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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】角度付き遠位面を有するシース先端部
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20231205BHJP
   A61B 1/018 20060101ALI20231205BHJP
   A61B 18/24 20060101ALI20231205BHJP
   A61B 18/14 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
A61B17/34 510
A61B1/018 511
A61B1/018 513
A61B18/24
A61B18/14
【請求項の数】 17
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019056520
(22)【出願日】2019-03-25
(65)【公開番号】P2019171058
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-03-25
(31)【優先権主張番号】15/936,081
(32)【優先日】2018-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・アール・ラルフ
【審査官】石川 薫
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/143204(WO,A1)
【文献】特開2010-263926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 13/00-18/18
A61B 1/00- 1/32
A61B 10/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
組織の表面に対してある角度で組織に向かって延出可能なシースの端部に配置されるように構成されているシース先端部であって、角度を付けられた遠位端を有し、前記遠位端で前記シース先端部の周辺部が前記組織の表面に概ね適合するように構成されている、シース先端部を備え
前記シース先端部が、前記遠位端において変形可能であるように構成されている、
装置。
【請求項2】
前記シースが、細長い医療装置を前記組織の表面に向かって延出させるように構成されているルーメンを画定し、前記シース先端部は、前記シース先端部の前記遠位端に向かう前記ルーメンの延出を画定する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記シース先端部が前記シースの一体部分であり、前記シース先端部が前記シースの前記端部に配置されている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記シース先端部が、前記シースの前記遠位端に取り付けられるように構成されている別個の構造体である、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記シース先端部が、前記シースの前記ルーメン内に受容可能なシースインサートにおいて、前記シースの前記端部に物理的に連結されるように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記シース先端部の前記遠位端に隣接する前記シースの前記端部内に受容されるように構成されている剛性シースインサートを更に備える、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記シース先端部の前記遠位端に面する前記剛性シースインサートの遠位端が、前記シース先端部の前記遠位端と実質的に平行に角度付けされている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記シース先端部が、前記シースの第2の厚さよりも小さい第1の厚さ、及び前記シースの第2の剛性未満の第1の剛性から選択される少なくとも1つの特徴を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
システムであって、
内部にルーメンを画定し、組織の表面に対してある角度で組織に向かって延出可能であるように構成されている、シースと、
前記シース内の前記ルーメンを通して送達されるように構成されている、細長い医療器具と、
前記シースを体内の所望の位置に搬送するように構成されている、挿入制御システムと、
前記細長い医療器具が所望の位置に到達したときに、前記細長い医療器具の動作を指示するように構成されている、器具制御システムと、
