(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】厚肉プレートを備える積層ノズル
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20231205BHJP
B05B 7/28 20060101ALI20231205BHJP
B05D 1/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05B7/28
B05D1/02 F
(21)【出願番号】P 2017528513
(86)(22)【出願日】2015-11-06
(86)【国際出願番号】 US2015059438
(87)【国際公開番号】W WO2016085635
(87)【国際公開日】2016-06-02
【審査請求日】2018-11-06
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-04
(32)【優先日】2014-11-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591203428
【氏名又は名称】イリノイ トゥール ワークス インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】メル スティーブン レスリー
(72)【発明者】
【氏名】エドワード ダブリュ.ボルヤード,ジュニア
【合議体】
【審判長】塩見 篤史
【審判官】門前 浩一
【審判官】亀ヶ谷 明久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-147939(JP,A)
【文献】特開2009-517214(JP,A)
【文献】国際公開第2014/143578(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3203385(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00-3/18
B05B 7/00-9/08
B05C 5/00-5/04
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層ノズル組立体において、
第1の流体入口と第2の流体入口とを有した第1の端部プレートと、
第2の端部プレートと、
前記第1
の端部プレートと前記第2の端部プレートの間に配置、挟持される複数のノズルプレートと、
前記複数のノズルプレートのうち1または複数のノズルプレートに形成され、前記第1の流体入口に連通する第1の流体通路と、
前記複数のノズルプレートのうち1または複数のノズルプレートに形成され、前記第2の流体入口に連通する第2の流体通路と、
前記第1と第2の端部プレートの間で前記複数のノズルプレートのうちの1枚のノズルプレートに形成された第1のオリフィスであって、該第1のオリフィスは前記第1の流体通路に連通し、該第1のオリフィスの一端が、該積層ノズル組立体から第1の流体を吐出する出口となっている第1のオリフィスと、
前記第1と第2の端部プレートの間で前記第1のオリフィスと同一の前記1枚のノズルプレートに
おいて、前記第1のオリフィスの各側部に1つずつ形成された
一対の第2のオリフィスであって、該
一対の第2のオリフィスは前記第2の流体通路に連通し、該
一対の第2のオリフィスの
各々の一端が、該積層ノズル組立体から第2の流体を吐出する出口となっている
一対の第2のオリフィスとを具備し、
前記1枚のノズルプレートは、前記第1の端部プレートに対面する第1の側面と、前記第2の端部プレートに対面する第2の側面とを有しており、
前記第1の流体通路は、前記第1の流体入口から、前記第1の端部プレートと前記1枚のノズルプレートとの間に配置されている1または複数のノズルプレートに形成されており、前記第2の流体通路は、前記第2の流体入口から、前記第1の端部プレートと前記1枚のノズルプレートの間に配置されている1または複数のノズルプレート、前記1枚のノズルプレート、および、前記1枚のノズルプレートと前記第2の端部プレートとの間に配置されている1または複数のノズルプレートに形成されており、
前記第1のオリフィスは、前記出口とは反対側の端部において、前記1枚のノズルプレートの前記第1の側面で前記第1の流体通路から第1の流体を受け取り、前記
