(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】分別キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 50/00 20060101AFI20231205BHJP
B65D 51/22 20060101ALI20231205BHJP
B65D 47/36 20060101ALI20231205BHJP
B65D 47/12 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B65D50/00
B65D51/22 110
B65D47/36 300
B65D47/12 200
(21)【出願番号】P 2020094703
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100165607
【氏名又は名称】渡辺 一成
(74)【代理人】
【識別番号】100196690
【氏名又は名称】森合 透
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-059710(JP,A)
【文献】特開2002-225897(JP,A)
【文献】特開2001-097415(JP,A)
【文献】特開2002-308311(JP,A)
【文献】実開平06-042712(JP,U)
【文献】特開2004-142755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 50/00
B65D 51/22
B65D 47/36
B65D 47/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒(5)の内側に内容物を注出する注出筒(10)を有して容器本体(101)の口筒部(102)に装着される有頂円筒状から成るキャップ本体(A)と、該キャップ本体(A)に対して着脱自在に装着されるオーバーキャップ(B)と、前記口筒部(102)から前記キャップ本体(A)を取り除く分別機構(30)とを有する分別キャップであって、
前記キャップ本体(A)の外筒(5)の下端には、下筒部(31)を介し
てフラップ(33)が環状に連設されており、
前記分別機構(30)が、前記外筒(5)と前記下筒部(31)の間に破断可能な薄肉部を周方向に配設して成る横弱化部(36)と、前記フラップ(33)を周方向に分断する切欠部(38)と、前記横弱化部(36)の一端と前記切欠部(38)の間に破断可能な薄肉部を鉛直方向に配置して成る縦弱化部(37)と、前記フラップ(33)の一部に形成された摘みフラップ(33B)と、を有して構成され、前記フラップ(33)を前記口筒部(102)に形成されたネックリング(104)に当接させたことを特徴とする分別キャップ。
【請求項2】
フラップ(33)は、断面視傾斜状からなる傾斜フラップ(33A)であり、下筒部(31)と傾斜フラップ(33A)との間の環状溝部(32)内に複数の窓部(34)が周方向に間欠的に形成されている請求項1記載の分別キャップ。
【請求項3】
フラップ(33)が、断面視傾斜状からなるフラップ(33)に複数のスリット(33a)を周方向に間欠的に形成した分割フラップ(33C)で構成されている請求項1記載の分別キャップ。
【請求項4】
フラップ(33)が、断面視鉛直方向に延びる短筒状の垂直フラップ(33D)で構成されている請求項1記載の分別キャップ。
【請求項5】
フラップ(33)が、先端を径方向内側に向かって曲げた屈曲フラップ(33E)で形成されている請求項1記載の分別キャップ。
【請求項6】
摘みフラップ(33B)が、切欠部(38)に隣接するフラップ(33)の一部を径方向外側に向かって突出させることにより形成されている請求項1乃至5のいずれか一行に記載の分別キャップ。
【請求項7】
キャップ本体(A)に注出筒(10)の内側に注出口(10a)を形成する破断可能な薄肉弱化部(14)を介して連結された栓体(15)が設けられ、オーバーキャップ(B)は、前記栓体(15)の外周面に嵌合する切断筒部(43)が設けられたネジキャップであり、前記栓体(15)と前記切断筒部(43)との間に、前記オーバーキャップ(B)を回して開栓させた際に、前記薄肉弱化部(14)を破断させて前記注出口(10a)を形成すると共に、前記栓体(15)を前記キャップ本体(A)から切り離してオーバーキャップ(B)に移行させる切断機構が設けられている請求項1乃至6のいずれか一行に記載の分別キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄時に容器の口筒部からキャップ本体を取り除く分別機構を備えた分別キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体の口筒部に注出用のキャップが装着され、中身を使い切った後の廃棄時に、口筒部からキャップを取り除く分別機能を備える分別キャップが知られている。
