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特許7396878マルチチャンネルオーディオシステム、音響プロファイル情報生成装置、ワイヤレス録音再生装置、プログラム、および、音響プロファイル情報の生成方法
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  • 特許-マルチチャンネルオーディオシステム、音響プロファイル情報生成装置、ワイヤレス録音再生装置、プログラム、および、音響プロファイル情報の生成方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】マルチチャンネルオーディオシステム、音響プロファイル情報生成装置、ワイヤレス録音再生装置、プログラム、および、音響プロファイル情報の生成方法
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20231205BHJP
   G10K 15/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
H04S7/00 310
G10K15/00 L
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019215799
(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公開番号】P2021087145
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】309039716
【氏名又は名称】株式会社ディーアンドエムホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】児玉 将
【審査官】冨澤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-135094(JP,A)
【文献】国際公開第2018/123612(WO,A1)
【文献】特開2007-259391(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0169032(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04S 1/00-7/00
G10K 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオ装置と、前記マルチチャンネルオーディオ装置に設定する音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成装置と、前記マルチチャンネルオーディオ装置のリスニングポイントに配置され、前記音響プロファイル情報生成装置と連携するワイヤレス録音再生装置と、を備えたマルチチャンネルオーディオシステムであって、
前記ワイヤレス録音再生装置は、
前記マルチチャンネルオーディオ装置から、チャンネルの指定を伴うテスト信号再生指示を受け付けた場合に、自装置が備える、あるいは自装置に接続されたマイクを有効にして集音を開始し、当該指定チャンネルに対応する前記スピーカを介して前記マルチチャンネルオーディオ装置から出力された前記テスト信号を、当該指定チャンネルのチャンネル再生データとして録音するチャンネル再生データ録音手段と、
前記テスト信号再生指示を受け付けた場合に、前記マイクによる集音開始に同期して予め記憶されている前記テスト信号の音源を再生し、その再生データを音源再生データとして外部出力することなく録音する音源再生データ録音手段と、
前記チャンネル再生データ録音手段により録音された前記指定チャンネルのチャンネル再生データおよび前記音源再生データ録音手段により録音された前記音源再生データを含む前記指定チャンネルの測定データを前記音響プロファイル情報生成装置に送信する測定データ送信手段と、を有し、
前記音響プロファイル情報生成装置は、
前記ワイヤレス録音再生装置から前記指定チャンネルの測定データを受信する測定データ受信手段と、
前記測定データ受信手段により受信された前記指定チャンネルの測定データに含まれている前記チャンネル再生データおよび前記音源再生データを比較して、当該指定チャンネルにおける前記チャンネル再生データの、前記音源再生データに対する遅延時間および減衰率を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記指定チャンネルにおける前記チャンネル再生データの、前記音源再生データに対する遅延時間および減衰率に基づいて、再生タイミングおよび音量レベルを含む当該指定チャンネルの音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成手段と、
前記音響プロファイル情報生成手段により生成された前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を前記マルチチャンネルオーディオ装置に送信する音響プロファイル情報送信手段と、を有し、
前記マルチチャンネルオーディオ装置は、
前記音響プロファイル情報生成装置から前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を受信する音響プロファイル情報受信手段と、
前記音響プロファイル情報受信手段により受信された前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を、当該指定チャンネルのオーディオ信号の再生条件に設定する音響プロファイル情報設定手段と、
ユーザから受け付けたテスト信号再生操作に従い、チャンネルの指定を伴う前記テスト信号再生指示を前記ワイヤレス録音再生装置に送信するテスト信号再生指示手段と、
前記テスト信号再生操作に従い、予め記憶されている前記テスト信号の音源を再生して、当該指定チャンネルに対応する前記スピーカから出力するテスト信号再生手段と、を有する
ことを特徴とするマルチチャンネルオーディオシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のマルチチャンネルオーディオシステムであって、
前記音響プロファイル情報生成装置は、
前記マルチチャンネルオーディオ装置からの探索要求に従い、自装置および前記マルチチャンネルオーディオ装置と通信可能な前記ワイヤレス録音再生装置を探索する探索手段と、
前記探索手段により探索された前記ワイヤレス録音再生装置を含む探索結果を前記マルチチャンネルオーディオ装置に通知する探索結果通知手段と、
前記マルチチャンネルオーディオ装置から受信した選択要求で指定されている前記ワイヤレス録音再生装置を当該マルチチャンネルオーディオ装置に紐付けて管理するペア管理手段と、をさらに有し、
前記マルチチャンネルオーディオ装置は、
ユーザから受け付けた探索操作に従い前記探索要求を前記音響プロファイル情報生成装置に送信して、前記音響プロファイル情報生成装置から前記探索結果を取得する探索結果取得手段と、
前記探索結果取得手段により取得された前記探索結果のなかからユーザにより選択された前記ワイヤレス録音再生装置の指定を伴う前記選択要求を前記音響プロファイル情報生成装置に送信する選択通知手段と、をさらに有し、
前記音響プロファイル情報送信手段は、
前記測定データ受信手段により受信された前記指定チャンネルの測定データの送信元である前記ワイヤレス録音再生装置に紐付けられて前記ペア管理手段により管理されている前記マルチチャンネルオーディオ装置に、前記音響プロファイル情報生成手段により生成された前記指定チャンネルの前記音響プロファイル情報を送信する
ことを特徴とするマルチチャンネルオーディオシステム。
【請求項3】
請求項1に記載のマルチチャンネルオーディオシステムであって、
前記マルチチャンネルオーディオ装置は、
ユーザから受け付けた探索操作に従い、自装置および前記音響プロファイル情報生成装置と通信可能な前記ワイヤレス録音再生装置を探索する探索手段と、
前記探索手段により探索された前記ワイヤレス録音再生装置のなかからユーザにより選択された前記ワイヤレス録音再生装置の指定を伴う選択要求を前記音響プロファイル情報生成装置に送信する選択通知手段と、をさらに有し、
前記音響プロファイル情報生成装置は、
前記マルチチャンネルオーディオ装置から受信した前記選択要求で指定されている前記ワイヤレス録音再生装置を当該マルチチャンネルオーディオ装置に紐付けて管理するペア管理手段をさらに有し、
前記音響プロファイル情報送信手段は、
