IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シャープ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-空気調和機 図1
  • 特許-空気調和機 図2
  • 特許-空気調和機 図3
  • 特許-空気調和機 図4
  • 特許-空気調和機 図5
  • 特許-空気調和機 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 1/0022 20190101AFI20231205BHJP
【FI】
F24F1/0022
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019212650
(22)【出願日】2019-11-25
(65)【公開番号】P2021085558
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】川村 政貴
【審査官】安島 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-325499(JP,A)
【文献】特開2010-139224(JP,A)
【文献】特開2019-086168(JP,A)
【文献】実開昭59-103116(JP,U)
【文献】実開昭62-127419(JP,U)
【文献】国際公開第2019/016981(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0022
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気の吸込み口が上面に形成された筐体と、
前記吸込み口に着脱自在に設けられた空気清浄フィルタと、
前記筐体の内部に設けられ、当該筐体の長手方向に回転軸を有する送風ファンと、前記送風ファンを覆うケーシングとを含むシロッコファンと、
前記筐体の内部に設けられ、後面側から前記シロッコファンの風を受ける熱交換器と、を備え、
前記熱交換器は、上部が下部よりも前方位置となる傾斜状態に配置されており、
前記ケーシングは、前記送風ファンの回転軸を中心とした渦巻き形状であり、
前記ケーシングにおける渦巻き形状の始点となる舌部は、前記熱交換器の後面と、前記空気清浄フィルタの下面と、前記熱交換器の下部側の端面と前記空気清浄フィルタの後端面とを結んで得られる面とで囲まれた空間に配置され、上下方向において前記熱交換器と重なり、
前記ケーシングにおける前記舌部と接続された壁部の前記熱交換器と対向する面は、上部が下部よりも前方位置となるように傾斜することを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記シロッコファンの回転中心は、
前記熱交換器の風を受ける面から伸びる垂直線上に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記熱交換器の下部側の端面と前記空気清浄フィルタの後端面とを結んで得られる面は、前記シロッコファンの回転中心を通る位置から、当該回転中心よりも前方の所定位置までの位置を通ることを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記シロッコファンのケーシングは、2つのケーシング部に分離可能に上下に分割され、さらに、下ケーシング部は、少なくとも2つの部材に分離可能に分割されていることを特徴とする請求項1~3の何れか1項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記筐体下部のメンテナンス用の開口は、前記下ケーシング部の分割された2つの部材を外部から取り出し可能とする大きさに設定されていることを特徴とする請求項4に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気清浄機能を有する空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、空気清浄機能を有するエアコン等の空気調和機が提案されている。空気清浄機能を有するエアコンの場合、吸込み側全面に空気清浄フィルタを配置する必要がある。しかしながら、家庭用の一般的なエアコンでは、送風装置としてクロスフローファンが用いられている。クロスフローファンでは静圧が低いため、吸込み側全面に空気清浄フィルタを配置することができず、また、吹出し側に熱交換器を配置することもできない。
【0003】
