(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電動アシスト自転車
(51)【国際特許分類】
B62M 6/90 20100101AFI20231205BHJP
B62M 6/40 20100101ALI20231205BHJP
B62J 43/13 20200101ALI20231205BHJP
【FI】
B62M6/90
B62M6/40
B62J43/13
(21)【出願番号】P 2019113523
(22)【出願日】2019-06-19
【審査請求日】2021-12-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112978
【氏名又は名称】ブリヂストンサイクル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 寛
(72)【発明者】
【氏名】須藤 康介
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-037162(JP,A)
【文献】特開2000-050418(JP,A)
【文献】実開昭55-047488(JP,U)
【文献】特開2012-212594(JP,A)
【文献】特開2002-037163(JP,A)
【文献】特開2000-302075(JP,A)
【文献】特開平04-358986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 9/00- 9/40,
11/00-11/26,
43/00-43/30,99/00
B62M 6/40- 6/70, 6/90
B60K 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪および後輪を回転可能に支持した自転車用フレームと、
前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも一方を回転させる駆動力を生成するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、を備えた電動アシスト自転車であって、
前記バッテリは、
長手方向に延びる中心軸線が左右方向に延びる第1バッテリセルと、
長手方向に延びる中心軸線が前後方向に延びる第2バッテリセルと、を備え、
前記第1バッテリセルは、前記自転車用フレームのうち、上端部にサドルが取り付けられたシートチューブと、前記後輪と、の間に設けられ、
前記第2バッテリセルは、前記後輪に左右方向で隣り合い、かつ上下方向に沿って複数設けられ、前記第2バッテリセルの中心軸線は、後方から前方に向かうに従い、上方に向けて延び
、
前記第2バッテリセルは、運転者から見て、前記シートチューブ、および前記後輪のうちの少なくとも一方の右側において、前記自転車用フレームのうちのチェーンカバーの上方に設けられている、電動アシスト自転車。
【請求項2】
前輪および後輪を回転可能に支持した自転車用フレームと、
前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも一方を回転させる駆動力を生成するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、を備えた電動アシスト自転車であって、
前記バッテリは、
長手方向に延びる中心軸線が左右方向に延びる第1バッテリセルと、
長手方向に延びる中心軸線が前後方向に延びる第2バッテリセルと、を備え、
前記第1バッテリセルは、前記自転車用フレームのうち、上端部にサドルが取り付けられたシートチューブと、前記後輪と、の間に設けられ、
前記第2バッテリセルは、前記シートチューブに左右方向で隣り合っている、電動アシスト自転車。
【請求項3】
前輪および後輪を回転可能に支持した自転車用フレームと、
前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも一方を回転させる駆動力を生成するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、を備えた電動アシスト自転車であって、
前記バッテリは、
表裏面が前後方向を向く板状の第1バッテリセルと、
表裏面が左右方向を向く板状の第2バッテリセルと、を備え、
前記第1バッテリセルは、前記自転車用フレームのうち、上端部にサドルが取り付けられたシートチューブと、前記後輪と、の間に設けられ、
前記第2バッテリセルは、前記シートチューブ、および前記後輪のうちの少なくとも一方に左右方向で隣り合っている、電動アシスト自転車。
【請求項4】