一対の第2のオリフィスは、前記出口とは反対側の端部において、前記1枚のノズルプレートの前記第2の側面で前記第2の流体通路から前記第2の流体を受け取るようになっており、
前記第1の流体はホットメルト接着剤で、前記第2の流体は空気であり、
前記ホットメルト接着剤を前記第1の流体通路から受け取る端部と、前記出口との間の前記第1のオリフィスの長さが、前記空気を前記第2の流体通路から受け取る端部と前記出口との間の前記
一対の第2のオリフィスの長さよりも短くなって
おり、
前記一対の第2のオリフィスの各々は、前記空気を前記第2の流体通路から受け取る端部から互いに離反するように延設され、次いで、前記第1のオリフィスの出口へ向けて互いに接近するように延設されている積層ノズル組立体。
【請求項2】
前記複数のノズルプレートは、8枚より少ない枚数のノズルプレートを含む請求項1に記載の積層ノズル組立体。
【請求項3】
前記複数のノズルプレートは、5以下の枚数のノズルプレートを含む請求項1に記載の積層ノズル組立体。
【請求項4】
3枚のノズルプレートを含む請求項3に記載の積層ノズル組立体。
【請求項5】
複数の第1のオリフィスおよび
複数対の第2のオリフィスを備える請求項1に記載の積層ノズル組立体。
【請求項6】
前記複数のノズルプレートのうち少なくともいくつかは、0.005mm~0.500mmの厚さを有する請求項1に記載の積層ノズル組立体。
【請求項7】
前記積層ノズル組立体は、第1の流体プレナムおよび第2の流体プレナムの一方または双方を備え、該第1の流体プレナムおよび/または該第2の流体プレナムは、それぞれ前記第1の端部プレートおよび/または前記第2の端部プレート内にある請求項1に記載の積層ノズル組立体。
【請求項8】
3枚のノズルプレートを備える請求項
7に記載の積層ノズル組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は、2014年11月26日出願の米国仮特許出願第62/084897号の利益および優先権を主張する。この米国仮特許出願の開示内容は、その全体が本明細書の一部をなす。
【0002】
以下の記載は、1または複数の厚肉プレート(thick plates)を備える積層ノズル組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
積層ノズル組立体は、基材上にホットメルト接着剤を吐出するために用いることができる。基材は、例えば、使い捨て衛生製品等の物品上に施される不織布等の材料層または弾性ストランド等の材料ストランドとすることができる。積層ノズル組立体は、ホットメルト接着剤を吐出するための1または複数の第1のオリフィスと、空気を吐出する1または複数の第2のオリフィスとを有することができる。基材への塗布中に吐出されるホットメルト接着剤は、吐出される空気によって振動または揺動する。
【0004】
図1は、従来の積層ノズル組立体10の部分分解図を示している。
図1を参照すると、従来の積層ノズル組立体10は、ホットメルト接着剤および空気が流通する内部通路を形成した複数のプレートを備える。
図2は、従来の積層ノズル組立体10を形成する個々のプレートの平面図である。
図1、2を参照すると、従来の積層ノズル組立体は、第1の端部プレート34と第2の端部プレート36との間に固定される11枚のプレート12、14、16、18、20、22、24、26、28、30、32を備えることができる。第1の内部通路38は、ホットメルト接着剤を第1のオリフィス40に送達するために、上記プレートのうちの複数を貫いて形成することができる。第1の通路38は、プレート内の複数の位置合わせした開口によって形成される。また、第2の内部通路42は、空気を第2のオリフィス44に送達するために、上記プレートのうちの複数を貫いて形成することができる。第2の通路42は、プレート内の複数の位置合わせした開口によって形成される。
【0005】
その一方、従来の積層ノズル組立体10では、流体は、通路38、42の様々な部分に蓄積する可能性があり、ホットメルト接着剤の場合、第1の通路の詰まりを引き起こす可能性がある。流体の蓄積は、狭いまたは小さい流路、流体の速度を減少させる間接的な流路、または通路の側壁(すなわち、プレートの通路を形成する開口を囲む部分)との過剰な接触によって生じ得る。
【0006】