これに対して、例えば特許文献1に開示された天吊エアコンの場合、クロスフローファンよりも静圧が高いシロッコファンを利用している。このため、吸込み側全面に空気清浄フィルタを配置することが可能であり、また、吹出し側に熱交換器を配置することも可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-112600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような天吊エアコンの構成では、家庭用エアコンの室内機の寸法に収まらないという問題が生じる。
【0006】
従って、吸込み側全面に空気清浄フィルタが配置でき、吹出し側に熱交換器を配置できる空気調和機において、家庭用エアコンの室内機の寸法に収まる空気調和機は実現されていなかった。
【0007】
本発明の一態様は、吸込み側全面に空気清浄フィルタが配置でき、吹出し側に熱交換器を配置でき、且つ、家庭用エアコンの室内機の寸法に収まる空気調和機を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る空気調和機は、空気の吸込み口が上面に形成された筐体と、前記吸込み口に着脱自在に設けられた空気清浄フィルタと、前記筐体の内部に設けられたシロッコファンと、前記筐体の内部に設けられ、後面側から前記シロッコファンの風を受ける熱交換器と、を備え、前記シロッコファンを構成するケーシングにおける舌部は、前記熱交換器の後面と、前記空気清浄フィルタの下面と、熱交換器の下部側の端面と空気清浄フィルタ26の後端側の端面とを結んで得られる面とで囲まれた空間に配置され、上下方向において前記熱交換器と重なり、前記ケーシングにおける前記舌部と接続された壁部の前記熱交換器と対向する面は、上部が下部よりも前方位置となるように傾斜することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、吸込み側全面に空気清浄フィルタが配置でき、吹出し側に熱交換器を配置でき、且つ、家庭用エアコンの室内機の寸法に収まることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態1に係る空気調和機の概略断面図である。
図2図1に示す空気調和機の斜視図である。
図3図1に示す空気調和機のシロッコファンのケーシングの概略斜視図である。
図4図3に示すケーシングの下半分を分割して取り外す状態を説明するための概略斜視図である。
図5図3に示すケーシングの下半分を分割して取り外す状態を説明するための概略斜視図である。
図6図1に示す空気調和機のメンテナンス開口部と、ケーシングの外径との関係を説明するための概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。
【0012】
(空気調和機1の構成)
図1は、本実施形態の空気調和機1の概略断面図である。図2は、図1に示す空気調和機1の上面側から見た斜視図である。
【0013】
図1の符号1001に示すように、空気調和機1は、筐体11の内部における後部にシロッコファン40を有し、前部に熱交換器13を有している。ここで、筐体11における前は、空気調和機1の設置面(室内の壁)と反対側とし、後は、空気調和機1の設置面側とする。
【0014】
筐体11は、上面部に吸込み口21を有し、前面部に開口部を有する。吸込み口21には、フィルタユニット31が設けられ、前面部の開口部には吹出し口22が形成されている。フィルタユニット31は、図2に示すように、空気調和機1の筐体11の上面の2箇所の吸込み口21それぞれを覆うように2個設けられている。
【0015】
シロッコファン40は、空気を円筒形の軸方向から吸い込み、半径方向の外側へ吹き出す送風ファン12と、当該送風ファン12を熱交換器13側の領域を除いて覆うケーシング23とを含んでいる。ケーシング23は、送風ファン12の回転軸方向(筐体11の長手方向)に延びる渦巻き形状をしている。具体的には、上側に位置する前端部が熱交換器13の上端部の位置に達し、この位置から後方へ向かって延び、送風ファン12の上方位置、送風ファン12の後方位置、送風ファン12の下方位置を経て、熱交換器13の後面に達している。シロッコファン40の舌部41(厳密にはケーシング23における渦巻き形状の始点となる舌部41)は、熱交換器13の後面に近接して配置されることになる。舌部41の配置位置についての詳細は後述する。
【0016】
熱交換器13は、上部が下部よりも前方位置となる傾斜状態に配置され、下部は送風ファン12と近接した状態に配置されている。熱交換器13は、傾斜状態に配置されることにより、鉛直状態に配置される場合と比較して、空気調和機1の高さを抑制しながら表面積を広くできるようにしている。なお、熱交換器13の傾斜状態は、上記の状態に限定されず、下部が上部よりも前方位置となる傾斜状態に配置されていてもよい。この場合にも、熱交換器13は、鉛直状態に配置される場合と比較して、空気調和機1の高さを抑制しながら表面積を広くすることができる。
【0017】
