(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】赤外マルチスペクトル撮像用の装置及び方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/28 20060101AFI20231205BHJP
G01J 3/26 20060101ALI20231205BHJP
G01J 3/36 20060101ALI20231205BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20231205BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20231205BHJP
H01L 27/144 20060101ALI20231205BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20231205BHJP
H04N 5/33 20230101ALI20231205BHJP
【FI】
G02B5/28
G01J3/26
G01J3/36
G01N21/27 A
G02B5/20
H01L27/144 K
H01L27/146 D
H04N5/33
(21)【出願番号】P 2019555008
(86)(22)【出願日】2018-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2018058822
(87)【国際公開番号】W WO2018185265
(87)【国際公開日】2018-10-11
【審査請求日】2021-04-05
(32)【優先日】2017-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】518023164
【氏名又は名称】オフィス ナショナル デテュード エ ドゥ ルシェルシュ アエロスパシアル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ビエレ,アントワーヌ
(72)【発明者】
【氏名】ビンセント,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ハイダル,リアド
(72)【発明者】
【氏名】パルド,ファブリス
(72)【発明者】
【氏名】プルーアルド,ジャン-リュック
【審査官】横川 美穂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0342680(US,A1)
【文献】特開2010-225944(JP,A)
【文献】特開昭60-014464(JP,A)
【文献】特開2016-224208(JP,A)
【文献】特表2009-538132(JP,A)
【文献】特開2009-038352(JP,A)
【文献】C. Tuambilangana et al.,Two-mode model for metal-dielectric guided-mode resonance filters,Optics Express,Vol. 23, Issue 25,2015年11月30日,pp. 31672-31681
【文献】Sakat et al.,Metal-dielectric bi-atomic structure for angular-tolerant spectral filtering,OPTICS LETTERS,Optical Society of America,2013年02月15日,Vol.38, No.4,pp. 425-427
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/20 - 5/28
H04N 5/33
G01N 21/27
G01J 3/26
G01J 3/36
H01L 27/146
H01L 27/144
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1個の第1及び1個の第2の検出波長の検出に適した赤外マルチスペクトル撮像用の装置(20)であって、
-所与の寸法の像視野を形成する所定の寸法の基本検出器(23i)の組を含む検出マトリクスアレイ(23)と、
-所与の開口数(N)及び所与の焦点距離(F)を有し、前記開口数及び焦点距離が像視野の全ての位置で基本焦点の形成に適していて、前記基本焦点が少なくとも2個の並置された基本検出器の組をカバーする画像形成光学系(22)と、
-基本フィルタのマトリクスアレイ(24)であって、前記画像形成光学系の焦点深度よりも短い距離を置いて前記検出マトリクスアレイ(23)の前方に配置されていて、前記基本フィルタの寸法が、前記像視野の各位置で形成された各基本焦点が少なくとも2個の互いに隣接した基本フィルタをカバーするように選択されていて、2つの前記基本フィルタの通過帯域がそれぞれ、前記第1および第2の検出波長に等しい中心波長それぞれを有するスペクトル帯域内の通過帯域であるように前記基本フィルタが最適化されたマトリクスアレイとを含み、
前記基本フィルタは、基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタ(24i)であり、
前記基本フィルタの少なくとも1個が、平面波内で測定された、前記装置の視野端角以上の角度公差を有し、前記視野端角
が前記
検出マトリクスアレイに垂直な方向において前記検出