例えば、以下の特許文献1に示す注出栓(分別キャップ)は、プルリングを介して除去可能に設けられた閉塞壁を内側に備えて容器の口筒部の外側に係合配置される周壁を備えたプルリング付き破断開口型注出栓と、プルリング付き破断開口型注出栓に対して螺合により着脱可能に設けられたキャップとを有し、プルリング付き破断開口型注出栓の周壁には、左右一対の薄肉破断線を並設して成る破断除去部と破断除去部の上端に切込みが設けられた構成である。
注出栓を容器本体(びん)から取り除くには、切込みを押し開いて左右の薄肉破断線を破断させて破断除去部を取り除き、周壁の緊着を解除して引き出すことにより、注出栓と容器本体とを分別廃棄することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1に記載の発明では、周壁の下端とネックリング(フランジAd)の上面との間に隙間を有する構成であり、この隙間から異物を挿入するなどの悪戯が行われた場合には、悪戯が行われたか否かの痕跡が残らないことから、後から悪戯の有無を確認することが困難であるという問題があった。
更には、容器本体からのキャップをこれまで以上にスムーズに分別できる分別キャップの開発も望まれている。
【0005】
本発明は、上記した従来技術における問題点を解消すべく、後から悪戯の有無を視覚的に確認できると共に、キャップ本体を容器本体からスムーズに取り除いて分別廃棄できるようにした分別キャップを創出することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための手段のうち、本発明の主たる手段は、
外筒の内側に内容物を注出する注出筒を有して容器本体の口筒部に装着される有頂円筒状から成るキャップ本体と、キャップ本体に対して着脱自在に装着されるオーバーキャップと、口筒部からキャップ本体を取り除く分別機構とを有する分別キャップであって、
キャップ本体の外筒の下端には、下筒部を介してフラップが環状に連設されており、
分別機構が、外筒と下筒部の間に破断可能な薄肉部を周方向に配設して成る横弱化部と、フラップを周方向に分断する切欠部と、横弱化部の一端と切欠部の間に破断可能な薄肉部を鉛直方向に配置して成る縦弱化部と、フラップの一部に形成された摘みフラップと、を有して構成され、フラップを口筒部に形成されたネックリングに当接させたことを特徴とする、というものである。
本発明の主たる手段では、摘みフラップを指先で摘みながら破断方向に引っ張るだけで横弱化部が直接破断するため、別機構付きキャップを口筒部から容易に除くことができる。
【0007】
また本発明の他の手段は、本発明の主たる手段に、フラップは、断面視傾斜状からなる傾斜フラップであり、下筒部と傾斜フラップとの間の環状溝部内に複数の窓部が周方向に間欠的に形成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、通常のネックリングの場合には傾斜フラップの下面がネックリングの角部に当接し、大径のネックリングの場合には、傾斜フラップはネックリング上に略水平な姿勢で載置された状態に設定され、いずれの場合もネックリングと傾斜フラップの下面との間から隙間を無くすことができ、異物の挿入を未然に防止できる。
【0008】
また本発明の他の手段は、本発明の主たる手段に、フラップが、断面視傾斜状からなるフラップに複数のスリットを周方向に間欠的に形成した分割フラップで構成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、全体として作用する打栓時抵抗を低減することができる。
【0009】
また本発明の他の手段は、本発明の主たる手段に、フラップが、断面視鉛直方向に延びる短筒状の垂直フラップで構成されている、との手段を加えたものである。
上記手段では、垂直フラップとネックリング104との間に隙間が形成されることを防止することができ、この間からの異物の挿入を阻止できる。
【0010】