前記シースの端部に配置されるように構成されているシース先端部であって、角度を付けられた遠位端を有し、前記遠位端で前記シース先端部の周辺部が前記組織の表面に概ね適合するように構成されている、シース先端部と、を備え、
前記シース先端部が、前記遠位端において変形可能であるように構成されている、
システム。
【請求項10】
前記細長い医療器具がサンプリング針を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記シース先端部が前記シースの一体部分であり、前記シース先端部が前記シースの端部に配置されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記シース先端部が、前記シースの前記遠位端に取り付けられるように構成されている別個の構造体である、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記シース先端部が、前記シースの前記ルーメン内に受容可能なシースインサートにおいて、前記シースの前記端部に物理的に連結されるように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記シース先端部の前記遠位端に隣接する前記シースの前記端部内に受容されるように構成されている剛性シースインサートを更に備える、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記シース先端部の前記遠位端に面する前記剛性シースインサートの遠位端が、前記シース先端部の前記遠位端と実質的に平行に角度付けされている、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記シース先端部が、前記シースの第2の厚さよりも小さい第1の厚さ、及び前記シースの第2の剛性未満の第1の剛性から選択される少なくとも1つの特徴を有する、請求項9に記載のシステム。
【請求項17】
前記挿入制御システムが、前記シースを組織表面に対して斜角で延出させるように構成されており、前記遠位端で前記シース先端部の周辺部が、前記組織表面に概ね適合するように方向付けられる、請求項9に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、細長い器具を延出させるために使用されるシースに関する。
【背景技術】
【0002】
このセクションにおける記述は、単に、本開示に関する背景情報を提供し、先行技術を構成しない場合もある。
【0003】
侵襲的な外科手術を行うことなく患者の体内の組織にアクセスする能力により、疼痛の低減、回復時間の短縮、及び合併症のリスクの低減を伴う、継続的な向上を伴う種類の分析、診断、及び処置が可能である。2つの例として、内視鏡及びカテーテル処置は、侵襲的手術をしないで多数の内部損傷の評価及び処置を可能にした。
【0004】
例えば、気管支鏡又は内視鏡などの挿入制御システムによって位置付けられるシースを通して、サンプリング針などの細長い医療器具を延出させることによって、損傷が疑われる部位又は実際の損傷部をサンプリング又は処置することができる。シースを挿入制御システムから延出させて細長い医療器具を位置付けることができ、その後、細長い器具自体をサンプリング又は処置のために展開することができる。
【0005】
挿入制御システムの使用は、恐らくは侵襲的手術を回避するが、それ自体が問題となる場合がある。例えば、挿入制御システムは狭い空間で動作する場合があるため、挿入制御システムと組織壁との間の接触に起因する、所望の位置若しくはその付近での組織への外傷若しくはその他望ましくない影響を最小限に抑えながら、又はこれらを避けたり最小限に抑えることを試みながら、体内の所望の位置でのサンプリングや処置の実施には課題があり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
開示される実施形態は、シースが延出されている組織の表面にシースを適合させるために、角度付き遠位面を有するシース先端部を提供するための装置、システム、及び方法を含む。様々な開示される実施形態は、サンプリング若しくは処置のための細長い器具を搬送するためにシースが延出される際に、シースを組織表面に対して押し当てることによって生じる組織損傷又はその他望ましくない影響の低減又は回避に役立つことを目指すことが理解されよう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
例示的な実施形態では、装置は、組織の表面に対してある角度で組織に向かって延出可能なシースの端部に配置されるように構成されている、シース先端部を含む。シース先端部は、角度を付けられた遠位端を有し、遠位端でシース先端部の周辺部が組織の表面に概ね適合するように構成されている。
【0008】