マトリクスアレイに到達すべく意図された最大傾斜光ビームの角度として定義される、赤外マルチスペクトル撮像用の装置。
【請求項2】
前記基本フィルタの各々が、1個の基本検出器の寸法とほぼ同一の寸法を有している、請求項1に記載の赤外マルチスペクトル撮像用の装置。
【請求項3】
前記マトリクスアレイ(24)の前記基本フィルタがゾーン(Zi)の形式で配置されていて、各ゾーンが、2個の異なる中心波長に中心を有するスペクトル帯域内の通過帯域伝送に最適化された少なくとも2個の基本フィルタを含み、前記基本焦点の寸法よりも大きい寸法を有している、請求項1~2のいずれか1項に記載の赤外マルチスペクトル撮像用の装置。
【請求項4】
前記基本フィルタのマトリクスアレイ(24)が、誘電材料からなる導波管と、前記誘電材料からなる導波管の両側の2個の金属格子とを含む少なくとも1個の基本DMG導波モード共鳴フィルタを含んでいる、請求項1~3のいずれか1項に記載の赤外マルチスペクトル撮像用の装置。
【請求項5】
前記基本DMG導波モード共鳴フィルタが中空支持されていて、前記2個の金属格子が同一である、請求項4に記載の赤外マルチスペクトル撮像用の装置。
【請求項6】
前記基本DMG導波モード共鳴フィルタが誘電材料からなる基板上に堆積されていて、前記基本フィルタの前記2個の金属格子が異なっている、請求項4に記載の赤外マルチスペクトル撮像用の装置。
【請求項7】
前記
基本フィルタのマトリクスアレイが、その前面に単一の金属化部を有する少なくとも1個の基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタを含み、前記基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタが、基板上に堆積された誘電材料からなる導波管と、前記導波管の面であって、前記基板とは反対側の面に二重金属格子とを含んでいる、請求項1~6のいずれか1項に記載の赤外マルチスペクトル撮像用の装置。
【請求項8】
前記マトリクスアレイ(24)が「二原子」型である少なくとも1個の基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタを含み、「二原子」型であるフィルタの前記少なくとも1個の金属格子が、寸法が異なる少なくとも2個の開口を有するパターンを有している、請求項1~7のいずれか1項に記載の赤外マルチスペクトル撮像用の装置。
【請求項9】
少なくとも1個の第1の及び1個の第2の検出波長の検出に適した赤外マルチスペクトル撮像をする方法であって、
-所与の開口(N)の画像形成光学系によりシーンの画像を形成するステップ、及び所与の寸法の像視野を形成する所定の寸法の基本検出器の組を含む検出マトリクスアレイにより前記画像を取得するステップであって、前記画像形成光学系(22)が前記像視野の全ての位置で少なくとも2個の並置された基本検出器の組をカバーする基本焦点を形成している、ステップと、
-前記画像形成光学系により集光された光ビームを、基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタのマトリクスアレイ(24)によりフィルタリングするステップであって、前記マトリクスアレイが画像形成光学系の焦点深度よりも短い距離を置いて前記検出マトリクスアレイ(23)の前方に配置されていることにより前記像視野の各位置で形成された各基本焦点が少なくとも2個の互いに隣接した基本フィルタをカバーし、前記2個の基本フィルタの通過帯域が、それぞれ、前記第1および第2の検出波長に等しい中心波長それぞれを有するスペクトル帯域内の通過帯域であるように前記基本フィルタが最適化されている、フィルタリングするステップとを含む方法であって、
前記基本フィルタは、基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタ(24i)であり、
前記基本フィルタの少なくとも1個が、平面波内で測定された、
請求項1-8のいずれか一項に記載の装置の視野端角以上の角度公差を有し、前記視野端角
が前記
検出マトリクスアレイに垂直な方向において前
記検出マトリクスアレイに到達すべく意図された最大傾斜光ビームの角度として定義される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外マルチスペクトル撮像用の装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
可視又は近赤外領域において、CCD又はCMOSデジタルカメラによりカラー画像を形成する様々な手段が知られている。例えば、スペクトル分割手段を用いて、複数の検出器上に、各種スペクトル帯域の各々における画像を形成することができる。また、カメラの前にフィルタホイールを配置して、各種スペクトル帯域の一連の画像を順次取得することも知られている。これら各々のケースにおいて、カラー画像は、各種スペクトル帯域で得られた様々な画像から再構築される。しかし最も広範に用いられている技術は、例えば、各種スペクトル帯域の画像を同時に、且つ人の視覚を極力そのまま再現する目的で単一の検出器で取得可能にする所謂「ベイヤ配列」(米国特許第3971065号明細書に記述)の形式で、ピクセル化されたフィルタのモザイクを形成する焦点面を構築するものである。これを行うため、赤、緑及び青色フィルタが、4個のピクセル化されたフィルタ(赤1個、緑2個、青1個)のモザイクの形式でカメラ(又はピクセル)の各基本検出器と同じ高さに配置されており、当該パターンは検出器の表面全体にわたり再現されている。次いで「デモザイク化」アルゴリズムによりカラー画像を再構築することができる。ピクセル化されたフィルタは一般に、干渉フィルタを形成する多層構造の形式で近赤外領域に生成され(例えば、M.Lequime et al.“2×2-Array Pixelated Optical Interference Filters”、Proc.SPIE Vol.9627,96270V-1-96270V-7,2015)、当該技術は公知である。可視領域では着色剤を用いてもよい。