また本発明の他の手段は、本発明の主たる手段に、フラップが、先端を径方向内側に向かって曲げた屈曲フラップで形成されている、の手段を加えたものである。
上記手段においても、これ以上のこれ以上の異物の侵入を阻止する異物の侵入を阻止することが可能となる。
【0011】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、摘みフラップが、切欠部に隣接するフラップの一部を径方向外側に向かって突出させることにより形成されている、の手段を加えたものである。
上記手段においては、フラップを摘み易くなることから、破棄作業を短時間で確実に行うことが可能となる。
【0012】
また本発明の他の手段は、上記いずれかの手段に、キャップ本体に注出筒の内側に注出口を形成する破断可能な薄肉弱化部を介して連結された栓体が設けられ、オーバーキャップは、栓体の外周面に嵌合する切断筒部が設けられたネジキャップであり、栓体と切断筒部との間に、オーバーキャップを回して開栓させた際に、薄肉弱化部を破断させて注出口を形成すると共に、栓体をキャップ本体から切り離してオーバーキャップに移行させる切断機構が設けられている、との手段を加えたものである。
上記手段では、オーバーキャップを回して開栓させると同時に抜栓された栓体を、オーバーキャップ側に移行させることができるため、開栓作業を容易化することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、摘みフラップを指先で摘みながら破断方向に引っ張るだけという簡単な作業で、分別機構を構成する横弱化部を直接破断させて分別キャップを容器本体の口筒部からスムーズに取り除くことができる。
またフラップの下面とネックリングとの間に隙間は形成さなくなることから、異物を挿入するなどの悪戯を防止できると共に、後から悪戯の有無を視覚的に確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1実施例として開封前の分別キャップを示す半断面図である。
【
図4】(a)はオーバーキャップの半断面図、(b)はオーバーキャップの底面図である。
【
図5】開封後の分別キャップを示す半断面図である。
【
図6】第1実施例の要部の変形例を示す拡大断面図である。
【
図7】第2実施例として開封前の分別キャップを示す半断面図である。
【
図9】(a)は第2実施例の要部の第1変形例を示す拡大断面図、(b)は第2実施例の要部の第2変形例を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の第1実施例として開封前の分別キャップを示す半断面図、
図2は切断機構を拡大して示す断面図、
図3はキャップ本体の平面図、
図4(a)はオーバーキャップの半断面図、
図4(b)はオーバーキャップの底面図、
図5は開封後の分別キャップを示す半断面図である。
【0016】
図1に示すように、分別キャップは、例えば内容量500mlからなる容器本体101の口筒部102に装着されるキャップ本体Aと、このキャップ本体Aに対して着脱自在に装着されるオーバーキャップBとを有して構成され、各部材は合成樹脂材料を射出成型することにより形成されている。
キャップ本体Aは有頂筒状の部材であり、外周側の外筒5と、内周側の内筒6と、外筒5及び内筒6の上端にリング状に架設された上壁7と、上壁7の内周端から立設されたネジ壁部8と、ネジ壁部8の上端に天壁9を介して起立設された注出筒10とを有して構成されている。外筒5と内筒6との間には環状溝から成る嵌合凹部4が周設されており、この嵌合凹部4には容器本体101の口筒部102が嵌入可能となっている。
【0017】
図2に示すように、注出筒10は、円筒状の基部11と、基部11の上端に向かって拡径して外側に湾曲形成されたリップ部12とを有して構成され、基部11の下端には容器本体101内に収容されている内容物を注出させる注出口10aを備える。注出筒10の基部11の内縁部には、注出口10aを形成する薄肉弱化部14が周設されており、この薄肉弱化部14の内側には栓体15が連結されている。
【0018】
栓体15は頂部が閉鎖された有頂筒状から成る中空の部材であり、栓体15の下端には薄肉弱化部14から連続するリング状の底壁部17を具備して注出口10aを閉鎖している。底壁部17は、栓体15の下端を拡径筒状に形成して成る拡径部20と、拡径部20の外壁に径方向外側向かって周突設された第1係着突部21と、拡径部20の下端にリング状に連設されたフランジ部22とを有して形成されており、フランジ部22の外周端と注出筒10の基部11の内周端との間がリング状に形成された薄肉弱化部14を介して一体に連結されている。