前記第2バッテリセルは、運転者から見て、前記シートチューブ、および前記後輪のうちの少なくとも一方の左側に設けられている、請求項
2または3に記載の電動アシスト自転車。
【請求項5】
前記第2バッテリセルは、運転者から見て、前記シートチューブ、および前記後輪のうちの少なくとも一方の右側において、前記自転車用フレームのうちのチェーンカバーの上方に設けられている、請求項
2または3に記載の電動アシスト自転車。
【請求項6】
前記第1バッテリセルにおける左右方向の中央部は、前記前輪および前記後輪それぞれにおける左右方向の中央部に対して左右方向にずれている、請求項1から5のいずれか1項に記載の電動アシスト自転車。
【請求項7】
前輪および後輪を回転可能に支持した自転車用フレームと、
前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも一方を回転させる駆動力を生成するモータと、
前記モータに電力を供給するバッテリと、を備えた電動アシスト自転車であって、
前記バッテリは、
長手方向に延びる中心軸線が左右方向に延びる第1バッテリセルと、
長手方向に延びる中心軸線が前後方向に延びる第2バッテリセルと、を備え、
前記第1バッテリセルは、前記自転車用フレームのうち、上端部にサドルが取り付けられたシートチューブと、前記後輪と、の間に設けられ、
前記第2バッテリセルは、前記後輪に左右方向で隣り合い、
前記第2バッテリセルは、運転者から見て、前記シートチューブ、および前記後輪のうちの少なくとも一方の右側において、前記自転車用フレームのうちのチェーンカバーの上方に設けられている、電動アシスト自転車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動アシスト自転車に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、前輪および後輪を回転可能に支持した自転車用フレームと、前輪および後輪のうちの少なくとも一方を回転させる駆動力を生成するモータと、モータに電力を供給するバッテリと、を備えた電動アシスト自転車が知られている。この種の電動アシスト自転車として、バッテリが、例えば下記特許文献1に示されるように、第1バッテリセルと、中心軸線が第1バッテリセルの中心軸線に交差する方向に延びる第2バッテリセルと、を備えるとともに、自転車用フレームのうち、上端部にサドルが取り付けられたシートチューブと、後輪と、の間に設けられた構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の電動アシスト自転車では、シートチューブと後輪との間にバッテリが設けられていることもあり、左右方向から見た側面視において、シートチューブの直下に位置する、ペダルクランクの回転中心と、後輪の回転中心と、の最短距離(以下、リアセンター長さという)を短く抑えることが困難であるという問題があった。
リアセンター長さが長くなると、操縦性が悪化するおそれがあり、また、電動アシスト自転車の前後方向の長さを法規上の長さ以下に抑える必要があるところ、リアセンター長さを短くすることができない場合に、前記側面視において、ペダルクランクの回転中心と、前輪の回転中心と、の最短距離を短くすると、例えば、ハンドルステムが挿通されたヘッドチューブと、シートチューブと、の間の前後方向の距離が短くなり、ヘッドチューブとシートチューブとを連結するトップチューブ、若しくはダウンチューブを左右方向に跨ぎにくくなったり、ペダルと前輪との間の距離が短くなったりする等のおそれがある。
【0005】
この発明は、このような事情を考慮してなされたもので、リアセンター長さを短く抑えることができる電動アシスト自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の電動アシスト自転車は、前輪および後輪を回転可能に支持した自転車用フレームと、前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも一方を回転させる駆動力を生成するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、を備えた電動アシスト自転車であって、前記バッテリは、長手方向に延びる中心軸線が左右方向に延びる第1バッテリセルと、長手方向に延びる中心軸線が前後方向に延びる第2バッテリセルと、を備え、前記第1バッテリセルは、前記自転車用フレームのうち、上端部にサドルが取り付けられたシートチューブと、前記後輪と、の間に設けられ、前記第2バッテリセルは、前記シートチューブ、および前記後輪のうちの少なくとも一方に左右方向で隣り合っている。
【0007】
