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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】加熱処理用包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019235779
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021104813
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000106151
【氏名又は名称】株式会社サンエー化研
(73)【特許権者】
【識別番号】000000066
【氏名又は名称】味の素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148862
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179811
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】殿柿 智也
(72)【発明者】
【氏名】柴崎 毅
(72)【発明者】
【氏名】小倉 佑介
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 正明
(72)【発明者】
【氏名】横手 美彌
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-047941(JP,A)
【文献】特開2017-128366(JP,A)
【文献】特開2005-320023(JP,A)
【文献】特開2013-151317(JP,A)
【文献】米国特許第09126734(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を加熱処理するための包装体であって、
前記包装体上から外側に向かって突出するように形成された合掌シール部を有し、
前記合掌シール部の中央には、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに通蒸する通蒸領域が形成されており、
前記通蒸領域は、前記合掌シール部の包装体外部側に開口した第一非シール部を有し、
前記第一非シール部は、前記合掌シール部の包装体内部側に向かって開口幅が一定の第一領域と、前記第一領域と連続して形成され、前記包装体内部側に向かって開口幅が漸減する第二領域とを有し、
前記第一領域の前記開口幅が、20~40mmであり、
前記第一非シール部は、前記第二領域と連続して形成され、前記包装体内部側に向かって開口幅が一定の第三領域を更に有する加熱処理用包装体。
【請求項2】
前記通蒸領域は、前記包装体内部側に開口した第二非シール部を更に有する請求項1に記載の加熱処理用包装体。
【請求項3】
前記包装体外部側端部から前記包装体内部側端部の方向における前記第一非シール部と前記第二非シール部との最短距離は、1.5~4mmである請求項に記載の加熱処理用包装体。
【請求項4】
前記通蒸領域の両脇には、前記包装体外部側端部から前記包装体内部側端部に向かって前記合掌シール部の途中まで切り込みが入れられている請求項1ないしのいずれか1項に記載の加熱処理用包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物を加熱処理する包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、調理済又は半調理済等の食品が耐熱性のプラスチック包装体に充填され、それを食する直前に電子レンジにより加熱調理する包装食品が市場に提供されている。しかし、このような包装食品を電子レンジにより加熱すると、包装体の内部の水蒸気や内部空気の熱膨張によって内部圧力が上昇し、包装体が破裂して内容物が飛散したり、電子レンジ内を汚染したりする欠点があった。
【0003】
電子レンジ調理の前に、あらかじめ包装体に小孔を開けて内部圧力の上昇を抑えることで、包装体の破裂を防止する方法が採られている。しかし、この方法では、発生した水蒸気が直ちに包装体の外へ放出されてしまい、水蒸気による蒸し調理効果が低減してしまうばかりか、包装体内部の食品の乾燥が進行して食味の劣化をきたすこともある。そこで、包装体の内部圧力が上昇した際に通蒸して圧力を逃がすイージーピール部を形成した包装体が知られている。
【0004】
