(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】航空機燃料タンクの不活性化システムのための不活性ガス生成器、および不活性化方法
(51)【国際特許分類】
B64D 37/32 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B64D37/32
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019211584
(22)【出願日】2019-11-22
【審査請求日】2022-11-09
(32)【優先日】2018-11-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514235879
【氏名又は名称】サフラン エアロテクニクス エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・クラリス
【審査官】諸星 圭祐
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-504265(JP,A)
【文献】特開2017-144992(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0054610(US,A1)
【文献】特開2005-193696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0229853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 37/00-37/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの航空機
の燃料タンクのための不活性化システムにおける、気流からの不活性ガスの生成器(1)であって、空気入口と、複数の空気分離モジュール(2)に前記気流を分配するための
気流分配手段(5)と、を備えた
空気システムを含み、前記複数の空気分離モジュール(2)は、前記空気システム上に並列に配置されて空気中の酸素を枯渇させ、出口で窒素富化不活性ガスを生成する、生成器(1)において、前記航空機の飛行フェーズに従って、単一の、一部の、またはすべての前記空気分離モジュール(2)に選択的に空気を供給するためにプログラムされた、前記
気流分配手段(5)の制御ユニット(6)を含
み、
単一または一部の前記空気分離モジュール(2)が空気を供給されるとき、前記制御ユニット(6)は、前記複数の空気分離モジュール(2)のうち、(i)蓄積動作時間が最も少ない前記空気分離モジュール(2)または(ii)最良の性能の空気分離モジュール(2)に空気を供給するようにプログラムされ、
前記生成器は、各空気分離モジュール(2)の性能を互いに独立して測定するために、少なくとも1つの酸素分析器(7)と、各空気分離モジュール(2)の前記出口で前記不活性ガスを前記酸素分析器(7)に向ける手段(5)と、を含む、生成器(1)。
【請求項2】
前記制御ユニット(6)は、前記航空機が上昇または巡航フェーズにあるとき、単一の空気分離モジュール(2)に空気を供給するようにプログラムされている、請求項1に記載の生成器(1)。
【請求項3】
前記制御ユニット(6)は、前記航空機が降下フェーズにあるとき、すべての前記空気分離モジュール(2)に空気を供給するようにプログラムされている、請求項1または2に記載の生成器(1)。
【請求項4】
単一または一部の前記空気分離モジュール(2)が空気を供給されるとき、前記制御ユニット(6)は、前記複数の空気分離モジュール(2)のうちの前記空気分離モジュール(2)への前記空気の供給を指定された時間遅延で交替して行うようにプログラムされている、請求項1から
3のいずれか一項に記載の生成器(1)。
【請求項5】
前記気流分配手段(5)はマルチチャネルバルブ(9)の形態である、請求項1から
4のいずれか一項に記載の生成器(1)。
【請求項6】
前記
気流分配手段(5)は、空気分離モジュール(2)と同数のバルブの形態であり、前記バルブのそれぞれは、空気分離モジュール(2)の上流に配置されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載の生成器(1)。
【請求項7】
前記生成器は、各空気分離モジュール(2)の前記出口でチェックバルブ(16)を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の生成器(1)。
【請求項8】
気流からの不活性ガスの生成器(1)であって、空気入口と、不活性ガス出口と、複数の空気分離モジュール(2)と、を備えた空気システムを含み、前記複数の空気分離モジュール(2)は、前記空気システム上に並列に配置されて空気中の酸素を枯渇させ
