2付勢バネ27が介装されており、補助押圧部材25、第2スライド部材21及び第2付勢バネ27が一体で動作するように形成されている。
【0039】
ストッパ部材22は、棒状であり略中間部に係合ピン23が付設されている。
このストッパ部材22は、第2スライド部材21の上下の長溝21a内において、ロッド部材31に対して当接側端面の側に挿通され、当該ロッド部材31と並んで設けられている。上記ストッパ部材22の上端部は、上部ストッパ部材挿入孔41aに挿通され、その下端部は、区画板42の下部ストッパ部材挿入孔42aと後記する第1スライド部材11の上面のストッパ部材係合孔11aに挿脱自在に挿通されている。
【0040】
また、第2スライド部材21の上記突出部21dには、当接側端面の向きに、付勢力を常時作用させる第1付勢バネ26が捲装されている。
なお、第2付勢バネ27の付勢力は、第1付勢バネ26の付勢力よりも大きいことが好ましく、第1付勢バネ26と第2付勢バネの圧縮量を変化させること又はバネ定数が異なるバネを使用すること等の方法により対応することが可能となる。
【0041】
上記構成により、ストッパ部材22の下端部(区画板42の下部ストッパ部材挿入孔42aの位置)が第1スライド部材11の上面のストッパ部材係合孔11aの位置と合致した場合に、当該ストッパ部材係合孔11aに挿入されることにより、第2スライド部材21及び第1スライド部材11の移動を規制することができるようになっている。そして、第1スライド部材11が内側方向に移動することに伴い、係合ピン23は相対的に当接側端面側方向に移動することになり、第2案内孔21bの係合部21cに当接し、その移動が規制されるようになっている。
【0042】
(第1スライド部材)
第1スライド部材11は、第2スライド部材21と比較して高さ寸法が大きい中空の直方体である。上下の対向する端面間には、連通する長溝11b(溝部)が形成されるとともに、上面の長溝11bの当接側端面の側には、ストッパ部材22の先端部を嵌挿するための丸孔であるストッパ部材係合孔11a(ストッパ部材挿入部)が設けられている。
【0043】
また、第1スライド部材11の対向する各扁平面には、長溝11bと繋がる傾斜案内孔11c(傾斜案内部)が形成されている。傾斜案内孔11cは、内側から当接側端面の側に向から斜め下側に傾斜するように形成されている細孔であり、内側の基端部11d、下側の先端部11f、当該基端部11dと先端部11fの間の接続部11eとから形成されている。傾斜角度は、先端部11f(約30度)、接続部11e(約45度)及び基端部(約60度)にしたがって、大きく形成されている。
【0044】
(ロッド部材)
ロッド部材31は、上端のバネ係止部32、ロッド部33、案内ピン34(第1突出体)、係止体である係止ピン35とから形成されている。案内ピン34は、長さ方向の中間部より下部の所定高さ位置に設けられており、係止ピン35は、ロッド部33の先端部に突設されている。ロッド部材31は、筐体41のロッド挿入部41c、第2スライド部材21の長溝21a、区画板42の第2長孔42b及び第1スライド部材11の上下面の長溝11bに挿入され、係止ピン35が後記押圧体51に取り付けられている。
【0045】
また、ロッド部33の上部は、常時上向きに付勢力が付与されており、バネ係止部32とロッド挿入部41cの間に介装されているロッドバネ36に挿通されている。さらに、ロッド部33の略中間部には、案内ピン34が突設されている。そして、案内ピン34は、第1スライド部材11の傾斜案内孔11cに、移動自在に嵌挿されている。
なお、符号37はバネ係止部32の固定用ネジであり、符号38は係止ピン35の固定用ネジである。
【0046】
(2)押圧部
押圧部50は、直方体形状の押圧体51(押圧部材)と、当該押圧体51を内部に収容する直方体である中空箱型のベース52を主要部としている(図4図5)。
【0047】
