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特許7396794圧力緩衝器、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】圧力緩衝器、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20231205BHJP
   B41J 2/19 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
B41J2/175 501
B41J2/19
B41J2/175 121
B41J2/175 141
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018238864
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2020100036
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-10-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】501167725
【氏名又は名称】エスアイアイ・プリンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】宮城 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】浜野 勇一郎
(72)【発明者】
【氏名】冨永 和由
(72)【発明者】
【氏名】上月 敦詞
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 研治
(72)【発明者】
【氏名】小谷野 高徳
(72)【発明者】
【氏名】元吉 昌也
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-120615(JP,A)
【文献】特開2001-277544(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0007602(US,A1)
【文献】特開2016-120614(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102765257(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体噴射ヘッドに設けられる圧力緩衝器であって、
前記液体の供給源に連通する流入口と、前記流入口から入る前記液体を貯留する貯留室と、前記液体噴射ヘッドの吐出面に向けて前記貯留室から前記液体を流出するための流出口と、を有するチャンバを備え、
前記チャンバは、
前記貯留室を区画する内壁と、
前記流出口に連通し、前記液体を通過可能な第一流路と、
前記流出口に連通し、少なくとも気体を通過可能な第二流路と、を有し、
前記吐出面が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、前記内壁の少なくとも一部は、前記第一流路または前記第二流路に向かって連なるように傾斜しており、
前記内壁は、
第一辺と、
前記第一辺に隣り合う第二辺と、
前記第二辺に隣り合い且つ前記第一辺と対向する第三辺と、
前記第三辺に隣り合い且つ前記第二辺と対向する第四辺と、を備え、
前記流入口は、前記第一辺と前記第二辺とが交差する第一角部に配置され、
前記流出口は、前記第一角部の対角である第二角部に配置され、
前記第一流路は、前記第四辺に沿うように設けられ、
前記第二流路は、前記第二角部の近傍に設けられていることを特徴とする圧力緩衝器。
【請求項2】
液体を吐出する液体噴射ヘッドに設けられる圧力緩衝器であって、
前記液体の供給源に連通する流入口と、前記流入口から入る前記液体を貯留する貯留室と、前記液体噴射ヘッドの吐出面に向けて前記貯留室から前記液体を流出するための流出口と、を有するチャンバを備え、
前記チャンバは、
前記貯留室を区画する内壁と、
前記流出口に連通し、前記液体を通過可能な第一流路と、
前記流出口に連通し、少なくとも気体を通過可能な第二流路と、を有し、
前記吐出面が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、前記内壁の少なくとも一部は、前記第一流路または前記第二流路に向かって連なるように傾斜しており、
前記内壁は、台形形状を有することを特徴とする圧力緩衝器。
【請求項3】
液体を吐出する液体噴射ヘッドに設けられる圧力緩衝器であって、
前記液体の供給源に連通する流入口と、前記流入口から入る前記液体を貯留する貯留室と、前記液体噴射ヘッドの吐出面に向けて前記貯留室から前記液体を流出するための流出口と、を有するチャンバを備え、
前記チャンバは、
前記貯留室を区画する内壁と、
前記流出口に連通し、前記液体を通過可能な第一流路と、
前記流出口に連通し、少なくとも気体を通過可能な第二流路と、を有し、
前記吐出面が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、前記内壁の少なくとも一部は、前記第一流路または前記第二流路に向かって連なるように傾斜しており、
前記チャンバは、可撓性を有する可撓膜が接着される接着部を備え、
前記接着部は、接着剤の逃げ溝を有することを特徴とする圧力緩衝器。
【請求項4】
液体を吐出する液体噴射ヘッドに設けられる圧力緩衝器であって、
前記液体の供給源に連通する流入口と、前記流入口から入る前記液体を貯留する貯留室と、前記液体噴射ヘッドの吐出面に向けて前記貯留室から前記液体を流出するための流出口と、を有するチャンバを備え、
前記チャンバは、
前記貯留室を区画する内壁と、
前記流出口に連通し、前記液体を通過可能な第一流路と、
前記流出口に連通し、少なくとも気体を通過可能な第二流路と、を有し、
前記吐出面が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、前記内壁の少なくとも一部は、前記第一流路または前記第二流路に向かって連なるように傾斜しており、
前記第二流路は、前記液体を通過可能であり、かつ、前記第一流路よりも流路抵抗が高いことを特徴とする圧力緩衝器。
【請求項5】
前記吐出面が鉛直下方を向いた第一設置状態において、前記第四辺は、前記内壁の最上辺を形成し、
前記第四辺は、前記第四辺の前記第一辺に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、前記第四辺の前記第三辺に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜していることを特徴とする請求項に記載の圧力緩衝器。
【請求項6】
前記第四辺と水平線とのなす角度は、0°より大きく且つ10°以下であることを特徴とする請求項に記載の圧力緩衝器。
【請求項7】
前記流出口が前記チャンバの上部に配置され、かつ、前記吐出面が水平方向を向いた第二設置状態において、前記第三辺は、前記内壁の最上辺を形成し、
前記第三辺は、前記第三辺の前記第二辺に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、前記第三辺の前記第四辺に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜していることを特徴とする請求項1,5,6のいずれか一項に記載の圧力緩衝器。
【請求項8】
前記第三辺と水平線とのなす角度は、0°より大きく且つ10°以下であることを特徴とする請求項に記載の圧力緩衝器。
【請求項9】
前記流出口が前記チャンバの下部に配置され、かつ、前記吐出面が水平方向を向いた第三設置状態において、前記第一辺は、前記内壁の最上辺を形成し、
前記第一辺は、前記第一辺の前記第二辺に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、前記第一辺の前記第四辺に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜していることを特徴とする請求項1,5から8のいずれか一項に記載の圧力緩衝器。