、出口で窒素富化不活性ガスを生成する、生成器(1)によって航空機
の燃料タンクを不活性化するための方法において、
前記航空機の飛行フェーズに応じて、単一の、一部の、またはすべての前記空気分離モジュール(2)に選択的に空気を供給する
ステップと、
各空気分離モジュール(2)の出口で前記不活性ガスを少なくとも1つの酸素分析器(7)に向けるステップと、
前記少なくとも1つの酸素分析器(7)により、各空気分離モジュール(2)の性能を互いに独立して測定するステップと、
からなる、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行機、ヘリコプターなどのような航空機の少なくとも1つの燃料タンクのための不活性化システムに特に用いられる、不活性ガス生成システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
航空学の分野において、窒素、または二酸化炭素などの任意の他の不活性ガスなどの、不活性ガスを生成し、燃料タンクの爆発のリスクを減らすため、安全上の理由でこれらの燃料タンク内に上記不活性ガスを注入するための不活性化システムを用いることがよく知られている。
【0003】
一般的に言って、不活性ガス生成器は、空気入口と、複数の空気分離モジュールに気流を分配するための手段と、を備えたシステムを含み、複数の空気分離モジュールは、この空気システム上に並列に配置されて空気中の酸素を枯渇させ、出口で窒素富化不活性ガスを生成する。
【0004】
現在の不活性化システムでは、当業者によく知られている、航空の分野における認定規則と可燃性のレベルが不適合である不活性ガスが燃料タンク内に導入されることが可能になっている。
【0005】
実際には、不活性化システムは、航空機の具体的な、特に降下フェーズ中の4,000フィートでの動作点に従って計算された量の不活性ガスを導入するようにサイズを定められている。
【0006】
この具体的な動作点により、不活性ガスの流量および純度についての要件を計算し、要求される空気分離モジュールの数およびタイプをこれから推測することが可能である。航空機のサイズを定めるためのこの点から離れて、燃料タンクにはより少ない不活性ガスが要求される。
【0007】
上記から、いくつかの飛行フェーズについて、現在の先行技術において実装されている不活性ガス生成器は、不活性ガスについての実際の要件と比較して大きすぎることになる。同じことが、不活性化システムのフィルタ要素および他のコンポーネントに当てはまり、このことにより、これらの飛行フェーズ中の不活性化システムの重量、消費量およびコストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的の1つはしたがって、消費量および使用のコストを減らすため、不活性化システムのサイズおよび使用を最適化する不活性ガス生成器、ならびに不活性化方法を提供することによって、先行技術の欠点を克服することである。
【0009】
また、本発明の別の目的は、寿命のより長いコンポーネントを含むこのような不活性ガス生成器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のため、特に少なくとも1つの航空機燃料タンクのための不活性化システム内に取り入れられた気流から不活性ガスを生成する生成器が開発され、この生成器は、空気入口と、複数の空気分離モジュールに気流を分配するための手段と、を備えたシステムを含み、複数の空気分離モジュールは、この空気システム上に並列に配置されて空気中の酸素を枯渇させ、出口で窒素富化不活性ガスを生成する。
【0011】
本発明によれば、不活性ガス生成器は、航空機の飛行フェーズに応じて、単一の、一部の、またはすべての空気分離モジュールに空気を選択的に供給するための分配手段のプログラムされた制御ユニットを含む。
【0012】
このように、空気分離モジュールの使用は、不活性ガスについての実際の要件にリンクされ、この要件は特に航空機の飛行フェーズによって決定される。このように、不活性ガス生成器は、不活性ガスについての要件を満たすために必要とされる量の空気を消費する。すべての過剰消費が避けられる。本発明はこのように、システムおよび不活性ガス生成器の動作コストを減らすことを可能にするとともに、摩耗も減らし、したがって不活性ガス生成器におけるコンポーネントの寿命を延ばす。
【0013】
たとえば、制御ユニットは、航空機が巡航フェーズにあるときは単一の空気分離モジュールに、航空機が上昇フェーズにあるときは単一または一部のモジュールに、空気を供給するようにプログラムされる。
【0014】
