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特許7396741実装装置、実装方法および実装制御プログラム
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  • 特許-実装装置、実装方法および実装制御プログラム 図1
  • 特許-実装装置、実装方法および実装制御プログラム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】実装装置、実装方法および実装制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022569446
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(86)【国際出願番号】 JP2021042050
(87)【国際公開番号】W WO2023089657
(87)【国際公開日】2023-05-25
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】519294332
【氏名又は名称】株式会社新川
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】瀬山 耕平
【審査官】山口 祐一郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/190471(WO,A1)
【文献】特開2016-92094(JP,A)
【文献】特開2010-238974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実装体を拾得して保持し、ステージに載置された基板へ載置して実装する実装ツールと、
前記ステージのステージ面に平行な平面が焦点面となるようにそれぞれの光学系と撮像素子がシャインプルーフ条件を満たして配置された、前記ステージ面に対して前記実装ツールと同じ側から前記基板を俯瞰して撮像するための俯瞰用撮像ユニットと、
前記実装ツールに保持された状態の前記実装体を、前記ステージ面に対して前記俯瞰用撮像ユニットとは反対の側から仰視して撮像するための仰視用撮像ユニットと、
前記俯瞰用撮像ユニットが出力する俯瞰画像に基づいて算出される座標値と前記仰視用撮像ユニットが出力する仰視画像に基づいて算出される座標値との差分を較正する較正値を、予め設定された較正指標を前記俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた前記俯瞰画像と前記較正指標を前記仰視用撮像ユニットに撮像させて出力させた前記仰視画像とに基づいて演算する較正制御部と、
前記実装ツールに保持された前記実装体を前記仰視用撮像ユニットに撮像させ出力させた前記仰視画像に基づいて前記実装体の基準位置を認識し、前記基準位置が、前記基板を前記俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた前記俯瞰画像と前記較正値に基づいて決定した目標位置に合致するように、前記実装ツールに前記実装体を前記基板に載置させて実装させる実装制御部と
を備える実装装置。
【請求項2】
前記較正制御部は、前記実装体の載置予定面と同一面に配置された前記較正指標が前記俯瞰用撮像ユニットの前記焦点面となるように、前記俯瞰用撮像ユニットと前記実装ツールを支持するヘッド部の位置を調整する請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記実装制御部は、前記実装ツールに保持された前記実装体を前記仰視用撮像ユニットに撮像させる場合に、前記俯瞰用撮像ユニットの焦点面が前記載置予定面と同一面となるように前記ヘッド部の位置を調整し、前記実装ツールに保持された前記実装体のうち前記基板への接触予定面が前記載置予定面と同一面となるように前記実装ツールの位置を調整する請求項2に記載に実装装置。
【請求項4】
前記較正制御部は、前記実装制御部が予め設定されたロット分の前記実装体の実装を完了するごとに前記較正値を演算して更新する請求項1から3のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項5】
前記較正制御部は、前記実装制御部が実行する実装作業の作業時間に基づいて前記較正値を演算して更新する請求項1から4のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項6】
前記俯瞰用撮像ユニットの温度を検出する温度検出部を備え、
前記較正制御部は、前記温度検出部が予め設定された温度を検出した場合に、前記較正値を演算して更新する請求項1から5のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項7】
前記較正制御部は、前記実装制御部が前記実装体を前記仰視用撮像ユニットに撮像させる処理に同期させて、前記較正指標を前記俯瞰用撮像ユニットと前記仰視用撮像ユニットにそれぞれ撮像させる請求項1から6のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項8】
前記俯瞰用撮像ユニットは、それぞれの前記焦点面が一致するように調整された第1撮像ユニットと第2撮像ユニットを含み、
前記実装制御部は、前記第1撮像ユニットに前記基板を撮像させて出力させた第1俯瞰画像と、前記第2撮像ユニットに前記基板を撮像させて出力させた第2俯瞰画像とに基づいて算出した仮目標位置を前記較正値により補正して前記目標位置とする請求項1から7のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項9】
実装体を拾得して保持し、ステージに載置された基板へ載置して実装する実装ツールと、前記ステージのステージ面に平行な平面が焦点面となるようにそれぞれの光学系と撮像素子がシャインプルーフ条件を満たして配置された、前記ステージ面に対して前記実装ツールと同じ側から前記基板を俯瞰して撮像するための俯瞰用撮像ユニットと、前記実装ツールに保持された状態の前記実装体を、前記ステージ面に対して前記俯瞰用撮像ユニットとは反対の側から仰視して撮像するための仰視用撮像ユニットとを備える実装装置を用いた前記実装体の実装方法であって、
前記俯瞰用撮像ユニットが出力する俯瞰画像に基づいて算出される座標値と前記仰視用撮像ユニットが出力する仰視画像に基づいて算出される座標値との差分を較正する較正値を、予め設定された較正指標を前記俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた前記俯瞰画像と前記較正指標を前記仰視用撮像ユニットに撮像させて出力させた前記仰視画像とに基づいて演算する較正制御ステップと、
前記実装ツールに保持された前記実装体を前記仰視用撮像ユニットに撮像させ出力させた前記仰視画像に基づいて前記実装体の基準位置を認識し、前記基準位置が、前記基板を前記俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた前記俯瞰画像と前記較正値に基づいて決定した目標位置に合致するように、前記実装ツールに前記実装体を前記基板に載置させて実装させる実装制御ステップと
を有する実装方法。
【請求項10】
実装体を拾得して保持し、ステージに載置された基板へ載置して実装する実装ツールと、前記ステージのステージ面に平行な平面が焦点面となるようにそれぞれの光学系と撮像素子がシャインプルーフ条件を満たして配置された、前記ステージ面に対して前記実装ツールと同じ側から前記基板を俯瞰して撮像するための俯瞰用撮像ユニットと、前記実装ツールに保持された状態の前記実装体を、前記ステージ面に対して前記俯瞰用撮像ユニットとは反対の側から仰視して撮像するための仰視用撮像ユニットとを備える実装装置を制御する実装制御プログラムであって、