【請求項10】
前記第一辺と水平線とのなす角度は、0°より大きく且つ10°以下であることを特徴とする請求項に記載の圧力緩衝器。
【請求項11】
前記第二流路は、前記第三辺または前記第四辺に沿うように設けられていることを特徴とする請求項1,5から10のいずれか一項に記載の圧力緩衝器。
【請求項12】
前記第二流路は、前記チャンバにおいて前記逃げ溝が設けられた面とは反対側の面に設けられている溝であることを特徴とする請求項に記載の圧力緩衝器。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の圧力緩衝器を備えることを特徴とする液体噴射ヘッド。
【請求項14】
請求項13に記載の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする液体噴射記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力緩衝器、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録紙等の被記録媒体に液滴状のインクを吐出して、被記録媒体に画像や文字を記録する装置として、インクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタがある。インクジェットプリンタは、インクジェットヘッドを搭載するキャリッジが被記録媒体上を往復することにより印字を行う。例えば、印字を行うとき(キャリッジの加減速時)、インク供給路のインクの慣性により、インクジェットヘッド内部に圧力変動が生じる。この圧力変動は、インクの吐出不良の原因となる。このような圧力変動を抑制するために、インクジェットヘッドには圧力緩衝器が設けられている。
例えば、特許文献1には、圧力緩衝器に設けられた凹部に可撓膜を貼り付け密閉されたチャンバを備えた構成が開示されている。チャンバの上部には、インクが流れる開口部が設けられている。チャンバの下部には、圧力変動時にインクを流す貫通開口部が設けられている。チャンバ上部の開口部は、貫通開口部よりも流路抵抗が小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-110599号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、インクジェットヘッドは、インクを吐出する吐出面が鉛直下向きになることを想定して設計されている。また、インクジェットヘッドに付随する圧力緩衝器も、吐出面が鉛直下向きの状態で、気泡が排出されるように設計されている。そのため、吐出面が鉛直下向き以外の状態で圧力緩衝器を使用する場合、気泡が排出されず、圧力緩衝器内に気泡が残ってしまう可能性がある。例えば、段ボール印刷などのコーディング(印字)では、インクジェットヘッドを横向きにした状態でインクを吐出、いわゆる縦打ちをすることがある。しかし縦打ちをする場合、気泡が圧力緩衝器内に残ってしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、吐出面が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、気体がチャンバ内に残留することを抑制することができる圧力緩衝器、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題の解決手段として、本発明の態様は以下の構成を有する。
(1)本発明の態様に係る圧力緩衝器は、液体を吐出する液体噴射ヘッドに設けられる圧力緩衝器であって、前記液体の供給源に連通する流入口と、前記流入口から入る前記液体を貯留する貯留室と、前記液体噴射ヘッドの吐出面に向けて前記貯留室から前記液体を流出するための流出口と、を有するチャンバを備え、前記チャンバは、前記貯留室を区画する内壁と、前記流出口に連通し、前記液体を通過可能な第一流路と、前記流出口に連通し、少なくとも気体を通過可能な第二流路と、を有し、前記吐出面が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、前記内壁の少なくとも一部は、前記第一流路または前記第二流路に向かって連なるように傾斜しており、前記内壁は、第一辺と、前記第一辺に隣り合う第二辺と、前記第二辺に隣り合い且つ前記第一辺と対向する第三辺と、前記第三辺に隣り合い且つ前記第二辺と対向する第四辺と、を備え、前記流入口は、前記第一辺と前記第二辺とが交差する第一角部に配置され、前記流出口は、前記第一角部の対角である第二角部に配置され、前記第一流路は、前記第四辺に沿うように設けられ、前記第二流路は、前記第二角部の近傍に設けられていることを特徴とする。
(2)本発明の態様に係る圧力緩衝器は、液体を吐出する液体噴射ヘッドに設けられる圧力緩衝器であって、前記液体の供給源に連通する流入口と、前記流入口から入る前記液体を貯留する貯留室と、前記液体噴射ヘッドの吐出面に向けて前記貯留室から前記液体を流出するための流出口と、を有するチャンバを備え、前記チャンバは、前記貯留室を区画する内壁と、前記流出口に連通し、前記液体を通過可能な第一流路と、前記流出口に連通し、少なくとも気体を通過可能な第二流路と、を有し、前記吐出面が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、前記内壁の少なくとも一部は、前記第一流路または前記第二流路に向かって連なるように傾斜しており、前記内壁は、台形形状を有することを特徴とする。
(3)本発明の態様に係る圧力緩衝器は、液体を吐出する液体噴射ヘッドに設けられる圧力緩衝器であって、前記液体の供給源に連通する流入口と、前記流入口から入る前記液体を貯留する貯留室と、前記液体噴射ヘッドの吐出面に向けて前記貯留室から前記液体を流出するための流出口と、を有するチャンバを備え、前記チャンバは、前記貯留室を区画する内壁と、前記流出口に連通し、前記液体を通過可能な第一流路と、前記流出口に連通し、少なくとも気体を通過可能な第二流路と、を有し、前記吐出面が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、前記内壁の少なくとも一部は、前記第一流路または前記第二流路に向かって連なるように傾斜しており、前記チャンバは、可撓性を有する可撓膜が接着される接着部を備え、前記接着部は、接着剤の逃げ溝を有することを特徴とする。
(4)本発明の態様に係る圧力緩衝器は、液体を吐出する液体噴射ヘッドに設けられる圧力緩衝器であって、前記液体の供給源に連通する流入口と、前記流入口から入る前記液体を貯留する貯留室と、前記液体噴射ヘッドの吐出面に向けて前記貯留室から前記液体を流出するための流出口と、を有するチャンバを備え、前記チャンバは、前記貯留室を区画する内壁と、前記流出口に連通し、前記液体を通過可能な第一流路と、前記流出口に連通し、少なくとも気体を通過可能な第二流路と、を有し、前記吐出面が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、前記内壁の少なくとも一部は、前記第一流路または前記第二流路に向かって連なるように傾斜しており、前記第二流路は、前記液体を通過可能であり、かつ、前記第一流路よりも流路抵抗が高いことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、吐出面が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、第一流路または第二流路を通じて、気体(気泡)を液体(インク)と共に排出することができる。したがって、吐出面が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、気体がチャンバ内に残留することを抑制することができる。
【0009】
この構成によれば、気体がチャンバ内に残留することを抑制する上で、流入口、流出口、第一流路および第二流路のレイアウトの最適化を図ることができる。
【0010】