空気調和機1は、前面部に吹出し口22を開閉する前面パネル24を備えている。前面パネル24は、図1の符号1001に示すように、上縁部と下縁部との間が緩やかに湾曲した板形状に形成されている。前面パネル24の湾曲の方向は、正面から見て凹状となる方向である。
【0018】
前面パネル24は、例えば前面パネル24を支持する左右2個所のアームおよびモータを有する従来周知の駆動機構(図示せず)により駆動される。前面パネル24は、図1の符号1001に示すように、空気調和機1の停止時には吹出し口22を閉じた状態となり、運転時には開いた状態となる。
【0019】
フィルタユニット31は、空気清浄効果の高いフィルタ、例えばHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)等のフィルタとしての空気清浄フィルタ26と、空気清浄フィルタ26を収容して保持する枠部27とを含んでいる。
【0020】
(シロッコファン40の舌部41の配置位置)
シロッコファン40の舌部41は、図1の符号1002に示すように、熱交換器13の後面13bと、前記空気清浄フィルタ26の下面26bと、熱交換器13の下部側の端面13aと空気清浄フィルタ26の後端側の端面26aとを結んで得られる面42とで囲まれた空間に配置されている。
【0021】
このように、舌部41が配置されていることで、熱交換器13と送風ファン12とを近接して設けることが可能となり、空気調和機1の寸法を小さくすることが可能となる。具体的には、家庭用の壁付け室内機の寸法に収めることが可能となる。
【0022】
シロッコファンの回転中心、すなわち送風ファン12の回転中心12aは、図1の符号1002に示すように、熱交換器13の風を受ける面(後面13b)から伸びる垂直線上に設定されていることが好ましい。
【0023】
この場合、熱交換器13の風を受ける面(後面13b)に送風ファン12をさらに近づけることが可能となる。これにより、送風ファン12から吹き出す風を効率よく熱交換器13に吹き付けることが可能となるので、熱交換効率もよくなる。
【0024】
特に、熱交換器13の下部側の端面13aと空気清浄フィルタ26の後端側の端面26aとを結んで得られる面42が、前記シロッコファンの回転中心を通る位置から、当該回転中心よりも前方の所定位置までの位置を通ることが好ましい。ここで、前方の所定位置とは、ケーシング23の舌部41の位置吹出し口が空気調和機13の後面13bからはみ出さない位置(舌部41の形成位置が好ましい)とする。
【0025】
この場合、送風ファン12の吹出し口を熱交換器13における風を受ける面により近づけることが可能となる。これにより、送風ファン12から吹き出す風をより効率よく熱交換器13に吹き付けることが可能となるので、熱交換効率がさらによくなる。
【0026】
(ケーシング23の詳細)
図3は、図1に示す空気調和機1のシロッコファン40のケーシング23の概略斜視図である。図4は、図3に示すケーシング23の下半分を分割して取り外す状態を説明するための概略斜視図である。図5は、図3に示すケーシング23の下半分を分割して取り外す状態を説明するための概略斜視図である。図6は、図1に示す空気調和機1のメンテナンス開口部と、ケーシング23の外径との関係を説明するための概略断面図である。
【0027】
シロッコファン40のケーシング23は、図3に示すように、上ケーシング部23aと下ケーシング部23bとに分離可能に上下に分割され、さらに、下ケーシング部23bは、2つの部材23b1・23b2に分離可能に分割されている。
【0028】
このように、ケーシング23の下ケーシング部23bを少なくとも2つの部材23b1・23b2に分離可能に分割することで、当該下ケーシング部23bは以下のように取り外すことになる。下ケーシング部23bを筐体11から取り出す際に、図4に示すように、下ケーシング部23bの部材23b1を取り外し、その後、図5に示すように、舌部41側の部材23b2を取り外すことになる。
【0029】
これにより、図6に示すように、筐体11の下部(空気清浄フィルタ26の設置面と反対側の面)のメンテナンス用の開口11aの前後方向の長さXが、ケーシング23の前後方向の最大径Yよりも小さくても、下ケーシング部23bを分割して取り出せる。従って、シロッコファン40に近接して熱交換器13が配置されていても、当該熱交換器13が邪魔することなく、下ケーシング部23bを筐体11内から取り出すことが可能となる。
【0030】
なお、筐体11下部のメンテナンス用の開口11aのサイズは、下ケーシング部23bの分割された部材23b1・23b2を外部に取り出し可能な大きさに設定されていることが好ましい。
【0031】
また、本実施形態では、下ケーシング部23bを2つの部材に分割した例について説明したが、これに限定されるものでなく、3つ以上の部材に分割してもよい。