押圧体51は、直方体形状であり、上部には、上面視で略凸状、及び図4のA方向視で、略倒立した凸状の開口部51aが形成されており、当該開口部51aにおいて、側面視で略L字形状のロッド部材入口部51bが形成されている。そして、ロッド部材入口部51bにおける内側先端部と接続して、係止ピン35の移動をガイドするための係止溝部51cが形成されている。上記係止溝部51cは、鉛直方向に所定長となるように設けられている(図6(b))。
【0048】
ロッド部材3の係止ピン35は上記係止溝部51cに挿通され、当該係止溝部51cの上端部から下端部の間を上下方向にスライド移動自在となっている。なお、下記のように、ロッド部材3の係止ピン35が係止溝部51cの上端部に位置している場合には、押圧体51による接地部材7の押圧は行われず、ロッド部材3の係止ピン35が係止溝部51cの下端部に位置している場合には、押圧体51の押圧により接地部材7が床面W3に接するようになっている。
【0049】
ベース52は、直方体である中空箱型であり、上部には、押圧体51を収容するための上面開口部52aが形成されるとともに、一方の扁平側面に側面開口部52bが形成されている。また、ベース52における下面の2箇所には、バネ用突起53が設けられている。押圧体51は、常時上向きの付勢力を付与する2体の押圧体支持バネ54(付勢部材)を介して、上下方向にスライド自在となるよう、ベース52内に内挿されている。
【0050】
通常、接地部材7の上面部は、ロッドバネ36及び押圧体支持バネ54の作用により、可動間仕切壁パネルPの下端部と一致する位置に引き上げられている。一方、ロッド部材31により押圧体51が下方に押圧され、その押圧力がロッドバネ36及び押圧体支持バネ54の付勢力を上回った場合には、押圧部50は下方に移動し、接地部材7が下降するように構成されている。
【0051】
なお、傾斜案内孔11c内の案内ピン34と、第2案内孔21b内の係合ピン23の動作の関係であるが、ロッド部材31の案内ピン34が傾斜案内孔11cの基端部11dの最上部に位置する場合には、第2案内孔21bの水平部21xの最内側であり、ロッド部材31の案内ピン34が傾斜案内孔11cの先端部11fに位置する場合には、第2案内孔21bの係合部21cに、それぞれ位置するようになっている。
【0052】
また、傾斜案内孔11c内の案内ピン34と、押圧体51の係止溝部51c内の係止ピン35の動作の関係であるが、ロッド部材31の係止ピン35が係止溝部51cの上端部に位置する場合には、案内ピン34は傾斜案内部11cの基端部11dの最上部に位置するようになり、ロッド部材31の係止ピン35が係止溝部51cの下端部に位置する場合には、案内ピン34は傾斜案内部11cの基端部11dの最下部(基端部と接続部の交点)に位置するようになっている。
【0053】
さらに、第1スライド部材11と補助押圧部材25が筐体41に収納された場合には、ロッド部材31の案内ピン34は、傾斜案内部11cの先端部11fに位置するようになっている。
【0054】
[本固定装置及び本可動間仕切壁の使用方法]
続いて、本固定装置K及び本可動間仕切壁Hの使用方法について説明する。
なお、以下の説明において、既に、本固定装置Kが取り付けられた上記本可動間仕切壁Hが、ガイドレールGに取り付けられているものとする。
【0055】
(本可動間仕切壁の設置時)
まず、本可動間仕切壁Hを設置し、間仕切りを行う場合には、一枚目の可動間仕切壁パネルPのスライド移動を開始する。
可動間仕切壁パネルPが壁面W2(図示せず)に接するまでは、本固定装置の第1スライド部材11及び補助押圧部材25は、筐体41の当接側端面から突出した状態となっており、接地部材7は、床面W3(図示せず)の上方に位置している(図7)。
【0056】
続いて、可動間仕切壁パネルPが壁面W2に近接し、本固定装置Kの第1スライド部材11及び補助押圧部材25の先端が壁面W2に当接すると、当該第1スライド部材11と、補助押圧部材25及び第2スライド部材21は、筐体41の当接側端面と反対向きに押圧され、徐々に筐体41内部に収納される。
【0057】
このとき、第1スライド部材11が移動することに伴い、ロッド部材31の案内ピン34は傾斜案内孔11cの基端部11dに案内されて、当接側端面の向きである斜め下方に下降する。上記動作に追従して、ロッド部材31の係止ピン35が押圧体51の係止溝部51cに案内されて下方に移動し、当該ロッド部材31が押圧体51を押圧することから、接地部材7は、徐々に可動間仕切壁パネルPの下面から下降する。
