(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】表示装置および表示装置を備えた電子計算機
(51)【国際特許分類】
G06F 15/02 20060101AFI20231205BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G06F15/02 315H
G09F9/302 Z
(21)【出願番号】P 2019215626
(22)【出願日】2019-11-28
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】滝口 英志
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-191729(JP,A)
【文献】実開昭52-144683(JP,U)
【文献】特開昭58-111980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 15/02
G09F 9/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
小数点を表示するための小数点用セグメントと、数字の位取りを示す記号であるコンマを表示するためのコンマ用セグメントと、小数点表示とコンマ表示の両方で使用される共用セグメントと、が形成された表示部を備え、
上記共用セグメントの全体または一部は、コンマの上下方向の中心位置よりも下方側に形成されている、ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
上記小数点用セグメントおよび上記共用セグメントにより表示される小数点の幅は、上記コンマ用セグメントおよび上記共用セグメントにより表示されるコンマの、上記中心位置よりも上方側における最大幅より大きいことを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
上記小数点用セグメントは、隣接して配置されている、数字を表示するための数字用セグメントの中間位置であって、少なくとも一部が上記数字用セグメントの下端位置よりも下方に突出するように配置されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の表示装置。
【請求項4】
請求項1から3の何れか1項に記載の表示装置を備えていることを特徴とする電子計算機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントにより数字、小数点、コンマ等を表示する表示装置および当該表示装置を備えた電子計算機に関する。
【背景技術】
【0002】
数字や小数点等の記号を表示する機能を有する電子卓上計算機(以下、電卓という。)や計測機器等では、当該表示部に、消費電力が低く比較的低機能なマイコン(microcomputer)でも制御が可能な、セグメント式の表示装置が採用されている。
【0003】
例えば、下記の特許文献1には、数字を表示するための8の字セグメント、小数点の表示体、および桁区切りの表示体を有する表示装置を備えた電卓が開示されている(
図2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-153271号公報(2017年8月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来技術では、桁区切りの表示体が、8の字セグメントより上方に配置されているため、数字の上端部より上方で桁区切りの表示が行われる。当該表示は、数字の下側に桁区切りの記号としてコンマを記載する一般的な表記方法と大きく異なり、ユーザに違和感を生じさせる。
【0006】
また、数字の下方側には、小数点の表示体が配置されているので、特許文献1の電卓において、数字の下方側に桁区切りの表示体を配置することは難しい。また、数字の下方側に桁区切りの表示体と小数点の表示体とを隣接して配置するスペースを確保できたとしても、それによって小数点の表示体と、桁区切りの表示体の少なくとも何れかの位置が不自然な位置となってしまい、ユーザが認識しやすい表示態様とすることは難しい。
【0007】
本発明の一態様は、数字の位取りを示す記号であるコンマと、小数点の何れについてもユーザが認識しやすい態様で表示することができる表示装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る表示装置は、小数点を表示するための小数点用セグメントと、数字の位取りを示す記号であるコンマを表示するためのコンマ用セグメントと、小数点表示とコンマ表示の両方で使用される共用セグメントと、が形成された表示部を備え、上記共用セグメントの全体または一部は、コンマの上下方向の中心位置よりも下方側に形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、コンマと小数点の何れについてもユーザが認識しやすい態様で表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電卓の表示部におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示態様を示す図である。
【