【0032】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る空気調和機は、空気の吸込み口21が上面に形成された筐体11と、前記吸込み口21に着脱自在に設けられた空気清浄フィルタ26と、前記筐体11の内部に設けられ、当該筐体11の長手方向に回転軸を有する送風ファン12と、前記送風ファン12を覆うケーシング23とを含むシロッコファン40と、前記筐体11の内部に設けられ、後面側から前記シロッコファン40の風を受ける熱交換器13と、を備え、前記熱交換器13は、上部が下部よりも前方位置となる傾斜状態に配置されており、前記前記ケーシング23は、前記送風ファン12の回転軸を中心とした渦巻き形状であり、前記ケーシング23における渦巻き形状の始点となる舌部41は、前記熱交換器13の後面13bと、前記空気清浄フィルタ26の下面26bと、熱交換器13の下部側の端面13aと空気清浄フィルタ26の後端側の端面26aとを結んで得られる面42とで囲まれた空間に配置されていることを特徴としている。
【0033】
上記の構成によれば、シロッコファンを構成するケーシングにおける舌部は、前記熱交換器の後面と、前記空気清浄フィルタの下面と、熱交換器の下部側の端面と空気清浄フィルタの後部側の端面とを結んで得られる面とで囲まれた空間に配置されていることで、シロッコファンと熱交換器との距離、シロッコファンと空気清浄フィルタとの距離が短くなるので、空気清浄フィルタを有しながら、空気調和機の寸法を小さくすることが可能となる。具体的には、家庭用の壁付けの室内機の寸法に収めることが可能となる。
【0034】
本発明の態様2に係る空気調和機は、上記態様1において、前記シロッコファン40の回転中心は、前記熱交換器13の風を受ける面13bから伸びる垂直線上に設定されていることが好ましい。
【0035】
上記の構成によれば、シロッコファンの回転中心が、熱交換器の風を受ける面から伸びる垂直線上に設定されていることで、熱交換器の風を受ける面にシロッコファンを近づけることが可能となる。これにより、シロッコファンから吹き出す風を効率よく熱交換器に吹き付けることが可能となるので、熱交換効率もよくなる。
【0036】
本発明の態様3に係る空気調和機は、上記態様2において、熱交換器13の下部側の端面13aと空気清浄フィルタ26の後側の端面26aとを結んで得られる面42は、前記シロッコファン40の回転中心を通る位置から、当該回転中心よりも前方の所定位置までの位置を通ってもよい。
【0037】
上記構成によれば、熱交換器の下部側の端面と空気清浄フィルタの後側の端面とを結んで得られる面が、前記シロッコファンの回転中心を通る位置から、当該回転中心よりも前方の所定位置までの位置を通ることで、送風ファンの吹出し口を熱交換器における風を受ける面により近づけることが可能となる。これにより、送風ファン12から吹き出す風をより効率よく熱交換器13に吹き付けることが可能となるので、熱交換効率がさらによくなる。
これにより、シロッコファンから吹き出す風をより効率よく熱交換器に吹き付けることが可能となるので、熱交換効率がさらによくなる。
【0038】
本発明の態様4に係る空気調和機は、上記態様1~3の何れか1態様において、前記シロッコファン40のケーシング23は、2つのケーシング部(上ケーシング部23a・下ケーシング部23b)に分離可能に上下に分割され、さらに、下ケーシング部23bは、少なくとも2つの部材23b1・23b2に分離可能に分割されていてもよい。
【0039】
上記構成によれば、シロッコファンの上下ケーシングのうち、下側のケーシングが、少なくとも2つに分割されていることで、筐体内から下側のケーシングを分けて取り出すことが可能となる。従って、シロッコファンに近接して熱交換器が配置されていても、当該熱交換器が邪魔することなく、下側ケーシングを筐体内から取り出すことが可能となる。
【0040】
本発明の態様5に係る空気調和機は、上記態様4において、前記筐体11下部のメンテナンス用の開口は、前記下ケーシング部23bの分割された部材23b1・23b2を外部から取り出し可能とする大きさに設定されていることが好ましい。
【0041】
上記構成によれば、確実に下側ケーシングを取り出すことができる。
【0042】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0043】
1 空気調和機
11 筐体
11a 開口
12 送風ファン
12a 回転中心
13 熱交換器
13a 端面
13b 後面
23 ケーシング
23a 上ケーシング部
23b 下ケーシング部
23b1・23b2 部材
24 前面パネル
26 空気清浄フィルタ
26a 端面
26b 下面
27 枠部
31 フィルタユニット
40 シロッコファン
41 舌部
図1
図2
図3
図4
図5
図6