)上記()に記載の圧力緩衝器では、前記吐出面が鉛直下方を向いた第一設置状態において、前記第四辺は、前記内壁の最上辺を形成し、前記第四辺は、前記第四辺の前記第一辺に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、前記第四辺の前記第三辺に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜していてもよい。
【0011】
この構成によれば、吐出面が鉛直下方を向いている場合、第四辺の傾斜に沿って気体を液体と共に排出することができる。
【0012】
)上記()に記載の圧力緩衝器では、前記第四辺と水平線とのなす角度は、0°より大きく且つ10°以下であってもよい。
【0013】
この構成によれば、第一設置状態において第四辺の第一辺に隣り合う端部が上方に位置し、かつ、第四辺の第三辺に隣り合う端部が下方に位置するように第四辺が傾斜する場合と比較して、第四辺の傾斜に沿って気体を液体と共に排出しやすい。加えて、第四辺と水平線とのなす角度が10°より大きい場合と比較して、チャンバを小型化しやすい。
【0014】
)上記(1)、(5)、(6)のいずれか一項に記載の圧力緩衝器では、前記流出口が前記チャンバの上部に配置され、かつ、前記吐出面が水平方向を向いた第二設置状態において、前記第三辺は、前記内壁の最上辺を形成し、前記第三辺は、前記第三辺の前記第二辺に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、前記第三辺の前記第四辺に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜していてもよい。
【0015】
この構成によれば、流出口がチャンバ上部の位置で吐出面が水平方向を向いている場合、第三辺の傾斜に沿って気体を液体と共に排出することができる。
【0016】
)上記()に記載の圧力緩衝器では、前記第三辺と水平線とのなす角度は、0°より大きく且つ10°以下であってもよい。
【0017】
この構成によれば、第二設置状態において第三辺の第二辺に隣り合う端部が上方に位置し、かつ、第三辺の第四辺に隣り合う端部が下方に位置するように第三辺が傾斜する場合と比較して、第三辺の傾斜に沿って気体を液体と共に排出しやすい。加えて、第三辺と水平線とのなす角度が10°より大きい場合と比較して、チャンバを小型化しやすい。
【0018】
)上記(1)、(5)から(8)のいずれか一項に記載の圧力緩衝器では、前記流出口が前記チャンバの下部に配置され、かつ、前記吐出面が水平方向を向いた第三設置状態において、前記第一辺は、前記内壁の最上辺を形成し、前記第一辺は、前記第一辺の前記第二辺に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、前記第一辺の前記第四辺に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜していてもよい。
【0019】
この構成によれば、流出口がチャンバ下部の位置で吐出面が水平方向を向いている場合、第一辺の傾斜に沿って気体を液体と共に排出することができる。
【0020】
10)上記()に記載の圧力緩衝器では、前記第一辺と水平線とのなす角度は、0°より大きく且つ10°以下であってもよい。
【0021】
この構成によれば、第三設置状態において第一辺の第二辺に隣り合う端部が上方に位置し、かつ、第一辺の第四辺に隣り合う端部が下方に位置するように第一辺が傾斜する場合と比較して、第一辺の傾斜に沿って気体を液体と共に排出しやすい。加えて、第一辺と水平線とのなす角度が10°より大きい場合と比較して、チャンバを小型化しやすい。
【0022】
11)上記(1)、(5)から(10)のいずれか一項に記載の圧力緩衝器では、前記第二流路は、前記第三辺または前記第四辺に沿うように設けられていてもよい。
【0023】
この構成によれば、第三辺または第四辺に沿って流れてくる気体を、第二流路を通じてスムーズに排出することができる。
【0025】
この構成によれば、気体がチャンバ内に残留することを抑制する上で、内壁の形状の最適化を図ることができる。
【0027】
この構成によれば、接着部に対して可撓膜を接着するときに、接着剤が貯留室等に流れ込むことを抑制することができる。
【0028】
(12)上記()に記載の圧力緩衝器では、前記第二流路は、前記チャンバにおいて前記逃げ溝が設けられた面とは反対側の面に設けられている溝であってもよい。
【0029】
この構成によれば、第二流路が逃げ溝の設置面とは異なる面に設けられるため、可撓膜の接着時に接着剤が第二流路に流れ込むことを抑制することができる。
【0031】
この構成によれば、第一流路に加え第二流路を通じて液体を流すことができる。
【0032】
13)本発明の態様に係る液体噴射ヘッドは、上記(1)から(12)のいずれか一項に記載の圧力緩衝器を備えることを特徴とする。
【0033】
この構成によれば、吐出面が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、気体がチャンバ内に残留することを抑制することができる液体噴射ヘッドを提供することができる。
【0034】
14)本発明の態様に係る液体噴射記録装置は、上記(13)に記載の液体噴射ヘッドを備えることを特徴とする。
【0035】
この構成によれば、吐出面が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、気体がチャンバ内に残留することを抑制することができる液体噴射記録装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、吐出面が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、気体がチャンバ内に残留することを抑制することができる圧力緩衝器、液体噴射ヘッドおよび液体噴射記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】実施形態の液体噴射記録装置の模式図である。
図2】実施形態の液体噴射ヘッドの斜視図である。
図3】実施形態の液体噴射ヘッドチップの分解斜視図である。
図4】実施形態の圧力緩衝器の模式図である。
図5】実施形態のチャンバの内壁形状の説明図である。
図6】実施形態の圧力緩衝器の第一設置状態における作用説明図である。図6(a)は、インクの供給状態を示す図である。図6(b)は、インクの充填状態を示す図である。
図7】実施形態の圧力緩衝器の第二設置状態における作用説明図である。図7(a)は、インクの供給状態を示す図である。図7(b)は、図7(a)に続くインクの供給状態を示す図である。図7(c)は、インクの充填状態を示す図である。
図8】実施形態の圧力緩衝器の第三設置状態における作用説明図である。図8(a)は、インクの供給状態を示す図である。図8(b)は、図8(a)に続くインクの供給状態を示す図である。図8(c)は、インクの充填状態を示す図である。
図9】比較例の圧力緩衝器の説明図である。
図10】実施形態の第一変形例の圧力緩衝器の要部拡大図である。図10(a)は、チャンバにおいて逃げ溝が設けられた面を示す図である。図10(b)は、チャンバにおいて逃げ溝が設けられた面とは反対側の面を示す図である。
図11】実施形態の第二変形例の圧力緩衝器の要部拡大図である。図11(a)は、チャンバにおいて逃げ溝が設けられた面を示す図である。図11(b)は、チャンバにおいて逃げ溝が設けられた面とは反対側の面を示す図である。
図12】実施形態の第三変形例の圧力緩衝器の要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、インク(液体)を利用して被記録媒体に記録を行うインクジェットプリンタ(以下単に「プリンタ」ともいう。)を例に挙げて説明する。なお、以下の説明に用いる図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0039】
[プリンタ]
図1は、実施形態の液体噴射記録装置1(プリンタ)の模式図である。