別の例示的な実施形態では、システムは、内部にルーメンを画定し、組織の表面に対してある角度で組織に向かって延出可能であるように構成されている、シースを含む。細長い医療器具は、シース内のルーメンを通して送達されるように構成されている。挿入制御システムは、シースを体内の所望の位置に搬送するように構成されている。器具制御システムは、細長い医療器具が所望の位置に到達したときに、細長い医療器具の動作を指示するように構成されている。シース先端部は、シースの端部に位置付けられるように構成されている。シース先端部は、角度を付けられた遠位端を有し、遠位端でシース先端部の周辺部が組織の表面に概ね適合するように構成されている。
【0009】
更なる例示的な実施形態では、方法は、シース内のルーメンを通して体内に搬送される細長い器具を準備することを含む。シースは、組織の表面に対してある角度で組織に向かって延出される。シースは、シースの遠位端にシース先端部を含み、シースの遠位端は角度を付けられており、遠位端でシース先端部の周辺部が組織の表面に概ね適合するように構成されている。細長い器具を体内に搬送するシースは、体内に挿入される。
【0010】
更なる特徴、利点、及び適用分野は、本明細書に提供される説明から明らかになるであろう。説明及び具体的な例は、単に例示目的のために意図され、本開示の範囲を限定することは意図されないことを理解されたい。
【0011】
本明細書に説明される図面は、単に例示目的のためであり、決して本開示の範囲を制限することは意図されない。図面における構成要素は、必ずしも一定の縮尺ではなく、開示された実施形態の原理を例示することに重点を置かれる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】組織をサンプリング又は処置するための例示的なシステムの一部の概略的な形態のブロック図である。
図2】角度付き遠位面を有する例示的なシース先端部が取り付けられたシースを含む挿入装置上のヘッドの斜視図である。
図3A】角度付き遠位面を有する例示的なシース先端部を有するシースの延出前及び延出後の図2の挿入装置のヘッドの側面図である。
図3B】角度付き遠位面を有する例示的なシース先端部を有するシースの延出前及び延出後の図2の挿入装置のヘッドの側面図である。
図4】角度付き遠位面を有するシース先端部を備えて構成されているシースの端部の断面図である。
図5】角度付き遠位面を有するシース先端部を備えて構成されているシースの端部の断面図である。
図6】シースが、変形可能な角度付き遠位面を有する例示的なシース先端部を含む、図2の挿入装置のヘッドの側面図である。
図7A】変形可能な角度付き遠位面を有する例示的なシース先端部の側面図である。
図7B】変形可能な角度付き遠位面を有する例示的なシース先端部の側面図である。
図8】シース先端部を備えた装置を動作させる例示的な方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下の説明は、本質的に単に例示的なものであり、本開示、適用、又は使用を限定することは意図されない。3桁の参照番号の第1の桁は、要素が最初に現れる図の数に対応することに留意されたい。
【0014】
以下の説明は、例示としてのみであって限定するものではないが、シースが表面に向かって延出することから生じる望ましくない影響の低減に役立つ、又はその防止を目指すための、シース先端部の様々な実施形態を説明するものである。以下で詳細に説明するように、様々な例示的な実施形態では、シース先端部は、シース先端部が延出する組織表面に概ね適合する形状を有するように構成されており、それによって、組織壁からの器具の移動又は組織表面への外傷の回避又は低減に役立つ可能性がある。
【0015】
図1を参照すると、様々な実施形態では、患者の解剖学的領域(図1に図示せず)において基準点で組織をサンプリング又は処置するための例示的システム100が提供される。一例として、システム100は、サンプリング針を介して試料を引き出すための真空システムを有するサンプリング装置を含んでもよい。あるいは、システム100は、所望により、患者の組織をアブレーション又は凝固させる電流を使用するための、双極高周波(RF)システムであってもよい。更に代替的に、システム100は、患者の組織を切開するための機械的又はレーザ系切断システムを含んでもよい。任意のこのようなシステムは、所望の処置を行うために細長い器具を患者に挿入することを伴う場合があり、任意のかかる細長い器具は、本明細書に開示されるシース先端部で望ましくは終端し得るシースを介して患者に挿入されてもよい。
【0016】