【0019】
栓体15の外周面には平面視形状が略扇形状の凹溝から成り、切断機構の一部を構成する切断凹部18が、キャップ軸Oを挟んで軸対称となる2か所の位置に形成されている。
図3に示すように、切断凹部18は、周方向の一端に外周面に対して傾斜状に形成された栓体側傾斜部18aと、周方向の他端に外周面に対して垂直に形成された栓体側係合部18bとを有して形成されている。
【0020】
図1に示すように、ネジ壁部8は、注出筒10が起立設された天壁9の外周縁に円筒状に垂下設され、その外周面には雄ネジ23が螺刻されている。また
図3に示すように天壁9上で且つ周方向180度異なる2箇所の位置には、凸リブからなる音出し突起26が形成されている。
【0021】
更に、キャップ本体Aの上壁7上の2箇所の位置には、略90度の範囲に渡ってスロープ状に形成されて成るストッパー28が設けられている。ストッパー28の螺脱方向(反時計回り方向)の端部には略垂直な第1当接面28aが形成され、この第1当接面28aから逆方向となる螺着方向の端部までの間に第1傾斜面28bが形成されている。
【0022】
外筒5の下端には、キャップ本体Aを容器本体101から取り除いて分別廃棄を行うための分別機構30が設けられている。
詳述すると、
図1に示すように、外筒5の下端には、外筒5よりも厚肉で形成されて成る下筒部31が環状に周設され、更に下筒部31の下端には径方向外側に突出するフラップ33が連設されている。第1実施例に示すフラップ33は、環状溝部32を介して断面視傾斜状に形成され且つ下端に向かって拡径状に広がる傾斜フラップ33Aと摘みフラップ33Bとを有して構成されている。
【0023】
また環状溝部32には横帯状に穿設されて成る複数の窓部34が周方向に所定の間隔を置いて間欠配置され、また下筒部31の内周面には容器本体101の口部1の外周面に形成された係合凹部103に係合してキャップ本体Aの抜けを防止する係合凸部35が周突設されている。
【0024】
また外筒5と下筒部31との間には、横弱化部36が周方向に約2/3周に渡って形成されており、横弱化部36の一端には、下筒部31を介して環状溝部32の位置まで延びる縦弱化部37が連設されている。横弱化部36と縦弱化部37とは共に破断可能な薄肉部で形成されている。また縦弱化部37の下端の位置には、傾斜フラップ33Aを周方向に分断する切欠部38が縦弱化部37に連続して形成されており、傾斜フラップ33Aのうち切欠部38と隣接する部分に摘みフラップ33Bが設けられている。尚、横弱化部36は全周に渡って形成されていてもよい。
そして、横弱化部36、縦弱化部37、切欠部38及び摘みフラップ33Bは、環状溝部32及び傾斜フラップ33Aを含む下筒部31以下の部材を外筒5から切り離して口筒部102からのキャップ本体Aの取り除きを容易とし、廃棄の際に容器本体101とは分別して破棄することを可能とする分別機構30を構成している。
【0025】
図1又は
図4に示すように、オーバーキャップBは、円板状の頂壁40と、頂壁40の外周縁に垂下設された外周壁41を有して有頂円筒状に構成され、外周壁41の表面には滑り止め用のローレット41aが刻設されたネジキャップである。外周壁41の下端には複数の破断片49aを介して連結された封止リング49が一体に連設され、この封止リング49の内周面には上壁7の外周端に対してアンダーカット状に係合する係止部49bが形成されている。
また頂壁40の内面には、その中央側に切断筒部43が、外周側にネジ筒部44が夫々同心円状に一体に垂下設され、切断筒部43とネジ筒部44との間には細板状の振動片45aからなる音出し部材45が周方向に180度の間隔を有する2箇所の位置に垂下設されている。
【0026】
図4に示すように、切断筒部43は、閉蓋時に、注出筒10内に挿入されてその内壁に密着して密封する密封筒50を有し、この密封筒50の内周面に平面視形状が略扇形状を成し、栓体15の外周面に形成された切断凹部18に対して係合可能に構成された切断凸部51が、キャップ軸Oを挟んで軸対称となる2か所の位置に形成されている。切断凸部51は、密封筒50の内周面に対して傾斜状に形成され且つ切断凹部18側の栓体側傾斜部18aに対向配置されるキャップ側傾斜部51aと、内周面に対して垂直に形成され且つ切断凹部18側の栓体側係合部18bと係合するキャップ側係合部51bとを有して構成されており、このような切断凸部51は、切断凹部18と共に切断機構を構成している。