前記測定データ受信手段により受信された前記指定チャンネルの測定データの送信元である前記ワイヤレス録音再生装置に紐付けられて前記ペア管理手段により管理されている前記マルチチャンネルオーディオ装置に、前記音響プロファイル情報生成手段により生成された前記指定チャンネルの前記音響プロファイル情報を送信する
ことを特徴とするマルチチャンネルオーディオシステム。
【請求項4】
請求項2または3に記載のマルチチャンネルオーディオシステムであって、
前記音響プロファイル情報生成装置は、
前記マルチチャンネルオーディオ装置から受信した前記選択要求で指定されている前記ワイヤレス録音再生装置に、当該マルチチャンネルオーディオ装置の指定を伴う測定モード移行要求を送信する測定モード移行要求送信手段をさらに有し、
前記ワイヤレス録音再生装置は、
前記音響プロファイル情報生成装置から受信した前記測定モード移行要求に従い、当該測定モード移行要求で指定されている前記マルチチャンネルオーディオ装置から前記テスト信号再生指示が送られてくるのを待機する測定モードに移行する
ことを特徴とするマルチチャンネルオーディオシステム。
【請求項5】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオ装置のリスニングポイントに配置され、当該マルチチャンネルオーディオ装置から出力されたテスト信号を録音するワイヤレス録音再生装置と連携して、前記マルチチャンネルオーディオ装置に設定する音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成装置であって、
指定チャンネルに対応する前記スピーカを介して前記マルチチャンネルオーディオ装置から出力された前記テスト信号の録音データであるチャンネル再生データ、および、前記マルチチャンネルオーディオ装置における前記テスト信号の再生に同期して前記ワイヤレス録音再生装置により再生された前記テスト信号の録音データである音源再生データを含む、前記指定チャンネルの測定データを、前記ワイヤレス録音再生装置から受信する測定データ受信手段と、
前記測定データ受信手段により受信された前記指定チャンネルの測定データに含まれている前記チャンネル再生データおよび前記音源再生データを比較して、当該指定チャンネルにおける前記チャンネル再生データの、前記音源再生データに対する遅延時間および減衰率を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された、前記音源再生データに対する前記チャンネル再生データの遅延時間および減衰率に基づいて、再生タイミングおよび音量レベルを含む前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成手段と、
前記音響プロファイル情報生成手段により生成された前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を前記マルチチャンネルオーディオ装置に送信する音響プロファイル情報送信手段と、を有する
ことを特徴とする音響プロファイル情報生成装置。
【請求項6】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオ装置のリスニングポイントに配置され、前記マルチチャンネルオーディオ装置に設定する音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成装置と連携するワイヤレス録音再生装置であって、
前記マルチチャンネルオーディオ装置から、チャンネルの指定を伴うテスト信号再生指示を受け付けた場合に、自装置が備える、あるいは自装置に接続されたマイクを有効にして集音を開始し、当該指定チャンネルに対応する前記スピーカを介して前記マルチチャンネルオーディオ装置から出力されたテスト信号を、当該指定チャンネルのチャンネル再生データとして録音するチャンネル再生データ録音手段と、
前記テスト信号再生指示を受け付けた場合に、前記マイクによる集音開始に同期して、予め記憶されている前記テスト信号の音源を再生し、再生データを音源再生データとして外部出力することなく録音する音源再生データ録音手段と、
前記チャンネル再生データ録音手段により録音された前記指定チャンネルのチャンネル再生データおよび前記音源再生データ録音手段により録音された前記音源再生データを含む前記指定チャンネルの測定データを前記音響プロファイル情報生成装置に送信する測定データ送信手段と、を有する
ことを特徴とするワイヤレス録音再生装置。
【請求項7】
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオ装置のリスニングポイントに配置され、当該マルチチャンネルオーディオ装置から出力されたテスト信号を録音するワイヤレス録音再生装置と連携して、前記マルチチャンネルオーディオ装置に設定する音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成装置として機能させ、
前記音響プロファイル情報生成装置は、
指定チャンネルに対応する前記スピーカを介して前記マルチチャンネルオーディオ装置から出力された前記テスト信号の録音データであるチャンネル再生データ、および、前記マルチチャンネルオーディオ装置における前記テスト信号の再生に同期して前記ワイヤレス録音再生装置により再生された前記テスト信号の録音データである音源再生データを含む、前記指定チャンネルの測定データを、前記ワイヤレス録音再生装置から受信する測定データ受信手段と、
前記測定データ受信手段により受信された前記指定チャンネルの測定データに含まれている前記チャンネル再生データおよび前記音源再生データを比較して、当該指定チャンネルにおける前記チャンネル再生データの、前記音源再生データに対する遅延時間および減衰率を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された、前記音源再生データに対する前記チャンネル再生データの遅延時間および減衰率に基づいて、再生タイミングおよび音量レベルを含む前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成手段と、
前記音響プロファイル情報生成手段により生成された前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を前記マルチチャンネルオーディオ装置に送信する音響プロファイル情報送信手段と、を有する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータで実行可能なプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータを、複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオ装置のリスニングポイントに配置され、前記マルチチャンネルオーディオ装置に設定する音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成装置と連携するワイヤレス録音再生装置として機能させ、
前記ワイヤレス録音再生装置は、
前記マルチチャンネルオーディオ装置から、チャンネルの指定を伴うテスト信号再生指示を受け付けた場合に、自装置が備える、あるいは自装置に接続されたマイクを有効にして集音を開始し、当該指定チャンネルに対応する前記スピーカを介して前記マルチチャンネルオーディオ装置から出力されたテスト信号を、当該指定チャンネルのチャンネル再生データとして録音するチャンネル再生データ録音手段と、
前記テスト信号再生指示を受け付けた場合に、前記マイクによる集音開始に同期して、予め記憶されている前記テスト信号の音源を再生し、再生データを音源再生データとして外部出力することなく録音する音源再生データ録音手段と、
前記チャンネル再生データ録音手段により録音された前記指定チャンネルのチャンネル再生データおよび前記音源再生データ録音手段により録音された前記音源再生データを含む前記指定チャンネルの測定データを前記音響プロファイル情報生成装置に送信する測定データ送信手段と、を有する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオ装置のリスニングポイントに配置されたワイヤレス録音再生装置と、前記マルチチャンネルオーディオ装置および前記ワイヤレス録音再生装置と通信可能な音響プロファイル情報生成装置と、を用いて、前記マルチチャンネルオーディオ装置に設定する音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報の生成方法であって、
前記マルチチャンネルオーディオ装置は、
ユーザからチャンネルの指定を伴うテスト信号再生操作を受け付けると、当該チャンネルの指定を伴うテスト信号再生指示を前記ワイヤレス録音再生装置に送信するとともに、予め記憶されているテスト信号の音源を再生して、当該指定チャンネルに対応する前記スピーカから出力し、
