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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】タバコ組成物
(51)【国際特許分類】
   A24B 15/16 20200101AFI20231205BHJP
   A24B 15/24 20060101ALI20231205BHJP
   A24B 15/12 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A24B15/16
A24B15/24
A24B15/12
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022078138
(22)【出願日】2022-05-11
(62)【分割の表示】P 2020152672の分割
【原出願日】2016-12-07
(65)【公開番号】P2022110065
(43)【公開日】2022-07-28
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】1521626.0
(32)【優先日】2015-12-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】イブライム, ハンソル
【審査官】木村 麻乃
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/055567(WO,A1)
【文献】特表2004-520818(JP,A)
【文献】特表2015-517817(JP,A)
【文献】特表2013-502232(JP,A)
【文献】国際公開第2015/025158(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/071682(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/098323(WO,A1)
【文献】特開平05-007485(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24B 15/16
A24B 15/24
A24B 15/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)タバコ組成物の60~90重量%の量のタバコ成分、タバコ組成物の0~20重量%の量の充填剤、及びタバコ組成物の10~20重量%の量のエアロゾル発生剤を含むタバコ組成物であって、
前記エアロゾル発生剤が、タバコ組成物の13~16重量%の量のグリセリンを含み、
前記タバコ組成物が、タバコ組成物の0.5~1.5重量%のニコチン含量を有し、
前記タバコ成分が、製紙法再生タバコから構成されている、
タバコ組成物、並びに
b)エアロゾルを形成するために使用時に成分を揮発させる加熱手段を備え
前記タバコ組成物を180~300℃の間の温度まで加熱するように構成されている、吸入性エアロゾルを発生させる加熱式タバコ製品。
【請求項2】
前記エアロゾル発生剤が、ソルビトール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、トリエチルシトラート、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ジメチルドデカンジオアート、ジメチルテトラデカンジオアート、及びこれらの混合物から選択される作用物質を更に含む、請求項1に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項3】
前記エアロゾル発生剤が、プロピレングリコールを更に含む、請求項に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項4】
前記製紙法再生タバコが、ケーシング及び/又は香料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項5】
前記加熱手段が電気的加熱手段である、請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項6】
前記電気的加熱手段が、電気抵抗加熱要素である、請求項5に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項7】
マウスピースを更に備える、請求項1~6のいずれか一項に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項8】
前記マウスピースが中空管を備える、請求項7に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項9】
前記タバコ組成物が加熱されたときに生成する揮発したタバコ組成物を冷却するための、前記タバコ組成物及び前記マウスピースの間にエアロゾル冷却要素を備える、請求項7又は請求項8に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項10】
前記タバコ組成物及び前記エアロゾル冷却要素の間にスペーサーを備える、請求項9に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項11】
前記スペーサーが中空のスペーサー管である、請求項10に記載の加熱式タバコ製品。
【請求項12】
カートリッジの形態で提供される、請求項1~11のいずれか一項に記載の加熱式タバコ製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タバコ組成物、特に、加熱式タバコ製品(THP)の使用に関する。
【背景】
【0002】
シガレット、シガー等の物品は、使用の間にタバコの煙を生じさせるためにタバコを燃やす。燃やさずに化合物を放出する製品を作り出すことによって、タバコを燃やすこれらのタイプの物品の代替物を提供するための試みがなされている。このような製品の例は、いわゆる非燃焼・加熱式製品、加熱式タバコ製品(tobacco heating products)又は加熱式タバコ用具(tobacco heating device)としても知られており、これらは、その材料を燃やさずに、加熱することによって化合物を放出する。その材料は、例えばタバコ若しくは他の非タバコ製品又は混合した配合物等の組合せであってもよく、これらはニコチンを含有してもしなくてもよい。
【0003】
喫煙材を燃やす又は燃焼させることなく、喫煙材を加熱して、喫煙材の少なくとも1種の成分を揮発させる、典型的には、吸入され得るエアロゾルを形成する器具が知られている。このような器具は、「非燃焼・加熱式」器具、又は「加熱式タバコ製品」(THP)又は「加熱式タバコ用具」などと称されることがある。喫煙材の少なくとも1種の成分を揮発させるための様々な異なる配置が知られている。