【0027】
尚、本実施例では、切断凸部51が、栓体15に形成された切断凹部18と同数で且つ周方向の2箇所に設けているが、これらは同数であれば2箇所に限られるものではなく、2箇所以上の位置に設けられる構成であってもよい。
【0028】
また
図1又は
図2に示すように、切断筒部43の下端内周には、栓体15に周突設された第1係着突部21を乗り越えて、拡径部20の外周面に嵌合する第2係着突部48が周設されている。
【0029】
図4(a)(b)に示すように、ネジ筒部44は、内周にキャップ本体Aのネジ壁部8に形成されている雄ネジ23に螺合可能な雌ネジ55が刻設されている。またネジ筒部44の下端面には、キャップ本体Aの上壁7に形成されているストッパー28に係合可能なクサビ状凹部56が周方向の2箇所に形成されている。クサビ状凹部56の、螺脱方向の端部には第2当接面56aが略垂直に形成され、この第2当接面56aから逆方向となる螺着方向の端部までの間に第2傾斜面56bが形成されている。
尚、本実施例では、ストッパー28及びクサビ状凹部56は周方向2箇所の位置に形成した場合を示して説明したが、これらは2箇所に限定されるものではなく、必要に応じて適宜変更することが可能である。
【0030】
次に、分別キャップの容器本体への組み付けについて説明する。
キャップ本体Aの上からオーバーキャップBをセットする際には、図示しないマーク等を利用し、キャップ本体AとオーバーキャップBとの周方向の位置決めした状態で打栓することにより行う、この際には、オーバーキャップB側の切断凸部51とキャップ本体A側の切断凹部18とが対向するように周方向に位置決めされるため、切断凸部51を切断凹部18内に嵌入させることができる。すると、
図1に示すように、切断凸部51が切断凹部18内に挿入案内されて下降し、第2係着突部48が第1係着突部21を乗り越えて拡径部20の外周面に嵌合する。同時に、封止リング49の係止部49bが上壁7の外周端を下方に乗り越えて係合する。これにより、分別キャップを、オーバーキャップBがキャップ本体Aに一体的に組み付く開栓前の初期状態に設定することができる。
【0031】
尚、この際には、ネジ筒部44の下端に形成されているクサビ状凹部56が、キャップ本体Aの上壁7に形成されているストッパー28に当接し、雄ネジ23と雌ネジ55とは螺合が完了した状態に設定される。本実施例では、雄ネジ23と雌ネジ55とが螺合する際の回転角度を少なくすること、及びキャップ本体Aの上からオーバーキャップBをセット(打栓)し易くするため、雄ネジ23及び雌ネジ55を多条ネジで形成している。
次に、キャップ本体Aの嵌合凹部4を内容物が充填された容器本体101の口筒部102上に載せた状態で打栓すると、キャップ本体Aに設けられた係合凸部35が口筒部102の外周面に形成された係合凹部103に強固に係合するため、分別キャップを容器本体101の口筒部102に取り付けることができる。
【0032】
図1に示すように、分別キャップを容器本体101の口筒部102に取り付けた開封前の状態では、傾斜フラップ33Aは傾斜姿勢にあり、その下面が容器本体101のネックリング104の上側の角部に当接する状態に設定される。この状態では、傾斜フラップ33Aの下面とネックリング104との間に隙間形成されなくなることから、傾斜フラップ33Aの下面とネックリング104の間から異物を挿入させるような悪戯を阻止することができる。
また仮に無理に異物を挿入しようとした場合には、傾斜フラップ33Aが強制的に持ち上げられ、その上部に設けられている窓部34が破損してその痕跡が残ることから、少なくともそのような悪戯が行われたことを目視により知ることが可能となる。
【0033】
次に、分別キャップの開栓について説明する。
分別キャップの栓体15を開栓するには、まず外周壁41のローレット41aを把持した状態で、
図1の開栓前の初期状態からオーバーキャップBを螺脱方向(半時計回り方向)に回転させる。
すると、切断筒部43の切断凸部51を構成するキャップ側係合部51bを介して、これに嵌合している栓体15の外周面に形成された切断凹部18を構成する栓体側係合部18bに回転力を伝達するため、栓体15を一緒に回転させることができる。この回転により、オーバーキャップBは、雄ネジ23と雌ネジ55とのネジ送り作用によって上方に移動するが、切断筒部43の第2係着突部48が栓体15の拡径部20の外周面に嵌合しているので、オーバーキャップBの回転に伴って栓体15を上方に引き上げる。