この発明によれば、シートチューブと後輪との間に、長手方向に延びる中心軸線が左右方向に延びる第1バッテリセルが設けられているので、長手方向に延びる中心軸線が前後方向に延びる第2バッテリセルを設ける場合と比べて、シートチューブと後輪との間の前後方向の隙間を狭く抑えることが可能になり、左右方向から見た側面視において、シートチューブの直下に位置する、ペダルクランクの回転中心と、後輪の回転中心と、の最短距離(以下、リアセンター長さという)を短く抑えることができる。
バッテリが、第1バッテリセルだけでなく、第2バッテリセルも備えているので、リアセンター長さが短く抑えられた分、バッテリセルの数量が低減するのを防ぐことが可能になり、モータへの供給電力を確保することができる。
中心軸線が前後方向に延びる第2バッテリセルが、シートチューブ、および後輪のうちの少なくとも一方に左右方向で隣り合っているので、第2バッテリセルの、シートチューブ、若しくは後輪からの左右方向の張り出しを抑えることができる。
【0008】
また、本発明の電動アシスト自転車は、前輪および後輪を回転可能に支持した自転車用フレームと、前記前輪および前記後輪のうちの少なくとも一方を回転させる駆動力を生成するモータと、前記モータに電力を供給するバッテリと、を備えた電動アシスト自転車であって、前記バッテリは、表裏面が前後方向を向く板状の第1バッテリセルと、表裏面が左右方向を向く板状の第2バッテリセルと、を備え、前記第1バッテリセルは、前記自転車用フレームのうち、上端部にサドルが取り付けられたシートチューブと、前記後輪と、の間に設けられ、前記第2バッテリセルは、前記シートチューブ、および前記後輪のうちの少なくとも一方に左右方向で隣り合っている。
【0009】
この発明によれば、シートチューブと後輪との間に、表裏面が前後方向を向く板状の第1バッテリセルが設けられているので、表裏面が左右方向を向く板状の第2バッテリセルを設ける場合と比べて、シートチューブと後輪との間の前後方向の隙間を狭く抑えることが可能になり、リアセンター長さを短く抑えることができる。
バッテリが、第1バッテリセルだけでなく、第2バッテリセルも備えているので、リアセンター長さが短く抑えられた分、バッテリセルの数量が低減するのを防ぐことが可能になり、モータへの供給電力を確保することができる。
表裏面が左右方向を向く板状の第2バッテリセルが、シートチューブ、および後輪のうちの少なくとも一方に左右方向で隣り合っているので、第2バッテリセルの、シートチューブ、若しくは後輪からの左右方向の張り出しを抑えることができる。
【0010】
ここで、前記第2バッテリセルは、運転者から見て、前記シートチューブ、および前記後輪のうちの少なくとも一方の左側に設けられてもよい。
【0011】
この場合、第2バッテリセルが、運転者から見て、シートチューブ、および後輪のうちの少なくとも一方の左側に設けられているので、例えば、第1バッテリセルおよび第2バッテリセルを上下方向に沿って数多く設けたことで、バッテリの下端部が、自転車用フレームのうちのチェーンカバーの上端部より下方に位置しても、このバッテリを自転車用フレームに着脱する際に、チェーンおよびチェーンカバー等が妨げになるのを防ぐことが可能になり、供給電力が高いバッテリであっても自転車用フレームに容易に着脱することができる。
【0012】
また、前記第2バッテリセルは、運転者から見て、前記シートチューブ、および前記後輪のうちの少なくとも一方の右側において、前記自転車用フレームのうちのチェーンカバーの上方に設けられてもよい。
【0013】
この場合、第2バッテリセルが、運転者から見て、シートチューブ、および後輪のうちの少なくとも一方の右側において、チェーンカバーの上方に設けられている。これにより、バッテリを自転車用フレームに着脱する際に、チェーンおよびチェーンカバー等が妨げになるのを防ぐことが可能になり、バッテリを自転車用フレームに容易に着脱することができるとともに、チェーンカバーの直上のスペースに、第2バッテリセルを位置させることが可能になり、第2バッテリセルの、シートチューブ、若しくは後輪からの左右方向の張り出しを抑えることができる。
【0014】
また、前記第1バッテリセルにおける左右方向の中央部は、前記前輪および前記後輪それぞれにおける左右方向の中央部に対して左右方向にずれてもよい。
【0015】
この場合、第1バッテリセルにおける左右方向の中央部が、前輪および後輪それぞれにおける左右方向の中央部に対して左右方向にずれているので、第1バッテリセルの、自転車用フレームからの、右側および左側のうちのいずれか一方への張り出しを確実に抑えることできる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、リアセンター長さを短く抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る第1実施形態として示した電動アシスト自転車の側面図である。