特許文献1には、プラスチックフィルムによりその同一面側を互いに当接させて、所定巾のヒートシールにより合掌状に接合する第一接合部を設けて、その内部に加熱処理用の内容物を密封包装させる包装体にあって、前記第一接合部は、包装体の一方の側部へ片寄せさせて設けて、加熱による包装体の内部圧力が上昇したとき、その逃圧を行なう易開封性シールであることを特徴とする加熱処理用包装体が記載されている。
【0005】
特許文献2には、電子レンジにより加熱するための袋であって、少なくとも片面がシーラント層から構成される複合フィルムを用いて、シーラント面を上面とした下部材と、シーラント面同士を向かい合わせて少なくとも側部をシールしたウィング部を形成し、シーラント面を下面とした上部材とを重ね合わせ、その周縁部をシールして主シール部として密封した包装袋において、前記ウィング部内の中央領域であって、ウィング部上辺シール部または折り返し部と連結してポイントシール部が形成され、このポイントシール部内に少なくとも1個以上の易蒸通手段が施されていることを特徴とする電子レンジ用包装袋が記載されている。
【0006】
消費者は、これらの包装体に内容物が充填された状態で販売されている包装食品を買ってきて、単に加熱処理するだけでよく、非常に利便性が高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-150864号公報
【文献】特開2003-182779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの包装体は、製造元が内容物を充填して密閉することを想定して作られており、消費者は、自ら包装体に内容物を充填することはできない。消費者の中には、調理の負担は減らしたいが手作りしたいという要望もあることから、包装体にチャックシール部(ジッパー)を設けることも検討されている。しかし、内部圧力が上昇した際にチャックシールが先に開封して、水蒸気による蒸し調理効果が低減してしまう問題があった。また、イージーピール部の開口を広くして、内部圧力の上昇を抑えることも考えられるが、発生した水蒸気が直ちに包装体の外へ放出されてしまい、水蒸気による蒸し調理効果が得られない。また、イージーピール部の形状によっては、包装体の内部の水蒸気や内部空気の熱膨張による内部圧力が上昇した状態と通蒸状態とを交互に発現し、包装体の内圧が一定に保たれない場合がある。
【0009】
そこで、本発明は、包装体内部の水蒸気や内部空気の熱膨張による包装体内部の圧力の変動を抑制し、食材等の内容物を効率よく加熱処理することが可能な加熱処理用包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加熱処理用包装体は、内容物を加熱処理するための包装体であって、
前記包装体上から外側に向かって突出するように形成された合掌シール部を有し、
前記合掌シール部の中央には、前記内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに通蒸する通蒸領域が形成されており、
前記通蒸領域は、前記合掌シール部の包装体外部側に開口した第一非シール部を有し、
前記第一非シール部は、前記合掌シール部の包装体内部側に向かって開口幅が一定の第一領域と、前記第一領域と連続して形成され、前記包装体内部側に向かって開口幅が漸減する第二領域とを有し、
前記第一領域の前記開口幅が、20~40mmであり、
前記第一非シール部は、前記第二領域と連続して形成され、前記包装体内部側に向かって開口幅が一定の第三領域を更に有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、包装体内部の水蒸気や内部空気の熱膨張による包装体内部の圧力の変動を抑制し、食材等の内容物を効率よく加熱処理することが可能な加熱処理用包装体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係る加熱処理用包装体の構成例を示す模式図である。
図2】本発明に係る加熱処理用包装体のチャックシール部の構成例を示す模式的断面図である。
図3図1に示した加熱処理用包装体の合掌シール部中央付近を示す模式的拡大図である。
図4】本発明に係る加熱処理用包装体の合掌シール部中央付近の他の例を示す模式的拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る加熱処理用包装体の一実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本発明に係る加熱処理用包装体は、電子レンジにより内容物を加熱処理する際に用いるのに好適であり、また食材を加熱処理する際に用いるのに好適である。
【0014】