【0034】
オーバーキャップBの回転が進むと、栓体15に加わる回転力と引き上げ力との相互作用により、栓体15は薄肉弱化部14に沿って切断されるため、注出筒10の下端内側に注出口10aを形成することができる。更にオーバーキャップBの回転を進めると、薄肉弱化部14に沿って注出筒10の基部11の内周端と栓体15のフランジ部22の外周端との間を完全に分離させることができる。分離した栓体15は、底壁部17の第1係着突部21と係合する切断筒部43の第2係着突部48に係着された状態で引き上げられるため、栓体15をオーバーキャップBの切断筒部43内に移行させた状態で取り除くことができる。
【0035】
また同時に、上昇変位するオーバーキャップBに対し、封止リング49は、封止リング49の係止部49bと上壁7の外周端との係止により、上昇変位不能となっている。よって、
図5に示すように、オーバーキャップBが回転して上昇変位すると、全ての破断片49aが破断し、封止リング49が自重により下筒部31上に落下する。そして、このような封止リング49が落下した状態を視認することにより、開封後の分別キャップであると確認することができる。
本実施例では、封止リング49は、係止部49bが再び係止される下筒部31の位置まで落下するが、この落下距離を約3mmとすることにより、開封前であるか又は開封後であるかを判別する視認性を向上させることが可能となっている。
【0036】
またオーバーキャップBの回転が進むと、オーバーキャップB側の振動片45aの先端が、キャップ本体A側の音出し突起26に当接し、更に回転が進むと、振動片45aが湾曲変形しながら音出し突起26を乗り越え、この際に振動片45aが復元して振動することで音を発生させる。よって、使用者は視覚に加えて発生する音によっても分別キャップが開封状態に設定されたと判別することが可能となる。
【0037】
そして、オーバーキャップBを螺脱させて取り除き、キャップ本体Aを完全に露出させることにより、容器本体101から注出口10a及び注出筒10を介して内容物を注出させることがきる。
【0038】
内容物を注出した後、再びオーバーキャップBをキャップ本体Aに装着して螺合させると、オーバーキャップB側の切断筒部43を構成する密封筒50が注出筒10の内周に密着するため、容器本体101内を再度密封状態に設定することができる。
【0039】
次に分別機構30による分別廃棄について説明する。
分別キャップを容器本体101から取り除くには、分別機構30を構成する摘みフラップ33Bを指先で摘みながら、横弱化部36が破断する周方向右側(以下「破断方向」という、
図1では右方向)に引っ張ることにより行う。摘みフラップ33Bはネックリング104よりもわずかに突出しており、また摘みフラップ33Bの側部に切欠部38を設けているので摘み易くなっている。そして、摘みフラップ33Bを引っ張ると、傾斜フラップ33Aは切欠部38によって周方向に分断されているため、切欠部38に隣接する縦弱化部37が最初に破断し、続いて横弱化部36が周方向に順次破断し始めるため、結果として環状溝部32及び傾斜フラップ33Aを含む下筒部31以下の部材を外筒5から切り離すことができる。よって、オーバーキャップBが装着されたキャップ本体A、すなわち、摘みフラップ33Bを指先で摘みながら破断方向に引っ張るだけで、横弱化部36が直接破断して分別キャップが口筒部102から容易に外れることから、分別キャップと容器本体101とを分別して破棄することが可能となる。
【0040】
図6は第1実施例の要部の変形例を示す拡大断面図である。
例えば、容器本体101が、第1実施例のような内容量500mlの場合と、内容量1800mlの場合とでは、ネックリング104の径寸法が異なることがあり、第1実施例の変形例はネックリング104が大径の場合(内容量1800ml)に関するものである。
図6に示すように、ネックリング104が大径の場合には、装着時に傾斜フラップ33Aの下端がネックリング104に接触して環状溝部32において折れ曲がり、傾斜フラップ33Aはネックリング104上に略水平な姿勢で載置された状態に設定される。
【0041】
このように、第1実施例の変形例では、傾斜フラップ33Aはネックリング104の上に載置されることから、傾斜フラップ33Aとネックリング104との間に形成される隙間を第1実施例同様に無くすことが可能となる。よって、傾斜フラップ33Aの下面とネックリング104の間からの異物を挿入させるような悪戯を阻止することができる。また無理に異物を挿入しようとした場合には、第1実施例の場合よりも大きな力で傾斜フラップ33Aを強制的に持ち上げる必要があることから、窓部34はより激しく破損した痕跡が残るようになり、そのような悪戯が行われたことを目視により明確に知ることが可能となる。