【0058】
その後、ロッド部材31の案内ピン34は、接続部11eを移動し(図8)、最終的に傾斜案内孔11cの先端部11fに当接して、ロッド部材31は最下方に達することになる。そのため、接地部材7が床面W3に当接し、可動間仕切壁パネルPが強固に固定される(図9)。
【0059】
上記過程において、第2スライド部材21の係合ピン23は、第2案内孔21bの孔壁に沿って摺接しながら、水平部21x及び傾斜面部21yを移動する。そして、最終的に、傾斜面部21yから受ける下向きの反力により、第2スライド部材21のストッパ部材22の先端部が第1スライド部材11のストッパ部材係合孔11aに挿入されるとともに、係合ピン23が第2案内孔21bの係合部21cに係合する。これにより、第2スライド部材21及び第1スライド部材11の移動が規制され、さらに、ロッド部材31の上方への移動が抑制されることで、押圧部50の床面W3への当接状態が保持される。
【0060】
このとき、種々の原因により、第2スライド部材21が移動できなくなることがある(図10(a))。この場合において、補助押圧部材25は、筐体41内部への押圧状態が継続されることになるが、第2付勢バネ27が弾性変形して縮退し、その押圧力を吸収することにより、その移動を続けることになる(図10(b))。また、第1スライド部材11は、そのまま移動するため、第1スライド部材11におけるストッパ部材係合孔11aがストッパ部材22の位置と一致した場合に、傾斜面部21yから受ける下向きの反力により、当該ストッパ部材22の先端部が第1スライド部材11のストッパ部材係合孔11aに挿入されるとともに、係合ピン23が第2案内孔21bの係合部21cに係合し、ロックされる状態となる(図10(c))。
【0061】
(本可動間仕切壁の収納時)
一方、可動間仕切壁パネルPを収納する場合には、第2スライド部材21及び第1スライド部材11の移動を規制しているストッパ部材22の係合ピン23を上方に持ち上げ、係止状態を解除する。そして、可動間仕切壁パネルPをわずかに移動させ、第2スライド部材21を当接側端面から突出させる。すると、補助押圧部材25に第2付勢バネ27の付勢力が作用するとともに、第2スライド部材21に第1付勢バネ26の付勢力が作用することにより、補助押圧部材25及び第1スライド部材11が当接側端面から突出する。その際、ロッド部材31の案内ピン34は、傾斜案内孔11cの接続部11e及び基端部11dに案内されて、当接側端面と反対向きである斜め上方に移動する。当該動作に追従し、ロッド部材31は、上方に移動して、筐体41内部に収納され、固定状態が解除される。
【0062】
なお、2枚目以降の可動間仕切壁パネルPを移動させる場合において、各可動間仕切壁パネルPは、両側面において、本固定装置Kが隣接する可動間仕切壁パネルP等と当接することになるが、その作用は、上記1枚目の可動間仕切壁パネルPの場合と同様である。
【0063】
上記実施形態では、可動間仕切壁パネルPの第1スライド部材11は同一構造としている。しかし、一方側の第1スライド部材11の当接側端面の端面を凸状に形成し(図中において、当該部分を「凸部11w」として表示する。)、他方側の第1スライド部材11’ の当接側端面の端面は凹状に形成する(図11中において、当該部分を「凹部11w’」として表示する。)こととすれば、隣接する可動間仕切壁パネルPを強固に接合させることができるため、さらに好適となる(同図中において、符号K’は本固定装置、符号10’は動作制御部を示す)。
【0064】
[本固定装置及び本可動間仕切壁の作用効果]
本固定装置Kは、案内ピン34が設けられているロッド部材31と、その先端に設けられている押圧体51と、第1スライド部材11を備えている。そして、案内ピン34は、第1スライド部材11の傾斜案内孔11cに移動自在に嵌挿されており、かつ、ロッド部材31が上下方向に移動自在となるように構成されている。そのため、第1スライド部材11の横方向への移動に対応して、ロッド部材31が昇降動作し、押圧体51を床面W3に圧接させることにより、特別な操作を行うことなく、強固かつ安定的に可動間仕切壁パネルPを固定することが可能となる。