【
図3】
図1に示すバッテリの第1バッテリセルおよび第2バッテリセルを右側から見た概略図である。
【
図4】
図1に示すバッテリの第1バッテリセルおよび第2バッテリセルを前方から見た概略図である。
【
図5】本発明に係る第1変形例として示した電動アシスト自転車の要部を上方から見た概略図である。
【
図6】本発明に係る第2変形例として示した電動アシスト自転車の要部を上方から見た概略図である。
【
図7】本発明に係る第2実施形態として示した電動アシスト自転車の側面図である。
【
図9】本発明に係る第3実施形態として示した電動アシスト自転車の要部を上方から見た概略図である。
【
図10】
図9に示すバッテリの第1バッテリセルおよび第2バッテリセルを右側から見た概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る電動アシスト自転車1の第1実施形態を、
図1から
図4を参照しながら説明する。
電動アシスト自転車1は、自転車用フレーム11、モータ12、およびバッテリ13を備えている。
以下の説明にあたり、運転者から見て、前側(
図1の右側)を前側、後側(
図1の左側)を後側、左側(
図1の紙面奥側)を左側、右側(
図1の紙面手前側)を右側として説明する。
【0019】
自転車用フレーム11は、前輪14および後輪15を回転可能に支持しており、フロントフォーク21、ヘッドパイプ22、トップチューブ23、ダウンチューブ24、シートチューブ19、シートステー25、チェーンステー26、およびチェーンカバー27等を備えている。
【0020】
フロントフォーク21は、上下方向に延び、電動アシスト自転車1の前部に配置されている。フロントフォーク21の下端部に、前輪14が回転可能に取り付けられている。フロントフォーク21の上端部から、ヘッドパイプ22が上方に向けて延びている。ヘッドパイプ22から、トップチューブ23が後方に向かうに従い、下方に向けて延びている。ヘッドパイプ22において、トップチューブ23の前端部との接続部分より下方に位置する部分から、ダウンチューブ24が後方に向かうに従い、下方に向けて延びている。
【0021】
ダウンチューブ24の後端部から、シートチューブ19が上方に向かうに従い、後方に向けて延びている。シートチューブ19において、上端部と下端部との間に位置する中間部に、トップチューブ23の後端部が接続されている。シートチューブ19の上端部から、シートステー25が後方に向かうに従い、下方に向けて延びている。ダウンチューブ24の後端部から、チェーンステー26が後方に向けて延びている。シートステー25の後端部と、チェーンステー26の後端部と、が後輪15の車軸近傍において互いに接続されている。後輪15には、図示しないスプロケット(以下「後側スプロケット」という)が後輪15と同軸上に配置されて取り付けられている。
【0022】
ヘッドパイプ22内に、ハンドルステム28が回転可能に挿入されている。ハンドルステム28の上端部に、左右方向に突出したハンドル29が配設されている。
シートチューブ19の上端部内にシートポスト31が上下動可能に嵌合されている。シートポスト31の上端部にサドル32が取り付けられている。すなわち、サドル32は、シートチューブ19の上端部にシートポスト31を介して取り付けられている。
【0023】
シートチューブ19の下端部と、チェーンステー26の前端部と、の接続部分に、図示しないスプロケット(以下「前側スプロケット」という)、およびペダルクランク33の一端部が取り付けられており、ペダルクランク33の他端部に、ペダル34が取り付けられている。ペダルクランク33は、一端部回りに回動可能に支持されている。ペダル34は、ペダルクランク33の他端部に、左右方向に延びる回転軸周りに回転可能に支持されている。ペダルクランク33およびペダル34は、左右一対配設されている。
【0024】
前側スプロケット、および後側スプロケットには、チェーン35が巻回されている。ペダル34に運転者などの踏力が加えられると、前側スプロケットが回転する。前側スプロケットの回転は、チェーン35を介して後側スプロケットに伝達されて後側スプロケットが回転し、後側スプロケットの回転によって後輪15が回転する。
チェーンカバー27は、前側スプロケット、およびチェーン35を、前後方向の全長にわたって上方から覆っている。チェーンカバー27、前側スプロケット、後側スプロケット、およびチェーン35は、シートチューブ19、および後輪15の右側に位置している。
【0025】