【0042】
図7は第2実施例として開封前の分別キャップを示す半断面図、
図8は第2実施例の要部を示す拡大断面図である。
第2実施例に示す分別キャップが、上記第1実施例と異なる点は、要部であるフラップ33の構成にあり、その他の構成及び効果は上記第1実施例同様であることから、以下においては上記第1実施例と異なる点を中心に同一部材については同一の符号を付して説明する。
【0043】
図7及び
図8に示すように、第2実施例に示す分別キャップでは、下筒部31の下端に、環状溝部32を介して傾斜状に延びるフラップ33が、周方向に所定の間隔で間欠的に形成された複数のスリット33aを介して複数に分割された分割フラップ33Cである。また複数の分割フラップ33Cのうち、縦弱化部37の下端の位置に形成された切欠部38に対し、破断方向に隣接する位置に設けられた一箇所のみを、さらに径方向外側に突出させて摘みフラップ33Bとし、この摘みフラップ33Bを除く他の全ての分割フラップ33Cの径方向外側の突出量を第1実施例よりも小さくしている。
【0044】
第2実施例に示す構成では、キャップ本体Aの嵌合凹部4を容器本体101の口筒部102に対して打栓する際に生じる打栓時抵抗を軽減できる。すなわち、第1実施例のように、傾斜フラップ33Aが周方向に連続する態様の場合には傾斜フラップ33Aは一体的に作用して大きな打栓時抵抗となりやすいが、第2実施例のような分割フラップ33C成では、打栓時抵抗がフラップ33を構成する個々の分割フラップ33C及び摘みフラップ33Bにおいて分散してしまうため、全体として作用する打栓時抵抗を第1実施例に比較して低減することが可能となる。
【0045】
また第2実施例では、複数の分割フラップ33C又は摘みフラップ33Bの下面とネックリング104の間から異物を挿入するような悪戯を行った場合には、突出量の小さい複数の分割フラップ33Cは容易に変形する反面、容易に破損しやすいことから、悪戯が容易に判明しやすく、その結果、悪戯し難くすることができる。
【0046】
図9(a)は第2実施例の要部の第1変形例を示す拡大断面図、(b)は第2実施例の要部の第2変形例を示す拡大断面図である。
第2実施例の第1変形例及び第2変形例に示す分別キャップが、上記第2実施例と異なる点も要部であるフラップ33の構成にあり、その他の構成及び効果は上記第2実施例同様であることから、以下においては上記第2実施例と異なる点を中心に同一部材については同一符号を付して説明する。
尚、
図9(a)の第2実施例の第1変形例は容器本体101が内容量500mlの場合(通常の大きさのネックリング)、
図9(b)の第2変形例は容器本体101が内容量1800mlの場合(大径ネックリング)である。
【0047】
図9(a)に示すように、第2実施例の第1変形例では、フラップ33として、複数の傾斜フラップ33Aの代わりに垂直フラップ33Dを有して構成されている。尚、摘みフラップ33Bは第2実施例同様の構成である。
すなわち、垂直フラップ33Dは、下筒部31の下端に、環状溝部32を介して断面視鉛直方向に延びると共に、縦弱化部37が形成されている部分を除き全周に渡って短筒状に形成され、その内周面はネットリング104の外周面に当接している。そして、縦弱化部37の下端の位置に形成された切欠部38と破断方向に隣接する位置には、垂直フラップ33Dより径方向外側に突出させて成る摘みフラップ33Bが設けられている。
【0048】
第1変形例では、垂直フラップ33Dがネックリング104の外周面の外側に突出した状態で当接配置され、少なくともネックリング104の上半分を隠すことのできる程度の長さに設定されている。そして、この垂直フラップ33Dにより、ネックリング104との間に隙間が形成されることを防止している。よって、上記同様に垂直フラップ33Dとネックリング104の間から異物を挿入するような悪戯を未然に阻止することができる。
尚、第1変形例においては、環状のフラップ33を、周方向に所定の間隔で間欠的に配置した
図7同様の複数のスリット33aで複数に分割してもよい。
【0049】
図9(b)に示すように、第2実施例の第2変形例では、フラップ33として、複数の傾斜フラップ33Aの代わりに先端を径方向内側に曲げた複数の屈曲フラップ33Eを有して構成されている。尚、摘みフラップ33Bは第2実施例同様の構成である。