【概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、
タバコ組成物の60~90重量%の量のタバコ成分、タバコ組成物の0~20重量%の量の充填剤成分、及びタバコ組成物の10~20重量%の量のエアロゾル発生剤を含むタバコ組成物であって、
前記タバコ組成物が、タバコ組成物の0.5~1.5重量%のニコチン含量を有し、
前記タバコ成分が、タバコ成分の70~100重量%の量の製紙法再生タバコを含むタバコ組成物が提供される。
【0005】
実施形態において、タバコ成分は、葉タバコ、押出タバコ、バンドキャストタバコ、及びこれらの混合物から選択される成分を、タバコ成分の0~30重量%の量で含んでいてもよい。
【0006】
実施形態において、エアロゾル発生剤は、ソルビトール、グリセリン、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、乳酸、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、トリエチルシトラート、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ステアリン酸メチル、ジメチルドデカンジオアート、ジメチルテトラデカンジオアート、及びこれらの混合物から選択される作用物質を含んでいてもよい。
【0007】
実施形態において、エアロゾル発生剤は、グリセリン及びプロピレングリコールを含んでいてもよい。
【0008】
実施形態において、タバコ成分は、葉タバコをタバコ組成物の10~30重量%の量で含んでいてもよい。
【0009】
実施形態において、タバコ成分は、押出タバコをタバコ組成物の10~30重量%の量で含んでいてもよい。
【0010】
実施形態において、タバコ成分は、バンドキャストタバコをタバコ組成物の10~30重量%の量で含んでいてもよい。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、吸入性エアロゾルを発生させる用具であって、本明細書に記載のタバコ組成物、及びエアロゾルを形成するために使用時に成分を揮発させる加熱手段を含む用具が提供される。
【0012】
実施形態において、加熱手段は電気的加熱手段である。
【0013】
実施形態において、電気的加熱手段は、電気抵抗的加熱要素である。
【0014】
実施形態において、該用具は加熱式タバコ製品である。
【0015】
本発明の第3の態様によれば、喫煙材を加熱する器具と共に使用するための喫煙物品であって、
本明細書に記載のタバコ組成物を含む喫煙材、及び
喫煙材の一端に取り付けられたマウスピース
を備える喫煙物品が提供される。
【0016】
実施形態において、マウスピースは中空管を備える。
【0017】
実施形態において、喫煙物品は、喫煙材が加熱されたときに生成する揮発した喫煙材を冷却するための、喫煙材及びマウスピースの間にエアロゾル冷却要素を備える。
【0018】
実施形態において、喫煙物品は、喫煙材及びエアロゾル冷却要素の間にスペーサーを備える。
【0019】
実施形態において、スペーサーは中空のスペーサー管である。
【0020】
本発明の第4の態様によれば、喫煙材を加熱する器具と共に使用するためのカートリッジであって、本明細書に記載のタバコ組成物を含む喫煙材を収納するカートリッジが提供される。
【0021】
本発明のさらなる特徴及び利点は、ほんの一例として示した以下の本発明の好ましい実施形態の説明から明らかになり、説明は付随の図面を参照して行われる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】製紙法再生タバコを製造するプロセスの流れ図である。
図2】押出タバコを製造するプロセスの流れ図である。
図3】押出タバコを製造する装置である。
図4】本明細書に記載のタバコ組成物を収納する喫煙物品の実施形態を示す図である。
図5】本明細書に記載のタバコ組成物を収納し、エアロゾル冷却要素を含む喫煙物品のさらなる実施形態を示す図である。
【詳細な説明】
【0023】
本明細書に記載のタバコ組成物において、タバコ成分は、製紙法再生タバコを含む。タバコ成分は、葉タバコ、押出タバコ、及び/又はバンドキャストタバコを含んでいてもよい。
【0024】
本明細書に記載のタバコ組成物において、タバコ組成物は、充填剤成分を含んでいてもよい。充填剤成分は、通常非タバコ成分、即ち、タバコ由来の原料を含まない成分である。充填剤成分は、木材繊維若しくはパルプ又はコムギ繊維等の非タバコ繊維であってもよい。充填剤成分はまた、チョーク、パーライト、バーミキュライト、ケイ藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等の無機材料であってもよい。充填剤成分はまた、非タバコキャスト材料又は非タバコ押出材料であってもよい。充填剤成分は、タバコ組成物の0~20重量%の量、又は組成物の1~10重量%の量で存在してもよい。いくつかの実施形態において、充填剤成分は、存在しなくてもよい。
【0025】
本明細書に記載のタバコ組成物において、タバコ組成物は、エアロゾル発生剤を含む。この文脈において、「エアロゾル発生剤」は、エアロゾルの発生を促進する作用物質である。エアロゾル発生剤は、初期の気化及び/又はガスの吸入性固体及び/又は液体エアロゾルへの凝縮を促進することによって、エアロゾルの発生を促進してもよい。いくつかの実施形態において、エアロゾル発生剤は、エアロゾル発生材料からの香味の送達を改良してもよい。
【0026】
一般に、任意の適した(1種又は複数の)エアロゾル発生剤は、本発明のエアロゾル発生材料に含まれてもよい。適したエアロゾル発生剤には、限定するものではないが:ソルビトール、グリセリン、及びプロピレングリコール又はトリエチレングリコールのようなグリコール等のポリオール;一価アルコール、高沸点炭化水素等の非ポリオール、乳酸等の酸、グリセリン誘導体、ジアセチン、トリアセチン、トリエチレングリコールジアセタート、トリエチルシトラート又はミリスチン酸エチル及びミリスチン酸イソプロピルを含めたミリスチラート等のエステル、並びにステアリン酸メチル、ジメチルドデカンジオアート及びジメチルテトラデカンジオアート等の脂肪族カルボン酸エステルが含まれる。
【0027】
いくつかの実施形態において、エアロゾル発生剤は、グリセリン、プロピレングリコール、又はグリセリンとプロピレングリコールの混合物であってもよい。グリセリンは、タバコ組成物の10~20重量%、例えば、組成物の13~16重量%、又は組成物の14~15重量%の量で存在してもよい。プロピレングリコールは、存在する場合、組成物の0.1~0.3重量%の量で存在してもよい。
【0028】