図1に示すように、プリンタ1は、インクの供給源であるインク供給部2と、インクを吐出するインクジェットヘッド3(液体噴射ヘッド)と、インク供給部2からインクジェットヘッド3へのインクの供給路を形成するインク供給配管4と、インクジェットヘッド3に設けられる圧力緩衝器5と、インクジェットヘッド3を搭載するキャリッジ6と、を備える。
【0040】
例えば、プリンタ1は、キャリッジ6が被記録媒体上を往復することによって印字を行う。図中矢印は、キャリッジ6の移動方向(往復移動方向)を示す。以下の説明では、必要に応じてX,Y,Zの直交座標系を用いて説明する。水平面内の所定方向をX方向(第一方向)、水平面内においてX方向と直交する方向をY方向(第二方向)、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ方向(第三方向)とする。X方向、Y方向およびZ方向のうち、図中矢印方向をプラス(+)方向とし、矢印とは反対の方向をマイナス(-)方向とする。この場合、X方向は、被記録媒体(例えば、紙等)の搬送方向(副走査方向)に一致している。Y方向は、キャリッジ6の移動方向(主走査方向)に一致している。+Z方向は、鉛直方向の上方に相当する。-Z方向は、鉛直方向の下方に相当する。
【0041】
インクジェットヘッド3は、インクを吐出する吐出部として機能するヘッドチップ61(図2参照)と、ヘッドチップ61の-Z方向端面に設けられるノズルプレート73(図3参照)と、を備える。図中符号7は、インクジェットヘッド3の吐出面を示す。吐出面7は、ノズルプレート73の外側の面に相当する。図の例では、吐出面7が鉛直下方(-Z方向)を向いた第一設置状態を示す。なお、吐出面7が鉛直下向き以外の状態(例えば、吐出面7が水平方向を向いた状態)でインクジェットヘッド3を使用することもある。
【0042】
[インクジェットヘッド]
図2は、実施形態の液体噴射ヘッド4(インクジェットヘッド)の斜視図である。図3は、実施形態の液体噴射ヘッドチップ61(ヘッドチップ)の分解斜視図である。
図2に示すように、インクジェットヘッド4は、キャリッジ6(図1参照)に固定される固定プレート60と、固定プレート60上に固定されたヘッドチップ61と、インク供給部2(図1参照)から供給されるインクをヘッドチップ61に供給するインク供給部62と、ヘッドチップ61に駆動電圧を印加する制御部63と、を備える。
【0043】
固定プレート60には、ベースプレート64が上方に起立した状態で固定されている。
インク供給部62は、固定プレート60に固定された流路部材65と、ベースプレート64に固定された圧力緩衝器5と、流路部材65及び圧力緩衝器5間を接続するインク連結管66と、を備える。
【0044】
圧力緩衝器5には、インク供給配管4が接続されている。圧力緩衝器5は、インク供給配管4を介してインクが供給されると、インクを内部に一旦貯留する。圧力緩衝器5は、貯留したインクをインク連結管66及び流路部材65を介してヘッドチップ61に供給する。
【0045】
制御部63は、ベースプレート64に固定されたIC基板67と、IC基板67に搭載された制御回路68と、を備える。
制御回路68は、ヘッドチップ61を駆動するための集積回路等を備える。制御部63は、配線パターン(不図示)がプリントされたフレキシブル基板(外部配線)69を介して、ヘッドチップ61に電気的に接続されている。
【0046】
[ヘッドチップ]
図3に示すように、実施形態のヘッドチップ61は、噴射チャネル74におけるチャネル延在方向の先端部からインクを吐出する、いわゆるエッジシュートタイプである。ヘッドチップ61は、アクチュエータプレート70、カバープレート71、支持プレート72およびノズルプレート73を備える。
【0047】
アクチュエータプレート70は、分極方向が厚さ方向(Y方向)で異なる2枚の圧電基板を積層した積層基板とされている(いわゆる、シェブロン基板)。例えば、圧電基板は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等からなるセラミックス基板が好適に用いられる。
【0048】
アクチュエータプレート70の表面(-Y方向側の面)には、少なくとも表面上で開口する複数のチャネル74,75が形成されている。各チャネル74,75は、Z方向に直線状、かつX方向に間隔をあけて交互に形成されている。したがって、各チャネル74,75間は、アクチュエータプレート70からなる駆動壁76によってそれぞれ画成されている。具体的に、複数のチャネル74,75は、インクが充填される噴射チャネル74と、インクが充填されない非噴射チャネル75とである。図3において、符号77は噴射チャネル74内面の共通電極(不図示)に接続された共通配線、符号78は噴射チャネル74を間に挟んで対向する個別電極(不図示)同士を接続する個別配線をそれぞれ示す。
【0049】
カバープレート71は、アクチュエータプレート70の表面に積層されて複数の噴射チャネル74および非噴射チャネル75を閉塞する。カバープレート71は、共通インク室79と、複数のスリット80と、を有する。共通インク室79には、流路部材65(図2参照)を通してインクが流入する。共通インク室79は、スリット80を通して各噴射チャネル74内に各別に連通している。共通インク室79は、非噴射チャネル75には連通していない。
【0050】
支持プレート72は、アクチュエータプレート70及びカバープレート71をまとめて支持する。支持プレート72には、支持プレート72をZ方向に貫通する嵌合孔81が形成されている。嵌合孔81内には、アクチュエータプレート70及びカバープレート71が重ね合わされた状態で嵌合される。
【0051】
例えば、ノズルプレート73は、アクチュエータプレート70、カバープレート71及び支持プレート72の下端面に、接着等により固定されている。例えば、ノズルプレート73は、ポリイミド等からなるフィルム材により構成されている。
【0052】
ノズルプレート73には、ノズルプレート73をZ方向に貫通するノズル孔82が形成されている。ノズル孔82は、ノズルプレート73のうち噴射チャネル74にZ方向で重なる位置に形成されている。ノズル孔82は、X方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、噴射チャネル74は、ノズル孔82を通して外部に連通している。非噴射チャネル75は、ノズルプレート73により閉塞されている。
【0053】
[圧力緩衝器]
図4は、実施形態の圧力緩衝器5の模式図である。図4は、第一設置状態における圧力緩衝器5を+Y方向から見た平面視である。
図4に示すように、圧力緩衝器5は、インク供給部2(図1参照)に連通する流入口11と、流入口11から流れるインクを貯留する貯留室12と、インクジェットヘッド3の吐出面7(図1参照)に向けて貯留室12からインクを流出するための流出口13と、を有するチャンバ10を備える。チャンバ10には、可撓性を有する可撓膜(不図示)が接着される。なお、可撓膜は、チャンバ10に溶着されることもある。可撓膜は、貯留室12を密閉するためのフィルムである。図中符号14は、貯留室12内の圧力の変動をインクの吐出が可能な範囲内に抑制するための付勢部材(例えば、板バネ)を示す。
【0054】
[チャンバ]
第一設置状態において、チャンバ10は、X方向に延在する直方体状を有する。チャンバ10は、貯留室12を区画する内壁20と、インクを通過可能な第一流路21と、少なくとも気体を通過可能な第二流路22と、可撓膜が接着される接着部23と、を有する。第一流路21および第二流路22のそれぞれは、流出口13に連通している。
【0055】
[内壁]
図5は、実施形態のチャンバ10の内壁20形状の説明図である。図5は、第一設置状態における圧力緩衝器5を+Y方向から見た平面視である。図5においては、支持部材14および逃げ溝26の図示を省略する。
【0056】
図5に示すように、内壁20は、台形形状を有する。内壁20は、第一辺31と、第一辺31に隣り合う第二辺32と、第二辺32に隣り合い且つ第一辺31と対向する第三辺33と、第三辺33に隣り合い且つ第二辺32と対向する第四辺34と、を備える。第一設置状態において、内壁20は、実質的にX方向に延在する形状を有する。
【0057】