同様に、制御ユニットは好ましくは、航空機が降下フェーズにあるときは複数またはすべての空気分離モジュールに空気を供給するようにプログラムされる。
【0015】
この概念に基づいて、いくつかの実施形態が、単独で、または組み合わせて、設計されている。
【0016】
たとえば、特定の一実施形態によれば、単一または一部の空気分離モジュールが空気を供給されるとき、制御ユニットは、複数の空気分離モジュールのうちの蓄積動作時間が最も少ない空気分離モジュールに空気を供給するようにプログラムされる。
【0017】
別の一実施形態によれば、単一または一部の空気分離モジュールが空気を供給されるとき、制御ユニットは、複数の空気分離モジュールのうちの最良の性能の、すなわち生成された不活性ガスにおける酸素のレベルが最も低い、空気分離モジュールに空気を供給するようにプログラムされる。
【0018】
空気分離モジュールの性能は、航空機が降下フェーズに、地上に、または巡航フェーズにあるときに測定することができる。
【0019】
有利なことに、不活性ガス生成器は、各空気分離モジュールの性能を互いに独立して測定するために、少なくとも1つの酸素分析器と、各空気分離モジュールの出口で不活性ガスを酸素分析器に向ける手段と、を含む。
【0020】
この特徴により、各空気分離モジュールの出口での不活性ガスの純度をチェックして、この純度が性能基準に基づいていれば、空気分離モジュールのどれを用いるべきかを選択することが可能になる。また、この特徴により、たとえば航空機が巡航フェーズに、地上に、または降下フェーズにあるとき、空気分離モジュールの性能を1つずつチェックすることが可能になり、たとえば単独で、十分に機能していない空気分離モジュールを交換する規定を作ることができるようになる。先行技術において、各空気分離モジュールの性能を独立してテストすることは現在不可能であるため、性能の損失が検出されるとき、2個から5個、またはさらに多くのモジュールを含む、空気分離モジュールのアセンブリ全体をたびたび交換しなければならない。
【0021】
別の一実施形態において、単独で、または説明したものと組み合わせて用いられて、単一または一部の空気分離モジュールが空気を供給されるとき、制御ユニットは、複数の空気分離モジュールのうちのこの空気分離モジュールへの空気の供給を指定された時間間隔で交替して行うようにプログラムされる。
【0022】
この構成において、本発明は、たとえば次のモジュール、最良の性能のモジュール、または蓄積動作時間が最も少ないモジュールに切り替えることによって、指定された使用期間の後、さまざまな空気分離モジュール間で切り替えを行って、さまざまな空気分離モジュールの摩耗を均等にすることができる。
【0023】
このように、さまざまな空気分離モジュールの使用および摩耗を均等にすることができる。
【0024】
特定の一実施形態によれば、気流分配手段は適切なバルブの形態、たとえばマルチチャネルであり、このバルブはこのとき気流を1つまたは複数の空気分離モジュールに向けることができる。
【0025】
別の一実施形態によれば、気流分配手段は、それぞれ空気分離モジュールの上流に配置された複数のバルブ、特に空気分離モジュールと同数のバルブの形態である。
【0026】
このように、バルブが単独で、部分的に、またはすべて一緒に用いられるかどうかに応じて、単一の、一部の、またはすべての空気分離モジュールに気流を向けることができる。
【0027】
有利なことに、いくつかの空気分離モジュールが用いられないときのいかなる空気の再循環をも避けるため、不活性ガス生成器は、各空気分離モジュールの各出口に位置決めされたチェックバルブを含む。
【0028】
本発明はまた、上述したような不活性ガス生成器による航空機燃料タンクのための不活性化方法に関する。この方法は、航空機の飛行フェーズに応じて、単一の、いくつかの、またはすべての空気分離モジュールに選択的に空気を供給することからなるという点において注目すべきである。
【0029】
添付の図面を参照して、本発明による不活性ガス生成システムの、非限定的な例として与えられる、次の説明から、さらなる利点および特徴がより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】航空機燃料タンクのための不活性化システムの概略図である。
【
図2】不活性ガス生成器の概略図であって、分配手段は単一の空気分離モジュールに空気を供給するように制御されている、概略図である。
【
図3】
図2におけるものと同様の概略図であって、分配手段は一部の空気分離モジュールに空気を供給するように制御されている、概略図である。
【
図4】
図2におけるものと同様の概略図であって、分配手段はすべての空気分離モジュールに空気を供給するように制御されている、概略図である。