モータ12は、前輪14の車軸に取り付けられている。モータ12は、前輪14を回転させる駆動力を生成する。モータ12の回転は、図示しない減速機構によって減速され前輪14に伝達される。モータ12は、前輪14に補助トルクを付加する。モータ12としては、例えばブラシレスDCモータ等を用いることができる。
なお、モータ12は、後輪15の車軸に取り付けられてもよいし、前輪14および後輪15双方の車軸に取り付けられてもよい。
モータを、前側スプロケット付近、若しくは後側スプロケット付近に取り付けてもよい。このモータからチェーン35等を介して後輪15に補助トルクを付加してもよい。
【0026】
バッテリ13は、自転車用フレーム11に着脱可能に取り付けられている。バッテリ13は、モータ12に電気的に接続されており、モータ12に電力を供給する。バッテリ13は、例えばリチウムイオン二次電池等とされ、充電を行うことによって繰り返し使用することができる。モータ12が回生電力を生成可能である場合には、この回生電力によってバッテリ13を充電することも可能である。
図1および
図2に示されるように、バッテリ13は、チェーンカバー27より左側に位置している。バッテリ13の下端部は、チェーンカバー27の上端部より下方に位置している。なお、バッテリ13の下端部は、チェーンカバー27の上端部より上方に位置してもよい。
【0027】
図2に示されるように、バッテリ13は、長手方向に延びる中心軸線O1が左右方向に延びる第1バッテリセル16と、長手方向に延びる中心軸線O2が前後方向に延びる第2バッテリセル17と、を備えている。第1バッテリセル16および第2バッテリセル17は、互いに同じ形状で、同じ大きさに形成されている。なお、第1バッテリセル16および第2バッテリセル17は、互いに異なる形状で、異なる大きさに形成されてもよい。
【0028】
図示の例では、第1バッテリセル16は、左右方向に沿って真直ぐ延び、第2バッテリセル17は、後方から前方に向かうに従い、上方に向けて延びている。
なお、第1バッテリセル16は、左右方向に対して傾斜してもよい。第2バッテリセル17は、前後方向に真直ぐ延びてもよいし、後方から前方に向かうに従い、下方に向けて延びてもよい。
【0029】
第1バッテリセル16および第2バッテリセル17は、円柱状に形成されている。なお、第1バッテリセル16および第2バッテリセル17は、例えば角柱状等に形成されてもよい。第1バッテリセル16および第2バッテリセル17は、1つのケース体36に収容されている。バッテリ13は、ケース体36に収容されるとともに、第1バッテリセル16および第2バッテリセル17等に電気的に接続された不図示の回路基板、および入力端子等を備えている。
なお、第1バッテリセル16および第2バッテリセル17は、互いに独立したケース体に収容されてもよい。
【0030】
第1バッテリセル16は、シートチューブ19と後輪15との間に設けられている。第1バッテリセル16における左右方向の中央部は、前輪14および後輪15それぞれにおける左右方向の中央部に対して左右方向にずれている。図示の例では、第1バッテリセル16における左右方向の中央部は、前輪14および後輪15それぞれにおける左右方向の中央部に対して、運転者から見た左側にずれている。第1バッテリセル16は、シートチューブ19と後輪15との間の前後方向の隙間から左側に突出している。
【0031】
なお、第1バッテリセル16における左右方向の中央部は、前輪14および後輪15それぞれにおける左右方向の中央部に対して、運転者から見た右側にずれてもよいし、第1バッテリセル16、前輪14、および後輪15それぞれにおける左右方向の中央部を、互いに一致させてもよい。また、第1バッテリセル16は、シートチューブ19と後輪15との間の前後方向の隙間から右側に突出してもよい。
【0032】
第2バッテリセル17は、シートチューブ19、および後輪15のうちの少なくとも一方に左右方向で隣り合っている。図示の例では、第2バッテリセル17は、後輪15に左右方向で隣り合っている。
なお、第2バッテリセル17は、
図5に示されるように、シートチューブ19に左右方向で隣り合ってもよいし、シートチューブ19、および後輪15の双方に左右方向で隣り合ってもよい。後者の場合、第2バッテリセル17は、第1バッテリセル16を前後方向に跨いで設けられてもよいし、第1バッテリセル16を前後方向に挟む両側に各別に設けられてもよい。
【0033】
第2バッテリセル17は、運転者から見て、シートチューブ19、および後輪15のうちの少なくとも一方の左側に設けられている。
図2に示されるように、第2バッテリセル17は、後輪15の左側に設けられている。第2バッテリセル17、および第1バッテリセル16それぞれの上下方向の位置は、互いに同じになっている。第2バッテリセル17の中心軸線O2は、第1バッテリセル16における左右方向の中央部より左側に位置している。