エアロゾル発生剤は、任意の成分、例えばタバコ組成物の任意のタバコ成分及び/又は存在する場合、充填剤成分に含まれてもよい。或いは又はさらに、エアロゾル発生剤をタバコ組成物に個別に添加してもよい。いずれの場合も、タバコ組成物中のエアロゾル発生剤の総量は、本明細書で定義された通りであるべきである。
【0029】
本明細書に記載のタバコ組成物は、ニコチンを含む。ニコチン含量は、タバコ組成物の0.5~1.5重量%であり、例えば、タバコ組成物の0.8~1.2重量%であってもよい。実施形態において、ニコチン含量は、タバコ組成物の0.8~1.0重量%であってもよい。驚くべきことに、加熱式タバコ製品に使用される場合、ニコチン含量が高すぎると、エアロゾルが吸入された場合、刺激の強い感覚がもたらされ得ることが見出されている。
【0030】
本明細書に記載の組成物において、量が重量%で示された場合、疑問が生じないように明記すれば、特に逆の指示がなければこれは乾燥重量基準を表す。したがって、タバコ組成物、又はその任意の成分中に存在し得るいずれの水も、重量%の決定の目的に対しては完全に無視される。本明細書に記載のタバコ組成物の含水量は変化してもよく、例えば、5~15重量%であってもよい。本明細書に記載のタバコ組成物の含水量は、例えば、組成物が維持される温度、圧力及び湿度条件に従って変化し得る。含水量は、本明細書に記載のように、カール-フィッシャー分析又はガスクロマトグラフィーによって決定することができる。
【0031】
一方、疑問が生じないように明記すれば、エアロゾル発生剤が、グリセリン又はプロピレングリコール等の液相成分であっても、水以外のいずれの成分もタバコ組成物の重量に含まれる。しかし、エアロゾル発生剤が、タバコ組成物に個別に添加される代わりに又はそれに追加して、タバコ組成物のタバコ成分、又はタバコ組成物の充填剤成分(存在する場合)に供給される場合は、エアロゾル発生剤はタバコ成分又は充填剤成分の重量には含めずに、本明細書で定義された重量%で「エアロゾル発生剤」の重量に含める。タバコ成分中に存在するあらゆる他の原料は、たとえ、非タバコ由来(例えば、製紙法再生タバコの場合の非タバコ繊維)であってもタバコ成分の重量に含まれる。
【0032】
ある実施形態において、タバコ組成物は、本明細書で定義されたタバコ成分及び本明細書で定義されたエアロゾル発生剤を含む。ある実施形態において、タバコ組成物は、本質的に本明細書で定義されたタバコ成分及び本明細書で定義されたエアロゾル発生剤から構成されている。ある実施形態において、タバコ組成物は、本明細書で定義されたタバコ成分及び本明細書で定義されたエアロゾル発生剤から構成されている。
【0033】
製紙法再生タバコ
製紙法再生タバコは、本明細書に記載のタバコ組成物のタバコ成分中に、タバコ成分の70~100重量%の量で存在する。実施形態において、製紙法再生タバコは、タバコ成分の80~100重量%、又は90~100重量%の量で存在する。さらなる実施形態において、タバコ成分は、製紙法再生タバコから本質的に構成されている、又は製紙法再生タバコから構成されている。
【0034】
製紙法再生タバコは、タバコ供給原料を溶媒で抽出して、可溶物の抽出物及び繊維材料を含む残留物を得、次いで抽出物(通常、濃縮後、及び任意選択でさらなる加工後)と残留物からの繊維材料(通常、繊維材料の精製、及び任意選択で非タバコ繊維の一部の添加後)とを、繊維材料上に抽出物を堆積させることによって再結合させるプロセスによって形成されたタバコ材料を指す。再結合のプロセスは、製紙のプロセスに似ている。
【0035】
製紙法再生タバコは、当技術分野で周知の任意のタイプの製紙法再生タバコであってもよい。特定の実施形態において、製紙法再生タバコは、タバコストリップ、タバコの茎、及び全葉のタバコのうちの1種又は複数を含む供給原料から製造される。さらなる実施形態において、製紙法再生タバコは、タバコストリップ及び/又は全葉のタバコ、及びタバコの茎から構成されている供給原料から製造される。しかし、他の実施形態において、小片、微粉及び風選物を供給原料中に代替として又は追加として使用してもよい。
【0036】
本明細書に記載のタバコ組成物に使用するための製紙法再生タバコは、製紙法再生タバコを製造する当業者には知られている方法によって製造してもよい。
【0037】
いくつかの実施形態において、製紙法再生タバコは、以下の通り製造することができる。
【0038】
図1を参照すると、葉、ストリップ、茎、小片、微粉、及び/又は風選物(いくつかの実施形態において、葉、ストリップ及び茎)等のタバコ用完成紙料を最初に水性溶媒(例えば:水、水及びエタノール等の水混和性溶媒)と混合する。蒸留水、脱イオン水、又は水道水を使用してもよい。溶媒中のタバコの懸濁液を、例えば、タバコ繊維部分から可溶性部分の抽出速度を増加させるために、撹拌又は振とうによってかき混ぜる。かき混ぜを典型的には30分~最大6時間まで実施する。かき混ぜは、容器及びかき混ぜを行うためのブレードを備えた撹拌機中で行われる。懸濁液中の溶媒の量は、タバコ用完成紙料、溶媒及びかき混ぜ装置のタイプ(特にブレードタイプ)、並びに懸濁液の温度に応じて、懸濁液の約75~99重量%に広範に変化してもよい。典型的な懸濁液温度の範囲は、約10℃~約100℃である。
【0039】
タバコ用完成紙料の可溶性部分は、タバコの不溶性繊維部分から、例えば、空気圧式、水圧式又は機械的圧縮機で圧縮することによって、又はろ過によって分離される。
【0040】
分離後、タバコ繊維部分は、典型的には、繊維パルプを生成するために、機械的精製にかけられる。適切なリファイナーは、典型的にはディスクリファイナー又はコニカルリファイナーであってもよい。次いで、繊維パルプは、フォードリニエタイプ製紙機等の製紙ステーションでタバコ繊維のパルプを含む原紙ウェブに成形される。繊維パルプは、典型的には平坦なワイヤベルト上に置かれ、ここで過剰な水は、重力排水及び吸引排水によって除去される。この段階で、セルロース、コムギ繊維又は木材繊維等の非タバコ繊維をタバコ由来の繊維部分に含めてもよい。
【0041】
タバコ供給原料の可溶性部分は、膜蒸発器又は真空蒸発器等の任意の既知のタイプの濃縮機を用いて濃縮される。濃縮後、エアロゾル発生剤(本明細書で定義された)、ケーシング、例えばココア、カンゾウ、及びリンゴ酸等の酸、又は香料(本明細書で定義された)等の原料を添加してもよく、濃縮されたタバコ可溶物と混合する。
【0042】
次いで、エアロゾル発生剤及び/又はケーシング及び/又は香料を潜在的に含む濃縮されたタバコ可溶物を、乾燥したタバコ繊維シートと再結合して、再生タバコを形成する。濃縮された可溶物を、吹き付け、塗装、含浸、サイジング等の様々な方法で繊維ウェブに添加し戻すことができる。
【0043】