図1に、本発明に係る加熱処理用包装体の構成例を示す。図1に示した加熱処理用包装体1は、2枚の包装体フィルム2の三辺がシールされた周縁シール部5を有し、残りの一辺にはチャックシール部10が設けられた構成を有している。このような構成を有することで、消費者がチャックシール部から食材等の内容物を投入して密封することができる。なお、チャックシール部10はなくてもよく、2枚の包装体フィルム2の四辺がシールされた構成であってもよい。
【0015】
包装体フィルム2としては、電子レンジにより加熱処理がなされることを考慮すると、電子レンジの加熱に対する耐熱性を有するプラスチック素材で形成されていることが好ましい。そのようなプラスチック素材の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン;ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ポリオレフィン;ポリビニルアルコール;ナイロン6、ナイロン6,6、ポリメタキシリレンアジパミド等のポリアミド;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル;ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等のポリアクリル酸エステル;及びこれらを形成するモノマーの共重合体などが挙げられる。なお、「(メタ)アクリル」は、メタクリル又はアクリルを意味する。
【0016】
ポリエチレンの具体例としては、直鎖状低密度ポリエチレン、高圧法低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、メタロセン系ポリエチレンなどが挙げられる。ポリプロピレンの具体例としては、プロピレンのホモポリマー、プロピレンとエチレンや1-ブテンとのランダム又はブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0017】
包装体フィルム2は、単層でもよいが、共押出しなどにより2層以上に積層されていてもよい。例えば、包装体フィルム2は、基材層とシーラント層からなることが好ましく、さらに基材層とシーラント層の間に他の層を有していてもよい。具体的には、包装体フィルム2として、基材層となるポリアミドフィルムと、シーラント層となるポリプロピレン系イージーオープンフィルムとを貼り合わせた積層フィルムを用いることができる。また、包装体フィルム2は、酸化アルミニウムや酸化ケイ素のような無機酸化薄膜が付与されたガスバリアー性の複合フィルムでもよい。この複合フィルムは、酸化アルミニウムや酸化ケイ素の単体又は混合物を真空下で加熱気化させ、上記のフィルムの表面に蒸着することで得ることができる。
【0018】
加熱処理用包装体1は、内容物を内部に投入して密封することができる構成であれば、その形態は問わない。すなわち、包装体フィルム2は、図1に示す三方シールの他、四方シール、スティック、ピロー、ガゼット、封筒貼り、スタンディング、合掌貼り等の形態とすることができる。加熱処理用包装体1の外縁の形状は、三角形、四角形、五角形等の多角形、円形、楕円形、及びそれらの組み合わせた形状とすることができるが、一般的には四角形である。
【0019】
加熱処理用包装体1の側部及び底部に形成される周縁シール部5のシール幅は、3~15mmとすることが好ましく、5~12mmとすることがより好ましく、7~10mmとすることがさらに好ましい。周縁シール部5は、側部に形成したシール部が底部に向かって内側に傾斜しているV字の形状、又は側部と底部のコーナーに形成したシール部が丸みをおびたU字の形状に形成されていることが好ましい。V字又はU字の形状であれば、加熱処理用包装体1の内部に食材等の内容物を充填する際に底部に形成したシール部の後退及び抜けを効果的に抑制することができ、また側部と底部のコーナーに内容物が滞留しにくくなり、加熱時に内容物が焦げることを防止することができる。
【0020】
周縁シール部5は、常温及び90℃雰囲気下において完全シールでもよいが、チャックシール部10及び合掌シール部20よりも強いシール強度であれば、易開封性を有していてもよい。周縁シール部5が易開封性を有する場合の常温及び90℃雰囲気下でのシール強度は、10~30N/15mmが好ましく、12~25N/15mmがより好ましい。なお、常温及び90℃雰囲気下でのシール強度とは、JIS Z0238「密封軟包装袋の試験方法」に従い、それぞれ常温及び90℃雰囲気下で測定された値である。
【0021】