前記俯瞰用撮像ユニットが出力する俯瞰画像に基づいて算出される座標値と前記仰視用撮像ユニットが出力する仰視画像に基づいて算出される座標値との差分を較正する較正値を、予め設定された較正指標を前記俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた前記俯瞰画像と前記較正指標を前記仰視用撮像ユニットに撮像させて出力させた前記仰視画像とに基づいて演算する較正制御ステップと、
前記実装ツールに保持された前記実装体を前記仰視用撮像ユニットに撮像させ出力させた前記仰視画像に基づいて前記実装体の基準位置を認識し、前記基準位置が、前記基板を前記俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた前記俯瞰画像と前記較正値に基づいて決定した目標位置に合致するように、前記実装ツールに前記実装体を前記基板に載置させて実装させる実装制御ステップと
をコンピュータに実行させる実装制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実装装置、実装方法および実装制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の実装装置の一例であるボンディング装置では、まず、ダイパッドなどの作業対象を真上からカメラで撮像してその位置を確認する。そして、カメラを退避させてからボンディングツールを支持するヘッド部を当該作業対象の真上に移動させ、ボンディング作業を行っていた。このような構成を採用するボンディング装置は、作業時間を要するばかりでなく、作業目標位置に対する移動誤差の蓄積も問題となっていた。そこで、作業対象を斜め方向から撮像できるシャインプルーフ光学系を採用した撮像ユニットの利用が考えられるようになってきた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-179560号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シャインプルーフ光学系を採用する撮像ユニットは、光学系の構造上の特性から、周辺環境の温度変化に伴う光学系要素の微小変位が出力画像の平面方向への変位となって現れやすいことがわかってきた。出力画像の平面方向への変位は、半導体チップを載置すべき目標位置の算出に誤差を生じさせ、したがって、当該半導体チップを本来の目標位置へ精度よく実装することを妨げる結果を招く。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、周辺環境の温度が変化しても、シャインプルーフ光学系を採用する撮像ユニットを用いて半導体チップ等の実装体を載置する目標位置を精確に決定し、当該実装体を基板上の当該目標位置に載置して実装することのできる実装装置等を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様における実装装置は、実装体を拾得して保持し、ステージに載置された基板へ載置して実装する実装ツールと、ステージのステージ面に平行な平面が焦点面となるようにそれぞれの光学系と撮像素子がシャインプルーフ条件を満たして配置された、ステージ面に対して実装ツールと同じ側から基板を俯瞰して撮像するための俯瞰用撮像ユニットと、実装ツールに保持された状態の実装体を、ステージ面に対して俯瞰用撮像ユニットとは反対の側から仰視して撮像するための仰視用撮像ユニットと、俯瞰用撮像ユニットが出力する俯瞰画像に基づいて算出される座標値と仰視用撮像ユニットが出力する仰視画像に基づいて算出される座標値との差分を較正する較正値を、予め設定された較正指標を俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた俯瞰画像と較正指標を仰視用撮像ユニットに撮像させて出力させた仰視画像とに基づいて演算する較正制御部と、実装ツールに保持された実装体を仰視用撮像ユニットに撮像させ出力させた仰視画像に基づいて実装体の基準位置を認識し、基準位置が、基板を俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた俯瞰画像と較正値に基づいて決定した目標位置に合致するように、実装ツールに実装体を基板に載置させて実装させる実装制御部とを備える。
【0007】
また、本発明の第2の態様における実装方法は、実装体を拾得して保持し、ステージに載置された基板へ載置して実装する実装ツールと、ステージのステージ面に平行な平面が焦点面となるようにそれぞれの光学系と撮像素子がシャインプルーフ条件を満たして配置された、ステージ面に対して実装ツールと同じ側から基板を俯瞰して撮像するための俯瞰用撮像ユニットと、実装ツールに保持された状態の実装体を、ステージ面に対して俯瞰用撮像ユニットとは反対の側から仰視して撮像するための仰視用撮像ユニットとを備える実装装置を用いた実装体の実装方法であって、俯瞰用撮像ユニットが出力する俯瞰画像に基づいて算出される座標値と仰視用撮像ユニットが出力する仰視画像に基づいて算出される座標値との差分を較正する較正値を、予め設定された較正指標を俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた俯瞰画像と較正指標を仰視用撮像ユニットに撮像させて出力させた仰視画像とに基づいて演算する較正制御ステップと、実装ツールに保持された実装体を仰視用撮像ユニットに撮像させ出力させた仰視画像に基づいて実装体の基準位置を認識し、基準位置が、基板を俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた俯瞰画像と較正値に基づいて決定した目標位置に合致するように、実装ツールに実装体を基板に載置させて実装させる実装制御ステップとを有する。
【0008】
また、本発明の第3の態様における実装制御プログラムは、実装体を拾得して保持し、ステージに載置された基板へ載置して実装する実装ツールと、ステージのステージ面に平行な平面が焦点面となるようにそれぞれの光学系と撮像素子がシャインプルーフ条件を満たして配置された、ステージ面に対して実装ツールと同じ側から基板を俯瞰して撮像するための俯瞰用撮像ユニットと、実装ツールに保持された状態の実装体を、ステージ面に対して俯瞰用撮像ユニットとは反対の側から仰視して撮像するための仰視用撮像ユニットとを備える実装装置を制御する実装制御プログラムであって、俯瞰用撮像ユニットが出力する俯瞰画像に基づいて算出される座標値と仰視用撮像ユニットが出力する仰視画像に基づいて算出される座標値との差分を較正する較正値を、予め設定された較正指標を俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた俯瞰画像と較正指標を仰視用撮像ユニットに撮像させて出力させた仰視画像とに基づいて演算する較正制御ステップと、実装ツールに保持された実装体を仰視用撮像ユニットに撮像させ出力させた仰視画像に基づいて実装体の基準位置を認識し、基準位置が、基板を俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた俯瞰画像と較正値に基づいて決定した目標位置に合致するように、実装ツールに実装体を基板に載置させて実装させる実装制御ステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、周辺環境の温度が変化しても、シャインプルーフ光学系を採用する撮像ユニットを用いて半導体チップ等の実装体を載置する目標位置を精確に決定し、当該実装体を基板上の当該目標位置に載置して実装することのできる実装装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態に係るボンディング装置を含むフリップチップボンダの全体構成図である。
図2】ボンディング装置のシステム構成図である。
図3】シャインプルーフ光学系を説明するための説明図である。
図4】3つの撮像ユニットが較正指標を撮像する様子を示す図である。
図5】ボンディングツールが半導体チップを拾得する様子を示す図である。