いくつかの実施形態では、システム100は、ユーザーインターフェース101によって制御可能な細長い医療器具、1つ以上の器具制御システム114及び116、挿入制御システム118、及び様々な支持装置を含む。ユーザーインターフェース101は、シース103の遠位端113を体内の関心位置(図示せず)に対して位置決めするための位置決め装置を含んでもよい。ユーザーインターフェース101はまた、シース103内に収容された細長い器具(図示せず)の位置を方向付けるように構成されてもよい。細長い器具として、例えば、図4~6を参照して以下に記載されるようなサンプリング針、1つ以上の電極、撮像デバイス、プローブ、切断デバイス、又は任意の他の細長い装置を挙げることができる。1つ以上の制御システム114及び116は、細長い器具に連結されてもよく、流体又は組織を引き出す、電流を提供する、流体を提供する、センサデータを監視する、又はその他機能を実行するための装置を含んでよい。
【0017】
挿入制御システム118は、気管支鏡、内視鏡、又はかじ取り装置、並びに、挿入装置119の進行を監視するための光学、超音波、又はその他センサを備え得る挿入装置119を操作するように構成されている、別の挿入システムを含んでもよい。ユーザーインターフェース101は、挿入制御システム118内に受容されてよく、挿入制御システム118用のポート148に挿入制御システム118があるように、挿入制御システム118が挿入装置119を方向付け、シース103の遠位端113を体内の所望の位置まで搬送でき、ここで続いてユーザーインターフェース101を用いて、所望の機能を実行するために関連する細長い器具を操作してよい。
【0018】
システムは、任意の数のサンプリング又は処置システムを表し得る。一例では、システム100は、図4~6を参照して以下で更に説明されるような、サンプリング針を使用して組織試料を採取するためのサンプリングシステムであってもよい。そのような場合、挿入制御システム118は、試料が呼吸器系から採取される場合は気管支鏡、試料が消化器系から採取される場合は内視鏡を含んでよい。1つの器具制御システム114は、センサデータの受信及び処理に使用されてよく、制御装置120、122及び124によって操作されてよい。別の器具制御システム116は、シース103の遠位端113から延出し得るサンプリング針から組織又は流体試料を引き出すためのポンプ又は他の真空源であってもよい。
【0019】
別の例では、システム100は、組織の閉塞物を切り開くための切断システムであってもよい。そのような場合、挿入制御システム118は、試料が消化器系から採取されるべきかを指示するための内視鏡を含んでもよい。1つの器具制御システム114は、センサデータの受信及び処理に使用されてよく、制御装置120、122及び124によって操作されてよい。別の器具制御システム116は、シース103の遠位端113から延出する往復切断装置及び/又は回転切断装置を動かす切断制御システムであってもよい。
【0020】
更に別の例では、システム100は、組織をアブレーション、焼灼、又は凝固するための電気外科用高周波(RF)システムであってもよい。そのような場合、挿入制御システム118は、試料が呼吸器系から採取される場合は気管支鏡、試料が消化器系から採取される場合は内視鏡を含んでよい。1つの器具制御システム114は、シースの遠位端113から延出する細長い器具に電力を印加するために、切り替え可能な電源114として動作する発電機であってもよい。ユーザーインターフェース101は、導体130を通じて切り替え可能な電源114と電気的に通信している。いくつかの実施形態では、導体130は、システムが双極モードで操作されているとき、出口131に接続されている。導体130は、出口131に電気的に係合するように構成されている電気コネクタ134を使用して出口131と結合され得る。切り替え可能な電源114は、切り替え可能な電源114に電気的に接続された足踏み式ユニット120の使用によって操作され得る。足踏み式ユニット120は、切り替え可能な電源114に、電力を電極(複数可)(後述される)に印加して組織を切断及び/又はアブレーションするように指示するペダル122、並びに発電機114に、低い電力を電極(複数可)に印加して組織を凝固させるように指示するペダル124を含み得る。
【0021】
ユーザーインターフェース101は、導電性流体源116からユーザーインターフェース101への、例えば、生理食塩水又は別の導電性流体などの液体の流れを容易にする管132によって導電性流体源116に更に接続されている。別の器具制御システム116は、シース103の遠位端113に導電性流体を提供するための、スイッチによって制御可能な注入ポンプなどの導電性流体源116であってもよく、導電性流体は、印加された電力によって気化されて熱を発生させ、組織をアブレーション又は焼灼することができる。
【0022】
システム100は、細長い器具が操作を実行するためにシース103を通って延在する、任意の数の医療システム又は非医療システムを含んでもよく、本開示によるシース先端部がシース103の遠位端113に適用されて、かかる操作を容易にすることができる。本開示のシース先端部の実施形態は、任意の特定のシステム又は機能と共に使用することに限定されない。本開示のシース先端部を使用するための任意の用途は、単に例示のために提供され、限定するものとして解釈されるべきではない。