チャックシール部10は、その構成例を図2に示すように、雄チャック11及び雌チャック12を有している。雄チャック11を一方の包装体フィルム2に取り付け、雌チャック12をもう一方の包装体フィルム2に取り付けて、雄チャック11の凸部分と雌チャック12の凹部分とを嵌合させることでシール(密閉)することができる。雄チャック11及び雌チャック12は、通常、それぞれ2箇所(合計4箇所)の接合部15をヒートシールすることで包装体フィルム2に取り付けるが、それぞれ1箇所の接合部15のみをヒートシールし、他方をフリーの状態としてもよい。
【0022】
本発明において、一方の包装体フィルム2には、その内面側を互いに向かい合わせて接合された合掌シール部20が形成されている。こうすることで、内容物を加熱処理して加熱処理用包装体1の内部圧力が上昇したときに、その圧力を合掌シール部20から逃がすことができる。
この合掌シール部20は、加熱処理用包装体1(包装体フィルム2)上から外側に向かって突出するように形成されている。
【0023】
合掌シール部20は、内容物の加熱処理時に内容物の上面側に位置するように形成され、加熱処理により加熱処理用包装体1の内部圧力が上昇したときにその圧力を逃がす易開封性を有するように形成される。合掌シール部20は、包装体フィルム2のうち合掌シール部20を構成する部分の内面側を互いに向かい合わせ、その間に必要に応じて易開封性フィルム(不図示)を挟み込むことで形成することができる。
【0024】
合掌シール部20は、90℃雰囲気下において周縁シール部5及びチャックシール部10よりも弱い易開封性を有していることが重要である。こうすることで、内容物を加熱処理して加熱処理用包装体1の内部圧力が上昇した際に、周縁シール部5及びチャックシール部10が開封する前に合掌シール部20が開封して、その圧力を合掌シール部20から逃がすことができる。
【0025】
合掌シール部20の90℃雰囲気下でのヒートシール強度は、12N/15mm以下であることが好ましく、8N/15mm以下であることがより好ましい。合掌シール部20の90℃雰囲気下でのヒートシール強度は、0N/15mmでも構わないが、1N/15mm以上であることが好ましい。なお、合掌シール部20は、常温においては完全シールでもよく、易開封性を有していてもよい。合掌シール部20が易開封性を有する場合の常温でのシール強度は、0.5~30N/15mmが好ましく、1~25N/15mmがより好ましい。
【0026】
なお、常温では完全シール、90℃雰囲気下でのヒートシール強度が12N/15mm以下となる合掌シール部20は、易開封性フィルムとして、ポリオレフィン(例えば、融点120℃以下(好ましくは110℃以下)のポリエチレンや融点140℃以下(好ましくは130℃以下)のポリプロピレンを用いることで実現できる。なお、融点は、ASTM2117に基づいて測定した値である。
【0027】
合掌シール部20の縦幅D図3参照、合掌シール部の包装体内部側端部から包装体外部側端部までの距離)は、3~25mmとすることが好ましく、5~22mmとすることがより好ましく、7~19mmとすることがさらに好ましい。
【0028】
本発明において、図1に示すように、合掌シール部20の中央に内容物を加熱処理して内部圧力が上昇したときに通蒸する通蒸領域21が形成されている。
通蒸領域21は、合掌シール部20の包装体外部側に開口した第一非シール部210を有している。
【0029】
第一非シール部210は、合掌シール部20の包装体内部側に向かって開口幅Wが一定の第一領域211と、第一領域211と連続して形成され、包装体内部側に向かって開口幅が漸減する第二領域212とを有している。
【0030】
本発明において、第一領域211の開口幅Wは、20~40mmである。開口幅Wがこのような範囲であると、内容物の加熱処理時において、加熱処理用包装体1の内部圧力が上昇したときに、その圧力を効率よく逃がすことができるとともに、内部圧力が下がりすぎること、及び、通蒸後の内部圧力変動を効果的に防止することができる。その結果、安定した蒸らし効果を得られ、食材等の内容物を効率よく加熱処理することができると同時に、内部圧力変動により発生するシール部やチャックシール部への負荷を低減することができる。なお、第一領域211の開口幅Wは、20~40mmであるが、23~38mmであることがより好ましく、25~35mmであることがさらに好ましい。
【0031】
包装体内部方向における第一領域211の深さD図3参照)は、0.5~8mmであることが好ましく、1~7mmであることがより好ましく、1.5~6mmであることがさらに好ましい。これにより、内容物の加熱処理時における加熱処理用包装体1の内部圧力の上昇をより効率よく抑制することができる。さらに、内部圧力が下がりすぎることをより効果的に防止することができる。その結果、安定した蒸らし効果を得られ、食材等の内容物を効率よく加熱処理することができると同時に、内部圧力変動により発生するシール部やチャックシール部への負荷を低減することができる。