図中において、符号L1は第一辺31を延長した第一仮想直線、符号L2は第二辺32を延長した第二仮想直線、符号L3は第三辺33を延長した第三仮想直線、符号L4は第四辺34を延長した第四仮想直線をそれぞれ示す。内壁20の台形形状は、第一仮想直線L1、第二仮想直線L2、第三仮想直線L3および第四仮想直線L4によって形成されている。
【0058】
第一設置状態において、第四辺34は、内壁20の最上辺を形成する。第一設置状態において、第四辺34は、第四辺34の第一辺31に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、第四辺34の第三辺33に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜している。第四辺34(第四仮想直線L4)と水平線とのなす角度A1(以下「第一最上辺角度A1」ともいう。)は、鋭角である。例えば、第一最上辺角度A1は、0°よりも大きく且つ10°以下である。より好ましくは、第一最上辺角度A1は、2°以上8°以下である。
【0059】
第一設置状態において、第二辺32は、内壁20の最下辺を形成する。第一設置状態において、第二辺32は、第二辺32の第一辺31に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、第二辺32の第三辺33に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜している。第二辺32は、第四辺34と実質的に平行である。
【0060】
第一設置状態において、内壁20の台形形状は、台形の脚が外側に開く形状を有する。
第一設置状態において、第一辺31は、第一辺31の第二辺32に隣り合う端部が内方に位置し、かつ、第一辺31の第四辺34に隣り合う端部が外方に位置するように傾斜している。第一辺31(第一仮想直線L1)と鉛直線とのなす角度B1(以下「第一脚角度B1」ともいう。)は、鋭角である。例えば、第一脚角度B1は、0°よりも大きく且つ10°以下である。より好ましくは、第一脚角度B1は、2°以上8°以下である。
【0061】
第一設置状態において、第三辺33は、第三辺33の第二辺32に隣り合う端部が内方に位置し、かつ、第三辺33の第四辺34に隣り合う端部が外方に位置するように傾斜している。第三辺33(第三仮想直線L3)と鉛直線とのなす角度B2(以下「第二脚角度B2」ともいう。)は、鋭角である。例えば、第二脚角度B2は、0°よりも大きく且つ10°以下である。より好ましくは、第二脚角度B2は、2°以上8°以下である。
【0062】
図中において、符号41は第一流路21を形成する第一流路第一形成縁、符号42は第一流路21を形成するように第一流路第一形成縁41と対向する第一流路第二形成縁、符号35は第一辺31と第一流路第一形成縁41とをつなぐように外方に凸の湾曲形状(例えば、円弧状)を有する第一湾曲部、符号36は第二辺32と第三辺33とをつなぐように外方に凸の湾曲形状(例えば、円弧状)を有する第二湾曲部をそれぞれ示す。第一湾曲部35および第二湾曲部36は、第一流路第一形成縁41を含む台形形状の対角線上に位置する。
【0063】
[流入口]
流入口11は、第一辺31と第二辺32とが交差する第一角部37に配置されている。第一角部37は、第一仮想直線L1と第二仮想直線L2とが交差する部分である。第一設置状態において、流入口11は、貯留室12の最下部に位置する。図中において、符号15はインク供給配管4(図1参照)の下流端部(インク供給配管4においてインク供給部2に接続される端部とは反対側の端部)が接続される流入ポート、符号16は流入ポート15と流入口11とを連通する流入路をそれぞれ示す。
【0064】
第一設置状態において、流入ポート15は、チャンバ10の-X方向側部の上面から上方に突出している。流入ポート15は、第一設置状態において縦向きに延在している。第一設置状態において、流入路16は、流入口11から-X方向に向けて延在している。流入路16は、第一設置状態において横向きに延在している。
【0065】
[流出口]
流出口13は、第三辺33と第一流路第一形成縁41とが交差する第二角部38に配置されている。第二角部38は、第三仮想直線L3の延長線と第一流路第一形成縁41とが交差する部分である。第一角部37および第二角部38のそれぞれは、第一流路第一形成縁41を含む台形形状の対角線上に位置する。第二角部38は、第一角部37の対角である。第一設置状態において、流出口13は、貯留室12の最上部近傍に位置する。図中において、符号17はインクジェットヘッド3(図1参照)に接続される流出ポート、符号18は流出ポート17と流出口13とを連通する流出路をそれぞれ示す。
【0066】
チャンバ10の+X方向側部の下部には、流出ポート17が配置されるポート用凹部29が設けられている。第一設置状態において、流出ポート17は、チャンバ10の+X方向側部の下面(ポート用凹部29の上面)から下方に突出している。流出ポート17は、第一設置状態において縦向きに延在している。第一設置状態において、流出路18は、L字状を有する。具体的に、流出路18は、流出口13から+X方向に向けて延在する第一流出路18aと、第一流出路18aの下流端から流出ポート17に向けて下方に延在する第二流出路18bと、を有する。
【0067】
[第一流路]
図4に示すように、第一流路21は、第四辺34に沿うように設けられている。第一設置状態において、第一流路21は、第一流路21の第一湾曲部35寄りの部分が下方に位置し、かつ、第一流路21の流出口13寄りの部分が上方に位置するように傾斜している。第一流路21は、第四辺34と実質的に平行である。第一流路第一形成縁41および第一流路第二形成縁42のそれぞれは、第四辺34と実質的に平行である。
【0068】
図中符号19は、貯留室12と第一流路21とを上下方向に区画する隔壁を示す。第一設置状態において、隔壁19は、隔壁19の第一湾曲部35寄りの部分が下方に位置し、かつ、隔壁19の流出口13寄りの部分が上方に位置するように傾斜している。隔壁19は、第四辺34と実質的に平行である。第一流路21は、第一流路第一形成縁41と隔壁19との間に配置されている。第一設置状態において、第四辺34は、隔壁19の下壁部分に相当する。
【0069】
[第二流路]
第二流路22は、第二角部38の近傍に設けられている。第二流路22は、第三辺33に沿うように設けられている。第一設置状態において、第二流路22は、第二流路22の第二湾曲部36寄りの部分が内方に位置し、かつ、第二流路22の流出口13寄りの部分が外方に位置するように傾斜している。第二流路22は、第三辺33と実質的に平行である。第二流路22は、隔壁19の+X方向端部において+Y方向側の面に設けられた溝である。第二流路22は、インクを通過可能である。第二流路22は、第一流路21よりも流路抵抗が高い。例えば、第二流路22の流路断面は、第一流路21の流路断面よりも小さい。
【0070】
[接着部]
接着部23は、可撓膜を接着するための接着剤(不図示)が配置される部分である。接着部23は、チャンバ10の内部空間を囲むように形成されている。接着部23は、流入路16、流出路18、第一辺31、第二辺32、第三辺33、第一流路第一形成縁41、第一湾曲部35および第二湾曲部36を囲むようにチャンバ10の+Y方向側面に形成された第一接着部24と、隔壁19の+Y方向側面に形成された第二接着部25と、を備える。
【0071】
接着部23は、接着剤の逃げ溝26を有する。逃げ溝26は、第一接着部24および第二接着部25のそれぞれにおいて連続的につながっている。逃げ溝26は、第二接着部25において、実質的にX方向に延在する環状を有する。
【0072】
[第一設置状態]
図6は、実施形態の圧力緩衝器5の第一設置状態における作用説明図である。
図6(a)は、インクの供給状態を示す図である。図6(b)は、インクの充填状態を示す図である。図6においては、支持部材14および逃げ溝26の図示を省略する。
【0073】