図3】上記電卓の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の実施形態2に係る電卓の表示部におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示態様を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態3に係る電卓の表示部におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示態様を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態4に係る電卓の表示部におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示態様を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態5に係る電卓の表示部におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。なお、以下では、本発明に係る表示装置を電卓1(電子計算機)に適用した例に基づいて説明を進める。
【0012】
図2は、電卓1の外観の一例を示す図である。
図2に示すように、電卓1は、表示部10と入力部20とを備えている。
【0013】
表示部10は、複数のセグメントが形成されたセグメント式の表示装置である。表示部10は、各セグメントの表示のON/OFFを切り替えることにより、数字等を表示する。
【0014】
入力部20は、ユーザの入力操作を受け付ける入力装置である。例えば、
図2の例では、入力部20が複数の押下げキーにより構成されている例を示している。この押下げキーには、0~9の数値を入力するための数字キー、小数点を入力するための小数点キー、等が含まれる。
【0015】
図3は、本実施形態に係る電卓1の要部構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、電卓1は、上述した表示部10と入力部20に加えて、制御部30と記憶部40を備えている。
【0016】
表示部10には、上述のように複数のセグメントが形成されている。具体的には、表示部10には、数字を表示するための数字用セグメント11と、記号を表示するための記号用セグメント12とが形成されている。
【0017】
記号用セグメント12には、小数点を表示するための小数点用セグメント121と、数字の位取りを示す記号であるコンマを表示するためのコンマ用セグメント122とが含まれている。さらに、記号用セグメント12には、小数点表示とコンマ表示の両方で使用される共用セグメント123が含まれている。
【0018】
入力部20は、上述したようにユーザの入力操作を受け付ける。なお、入力部20は、電卓1に外付けされた、電卓1の外部の入力装置であってもよい。この場合、電卓1は、入力部20が受け付けた入力操作の内容を示す信号を受信するインターフェースを備えていればよい。
【0019】
制御部30は、電卓1の各部を総括して制御する。制御部30は、記憶部40から制御プログラムを読み出し、例えば、入力部20に入力された情報の読込み処理、計算処理、および入力された情報や計算結果等を表示部10に表示させる出力処理等を行う。なお、制御部30の表示部10に対する制御については、
図1に基づいて詳述する。
【0020】
記憶部40は、制御部30が使用する制御プログラムや、計算に必要な一時保存データの他、各種データを記憶する。
【0021】
<セグメントの配置と表示>
図1は、電卓1の表示部10におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示の態様を示す図である。
図1に基づいて、本発明の実施形態1に係るセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示の一例について説明する。
【0022】
本実施形態では、
図1に示すように、円形の頭部から下方(より正確には左下方向)に向かって尾が伸びた形状のコンマと、円形の小数点を表示する例を説明するが、これらの形状は例示に過ぎない。コンマは、電卓1のユーザがそれを数字の位取りを示す記号であると認識し得る態様で表示すればよく、コンマの頭分は、楕円形、矩形、多角形、あるいはこれらに類する形状としてもよい。また、例えば、コンマを楔型状(逆三角形状)としてもよい。これは後述の各実施形態においても同様である。本明細書等においては、このような形状の記号についても、コンマと同様に数字の位取りを示す記号として使用するものについては、便宜的に「コンマ」と称する。
【0023】
また、小数点も電卓1のユーザがそれを小数部と整数部との境界を示す記号であると認識し得る態様で表示すればよく、楕円形、矩形、多角形、あるいはこれらに類する形状としてもよい。これは後述の各実施形態においても同様である。本明細書等においては、このような形状の記号についても、小数点と同様に小数部と整数部との境界を示す記号として使用するものについては、便宜的に「小数点」と称する。
【0024】
図1に示す表示部10には、8つの数字用セグメント11が横方向に一列に配列されており、これにより8桁までの数字が表示可能となっている。表示部10に表示可能な数字の桁数は4桁以上であれば、8桁より多くてもよいし、8桁より少なくてもよい。
