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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】加圧加熱装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
H01L21/60 311T
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019145415
(22)【出願日】2019-08-07
(65)【公開番号】P2021027244
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】石本 達也
(72)【発明者】
【氏名】徳宮 孝弘
(72)【発明者】
【氏名】小松 明浩
(72)【発明者】
【氏名】リ ジュンハ
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンボム
【審査官】堀江 義隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-130269(JP,A)
【文献】特開2011-211156(JP,A)
【文献】特開平08-139047(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 21/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
チャンバ内の被加熱物に対して加圧加熱処理を行う加圧加熱装置であって、
前記被加熱物が載置されるステージと、
前記ステージに対向して配置されて、前記被加熱物に対して光を照射しながら、前記被加熱物を非接触で加熱する加熱用光源と、
前記ステージの周囲に配置されて、前記加熱用光源から出射された光を前記被加熱物に向けて反射する下側リフレクタとを備え、
前記加熱用光源は、前記チャンバの外部に配置されたレーザ光源であり、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を前記被加熱物に照射される光へと変換するビームエキスパンダを備え、
前記チャンバには、前記被加熱物に照射される光を透過させる窓部が設けられていることを特徴とする加圧加熱装置。
【請求項2】
チャンバ内の被加熱物に対して加圧加熱処理を行う加圧加熱装置であって、
前記被加熱物が載置されるステージと、
前記ステージに対向して配置されて、前記被加熱物に対して光を照射しながら、前記被加熱物を非接触で加熱する加熱用光源と、
前記ステージの周囲に配置されて、前記加熱用光源から出射された光を前記被加熱物に向けて反射する下側リフレクタとを備え、
前記下リフレクタは、斜め上向きに傾斜した反射面を有して、前記ステージの周囲を囲むように配置されていることを特徴とする加圧加熱装置。
【請求項3】
前記加熱用光源は、前記チャンバの内部に配置されたハロゲンランプであり、
前記加熱用光源の前記ステージと対向する側とは反対側に配置されて、前記加熱用光源から出射された光を前記被加熱物に向けて反射する上側リフレクタを備えることを特徴とする請求項2に記載の加圧加熱装置。
【請求項4】
前記加熱用光源は、前記チャンバの外部に配置されたレーザ光源であり、
前記レーザ光源から出射されたレーザ光を前記被加熱物に照射される光へと変換するビームエキスパンダを備え、
前記チャンバには、前記被加熱物に照射される光を透過させる窓部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の加圧加熱装置。
【請求項5】
前記ステージと前記加熱用光源との間に配置されて、前記被加熱物に対する光の照射と遮断とを切り替えるシャッタ機構を備えることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の加圧加熱装置。
【請求項6】
前記加熱用光源は、前記ステージと対向する面内に並んで配置された複数の発光素子を有し、
前記ステージと対向する面内を複数の領域に分割し、各領域に配置された前記発光素子毎に前記被加熱物に対して照射される光を制御することを特徴とする請求項1又は2に記載の加圧加熱装置。
【請求項7】
前記チャンバ内の圧力を調整する圧力調整機構を備えることを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の加圧加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、従来の半導体チップの実装工程では、チップを搭載してリフローによるボンディングを行い、ボンディング後のチップの間隙に封止材を充填することが行われている。一方、近年の半導体チップの実装工程では、TSV(Through Silicon Via)技術を用いたチップの三次元による積層化が進み、バンプも微細化してチップの間隙が小さくなっている。このため、上述したボンディング後に、アンダーフィルにより封止材を充填することが極めて困難となっている。