【0065】
また、本固定装置Kにおいて、第2スライド部材21及び第1スライド部材11と連動するストッパ部材22を備えている。そして、ストッパ部材22の先端が、区画42の下部ストッパ部材挿入孔42a及び第1スライド部材11のストッパ部材係合孔11aに挿入され、当該ストッパ部材22の係合ピン23が第2スライド部材21の第2案内孔21bの係合部21cに係合されることにより、第2スライド部材21及び、ロッド部材31の昇降動作と連動する第1スライド部材11の移動を規制することができる。そして、係合ピン23の係合状態を解除することにより、上記規制状態を解除することができる。そのため、第1スライド部材11の動作を制御する簡易な構造により、ロッド部材31に取り付けられている押圧体51の圧接状態の作動及び解除を行わせることができる。
【0066】
また、本固定装置Kは、第2スライド部材21と、当該第2スライド部材21の補助押圧部材25並びに第2付勢バネ27(押圧力吸収手段)と、係合ピン23を有するストッパ部材22を主要部とする、第1スライド部材11の移動を規制する規制手段を備えている。そのため、本可動間仕切壁Hを構成する本可動間仕切壁パネルPを移動する際に、何らかの原因により、第2スライド部材21の移動が阻害された場合であっても、第2付勢バネ27の作用により、第1スライド部材11のストッパ部材係合孔11aがストッパ部材22の先端部に合致する位置に到達するまで、補助押圧部材25が第1スライド部材11とともに移動可能となる。したがって、ストッパ部材22の係合ピン23を、第1スライド部材11のストッパ部材係合孔11aに円滑に挿入させることができる。
【0067】
また、本固定装置Kによれば、傾斜案内孔11cは、斜め下方に傾斜するように形成されており、その先端部11dの傾斜角度は、接続部11eの傾斜角度と比較して小さく形成されている。そのため、押圧体51の作動状態を解除する場合において、緩やかに行うことができることになり、その負荷を軽減させることができる。
【0068】
また、押圧体51には、ロッド部材31の係止ピン35を収容するための係止溝部51cが形成され、当該ロッド部材31の係止ピン35は、係止溝部51c内を移動自在となっている。ロッド部材31の係止ピン35は、係止溝部51cに案内されて移動することになるため、押圧体51を確実に位置決めすることが可能となる。したがって、接地部材7に充分な押圧力を付与することができることから、位置ずれ等をなくして、確実に接地させることができる。
【0069】
また、本固定装置Kは、動作制御部10と押圧部50を主要部としており、コンパクトかつ意匠的に優れた形態として構成することができる。
【0070】
また、本可動間仕切壁Hによれば、本固定装置Kが可動間仕切壁パネルPに設けられており、簡易な構造で、固定度が優れた構造を実現することができる。
【0071】
さらに、本可動間仕切壁Hによれば、可動間仕切壁パネルPに設けられている本固定装置Kと、当該本固定装置Kの各押圧部50の下面に架設されている接地部材7を備えている。この接地部材7は、可動間仕切壁パネルPと同じ長さを有しており、全長部分にわたって、その下面を床面W3に当接させることができることから、固定度を向上させることが可能となる。
【0072】
[他の実施形態]
本固定装置の他の実施形態について説明する。
本実施形態の本固定装置K”は、動作制御部10”における規制手段の構成が上記実施形態(以下、「第1実施形態」という場合がある。)とは異なっている。すなわち、第1実施形態では、規制手段の主要部として、第2スライド部材21と、補助押圧部材25と、第2付勢バネ27と、ストッパ部材22とを備える構成としている。しかし、本実施形態の本固定装置K”では、第2スライド部材21”と、ストッパ部材22と、当該ストッパ部材22を下方に押圧するための押圧バネ27”(押圧手段)、を制御手段の主要部とする構成を採用している(図12)。