更に、吐出される材料(例えば接着剤)の化学的性質および製造が十分に制御されていない場合、材料中に汚染物質が存在する可能性があり、他の点では正常な動作温度である温度において炭化が生じ得る。汚染物質、炭化物(char products)および残渣の存在により、通路の詰まりが更に悪化する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、通路サイズの増大、流体速度の上昇および吐出オリフィスへのより直接的な流路を可能にする1または複数の内部通路を有する積層ノズル組立体を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様によれば、積層ノズル組立体が提供される。積層ノズルは、第1の流体入口および第2の流体入口を有する第1の端部プレートと、第2の端部プレートと、第1の端部プレートと第2の端部プレートとの間に配置、挟持される、複数ではあるが限られた数のノズルプレートと、ノズルプレートのうちの1または複数に形成されている、第1の流体入口に連通する第1の流体通路と、ノズルプレートのうちの1または複数に形成されている、第2の流体入口に連通する第2の流体通路と、ノズルプレートのうちの1つに形成されている、第1の流体通路に連通する第1のオリフィスと、第1のオリフィスと同じノズルプレートに形成されている、第2の流体通路に連通する第2のオリフィスとを備える。
【0009】
一実施形態では、第1のオリフィスと第2のオリフィスとは、互いに同一平面に配置されている。一実施形態では、積層ノズル組立体は、8枚よりも少ないノズルプレートを備える。一実施形態では、積層ノズル組立体は、5枚のノズルプレートを備える。ノズルプレートは、複数の第1のオリフィスおよび第2のオリフィスを有することができる。一実施形態では、ノズルプレートのうちの少なくともいくつかは、例えば、約0.005mm~約1.00mmの厚さを有し、より詳細には、約0.125mm~0.50mmの範囲の厚さを有する。
【0010】
一実施形態では、積層ノズル組立体は、ノズルプレートの数を最小限に抑え、8つ以下、好ましくは5つ以下のノズルプレートを備える。
【0011】
本発明のこれらの特徴および利点並びに他の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲と併せて以下の詳細な説明から容易に明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】従来の積層ノズル組立体の部分分解図である。
【
図2】
図1の従来の積層ノズル組立体を形成する個々のプレートの平面図である。
【
図3】本明細書に記載の1つの実施形態に係る積層ノズル組立体の部分分解図である。
【
図4】
図3の積層ノズル組立体を形成する個々のプレートの平面図である。
【
図5a】
図1の従来の積層ノズル組立体の底面図である。
【
図5b】本明細書に記載の一実施形態に係る
図3の積層ノズル組立体の底面図である。
【
図6a】従来の積層ノズル組立体における流体流の数値流体力学(CFD)モデルのカラー斜視図である。
【
図6b】本明細書に記載の一実施形態に係る積層ノズル組立体における流体流の数値流体力学(CFD)モデルのカラー斜視図である。
【
図7a】従来の積層ノズル組立体における流体流の数値流体力学(CFD)モデルのカラー断面図である。
【
図7b】本明細書に記載の一実施形態に係る積層ノズル組立体における流体流の数値流体力学(CFD)モデルのカラー断面図である。
【
図8a】従来の積層ノズル組立体における流体流の数値流体力学(CFD)モデルのカラー側面断面図である。
【
図8b】本明細書に記載の一実施形態に係る積層ノズル組立体における流体流の数値流体力学(CFD)モデルのカラー側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本装置は様々な形態で実施可能であるが、目下好ましい実施形態を図面に示し、以下に記載する。本開示は本装置の例示とみなされ、図示の特定の実施形態に限定されることは意図されていないことは理解されよう。
【0014】
図3は、本明細書に記載の1つの実施形態に係る積層ノズル組立体110の部分分解図である。
図4は、
図3の積層ノズル組立体を形成する個々のプレートの平面図である。積層ノズル組立体110は、第1の端部プレートと第2の端部プレートとの間に配置される、例えば6つまたはそれよりも少数のノズルプレートで形成することができる。