【0003】
そこで、NCF(Non Conductive Film)などのウェハの状態で予め封止材をフィルム状に先貼りする工法が確立されている。NCFを用いた場合、TCB(Thermal Compression Bonding)工法が一般的であり、チップを1つずつウェハ上に位置決めして、加圧加熱処理による封止材の硬化とはんだ接合とを実施している。
【0004】
しかしながら、この半導体チップの実装工程では、チップを1つずつボンディングする必要があるため、生産性が低下する要因となっている。このため、近年の半導体チップの実装工程では、チップの位置決め(プレボンディングという。)と、上述した封止材の硬化及びはんだ接合(ポストボンディングという。)とを別の工程で実施することで、生産性を改善してきている。
【0005】
また、このような課題に対して、リフロー工程を加圧雰囲気下で行うことで、封止材の熱膨張を抑制し、均一な接合と正確な位置精度とを実現する一括接合プロセスが提案されている(例えば、下記特許文献1,2及び下記非特許文献1を参照。)。
【0006】
しかしながら、このようなプロセスでは、封止材料が液体であり、ウェハ上に塗布した封止材の膜厚を平坦化させるのに、ビットによる研磨工程が必要となる。また、研磨工程で生じた削りカスを洗浄により除去する工程と、バンプの酸化膜を除去するのに、表面洗浄及び脱酸素の工程とが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-119358号公報
【文献】特許第5278457号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】66th Electronic Components and Technology Conference予稿集(p.108,2016),“High-throughput Thermal Compression Bonding of 20μm Pitch Cu Pillar with Gas Pressure Bonder for 3D IC Stacking”, L.Xie, S.Wickramanayaka, S.C.Chong, V.N.Sekhar, D.I.Cerano, of IME,A*STAR
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上述した加圧加熱処理を行う加圧加熱装置では、ウェハを一括して加圧加熱処理するため、ウェハの面内温度の均一性と、ウェハを所定温度まで短時間で加熱することが求められる。
【0010】
しかしながら、従来の加圧加熱装置では、ウェハを急速に加熱した場合、ウェハの中央部と外周部との間で温度差が生じてしまい、ウェハの面内温度が不均一となることがあった。
【0011】
本発明の一つの態様は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、被加熱物を短時間に且つ均一に加熱することを可能とした加圧加熱装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
〔1〕 本発明の一つの態様に係る加圧加熱装置は、チャンバ内の被加熱物に対して加圧加熱処理を行う加圧加熱装置であって、前記被加熱物が載置されるステージと、前記ステージに対向して配置されて、前記被加熱物に対して光を照射しながら、前記被加熱物を非接触で加熱する加熱用光源と、前記ステージの周囲に配置されて、前記加熱用光源から出射された光を前記被加熱物に向けて反射する下側リフレクタとを備え、前記加熱用光源は、前記チャンバの外部に配置されたレーザ光源であり、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を前記被加熱物に照射される光へと変換するビームエキスパンダを備え、前記チャンバには、前記被加熱物に照射される光を透過させる窓部が設けられていることを特徴とする。
〔2〕 本発明の一つの態様に係る加圧加熱装置は、チャンバ内の被加熱物に対して加圧加熱処理を行う加圧加熱装置であって、前記被加熱物が載置されるステージと、前記ステージに対向して配置されて、前記被加熱物に対して光を照射しながら、前記被加熱物を非接触で加熱する加熱用光源と、前記ステージの周囲に配置されて、前記加熱用光源から出射された光を前記被加熱物に向けて反射する下側リフレクタとを備え、前記下リフレクタは、斜め上向きに傾斜した反射面を有して、前記ステージの周囲を囲むように配置されていることを特徴とする。