【0073】
第2スライド部材21”は、第1実施形態の第2スライド部材21と補助押圧部材25を合わせた程度の長さを有している、第2案内孔21b”の長さは、全体長に応じて、第1実施形態の第2案内孔21bの長さと比べて少し長く形成されているが、その形状及び係合部21c”の態様は同様である。
【0074】
また、押圧バネ27”は、常時、ストッパ部材22を下方に押圧することができるようになっている(なお、符号21x”は水平部を示す)。
【0075】
本固定装置K”では、可動間仕切壁Hを構成する可動間仕切壁パネルPを移動させる場合に、第1実施形態の本固定装置Kにおける補助押圧部材25のかわりに、直接的に、第2スライド部材21”が壁面に当接し、水平方向にスライド移動することになる。この場合において、何らかの原因により、第2スライド部材21”の移動が阻害され、第2案内孔21b”の傾斜面部21y”の内壁面と係合ピン23が当接することがある。その際、第1スライド部材11のストッパ部材係合孔11aがストッパ部材22の先端部に合致する位置に到達するまで、押圧バネ27”により、ストッパ部材22に下向きの押圧力が継続的に付与されることになる。したがって、ストッパ部材22を、第1スライド部材11のストッパ部材係合孔11aに円滑に挿入させることができる。
【0076】
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能である。
【0077】
例えば、本固定装置についての仕様、材質、寸法、形状、取付位置等に関しては、基本的な構成を備えていれば、種々の構造を用いることができる。例えば、可動間仕切壁パネルの材質は、スチール製、木製等制限はない。
【0078】
また、上記実施形態の本固定装置における押圧力吸収手段は、第2スライド部材と別体で形成されている補助押圧部材と付勢バネにより構成されている。しかし、付勢バネの代わりに、他の弾性部材を使用すること、或いは、第2スライド部材における第2案内部の係合部側の端部に、弾性変形部を設ける構成等にすることも可能である。
【0079】
また、第1スライド部材、第2スライド部材、ストッパ部材、第1突出体及び第2突出体の押圧手段の位置・形状、第1案内部及び第2案内部の位置・形状、並びに、押圧部材の構成要素等は、可動間仕切壁の形状、取付け位置等に応じて、適宜、変更が可能である。
また、接面部材は、押圧部材の設置面間である可動間仕切壁パネルの下面又は上面に設けられ、床面又は天井部と面的に当接することができる形状に形成されているものであれば、板状部材等、その構造等に制限はない。
【0080】
さらに、本実施形態では、本固定装置を左右の下縁隅各部に取り付けた本可動間仕切壁について説明した。しかし、本固定装置は、左右の上縁隅角部近傍に、第1スライド部材及び第2スライド部材が、当接側端面から突出する向きに設けられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0081】
H 可動間仕切壁
P 可動間仕切壁パネル
,K’,K” 固定装置
7 接地部材(接面部材)
10,10’,10” 動作制御部
11,11’ 第1スライド部材
11a ストッパ部材係合孔(ストッパ部材挿入部)
11c 傾斜案内孔(傾斜案内部)
11d 基端部
11e 接続部
11f 先端部
21,21” 第2スライド部材
21b,21b” 第2案内孔
21c 係合部
22 ストッパ部材
23 係合ピン(第2突出体)
25 補助押圧部材
26 第1付勢バネ
27 第2付勢バネ
27” 押圧バネ(押圧手段)
31 ロッド部材
33 ロッド部
34 案内ピン(第1突出体)
35 係止ピン
41 筐体
41a 上部ストッパ部材挿入孔
42 区画板
42a 下部ストッパ部材挿入孔(ストッパ部材挿入部)
50 押圧部
51 押圧体(押圧部材)
51a 開口部
51b ロッド部材入口部
51c 係止溝部
52 ベース
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12