図6(a)に示すように、流入口11から入ったインクは、貯留室12の下部から徐々に留まっていく。貯留室12内の気体(気泡)は、内壁20の第一辺31および第三辺33の傾斜に沿って、2つの流路(第一流路21および第二流路22)からインクと共に排出される。例えば、貯留室12内の気泡は、内壁20の第一辺31および第一湾曲部35に沿って移動し、第一流路21を通じて流出口13から排出される。例えば、貯留室12内の気泡は、内壁20の第三辺33に沿って移動し、第二流路22を通じて流出口13から排出される。
これにより、圧力緩衝器5内はインクで満たされる(図6(b)参照)。
【0074】
[第二設置状態]
図7は、実施形態の圧力緩衝器5の第二設置状態における作用説明図である。
図7(a)は、インクの供給状態を示す図である。図7(b)は、図7(a)に続くインクの供給状態を示す図である。図7(c)は、インクの充填状態を示す図である。図7においては、支持部材14および逃げ溝26の図示を省略する。
【0075】
第二設置状態は、流出口13がチャンバ10の上部に配置され、かつ、吐出面7(図1参照)が水平方向を向いた状態を意味する。第二設置状態において、第三辺33は、内壁20の最上辺を形成する。第二設置状態において、第三辺33は、第三辺33の第二辺32に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、第三辺33の第四辺34に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜している。
【0076】
第三辺33(第三仮想直線L3)と水平線とのなす角度A2(以下「第二最上辺角度A2」ともいう。)は、鋭角である。例えば、第二最上辺角度A2は、0°よりも大きく且つ10°以下である。より好ましくは、第二最上辺角度A2は、2°以上8°以下である。
【0077】
図7(a)に示すように、流入口11から入ったインクは、貯留室12の下部から徐々に留まっていく。インクは第一流路21から先に排出される(図7(b)参照)。図7(b)に示すように、貯留室12内の気泡は、チャンバ10内の第一流路第一形成縁41の傾斜に沿って、第一流路21から先にインクと共に排出される。貯留室12内の残りの気泡は、内壁20の第三辺33の傾斜に沿って、第二流路22からインクと共に排出される。
これにより、圧力緩衝器5内はインクで満たされる(図7(c)参照)。
【0078】
[第三設置状態]
図8は、実施形態の圧力緩衝器5の第三設置状態における作用説明図である。
図8(a)は、インクの供給状態を示す図である。図8(b)は、図8(a)に続くインクの供給状態を示す図である。図8(c)は、インクの充填状態を示す図である。図8においては、支持部材14および逃げ溝26の図示を省略する。
【0079】
第三設置状態は、流出口13がチャンバ10の下部に配置され、かつ、吐出面7(図1参照)が水平方向を向いた状態を意味する。すなわち、第三設置状態は、第二設置状態を上下方向に反転させた状態である。第三設置状態において、第一辺31は、内壁20の最上辺を形成する。第三設置状態において、第一辺31は、第一辺31の第二辺32に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、第一辺31の第四辺34に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜している。
【0080】
第一辺31(第一仮想直線L1)と水平線とのなす角度A3(以下「第三最上辺角度A3」ともいう。)は、鋭角である。例えば、第三最上辺角度A3は、0°よりも大きく且つ10°以下である。より好ましくは、第三最上辺角度A3は、2°以上8°以下である。
【0081】
図8(a)に示すように、流入口11から入ったインクは、貯留室12の下部から徐々に留まっていく。第二流路22は第一流路21よりも流路抵抗が高いため、インクは第二流路22からは少量しか排出されない(図8(b)参照)。図8(b)に示すように、貯留室12内の気泡は、内壁20の第一辺31の傾斜に沿って、第一流路21からインクと共に排出される。
これにより、圧力緩衝器5内はインクで満たされる(図8(c)参照)。
【0082】
ところで、通常、インクジェットヘッドは、インクを吐出する吐出面が鉛直下向きになることを想定して設計されている。また、インクジェットヘッドに付随する圧力緩衝器も、吐出面が鉛直下向きの状態で、気泡が排出されるように設計されている。そのため、吐出面が鉛直下向き以外の状態で圧力緩衝器を使用する場合、気泡が排出されず、圧力緩衝器内に気泡が残ってしまう可能性がある。例えば、段ボール印刷などのコーディング(印字)では、インクジェットヘッドを横向きにした状態でインクを吐出、いわゆる縦打ちをすることがある。しかし縦打ちをする場合、気泡が圧力緩衝器内に残ってしまう可能性がある。
【0083】
図9は、比較例の圧力緩衝器5Xの説明図である。図9は、吐出面が水平方向を向いた状態(縦打ちをする場合)における圧力緩衝器を示す。
図9において、符号11Xはインク流入口、符号12Xは開口部、符号13Xはインク流出口、符号14Xは貫通開口部をそれぞれ示す。
【0084】
図9に示すように、インク流入口11Xから入ったインクは、チャンバ下部の開口部12Xに向けて流れる。開口部12Xは貫通開口部14Xよりも流路抵抗が低いため、インク流入口11Xから入ったインクが流れてしまう。そのため、チャンバ内にはインクが溜まりにくい。
仮に、チャンバ内にインクが溜まったとしても、チャンバ内の気泡は逃げ場がないため、チャンバ内に気泡が残る可能性が高い。図中符号15Xは、気泡が残る可能性が高い気泡残存領域を示す。
【0085】
これに対し本実施形態では、図6(a)に示すように、第一設置状態において、内壁20の第一辺31は、貯留室12内の気泡が第一流路21に向かうように傾斜している。第一設置状態において、第一流路21は、第四辺34(第一最上辺、具体的には、チャンバ10内の第一流路第一形成縁41)に沿っている。第一流路21は、第一流路21に入った気泡が流出口13に向かうように傾斜している。
また本実施形態では、図7(a)に示すように、第二設置状態において、内壁20の第三辺33(第二最上辺)は、貯留室12内の気泡が第二流路22に向かうように傾斜している。第二設置状態において、第二流路22は、第三辺33に沿っている。第二流路22は、第二流路22に入った気泡が流出口13に向かうように傾斜している。
さらに本実施形態では、図8(a)に示すように、第三設置状態において、内壁20の第一辺31(第三最上辺)は、貯留室12内の気泡が第一流路21に向かうように傾斜している。第三設置状態において、第一流路21は、第四辺34(具体的には、チャンバ10内の第一流路第一形成縁41)に沿っている。第一流路21は、第一流路21に入った気泡が流出口13に向かうように傾斜している。
【0086】
このように本実施形態では、吐出面7(図1参照)が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、内壁20の少なくとも一部は、気泡が第一流路21または第二流路22に向かうように傾斜している。そのため、貯留室12内の気泡が逃げ場を失う可能性は低く、気泡が圧力緩衝器5内に残る可能性は低い。
【0087】
以上説明したように、本実施形態に係る圧力緩衝器5は、インクを吐出するインクジェットヘッド3に設けられる圧力緩衝器5であって、インク供給部2に連通する流入口11と、流入口11から入るインクを貯留する貯留室12と、インクジェットヘッド3の吐出面7に向けて貯留室12からインクを流出するための流出口13と、を有するチャンバ10を備え、チャンバ10は、貯留室12を区画する内壁20と、流出口13に連通し、インクを通過可能な第一流路21と、流出口13に連通し、少なくとも気泡を通過可能な第二流路22と、を有し、吐出面7が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において、内壁20の少なくとも一部は、気泡が第一流路21または第二流路22に向かうように傾斜している。
【0088】