図6】第3撮像ユニットが半導体チップを撮像する様子を示す図である。
図7】第3撮像ユニットが出力した仰視画像を模式的に示す図である。
図8】第1撮像ユニットおよび第2撮像ユニットがリードフレームを撮像する様子を示す図である。
図9図8の部分斜視図である。
図10】第1俯瞰画像および第2俯瞰画像から半導体チップを載置する目標座標を算出するまでの手順を示す図である。
図11】ボンディングツールが半導体チップを目標位置へ載置してボンディングする様子を示す図である。
図12】ボンディングツールが退避する様子を示す図である。
図13】半導体チップのボンディング手順を説明するフロー図である。
図14】較正制御ステップの手順を説明するサブフロー図である。
図15】ボンディング制御ステップの手順を説明するサブフロー図である。
図16】他の実施例において3つの撮像ユニットが較正指標を撮像する様子を示す図である。
図17】他の実施例における半導体チップのボンディング手順を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲に係る発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。なお、各図において、同一又は同様の構成を有する構造物が複数存在する場合には、煩雑となることを回避するため、一部に符号を付し、他に同一符号を付すことを省く場合がある。
【0012】
図1は、本実施形態に係る実装装置としてのボンディング装置100を含むフリップチップボンダの全体構成図である。フリップチップボンダは、主にボンディング装置100とチップ供給装置500から構成される。チップ供給装置500は、実装体としてのダイシングされた半導体チップ310をその上面に載置してボンディング装置100へ供給する装置である。具体的には、チップ供給装置500は、ピックアップ機構510および反転機構520を含む。ピックアップ機構510は、載置された任意の半導体チップ310を反転機構520へ向けて押し上げる装置である。反転機構520は、ピックアップ機構510に押し上げられた半導体チップ310を吸着し反転することにより、その上下方向の向きを入れ替える装置である。ボンディング装置100は、反転機構520により反転された状態で吸着されている半導体チップ310を後述するボンディングツール120によって拾得し、リードフレーム330の目標位置へ載置して接着する装置である。リードフレーム330は、ステージ190に載置される基板の一例である。
【0013】
ボンディング装置100は、主に、ヘッド部110、ボンディングツール120、第1撮像ユニット130、第2撮像ユニット140、第3撮像ユニット150、較正ユニット170、ステージ190を備える。ヘッド部110は、ボンディングツール120、第1撮像ユニット130、第2撮像ユニット140を支持し、ヘッド駆動モータ111によって平面方向および垂直方向へ移動可能である。本実施形態において平面方向は、図示するように、X軸方向とY軸方向で定められる水平方向であり、垂直方向(高さ方向)は、X軸方向およびY軸方向に直交するZ軸方向である。
【0014】
ボンディングツール120は、ツール駆動モータ121によって、ヘッド部110に対して高さ方向へ移動可能である。ボンディングツール120は、実装ツールの一例であり、先端部に半導体チップ310を吸着するコレット122、およびコレット122が吸着する半導体チップ310を加熱するヒータ124を有する。ボンディングツール120は、コレット122によって吸着した半導体チップ310をステージ190に載置されたリードフレーム330の載置予定面330aに設定された所定位置に載置し、コレット122の先端部で加圧しつつヒータ124で加熱して接着する。
【0015】
第1撮像ユニット130と第2撮像ユニット140は、リードフレーム330を俯瞰して撮像する俯瞰用撮像ユニットである。第1撮像ユニット130は、第1光学系131と第1撮像素子132を備え、その光軸をボンディングツール120の下方へ向けてヘッド部110に斜設されている。第1光学系131と第1撮像素子132は、ステージ190のステージ面に平行な平面が焦点面110aとなるようにシャインプルーフ条件を満たして配置されている。
【0016】
第2撮像ユニット140は、第2光学系141と第2撮像素子142を備え、ボンディングツール120に対して第1撮像ユニット130とは反対側に、その光軸をボンディングツール120の下方へ向けてヘッド部110に斜設されている。第2光学系141と第2撮像素子142は、ステージ190のステージ面に平行な平面が焦点面110aとなるようにシャインプルーフ条件を満たして配置されている。なお、以下の説明においては、第1撮像ユニット130および第2撮像ユニット140を纏めて「俯瞰用撮像ユニット」と称する場合がある。
【0017】
第3撮像ユニット150は、ボンディングツール120のコレット122に保持された状態の前記半導体チップを、仰視して撮像するための仰視用撮像ユニットである。図示するように、第3撮像ユニット150は、ステージ190のステージ面を分割面とすると、俯瞰用撮像ユニットが配置される空間とは反対の側の空間に配置されている。
【0018】
第3撮像ユニット150は、第3光学系151と第3撮像素子152を備え、その光軸を上方へ向けて設置されている。第3撮像ユニット150は、第3光学系151と第3撮像素子152が光軸と直交するように配置された一般的な撮像ユニットであり、その焦点面150aは第3撮像素子152の受光面と平行である。また、焦点面150aは、リードフレーム330の載置予定面330aと一致するように設定されている。換言すると、第3撮像ユニット150は、その焦点面150aが載置予定面330aと一致するようにボンディング装置100の所定位置に配設されている。なお、第3光学系151は、焦点面150aを挟む一定の奥行き範囲を被写界深度とする。したがって、焦点面150aを載置予定面330aに一致させる設置調整は、被写界深度Dの範囲であればずれが許容される。また、以下の説明においては、第3撮像ユニット150を「仰視用撮像ユニット」と称する場合がある。
【0019】
較正ユニット170は、主に、指標駆動モータ171、指標プレート172、較正指標173を備える。較正指標173は、例えば十字マークの交点といった基準位置が定められたリファレンスマークである。指標プレート172は、例えばガラスや透明樹脂の薄板であり、その一面に較正指標173が印刷されている。すなわち、較正指標173は、指標プレート172のいずれの面側からも観察できる。なお、互いの基準位置がXY方向にずれなく2つの較正指標173が指標プレート172の両面にそれぞれ印刷されていれば、指標プレート172は透明でなくても構わない。その場合、第3撮像ユニット150と対向する較正指標173が第3撮像ユニット150の被写界深度度Dの範囲に収まるように、指標プレート172の厚さが設定される。また、較正指標173は、印刷に限らず、シールの貼着や、指標プレート172表面のケガキ等により設けられてもよい。
【0020】
指標駆動モータ171は、指標プレート172をZ軸周りに旋回させることにより、較正指標173を第3撮像ユニット150の視野中心付近へ移動させたり、当該視野から退避させたりする。本実施形態においては、較正指標173は、指標プレート172のうち第3撮像ユニット150と対向する表面とは反対側の表面に印刷されている。そして、その印刷面は、較正指標173が第3撮像ユニット150の視野中心付近へ移動されると、リードフレーム330の載置予定面330aおよび第3撮像ユニット150の焦点面150aと同一面となるように調整されている。
【0021】
図2は、ボンディング装置100のシステム構成図である。ボンディング装置100の制御システムは、主に、演算処理部210、記憶部220、入出力デバイス230、第1撮像ユニット130、第2撮像ユニット140、第3撮像ユニット150、ヘッド駆動モータ111、ツール駆動モータ121、指標駆動モータ171によって構成される。