【0013】
〔3〕 前記〔2〕に記載の加圧加熱装置において、前記加熱用光源は、前記チャンバの内部に配置されたハロゲンランプであり、前記加熱用光源の前記ステージと対向する側とは反対側に配置されて、前記加熱用光源から出射された光を前記被加熱物に向けて反射する上側リフレクタを備えることを特徴とする。
【0014】
〕 前記〔〕に記載の加圧加熱装置において、前記加熱用光源は、前記チャンバの外部に配置されたレーザ光源であり、前記レーザ光源から出射されたレーザ光を前記被加熱物に照射される光へと変換するビームエキスパンダを備え、前記チャンバには、前記被加熱物に照射される光を透過させる窓部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
〕 前記〔1〕~〔〕の何れか一項に記載の加圧加熱装置は、前記ステージと前記加熱用光源との間に配置されて、前記被加熱物に対する光の照射と遮断とを切り替えるシャッタ機構を備えることを特徴とする。
【0016】
〕 前記〔1〕又は〔2〕に記載の加圧加熱装置において、前記加熱用光源は、前記ステージと対向する面内に並んで配置された複数の発光素子を有し、前記ステージと対向する面内を複数の領域に分割し、各領域に配置された前記発光素子毎に前記被加熱物に対して照射される光を制御することを特徴とする。
【0017】
〕 前記〔1〕~〔〕の何れか一項に記載の加圧加熱装置は、前記チャンバ内の圧力を調整する圧力調整機構を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明の一つの態様によれば、被加熱物を短時間に且つ均一に加熱することを可能とした加圧加熱装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1の実施形態に係る加圧加熱装置の概略構成を示す斜視図である。
図2図1に示す加圧加熱装置の概略構成を示す断面図である。
図3図1に示す加圧加熱装置が備えるハロゲンランプの配置を示す平面図である。
図4図1に示す加圧加熱装置が備える下側リフレクタの構成を示し、(A)はその平面図、(B)はその線分X-Xによる断面図である。
図5図1に示す加圧加熱装置が備えるシャッタ機構の開閉方式を例示した断面図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係る加圧加熱装置の概略構成を示す断面図である。
図7】本発明の第3の実施形態に係る加圧加熱装置が備える加熱用光源の概略構成を示す平面図である。
図8】下側リフレクタを例示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の数や寸法比率などが実際と同じであるとは限らないものとする。
【0021】
(第1の実施形態)
先ず、本発明の第1の実施形態として、例えば図1図5に示す加圧加熱装置1Aについて説明する。
なお、図1は、加圧加熱装置1Aの概略構成を示す斜視図である。図2は、加圧加熱装置1Aの概略構成を示す断面図である。図3は、加圧加熱装置1Aが備えるハロゲンランプ4の配置を示す平面図である。図4は、加圧加熱装置1Aが備える下側リフレクタ6の構成を示し、(A)はその平面図、(B)はその線分X-Xによる断面図である。図5は、加圧加熱装置1Aが備えるシャッタ機構7の開閉方式を例示した断面図である。
【0022】
本実施形態の加圧加熱装置1Aは、図1及び図2に示すように、チャンバ2内の被加熱物Wに対して加圧加熱処理を行うものであり、ステージ3と、複数のハロゲンランプ4と、上側リフレクタ5と、下側リフレクタ6と、シャッタ機構7と、圧力調整機構8とを概略備えている。なお、図1では、シャッタ機構7及び圧力調整機構8の図示を省略している。
【0023】
チャンバ2は、上側容器2aと下側容器2bとに分割可能な耐圧容器であり、例えばクラッチ機構などの開閉機構(図示せず。)を介して下側容器2bに対して上側容器2aを上下方向に開閉することが可能となっている。
【0024】
ステージ3は、被加熱物Wが載置される載置面3aを有して、下側容器2bの上面中央部に設置されている。ステージ3には、例えば、載置面3a上に載置されたウェハ(被加熱物W)を吸着する静電チャック(ESC:ElectroStatic Chuck)を備えたサセプタと呼ばれるウェハ載置機構が用いられている。
【0025】
複数のハロゲンランプ4は、加熱用光源として、ステージ3の載置面3上に載置された被加熱物Wに対して赤外光Lを照射しながら、被加熱物Wを非接触で加熱する。複数のハロゲンランプ4は、図1図3に示すように、長尺の石英ガラス管4aの中に赤外発光するタングステンフィラメント4bを有して、上側容器2aの下面側に互いに平行に並んで設置されている。