本実施形態によれば、吐出面7が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、第一流路21または第二流路22を通じて、気泡をインクと共に排出することができる。したがって、吐出面7が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、気泡がチャンバ10内に残留することを抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態では、内壁20は、第一辺31と、第一辺31に隣り合う第二辺32と、第二辺32に隣り合い且つ第一辺31と対向する第三辺33と、第三辺33に隣り合い且つ第二辺32と対向する第四辺34と、を備え、流入口11は、第一辺31と第二辺32とが交差する第一角部37に配置され、流出口13は、第一角部37の対角である第二角部38に配置され、第一流路21は、第四辺34に沿うように設けられ、第二流路22は、第二角部38の近傍に設けられている。
【0090】
本実施形態によれば、気泡がチャンバ10内に残留することを抑制する上で、流入口11、流出口13、第一流路21および第二流路22のレイアウトの最適化を図ることができる。
【0091】
また、本実施形態では、吐出面7が鉛直下方を向いた第一設置状態において、第四辺34は、内壁20の最上辺を形成し、第四辺34は、第四辺34の第一辺31に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、第四辺34の第三辺33に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜している。
【0092】
本実施形態によれば、吐出面7が鉛直下方を向いている場合、第四辺34の傾斜に沿って気泡をインクと共に排出することができる。
【0093】
また、本実施形態では、第四辺34と水平線とのなす角度A1は、0°より大きく且つ10°以下である。
【0094】
本実施形態によれば、第一設置状態において第四辺34の第一辺31に隣り合う端部が上方に位置し、かつ、第四辺34の第三辺33に隣り合う端部が下方に位置するように第四辺34が傾斜する場合と比較して、第四辺34の傾斜に沿って気泡をインクと共に排出しやすい。加えて、第四辺34と水平線とのなす角度A1が10°より大きい場合と比較して、チャンバ10を小型化しやすい。
【0095】
また、本実施形態では、流出口13がチャンバ10の上部に配置され、かつ、吐出面7が水平方向を向いた第二設置状態において、第三辺33は、内壁20の最上辺を形成し、第三辺33は、第三辺33の第二辺32に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、第三辺33の第四辺34に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜している。
【0096】
本実施形態によれば、流出口13がチャンバ10上部の位置で吐出面7が水平方向を向いている場合、第三辺33の傾斜に沿って気泡をインクと共に排出することができる。
【0097】
また、本実施形態では、第三辺33と水平線とのなす角度A2は、0°より大きく且つ10°以下である。
【0098】
本実施形態によれば、第二設置状態において第三辺33の第二辺32に隣り合う端部が上方に位置し、かつ、第三辺33の第四辺34に隣り合う端部が下方に位置するように第三辺33が傾斜する場合と比較して、第三辺33の傾斜に沿って気泡をインクと共に排出しやすい。加えて、第三辺33と水平線とのなす角度A2が10°より大きい場合と比較して、チャンバ10を小型化しやすい。
【0099】
また、本実施形態では、流出口13がチャンバ10の下部に配置され、かつ、吐出面7が水平方向を向いた第三設置状態において、第一辺31は、内壁20の最上辺を形成し、第一辺31は、第一辺31の第二辺32に隣り合う端部が下方に位置し、かつ、第一辺31の第四辺34に隣り合う端部が上方に位置するように傾斜している。
【0100】
本実施形態によれば、流出口13がチャンバ10下部の位置で吐出面7が水平方向を向いている場合、第一辺31の傾斜に沿って気泡をインクと共に排出することができる。
【0101】
また、本実施形態では、第一辺31と水平線とのなす角度A3は、0°より大きく且つ10°以下である。
【0102】
本実施形態によれば、第三設置状態において第一辺31の第二辺32に隣り合う端部が上方に位置し、かつ、第一辺31の第四辺34に隣り合う端部が下方に位置するように第一辺31が傾斜する場合と比較して、第一辺31の傾斜に沿って気泡をインクと共に排出しやすい。加えて、第一辺31と水平線とのなす角度A3が10°より大きい場合と比較して、チャンバ10を小型化しやすい。
【0103】
また、本実施形態では、第二流路22は、第三辺33に沿うように設けられている。
【0104】
本実施形態によれば、第三辺33に沿って流れてくる気泡を、第二流路22を通じてスムーズに排出することができる。
【0105】
また、本実施形態では、内壁20は、台形形状を有する。
【0106】
本実施形態によれば、気泡がチャンバ10内に残留することを抑制する上で、内壁20の形状の最適化を図ることができる。
【0107】
また、本実施形態では、チャンバ10は、可撓性を有する可撓膜が接着される接着部23を備え、接着部23は、接着剤の逃げ溝26を有する。
【0108】
本実施形態によれば、接着部23に対して可撓膜を接着するときに、接着剤が貯留室12等に流れ込むことを抑制することができる。
【0109】
また、本実施形態では、第二流路22は、インクを通過可能であり、かつ、第一流路21よりも流路抵抗が高い。
【0110】
本実施形態によれば、第一流路21に加え第二流路22を通じてインクを流すことができる。
【0111】
本実施形態に係るインクジェットヘッド3は、上記の圧力緩衝器5を備える。
【0112】
本実施形態によれば、吐出面7が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、気泡がチャンバ10内に残留することを抑制することができるインクジェットヘッド3を提供することができる。
【0113】
本実施形態に係るプリンタ1は、上記のインクジェットヘッド3を備える。
【0114】
本実施形態によれば、吐出面7が鉛直下方および水平方向のいずれの方向を向いている場合であっても、気泡がチャンバ10内に残留することを抑制することができるプリンタ1を提供することができる。
【0115】
なお、本発明の技術範囲は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0116】
例えば、上述した実施形態では、液体噴射記録装置の一例として、インクジェットプリンタを例に挙げて説明したが、プリンタに限られるものではない。例えば、ファックスやオンデマンド印刷機等であっても構わない。
【0117】
上述した実施形態では、内壁20が台形形状を有する例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、内壁20は、台形形状以外の多角形形状を有していてもよい。例えば、内壁20は、円形または楕円形状を有していてもよい。内壁20の少なくとも一部は、吐出面7が鉛直下方および水平方向を向いた設置状態において気泡が第一流路21または第二流路22に向かうように傾斜していればよい。
【0118】
上述した実施形態では、第二流路22がインクを通過可能である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第二流路22は、インクを通過できなくてもよい。例えば、第二流路22は、気泡のみを通過可能であってもよい。すなわち、第二流路22は、少なくとも気泡を通過可能であればよい。
【0119】
上述した実施形態では、第二流路22がチャンバ10の一面に設けられた溝である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第二流路22は、隔壁19を貫通して設けられた貫通孔であってもよい。
【0120】
上述した実施形態では、第二流路22が一つのみ設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第二流路22は、複数設けられていてもよい。
【0121】