【0023】
図2を参照すると、挿入装置119のヘッド201は、シース103の遠位端113(図1)を位置決めする際に使用可能な様々なセンサデバイス又は関連装置250、254及び256を含む。例えば、ヘッド201は、超音波エネルギーを放出し、反射した超音波エネルギーを受信する超音波トランスデューサ250を支持することができる。ヘッド201はまた、ヘッド201に隣接する領域を照明するために光源256が設けられ得る、カメラ254を支持してもよい。超音波トランスデューサ250及び/又はカメラ254を用いて、シース103を通って搬送される細長い器具(図2には示されていない)によってサンプリング又は処置される損傷部又は多の関心領域を特定できる。
【0024】
シース103の遠位端113は、中から細長い器具(図2に示されていない)が延出し得るルーメン207を内部に画定する。シースの遠位端113は、角度付きシース先端部205の実施形態と嵌合されてもよい。具体的には、角度付きシース先端部205は、以下で更に説明されるように、シース103が延出される組織の表面に概ね適合させるために、角度付きシース先端部205の周辺部209の周囲に成形された角度付き遠位面を有する。
【0025】
図3Aを参照すると、ヘッド201は、ヘッド201が挿入され得る体内の管の内面などの組織表面301に隣接して配置される。ヘッド201は、シース103が延出される前は、シース103の延出のための位置にある。展開されると、シース103は軸303に沿って延出する。しかしながら、シース103の遠位端113に配置された角度付きシース先端部205は、図3Bを参照して以下に説明するように、シース103と組織表面301との間の不必要な又は望ましくない影響を低減又は回避するのに役立ち得る。
【0026】
図3Bを参照すると、シース103を延出した後、角度付きシース先端部205は組織表面301に概ね適合する。角度付きシース先端部205がない場合は、シース103が組織壁301と交差する可能性がある。軸303を中心に破線で表される突起355は、角度付きシース先端部205がないシース103を延出することによって、組織表面301に衝突する可能性があり得ることを示す。角度付きシース先端部205がないシース103を延出することは、望ましくない効果を有し得る。一例では、組織壁301に対してシース103を延出すると、ヘッド201が組織壁301から移動する場合があり、組織壁301を点線359によって表される新しい壁位置まで相対距離357で遠ざける。(ヘッド201の組織壁301からの相対的移動は、ヘッド201が組織壁301から離れる方向への動き、組織壁301がヘッド201から離れる方向の動き、又はヘッド201及び組織壁301の動きの何らかの組み合わせの結果であり得ると理解されるであろう。)したがって、このような移動は、超音波トランスデューサ250を組織壁301から移動させ、超音波トランスデューサ250が組織壁301又はその背後の組織を走査する能力を低下させることがある。別の例では、角度付きシース先端部205がないシース103を延出すると、組織壁301において組織を膨張し、又は外傷を与える場合がある。組織表面301に対して軸303に沿って延出する際に組織表面301を移動、膨張、又は外傷を与え得るシース103の代わりに、角度付きシース先端部205は、シース103の延出による潜在的な望ましくない影響を防止するために、組織表面301に概ね適合するように成形される。
【0027】
図4及び5は、異なる例示的な角度付きシース先端部405及び505を示す。図4を参照すると、細長い器具450がシース403内に収容されている。細長い器具450は、組織表面、損傷部、又はその他体内から組織試料を引き出すように構成されているサンプリング針であり、開放サンプリング端部454で終端する内部ルーメン452を含む。細長い器具450は、シース403から延出されて、開放サンプリング端部454において組織(図示せず)の試料を採取してもよく、これは次いで、採取及び試験のために真空源によってルーメン452を通って引き出される。しかしながら、図1を参照して詳細に説明されるように、細長い器具450は、電極、切断デバイス、他の装置などの多数の器具のいずれかを含んでもよく、示されるサンプリング針は、例示としてのみ使用され、限定するものではないことを理解されたい。
【0028】
図4の角度付きシース先端部405は、シース403の遠位端413においてシース403と一体に形成される。角度付きシース先端部405は、シース403が形成されるときに、シース403の一部として成形、押出成形、ないしは別の方法で形成され得る。角度付きシース先端部405はまた、シース403の一部分を遠位端413で切断して、角度付きシース先端部405を形成することによって形成されてもよい。シース403及び角度付きシース先端部405は、プラスチック又は任意の他の可撓性材料で形成されてもよい。角度付きシース先端部405は、前述したように、シース403及び角度付きシース先端部405が延出する表面と概ね適合するように、角度付き遠位端425を有する。