【0032】
第二領域212は、図3に示すように、第一領域211と連続して形成され、包装体内部側に向かって開口幅が漸減した構成を有している。
より具体的に説明すると、第二領域212の開口幅は、第一領域211の開口の中心方向に向かって狭くなるよう構成されている。
このような第二領域212を備えることにより、内容物の加熱処理時において、加熱処理用包装体1の内部圧力が一気に下がりすぎることをより効果的に防止することができる。
また、包装体内部方向における第二領域212の深さD図3参照)は、1~8mmであることが好ましく、2~7mmであることがより好ましく、3~6mmであることがさらに好ましい。
【0033】
また、第一非シール部210は、図3に示すように、第二領域212と連続して形成され、包装体内部側に向かって開口幅Wが一定の第三領域213を更に有している。
第三領域213の開口幅Wは、5~15mmであることが好ましく、7~13mmであることがより好ましく、8~12mmであることがさらに好ましい。
また、包装体内部方向における第三領域213の深さD図3参照)は、0.5~6mmであることが好ましく、1~5mmであることがより好ましく、1.5~4mmであることがさらに好ましい。
【0034】
また、通蒸領域21は、上記第一非シール部210と包装体内部方向で対向し、包装体内部側に開口した第二非シール部214を更に有している。
第二非シール部214は、上記第三領域213の底辺と略平行な対向辺215を有している。
包装体外部側端部から包装体内部側端部の方向における第一非シール部210と第二非シール部214との最短距離(図3中における第三領域213の底辺と略平行な対向辺215との最短距離D)は、1.5~4mmであることが好ましく、2~4mmであることがより好ましく、2.5~3.5mmであることがさらに好ましい。Dがこのような範囲であることにより、内容物の非加熱時では、確実に内容物が通蒸領域21から出てしまうことをより確実に防止しつつ、内容物の加熱時には、通蒸領域21の通蒸をより確実に行うことができる。
【0035】
また、対向辺215の長さは、4~15mmであることが好ましく、5~13mmであることがより好ましく、6~12mmであることがさらに好ましい。
また、第二非シール部214は、上記対向辺215の両側部に、包装体外部側端部方向に向かって突出した突出部216を有している。本実施形態では、突出部216は、包装体外部側端部方向に向かってその幅(図3中の左右方向の幅)が漸減する構成となっている。
包装体内部方向における第二非シール部214の深さD図3参照)は、4~13mmであることが好ましく、5~12mmであることがより好ましく、6~10mmであることがさらに好ましい。
【0036】
また、通蒸領域21の両脇には、包装体外部側端部から包装体内部側端部に向かって合掌シール部の途中まで切り込みが入れられている。こうすることで、内部圧力が上昇した際でも破裂しないように逃圧され、かつ包装体の側部が熱くなりにくい加熱処理用包装体となる。
【0037】
切り込み22の長さは、合掌シール部20の包装体内部側端部から包装体外部側端部までの縦幅Dに対して30~80%であることが好ましく、40~60%であることがより好ましい。この範囲であれば、切り込み22間の領域(通蒸領域21を含む領域)が包装体フィルム2に対して容易に立ち上がるようになる。両切り込み22の長さは、同じでもよく異なっていてもよい。なお、両切り込み22は、合掌シール部20の包装体内部側端部から包装体外部側端部に向かって垂直に形成されていることが好ましい。
【0038】
また、図1に示すように、合掌シール部20は、加熱処理用包装体1の一辺と平行に形成されていることが好ましく、チャックシール部10は、合掌シール部20と加熱処理用包装体1の一辺の間に平行に形成されていることが好ましい。チャックシール部10及び合掌シール部20が平行に形成された加熱処理用包装体1の一辺から対辺までの距離H(図1参照、加熱処理用包装体1の長さ)は、100~500mmであることが好ましく、125~400mmであることがより好ましく、150~300mmであることがさらに好ましい。
【0039】
加熱処理用包装体1の一辺と合掌シール部20との間の距離H図1参照)は、加熱処理用包装体1の一辺から対辺までの距離Hに対して10~60%であることが好ましく、25~50%であることがより好ましく、30~40%であることがさらに好ましい。この範囲であれば、加熱処理用包装体1の破裂強度が低くなり、弱い力でも容易に通蒸するようになる。