【0022】
演算処理部210は、ボンディング装置100の制御とプログラムの実行処理を行うプロセッサ(CPU:Central Processing Unit)である。プロセッサは、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やGPU(Graphics Processing Unit)等の演算処理チップと連携する構成であってもよい。演算処理部210は、記憶部220に記憶されたボンディング制御プログラムを読み出して、ボンディング制御に関する様々な処理を実行する。
【0023】
記憶部220は、不揮発性の記憶媒体であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)によって構成されている。記憶部220は、ボンディング制御プログラムの他にも、制御や演算に用いられる様々なパラメータ値、関数、ルックアップテーブル等を記憶し得る。記憶部220は、特に、較正データ221を記憶している。較正データ221は、具体的には後述するが、同一の観察対象に対して俯瞰画像に基づいて算出される座標値と仰視画像に基づいて算出される座標値の差分を較正する較正値に関するデータである。
【0024】
入出力デバイス230は、例えばキーボード、マウス、表示モニタを含み、ユーザによるメニュー操作を受け付けたり、ユーザへ情報を提示したりするデバイスである。例えば、演算処理部210は、取得した俯瞰画像や仰視画像を入出力デバイス230の一つである表示モニタへ表示してもよい。
【0025】
第1撮像ユニット130は、演算処理部210から撮像要求信号を受けて撮像を実行し、第1撮像素子132が出力した第1俯瞰画像を画像信号として演算処理部210へ送信する。第2撮像ユニット140は、演算処理部210から撮像要求信号を受けて撮像を実行し、第2撮像素子142が出力した第2俯瞰画像を画像信号として演算処理部210へ送信する。第3撮像ユニット150は、演算処理部210から撮像要求信号を受けて撮像を実行し、第3撮像素子152が出力した仰視画像を画像信号として演算処理部210へ送信する。
【0026】
ヘッド駆動モータ111は、演算処理部210から駆動信号を受けてヘッド部110を水平面方向および高さ方向へ移動させる。ツール駆動モータ121は、演算処理部210から駆動信号を受けてボンディングツール120を高さ方向へ移動させ、Z軸周りに回転させる。指標駆動モータ171は、演算処理部210から駆動信号を受けて指標プレート172を旋回させる。
【0027】
演算処理部210は、ボンディング制御プログラムが指示する処理に応じて様々な演算を実行する機能演算部としての役割も担う。演算処理部210は、画像取得部211、駆動制御部212、較正制御部213、ボンディング制御部214として機能し得る。画像取得部211は、第1撮像ユニット130、第2撮像ユニット140、第3撮像ユニット150へ撮像要求信号を送信し、第1俯瞰画像、第2俯瞰画像、仰視画像の画像信号を取得する。駆動制御部212は、ヘッド駆動モータ111、ツール駆動モータ121、指標駆動モータ171へ制御量に応じた駆動信号を送信することにより、ヘッド部110、ボンディングツール120、指標プレート172を目標位置へ移動させる。また、ピックアップ機構510や反転機構520のへ駆動信号を送信することにより、ターゲットとなる半導体チップ310を押し上げたり、吸着させて反転させたりする。
【0028】
較正制御部213は、画像取得部211や駆動制御部212等を制御することにより、上述の較正値を、較正指標173を俯瞰用撮像ユニットに撮像させ出力させた俯瞰画像と仰視用撮像ユニットに撮像させ出力させた仰視画像とに基づいて演算する。ボンディング制御部214は、実装制御部の一例であり、画像取得部211や駆動制御部212等を制御することにより、ボンディングツール120に保持された半導体チップ310を仰視用撮像ユニットに撮像させ出力させた仰視画像に基づいて半導体チップ310の基準位置を認識する。そして、当該基準位置が、リードフレーム330を俯瞰用撮像ユニットに撮像させて出力させた俯瞰画像と較正値に基づいて決定した目標位置に合致するように、ボンディングツール120に当該半導体チップ310をリードフレーム330に載置させてボンディングさせる。較正制御部213とボンディング制御部214の具体的な制御や処理については後に詳述する。
【0029】
図3は、第1撮像ユニット130に採用されているシャインプルーフ光学系を説明するための説明図である。第2撮像ユニット140にも同様のシャインプルーフ光学系が採用されているが、ここでは代表して第1撮像ユニット130のシャインプルーフ光学系について説明する。
【0030】
図3において、平面Sは、ステージ190のステージ面に対して平行である焦点面110aである。仮想面Sは、物側レンズ群131aと像側レンズ群131bを構成群とする第1光学系131の主平面を含む平面である。平面Sは、第1撮像素子132の受光面を含む平面である。本実施形態においてシャインプルーフ光学系は、シャインプルーフ条件を満たして配置されている第1光学系131と第1撮像素子132を含む。シャインプルーフ条件を満たす配置とは、平面S、仮想面S、仮想面Sが共通の直線P上で互いに交差する配置である。
【0031】
絞り133は、物側レンズ群131aと像側レンズ群131bの間に配置され、通過する光束を制限する。絞り133の径により、被写界深度Dを調整することができる。したがって、リードフレーム330の載置予定面330aがこの被写界深度内に位置すれば、第1撮像ユニット130は、後述するダイパッドやパッド基準マークを合焦状態で撮像することができる。この意味において、焦点面110aを載置予定面330aに一致させる位置制御は、被写界深度Dの範囲であればずれが許容される。
【0032】
第2撮像ユニット140は、第1撮像ユニット130と同様の構成を備え、ボンディングツール120の中心軸を含むYZ平面に対して対称にヘッド部110に配設されている。したがって、第2撮像ユニット140も第1撮像ユニット130と同様に、ダイパッドやパッド基準マークを合焦状態で撮像することができる。第1撮像ユニット130の焦点面と第2撮像ユニット140の焦点面は、焦点面110aで一致することが好ましいが、ずれが生じたとしても、互いの被写界深度の一部が重なっている限り、ダイパッドやパッド基準マークを共に合焦状態で撮像することができる。
【0033】
さて、このようなシャインプルーフ光学系を採用した撮像ユニットを採用すると、ボンディングツール120の直下を斜め方向から観察できる。したがって、ボンディングツール120に半導体チップ310を保持させ、その載置予定領域であるダイパッドの直上にボンディングツール120移動させた状態でも、当該ダイパッドを俯瞰用撮像ユニットで観察することができる。すなわち、載置予定領域であるダイパッドの直上にボンディングツール120を移動させてから、俯瞰用撮像ユニットが出力する俯瞰画像に基づいて半導体チップ310を載置する目標位置を決定することができる。すると、その状態から半導体チップ310を目標位置まで移動させればよいので、ヘッド部110やボンディングツール120の移動を大幅に抑制することができ、移動に伴う位置ずれの低減やリードタイムの短縮を実現できるようになった。
【0034】
しかし、シャインプルーフ光学系を採用する撮像ユニットは、光学系の構造上の特性から、光学系や撮像素子が周辺環境の温度変化に伴ってわずかに変位するだけで、出力画像が平面方向へ変位してしまうことがわかってきた。すなわち、周辺環境の温度により、像がシフトしてしまうことがわかってきた。このような現象は、俯瞰画像に基づいて半導体チップ310を載置する目標位置を決定する場合に、その目標位置に誤差を生じさせ、当該半導体チップを本来の目標位置へ精度よくボンディングすることを妨げる結果を招いてしまう。特に、半導体チップ310を加熱するヒータ124がボンディングツール120に備え付けられているような場合には、シャインプルーフ光学系周りの温度変化が大きくなる。