【0034】
図3および
図4に示されるように、第1バッテリセル16は、上下方向に沿って複数(図示の例では10個)設けられている。第1バッテリセル16は、前後方向に沿って複数(図示の例では2個)設けられている。複数の第1バッテリセル16のうち、上下方向に沿って設けられた個数は、前後方向に沿って設けられた個数より多くなっている。
なお、複数の第1バッテリセル16のうち、上下方向に沿って設けられた個数を、前後方向に沿って設けられた個数以下としてもよい。
【0035】
第2バッテリセル17は、上下方向に沿って複数(図示の例では10個)設けられている。第2バッテリセル17は、左右方向に沿って複数(図示の例では2個)設けられている。複数の第2バッテリセル17のうち、上下方向に沿って設けられた個数は、左右方向に沿って設けられた個数より多くなっている。
なお、複数の第2バッテリセル17のうち、上下方向に沿って設けられた個数を、左右方向に沿って設けられた個数以下としてもよい。
【0036】
図2および
図4に示されるように、左右方向に沿って設けられた複数の第2バッテリセル17のうち、シートチューブ19、および後輪15に最も近い右端に位置する第2バッテリセル17は、第1バッテリセル16と前後方向で対向している。
なお、複数の第2バッテリセル17の全てを、
図6に示されるように、第1バッテリセル16から左右方向に離してもよいし、第1バッテリセル16と前後方向で対向させてもよい。
【0037】
以上説明したように、本実施形態による電動アシスト自転車1によれば、シートチューブ19と後輪15との間に、中心軸線O1が左右方向に延びる第1バッテリセル16が設けられているので、中心軸線O2が前後方向に延びる第2バッテリセル17を設ける場合と比べて、シートチューブ19と後輪15との間の前後方向の隙間を狭く抑えることが可能になり、左右方向から見た側面視において、シートチューブ19の直下に位置する、ペダルクランク33の回転中心と、後輪15の回転中心と、の最短距離(以下、リアセンター長さという)Aを短く抑えることができる。
【0038】
バッテリ13が、第1バッテリセル16だけでなく、第2バッテリセル17も備えているので、リアセンター長さAが短く抑えられた分、バッテリセルの数量が低減するのを防ぐことが可能になり、モータ12への供給電力を確保することができる。
中心軸線O2が前後方向に延びる第2バッテリセル17が、シートチューブ19、および後輪15のうちの少なくとも一方に左右方向で隣り合っているので、第2バッテリセル17の、シートチューブ19、若しくは後輪15からの左右方向の張り出しを抑えることができる。
【0039】
第2バッテリセル17が、運転者から見て、シートチューブ19、および後輪15のうちの少なくとも一方の左側に設けられているので、第1バッテリセル16および第2バッテリセル17を上下方向に沿って数多く設けたことで、バッテリ13の下端部が、チェーンカバー27の上端部より下方に位置しても、このバッテリ13を自転車用フレーム11に着脱する際に、チェーン35およびチェーンカバー27等が妨げになるのを防ぐことが可能になり、供給電力が高いバッテリ13であっても自転車用フレーム11に容易に着脱することができる。
【0040】
第1バッテリセル16における左右方向の中央部が、前輪14および後輪15それぞれにおける左右方向の中央部に対して左右方向にずれているので、第1バッテリセル16の、自転車用フレーム11からの、右側および左側のうちのいずれか一方への張り出しを確実に抑えることできる。
【0041】
次に、本発明の第2実施形態に係る電動アシスト自転車2を、
図7および
図8を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0042】
本実施形態の電動アシスト自転車2が備えるバッテリ41では、第2バッテリセル17が、運転者から見て、シートチューブ19、および後輪15のうちの少なくとも一方の右側において、チェーンカバー27の上方に設けられている。
図示の例では、バッテリ41の下端部は、チェーンカバー27の上端部より上方に位置している。すなわち、第1バッテリセル16および第2バッテリセル17の双方が全て、チェーンカバー27の上端部より上方に位置している。
【0043】
第2バッテリセル17は、後輪15の右側において、チェーンカバー27の上方に位置する部分に設けられている。第1バッテリセル16は、シートチューブ19と後輪15との間の前後方向の隙間から右側に突出している。なお、第1バッテリセル16は、シートチューブ19と後輪15との間の前後方向の隙間から左側に突出してもよい。