最終的に、再生タバコは乾燥される。再生タバコは、任意選択で、ストリップに切断され、又はロールに巻かれ、次いでボビンに切断され、又は切片に細断される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「香料」及び「加香物質」という用語は、現地の規制が許可すれば、成人消費者にとって所望の製品中の味覚又は芳香を生じさせるために使用してもよい材料を表す。これらは、抽出物(例えば、カンゾウ、アジサイ、朴の木の葉、カモミール、フェヌグリーク、チョウジ、メントール、ハッカ、アニス実、シナモン、ハーブ、ウインターグリーン、サクランボ、ベリー、モモ、リンゴ、ドランブイ、バーボン、スコッチ、ウイスキー、スペアミント、ペパーミント、ラベンダー、カルダモン、セロリ、カスカリラ、ニクズク、ビャクダン、ベルガモット、ゼラニウム、ハチミツ精油、バラ油、バニラ、レモン油、オレンジ油、カッシア、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、イランイラン、セージ、ウイキョウ、ピーマン、ショウガ、アニス、コリアンダー、コーヒー、又は任意の種のハッカ属からのミント油)、調味料、苦味受容体部位ブロッカー、感覚受容器部位活性化剤又は刺激剤、糖及び/又は代替糖(例えば、スクラロース、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、サッカリン、シクラマート、ラクトース、スクロース、グルコース、フルクトース、ソルビトール、又はマンニトール)、並びに木炭、クロロフィル、ミネラル、植物性薬品、又は口中清涼剤等の他の添加剤を含んでいてもよい。これらは、模造品、合成若しくは天然原料又はこれらのブレンドであってもよい。これらは、適した形態、例えば、油、液体、又は粉末であってもよい。
【0045】
本発明において使用することができる製紙法再生タバコの例は、表1の通りである。
【0046】
【表1】
【0047】
葉タバコ
葉タバコは、本明細書に記載のタバコ組成物に任意選択で含まれていてもよい。葉タバコが含まれる場合、葉タバコは、例えば、タバコ成分の10~30重量%、又は10~20重量%の量で存在してもよい。
【0048】
本明細書に記載のタバコ組成物において使用してもよい葉タバコは、バージニア種(煙道熟成した)及び/又はバーリー種及び/又はオリエント種を含めた、単一グレード又はブレンド、刻みラグ又は全葉等の任意の適したタバコであってもよい。
【0049】
葉タバコは、エアロゾル発生剤(本明細書で定義された)、ケーシング(本明細書で定義された)及び香料(本明細書で定義された)等の原料を含んでいてもよい。
【0050】
押出タバコ
押出タバコは、本明細書に記載のタバコ組成物に任意選択で含まれてもよい。押出タバコが含まれる場合、押出タバコは、例えば、タバコ成分の10~30重量%、又は10~20重量%の量で存在してもよい。
【0051】
本明細書に記載のタバコ組成物において使用してもよい押出タバコは、押出タバコを製造する当業者には知られている方法によって製造してもよい。
【0052】
いくつかの実施形態において、押出タバコは以下の通り製造することができる。
【0053】
タバコ用完成紙料は、バージニア種(煙道熟成した)タバコ、バーリー種タバコ、及び/又はオリエント種タバコを含んでいてもよい。タバコ用完成紙料は、茎、小片、ストリップ、微粉、又は風選物であってもよい。
【0054】
追加の成分は、麦わら繊維又はコムギ繊維等の非タバコ繊維;結合剤、例えばセルロース又はヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等の変性セルロース;及びケーシング、例えばリンゴ酸等の酸を含んでいてもよい。
【0055】
図2に示すように、タバコ用完成紙料及び任意の追加の成分を、混合サイロ中で混合し、注入スクリュー及びコンベヤースクリューによって押出機に運搬し、ここでこれらを水と混合し、この段階においてエアロゾル発生剤も添加してもよい。押出後、押出タバコを冷却ベルト上で冷却する。
【0056】
押出機を図3に概略的に示す。図3を参照すると、タバコ用完成紙料(及び任意の追加の成分)をタバコ供給ゾーン1に添加し、ハウジング2内をスクリューを介して、工具セット4及び水圧式シリンダー5を備えた押出機頭部3に搬送する。水は6において、グリセリン等のエアロゾル発生剤は7において注入される。スクリューハウジング2は、温度センサー8、9、及び圧力センサー10、11及び12を備えている。押し出されたタバコ生成物は、排出ゾーン13において排出される。
【0057】
本発明で使用することができる押出タバコの例は、表2の通りである。
【0058】
【表2】
【0059】
この節における上記のものと類似しているが、コムギ繊維又は木材繊維等の非タバコ繊維のみを用いて製造された材料を、タバコ組成物の充填剤成分に使用してもよい。
【0060】
バンドキャストタバコ
バンドキャストタバコを、本明細書に記載のタバコ組成物に任意選択で含めてもよい。バンドキャストタバコが含まれる場合、バンドキャストタバコは、例えば、タバコ成分の10~30重量%、又は10~20重量%の量で存在していてもよい。
【0061】
本明細書に記載のタバコ組成物において使用してもよいバンドキャストタバコは、バンドキャストタバコを製造する当業者には知られている方法によって製造してもよい。
【0062】
バンドキャストタバコは、タバコ若しくはタバコ抽出物(又は両者)、充填剤、エアロゾル発生剤(本明細書で定義された)、及び結合剤を含んでいてもよい。
【0063】
バンドキャストタバコの原料として、この節で考察した充填剤は、本明細書で定義されたタバコ組成物に存在してもよい充填剤成分とは異なるが、充填剤成分に対して類似の材料を使用してもよい。
【0064】
タバコ抽出物を含有するバンドキャストタバコは、以下の通り製造することができる。
【0065】
タバコ抽出物は、溶媒によるタバコの処理を含む方法によって得てもよく、他の処理ステップ(濃縮等)をさらに含んでもよい。抽出物は、バージニア種及び/又はバーリー種及び/又はオリエント種タバコを含めた、単一グレード又はブレンド、刻みラグ又は全葉等の任意の適したタバコの処理によって形成してもよい。
【0066】
いくつかの実施形態において、タバコ抽出物は、水によるタバコの処理を含む方法によって得てもよい。いくつかの実施形態において、水によるタバコの処理は、タバコに水を添加するステップと、得られた水性液体抽出物をタバコ供給原料の不溶性部分から抽出するステップと、任意選択で過剰な水を除去して、タバコ抽出物を形成するステップとを含んでもよい。遠心式固体ろ過又は真空流動床ろ過等の任意の適切なろ過方法を使用してもよい。真空スピニングディスク型、真空流下型、又は薄膜上昇型蒸発等の任意の適切な蒸発濃縮法を使用してもよい。噴霧乾燥又は凍結乾燥を含めた技術も、含水量を減少/除去するために使用してもよい。このようなプロセスは、ろ過及び蒸発濃縮の当業者には公知であろう。タバコ抽出物のpHは、6から10.5の間に調整してもよい。
【0067】