【0025】
数字用セグメント11は、いわゆる8の字セグメントであって、縦型セグメント4個と横型セグメント3個の合計7個のセグメントにより8の字形状に構成されている。制御部30は、7個のセグメントのONとOFFを個別に切換えることによって、0~9の数字を表示部10に表示させることができる。無論、数字用セグメント11は、数字を表示可能なものであればよく、数字用セグメント11に含まれるセグメント数は7個に限られない。
【0026】
また、各数字用セグメント11の右下の位置には記号用セグメント12が配置されている。各記号用セグメント12は、4個のセグメントで構成されている。具体的には、1つの記号用セグメント12は、2個の小数点用セグメント121(121a、121b)と、1個のコンマ用セグメント122と、1個の共用セグメント123とで構成されている。
【0027】
小数点用セグメント121には、小数点の主に左側部分に対応する左側セグメント121aと、小数点の主に右側部分に対応する右側セグメント121bとが含まれている。一方、コンマ用セグメント122は、コンマの主に頭部(より詳細にはコンマの頭部の主に上部)に対応している。なお、1つの小数点用セグメント121を3つ以上のセグメントで構成してもよい。
【0028】
また、共用セグメント123は、小数点の主に中央部分に対応していると共に、コンマの主に尾の部分と、コンマの頭部の下部の一部とに対応している。そして、左側セグメント121aと右側セグメント121bと共用セグメント123とを組み合わせることにより、本実施形態の小数点の形状すなわち円形となる。また、コンマ用セグメント122と共用セグメント123とを組み合わせることにより、円形の頭部から下方(より正確には左下方向)に向かって尾が伸びる、本実施形態のコンマの形状となる。
【0029】
制御部30は、例えば4桁の数字を表示させる際には、3桁目の数字用セグメント11と4桁目の数字用セグメント11との間に位置する記号用セグメント12の表示制御を行う。具体的には、制御部30は、当該記号用セグメント12における、コンマ用セグメント122と共用セグメント123の表示をONにし、小数点用セグメント121の表示をOFFとする。これにより、小数点の主に中央部分に対応する共用セグメント123がコンマの尾の部分をなし、
図1のAに示すように、コンマを表示させることができる。
【0030】
また、制御部30は、小数を表示させる際には、1の位の数字を表示させる数字用セグメント11と少数点以下の第一位の数字を表示させる数字用セグメント11との間に位置する記号用セグメント12の表示制御を行う。具体的には、制御部30は、当該記号用セグメント12における、小数点用セグメント121と共用セグメント123の表示をONにし、コンマ用セグメント122の表示をOFFとする。これにより、コンマの尾の部分に対応する共用セグメント123が小数点の一部をなし、
図1のCに示すように、小数点を表示させることができる。
【0031】
なお、制御部30は、小数点もコンマも表示させない位置の記号用セグメント12については、小数点用セグメント121とコンマ用セグメント122と共用セグメント123を全てOFFにする。これによって、
図1のBに示すように、当該位置にはコンマ、小数点の何れも表示されない状態とすることができる。
【0032】
<小数点用セグメントとコンマ用セグメント>
このように、表示部10は、小数点用セグメント121とコンマ用セグメント122と共用セグメント123とを含むことにより、コンマと、小数点の何れについてもユーザが認識しやすい態様で表示することができる。
【0033】
具体的には、表示部10は、コンマを数字の上方側ではなく下方側に表示させることができるため、特許文献1の桁区切りの表示体のような違和感をユーザに与えることがない。また、表示部10では、コンマの表示位置と小数点の表示位置が重なっている(重なっている領域が共用セグメント123となっている)ため、コンマと小数点の何れについてもユーザが認識しやすい表示位置とすることができる。
【0034】
また、コンマは、比較的細い尾部分を有するものの、小数点と同様に、頭部分に円形状を有している。そのため、小数点とコンマは、一見して判別が困難な場合がある。
【0035】
そこで、表示部10においては、コンマ用セグメント122を、小数点用セグメント121よりも上方に配置していると共に、共用セグメント123の一部を、コンマの上下方向の中心位置C1よりも下方側に形成している。これにより、小数点を表示する際に、コンマの上下方向の中心位置C1よりも下方側の部分(主に尾の部分)が小数点の一部を構成して、コンマの頭部の円形状と、小数点の円形状の表示位置は上下にずれるため、小数点とコンマの判別が容易となる。
【0036】
また、本実施形態において、小数点は縦横の長さが等しいが、コンマは縦長である。よって、コンマ用セグメント122を小数点用セグメント121よりも上方に配置して、コンマの頂部P1の位置を小数点の頂部P2の位置より上方とすることにより、コンマと小数点の何れについてもユーザが認識しやすく、バランスのよい位置に表示させることができる。
【0037】
また、