図3、4を参照すると、1つの実施形態では、積層ノズル組立体110は、第1の端部プレート112と、第2の端部プレート114と、第1の端部プレート112と第2の端部プレート114との間に配置される5枚のノズルプレート116、118、120、122、124とを備えることができる。
【0015】
図4を参照すると、第1の端部プレート112に第1の流体入口126を形成することができる。第1の端部プレート112、および/または、ノズルプレート116、118、120、122、124のうちの1枚以上のノズルプレートに第1の流体通路128を形成することができる。1つの実施形態では、第1の流体通路128は、ノズルプレート116、118に形成される。第1の流体通路128は、ノズルプレート116、118の位置合した開口または部分的に位置合わせした開口によって形成することができる。1枚のプレートの第1の流体通路128の1または複数の開口は、すぐ隣のプレートの第1の流体通路128の1または複数の開口に連通する。第1の流体通路128は、第1の流体入口128に連通し、該第1の流体入口128から第1の流体を受け取る。第1の流体は、例えば、0cP~100000cPの範囲のホットメルト接着剤、コールドメルト接着剤その他の流体とすることができる。第1の流体通路128を形成する位置合した或いは部分的に位置合わせした開口は、各々のプレートの1または複数の開口が、すぐ隣に当接するプレートの1または複数の開口に連通する限り、互いに異なる形状または大きさであってもよいことは理解されよう。
【0016】
第1の端部プレート112は、第2の流体入口130を更に有することができる。第2の流体入口130は、1または複数のノズルプレート116、118、120、124、126に形成されている第2の流体通路132に連通する。代替的には、第2の流体通路132の少なくとも一部は、第1の端部プレート112および/または第2の端部プレート114のうちの少なくとも一方に形成することができる。1つの実施形態では、
図4に示すように、第2の流体通路132は、プレート116、118、120、122、124の各々に形成した開口によって形成される。第2の流体通路132は、第2の流体入口130に連通し、該第2の流体入口130から第2の流体を受け取る。更に、第2の流体通路を形成する開口は、互いに位置合わせ或いは部分的に位置合わせされ、互いに連通する。1枚のプレートに形成されている1または複数の開口が、すぐ隣に当接するプレートに形成されている1または複数の開口に連通する限り、第2の流体通路を形成する開口の大きさや位置を変えることができることは理解されよう。第2の流体は、例えば、空気とすることができる。
【0017】
積層ノズル組立体110の1枚のプレートは、第1の流体および第2の流体を吐出するための複数のオリフィスを有することができる。1つの実施形態では、中央に配置されるプレート120は、1または複数の第1のオリフィス134と、1または複数の第2のオリフィス136とを有することができる。然しながら、第1のオリフィス134および第2のオリフィス136は、ノズル組立体110の中央に配置されていない別のプレート上に配置してもよいことは理解されよう。第1のオリフィス134は、第1の流体通路128に連通し、第1の流体通路128から第1の流体を受け取る。第2のオリフィス136は、第2の流体通路132に連通し、第2の流体通路132から第2の流体を受け取る。1つの実施形態では、第1のオリフィス134および第2のオリフィス136は、ノズル組立体110のプレートの当接面に対して平行な平面に配置されている。すなわち、
図3、4および
図5bから理解されようように、第1と第2のオリフィス134、136とは同一平面に配置されている。
【0018】
1つの実施形態では、2つの第2のオリフィス136は、各第1のオリフィス134と関連付けることができる。例えば、各第1のオリフィス134は、一対の第2のオリフィス136の間に配置することができる。従って、同じプレート120に形成されている隣接する第1のオリフィス134の間には、2つの第2のオリフィス(第2のオリフィス136の隣接対から1つずつの第2のオリフィス136)を配置することができる。然しながら、本開示はこの構成に限定されない。例えば、各第1のオリフィス134に対応する第2のオリフィス136は、第1のオリフィス134と第2のオリフィス136とがノズル組立体110に沿って交互に配置されるように設けることができる。そのような実施形態では、3つのオリフィス(2つの第2のオリフィス136および1つの第1のオリフィス134)は同一平面に配置されている。