いくつかの実施形態において、タバコ抽出物は、超臨界流体、例えば超臨界二酸化炭素を用いた抽出を含む方法によって得てもよい。いくつかの他の実施形態において、タバコ抽出物は、ポリオール又は他の適した高沸騰点液体を含んでもよい溶媒による抽出を含む方法によって得てもよい。場合によっては、抽出溶媒は、グリセリン及び/又はプロピレングリコール(及び任意選択で水)を含んでいてもよい。
【0068】
いくつかの実施形態において、タバコ抽出物は、水蒸気蒸留を含む方法によって得てもよい。
【0069】
いくつかの実施形態において、タバコ抽出物は、ある種の物質の濃度を除去又は減少するステップを含む方法によって製造されてもよい。例えば、タバコ抽出物を、タンパク質含量を減少するためにベントナイトで、及び/又はポリフェノール含量を減少するためにポリビニルポリピロリドンで処理してもよい。
【0070】
いくつかの実施形態において、タバコ抽出物は、1種又は複数の物質の濃度を加える又は増加させるステップを含む方法によって製造してもよい。いくつかのこれらの実施形態において、例えば、エアロゾル発生剤及び/又は加香物質を添加してもよい。
【0071】
充填剤は、バンドキャストタバコ材料に硬練りを付与するために必要となる場合があり、このことは、該材料を下流で処理(細断、ブレンド、圧延、縮れ付け、成形等)できることを意味する。充填剤は、1種又は複数の無機充填材を含んでいてもよく、これには、限定するものではないが:チョーク、パーライト、バーミキュライト、ケイ藻土、コロイドシリカ、酸化マグネシウム、硫酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、及びモレキュラーシーブ等の適した無機収着剤が含まれる。チョークは特に適している。場合によっては、充填剤は、1種又は複数の有機充填材を含んでいてもよく、これには、限定するものではないが:木材パルプ、セルロース及びセルロース誘導体が含まれる。
【0072】
いくつかの実施形態において、充填剤は、バンドキャストタバコ中の他の物質に対する収着剤及び/又は担体としての役割を果たすことがある。いくつかの実施形態において、充填剤は、加熱したとき他の物質を放出する前に、それを吸着するための構造体としての役割を果たすことがある。いくつかの実施形態において、充填剤は、エアロゾル発生剤(本明細書で定義された)に対する収着剤及び/又は担体としての役割を果たすことがある。
【0073】
結合剤は、アルギナート、セルロース又は変性セルロース、デンプン又は変性デンプン、ゼラチン及び天然又は合成ガムのうちの1種又は複数を含んでもよい。
【0074】
適した結合剤には、限定するものではないが、任意の適したカチオンを含むアルギン酸塩;セルロース又はヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース等の変性セルロース;デンプン又は変性デンプン;任意の適したカチオンを含むペクチン塩、例えば、ペクチン酸-ナトリウム、ペクチン酸-カリウム、ペクチン酸-カルシウム又はペクチン酸-マグネシウム等の多糖;キサンタンガム、グアーガム及び任意の他の適した天然のガム;並びにこれらの混合物が含まれる。いくつかの実施形態において、結合剤は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸カリウム又はアルギン酸アンモニウムから選択されるアルギン酸塩のうちの1種又は複数を含み、それから実質的に構成されており又はそれから構成されている。
【0075】
バンドキャストタバコは、加香物質(本明細書で定義された)及びケーシング(本明細書で定義された)等の追加の原料をさらに含んでいてもよい。
【0076】
バンドキャストタバコは、熱伝導性粒子をさらに含んでいてもよい。熱伝導性粒子は、バンドキャストタバコ全体に使用すると熱伝達の速度を改良し得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、バンドキャストタバコは、タバコ抽出物に加えて、粉砕タバコ、タバコ繊維、刻みタバコ、押出タバコ、タバコの茎及び/又は再生タバコ等のさらなるタバコ材料を追加で含んでもよい。
【0078】
バンドキャストタバコは、エアロゾル発生材料及び水の成分を含むスラリーから製造されてもよい。いくつかの実施形態において、スラリーを押し出し又はキャスティングし、次いで乾燥して、エアロゾル発生材料を形成する。代替の実施形態において、スラリーを噴霧し、次いで乾燥して、エアロゾル発生材料を形成する。いくつかの実施形態において、エアロゾル発生材料を製造する方法が、スラリーを製造する最初のステップをさらに含む。
【0079】
スラリーを形成するために、バンドキャストタバコの成分を、任意の適切な順序で添加してもよい。いくつかの実施形態において、スラリーを、その成分の添加の間に及び/又はその後に混合してもよく、これらの実施形態において、任意の適切な時間の長さの間混合してもよい。スラリーが混合される時間の長さは、その組成及び容量により決まり、それに応じて変化させてもよい。いくつかの実施形態において、スラリーは、スラリーの組成物を実質的に均質にし、スラリーがキャスティングのための所要の流動及び粘度特性を有することを保証するために必要に応じて混合してもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、スラリーを製造する方法は、(1)エアロゾル発生剤及び結合剤を混合するステップと、(2)水を加え、混合するステップと、(3)充填剤を添加し、混合するステップと、(4)タバコ抽出物を添加し、混合して、滑らかなスラリーを形成するステップとを含んでもよい。タバコ抽出物の添加後の混合は、通常高せん断混合である。結合剤が固体である実施形態において、ステップ(1)は、エアロゾル発生剤中の結合剤の分散液/懸濁液を生じさせる。
【0081】
いくつかの実施形態において、スラリーを製造する方法は、(1)結合剤を水に加え、混合するステップと、(2)エアロゾル発生剤を添加し、混合するステップと、(3)充填剤を添加し、混合するステップと、(4)タバコ顆粒、粉砕タバコ又はタバコ抽出物を添加し、十分に混合して、滑らかなスラリーを形成するステップとを含んでもよい。
【0082】
スラリーをキャスティングプレート又はバンドキャスティング機のバンド上でシートにキャスティングしてもよい。次いで、スラリーを任意の適切な乾燥方法を用いて乾燥してもよい。いくつかの実施形態において、スラリーを室温で(即ち約20~25℃)で乾燥してもよい。いくつかの実施形態において、乾燥に効果を及ぼすためにスラリーを加温してもよい。いくつかの実施形態において、スラリーを温熱空気(即ちオーブン)中で乾燥してもよい。いくつかの実施形態において、ぬれたスラリーが置かれるプレート又はバンドを、乾燥に効果を及ぼすために加温してもよい。スラリーが加温される実施形態において、スラリーを任意の適切な温度で、任意の適切な時間の長さ乾燥してもよい。
【0083】