【0026】
また、複数のハロゲンランプ4は、平面視で円形状となるステージ3の載置面3の形状に合わせて、タングステンフィラメント4bの長さを調整している。すなわち、互いに平行に並ぶ複数のハロゲンランプ4のうち、中央側に位置するハロゲンランプ4のタングステンフィラメント4bの長さを長くし、この中央側を挟んだ両側に位置するハロゲンランプ4のタングステンフィラメント4bの長さを徐々に短くすることによって、ステージ3の載置面3aと対向する位置において、ハロゲンランプ4のタングステンフィラメント4bが最適な長さとなるように配置している。これにより、複数のハロゲンランプ4からステージ3の載置面3a上に載置された被加熱物Wに向けて、赤外光Lを効率良く照射することが可能となっている。
【0027】
上側リフレクタ5は、図1及び図2に示すように、複数のハロゲンランプ4と対向する反射面5aを有して、複数のハロゲンランプ4のステージ3と対向する側とは反対側を覆うように配置されている。これにより、上側リフレクタ5は、複数のハロゲンランプ4から上側容器2a側に向けて出射された赤外光Lをステージ3の載置面3a上に載置された被加熱物Wに向けて反射する。
【0028】
また、上側リフレクタ5は、反射面5aの周囲に集光機能を持たせたものであってもよい。これにより、反射面5aの周囲に向けて照射される赤外光Lを集光しながら反射し、ステージ3の載置面3a上に載置された被加熱物Wに向けて赤外光Lを効率良く照射することが可能である。
【0029】
下側リフレクタ6は、図1図2及び図4(A),(B)に示すように、斜め上向きに傾斜した反射面6aを有して、ステージ3の周囲を囲むように配置されている。下側リフレクタ6は、平面視で矩形状(本実施形態では正方形状)を為すと共に、その中央部にステージ3に対応した平面視で円形状の孔部6bと、その四方を囲む4つの反射面6aとを有している。4つの反射面6aは、互いの境界線を挟んで斜め上向きに傾斜している。
【0030】
これにより、下側リフレクタ6は、複数のハロゲンランプ4から出射された赤外光Lのうち、ステージ3の外側に向かう赤外光Lを、その内側にあるステージ3の載置面3a上に載置された被加熱物Wに向けて反射する。
【0031】
シャッタ機構7は、図2に示すように、ステージ3と複数のハロゲンランプ4との間に配置されている。シャッタ機構7は、そのシャッタの開閉によって、ステージ3の載置面3a上に載置された被加熱物Wに対する赤外光Lの照射と遮断とを切り替える。これにより、被加熱物Wに対して非接触による急速加熱が可能である。
【0032】
シャッタ機構7の開閉方式については、例えば、図5(A)に示すように、1枚のシャッタ板7aを面内でスライドさせることによって、赤外光Lの照射と遮断とを切り替える方式のもの用いることができる。また、図5(B)に示すように、2枚のシャッタ板7b,7cを面内で互いに逆向きにスライドさせることによって、赤外光Lの照射と遮断とを切り替える方式のもの用いることができる。また、図5(C)に示すように、面内方向に並ぶ複数枚のシャッタ7dを軸回りに回転させることによって、赤外光Lの照射と遮断とを切り替える方式のもの用いることができる。
【0033】
圧力調整機構8は、図2に示すように、チャンバ2内の圧力を調整するものであり、上側容器3aの側面に接続して設けられている。圧力調整機構8では、チャンバ2内を脱気することによって、チャンバ2内の圧力を減圧したり、チャンバ2内に窒素ガスを供給することによって、チャンバ2内の圧力を加圧したりすることが可能である。
【0034】
以上のような構成を有する加圧加熱装置1Aは、例えば、上述したTSVによる三次元積層デバイスを製造する工程において好適に用いられる。具体的には、ウェハ上に複数のチップを積層してボンディングした後にウェハを分割するCoW(Chip on Wafer)と呼ばれる工法において、被加熱物Wとして、複数のチップが位置決め(プレボンディング)されたウェハを一括で加圧加熱処理して、封止材の硬化及びはんだ接合(ポストボンディング)を実施する際に好適に用いられる。
【0035】
本実施形態の加圧加熱装置1Aを用いたポストボンディング工程では、先ず、ステージ3の載置面3a上にウェハ(図示せず。)を載置した後に、チャンバ2を密閉した状態とする。なお、チャンバ2には、300℃の耐熱と1.5MPaの耐圧を持つステンレス製の耐圧容器を用いている。
【0036】
次に、チャンバ2内を脱気(減圧)した後に、チャンバ2内に窒素ガスを供給し、加圧と予備加熱とを実施しながら、チャンバ2内の圧力が1.5MPaとなるまで加圧する。
【0037】