【0035】
そこで、本実施形態においては、周辺環境の温度変化が想定される所定のタイミングで較正処理を実行し、同一の観察対象に対して俯瞰画像に基づいて算出される座標値と仰視画像に基づいて算出される座標値の差分を較正する較正値を算出する。そして、半導体チップ310をリードフレーム330の目標位置にボンディングするボンディング処理においては、較正処理によって算出した較正値を用いて精確な目標位置を決定する。以下に、較正処理とボンディング処理を順に説明する。
【0036】
較正処理は、較正制御部213が実行を担う。較正制御部213は、まず、第1撮像ユニット130、第2撮像ユニット140および第3撮像ユニット150に較正指標173を撮像させる。図4は、3つの撮像ユニットが較正指標173を撮像する様子を示す図である。
【0037】
図示するように、較正制御部213は、較正処理を開始するにあたり、駆動制御部212を介して指標駆動モータ171を駆動することにより、指標プレート172を第3撮像ユニット150の視野内へ移動させる。指標プレート172が第3撮像ユニット150の視野内へ移動されると、指標プレート172に設けられた較正指標173は、固定された第3撮像ユニット150の視野に対してほぼ中心に位置する。
【0038】
較正制御部213は、続いて、駆動制御部212を介してヘッド駆動モータ111を駆動することにより、俯瞰用撮像ユニットの焦点面110aがリードフレーム330の載置予定面330aと一致するように、かつボンディングツール120の直下に較正指標173が位置するようにヘッド部110を移動させる。なお、ボンディングツール120は、俯瞰用撮像ユニットの視野に入り込まない位置へ退避されている。
【0039】
このようにそれぞれが配置された状態で、較正制御部213は、画像取得部211を介して、第1撮像ユニット130から第1俯瞰画像を、第2撮像ユニット140から第2俯瞰画像を、第3撮像ユニット150から仰視画像を取得する。そして、第1俯瞰画像と第2俯瞰画像にそれぞれ写り込む較正指標173の像の画像座標から、較正指標173の三次元座標(Xhr,Yhr,Zhr)を算出する。また、仰視画像に写り込む較正指標173の像の画像座標から、較正指標173の三次元座標(Xsr,Ysr,Zsr)を算出する。もし、俯瞰用撮像ユニットが周辺環境の温度変化の影響を受けておらず、ボンディング装置100の初期状態において撮像ユニット間の座標が正しく調整された状態を保っているのであれば、少なくともXhr=Xsr、Yhr=Ysrとなるはずである。
【0040】
しかし、上述のように、ボンディング装置100の使用を開始してしばらく経過すると、俯瞰画像から算出される三次元座標が周辺環境の温度変化の影響を受けて誤差を含むようになる。そこで、その誤差である(ΔX,ΔY)を較正値とする。具体的には、誤差は差分として表され、ΔX=Xsr-Xhr、ΔY=Ysr-Yhrとすることができる。このように較正値を算出しておけば、その後に俯瞰用撮像ユニットがある観察対象を撮像してその俯瞰画像から算出した三次元座標が(Xht,Yht,Zht)であったとすると、較正値を加味して(Xht+ΔX,Yht+ΔY,Zht)と補正することができる。この補正された座標値は、仮に同じ観察対象を仰視用撮像ユニットで撮像できたとして、その場合に得られた仰視画像から算出される座標値に対して誤差がないと言える。
【0041】
較正制御部213は、このように算出した較正値を、較正データ221として記憶部220に記憶する。較正データ221は、さらに周辺環境の温度が変化している可能性があり再度の較正処理が必要であると評価されるまで、後述するボンディング処理において参照される。換言すれば、再度の較正処理が必要であると評価されると、較正制御部213は、上述の処理を繰り返して較正値を更新する。
【0042】
再度の較正処理が必要であると評価される例としては、ボンディング制御部214が予め設定されたロット分の半導体チップ310のボンディングを完了するタイミングが考えられる。具体的には、チップ供給装置500に新たなロットの半導体チップ310が供給されるタイミングに合わせて、較正制御部213が較正処理を実行するようにしてもよい。また、ボンディング制御部214が実行するボンディング作業の作業時間を目安としてもよい。例えば、60分間継続してボンディング作業を実行した場合に較正処理を実行すると定めることができる。さらには、ヘッド部110に俯瞰用撮像ユニットの温度を検出する温度検出部を設けておき、当該温度検出部が予め設定された温度を検出したタイミングであってもよい。具体的には、複数の温度を予め設定しておき、周辺温度が当該温度を跨いで変動したことが検出された場合に較正処理を実行する。このように較正値を更新すれば、ボンディング処理を継続する期間に亘って、俯瞰画像から算出される座標値の誤差を一定範囲に抑制することが可能となる。
【0043】
ボンディング処理は、ボンディング制御部214が実行を担う。ボンディング制御部214は、まず、対象となる半導体チップ310を拾得する。図5は、ボンディングツール120が半導体チップ310を拾得する様子を示す図である。
【0044】
ボンディング制御部214は、駆動制御部212を介してヘッド駆動モータ111を駆動することによりヘッド部110をチップ供給装置500の上部へ移動させ、ツール駆動モータ121を駆動することによりボンディングツール120を降下させる。これに並行して、ピックアップ機構510は、チップ供給装置500に載置された半導体チップ310のうち、ボンディング対象となる半導体チップ310を反転機構520へ向けて押し上げ、反転機構520は、当該半導体チップ310を吸着して反転させる。そして、降下されたボンディングツール120は、当該半導体チップ310をコレット122によって吸着して拾得し、ボンディングツール120を上昇させる。
【0045】
ボンディング制御部214は、指標プレート172が第3撮像ユニット150の視野内に位置する場合には、ボンディングツール120が半導体チップ310を拾得する作業に前後して、指標プレート172を第3撮像ユニット150の視野から退避させる。具体的には、ボンディング制御部214は、駆動制御部212を介して指標駆動モータ171を駆動することにより指標プレート172を移動する。
【0046】
ボンディング制御部214は、次に、ボンディングツール120が吸着した半導体チップ310を第3撮像ユニット150に撮像させる。図6は、第3撮像ユニット150がボンディングツール120に吸着された半導体チップ310を撮像する様子を示す図である。
【0047】
ボンディング制御部214は、駆動制御部212を介してヘッド駆動モータ111を駆動することにより、俯瞰用撮像ユニットの焦点面110aがリードフレーム330の載置予定面330aと一致するように、かつボンディングツール120の直下に第3撮像ユニット150が位置するようにヘッド部110を移動させる。そして、ツール駆動モータ121を駆動することにより、保持している半導体チップ310のうちリードフレーム330への接触予定面がリードフレーム330の載置予定面330aと一致するように、ボンディングツール120を降下させる。このような配置の調整が完了したら、ボンディング制御部214は、画像取得部211を介してボンディングツール120に保持された半導体チップ310を第3撮像ユニット150に撮像させる。
【0048】
図7は、第3撮像ユニット150がボンディングツール120に保持された半導体チップ310を撮像して出力した仰視画像を模式的に示す図である。なお、図中の各被写体像には、そのまま対応する被写体の符番を付して説明する。
【0049】
上述のように、ボンディングツール120は、チップ供給装置500で準備された半導体チップ310をコレット122で吸着することにより拾得され、保持される。このとき、ボンディングツール120は、半導体チップ310の中心を予め設定された向きで吸着しようとするが、実際にはこれらに対してずれを含んで吸着することもある。そこで、ボンディング制御部214は、半導体チップ310が実際にどのような位置にどのような向きで保持されているかを確認し、当該半導体チップ310をリードフレーム330へ載置するための基準位置を認識する。