【0019】
1つの実施形態によれば、使用時、第1の流体、例えばホットメルト接着剤は、第1の流体入口126において受け取られる。次に、第1の流体は、第1の流体通路128において受け取ることができる。次に、第1の流体は、第1の流体通路128から1または複数の第1のオリフィス134に流れ、ノズル組立体110から吐出することができる。第2の流体、例えば空気は、第2の流体入口130において受け取られ、第2の流体通路132に流れることができる。1つの実施形態では、第2の通路132内の流路は、プレート116、118、120、122、124を通る第1の方向、第1の方向に対して実質的に垂直の第2の方向、および第1の方向とは概ね反対の第3の方向(すなわち戻ってプレート120の方に流れる)に延びることができる。1または複数の第2のオリフィス136は、第2の通路から第2の流体を受け取り、ノズル組立体110から第2の流体を吐出することができる。
【0020】
上記の実施形態では、プレートの数は様々とすることができる。ノズル組立体110におけるプレートの数は、端部プレート112、114のいずれかに第1の流体プレナムおよび/または第2の流体プレナムを備えることによって減らすことができることは理解されよう。1つの例において、端部プレート112、114の間のプレートの数は、3つまたは4つに減らしてもよい。
【0021】
図5aは、従来の積層ノズル組立体10の底面図であり、
図5bは、本明細書に記載の積層ノズル組立体110の底面図である。
図5a、5bを参照すると、積層ノズル組立体110における個々のノズルプレートの厚さが増大されても、プレートの数を減らすことによって、ノズル組立体110の全体厚さ「t1」を従来のノズル組立体10(
図5a)の厚さ「t2」に比較して減少させることができることを見て取ることができる。例えば、従来のノズル組立体が約11.1mmの厚さ「t2」を有し得る一方で、本明細書に記載のノズル組立体110は、例えば9.5mmの厚さを有することができる。
【0022】
1つの実施形態では、本明細書に記載の積層ノズル組立体110は、最大約218℃の温度において約0.3バール~2.1バールの気圧で動作することができる。然しながら、本記載はこれらの範囲に限定されず、本明細書に記載の積層ノズル組立体110は、変化する動作温度および気圧に適応するように設計および製造することができることは理解されよう。1つの実施形態では、個々の積層ノズルプレートは、0.005mm~1.00mmの範囲の厚さを有することができ、例えば、より詳細には、約0.125mm~0.50mmの範囲の厚さを有することができる。ノズルプレートの厚さは変えることができ、他の実施形態では、0.005mm未満または1.00mm超としてもよいことは理解されよう。
【0023】
図6a、6bは、従来の積層ノズル組立体10における流体流の数値流体力学(CFD)モデルの斜視図(
図6a)および本明細書に記載の一実施形態に係る積層ノズル組立体110における流体流の数値流体力学(CFD)モデルの斜視図(
図6b)である。
図7a、7bは、従来の積層ノズル組立体10における流体流のCFDモデルの断面図(
図7a)および本明細書に記載の一実施形態に係る積層ノズル組立体110における流体流のCFDモデルの断面図(
図7b)である。
図8a、8bは、従来の積層ノズル組立体10における流体流のCFDモデルの側面断面図(
図8a)および本明細書に記載の一実施形態に係る積層ノズル組立体10(
図8b)の側面断面図である。
【0024】