次に、加圧が完了したのと同時に、はんだ融点である250℃以上までウェハを200℃/secで急速加熱する。このとき、封止材には、上述したTCBで使用できるような反応速度を持つ熱硬化性樹脂材料を用いている。なお、ハロゲンランプ4には、シリコン(ウェハ)の吸収波長である900nmにピーク波長を持ち、200℃/secで急速昇温が可能なものを用いている。
【0038】
その後、チャンバ2内の温度を下げる。また、ウェハの温度が200℃以下になった後に、チャンバ2内の減圧を実施する。さらに、チャンバ2内の圧力が大気圧となり、ウェハの温度が80℃以下になった後に、チャンバ内を減圧した後、外気を導入する。これにより、チャンバ2を開放して、ウェハを取り出すことができる。
【0039】
ところで、本実施形態の加圧加熱装置1Aでは、上述した下側リフレクタ6をステージ3の周囲に配置することによって、複数のハロゲンランプ4から出射された赤外光Lのうち、ステージ3の外側に向かう赤外光Lを、その内側にあるウェハに向けて照射することができる。これにより、本実施形態の加圧加熱装置1Aを用いたポストボンディング工程では、ウェハの急速加熱を実施した場合でも、ウェハの中央部と外周部との間で温度差を±5℃以内に保つことができることを確認した。
【0040】
以上のように、本実施形態の加圧加熱装置1Aでは、被加熱物Wであるウェハを短時間に且つ均一に加熱することが可能である。また、本実施形態の加圧加熱装置1Aを用いたポストボンディング工程では、ウェハの面内温度を均一に保ちながら、封止材の材料を変更することなく、ウェハの加圧加熱処理を一括で実施することができる。これにより、工程時間を大幅に短縮することが可能である。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態として、例えば図6に示す加圧加熱装置1Bについて説明する。なお、図6は、加圧加熱装置1Bの概略構成を示す断面図である。また、以下の説明では、上記加圧加熱装置1Bと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0042】
本実施形態の加圧加熱装置1Bは、図6に示すように、上記ハロゲンランプ4及び上側リフレクタ5の代わりに、加熱用光源として、赤外レーザ光LBを出射するレーザ光源9を備えている。
【0043】
レーザ光源9は、チャンバ2の外部に配置されている。具体的には、上側容器2a(チャンバ2)の天壁と対向して配置されて、赤外レーザ光LBを上側容器2a(チャンバ2)側に向けて出射する。一方、上側容器2aの天壁には、被加熱物Wに照射される赤外レーザ光LBを透過させる窓部10が設けられている。なお、レーザ光源9には、例えばYAGレーザや半導体レーザなどを用いることができる。
【0044】
また、本実施形態の加圧加熱装置1Bは、レーザ光源9から出射された赤外レーザ光LBを被加熱物Wに照射される赤外光Lへと変換するビームエキスパンダ11を備えている。ビームエキスパンダ11は、レーザ光源9と窓部10(チャンバ2)との間に配置されて、赤外レーザ光LBを拡大してコリメートすることが可能な複数のレンズにより構成されている。これにより、赤外レーザ光LBを被加熱物Wに照射される赤外光Lへと変換し、窓部10を通してステージ3の載置面3a上に載置された被加熱物Wに向けて赤外光Lを照射することができる。
【0045】
本実施形態の加圧加熱装置1Bでは、上記加圧加熱装置1Aと同様に、上述した下側リフレクタ6をステージ3の周囲に配置することによって、窓部10を通して入射した赤外光Lのうち、ステージ3の外側に向かう赤外光Lを、その内側にあるウェハ(被加熱物W)に向けて照射することができる。
【0046】
これにより、本実施形態の加圧加熱装置1Bでは、被加熱物Wを短時間に且つ均一に加熱することが可能である。また、本実施形態の加圧加熱装置1Bを用いたポストボンディング工程では、上記加圧加熱装置1Aを用いた場合と同様に、ウェハの面内温度を均一に保ちながら、封止材の材料を変更することなく、ウェハの加圧加熱処理を一括で実施することができる。これにより、工程時間を大幅に短縮することが可能である。
【0047】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、例えば図7に示す加圧加熱装置1Cが備える加熱用光源について説明する。なお、図7は、加圧加熱装置1Cが備える加熱用光源20の概略構成を示す平面図である。また、以下の説明では、上記加圧加熱装置1Aと同等の部位については、説明を省略すると共に、図面において同じ符号を付すものとする。
【0048】
本実施形態の加圧加熱装置1Cは、図7に示すように、上記ハロゲンランプ4及び上側リフレクタ5の代わりに、赤外光Lを出射する加熱用光源20を備えている。それ以外は、上記加圧加熱装置1Aと基本的に同じ構成を有している。したがって、図7では、加熱用光源20のみを図示するものとする。