図1の例において、小数点用セグメント121および共用セグメント123により表示される小数点の幅D2は、コンマ用セグメント122および共用セグメント123により表示されるコンマの、中心位置C1よりも上方側における最大幅D1より大きい。これにより、小数点が、コンマの頭部よりも大きく表示されるため、小数点とコンマの判別がさらに容易となる。なお、小数点が円形であれば、D2は小数点の直径と等しい。同様に、コンマの頭部が円形であれば、D1はその直径と等しい。
【0038】
<各セグメントの配置>
ここで、各セグメントの配置について詳細に説明する。小数点用セグメント121は、
図1に示すように、その一部が数字用セグメント11の下端位置L1より下方に突出するように配置されている。また、小数点用セグメント121は、隣接して配置される数字用セグメント11の中間位置L2に配置されている。
【0039】
また、共用セグメント123も小数点用セグメント121と同様に、隣接して配置される数字用セグメント11の中間位置L2に、その一部が数字用セグメント11の下端位置L1より下方に突出するように配置されている。
【0040】
そして、コンマ用セグメント122は、隣接して配置される数字用セグメント11の中間位置L2であって、数字用セグメント11の下端位置L1より上方に配置されている。
【0041】
このようなセグメントの配置により、コンマと小数点の何れについてもユーザが認識しやすい態様で表示することができる。特に、小数点は、数字用セグメント11の下端位置L1より下方に突出しているため、数字の間に埋没することなく視認しやすい。また、コンマの尾部分は、数字用セグメント11の下端位置L1より下方に突出しているため、コンマも数字の間に埋没することなく視認しやすい。
【0042】
なお、小数点用セグメント121および共用セグメント123の全体を、数字用セグメント11の下端位置L1より下方に配置してもよい。ただし、この場合、表示部10の高さが限られているため、数字用セグメント11を縮小する必要が生じることがある。よって、小数点用セグメント121および共用セグメント123は、その一部が数字用セグメント11の下端位置L1より下方となるように配置することが好ましい。
【0043】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。実施形態3以降も同様である。
【0044】
図4は、本実施形態に係る電卓1の表示部10におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示態様を示す図である。本実施形態における記号用セグメント12は、3個のセグメントから構成される。具体的には、1個の小数点用セグメント121、1個のコンマ用セグメント122、および1個の共用セグメント123から構成される。
【0045】
小数点用セグメント121は、小数点の主に左側部分に対応し、コンマ用セグメント122はコンマの主に頭部(より詳細にはコンマの頭部の主に上部)に対応している。そして、共用セグメント123は、小数点の主に右側部分とコンマの主に尾の部分と、コンマの頭部の下部の一部とに対応する。
【0046】
本実施形態に係る電卓1は、実施形態1の電卓1と比べて、小数点用セグメント121の数が1個となっている点で相違している。小数点用セグメント121の数を1個とすることにより、コンマの左右方向の中心位置が、小数点の中心位置と左右方向に少しずれるが、記号用セグメント12の構成を簡略なものとすることができるという利点がある。
【0047】
制御部30は、コンマ用セグメント122および共用セグメント123をON、小数点用セグメント121をOFFにすることによってコンマを表示する。すなわち、実施形態2におけるコンマ対応セグメントは、コンマ用セグメント122と共用セグメント123との組合せとなる。
【0048】
また、制御部30は、小数点用セグメント121および共用セグメント123をONにし、コンマ用セグメント122をOFFにすることによって小数点を表示する。すなわち、実施形態2における小数点対応セグメントは、小数点用セグメント121と共用セグメント123との組合せとなる。
【0049】
なお、制御部30は、小数点もコンマも表示させない位置の記号用セグメント12については、小数点用セグメント121とコンマ用セグメント122と共用セグメント123を全てOFFにする。これによって、コンマ、小数点の何れも表示されない状態とすることができる。
【0050】
<小数点用セグメントとコンマ用セグメント>
本実施形態の電卓1においても、実施形態1の電卓1と同様に、コンマを数字の上方側ではなく下方側に表示させることができるため、特許文献1の桁区切りの表示体のような違和感をユーザに与えることがない。また、表示部10では、コンマの表示位置と小数点の表示位置が重なっている(重なっている領域が共用セグメント123となっている)ため、コンマと小数点の何れについてもユーザが認識しやすい表示位置とすることができる。
【0051】
また、本実施形態の電卓1においても、コンマ用セグメント122を、小数点用セグメント121よりも上方に配置していると共に、共用セグメント123の一部を、コンマの上下方向の中心位置C1よりも下方側に形成している。これにより、小数点を表示する際に、コンマの上下方向の中心位置C1よりも下方側の部分(主に尾の部分)が小数点の一部を構成して、コンマの頭部の円形状と、小数点の円形状の表示位置は上下にずれるため、小数点とコンマの判別が容易になっている。