【0050】
図7に示す仰視画像は、第3撮像ユニット150が半導体チップ310を見上げるように撮像した画像であるので、半導体チップ310を保持するコレット122も写り込んでいる。そこで、ボンディング制御部214は、コレット122の輪郭である円を検出することにより、コレット中心123の画像座標を算出する。
【0051】
また、本実施形態における半導体チップ310はリードフレーム330への接触予定面にチップ基準マーク311が設けられており、ボンディング制御部214は、仰視画像に写り込んでいるチップ基準マーク311の画像座標を算出する。このように算出したコレット中心123の画像座標とチップ基準マーク311の画像座標から、ボンディング制御部214は、半導体チップ310がコレット122に対して実際にどのような位置にどのような向きで保持されているかを認識できる。例えば、チップ基準マーク311が設けられている位置が半導体チップ310をリードフレーム330へ載置するための基準位置だとすれば、ボンディング制御部214は、仰視画像を撮像した時点における半導体チップ310の基準位置の三次元座標を算出できる。したがって、その後にボンディングツール120やヘッド部110が移動されても、コレット122が当該半導体チップ310を保持し続ける限り、基準位置の三次元座標を追跡することができる。
【0052】
ボンディング制御部214は、基準位置の三次元座標を認識したら、ツール駆動モータ121を駆動することにより、保持している半導体チップ310が俯瞰用撮像ユニットの視野から退避する位置までボンディングツール120を上昇させる。そして、ヘッド駆動モータ111を駆動することにより、ボンディングツール120が、これから半導体チップ310を載置するダイパッド320の直上となるように、かつ俯瞰用撮像ユニットの焦点面110aがリードフレーム330の載置予定面330aと一致するようにヘッド部110を移動させる。なお、ボンディングツール120の上昇とヘッド部110の移動は、並列して行っても構わない。
【0053】
図8は、ヘッド部110とボンディングツール120がそのように配置された状態で、第1撮像ユニット130と第2撮像ユニット140がリードフレーム330を撮像する様子を示す図である。また、図9は、図8の部分斜視図である。本実施形態におけるリードフレーム330は、将来的に切り出されて一つのパッケージに収められる単位領域322のそれぞれに、一つのダイパッド320を有する。また、それぞれの単位領域322には、その基準位置を示すパッド基準マーク321が設けられている。
【0054】
図8および図9のように配置された状態において、第1撮像ユニット130および第2撮像ユニット140はそれぞれ、同一の単位領域322に含まれるダイパッド320とパッド基準マーク321を視野内に捉えて合焦状態で撮像することができる。ボンディング制御部214は、第1撮像ユニット130が出力する第1俯瞰画像と第2撮像ユニット140が出力する第2俯瞰画像とを用いて、半導体チップ310をダイパッド320に載置するときにその基準位置を合致させるべき目標位置の座標を算出する。
【0055】
図10は、第1俯瞰画像および第2俯瞰画像から半導体チップ310を載置する目標座標を算出するまでの手順を示す図である。第1撮像ユニット130は、ダイパッド320に対してパッド基準マーク321側からこれらを撮像するので、その出力画像である第1俯瞰画像には、単位領域322がパッド基準マーク321側に拡がった台形状に写り込む。逆に第2撮像ユニット140は、ダイパッド320に対してパッド基準マーク321の反対側からこれらを撮像するので、その出力画像である第2俯瞰画像には、単位領域322がパッド基準マーク321側に狭まった台形状に写り込む。
【0056】
ボンディング制御部214は、第1俯瞰画像からパッド基準マーク321の画像座標(x1k,y1k)を決定し、また、第2俯瞰画像からパッド基準マーク321の画像座標(x2k,y2k)を決定する。そして、例えば画像座標を三次元座標に変換する変換テーブルを参照することにより、これらの画像座標からパッド基準マーク321の三次元座標である指標座標(X,Y,Z)を算出する。この指標座標の座標値は、精確な目標位置を算出するための仮目標位置であり、上述のように周辺環境の温度変化の影響を受けて誤差を含むものである。そこで、較正データ221から較正値(ΔX,ΔY)を読み出して補正する。このようにして得られた補正後の指標座標(X+ΔX,Y+ΔY,Z)の座標値は、仰視画像から算出される空間座標に対して誤差がないものと期待し得る。
【0057】
予め設定されたダイパッド320の目標位置とパッド基準マーク321の相対位置は既知であるので、ボンディング制御部214は、補正された指標座標(X+ΔX,Y+ΔY,Z)から目標位置の座標(X,Y,Z)を精確に算出することができる。
【0058】
目標位置の座標が確定したら、半導体チップ310を当該目標位置へ載置してボンディングする。図11は、ボンディングツール120が半導体チップ310を目標位置へ載置してボンディングする様子を示す図である。
【0059】
ボンディング制御部214は、上述のように、ボンディングツール120やヘッド部110の移動に対して半導体チップ310の基準位置の三次元座標を追跡して把握しており、この基準位置がダイパッド320の目標位置に合致するように、半導体チップ310を移動させる。具体的には、駆動制御部212を介してヘッド駆動モータ111を駆動することによりヘッド部110のXY方向の位置を微調整し、ツール駆動モータ121を駆動することにボンディングツール120のZ軸周りの回転量を微調整する。そして、基準位置のX座標およびY座標と目標位置のX座標およびY座標がそれぞれ一致した状態でボンディングツール120を下降させ、半導体チップ310をダイパッド320上に載置する。その後、半導体チップ310をコレット122の先端部で加圧しつつ、ヒータ124で加熱して、ダイパッド320に接着する。
【0060】
本実施形態においては、図4を用いて説明したように、リードフレーム330の載置予定面330aに俯瞰用撮像ユニットの焦点面110aと較正指標173の印刷面を揃えて較正値を算出している。すなわち、較正値を算出したときのヘッド部110のZ方向の位置は、俯瞰用撮像ユニットがチップ基準マーク311を撮像するときのヘッド部110のZ方向の位置と同じである。また、図6および図7を用いて説明したように、リードフレーム330の載置予定面330aにコレット122に保持された半導体チップ310の接触予定面を揃えてチップ基準マーク311の三次元座標を算出している。すなわち、チップ基準マーク311の三次元座標を算出したときのボンディングツール120のZ方向の位置は、半導体チップ310をダイパッド320に載置するときのボンディングツール120のZ方向の位置と同じである。
【0061】
したがって、ヘッド部110やボンディングツール120をZ方向に移動した場合に生じ得る、実際の三次元座標と認識した三次元座標のXY方向に対する誤差を考慮する必要がない。例えば、図8の状態ではボンディングツール120は半導体チップ310を保持して俯瞰用撮像ユニットの視野から退避しているが、この状態における実際の基準位置のX座標およびY座標は、ボンディングツール120を上下させる移動機構の要素間のあそび等の影響により、ボンディング制御部214が認識しているX座標およびY座標とは一致しない場合もある。しかし、図11のように半導体チップ310を載置予定面330aに載置するときのボンディングツール120高さは、チップ基準マーク311の三次元座標を算出したときのボンディングツール120高さと同一となり、移動機構による誤差要因が除去される。つまり、半導体チップ310を載置予定面330aに載置するときの実際の基準位置のX座標およびY座標は、ボンディング制御部214が認識しているX座標およびY座標と一致することになる。このような観点において、較正値を算出する場合に、載置予定面330aに対して焦点面110aと較正指標173の印刷面を一致させることや、チップ基準マーク311の三次元座標を算出する場合に、載置予定面330aに対して半導体チップ310の接触予定面を一致させることが有効である。