【0029】
加えて、シース403は、シース403内に挿入可能であるか、ないしは別の方法で受容可能なインサート410と嵌合されてもよい。インサートは、挿入装置119及びヘッド201(図1、2、3A、及び3B)を通じたシース403の延出を支援する目的で、遠位端413の手前でシース403を補強する目的を果たすことができる。インサート410はまた、シース403及び/又は挿入装置119が体内(図示せず)の所望の位置まで操作されている間に、サンプリング針の潜在的に鋭い開放サンプリング端部454によって引き起こされ得るような、細長い器具450によって引き起こされ得る潜在的損傷からシース403を保護することができる。インサート410は、角度付きシース先端部405のすぐ内側でシース403の遠位端413内に受容されてもよい。図4に示されるように、インサート410は、インサート410の角度付き遠位端423が、角度付きシース先端部405の角度付き遠位端425と概ね平行であるように、角度付き遠位端423を有してもよい。
【0030】
図5を参照すると、別個に形成された角度付きシース先端部505は、シース503の遠位端513に接合される。このような実施形態では、角度付きシース先端部505は、シース503から成形、押出成形、ないしは別の方法で別個に形成されてもよい。角度付きシース先端部505は、プラスチック又は任意の他の好適な可撓性材料で形成されてもよい。角度付きシース先端部505は、接着剤、熱溶接、又はシース503及び角度付きシース先端部505を含む材料を一緒に接合するように動作可能な任意の他の手法によって、シース503の遠位端513に接合されてもよい。
【0031】
また、図4の例示的な実施形態と同様に、シース503は、シース503内に挿入可能であるか、ないしは別の方法で受容可能なインサート510と嵌合されてもよい。インサートは、図4を参照して説明されるように、シース503が挿入装置119を通って延出するのを支援する、又はシース503を細長い器具450によって引き起こされ得る潜在的損傷から保護する目的で、遠位端513の手前でシース503を補強する目的を果たすことができる。図4と同様に、サンプリング針の形態の細長い器具450は、例示として限定するものではなく図5に示される。インサート510は、シース503の遠位端513に受容されてもよい。インサートの遠位端523は、角度付きシース先端部505の遠位端525と同様に角度付けられなくてもよい。代わりに、インサート510の遠位端523は、シース503の遠位端513と概ね平行であってもよい。インサート510は、角度付きシース先端部505がシース503の遠位端513と接触する場所に位置してもよく、角度付きシース先端部505がシース503の遠位端513に接合される接合部への支持を提供することができる。
【0032】
図5を参照して説明されるように、インサート410(角度付き遠位端部423を有する)(図4)は、シース503とは別個に形成される角度付きシース先端部505と共に使用され得ることに留意されたい。一方、図4を参照して説明されるように、インサート510(角度付けられていない遠位端523を有する)(図5)は、シース403と一体に形成された角度付きシース先端部405と共に使用されてもよい。本開示は、図面に文字どおり示される構成要素の特定の構成に限定されず、1つの例示的な実施形態に示される要素は、他の例示的な実施形態に示される要素と組み合わされてもよい。
【0033】
図6を参照すると、角度付きであり、かつ変形可能である角度付きシース先端部605を形成することが望ましい場合がある。角度付きシース先端部605は、角度付きシース先端部605が延出し得る組織表面610と適合するように成形されているが、それにもかかわらず、角度付きシース先端部605は、組織表面610が、角度付きシース先端部605との衝突による何らかの外傷を潜在的に受け得る接触点690において組織壁に影響を与える場合があり、又は、図3Bを参照して前述したように、角度付きシース先端部605を延出すると、組織壁610からのヘッド201の相対的移動をもたらし得る。したがって、角度付きシース先端部605は、変形665によるひずみの吸収を可能にするように形成されてもよく、そうでない場合は、角度付きシース先端部605と組織表面610との間の接触から外傷を引き起こす可能性がある。
【0034】