【0052】
さらに、本実施形態の電卓1においても、小数点用セグメント121および共用セグメント123により表示される小数点の幅D2は、コンマ用セグメント122および共用セグメント123により表示されるコンマの、中心位置C1よりも上方側における最大幅D1より大きい。これにより、小数点が、コンマの頭部よりも大きく表示されるため、小数点とコンマの判別がさらに容易となる。
【0053】
<数字用セグメントとの位置関係>
本実施形態の電卓1においても、小数点用セグメント121の一部は、数字用セグメント11の下端位置L1より下方に突出するように配置されている。また、小数点用セグメント121は、隣接して配置される数字用セグメント11の中間位置に配置されている。また、共用セグメント123とコンマ用セグメント122も小数点用セグメント121と同様に、隣接して配置される数字用セグメント11の中間位置に、その一部が数字用セグメント11の下端位置L1より下方に突出するように配置されている。また、コンマ用セグメント122は、その少なくとも上部が数字用セグメント11の下端位置L1より上方に位置するように配置されている。
【0054】
このようなセグメントの配置により、コンマと小数点の何れについてもユーザが認識しやすい態様で表示することができる。特に、小数点は、数字用セグメント11の下端位置L1より下方に突出しているため、数字の間に埋没することなく視認しやすい。また、コンマの尾部分は、数字用セグメント11の下端位置L1より下方に突出しているため、コンマも数字の間に埋没することなく視認しやすい。
【0055】
なお、小数点用セグメント121および共用セグメント123の全体を、数字用セグメント11の下端位置L1より下方に配置してもよい。ただし、この場合、表示部10の高さが限られているため、数字用セグメント11を縮小する必要が生じることがある。よって、小数点用セグメント121および共用セグメント123は、その一部が数字用セグメント11の下端位置L1より下方となるように配置することが好ましい。
【0056】
〔実施形態3〕
図5は、本実施形態3に係る電卓1の表示部10におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示態様を示す図である。本実施形態の電卓1に係る記号用セグメント12は、
図1に示した実施形態1に係る電卓1の記号用セグメント12と概ね同様の構成であり、共用セグメント123の一部(略全体)を、コンマの上下方向の中心位置C1よりも下方側に形成している。よって、実施形態3に係る電卓1も実施形態1と同様の効果を奏する。なお、共用セグメント123の全体を中心位置C1よりも下方側に形成してもよい。これは他の実施形態においても同様である。
【0057】
本実施形態の記号用セグメント12では、小数点用セグメント121および共用セグメント123により表示される小数点の幅D2は、コンマ用セグメント122および共用セグメント123により表示されるコンマの、中心位置C1よりも上方側における最大幅D1と同程度である。
【0058】
また、小数点用セグメント121および共用セグメント123により表示される小数点は、その略全体が数字用セグメント11の下端位置L1より下方の位置となっている。この構成によれば、コンマの頭部の円形状と、小数点の円形状の表示位置の上下方向のずれ量を、実施形態1の記号用セグメント12よりも大きくすることができる。よって、D1とD2が同程度であっても、小数点とコンマの判別が容易となる。なお、D1とD2は同じ大きさであってもよいし、D2をD1よりも小さくしてもよい。
【0059】
〔実施形態4〕
図6は、本実施形態4に係る電卓1の表示部10におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示態様を示す図である。
図6に示す記号用セグメント12は、5個のセグメントから構成される。具体的には、2個の小数点用セグメント121(121a、121b)、2個のコンマ用セグメント122(122a、122b)、1個の共用セグメント123から構成される。
【0060】
本実施形態の電卓1に係る記号用セグメント12は、
図1に示した実施形態1に係る電卓1の記号用セグメント12と概ね同様の構成であり、共用セグメント123の一部を、コンマの上下方向の中心位置C1よりも下方側に形成している。よって、実施形態4に係る電卓1も実施形態1と同様の効果を奏する。
【0061】
本実施形態の記号用セグメント12は、コンマ用セグメント122が、コンマの主に頭部(より詳細にはコンマの頭部の主に上部)に対応する頭部セグメント122aと、コンマの尾の部分の末端に対応する末端部分セグメント122bとを含む。この点において、本実施形態の記号用セグメント12は、実施形態1の記号用セグメント12と相違している。
【0062】
このように、コンマ用セグメント122は、複数のセグメントで構成されていてもよい。また、1つのコンマ用セグメント122を3つ以上のセグメントで構成してもよい。なお、本実施形態の表示部10において、実施形態2(
図4)と同様に、小数点用セグメント121を1個のセグメントから成るものとしてもよい。
【0063】