【0062】
図12は、ボンディングツール120が退避する様子を示す図である。図示するように半導体チップ310のボンディングが完了したら、ボンディング制御部214は、駆動制御部212を介してツール駆動モータ121を駆動することにより、ボンディングツール120を上昇させる。さらに新たな半導体チップ310をボンディングする場合には、再び図5の状態へ戻して処理を繰り返す。
【0063】
次に、以上説明した較正処理とボンディング処理を含む全体のボンディング手順をフロー図に沿って纏める。図13は、半導体チップ310のボンディング手順を説明するフロー図である。
【0064】
較正制御部213は、ステップS11で、較正処理を行うべく較正制御ステップを開始する。詳しくは後にサブフローとして説明する。なお、撮像ユニット間の座標が正しく調整された初期状態からボンディング処理を開始する場合には、最初の較正制御ステップをスキップしても構わない。
【0065】
較正制御部213が較正制御ステップの実行を終えたら、ステップS12へ進み、ボンディング制御部214は、ボンディング処理を行うべくボンディング制御ステップを開始する。詳しくは後にサブフローとして説明する。
【0066】
ボンディング制御部214がボンディング制御ステップの実行を終えたら、ステップS13へ進み、較正制御部213は、その時点におけるボンディング装置100の状態が予め設定された較正タイミングの条件を満たすか否かを判断する。予め設定される較正タイミングの条件は、再度の較正処理が必要と考え得る条件が設定される。例えば、上述のように、処理が完了したロット数や、ボンディング作業の作業時間、温度検出部によって検出される温度等が設定条件の候補となる。
【0067】
ステップS13で、較正制御部213が条件を満たすと判断した場合には、ステップS11へ戻る。満たさないと判断した場合には、ステップS14へ進む。ステップS14へ進んだ場合は、ボンディング制御部214は、予定された全てのボンディング処理が完了したか否かを判断する。ボンディング処理すべき半導体チップ310が残っていると判断したらステップS12へ戻り、すべてのボンディング処理が完了したと判断したら一連の処理を終了する。
【0068】
図14は、較正制御ステップの手順を説明するサブフロー図である。較正制御ステップでは、主に、図4を用いて説明した処理を実行する。較正制御部213は、ステップS1101で、指標プレート172を移動して較正指標173を第3撮像ユニット150の視野中心へ投入する。続いてステップS1102で、較正制御部213は、較正指標173が第1撮像ユニット130および第2撮像ユニット140の焦点面110aとなるように、かつボンディングツール120の直下に較正指標173が位置するようにヘッド部110を移動させる。なお、較正指標173の印刷面は、上述のように、リードフレーム330の載置予定面330aと一致するように調整されている。
【0069】
較正制御部213は、ステップS1103へ進み、画像取得部211を介して各撮像ユニットに撮像を行わせ、第1撮像ユニット130から第1俯瞰画像を、第2撮像ユニット140から第2俯瞰画像を、第3撮像ユニット150から仰視画像を取得する。そして、続くステップS1104で、第1俯瞰画像と第2俯瞰画像にそれぞれ写り込む較正指標173の像の画像座標に基づいて較正指標173の三次元座標を算出し、仰視画像に写り込む較正指標173の像に基づいて較正指標173の三次元座標を算出する。較正制御部213は、このように算出されたそれぞれの三次元座標のうち、XY平面方向の差分を較正値として算出する。算出した較正値は、較正データ221として記憶部220へ記憶する。
【0070】
その後、較正制御部213は、ステップS1105で、指標プレート172を移動して較正指標173を第3撮像ユニット150の視野から退避させる。較正指標173の退避が完了したら、メインのフローへ戻る。なお、較正指標173の退避は、続くボンディング処理の中で行ってもよい。
【0071】
図15は、ボンディング制御ステップの手順を説明するサブフロー図である。ボンディング制御ステップでは、主に、図5から図12を用いて説明した処理を実行する。
【0072】
ボンディング制御部214は、ステップS1201で、ヘッド部110をチップ供給装置500の上部へ移動させ、ボンディングツール120を降下させる。そして、チップ供給装置500に載置された半導体チップ310のうち、ボンディング対象となる半導体チップ310をピックアップ機構510と反転機構520により反転させ、これをコレット122によって吸着して拾得し、ボンディングツール120を上昇させる。
【0073】
ボンディング制御部214は、ステップS1202で、俯瞰用撮像ユニットの焦点面110aがリードフレーム330の載置予定面330aと一致するように、かつボンディングツール120の直下に第3撮像ユニット150が位置するようにヘッド部110を移動させる。さらにステップS1203で、保持している半導体チップ310のうちリードフレーム330への接触予定面がリードフレーム330の載置予定面330aと一致するように、ボンディングツール120を降下させる。
【0074】
このような配置の調整が完了したら、ボンディング制御部214は、ステップS1204で、ボンディングツール120に保持された半導体チップ310の接触予定面を第3撮像ユニット150に撮像させる。そして、ステップS1205で、第3撮像ユニット150が出力した仰視画像を取得し、写り込んでいるチップ基準マーク311の画像座標等に基づいて半導体チップ310の基準位置の三次元座標を認識する。
【0075】
ボンディング制御部214は、ステップS1206で、保持している半導体チップ310が俯瞰用撮像ユニットの視野から退避する位置までボンディングツール120を上昇させると共に、ボンディングツール120が、これから半導体チップ310を載置するダイパッド320の直上となるようにヘッド部110を移動させる。続くステップS1207で、俯瞰用撮像ユニットの焦点面110aがリードフレーム330の載置予定面330aと一致するようにヘッド部110の高さを調整する。
【0076】
このような配置の調整が完了したら、ボンディング制御部214は、ステップS1208で、載置予定面のうち対象とするダイパッド320とパッド基準マーク321を含む単位領域322を第1撮像ユニット130と第2撮像ユニット140に撮像させる。そして、ステップS1209で、第1撮像ユニット130が出力した第1俯瞰画像と第2撮像ユニット140が出力した第2俯瞰画像を取得し、写り込んでいるパッド基準マーク321の画像座標および較正値等に基づいて目標位置の三次元座標を算出する。
【0077】
目標位置が確定したら、ステップS1210へ進み、目標位置の座標が確定したら、半導体チップ310の基準位置が当該目標位置と合致するようにヘッド部110とボンディングツール120を移動させ、半導体チップ310をダイパッド320上に載置する。その後、半導体チップ310を加圧/加熱し、ボンディングを完了させる。ボンディングが完了したら、ボンディングツール120を上昇させ、メインのフローへ戻る。
【0078】
以上説明した本実施形態においては、較正処理とボンディング処理を分離し、ボンディング装置100の状態が予め設定された較正タイミングの条件を満たす場合に較正処理を実行した。したがって、一度較正処理を実行したら算出した較正値を記憶部220に保持しておき、次に較正処理を実行するまでに行うボンディング処理では、当該較正値を毎回参照し続ける。しかし、較正処理を一連のボンディング処理に組み込み、それぞれの半導体チップ310をボンディング処理するごとに較正値を更新する処理手順であってもよい。そのような他の実施例について、以下に説明する。なお、以下の他の実施例においては、ボンディング装置の構成自体は上述の実施例と同様であるのでその説明を省略し、主に処理手順の異なる部分について説明する。