キャストシートをキャスティングプレート又はバンドキャスティング機のバンドから、任意の適切な方法によって取り外してもよい。場合によっては、シートとプレート/バンドは単に力の適用により分離される。場合によっては、ナイフ又はブレード(「ドクターナイフ」)等の、構造物とプレートの間の空間に達するための用品を用いてシートを取り外してもよい。代替的に又はさらに、構造物とプレートの間の接点の温度を上昇させて、構造物を取り外してもよい。いくつかのこのような実施形態において、構造物とプレートの間の接点の温度を上昇させることに加えて、バンドキャストタバコによる水の吸収を引き起こし、これがバンドキャストタバコの取り外しを助ける水蒸気を用いて、構造物をプレートから取り外してもよい。
【0084】
タバコ抽出物を含むバンドキャストタバコの一例は、以下のものである。
【0085】
タバコ抽出物
7バッチの全葉のバーリー種タバコ(1バッチ当たり4.5kg)を水(逆浸透品質)80kgで、60℃において25~30分間緩やかにかき混ぜて抽出した。得られた混合物をろ過し、遠心分離し、組み合わせた得られた抽出物(480 l)を蒸発濃縮プロセスを利用して、41.1%の固体含量(この文脈において、「固体含量」は、水抽出物の非水性部分を表す)まで濃縮した。抽出物は、3.37%のニコチン含量(湿重量基準)及び1.21g/cmの密度を有していた。
【0086】
バンドキャストタバコ
水(756g-逆浸透精製された)を高せん断ミキサーに入れた。混合しながら、均一な混合及び滑らかな、粘性な流体のための十分な水和を確保して、アルギン酸ナトリウム粉末(15.01g)を徐々に添加した。グリセリン(24.99g)を、連続的に混合しながら高せん断ミキサーに添加した。次いで、チョーク(156.99g)を連続的高せん断混合をしながら、緩徐な粉末のストリームで添加した。最後に、タバコ抽出物(61.26g、上記のように製造された)を、滑らかな、自由流動するスラリーが形成されるまで連続的高せん断混合をしながら添加した。
【0087】
滑らかな、自由流動するスラリーが形成された後、該材料はいつでもシートにキャスティングする準備ができていた。
【0088】
次いで、スラリーをステンレススチ-ルのキャスティングプレート上に、キャスティングナイフを用いて2mmの厚さでキャスティングした。キャスティングは一定の厚さのスラリーを提供し、次いでスラリーを乾燥した。乾燥は空気乾燥によって周囲の条件でおよそ24時間の間、又は約45~55℃におけるオーブン中で0.5~5時間(揮発性物質の損失を減少するために使用される最小限の時間)の間実施することができる。次いで、乾燥されたシートをプレートから取り外し、22℃で60%の相対湿度(RH)に48時間曝露して調整した。場合によっては、乾燥したシートを「ドクター」ナイフを用いてキャスティングプレートから切り離した。
【0089】
得られたキャストタバコ材料は、6.7mg/g(WWB)、7.15mg/g(DWB)のニコチン含量、90.3mg/g(WWB)、96.4mg/g(DWB)のグリセリン含量、及び6.3%の含水量を有していた。
【0090】
バンドキャストタバコを含有するタバコは、典型的には、タバコ粉末、結合剤、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース及びカルボキシメチルセルロース(CMC)等の変性セルロース、木材パルプ等の有機充填剤、及びチョーク等の無機充填剤を含む。バンドキャストタバコを含有するタバコは以下の通り製造することができる。
【0091】
木材繊維等の有機充填剤は、繊維長さ、カール性、キンク角度等、所望の仕様に予め改良される。
【0092】
タバコ(葉身及び茎)は、200μm未満、例えば100μm未満の粒径を有する粉末に粉砕される。これを水和された結合剤、木材繊維等の有機充填剤、及びグリセリンに添加する。任意選択で、チョーク等の無機充填剤を添加する。
【0093】
次いで、得られたスラリーは、例えばエンドレススチ-ルキャスティングベルト上にキャスティングされ、シート材料として乾燥され、これはさらに細断され又は細紐に切断され得る。
【0094】
本発明に使用することができるバンドキャストタバコを含有するタバコの例は、表3の通りである。
【0095】
【表3】
【0096】
この節において、タバコ抽出物又はタバコ粉末を含めないが、上記のものと類似の材料をタバコ組成物の充填剤成分に使用してもよい。
【0097】
含水量の定量
本明細書に記載の組成物において、重量%は、特に逆の指示がなければ、乾燥重量基準を表す。したがって、タバコ組成物、又はその任意の成分中のいずれの水も、重量%の定量の目的に関しては完全に無視される。しかし、エアロゾル発生剤等の他の液体成分は重量%に含まれる。本明細書に記載のタバコ組成物の含水量は、例えば5~15重量%で変化してもよい。含水量は、カール-フィッシャー分析によって、又はガスクロマトグラフィー(GC)よって測定することができる。
【0098】
カール-フィッシャー分析による含水量
カール-フィッシャー水分析をメトラートレドカールフィッシャ-V30ボリュメトリックタイトレーター(Mettler Toledo Karl Fisher V30 Volumetric Titrator)で実施した。試料の試験に先立って、抽出溶媒(メタノール)のバックグラウンド含水量を測定し、値を分析方法に記録した。
【0099】
分析する材料およそ0.5gを100mLコニカルフラスコに正確に秤量し(少数点以下4桁)、重量を記録した。乾燥メタノール50mLをコニカルフラスコ中に供給し、次いでフラスコをシールし、フラットベッド振とう器(155rpm)で30分間撹拌した。およそ2mLの抽出した試料を注射器中に取り、滴定器具に注入した(注射器を秤量し直すことによって重量を決定した)。結果を試料の重量%の含水量として報告した。試料を3回測定して、平均値を標準偏差と共に報告した。
【0100】
ガスクロマトグラフィーによる含水量
GC法-簡単な説明:
2.0000g±0.1gの試料を150mLコニカルフラスコ中に秤量する。
これに50mLの抽出溶液(1.5mg/mL n-ヘプタデカン及び1.5mg/mL IPA内部標準を有するHPLCグレードメタノール)を添加する。
次いでフラスコに栓をし、振とう器(環状又は往復)上に160rpmで4時間置く。
次いで、フラスコを振とう器から取り出し、1時間静置させた後、抽出アリコートをGCバイアルに移す。
GCバイアル中の抽出物を予め調製した検量線用溶液(以下の表5を参照されたい)に対して、二重カラムGC(パラメーターに関しては以下の表4を参照されたい)で分析する。
【0101】
【表4】

【0102】
【表5】
【0103】
吸入性エアロゾルを発生させる用具
本明細書に記載のタバコ組成物を、吸入性エアロゾルを発生させる用具に使用することができる。該用具は、本明細書に記載のタバコ組成物及び使用中の成分を揮発させてエアロゾルを形成する加熱手段を含む。様々なこのような用具が当技術分野で周知であり、例が国際出願PCT/EP2014/072828に開示されており、その全体が参照によりに明示的に本明細書に援用される。