前記ワイヤレス録音再生装置は、
前記マルチチャンネルオーディオ装置から前記テスト信号再生指示を受け付けると、自装置が備える、あるいは自装置に接続されたマイクを有効にして集音を開始し、前記指定チャンネルに対応する前記スピーカを介して前記マルチチャンネルオーディオ装置から出力された前記テスト信号を、前記テスト信号再生指示の指定チャンネルのチャンネル再生データとして録音するとともに、前記マイクによる集音開始に同期して、予め記憶されている前記テスト信号の音源を再生し、その再生データを音源再生データとして外部出力することなく録音し、前記チャンネル再生データおよび前記音源再生データを含む前記指定チャンネルの測定データを前記音響プロファイル情報生成装置に送信し、
前記音響プロファイル情報生成装置は、
前記ワイヤレス録音再生装置から前記指定チャンネルの測定データを受信すると、当該指定チャンネルの測定データに含まれている前記チャンネル再生データおよび前記音源再生データを比較して、当該指定チャンネルにおける前記チャンネル再生データの、前記音源再生データに対する遅延時間および減衰率を測定し、この測定結果に基づいて、当該指定チャンネルの再生タイミングおよび音量レベルを含む前記音響プロファイル情報を生成して、当該指定チャンネルの前記音響プロファイル情報を前記マルチチャンネルオーディオ装置に送信し、
前記マルチチャンネルオーディオ装置は、
前記音響プロファイル情報生成装置から前記指定チャンネルの前記音響プロファイル情報を受信すると、当該指定チャンネルの前記音響プロファイル情報を、当該指定チャンネルのオーディオ信号の再生条件に設定する
ことを特徴とする音響プロファイル情報の生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のスピーカを用いたマルチチャンネルオーディオ信号の再生に利用する音響プロファイル情報の生成技術に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオ装置が知られている。例えば、特許文献1に記載のマルチチャンネルオーディオ装置は、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に、オーディオ信号を増幅して、このチャンネルに対応するスピーカから出力している。
【0003】
また、マルチチャンネルオーディオ装置のなかには、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎にオーディオ信号の音響プロファイル情報(再生タイミング、音量レベル等)を設定できるものがある。例えば、特許文献2に記載のマルチチャンネルオーディオ装置は、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に、このチャンネルに対応するスピーカから出力されたテスト信号を、リスニングポイントに設置された専用の測定マイクで集音して、その遅延時間、減衰率を測定する。そして、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に、このチャンネルに対応するスピーカから出力されるオーディオ信号がリスニングポイントで最適となるように音響プロファイル情報を設定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-367290号公報
【文献】特開2000-354300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2に記載のような、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に音響プロファイル情報を設定可能な従来のマルチチャンネルオーディオ装置には専用の測定マイクを付属させる必要がある。また、マルチチャンネルオーディオ装置が、自ら遅延時間、減衰率を測定し、その測定結果に基づいて音響プロファイル情報を生成するので、そのために必要な処理能力がマルチチャンネルオーディオ装置に要求される。これらのため、マルチチャンネルオーディオ装置のコストが増大する。また、専用の測定マイクをマルチチャンネルオーディオ装置にコードで接続する必要があり、煩雑である。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、マルチチャンネルオーディオ装置のコストを増大させることなく、かつ簡単な操作で、マルチチャンネルオーディオ信号の音響プロファイル情報を生成することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、録音再生機能を備えたスマートスピーカ、スマートホン、タブレットPC等のワイヤレス録音再生装置を測定マイクとして、マルチチャンネルオーディオ装置のリスニングポイントに配置する。ワイヤレス録音再生装置は、テスト信号の音源を有しており、マルチチャンネルオーディオ装置から、チャンネルの指定を伴うテスト信号再生指示を受け付けると、この指定チャンネルに対応するスピーカを介してマルチチャンネルオーディオ装置から出力されたテスト信号をチャンネル再生データとして録音するとともに、テスト信号の音源を再生し、これをスピーカから外部出力することなく音源再生データとして録音する。そして、指定チャンネルのチャンネル再生データおよび音源再生データを音響プロファイル情報生成装置に送信する。これを受けて、音響プロファイル情報生成装置は、チャンネル再生データと音源再生データとを比較して、音源再生データに対するチャンネル再生データの遅延時間、減衰率を測定する。そして、測定結果に基づいて指定チャンネルの再生タイミングおよび音量レベルを含む音響プロファイル情報を生成し、マルチチャンネルオーディオ装置に設定する。
【0008】
例えば、本発明は、
複数のスピーカを用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生するマルチチャンネルオーディオ装置と、前記マルチチャンネルオーディオ装置に設定する音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成装置と、前記マルチチャンネルオーディオ装置のリスニングポイントに配置され、前記音響プロファイル情報生成装置と連携するワイヤレス録音再生装置と、を備えたマルチチャンネルオーディオシステムであって、
前記ワイヤレス録音再生装置は、
前記マルチチャンネルオーディオ装置から、チャンネルの指定を伴うテスト信号再生指示を受け付けた場合に、自装置が備える、あるいは自装置に接続されたマイクを有効にして集音を開始し、当該指定チャンネルに対応する前記スピーカを介して前記マルチチャンネルオーディオ装置から出力された前記テスト信号を、当該指定チャンネルのチャンネル再生データとして録音するチャンネル再生データ録音手段と、
前記テスト信号再生指示を受け付けた場合に、前記マイクによる集音開始に同期して予め記憶されている前記テスト信号の音源を再生し、その再生データを音源再生データとして外部出力することなく録音する音源再生データ録音手段と、
前記チャンネル再生データ録音手段により録音された前記指定チャンネルのチャンネル再生データおよび前記音源再生データ録音手段により録音された前記音源再生データを含む前記指定チャンネルの測定データを前記音響プロファイル情報生成装置に送信する測定データ送信手段と、を有し、
前記音響プロファイル情報生成装置は、
前記ワイヤレス録音再生装置から前記指定チャンネルの測定データを受信する測定データ受信手段と、
前記測定データ受信手段により受信された前記指定チャンネルの測定データに含まれている前記チャンネル再生データおよび前記音源再生データを比較して、当該指定チャンネルにおける前記チャンネル再生データの、前記音源再生データに対する遅延時間および減衰率を測定する測定手段と、
前記測定手段により測定された前記指定チャンネルにおける前記チャンネル再生データの、前記音源再生データに対する遅延時間および減衰率に基づいて、再生タイミングおよび音量レベルを含む当該指定チャンネルの音響プロファイル情報を生成する音響プロファイル情報生成手段と、
前記音響プロファイル情報生成手段により生成された前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を前記マルチチャンネルオーディオ装置に送信する音響プロファイル情報送信手段と、を有し、
前記マルチチャンネルオーディオ装置は、
前記音響プロファイル情報生成装置から前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を受信する音響プロファイル情報受信手段と、