上記の実施形態では、改善された流路を提供することができる。例えば、従来の積層ノズル組立体10に比較してより高い流体速度を、ノズル110を通して、特に流体プレナムプレート(例えば、中央プレート120)において実現することができる。また、オリフィス進入通路のサイズは、例えば、最大50%増大させることができるので、ノズル組立体110を通る第1の流体および第2の流体の流量が増大する。それにより、ノズルの詰まりを低減させることができるので、装置のダウンタイムが減少する。また、本明細書に記載のノズル組立体110は、清掃および保守がより容易であり得るので、所要労力が低減する。更に、ノズルの寿命を延ばすことができ、ポリオレフィン接着剤の化学作用の過程の改善可能性を実現することができる。また更に、より直接的な流路およびより均一な分布を実現することができる。上記の利益は、本明細書に記載のノズル組立体110における流路がより直接的であることにより、第1の流体および第2の流体の各々の流路における絞りおよび/または方向転換の数が少ないことの結果として実現することができる。本明細書に記載の積層ノズル組立体110は、限定はしないが材料層または材料ストランドを含む基材上に流体、例えばホットメルト接着剤を塗布する流体塗布装置において実施することができる。
【0025】
(従来の積層ノズル組立体に比較して)改善された流路により、本ノズル組立体は、材料中に存在し得る汚染物質および他の点では正常な動作温度である温度において起こり得る炭化による通路内の流路の詰まりが生じにくい点で、接着剤の化学的性質および製造が十分に制御されていない場合でも、より許容性があり得ることが当業者には理解されようであろう。
【0026】
「上側」、「下側」、「後方」、「前方」等のような相対的方向に関する用語は、単に説明のためのものであり、本開示の範囲を制限することは意図していないことが当業者には理解されようであろう。
【0027】
本明細書で参照した全ての特許は、本開示の本文内で詳細に引用されたか否かに関わらず、引用することにより本明細書の一部をなす。
【0028】
本開示では、数量を指定しない表現(the words "a" or "an")は、単数および複数の双方を含むものとみなされる。また、複数形の項目の言及は、適切な場合は単数形を含む。例えば、上記の実施形態では、1または複数の締結具16を用いることができる。同様に、ダイ押出機は、1または複数の締結ボアと、1または複数の挿入ボアを有することができる。
【0029】
本開示の新規の概念の真の趣旨および範囲から逸脱することなく、多数の変更形態および変形形態を実施することができることが、上記から認識される。図示の特定の実施形態に対する限定は意図しておらず、そのような限定が推定されるべきではないことは理解されよう。本開示は、特許請求の範囲の範囲内にある全ての変更形態を包含することが意図される。
なお、本発明は以下の特徴を以って実施することができる。
[特徴1]
積層ノズル組立体において、
第1の流体入口と第2の流体入口とを有した第1の端部プレートと、
第2の端部プレートと、
前記第1と前記第2の端部プレートの間に配置、挟持される複数のノズルプレートと、
前記複数のノズルプレートのうち1枚以上のノズルプレートに形成され、前記第1の流体入口に連通する第1の流体通路と、
前記複数のノズルプレートのうち1枚以上のノズルプレートに形成され、前記第2の流体入口に連通する第2の流体通路と、
前記複数のノズルプレートの1枚に形成され、前記第1の流体通路に連通する第1のオリフィスと、
前記第1のオリフィスと同一のノズルプレートに形成され、前記第2の流体通路に連通する第2のオリフィスとを具備し、
前記第1と前記第2のオリフィスとは同一平面に配置されている積層ノズル組立体。
[特徴2]
前記複数のノズルプレートは、8枚より少ない枚数のノズルプレートを含む特徴1に記載の積層ノズル組立体。
[特徴3]
前記複数のノズルプレートは、5以下の枚数のノズルプレートを含む特徴1に記載の積層ノズル組立体。
[特徴4]
複数の第1のオリフィスおよび第2のオリフィスを備える特徴1に記載の積層ノズル組立体。
[特徴5]
前記複数の第1のオリフィスおよび第2のオリフィスは同一平面に配置されている特徴4に記載の積層ノズル組立体。
[特徴6]
前記複数のノズルプレートのうち少なくともいくつかは、約0.005mm~約0.500mmの厚さを有する特徴1に記載の積層ノズル組立体。
[特徴7]
前記積層ノズル組立体は、第1の流体プレナムおよび第2の流体プレナムの一方または双方を備え、該第1の流体プレナムおよび/または該第2の流体プレナムは、それぞれ前記第1の端部プレートおよび/または前記第2の端部プレート内にある特徴1に記載の積層ノズル組立体。
[特徴8]
3枚のノズルプレートを備える特徴7に記載の積層ノズル組立体。
[特徴9]
3枚のノズルプレートを備える特徴3に記載の積層ノズル組立体。