【0104】
いくつかの実施形態において、加熱手段は電気的加熱手段である。いくつかの実施形態において、電気的加熱手段は、電気抵抗式加熱要素である。いくつかの実施形態において、エアロゾル発生材料の加熱は、材料のかなりの燃焼をまったく生じさせない。いくつかの実施形態において、加熱は、エアロゾル発生材料の燃焼を生じさせず又は本質的に燃焼を生じさせない。いくつかの実施形態において、該用具は、非燃焼・加熱式用具であり、加熱式タバコ用具又は加熱式タバコ製品としても知られている。このような用具は、従来の燃焼型シガレットの代替物として開発された非燃焼タイプ喫煙物品である。これらの用具は、タバコ材料を加熱することによってタバコの成分を揮発させ、タバコ又は揮発性物質の熱分解又は燃焼を回避する。揮発した成分は、凝縮して吸入性エアロゾルを形成する。該エアロゾルは、水、エアロゾル発生剤(本明細書で定義された)、ニコチン及び任意選択で香味及び芳香等の他のタバコ成分を含むことが多い。したがって、いくつかの実施形態において、該用具は、タバコを加熱して、タバコの熱分解又は燃焼なしに成分を揮発させるものである。
【0105】
電気を用いて喫煙物品中のタバコ組成物を加熱することは多数の利点を有する。特に、加熱することは燃焼を用いることと比較して多数の利点を有する。燃焼は、酸化的分解、熱分解、熱合成、及び蒸留を含んでもよい相互作用的な物理化学的過程の組合せによってエアロゾルを発生させる複雑な過程である。この複雑な過程が、一般に複雑なエアロゾルの発生をもたらす。例えば、タバコを含む燃焼型喫煙物品から生じる煙は、5000種を超える同定された成分の複雑な、活性混合物である。燃焼の発熱過程は、自続的であってもよく、燃焼性マトリックスを分解するのに十分な発熱速度、及び熱出力量を生じてもよい。場合によっては、マトリックスは、無機の非燃焼性物質を含んでいてもよい灰分残留物まで完全に分解されてもよい。燃焼の発熱反応のために燃えているシガレット中では、非常に高温に達することがある。シガレットをふかす間で(ふかす間の無炎燃焼期間において)シガレットのタバコ棒の燃焼ゾーンの中心は、800℃もの高い温度に達することがある。シガレットをふかしている間には、シガレットのタバコ棒の燃焼ゾーンの周辺部は、910℃もの高さの温度に達することがある。
【0106】
電気抵抗加熱システム(加熱式タバコ製品又は加熱式タバコ用具としても知られているいくつかの非燃焼・加熱式用具等)の使用は、熱の発生に燃焼を用いるのに比較して、熱の発生速度を制御するのがより容易で、低いレベルの熱を発生させるのがより容易であるので、好都合である。いくつかの実施形態において、用具はアクチュエータを含み、アクチュエータは使用者が電気的加熱を開始することを可能にする。
【0107】
したがって、電気的加熱システムの使用は、タバコ組成物からのエアロゾルの発生のより優れた制御を可能にする。さらに、電気的加熱システムの使用は、エアロゾルを燃焼分解を介してよりも、燃焼が行われないで発生させることを可能にする。
【0108】
いくつかの実施形態において、本発明の用具は、エアロゾルの多様な放出量又は供与量を供給することができる。これは、タバコ組成物は加熱されて、複数回ふかすことを可能にするのに十分なエアロゾルを発生させることができることを意味する。これは、タバコ組成物を、複数回の放出量に適したエアロゾルの体積を生成するのに十分な時間の間加熱することによって達成することができる。いくつかの実施形態において、これは、タバコ組成物を常に加熱することを伴ってもよい。或いは、これは、任意選択で各期間にエアロゾルを単回送達又は投与しながら、タバコ組成物を継続的でより短い各期間加熱することを伴ってもよい。
【0109】
いくつかの実施形態において、該用具は、タバコ組成物を約50~350℃、100~350℃、150~350℃、150~330℃、又は180~300℃の間の温度まで加熱するように構成されていてもよい。
【0110】
いくつかの実施形態において、タバコ組成物、又はタバコ組成物を含む喫煙材は、カートリッジであって、用具中にはめ込み得るカートリッジで供給してもよい。これらのいくつかの実施形態において、このカートリッジは交換可能であってもよい。いくつかの実施形態において、カートリッジは、エアロゾル発生用具の他の部品と、任意の適切な方法で組み合わされてもよい。いくつかの実施形態において、カートリッジは、摩擦嵌合い及び/又はねじ嵌合い及び/又はプレス嵌合いによって、用具の他の部品に取り付けられてもよい。したがって、タバコ組成物は、喫煙材を加熱する器具との組合せで使用されるように、消耗品である喫煙物品中で供給されてもよい。
【0111】
喫煙物品
本明細書で使用される場合、「喫煙材」という用語は、加熱すると揮発した成分を、典型的にはエアロゾルの形態で出す材料を含む。「喫煙材」は、任意のタバコ含有材料を含み、例えば、本明細書に記載のタバコ組成物に限定されずに、タバコ、タバコ派生物、膨化タバコ、刻みタバコ、再生タバコ又はタバコ代替物のうちの1種又は複数を含んでもよい。「喫煙材」はまた、他の非タバコ生成物を含んでいてもよく、該生成物に応じて、ニコチンを含んでいても、又は含んでいなくてもよい。
【0112】
喫煙材を燃やす又は燃焼させることなしに、喫煙材を加熱して、喫煙材の少なくとも1種の成分を揮発させる、典型的には、吸入できるエアロゾルを形成する器具が知られている。このような器具は時には、「非燃焼・加熱式」器具又は「加熱式タバコ製品」又は「加熱式タバコ用具」又は類似のものと言われている。該器具は、典型的には一般に細長く、開放端を有し、時には吸い口と称されることもある。喫煙材は、該器具に挿入することができるカートリッジ又はカセット又は棒の形態であってもよく、又はこれらの一部として提供される。吸い口にフィルターが配置されて、使用者が材料を吸い込んでいるとき、揮発した材料をろ過し、及び/又は冷却してもよい。喫煙材を加熱し、揮発させるためのヒーターは、該器具の「恒久的」な部品として提供されても、又は喫煙物品の一部又は使用後廃棄され、交換される消耗品として提供されてもよい。この文脈では、「喫煙物品」は、喫煙材を含む用具又は物品又は他のコンポーネントであり、喫煙物品は使用時に喫煙材、及び任意選択で他の成分を揮発させるために加熱される。使用時に、特に本発明の主要な適用では、喫煙材は燃えない又は燃焼しない。本明細書に記載のタバコ組成物は、このような喫煙物品中で特に有用であり、喫煙材は、タバコ組成物を含むことができる。
【0113】
次に図4を参照すると、喫煙材を加熱する器具と共に使用する消耗品100の一例を概略的に示す。消耗品100は、マウスピース101及び喫煙材102の円筒形の棒を有する。
【0114】