前記音響プロファイル情報受信手段により受信された前記指定チャンネルの音響プロファイル情報を、当該指定チャンネルのオーディオ信号の再生条件に設定する音響プロファイル情報設定手段と、
ユーザから受け付けたテスト信号再生操作に従い、チャンネルの指定を伴う前記テスト信号再生指示を前記ワイヤレス録音再生装置に送信するテスト信号再生指示手段と、
前記テスト信号再生操作に従い、予め記憶されている前記テスト信号の音源を再生して、当該指定チャンネルに対応する前記スピーカから出力するテスト信号再生手段と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、録音再生機能を備えたスマートスピーカ、スマートホン、タブレットPC等のワイヤレス録音再生装置を測定マイクとして用いるので、マルチチャンネルオーディオ装置に専用の測定マイクを付属させる必要がない。また、ユーザは、測定マイクとして使用するワイヤレス録音再生装置をマルチチャンネルオーディオ装置のリスニングポイントに配置すればよく、ワイヤレス録音再生装置とマルチチャンネルオーディオ装置との間をコードで接続する必要がない。さらに、マルチチャンネルオーディオ装置とは別途用意された音響プロファイル情報生成装置により音響プロファイル情報を生成するので、マルチチャンネルオーディオ装置に、音響プロファイル情報生成のために必要な処理能力は要求されない。
【0010】
したがって、本発明によれば、マルチチャンネルオーディオ装置のコストを増大させることなく、かつ簡単な操作で、マルチチャンネルオーディオ信号の音響プロファイル情報を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施の形態に係るマルチチャンネルオーディオシステム1の概略構成図である。
図2図2は、マルチチャンネルオーディオシステム1の動作を説明するためのシーケンス図である。
図3図3は、マルチチャンネルオーディオシステム1の動作を説明するためのシーケンス図であり、図2の続きである。
図4図4は、ワイヤレス録音再生端末5の概略機能構成図である。
図5図5は、ワイヤレス録音再生端末5の動作を説明するためのフロー図である。
図6図6は、音響プロファイル情報生成サーバ4の概略機能構成図である。
図7図7は、音響プロファイル情報生成サーバ4の動作を説明するためのフロー図である。
図8図8は、マルチチャンネルオーディオ装置2の概略機能構成図である。
図9図9は、マルチチャンネルオーディオ装置2の音響プロファイル設定動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本実施の形態に係るマルチチャンネルオーディオシステム1の概略構成図である。
【0014】
図示するように、本実施の形態に係るマルチチャンネルオーディオシステム1は、WAN、LAN等のネットワーク6に接続された音響プロファイル情報生成サーバ4と、アクセスポイント7を介してネットワーク6に接続されたマルチチャンネルオーディオ装置2およびワイヤレス録音再生端末5-1~5-3(以下、単にワイヤレス録音再生端末5とも呼ぶ)と、を備えている。
【0015】
マルチチャンネルオーディオ装置2は、複数のスピーカ3-1~3-6(以下、単にスピーカ3とも呼ぶ)を用いてマルチチャンネルオーディオ信号を再生する。本実施の形態では、5.1chのマルチチャンネルオーディオ信号を再生する場合を例示しており、FR(Front Right)チャンネル、FL(Front Left)チャンネル、C(Center)チャンネル、SR(Surround Right)チャンネル、SL(Surround Left)チャンネル、およびSW(Sub Woofer)チャンネルに対応した6台のスピーカ3-1~3-6がマルチチャンネルオーディオ装置2に接続されている。マルチチャンネルオーディオ装置2は、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に、音響プロファイル情報生成サーバ4によって生成された音響プロファイル情報に従ってオーディオ信号を再生し、該当チャンネルに対応するスピーカ3から出力する。また、マルチチャンネルオーディオ装置2は、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により、マルチチャンネルオーディオ装置2をリモート操作するためのコントローラ8を備えている。
【0016】
ワイヤレス録音再生端末5は、録音再生機能を備えたスマートスピーカ、スマートホン、タブレットPC等のワイヤレス端末であり、音響プロファイル情報生成サーバ4と連携することにより測定マイクとして使用可能である。測定マイクとして使用されるワイヤレス録音再生端末5は、マルチチャンネルオーディオ装置2のリスニングポイントに配置される。
【0017】
音響プロファイル情報生成サーバ4は、測定マイクとしてマルチチャンネルオーディオ装置2のリスニングポイントに配置されたワイヤレス録音再生端末5の測定結果に基づいて、マルチチャンネルオーディオ装置2に設定する音響プロファイル情報を生成する。
【0018】
図2および図3は、マルチチャンネルオーディオシステム1の動作を説明するためのシーケンス図である。
【0019】
まず、コントローラ8は、ユーザから測定マイクとして使用可能なワイヤレス録音再生端末5の探索操作を受け付けると(S100)、マルチチャンネルオーディオ装置2に探索指示を送信する(S101)。これを受けて、マルチチャンネルオーディオ装置2は、アクセスポイント7およびネットワーク6を介して音響プロファイル情報生成サーバ4に探索要求を送信する(S102)。
【0020】
音響プロファイル情報生成サーバ4は、マルチチャンネルオーディオ装置2から探索要求を受信すると、ネットワーク6に測定マイクの問い合わせを同報送信する(S103)。この問い合わせは、アクセスポイント7から無線送信される。
【0021】
つぎに、ワイヤレス録音再生端末5は、音響プロファイル情報生成サーバ4から問い合わせを受信すると、自端末5が測定マイクとして使用可能であれば、音響プロファイル情報生成サーバ4に応答を返信する(S104)。ここでは、図1に示すすべてのワイヤレス録音再生端末5-1~5-3が応答を返信したものとする。これを受けて、音響プロファイル情報生成サーバ4は、応答を返信したすべてのワイヤレス録音再生端末5-1~5-3の情報を含む探索結果をマルチチャンネルオーディオ装置2に送信する(S105)。
【0022】
つぎに、マルチチャンネルオーディオ装置2は、音響プロファイル情報生成サーバ4から探索結果を受信すると、この探索結果に含まれているワイヤレス録音再生端末5-1~5-3の情報を一覧表示して(S106)、測定マイクとして使用するワイヤレス録音再生端末5がコントローラ8を介してユーザにより選択されるのを待つ。
【0023】
つぎに、コントローラ8は、マルチチャンネルオーディオ装置2に一覧表示されたワイヤレス録音再生端末5-1~5-3のなかから、測定マイクとして使用するワイヤレス録音再生端末5の選択操作をユーザより受け付けると(S107)、選択されたワイヤレス録音再生端末5の指定を伴う選択通知をマルチチャンネルオーディオ装置2に送信する(S108)。これを受けて、マルチチャンネルオーディオ装置2は、選択されたワイヤレス録音再生端末5の指定を伴う選択要求を、アクセスポイント7およびネットワーク6を介して音響プロファイル情報生成サーバ4に送信する(S109)。
【0024】
つぎに、音響プロファイル情報生成サーバ4は、マルチチャンネルオーディオ装置2から選択要求を受信すると、この選択要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5に、この選択要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2の指定を伴う測定モード移行要求を送信する(S110)。
【0025】
つぎに、音響プロファイル情報生成サーバ4から測定モード移行要求を受信したワイヤレス録音再生端末5は、測定モードに移行して、この測定モード移行要求で指定されているマルチチャンネルオーディオ装置2からテスト信号再生指示が送られてくるのを待つ(S111)。また、このワイヤレス録音再生端末5は、ユーザによって移動され、マルチチャンネルオーディオ装置2のリスニングポイントに配置される(S112)。
【0026】
なお、図1では、ワイヤレス録音再生端末5-1が、測定マイクとして使用するワイヤレス録音再生端末5に選択され、マルチチャンネルオーディオ装置2のリスニングポイントに配置された場合を例示している。
【0027】