本実施形態の制御部30は、頭部セグメント122aと共用セグメント123と末端部分セグメント122bを用いてコンマを表示する。頭部セグメント122aは、小数点用セグメント121よりも上方に突出し、末端部分セグメント122bは、小数点用セグメント121よりも下方および側方に突出するから、縦長であるコンマの形状が強調され、円形の小数点との識別性が高くなっている。
【0064】
また、
図6の例では、小数点の幅D2は、コンマの、中心位置C1よりも上方側における最大幅D1より大きいため、小数点とコンマの判別が容易になっている。ただし、実施形態3(
図5)と同様に、D1とD2は同じ大きさとしてもよいし、D2をD1よりも小さくしてもよい。
【0065】
〔実施形態5〕
図7は、本実施形態5に係る電卓1の表示部10におけるセグメントの配置と、小数点およびコンマの表示態様を示す図である。
図7に示す記号用セグメント12は、4個のセグメントから構成される。具体的には、
図7に示す記号用セグメント12は、2個の小数点用セグメント121(121a、121b)、1個のコンマ用セグメント122、および1個の共用セグメント123から構成される。なお、コンマと小数点の視認性上の問題がなければ、小数点用セグメント121aは省略してもよい。
【0066】
図7に示す記号用セグメント12は、
図1に示した実施形態1に係る電卓1の記号用セグメント12と比べて、表示する小数点の形状が略楕円形上である点で相違している。より詳細には、
図7に示す記号用セグメント12は、上端に近付くにつれて幅が狭くなる楕円形状の小数点であって、上端側が左側に傾いた小数点を表示する。この小数点は、コンマの尾の部分が左下方向に延びているのに対し、右下方向に延びているため、コンマとの識別性が高くなっている。
【0067】
制御部30は、コンマの主に尾の末端部分を構成するコンマ用セグメント122と、コンマの頭部および尾の中央から上方部分を主に構成する共用セグメント123とをONにし、小数点用セグメント121をOFFにすることによってコンマを表示する。
【0068】
また、制御部30は、小数点用セグメント121に含まれる、小数点の主に中央左端部分を構成する第1小数点用セグメント121aと、小数点の右下部分を主に構成する第2小数点用セグメント121bと、小数点の中央左端部分を除く左上部分を主に構成する共用セグメント123とをONにし、コンマ用セグメント122をOFFにすることによって小数点を表示する。
【0069】
また、
図7に示す記号用セグメント12においても上述の各実施形態と同様に、共用セグメント123の一部を、コンマの上下方向の中心位置C1よりも下方側に形成している。よって、実施形態5に係る電卓1も実施形態1と同様の効果を奏する。
【0070】
また、
図7の例では、小数点の幅(より詳細には中心位置C1よりも下方側における最大幅)D2は、コンマの、中心位置C1よりも上方側における最大幅D1より大きいため、小数点とコンマの判別が容易になっている。ただし、D1とD2は同じ大きさとしてもよいし、D2をD1よりも小さくしてもよい。
【0071】
〔変形例〕
上述の各実施形態では、本発明に係る表示装置を電卓1の表示部10として適用した例について説明した。しかしながら、本発明に係る表示装置は、電卓1に限らず、数字や小数点等の記号を表示するセグメント式の表示装置を備えた任意の機器、例えば、各種の計測機器、カウンタ、電子棚札、電子レジスタ等についても適用することが可能である。
【0072】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る表示部(表示装置)10は、小数点を表示するための小数点用セグメント121と、数字の位取りを示す記号であるコンマを表示するためのコンマ用セグメント122と、小数点表示とコンマ表示の両方で使用される共用セグメント123と、が形成された表示部10を備え、共用セグメント123の全体または一部は、コンマの上下方向の中心位置C1よりも下方側に形成されている。この構成によれば、コンマと小数点の何れについてもユーザが認識しやすい態様で表示することができる。
【0073】
本発明の態様2に係る表示部10は、上記態様1において、小数点用セグメント121および共用セグメント123により表示される小数点の幅D2は、コンマ用セグメント122および共用セグメント123により表示されるコンマの、中心位置C1よりも上方側における最大幅D1より大きくてもよい。これにより、小数点とコンマの判別をさらに容易にすることができる。
【0074】
本発明の態様3に係る表示部10は、上記態様1または2のいずれかにおいて、小数点用セグメント121は、隣接して配置されている、数字を表示するための数字用セグメント11の中間位置L2であって、少なくとも一部が上記数字用セグメント11の下端位置L1よりも下方に突出するように配置されていてもよい。この構成によれば、小数点が、数字の間に埋没して視認し難くなるのを抑制することができる。
【0075】
本発明の態様4に係る電子計算機(電卓1)は、上記態様1から3の何れかに記載の表示部10を備えている。この構成によれば、態様1と同様の効果を奏する。
【0076】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0077】
1 電卓(電子計算機)
10 表示部(表示装置)
11 数字用セグメント
121 小数点用セグメント
122 コンマ用セグメント
123 共用セグメント
D1 幅
D2 幅
L1 下端位置
L2 中間位置