【
図5】不活性ガス生成器の別の一実施形態の概略図であって、気流分配手段は複数のバルブの形態であり、それぞれ空気分離モジュールの上流に位置決めされている、概略図である。
【
図6】酸素分析器の上流にバルブのない、
図5におけるものと同様の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1を参照すると、本発明は、窒素富化不活性ガスを生成するために酸素を枯渇させる空気システム(2)を含む不活性ガス生成器(1)に関する。
【0032】
生成器(1)は、特に少なくとも1つの航空機燃料タンク(12)のための不活性化システム(11)に用いられることが意図されている。この目的のため、不活性ガス生成器(1)は、圧縮機に従属し得る空気準備システム(14)を介して、少なくとも1つのエンジンからそれた抽気および/または客室からの空気および/または航空機外部からの空気を供給される空気入口(3)と、燃料タンク(12)における不活性ガス分配手段(13)に接続された不活性ガス出口(4)と、を含む。生成システム(1)はまた、酸素富化ガス出口(15)を含む。
【0033】
不活性化システム(11)により、不活性ガスを生成し、上記航空機燃料タンク(12)の爆発のリスクを減らすため、安全上の理由で上記タンク内に導入することが可能になる。注入された不活性ガスは、燃料タンク(12)を不活性にすることを目指しており、すなわち、上記タンク内に存在している酸素のレベルを下げ、特にこのレベルを一定の閾値、好ましくは12%未満に維持することを可能にしている。
【0034】
図2から
図5を参照すると、不活性ガス生成器(1)は、空気システム上に並列に配置された複数の、すなわち少なくとも2つの、好ましくは少なくとも3つの空気分離モジュール(2)を含む。
【0035】
空気分離モジュール(2)は、窒素含有量の高い不活性ガスと酸素含有量の高い不活性ガスとの両方を得るように加圧された空気が注入される、たとえば高分子膜を含む。
【0036】
さらに、不活性ガス生成器(1)は、空気分離モジュール(2)の上流に位置決めされた気流分配手段(5)を含む。本発明によれば、不活性ガス生成器(1)は、たとえば内蔵ソフトウェアを備えた電子ボードのような制御ユニット(6)を含み、分配手段(5)を制御および管理することを可能にしている。
【0037】
より具体的には、制御ユニット(6)は、航空機の飛行フェーズに応じて、単一の、一部の、またはすべての空気分離モジュール(2)に選択的に供給するために分配手段(5)を制御するようにプログラムされる。航空機の飛行フェーズに関するデータは、任意の適切な手段を用いて制御ユニットによって回収され、たとえば航空機のオンボードコンピュータによって直接送信される。
【0038】
本発明によりこのように、航空機の飛行フェーズによって異なる、燃料タンク(12)内に注入されるべき不活性ガスについての実際の要件に従って空気分離モジュール(2)が用いられるように、それら空気分離モジュール(2)の数を調整することが可能になる。
【0039】
たとえば、制御ユニット(6)は、航空機が巡航または上昇フェーズにあるときは、一部の空気分離モジュール(2)に、好ましくは単一の空気分離モジュール(2)に空気を供給するようにプログラムすることができ(
図2および
図3参照)、航空機が降下フェーズにあるときは、複数の、好ましくはすべての空気分離モジュール(2)に空気を供給するようにプログラムすることができる(
図4参照)。
【0040】
上記から、本発明により、いくつかの場合において、いくつかのモジュール(2)が用いられないことになるため、空気分離モジュール(2)が用いられる合計時間を減らすことも可能になる。
【0041】
本発明により、不活性化システム(11)のサイズを最適化し、したがって不活性ガス生成器(1)によって消費される気流を大幅に減らし、交換器およびフィルタ要素のサイズを最適化することさえ可能になる。したがって、これにより明らかに、不活性化システム(11)を動作させるコスト、および燃料タンク(12)における超過圧力および超過温度のリスクを減らすことも可能になる。
【0042】
この概念に基づいて、単一または一部の空気分離モジュール(2)が空気を供給されるとき、制御ユニット(6)は、複数の空気分離モジュール(2)のうちの蓄積動作時間が最も少ない空気分離モジュール(2)に空気を供給するように有利にプログラムされる。このように、空気分離モジュール(2)は、制御ユニット(6)によって選択されて、それら空気分離モジュール(2)の蓄積動作時間に従って用いられ、これにより、さまざまな空気分離モジュール(2)の摩耗が均等になり、したがってそれら空気分離モジュール(2)の寿命が最適化される。たとえば、これにより、巡航または上昇フェーズにおける航空機が、さまざまな空気分離モジュール(2)間で切り替えを行うことが可能になる。これにより、稼働中の不活性化システムはより長持ちし、そして安価になる。