つぎに、コントローラ8は、テスト信号を再生するチャンネルの選択操作をユーザより受け付けると(S113)、選択されたチャンネルの指定を伴う選択通知をマルチチャンネルオーディオ装置2に送信する(S114)。これを受けて、マルチチャンネルオーディオ装置2は、テスト信号を再生するチャンネルの指定を伴うテスト信号再生指示を、アクセスポイント7およびネットワーク6を介して測定モードで動作中のワイヤレス録音再生端末5-1に送信する(S115)。また、マルチチャンネルオーディオ装置2は、予め登録されているテスト信号の音源を再生し、テスト信号再生指示で指定されているチャンネルに対応するスピーカ3から出力する(S116)。
【0028】
一方、測定モードで動作中のワイヤレス録音再生端末5-1は、マルチチャンネルオーディオ装置2からテスト信号再生指示を受信すると、マイクを有効にして集音を開始し、マルチチャンネルオーディオ装置2から出力されたテスト信号を、テスト信号再生指示の指定チャンネルのチャンネル再生データとして録音する。また、マイクの集音開始に同期して、予め登録されているテスト信号の音源を再生し、その再生データを音源再生データとして外部出力することなく録音する(S117)。
【0029】
つぎに、このワイヤレス録音再生端末5-1は、テスト信号再生指示で指定されているチャンネルの指定と、チャンネル再生データおよび音源再生データと、を含む指定チャンネルの測定データを生成する(S118)。それから、アクセスポイント7およびネットワーク6を介して、音響プロファイル情報生成サーバ4に指定チャンネルの測定データを送信する(S119)。
【0030】
つぎに、音響プロファイル情報生成サーバ4は、ワイヤレス録音再生端末5から指定チャンネルの測定データを受信すると、この測定データに含まれているチャンネル再生データおよび音源再生データに基づいて、この測定データの指定チャンネルの音響プロファイル情報を生成する(S120)。具体的には、チャンネル再生データおよび音源再生データを比較して、音源再生データに対するチャンネル再生データの遅延時間および減衰率を測定する。そして、この測定結果に基づいて、再生タイミングおよび音量レベルを含む指定チャンネルの音響プロファイル情報を生成する。
【0031】
それから、音響プロファイル情報生成サーバ4は、以上のようにして生成された指定チャンネルの音響プロファイル情報をマルチチャンネルオーディオ装置2に送信する(S121)。これを受けて、マルチチャンネルオーディオ装置2は、音響プロファイル情報生成サーバ4から受信した指定チャンネルの音響プロファイル情報を、この指定チャンネルのオーディオ信号の再生条件に設定する(S122)。
【0032】
そして、S113~S122に示す処理を、マルチチャンネルオーディオ装置2が再生するマルチチャンネルオーディオ信号のすべてのチャンネルに対して繰り返す(S123)。これにより、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に、このチャンネルのオーディオ信号の再生条件として音響プロファイル情報が設定される。
【0033】
つぎに、本実施の形態に係るマルチチャンネルオーディオシステム1を構成するマルチチャンネルオーディオ装置2、音響プロファイル情報生成サーバ4、および、ワイヤレス録音再生端末5の詳細について説明する。
【0034】
まず、ワイヤレス録音再生端末5の詳細について説明する。
【0035】
図4は、ワイヤレス録音再生端末5の概略機能構成図である。
【0036】
図示するように、ワイヤレス録音再生端末5は、無線ネットワークインターフェース部50と、探索要求応答部51と、マイク52と、テスト信号音源記憶部53と、チャンネル再生データ録音部54と、音源再生データ録音部55と、測定データ送信部56と、主制御部57と、を有する。
【0037】
無線ネットワークインターフェース部50は、アクセスポイント7に無線接続するためのインターフェースである。
【0038】
探索要求応答部51は、無線ネットワークインターフェース部50を介して音響プロファイル情報生成サーバ4から受信した測定マイクの問い合わせに対する応答を返信する。
【0039】
テスト信号音源記憶部53には、マルチチャンネルオーディオ装置2から出力されるテスト信号の音源と同じものが記憶されている。
【0040】
チャンネル再生データ録音部54は、マルチチャンネルオーディオ装置2のいずれかのスピーカ3から出力され、マイク52により集音されたテスト信号を、このスピーカ3に対応するチャンネルのチャンネル再生データとして録音する。
【0041】
音源再生データ録音部55は、マイク52による集音開始に同期して、テスト信号音源記憶部53に記憶されているテスト信号の音源を再生し、その再生データを音源再生データとして録音する。
【0042】
測定データ送信部56は、チャンネル再生データ録音部54により録音されたチャンネル再生データ、音源再生データ録音部55により録音された音源再生データ、および、これらの再生データに対応するチャンネルの指定を含む、指定チャンネルの測定データを生成する。そして、この指定チャンネルの測定データを、無線ネットワークインターフェース部50を介して音響プロファイル情報生成サーバ4に送信する。
【0043】
主制御部57は、ワイヤレス録音再生端末5の各部50~56を統括的に制御する。
【0044】
なお、図4に示すワイヤレス録音再生端末5の機能構成は、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタ等の通信装置と、マイクと、スピーカと、を備えたスマートスピーカ、スマートホン、タブレットPC等の携帯型コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを実行することにより実現される。
【0045】
図5は、ワイヤレス録音再生端末5の動作を説明するためのフロー図である。
【0046】
主制御部57は、無線ネットワークインターフェース部50を介して音響プロファイル情報生成サーバ4から測定マイクの問い合わせを受信すると(S200でYES)、探索要求応答部51に応答を指示する。これを受けて、探索要求応答部51は、無線ネットワークインターフェース部50を介して音響プロファイル情報生成サーバ4に、自ワイヤレス録音再生端末5が測定マイクとして使用可能である旨を示す応答を送信する(S201)。
【0047】
また、主制御部57は、無線ネットワークインターフェース部50を介して音響プロファイル情報生成サーバ4から測定モード移行要求を受信すると(S202でYES)、測定モードに移行して(S203)、この測定モード移行要求で指定されているマルチチャンネルオーディオ装置2からテスト信号再生指示が送られてくるのを待つ(S204)。
【0048】
なお、測定モード移行要求の受信に先立って、あるいは、測定モード移行要求の受信後に、ワイヤレス録音再生端末5は、ユーザによって移動されてマルチチャンネルオーディオ装置2のリスニングポイントに配置される。
【0049】
つぎに、主制御部57は、無線ネットワークインターフェース部50を介して測定モード移行要求で指定されているマルチチャンネルオーディオ装置2からテスト信号再生指示を受信すると(S204でYES)、マイク52を有効にしてチャンネル再生データ録音部54に録音を指示するとともに、音源再生データ録音部55に再生・録音を指示する。これを受けて、チャンネル再生データ録音部54は、測定モード移行要求で指定されているマルチチャンネルオーディオ装置2の、テスト信号再生指示で指定されているチャンネルに対応するスピーカ3から出力され、マイク52により集音されたテスト信号を、このスピーカ3に対応するチャンネル(指定チャンネル)のチャンネル再生データとして録音する(S205)。また、音源再生データ録音部55は、マイク52による集音開始に同期して、テスト信号音源記憶部53に記憶されているテスト信号の音源を再生し、その再生データを音源再生データとして録音する(S206)。
【0050】
つぎに、主制御部57は、チャンネル再生データ録音部54により録音されたチャンネル再生データおよび音源再生データ録音部55により録音された音源再生データを、テスト信号再生指示で指定されているチャンネルとともに測定データ送信部56に渡す。これを受けて、測定データ送信部56は、チャンネル再生データ、音源再生データ、および、これらの再生データに対応するチャンネルの指定を含む、指定チャンネルの測定データを生成し、無線ネットワークインターフェース部50を介して音響プロファイル情報生成サーバ4に、この指定チャンネルの測定データを送信する(S207)。
【0051】
また、主制御部57は、無線ネットワークインターフェース部50を介して音響プロファイル情報生成サーバ4から測定モード解除要求を受信すると(S208でYES)、測定モードを解除して(S209)、テスト信号再生指示の待ち状態を終了し、S200に戻る。