【0040】
加熱処理用包装体1の一辺とチャックシール部10との間の距離H図1参照)は、加熱処理用包装体1の一辺と合掌シール部20との間の距離Hに対して10~80%であることが好ましく、20~60%であることがより好ましく、40~50%であることがさらに好ましい。
【0041】
このような加熱処理用包装体1であれば、消費者自らがチャックシール部10から食材等の内容物を充填し、密封することができる。そして、密封された内容物を電子レンジ等で加熱処理することができる。さらに、通蒸領域が上記のような構造を有することで、安定した蒸らし効果を得られ、食材等の内容物を効率よく加熱処理することができると同時に、内部圧力変動により発生するシール部やチャックシール部への負荷を低減することができる。
【0042】
なお、加熱処理が完了した後は、消費者自らが例えば合掌シール部2を開封して、内容物を取り出すことができる。開封する場所はチャックシール部10でもよく、周縁シール部5から加熱処理用包装体1を裂いて開封してもよい。加熱処理用包装体1を裂けやすくするため、周縁シール部5には開封用ノッチが形成されていてもよい。
【0043】
以上、本発明の加熱処理用包装体の好適な実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されない。
すなわち、第一非シール部の形状は図示の形状に限定されず、例えば、第三領域はなく、5角形の略ホームベース形状であってもよい。
また、第二非シール部を有するものとして説明したが、第二非シール部はなくてもよい。
また、第二シール部の形状は、図3に示す形状に限定されず、例えば、図4に示すように、突出部216の幅が一定となっている形状であってもよい。
【実施例
【0044】
<実施例1>
図1及び図3に示す構成の加熱処理用包装体(縦235mm×横200mm)を作製した。なお、用いた包装体フィルムの構成はONy/LLDPEであり、ONyが基材層、LLDPEがシーラント層として機能する。なお、合掌シール部は、PE系イージーオープンテープを挿入し、図3に示すシール形状となるようにヒートシールすることにより形成した。合掌シール部の各部位の寸法は、D=17mm、D=5mm、D=4mm、D=3mm、W=30mm、W=10mm、D=3mm、D=8mmである。
【0045】
<実施例2>
合掌シール部の各部位の寸法は、D=17mm、D=5mm、D=4mm、D=3mm、W=40mm、W=10mm、D=3mm、D=8mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0046】
<実施例3>
合掌シール部の各部位の寸法は、D=17mm、D=5mm、D=4mm、D=3mm、W=20mm、W=10mm、D=3mm、D=8mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0047】
<比較例1>
合掌シール部の各部位の寸法は、D=17mm、D=5mm、D=4mm、D=3mm、W=10mm、W=10mm、D=3mm、D=8mmとした以外は、実施例1と同様にして加熱処理用包装体を作製した。
【0048】
<評価1>
得られた加熱処理用包装体の内部に、1.0L/minの風量にてエア送入し、通蒸前の内圧(平均内圧強度及び最大内圧強度)と通蒸後の内圧(平均内圧強度)を測定した。
【0049】
<評価2>
また、得られた加熱処理用包装体1に水100mlを投入して密閉したサンプルを各20個作製し、電子レンジで加熱し、各加熱処理用包装体1を観察した。
実施例の加熱処理用包装体では、通蒸後の内部圧力変動は認められなかった。これに対して、比較例では包装体の内部の水蒸気の熱膨張による内部圧力が上昇した状態と通蒸状態とが交互に発現する内部圧力変動(包装袋が呼吸するように膨張収縮を繰り返す)が確認された。
これらの評価結果を表1に合わせて示した。
【0050】
【表1】
【0051】
表1に示すように、実施例1では、通蒸後の内圧が最適に保たれていることが分かる。実施例2、3、比較例についても実施例1ほどではないが適度に保たれている。しかし、比較例1では、通蒸後に内部圧力変動が認められ、内圧強度差が低く、エアの抜けが十分ではなかった。
【符号の説明】
【0052】
1 加熱処理用包装体
2 包装体フィルム
5 周縁シール部
10 チャックシール部
11 雄チャック
12 雌チャック
15 接合部
20 合掌シール部
21 通蒸領域
22 切り込み
210 第一非シール部
211 第一領域
212 第二領域
213 第三領域
214 第二非シール部
215 対向辺
216 突出部

図1
図2
図3
図4