【0049】
加熱用光源20は、例えば、発光ダイオード(LED)や垂直共振器面発光レーザ(VCSEL)などの赤外光Lを発する複数の発光素子21を有している。複数の発光素子21は、ステージ3と対向して配置された実装基板22の一面(下面)に実装されている。
【0050】
実装基板22は、ステージ3の載置面3a上に載置されるウェハ(図7中に2点鎖線で示す。)よりも僅かに大きい円板形状を有している。複数の発光素子21は、この実装基板22のステージ3と対向する面内にマトリックス状に並んで配置されている。
【0051】
加熱用光源20は、この実装基板22のステージ3と対向する面内を複数の領域Eに分割し、各領域Eに配置された発光素子21毎に被加熱物Wに対して照射される光を制御する。具体的に、この実装基板22は、ステージ3と対向する面を放射状の分割する分割ラインCL1と、同心円状に分割する分割ラインCL2とを挟んで複数の領域Eに分割した構造を有している。
【0052】
本実施形態の加圧加熱装置1Cでは、実装基板22の各領域Eに配置された発光素子21毎に被加熱物Wに対して照射される赤外光Lを制御する。これにより、被加熱物Wであるウェハの面内温度をより細かく制御することが可能である。
【0053】
また、加熱用光源20では、複数の発光素子21が発する赤外光Lのピーク波長を異ならせることで、被加熱物Wに対して吸収率の高いピーク波長を有する発光素子21を用いて、被加熱物Wを効率良く加熱することも可能である。
【0054】
また、本実施形態の加圧加熱装置1Cでは、上記加圧加熱装置1Aと同様に、上述した下側リフレクタ6をステージ3の周囲に配置することによって、加熱用光源20から出射された赤外光Lのうち、ステージ3の外側に向かう赤外光Lを、その内側にあるウェハ(被加熱物W)に向けて照射することができる。
【0055】
これにより、本実施形態の加圧加熱装置1Cでは、被加熱物Wを短時間に且つ均一に加熱することが可能である。また、本実施形態の加圧加熱装置1Cを用いたポストボンディング工程では、上記加圧加熱装置1Aを用いた場合と同様に、ウェハの面内温度を均一に保ちながら、封止材の材料を変更することなく、ウェハの加圧加熱処理を一括で実施することができる。これにより、工程時間を大幅に短縮することが可能である。
【0056】
なお、本発明は、上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
具体的に、上記下側リフレクタ6については、上述した図4に示す形状のものに必ずしも限定されるものではなく、例えば図8(A)~(C)に示すような下側リフレクタ6A~6Cの形状とすることも可能である。なお、図8(A)~(C)は、下側リフレクタ6A~6Cを例示した斜視図である。
【0057】
このうち、図8(A)に下側リフレクタ6Aは、平面視で円形状を為すと共に、その中央部にステージ3に対応した平面視で円形状の孔部6cと、その周囲を囲む截頭円錐状の反射面6dとを有している。
【0058】
一方、図8(B)に下側リフレクタ6Bは、平面視で矩形状(本実施形態では正方形状)を為すと共に、その中央部にステージ3に対応した平面視で円形状の孔部6eと、その周囲を囲む平面視で矩形状(本実施形態では正方形状)の第1の反射面6fと、第1の反射面6eの周囲から立ち上がる4つの第2の反射面6gとを有している。
【0059】
一方、図8(C)に下側リフレクタ6Cは、平面視で矩形状(本実施形態では正方形状)を為すと共に、その中央部にステージ3に対応した平面視で円形状の孔部6hと、その周囲を囲む平面視で矩形状(本実施形態では正方形状)の反射面6iとを有している。
【0060】
上記加圧加熱装置1,1Aでは、上記下側リフレクタ6の代わりに、これらの下側リフレクタ6A~6Cを用いることも可能である。
【0061】
なお、本発明は、上述した被加熱物として、ウェハを一括で加圧加熱処理して、封止材の硬化及びはんだ接合(ポストボンディング)を実施する加圧加熱装置に適用したものに限らず、チャンバ内の被加熱物に対して加圧加熱処理を行う加圧加熱装置に対して本発明を幅広く適用することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1A,1B…加圧加熱装置 2…チャンバ 3…ステージ 4…ハロゲンランプ(加熱光源) 5…上側リフレクタ 6,6A~6C…下側リフレクタ 7…シャッタ機構 8…圧力調整機構 9…レーザ光源 10…窓部 11…ビームエキスパンダ W…ウェハ(被加熱物) 20…加熱用光源 21…発光素子 22…実装基板 L…赤外光 LB…赤外レーザ光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8