【0003】
赤外領域において、すなわち波長が典型的に3μm~20μmの場合、マルチスペクトル撮像は、肉眼で検出されるものと同様の画像を再現するのではなく、例えば、スペクトル署名による化学種又は物体の識別、放射体の熱解析、物体のスペクトル放射率の判定等、広範な情報にアクセスすることも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】M.Lequime et al.“2×2-Array Pixelated Optical Interference Filters”、Proc.SPIE Vol.9627,96270V-1-96270V-7,2015
【文献】M.Oussalah et al.“Multispectral thin film coating on infrared detector”,Proc.SPIE,Vol.9627,96271W-96271W-10,(2015)
【文献】Haidar et al.“Free-standing subwavelength metallic gratings for snapshot multispectral imaging”,Appl.Phys.Lett.96,221104,(2010)
【文献】Sakat et al.2011(“Guided mode resonance in subwavelength metallodielectric free-standing grating for bandpass filtering”,Opt.Lett.36,3054(2011)
【文献】Sakat et al.2013(Metal-dielectric bi-atomic structure for angular-tolerant spectral filtering,Opt,Lett.,38,425,(2013))
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
3~5μm帯域におけるマルチスペクトル赤外線撮像への多層構造の利用は開示されてきたが、いくつかの限界がある(M.Oussalah et al.“Multispectral thin film coating on infrared detector”,Proc.SPIE,Vol.9627,96271W-96271W-10,(2015)参照)。特に、これらの成分は、多数の層で形成され且つ注意深く材料が選択されていない場合、温度変化にさらされた際に脆さを呈する恐れがある。更に、赤外領域において、層の厚さが大きく(典型的に1μm超)、且つフィルタ毎に可変である。これにより、技術的困難に至るだけでなく、特にフィルタ毎の厚さの差から生じる寄生回折効果(縁端効果)に起因するスペクトル選択性の観点から性能低下が生じる恐れがある。
【0007】
赤外マルチスペクトル撮像用に他の技術が開発されており、これらの技術は複数層の積層ではなく周期的なサブ波長構造で構成された金属層に基づいているため、特に限定された個数の層にも適用できる。
【0008】
従って、Haidar et al.(“Free-standing subwavelength metallic gratings for snapshot multispectral imaging”,Appl.Phys.Lett.96,221104,(2010))に中空支持サブ波長金属格子の使用に基づくマルチスペクトル赤外カメラが記述されている。これらの構造は、周期に依存する波長で顕著な透過率を有している。周期が異なる複数のフィルタを並置することにより、複数の撮像光チャネルを有し、各チャネルが更にスペクトルフィルタを含んでいることによりチャネル毎に所与のスペクトル帯域で典型的にミリメートル規模の領域である所与の領域で画像を形成可能なカメラを製造することができる。
【0009】
従って
図1に、従来技術によるマルチチャネル赤外カメラ10を示す。当該カメラは、例えば、チャンバ11内に配置されたレンズ又はマイクロレンズの組を含んでいる。
図1に12a、12b、12c及び12dとして示すこれらのレンズは、基本検出器(又はピクセル)13
iにより形成された検出マトリクスアレイ13上に画像を形成するのに適している。所与の検出波長に中心を有するスペクトル帯域における透過に際してフィルタリングに適したフィルタのマトリクスアレイ14が各レンズ12
iの上流、例えば、チャンバ11の入口ウインドウと同じ高さに位置している。
図1に14b 14a、14c及び14dで示す各フィルタに対して、異なる検出波長に中心を有する透過スペクトル帯域を選択することにより、4個の異なる「色付き」画像が、典型的にミリメートル規模の寸法である検出区域において、基本検出器のマトリクスアレイ13上に形成される。読み出し回路15は、各々の画像に対して検出された信号の処理、及び計算装置(図示せず)への信号の送信に適している。このため「マルチチャネル」カメラに言及する。