上述した実施形態では、第二流路22が第三辺33に沿うように設けられている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第二流路22は、第四辺34に沿うように設けられていてもよい。例えば、第二流路22は、内壁20の壁面に沿うように設けられていなくてもよい。すなわち、第二流路22は、流出口13に連通するように設けられていればどのような配置でもよい。
【0122】
上述した実施形態では、流入口11は、流入路16および流入ポート15を介してインク供給配管4に接続されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、流入口11は、チューブ(不図示)を介してインク供給配管4に接続されていてもよい。または、流入口11は、インク供給配管4に直接的に接続されていてもよい。
【0123】
上述した実施形態では、流入ポート15は、第一設置状態において縦向きに延在している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、流入ポート15は、第一設置状態において横向きに延在していてもよい。
【0124】
上述した実施形態では、流出口13は、流出路18および流出ポート17を介してインクジェットヘッド3に接続されている例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、流出口13は、チューブ(不図示)を介してインクジェットヘッド3に接続されていてもよい。または、流出口13は、インクジェットヘッド3に直接的に接続されていてもよい。
【0125】
上述した実施形態では、流出ポート17は、第一設置状態において縦向きに延在している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、流出ポート17は、第一設置状態において横向きに延在していてもよい。
【0126】
上述した実施形態では、第二流路22は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面と同じ側の面に設けられている溝である例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第二流路22は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面とは反対側の面に設けられている溝であってもよい。
【0127】
以下の変形例において、上記実施形態と同一の構成には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0128】
[第一変形例]
図10は、実施形態の第一変形例の圧力緩衝器の要部拡大図である。図10(a)は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面を示す図である。図10(b)は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面とは反対側の面を示す図である。図10は、圧力緩衝器の第一設置状態を示す図である。
【0129】
図10(a)に示すように、第二流路122は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面には設けられていない。図中において、符号141は貯留室12と第二流路122とを連通する第一貫通孔、符号142は第二流路122と流出口13とを連通する第二貫通孔をそれぞれ示す。
【0130】
図10(b)に示すように、第二流路122は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面とは反対側の面に設けられている溝である。第一設置状態において、第二流路122は、鉛直方向に延在している。図中符号145は、第二流路122である溝を形成するための溝形成部を示す。例えば、溝形成部145には、第二流路122を-Y方向から覆うためのカバー(不図示)が取り付けられる。
【0131】
本変形例に係る圧力緩衝器では、第二流路122は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面とは反対側の面に設けられている溝である。
【0132】
本変形例によれば、第二流路122が逃げ溝26の設置面とは異なる面に設けられるため、可撓膜の接着時に接着剤が第二流路122に流れ込むことを抑制することができる。
【0133】
また、本変形例では、第二流路122は、鉛直方向に延在している。
【0134】
本変形例によれば、第二流路122が水平方向に延在している場合と比較して、第三辺33に沿って流れてくる気泡を、第二流路122を通じてスムーズに排出することができる。
【0135】
[第二変形例]
上述した第一変形例では、第二流路122は、鉛直方向に延在している例を挙げて説明したが、これに限らない。例えば、第二流路122は、水平方向に延在していてもよい。
図11は、実施形態の第二変形例の圧力緩衝器の要部拡大図である。図11(a)は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面を示す図である。図11(b)は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面とは反対側の面を示す図である。図11は、圧力緩衝器の第一設置状態を示す図である。
【0136】
図11(a)に示すように、第二流路222は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面には設けられていない。図中符号243は、第二流路222と流出路18とを連通する第三貫通孔を示す。
【0137】
図11(b)に示すように、第二流路222は、チャンバ10において逃げ溝26が設けられた面とは反対側の面に設けられている溝である。第一設置状態において、第二流路222は、水平方向に延在している。図中符号245は、第二流路222である溝を形成するための溝形成部を示す。例えば、溝形成部245には、第二流路222を-Y方向から覆うためのカバー(不図示)が取り付けられる。
【0138】
本変形例では、第二流路222は、水平方向に延在している。
【0139】
本変形例によれば、第二流路222が鉛直方向に延在している場合と比較して、隔壁19(第四辺34)に沿って流れてくる気泡を、第二流路222を通じてスムーズに排出することができる。
【0140】
[第三変形例]
図12は、実施形態の第三変形例の圧力緩衝器305の要部拡大図である。図12は、圧力緩衝器305の第一設置状態を示す図である。
【0141】
図12に示すように、圧力緩衝器305は、圧力緩衝器305の壁面の傾斜を確認するために水準器350(水平器)を備えていてもよい。例えば、水準器350は、気泡管水準器である。水準器350は、チャンバ10に内蔵されていてもよい。図の例では、水準器350は、チャンバ10上部の第一湾曲部35近傍に内蔵されている。これにより、チャンバ10の上面の傾斜を確認することができるため、吐出面7(図1参照)の傾斜を把握することができる。
【0142】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。また、上述した各変形例を適宜組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0143】
1…プリンタ(液体噴射記録装置)
2…インク供給部(液体の供給源)
3…インクジェットヘッド(液体噴射ヘッド)
5…圧力緩衝器
7…吐出面
10…チャンバ
11…流入口
12…貯留室
13…流出口
20…内壁
21…第一流路
22,122,222…第二流路
23…接着部
26…逃げ溝
31…第一辺
32…第二辺
33…第三辺
34…第四辺
37…第一角部
38…第二角部
A1…第一最上辺角度(第四辺と水平線とのなす角度)
A2…第二最上辺角度(第三辺と水平線とのなす角度)
A3…第三最上辺角度(第一辺と水平線とのなす角度)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12