第1バッテリセル16の右側の端部は、チェーンカバー27の上端部と上下方向で対向している。第2バッテリセル17の中心軸線O2は、第1バッテリセル16における左右方向の中央部より右側に位置している。左右方向に沿って設けられた複数の第2バッテリセル17のうち、シートチューブ19、および後輪15に最も近い左端に位置する第2バッテリセル17は、第1バッテリセル16と前後方向で対向している。
【0044】
以上説明したように、本実施形態による電動アシスト自転車2によれば、前記実施形態の電動アシスト自転車1と同様に、バッテリ41からモータ12への供給電力を確保し、かつ第2バッテリセル17の、シートチューブ19、若しくは後輪15からの左右方向の張り出しを抑えつつ、リアセンター長さAを短く抑えることができる。
【0045】
さらに、本実施形態では、第2バッテリセル17が、運転者から見て、シートチューブ19、および後輪15のうちの少なくとも一方の右側において、チェーンカバー27の上方に設けられている。これにより、バッテリ41を自転車用フレーム11に着脱する際に、チェーン35およびチェーンカバー27等が妨げになるのを防ぐことが可能になり、バッテリ41を自転車用フレーム11に容易に着脱することができるとともに、チェーンカバー27の直上のスペースに、第2バッテリセル17を位置させることが可能になり、第2バッテリセル17の、シートチューブ19、若しくは後輪15からの左右方向の張り出しを抑えることができる。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態に係る電動アシスト自転車3を、
図9および
図10を参照しながら説明する。
なお、この第3実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0047】
本実施形態の電動アシスト自転車3が備えるバッテリ42では、第1バッテリセル43および第2バッテリセル44がラミネート型とされており、第1バッテリセル43が、表裏面が前後方向を向く板状に形成され、第2バッテリセル44が、表裏面が左右方向を向く板状に形成されている。第1バッテリセル43の板厚方向が、前後方向と一致し、第2バッテリセル43の板厚方向が、左右方向と一致している。第1バッテリセル43は、前後方向から見て四角形状を呈し、第2バッテリセル44は、左右方向から見て四角形状を呈する。
【0048】
第1バッテリセル43は、シートチューブ19と後輪15との間に設けられ、第2バッテリセル44は、シートチューブ19、および後輪15のうちの少なくとも一方に左右方向で隣り合っている。第1バッテリセル43の表裏面は、シートチューブ19と平行に延びている。
【0049】
以上説明したように、本実施形態による電動アシスト自転車3によれば、前記実施形態の電動アシスト自転車1と同様に、バッテリ42からモータ12への供給電力を確保し、かつ第2バッテリセル44の、シートチューブ19、若しくは後輪15からの左右方向の張り出しを抑えつつ、リアセンター長さAを短く抑えることができる。
【0050】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0051】
第1バッテリセル16、43および第2バッテリセル17、44はそれぞれ、1個ずつであってもよい。
二輪に限らず、三輪以上の車輪を有する電動アシスト自転車であってもよい。
【0052】
前記第1実施形態において、第1バッテリセル16および第2バッテリセル17として、ラミネート型を採用してもよい。
例えば、第1バッテリセル16として、表裏面が上下方向を向き、上下方向から見て左右方向に長く、かつ前後方向に短い長方形状を呈する板状体を採用してもよい。この場合、第1バッテリセル16の長手方向に延びる、第1バッテリセル16の中心軸線O1が左右方向に延びている。この中心軸線O1は、第1バッテリセル16において、短手方向および板厚方向の双方の中央部を通っている。
第2バッテリセル17として、例えば、表裏面が上下方向を向き、上下方向から見て前後方向に長く、かつ左右方向に短い長方形状を呈する板状体を採用してもよい。この場合、第2バッテリセル17の長手方向に延びる、第2バッテリセル17の中心軸線O2が前後方向に延びている。この中心軸線O2は、第2バッテリセル17において、短手方向および板厚方向の双方の中央部を通っている。
【0053】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1、2、3 電動アシスト自転車
11 自転車用フレーム
12 モータ
13、41、42 バッテリ
14 前輪
15 後輪
16、43 第1バッテリセル
17、44 第2バッテリセル
19 シートチューブ
27 チェーンカバー
32 サドル
O1、O2 中心軸線