【0010】
Sakat et al.2011(“Guided mode resonance in subwavelength metallodielectric free-standing grating for bandpass filtering”,Opt.Lett.36,3054(2011))及びSakat et al.2013(Metal-dielectric bi-atomic structure for angular-tolerant spectral filtering,Opt,Lett.,38,425,(2013))に金属誘電体導波モード共鳴(GMR)フィルタが記述されている。これらのフィルタは、自由空間との結合が金属格子により、特に誘電体内で回析されるオーダー±1で保証された薄い誘電層内における導波モード共鳴に基づいている。Haider et al.による構造に関して、これらのフィルタはより良い角度公差(Sakat et al.2013参照)を有していることにより、
図1に示すようなマルチチャネルカメラ構成に設置された場合、フィルタのスペクトル性能を維持しながら、よりも大きい領域で機能できるようになる。
【0011】
しかし、上述の周期的サブ波長構造に基づくフィルタにおいて、
図1に示すマルチチャネルカメラのような大領域(典型的にはミリメートル規模の領域)にわたる使用の場合、平面波に対するGMRフィルタの反応だけを、恐らくは当該波の入射角の関数として考慮する。
【0012】
本特許出願において、検出ピクセルの規模の領域を有する金属誘電体GMRフィルタによる赤外マルチスペクトル撮像用の装置の実現可能性を提示し、「カラー」赤外画像を瞬時に取得する新規な小型の撮像器への道が初めて開かれた。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様によれば、本明細書は、少なくとも1個の第1及び1個の第2の検出波長の検出に適した赤外マルチスペクトル撮像用の装置に関し、当該装置は
-所与の寸法の像視野を形成する所定の寸法の基本検出器の組を含む検出マトリクスアレイと、
-所与の開口数及び所与の焦点距離を有し、前記開口数及び焦点距離が像視野の全ての位置で基本焦点の形成に適していて、前記焦点が少なくとも2個の並置された基本検出器の組をカバーする画像形成光学系と、
-基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタのマトリクスアレイであって、画像形成光学系の焦点深度よりも短い距離を置いて検出マトリクスアレイの前方に配置されていて、基本フィルタの寸法が、像視野の各位置で形成された各基本焦点が少なくとも2個の基本フィルタをカバーするように選択されていて、前記基本フィルタが、前記検出波長のうち2個に等しい2個の異なる中心波長に中心を有するスペクトル帯域内の通過帯域伝送に最適化されたマトリクスアレイとを含んでいる。
【0014】
所与の検出波長λdに中心を有するスペクトル帯域内の通過帯域伝送に最適化された基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタは、本明細書の文脈において、前記検出波長λdで単一モードでのみ動作可能な導波管を形成する誘電材料からなる層、及び前記検出波長よりも短い所与の周期で反復する所与のパターンで構築された少なくとも1個の金属回折格子を含んでいる。少なくとも1個の回折格子は、前記検出波長λdで入射する波を導波管のモードに結合するのに適している。
【0015】
1個以上の実施形態の例によれば、回折格子の構築パターンは、所定の寸法の1個以上の開口を含み、当該開口は、周辺空気等の誘電材料又は基板を形成する導波管を形成する誘電材料等の別の誘電材料で満たされている。開口は、所与の幅の1次元スリット、垂直な2方向に配置された(十字形状の)所与の幅のスリットの形式をなしていても、又は円形開口等であってもよい。開口の幾何学的形状に依存して、基本フィルタは偏光選択性を示す場合も示さない場合もある。
【0016】
出願人は、基本金属誘電導波モード共鳴フィルタが、寸法が数周期の領域が収束ビームにより照射された場合に、想定外の顕著な特性を示すことにより「ピクセル化された」基本フィルタ、すなわち寸法が各基本検出器又はピクセルの寸法の規模のオーダーであるフィルタを実現可能にすべく挙動することを示してきた。
【0017】
公知のように、視野の所与の位置における焦点の形状及びサイズ並びに視野深度(又は像視野深度)は、画像形成光学系の光幾何学的特徴及び波長に依存する。焦点及び焦点深度の寸法を推定すべく、所定の波長値、例えば、赤外マルチスペクトル撮像用の装置により検出しようとする最短波長に対応する波長λminが用いられる可能性がある。
【0018】
例えば、軸対称な画像形成光学系に対して、焦点の直径のサイズは、所与の波長λ、例えば、最短検出波長で回折限界により与えられる直径Φに設定される可能性がある。
【0019】
1個以上の実施形態の例によれば、前記基本フィルタの少なくとも1個は、装置の光幾何学的パラメータ、例えば、画像形成光学系及び/又は検出マトリクスアレイの光幾何学的パラメータに依存する所定値以上の角度公差を有している。
【0020】