ある変形度の提供には、図7A及び7Bを参照すると、角度付きシース先端部705及び755はそれぞれ、各角度付きシース先端部が延出する、それぞれシース703及び753の構造とは異なる構造を含んでもよい。図7Aを参照すると、角度付きシース先端部705は、シース703と同じ材料で形成されてもよいが、シース703とは異なる壁厚を有してもよい。角度付きシース先端部705は、シース703と共に形成されてもよく、又は角度付きシース先端部705は、シース703とは別に形成された後、図4及び5を参照して前述したように、シースと接合されてもよい。角度付きシース先端部705の壁厚745は、シース703の壁厚743と異なっていてもよい。例えば、角度付きシース先端部705の壁厚745は、シース703の壁厚743よりも薄くてもよい。その結果、角度付きシース先端部705がシース703と同じ材料で構成されても、角度付きシース先端部705が、シース703よりも変形可能であり得る。
【0035】
図7Bを参照すると、角度付きシース先端部755は、シース773が構成される材料783とは異なる材料785で構成されてもよい。角度付きシース先端部755の材料785は、シース753を形成する際に使用される材料783よりも柔軟であるか、又はより変形可能であり、それによって、角度付きシース先端部755を、シース753よりも変形可能にすることができる。角度付きシース先端部755の壁厚795は、シース753の壁厚793と同じであっても異なっていてもよい。図3Bを参照して前述したように、角度付きシース先端部の成形と共に、器具と組織壁との間の影響がある外傷又は望ましくない移動の低減又は防止を潜在的に助けるために、異なる材料及び/又は異なる壁厚を組み合わせて、所望の変形度を有する角度付きシース先端部を存在させることができる。
【0036】
図8を参照すると、シースを介して細長い器具を展開するためにシース先端部を使用する例示的な方法800が提供される。方法800は、ブロック805にて開始する。ブロック810において、シース内のルーメンを通って体内に搬送される細長い器具が準備され、このときシースは、組織の表面に対してある角度で組織に向かって延出される。シースは、シースの遠位端にシース先端部を含み、ここでシースの遠位端は角度を付けられており、遠位端でシース先端部の周辺部が、シースが延出可能な組織の表面に概ね適合するように構成されている。細長い器具を使用するための準備は、例えば、細長い器具を収容するシースを挿入システムに挿入すること、挿入システムを体内の所望の位置まで操作すること、又は論理的に細長い器具の展開又は使用を進め得る他の工程を含んでもよい。例示的な方法800によって使用可能な角度付きシース先端部の構成は、図2、3A、3B、4、5、6、7A、及び7Bを参照して説明される。
【0037】
ブロック820において、細長い器具を搬送するシースは、体内に挿入される。細長い器具の挿入は、図1、2A、3A、3B、4、5、及び6を参照して説明される。方法800は、ブロック825にて終了する。
【0038】
シースを介して細長い器具を体内に挿入するために使用されるシース先端部の本発明の説明は、記載される細長い器具の種類、又は生体内の医療器具の用途のいずれにも限定されないことが理解されるであろう。記載されたものの性質のシース先端部は、ルーメンがある表面に接触し、損傷がその表面に対するルーメンの影響から生じる可能性がある任意の用途で使用することができる。
【0039】
上に示した発明を実施するための形態は、本質的に単に例示的なものであり、請求項に係る主題の主旨及び/又は趣旨から逸脱しない変形が、請求項の範囲内にあることが意図される、と理解されよう。このような変形は、請求項に係る主題の趣旨及び範囲から逸脱するものとしてみなされない。
【符号の説明】
【0040】
100 例示的システム、システム
101 ユーザーインターフェース
103 シース
113 遠位端
114 電源、発電機、器具制御システム
116 導電性流体源、器具制御システム
118 挿入制御システム
119 挿入装置
120 足踏み式ユニット
122 ペダル
124 ペダル
130 導体
131 出口
132 管
134 電気コネクタ
148 ポート
201 ヘッド
205 シース先端部
207 ルーメン
209 周辺部
250 超音波トランスデューサ
254 カメラ
256 光源
301 組織表面、組織壁
303 軸
355 突起
357 相対距離
359 点線
403 シース
405 シース先端部
410 インサート
413 遠位端
423 遠位端部、遠位端
425 遠位端
450 器具
452 内部ルーメン
454 開放サンプリング端部
503 シース
505 シース先端部
510 インサート
513 遠位端
523 遠位端
525 遠位端
605 シース先端部
610 組織表面、組織壁
665 変形
690 接触点
703 シース
705 シース先端部
743 壁厚
745 壁厚
753 シース
755 シース先端部
773 シース
783 材料
785 材料
793 壁厚
795 壁厚
800 方法
805 ブロック
810 ブロック
820 ブロック
825 ブロック
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8