マウスピース101は、例えば渦巻き状の紙管形態の例えば紙、酢酸セルロース、ボール紙、耐熱性縮れ紙若しくは縮れパーチメント紙等の縮れ紙、及び低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリマー材料、又はいくつかの他の適切な材料から形成されてもよい。マウスピース101は管からなってもよい。管は中空管であってもよい。このような中空管は、フィルター機能を設けて揮発した喫煙材をろ過してもよい。示されたように、マウスピース101は、喫煙材を加熱する器具本体の非常に熱い部分(複数可)から空間を持つように細長くてもよい。
【0115】
図示されていないある実施形態において、マウスピースはフィルター要素を含んでいてもよい。フィルター要素は、フィルター栓であってもよく、例えば酢酸セルロース製あってもよい。ろ過要素は、存在する場合、マウスピースの下流端に配置されてもよい。
【0116】
次に図5を参照すると、マウスピースアセンブリ201は、冷却要素204を備えていてもよい。要素204は、第1及び第2の端末を有し、第1及び第2の端末の間にわたる複数の通し穴を含む一体型の棒でもよい。図5に示すように、冷却要素204の他の端に、第2の中空管206があってもよく、第2の中空管は、冷却要素204を、喫煙材を加熱する器具本体の非常に熱い部分(複数可)から隔て、それによって冷却要素204を高温から防護すると共に、凝縮を防止する助けとなるので、エアロゾル発生を改良するのに役立つ。第2の管206は、この場合も例えば渦巻き状の紙管形態の例えば紙、酢酸セルロース、ボール紙、耐熱性縮れ紙若しくは縮れパーチメント紙等の縮れ紙、及び低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリマー材料、又はいくつかの他の適切な材料から形成されてもよい。吸い口管205及び第2の管206は、冷却要素204のための支持体を供給する。吸い口管205はフィルター機能を有してもよく、時には管フィルターと呼ばれることもある。
【0117】
この例における冷却要素204は、一般にマウスピースアセンブリ201の中央に配置されるが、他の例において、マウスピースアセンブリ201の多かれ少なかれ一端又は他の端の方に位置してもよい。図5の例において、吸い口管205、冷却要素204及び第2の管206は、被覆紙203によって一緒に保持され、被覆紙は、吸い口管205、冷却要素204及び第2の管206の周りをきつく巻かれて、これらを一緒に結合する。この意味でのマウスピースアセンブリ201は「予め組み立てられる」。
【0118】
1つの特定の例において、第1の、吸い口管205は、長さ11mmであってもよく、冷却要素204は、長さ19mmあってもよく、第2の管206は長さ11mmであってもよく、マウスピースアセンブリ201全体の外径は5.4mmであってもよい。被覆紙203を除いた、冷却要素204、吸い口管205及び第2の管206の外径は、例えば5.13mm~5.25mmの範囲であってもよく、5.25mmが1つの好ましい選択肢である。例えば、個々の用途、流入するエアロゾル又は蒸気の典型的な温度、エアロゾル又は蒸気及び喫煙材の性質(材質)等に応じて、他の寸法を使用してもよい。
【0119】
また、図5に示すように、マウスピースアセンブリ201は次に、さらなる被覆紙207によって喫煙材202に連結してもよく、被覆紙は、マウスピースアセンブリ201及び喫煙材202の少なくとも隣接する端末の周りを包んでいる。他の例において、マウスピースアセンブリ201は予め組み立てられず、代わりに消耗品200は、冷却要素204、吸い口管205、第2の管206及び喫煙材202の周りを、被覆紙207で包むことによって、マウスピース部分のコンポーネントに対して別の被覆紙を提供することなしに、1つの操作で効果的に形成される。
【0120】
図5に示すように、マウスピースアセンブリ201は冷却要素を含んでもよい。冷却要素は通し穴を有し、これは棒の中心の縦軸に実質的に平行に伸びていてもよい。
【0121】
通し穴は、横断面において見た場合、一般に該要素の半径方向に配列されていてもよい。即ち、一例において、該要素は、通し穴を規定し、2種の主要な構造、即ち放射壁及び中央壁を有する内部壁を有する。放射壁は該要素の横断面の半径に沿って伸び、中央壁は該要素の横断面の中心上に集中する。中央壁は一例を挙げれば、円形であるが、他の規則的又は不規則な横断面の形状を使用してもよい。同様に、該要素の横断面は一例を挙げれば円形であるが、他の規則的又は不規則な横断面の形状を使用してもよい。
【0122】
ある実施形態において、大多数の通し穴は、六角形又はほぼ六角形の横断面の形状を有する。この実施形態において、該要素は、一端から見た場合「ハニカム」構造と称され得るものを有する。
【0123】
該要素は、実質的に非圧縮性であってもよい。該要素は、セラミック材料、又はポリマー、例えば熱可塑性ポリマー(これは、押出可能なプラスチック材料であってもよい)から形成されてもよい。
【0124】
ある実施形態において、該要素の多孔度は60%~75%の範囲である。この意味における多孔度は、通し穴によって占められる要素の断面積の百分率の測度であってもよい。ある実施形態において、該要素の多孔度は、約69%~70%である。
【0125】
エアロゾル冷却要素他の実施形態は、その全体を参照により本明細書に明示的に援用する、国際出願PCT/GB2015/051253の、特に図1~8及び8頁、11行~18頁、16行の説明に開示されている。
【0126】
更なる実施形態において、エアロゾル冷却要素は、通し穴を形成するように、折り畳んだ、縮れた又はプリーツを付けたシート材料から形成されてもよい。シート材料は、例えば、アルミニウム等の金属;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、若しくはポリ塩化ビニル等のポリマープラスチック材料;又は紙から製造してもよい。
【0127】
本明細書に記載の様々な実施形態は、特許請求にかかる特徴を理解及び教示するのに役立つように示したものに過ぎない。これらの実施形態は、実施形態の代表的な例として提示したのに過ぎず、網羅的及び/又は限定的なものではない。本明細書に記載の利点、実施形態、例、機能、特徴、構造、及び/又は他の態様は、特許請求の範囲によって定義された本発明の範囲に関する限定、又は特許請求の範囲に対する等価物に関する制約と考えるべきではないこと、及び本発明の特許請求の範囲から逸脱することなく、他の実施形態を使用してもよく、修正を加えてもよいことが理解される。本発明の様々な実施形態は、本開示の要素、成分、特徴、部、ステップ、手段等の、明細書に特に記載されたもの以外の適当な組合せを適切に含み、それから構成されており、又はそれから本質的に構成されていてもよい。さらに、本開示は、現在のところ特許請求されていないが、将来特許請求され得る他の発明を包含していてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5