【0052】
つぎに、音響プロファイル情報生成サーバ4の詳細について説明する。
【0053】
図6は、音響プロファイル情報生成サーバ4の概略機能構成図である。
【0054】
図示するように、音響プロファイル情報生成サーバ4は、ネットワークインターフェース部40と、問い合わせ送信部41と、探索結果送信部42と、測定モード移行要求送信部43と、ペア管理部44と、測定部45と、音響プロファイル情報生成部46と、音響プロファイル情報送信部47と、主制御部48と、を有する。
【0055】
ネットワークインターフェース部40は、ネットワーク6に接続するためのインターフェースである。
【0056】
問い合わせ送信部41は、マルチチャンネルオーディオ装置2から受信した探索要求に従い、測定マイクの問い合わせをネットワーク6に同報送信して、自装置4およびマルチチャンネルオーディオ装置2と通信可能であり、かつ測定マイクとして使用可能なワイヤレス録音再生端末5を探索する。
【0057】
探索結果送信部42は、測定マイクとして使用可能なワイヤレス録音再生端末5の情報を含む探索結果を、探索要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2に送信する。
【0058】
測定モード移行要求送信部43は、マルチチャンネルオーディオ装置2から受信した選択要求に従い、この選択要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5に、この選択要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2の指定を伴う測定モード移行要求を送信する。また、マルチチャンネルオーディオ装置2から受信した選択解除要求に従い、この選択解除要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5に測定モード解除要求を送信する。
【0059】
ペア管理部44は、マルチチャンネルオーディオ装置2から受信した選択要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5を、この選択要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2に紐付けて管理する。また、マルチチャンネルオーディオ装置2から受信した選択解除要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5と、この選択解除要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2との紐付けを解消する。
【0060】
測定部45は、ワイヤレス録音再生端末5から受信した指定チャンネルの測定データに含まれているチャンネル再生データおよび音源再生データを比較して、音源再生データに対するチャンネル再生データの遅延時間および減衰率を測定する。
【0061】
音響プロファイル情報生成部46は、測定部45により測定された指定チャンネルの音源再生データに対するチャンネル再生データの遅延時間および減衰率に基づいて、再生タイミングおよび音量レベルを含む指定チャンネルの音響プロファイル情報を生成する。具体的には、標準再生タイミングに対して遅延時間だけ早く再生を開始するように、すなわち、チャンネル再生データにおけるテスト信号の開始タイミングが音源再生データにおけるテスト信号の開始タイミングと一致するように、指定チャンネルの再生タイミングを決定する。また、指定チャンネルのチャンネル再生データが音源再生データに対する減衰率が「1」となるように、すなわち、チャンネル再生データにおけるテスト信号の振幅が音源再生データにおけるテスト信号の振幅と一致するように、指定チャンネルの音量レベルを決定する。
【0062】
音響プロファイル情報送信部47は、音響プロファイル情報生成部46により生成された指定チャンネルの音響プロファイル情報を、この音響プロファイル情報の生成に用いた測定データの送信元であるワイヤレス録音再生端末5に紐付けられてペア管理部44により管理されているマルチチャンネルオーディオ装置2に送信する。
【0063】
主制御部48は、音響プロファイル情報生成サーバ4の各部40~47を統括的に制御する。
【0064】
なお、図6に示す音響プロファイル情報生成サーバ4の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、NIC(Network Interface Card)等の通信装置と、を備えたPC等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【0065】
図7は、音響プロファイル情報生成サーバ4の動作を説明するためのフロー図である。
【0066】
主制御部48は、ネットワークインターフェース部40を介してマルチチャンネルオーディオ装置2から探索要求を受信すると(S300でYES)、問い合わせ送信部41に測定マイクの問い合わせを指示する。これを受けて、問い合わせ送信部41は、ネットワークインターフェース部40からネットワーク6へ測定マイクの問い合わせを同報送信する(S301)。この問い合わせは、アクセスポイント7から同報送信されて、各ワイヤレス録音再生端末5-1~5-3により受信される。
【0067】
つぎに、主制御部48は、所定時間の経過によりタイムアウトするまで(S303でNO)、問い合わせに対する応答を受信する(S302)。そして、タイムアウトするまでに受信した応答の送信元であるワイヤレス録音再生端末5の情報を、探索要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2の情報とともに探索結果送信部42に渡す。これを受けて、探索結果送信部42は、主制御部48から受け取ったワイヤレス録音再生端末5の情報を含む探索結果を、探索要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2に送信する(S304)。
【0068】
また、主制御部48は、ネットワークインターフェース部40を介してマルチチャンネルオーディオ装置2から選択要求を受信すると(S305でYES)、この選択要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5の情報を、選択要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2の情報とともに、ペア管理部44および測定モード移行要求送信部43に渡す。これを受けて、ペア管理部44は、選択要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5を、選択要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2に紐付けて管理する(S306)。また、測定モード移行要求送信部43は、選択要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5に、選択要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2の指定を伴う測定モード移行要求を送信する(S307)。
【0069】
また、主制御部48は、ネットワークインターフェース部40を介してワイヤレス録音再生端末5から指定チャンネルの測定データを受信すると(S308でYES)、この測定データを測定部45に渡す。これを受けて、測定部45は、この測定データに含まれているチャンネル再生データおよび音源再生データを比較して、音源再生データに対するチャンネル再生データの遅延時間および減衰率を測定する(S309)。
【0070】
つぎに、主制御部48は、測定部45により測定された、音源再生データに対するチャンネル再生データの遅延時間および減衰率を、測定データに含まれている指定チャンネルとともに音響プロファイル情報生成部46に渡す。これを受けて、音響プロファイル情報生成部46は、音源再生データに対するチャンネル再生データの遅延時間および減衰率に基づいて、再生タイミングおよび音量レベルを含む指定チャンネルの音響プロファイル情報を生成する(S310)。
【0071】
つぎに、主制御部48は、音響プロファイル情報生成部46により生成された指定チャンネルの音響プロファイル情報を、この指定チャンネルの測定データの送信元であるワイヤレス録音再生端末5に紐付けられてペア管理部44により管理されているマルチチャンネルオーディオ装置2の情報とともに音響プロファイル情報送信部47に渡す。これを受けて、音響プロファイル情報送信部47は、指定チャンネルの測定データの送信元であるワイヤレス録音再生端末5に紐付けられてペア管理部44により管理されているマルチチャンネルオーディオ装置2に、この指定チャンネルの音響プロファイル情報を送信する(S311)。