【0079】
図16は、他の実施例において3つの撮像ユニットが較正指標173を撮像する様子を示す図である。本実施例においては、上述の実施例において図5を用いて説明した半導体チップ310の拾得処理と、図6を用いて説明した第3撮像ユニット150による半導体チップ310の撮像処理の間に、較正値を算出する較正処理を実行する。
【0080】
図16は、より具体的には、コレット122がボンディング対象となる半導体チップ310を保持しつつ、俯瞰用撮像ユニットの視野から退避している様子を示している。その他の様子は、図4に示す3つの撮像ユニットが較正指標173を撮像する様子と同様である。具体的には、ヘッド部110の位置は、俯瞰用撮像ユニットの焦点面110aがリードフレーム330の載置予定面330aおよび較正指標173の印刷面と一致するように調整されている。また、較正指標173は、それぞれの撮像ユニットの視野中心付近に配置されている。
【0081】
較正制御部213は、各撮像ユニットに撮像を行わせて得た第1俯瞰画像、第2俯瞰画像および仰視画像に基づいて、上述のように較正値を算出する。較正制御部213が較正値を算出したら、ボンディング制御部214は、引き続いてボンディングツール120を降下させ、図6を用いて説明した第3撮像ユニット150による半導体チップ310の撮像以降の処理を実行する。なお、これらの処理手順は逆であっても構わない。このように、ボンディング処理に同期して実行された較正処理において算出された較正値は、そのボンディング処理においてボンディングする半導体チップ310の位置合わせに限って利用される。このように、ボンディング制御部214が第3撮像ユニット150に半導体チップ310を撮像させる処理に同期して較正制御部213が各撮像ユニットに較正指標を撮像させ、毎回のボンディング処理において較正値を更新すれば、較正値を算出した時点と較正値を用いる時点の時間間隔を短縮することができる。したがって、周辺環境の温度変化に対してより精確な位置合わせを実現することが期待できる。
【0082】
図17は、この他の実施例における半導体チップ310のボンディング手順を説明するフロー図である。図13から図15を用いて説明した処理手順と同一の処理手順については、同じステップ番号を付すことによりその処理内容の説明を省略する。上述のように、本実施例は、較正処理を毎回のボンディング処理に組み込んだ処理手順であるので、主に処理の流れについて説明する。
【0083】
これからボンディング処理を行う半導体チップ310が決定されると、ボンディング制御部214は、ステップS1201で、当該半導体チップ310を吸着して拾得する。ステップS1201に前後して、あるいはステップS1201と並行して、較正制御部213は、指標プレート172を移動して較正指標173を第3撮像ユニット150の視野中心へ投入するステップS1101を実行する。続いて、較正制御部213は、ステップS1201に連続して、ヘッド部110を移動させるステップS1102を実行する。なお、ヘッド部110やボンディングツール120を移動させる制御は、ボンディング処理に関する一連の制御としてボンディング制御部214が担っても構わない。
【0084】
続くステップS1103で、較正制御部213は、第1撮像ユニット130、第2撮像ユニット140および第3撮像ユニット150に撮像を実行させ、さらにステップS1104で、較正値を算出する。較正値を算出したら、ステップS1105へ進み、較正指標173を各撮像ユニットの視野から退避させる。
【0085】
較正制御部213が較正指標173を退避させたら、ボンディング制御部214は、半導体チップ310の接触予定面を載置予定面330aと一致するまで降下させるステップS1203を実行する。ステップS1203からステップS1210までは、図15を用いて説明した処理手順と同様である。なお、ステップS1209において目標位置を決定する演算で用いられる較正値は、ステップS1203に先立って実行されたステップS1104で算出された較正値である。
【0086】
ステップS1210の処理を終えたら、ボンディング制御部214は、ステップS14で、予定された全てのボンディング処理が完了したか否かを判断する。ボンディング処理すべき半導体チップ310が残っていると判断したらステップS1201へ戻り、すべてのボンディング処理が完了したと判断したら一連の処理を終了する。
【0087】
以上説明した本実施形態においては、各撮像ユニットが較正指標173をより好条件で撮像できるようにするために、各撮像ユニットの視野の中心付近に較正指標173を移動させた。そのため、ボンディング処理においては較正指標173を各撮像ユニットの視野から退避させる作業が必要となった。しかし、例えば各撮像ユニットが、視野周辺部の収差が位置算出の誤差要因とならない程度の性能を有する光学系を備えるのであれば、較正指標を視野周辺部に常時観察できるように配置しても構わない。すなわち、較正値の算出に与える影響がほとんどなく、ボンディング処理時における半導体チップ310の接触予定面を第3撮像ユニット150で撮像する場合に邪魔にならないのであれば、較正指標は、各撮像ユニットの視野周辺部に常置され得る。このような較正指標であれば、較正ユニット170から指標駆動モータ171を省くことができる。また、較正指標を進退させる制御が不要となるので、リードタイムの短縮にも寄与する。
【0088】
また、以上説明した本実施形態においては、俯瞰用撮像ユニットが第1撮像ユニット130と第2撮像ユニット140の2つを含む構成であったが、俯瞰用撮像ユニットは、それぞれがシャインプルーフ光学系を採用する3つ以上の撮像ユニットを含むように構成してもよい。また、以上説明した本実施形態においては、第1俯瞰画像と第2俯瞰画像の視差を利用して対象物の三次元座標を算出したが、俯瞰用撮像ユニットを用いて三次元座標を算出する手法はこれに限らない。例えば、シャインプルーフ光学系を採用する俯瞰用撮像ユニットは1つとし、他の補助手段を用いるようにしても構わない。例えば、ヘッド部110にパターン投光が可能な投光部を設け、観察面で観察される投光パターンの形状を俯瞰用撮像ユニットが出力する俯瞰画像で解析することにより、対象物の三次元座標を算出するようにしてもよい。また、本実施形態においてはフリップチップボンダについて説明したが、これに限らずダイボンダ、電子部品を基板などに実装する表面実装機、その他の実装装置に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0089】
100…ボンディング装置、110…ヘッド部、110a…焦点面、111…ヘッド駆動モータ、120…ボンディングツール、121…ツール駆動モータ、122…コレット、123…コレット中心、124…ヒータ、130…第1撮像ユニット、131…第1光学系、131a…物側レンズ群、131b…像側レンズ群、132…第1撮像素子、133…絞り、140…第2撮像ユニット、141…第2光学系、142…第2撮像素子、150…第3撮像ユニット、150a…焦点面、151…第3光学系、152…第3撮像素子、170…較正ユニット、171…指標駆動モータ、172…指標プレート、173…較正指標、190…ステージ、210…演算処理部、211…画像取得部、212…駆動制御部、213…較正制御部、214…ボンディング制御部、220…記憶部、221…較正データ、230…入出力デバイス、310…半導体チップ、311…チップ基準マーク、320…ダイパッド、321…パッド基準マーク、322…単位領域、330…リードフレーム、330a…載置予定面、500…チップ供給装置、510…ピックアップ機構、520…反転機構
図1
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