【0050】
すなわち、複数の屈曲フラップ33Eは、下筒部31の下端に、環状溝部32を介して連結された環状のフラップ33を、周方向に所定の間隔で間欠的に配置した
図7同様の複数のスリット33aで複数に分割すると共に、分割後のフラップ33の先端を径方向内側に向けて曲げることにより形成されている。また複数の屈曲フラップ33Eのうち、縦弱化部37の下端の位置に形成された切欠部38に対し、破断方向に隣接する位置に設けられた一箇所のフラップ33のみを径方向外側に突出させて摘みフラップ33Bとしてある。
【0051】
第2変形例では、屈曲フラップ33Eが大きなネックリング104上で屈曲し、その先端が係合凹部103内で径方向内側に向いた状態でネックリング104の上面に当接している。このため、屈曲フラップ33Eとネックリング104の間からの異物を挿入させようとした場合、既に係合凹部103内に屈曲フラップ33Eの先端が屈曲した状態で入り込んでいることから、これ以上の異物の挿入を阻止することが可能となる。
【0052】
以上、実施例に沿って本発明の構成とその作用効果について説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではない。
【0053】
例えば上記実施例は、オーバーキャップの一例として、ネジキャップを示して説明したが、本発明の実施の形態は上記実施例に限定されるものではなく、キャップ本体とキャップとがヒンジを介して開閉可能に連結されるヒンジキャップであってもよい。
【0054】
また上記実施例では、第1実施例の摘みフラップ33Bのみが径方向外側に向かって突出しない構成を示して説明したが、第1実施例においても他の実施例同様に摘みフラップ33Bが径方向外側に向かって突出する構成であってもよい。
【0055】
尚、上記実施例に示したフラップ33(傾斜フラップ33A、分割フラップ33C、垂直フラップ33D及び屈曲フラップ33E)は、ネックリング104に当接する態様であれば、ネックリング104よりも径方向外側に突出している必要はない。また摘みフラップ33Bはネックリング104に当接すると共に指先で摘まめる程度突出する態様が好ましい。
【0056】
また上記実施例では、切断機構を、キャップ側傾斜部51aとキャップ側係合部51bから成る切断凸部51と、栓体側傾斜部18aと栓体側係合部18bとから成る切断凹部18で構成した場合を示して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、切断機構は、注出筒10内に設けた機構であれば、凹凸状のリブ等、どのような構造で嵌合する形態を採用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、分別キャップの分野における用途展開を更に広い領域で図ることができる。
【符号の説明】
【0058】
4 : 嵌合凹部
5 : 外筒
6 : 内筒
7 : 上壁
8 : ネジ壁部
9 : 天壁
10 : 注出筒
10a: 注出口
11 : 基部
12 : リップ部
14 : 薄肉弱化部
15 : 栓体
17 : 底壁部
18 : 切断凹部
18a: 栓体側傾斜部
18b: 栓体側係合部
20 : 拡径部
21 : 第1係着突部
22 : フランジ部
23 : 雄ネジ
26 : 音出し突起
28 : ストッパー
28a: 第1当接面
28b: 第1傾斜面
30 : 分別機構
31 : 下筒部
32 : 環状溝部
33 : フラップ
33A: 傾斜フラップ
33B: 摘みフラップ
33C: 分割フラップ
33D: 垂直フラップ
33E: 屈曲フラップ
33a: スリット
34 : 窓部
35 : 係合凸部
36 : 横弱化部
37 : 縦弱化部
38 : 切欠部
40 : 頂壁
41 : 外周壁
41a: ローレット
43 : 切断筒部
44 : ネジ筒部
45 : 音出し部材
45a: 振動片
48 : 第2係着突部
49 : 封止リング
49a: 破断片
49b: 係止部
50 : 密封筒
51 : 切断凸部
51a: キャップ側傾斜部
51b: キャップ側係合部
55 : 雌ネジ
56 : クサビ状凹部
56a: 第2当接面
56b: 第2傾斜面
101: 容器本体
102: 口筒部
103: 係合凹部
104: ネックリング
A : キャップ本体
B : オーバーキャップ
O : キャップ軸