【0072】
また、主制御部48は、ネットワークインターフェース部40を介してマルチチャンネルオーディオ装置2から選択解除要求を受信すると(S312でYES)、この選択解除要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2の情報を、ペア管理部44および測定モード移行要求送信部43に渡す。これを受けて、ペア管理部44は、選択解除要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5と、選択解除要求の送信元であるマルチチャンネルオーディオ装置2との紐付けを解消する(S313)。また、測定モード移行要求送信部43は、選択解除要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5に測定モード解除要求を送信する(S314)。
【0073】
つぎに、マルチチャンネルオーディオ装置2の詳細について説明する。
【0074】
図8は、マルチチャンネルオーディオ装置2の概略機能構成図である。
【0075】
図示するように、マルチチャンネルオーディオ装置2は、無線ネットワークインターフェース部20と、コントローラインターフェース部21と、スピーカ接続部22と、表示部23と、コンテンツ記憶部24と、テスト信号音源記憶部25と、マルチチャンネルオーディオ再生部26と、音響プロファイル情報記憶部27と、探索要求部28と、選択通知部29と、テスト信号再生指示部30と、主制御部31と、を有する。
【0076】
無線ネットワークインターフェース部20は、アクセスポイント7に無線接続するためのインターフェースである。
【0077】
コントローラインターフェース部21は、IrDA(Infrared Data Association)、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によりコントローラ8と通信するためのインターフェースである。
【0078】
スピーカ接続部22は、図示していないが、チャンネル毎に該当チャンネルに対応するスピーカ3を接続するための接続端子を有する。本実施の形態では、FRチャンネル対応のスピーカ3-1を接続するためのFRチャンネル接続端子と、FLチャンネル対応のスピーカ3-2を接続するためのFLチャンネル接続端子と、Cチャンネル対応のスピーカ3-3を接続するためのCチャンネル接続端子と、SRチャンネル対応のスピーカ3-4を接続するためのSRチャンネル接続端子と、SLチャンネル対応のスピーカ3-5を接続するためのSLチャンネル接続端子と、SWチャンネル対応のスピーカ3-6を接続するためのSWチャンネル接続端子と、を有している。
【0079】
表示部23は、例えば液晶パネルで構成され、各種情報を表示する。
【0080】
コンテンツ記憶部24には、マルチチャンネル(本実施の形態では5.1ch)に対応したオーディオコンテンツのマルチチャンネルオーディオ信号が記憶されている。
【0081】
テスト信号音源記憶部25にはテスト信号の音源が記憶されている。
【0082】
マルチチャンネルオーディオ再生部26は、コンテンツ記憶部24に記憶されているオーディオコンテンツのマルチチャンネルオーディオ信号を再生して、チャンネル毎に、チャンネルに対応するスピーカ3から再生信号を出力する。また、テスト信号音源記憶部25に記憶されているテスト信号の音源を再生して、コントローラ8を介してユーザより指定されたチャンネルに対応するスピーカ3から再生信号を出力する。
【0083】
音響プロファイル情報記憶部27には、コンテンツ記憶部24に記憶されているオーディオコンテンツのマルチチャンネルオーディオ信号の再生条件を定める音響プロファイル情報が、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に記憶されている。
【0084】
探索要求部28は、コントローラ8を介してユーザから受け付けた探索操作に従い、音響プロファイル情報生成サーバ4に探索要求を送信する。
【0085】
選択通知部29は、コントローラ8を介してユーザから受け付けた測定マイクの選択操作に従い、測定マイクとして選択されたワイヤレス録音再生端末5の指定を伴う選択要求を音響プロファイル情報生成サーバ4に送信する。また、コントローラ8を介してユーザから受け付けた測定マイクの選択解除操作に従い、測定マイクとして選択されているワイヤレス録音再生端末5の指定を伴う選択解除要求を音響プロファイル情報生成サーバ4に送信する。
【0086】
テスト信号再生指示部30は、コントローラ8を介してユーザから受け付けたチャンネルの選択操作に従い、再生対象として選択されたチャンネルの指定を伴うテスト信号再生指示を、測定マイクとして選択されているワイヤレス録音再生端末5に送信する。
【0087】
主制御部31は、マルチチャンネルオーディオ装置2の各部20~30を統括的に制御する。
【0088】
なお、図8に示すマルチチャンネルオーディオ装置2の機能構成は、ASIC、FPGA等の集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ等の補助記憶装置と、無線LANアダプタ等の通信装置と、スピーカと、を備えたPC等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【0089】
図9は、マルチチャンネルオーディオ装置2の音響プロファイル設定動作を説明するためのフロー図である。
【0090】
主制御部31は、コントローラインターフェース部21を介してコントローラ8から探索指示を受信すると(S400でYES)、探索要求部28に測定マイクの探索を指示する。これを受けて、探索要求部28は、無線ネットワークインターフェース部20を介して音響プロファイル情報生成サーバ4に探索要求を送信する(S401)。
【0091】
つぎに、主制御部31は、無線ネットワークインターフェース部20を介して音響プロファイル情報生成サーバ4から探索結果を受信すると(S402でYES)、この探索結果に含まれている、測定マイクとして使用可能なワイヤレス録音再生端末5の情報を表示部23に一覧表示する(S403)。それから、主制御部31は、コントローラインターフェース部21を介してコントローラ8から測定マイクの選択通知を受信すると(S404でYES)、この選択通知で指定されているワイヤレス録音再生端末5を選択通知部29に通知して、測定マイクとして使用するワイヤレス録音再生端末5の選択を指示する。これを受けて、選択通知部29は、無線ネットワークインターフェース部20を介して音響プロファイル情報生成サーバ4に、測定マイクとして使用するワイヤレス録音再生端末5の指定を伴う選択要求を送信する(S405)。
【0092】
つぎに、主制御部31は、コントローラインターフェース部21を介してコントローラ8からチャンネルの選択通知を受信すると(S406でYES)、このチャンネルの選択通知で指定されているチャンネルを、S404で受信した測定マイクの選択通知で指定されたワイヤレス録音再生端末5とともにテスト信号再生指示部30に通知してテスト信号再生指示の送信を指示する。また、テスト信号音源記憶部25に記憶されているテスト信号の音源を読み出して、これを、チャンネルの選択通知で指定されているチャンネルとともにマルチチャンネルオーディオ再生部26に通知してテスト信号の再生を指示する。
【0093】
これを受けて、テスト信号再生指示部30は、無線ネットワークインターフェース部20を介して、測定マイクの選択通知で指定されているワイヤレス録音再生端末5に、チャンネルの選択通知で指定されているチャンネルの指定を伴うテスト信号再生指示を送信する(S407)。また、マルチチャンネルオーディオ再生部26は、テスト信号の音源を再生し、スピーカ接続部22を介して、チャンネルの選択通知で指定されているチャンネルに対応するスピーカ3から出力する(S408)。
【0094】
つぎに、主制御部31は、無線ネットワークインターフェース部20を介して音響プロファイル情報生成サーバ4から指定チャンネルの音響プロファイル情報を受信すると(S409でYES)、この音響プロファイル情報を指定チャンネルに対応付けて音響プロファイル情報記憶部27に記憶する。これにより、この音響プロファイル情報は、指定チャンネルのオーディオ信号の再生条件として設定される(S410)。
【0095】