【0043】
別の一実施形態によれば、単一または一部の空気分離モジュール(2)が空気を供給されるとき、制御ユニット(6)は好ましくは、複数の空気分離モジュール(2)のうちの最良の性能の、すなわち生成された不活性ガスにおける酸素のレベルが最も低い、空気分離モジュール(2)に空気を供給するようにプログラムされる。
【0044】
各空気分離モジュール(2)の性能を評価するため、不活性ガス生成器(1)は、少なくとも1つの酸素分析器(7)と、各空気分離モジュール(2)の出口で不活性ガスを酸素分析器(7)に向ける手段、特にパイプおよびあるいはバルブ(8)と、を含む。これにより、各空気分離モジュール(2)の性能を互いに独立して測定することが可能になる。
【0045】
この性能測定は、飛行中、たとえば降下フェーズで、または地上で行うことができる。これにより、空気分離モジュール(2)のそれぞれの性能を知り、この性能に従ってこれら空気分離モジュール(2)の使用を交替で行うことが可能になる。
【0046】
特に
図2から
図4に示した、特定の一実施形態によれば、気流分配手段(5)は、すべての空気分離モジュール(2)の上流に位置決めされ、単一の、一部の、またはすべての空気分離モジュール(2)に気流を選択的に向けるように適合された、たとえばマルチチャネルバルブ(9)の形態である。
【0047】
特に
図5に示した、別の一実施形態において、各空気分離モジュール(2)は、上流で、バルブ(10)に接続され、これにより、バルブ(10)のそれぞれを作動させることによって、単一の、一部の、またはすべての空気分離モジュール(2)に選択的に空気を供給することが可能になる。さらに、不活性ガス生成器は、各空気分離モジュールの出口に位置決めされたチェックバルブ(16)を含む。
【0048】
マルチチャネルバルブ(9)か複数のバルブ(10)かにかかわらず、空気分離モジュール(2)の下流のバルブ(8)の存在は、
図6に示すように、必須ではない。
【0049】
本発明によれば、制御ユニット(6)はこのように、航空機の飛行フェーズに応じて、空気分離モジュール(2)を選択的に使用および供給するように気流分配手段(5)を管理する。単一または一部の空気分離モジュール(2)を用いなければならないとき、制御ユニット(6)は、一定の動作時間、たとえば1時間後に1つの分離モジュール(2)から別の分離モジュールに切り替えるため、たとえば性能、摩耗、蓄積動作時間、または単にそれら分離モジュール(2)がどれくらいの間用いられてきたか、のようないくつかの基準に従って、用いなくてはならないモジュール(2)を選択する。
【0050】
これらの基準の組み合わせが、もちろん、想起され得る。たとえば、制御ユニット(6)は、蓄積動作時間が最も少ないモジュール(2)を選択することができ、2つのモジュール(2)の蓄積動作時間が同じであれば、制御ユニット(6)は、これら2つのモジュール(2)の最良の性能の方を選択することができる。一定の動作時間の終わりで、選択されたモジュール(2)は次いで同じ基準に従って、別のモジュール(2)に置き換えることができる。
【0051】
本発明の背後にある概念は、飛行フェーズに従って空気分離モジュール(2)の数を選択することにある。これにより、燃料タンク(12)における不活性ガスについての実際の要件に従って不活性化システム(11)のサイズを調整することが可能になる。それにもかかわらず、さまざまなモジュール(2)を選択するための基準は、飛行フェーズについて心配することなく、適用することもできる。たとえば、モジュール(2)の選択は、さまざまな空気分離モジュール(2)の摩耗を均等にするため、単に摩耗、性能、または実際の使用の時間間隔(時間遅延)によって決定することもできる。
【0052】
本発明はまた、上述したもののような不活性ガス生成器(1)による航空機燃料タンクのための不活性化方法からなる。この方法は、航空機の飛行フェーズに応じて、および空気分離モジュール(2)を選択するためのさまざまな基準に従って、単一の、一部の、またはすべての空気分離モジュール(2)に選択的に空気を供給することからなるという点において注目すべきである。
【符号の説明】
【0053】
1 不活性ガス生成器
2 空気分離モジュール
3 空気入口
4 不活性ガス出口
5 気流分配手段
6 制御ユニット
7 酸素分析器
8 バルブ
9 マルチチャネルバルブ
10 バルブ
11 不活性化システム
12 燃料タンク
13 不活性ガス分配手段
14 空気準備システム
15 酸素富化ガス出口
16 チェックバルブ