また、主制御部31は、コントローラインターフェース部21を介してコントローラ8から測定マイクの選択解除通知を受信すると(S411でYES)、選択通知部29に選択解除を指示する。これを受けて、選択通知部29は、無線ネットワークインターフェース部20を介して音響プロファイル情報生成サーバ4に、測定マイクとして選択されているワイヤレス録音再生端末5の指定を伴う選択解除要求を送信し(S412)、それからS400に戻る。
【0096】
つぎに、マルチチャンネルオーディオ装置2のマルチチャンネルオーディオ信号の再生動作について説明する。
【0097】
主制御部31は、コントローラインターフェース部21を介してコントローラ8からオーディオコンテンツの指定を伴う再生指示を受信すると、指定されたオーディオコンテンツのマルチチャンネルオーディオ信号をコンテンツ記憶部24から読み出してマルチチャンネルオーディオ再生部26に渡す。これを受けて、マルチチャンネルオーディオ再生部26は、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に、音響プロファイル情報記憶部27に記憶されている対応チャンネルの音響プロファイル情報(再生タイミング、音量レベル)に従い、対応チャンネルのオーディオ信号を再生する。そして、マルチチャンネルオーディオ信号のチャンネル毎に、その再生信号を、スピーカ接続部22を介してチャンネルに対応するスピーカ3から出力する。

【0098】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0099】
本実施の形態では、録音再生機能を備えたスマートスピーカ、スマートホン、タブレットPC等のワイヤレス録音再生端末5を測定マイクとして用いるので、マルチチャンネルオーディオ装置2に専用の測定マイクを付属させる必要がない。また、ユーザは、測定マイクとして使用するワイヤレス録音再生端末5をマルチチャンネルオーディオ装置2のリスニングポイントに配置すればよく、ワイヤレス録音再生端末5とマルチチャンネルオーディオ装置2との間をコードで接続する必要がない。さらに、マルチチャンネルオーディオ装置2とは別途用意された音響プロファイル情報生成サーバ4により音響プロファイル情報が生成されるので、マルチチャンネルオーディオ装置2に、音響プロファイル情報生成のために必要な処理能力は要求されない。
【0100】
したがって、本実施の形態によれば、マルチチャンネルオーディオ装置2のコストを増大させることなく、かつ簡単な操作で、マルチチャンネルオーディオ信号の音響プロファイル情報を生成することができる。
【0101】
また、本実施の形態において、マルチチャンネルオーディオ装置2は、コントローラ8を介してユーザから受け付けた探索操作に従い、音響プロファイル情報生成サーバ4に探索要求を送信し、音響プロファイル情報生成サーバ4から探索結果を取得して一覧表示し、コントローラ8を介してユーザにより選択されたワイヤレス録音再生端末5の指定を伴う測定マイクの選択要求を音響プロファイル情報生成サーバ4に送信する。
【0102】
一方、音響プロファイル情報生成サーバ4は、ネットワーク6を介してマルチチャンネルオーディオ装置2から受け付けた探索要求に従い、ネットワーク6に測定マイクの問い合わせを同報送信して、自装置4およびマルチチャンネルオーディオ装置2と通信可能であり、かつ測定マイクとして使用可能なワイヤレス録音再生端末5を探索し、その探索結果をマルチチャンネルオーディオ装置2に通知する。また、マルチチャンネルオーディオ装置2から受信した測定マイクの選択要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5をこのマルチチャンネルオーディオ装置2に紐付けて管理する。そして、指定チャンネルの測定データを受信すると、この送信元であるワイヤレス録音再生端末5に紐付けられて管理されているマルチチャンネルオーディオ装置2に、この測定データに基づいて生成された指定チャンネルの音響プロファイル情報を送信する。
【0103】
したがって、本実施の形態によれば、ユーザは、測定マイクとして使用可能なワイヤレス録音再生端末5が複数ある場合に、所望のワイヤレス録音再生端末5を測定マイクとして使用することができるので、音響プロファイル情報の生成における作業性が向上する。
【0104】
また、本実施の形態において、音響プロファイル情報生成サーバ4は、マルチチャンネルオーディオ装置2から受信した選択要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5に、マルチチャンネルオーディオ装置2の指定を伴う測定モード移行要求を送信する。一方、ワイヤレス録音再生端末5は、音響プロファイル情報生成サーバ4から受信した測定モード移行要求に従い、この測定モード移行要求で指定されているマルチチャンネルオーディオ装置2からテスト信号再生指示が送られてくるのを待機する測定モードに移行する。
【0105】
したがって、本実施の形態によれば、テスト信号再生指示待機中のワイヤレス録音再生端末5は、テスト信号再生指示を受信するとチャンネル再生データおよび音源再生データの録音処理を迅速に開始できるため、チャンネル再生データおよび音源再生データの録音開始タイミングをより精度よく一致させることができる。
【0106】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0107】
例えば、上記の実施の形態では、音響プロファイル情報生成サーバ4が、ネットワーク6に測定マイクの問い合わせを同報送信してワイヤレス録音再生端末5を探索し、その探索結果をマルチチャンネルオーディオ装置2に通知している。しかし、本発明はこれに限定されない。マルチチャンネルオーディオ装置2がワイヤレス録音再生端末5を探索してもよい。すなわち、マルチチャンネルオーディオ装置2は、コントローラ8を介してユーザから受け付けた探索操作に従い、アクセスポイント7経由で測定マイクの問い合わせを同報送信して、自装置2および音響プロファイル情報生成サーバ4と通信可能であり、かつ測定マイクとして使用可能なワイヤレス録音再生端末5を探索する。そして、探索結果を一覧表示し、コントローラ8を介してユーザにより選択されたワイヤレス録音再生端末5の指定を伴う測定マイクの選択要求を音響プロファイル情報生成サーバ4に送信する。
【0108】
一方、音響プロファイル情報生成サーバ4は、マルチチャンネルオーディオ装置2から受信した測定マイクの選択要求で指定されているワイヤレス録音再生端末5をこのマルチチャンネルオーディオ装置2に紐付けて管理する。そして、指定チャンネルの測定データを受信すると、この送信元であるワイヤレス録音再生端末5に紐付けられて管理されているマルチチャンネルオーディオ装置2に、この測定データに基づいて生成された指定チャンネルの音響プロファイル情報を送信する。
【0109】
また、上記の実施の形態では、マルチチャンネルオーディオ装置2およびワイヤレス録音再生端末5間の通信をアクセスポイント7経由で行っているが、本発明はこれに限定されない。Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により、マルチチャンネルオーディオ装置2およびワイヤレス録音再生端末5間において直接無線通信を行うようにしてもよい。
【0110】
また、上記の実施の形態において、ワイヤレス録音再生端末5は、コントローラ8としての機能を兼ね備えていてもよい。また、ワイヤレス録音再生端末5は、音響プロファイル情報生成サーバ4としての機能を兼ね備えているものでも構わない。
【符号の説明】
【0111】
1:マルチチャンネルオーディオシステム 2:マルチチャンネルオーディオ装置
3-1~3-6:スピーカ 4:音響プロファイル情報生成サーバ
5、5-1~5-3:ワイヤレス録音再生端末 6:ネットワーク
7:アクセスポイント 8:コントローラ
20:無線ネットワークインターフェース部
21:コントローラインターフェース部 22:スピーカ接続部 23:表示部
24:コンテンツ記憶部 25:テスト信号音源記憶部
26:マルチチャンネルオーディオ再生部 27:音響プロファイル情報記憶部
28:探索要求部 29:選択通知部 30:テスト信号再生指示部
31:主制御部 40:ネットワークインターフェース部
41:問い合わせ送信部 42:探索結果送信部
43:測定モード移行要求送信部 44:ペア管理部 45:測定部
46:音響プロファイル情報生成部 47:音響プロファイル情報送信部
48:主制御部 50:無線ネットワークインターフェース部
51:探索要求応答部 52:マイク 53:テスト信号音源記憶部
54:チャンネル再生データ録音部 55:音源再生データ録音部
56:測定データ送信部 57:主制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9