基本フィルタの角度公差Δθは、本明細書において、フィルタに垂直な方向において測定された所与の傾きでフィルタに入射し、且つ入射角がゼロ(垂直入射)のフィルタに入射する同一の平面波の最大透過率の半分に等しい最大透過率を有する平面波の入射角により定義される。
【0021】
1個以上の実施形態の例によれば、前記所定値は、基本検出器の前記マトリクスアレイに垂直な方向において基本検出器のマトリクスアレイに到達すべく意図された最大傾斜光線の角度として定義される装置の視野端角である。この角度は、基本検出器のマトリクスアレイのサイズ、開口数、及び画像形成光学系の焦点距離に依存する。
【0022】
1個以上の実施形態の例によれば、基本フィルタのマトリクスアレイの前記基本フィルタの各々は、装置の視野端角以上の角度公差を有している。具体的には、基本フィルタに求められる角度公差が像視野の中央で低くても、最大角度公差、すなわち像視野端に位置する基本フィルタに求められる角度公差を取得すべく基本フィルタのマトリクスアレイの全ての基本フィルタの最適化を判断することができる。
【0023】
1個以上の実施形態の例によれば、前記基本フィルタの各々は、基本検出器の寸法とほぼ同一の寸法を有している。実施に際して、上述のように、基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタは、誘電材料からなる導波管、及び所与の周期で反復する所与のパターンで構築された少なくとも1個の金属格子を含んでいる。基本フィルタの寸法は従って、パターンの寸法の倍数であって、基本検出器の寸法よりも僅かに大きいか又は僅かに小さい可能性がある。従って、ほぼ同一の寸法が意味するところは、基本フィルタの寸法と、基本検出器(ピクセル)の寸法の差異がフィルタの透過スペクトル帯域の中心波長よりも小さいことによりある。しかし、基本フィルタがピクセルの寸法の数倍、例えば、2~4倍に等しい寸法を有していてよい。
【0024】
1個以上の実施形態の例によれば、基本フィルタのマトリクスアレイの基本フィルタはゾーンの形式で配置されていて、各ゾーンは2個の異なる中心波長に中心を有するスペクトル帯域内の通過帯域伝送に最適化された少なくとも2個の基本フィルタを含み、各ゾーンは焦点の寸法よりも大きい寸法を有している。1個以上の実施形態の例によれば、基本濾過装置の配置は各ゾーンで同一である。
【0025】
1個以上の実施形態の例によれば、基本フィルタのマトリクスアレイは、所与の検出波長λdに中心を有するスペクトル帯域内の通過帯域伝送に最適化され、且つ前記検出波長λdで単一モードでのみ動作可能な導波管を形成する誘電材料からなる層を含む少なくとも1個の基本二重金属格子(DMG)導波モード共鳴フィルタと、誘電材料からなる層の両側に配置された2個の金属回折格子とを含んでいる。各金属格子は、検出波長よりも短い所与の周期で反復する所与のパターンで構築されていて、前記検出波長波長λdで入射する波を導波管のモードに結合するのに適している。有利な特徴として、両方の格子の周期は同一である。
【0026】
1個以上の実施形態の例によれば、基本DMG導波モード共鳴フィルタは中空支持されていて、基本フィルタの2個の金属格子は同一である(同種金属、同一パターン、同一周期)。
【0027】
1個以上の実施形態の例によれば、基本DMG導波モード共鳴フィルタは、誘電材料からなる基板上に堆積されていて、導波管の両側の誘電材料(例えば、空気及び基板)の屈折率の差異を考慮に入れるため、基本フィルタの2個の金属格子のパターンは異なる。有利な特徴として、両方の格子の周期は同一に維持される。
【0028】
1個以上の実施形態の例によれば、基本フィルタのマトリクスアレイは「二原子」型の少なくとも1個の基本導波モード共鳴フィルタを含み、少なくとも1個の金属格子が、異なる寸法の少なくとも2個の開口、例えば、幅が異なる2個のスリットを有するパターンを有している。
【0029】
1個以上の実施形態の例によれば、基本フィルタのマトリクスアレイは、自身の前面に単一の金属化部を有する少なくとも1個の基本導波モード共鳴フィルタを含み、前記フィルタが、一方の側に基板、及び他方の側に二重金属格子を有する誘電材料からなる導波管を含んでいて、当該格子が異なるパターンを有し、且つ1個以上の実施形態の例によれば、同一の周期を有している。
【0030】
上述の例の各々において、基本フィルタのマトリクスアレイの全ての基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタは同一であっても、又は対照的に、基本フィルタが、例えば、視野端と視野中心との間で変化してもよい。
【0031】
1個以上の実施形態の例によれば、基本フィルタのマトリクスアレイの基本フィルタは同一基板上に配置されているため、製造が容易になる。当該フィルタは中空支持されていてもよい。
【0032】
第2の態様によれば、本明細書は、少なくとも1個の第1の及び1個の第2の波長の検出に適した赤外マルチスペクトル撮像用の方法に関し、当該方法は、
-所与の開口の画像形成光学系によりシーンの画像を形成するステップ、及び所与の寸法の像視野を形成する所定の寸法の基本検出器の組を含む検出マトリクスアレイにより前記画像を取得するステップであって、画像形成光学系が像視野の全ての位置で少なくとも2個の並置された基本検出器の組をカバーする基本焦点を形成するステップと、
-前記画像形成光学系により集光された光ビームを、基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタのマトリクスアレイによりフィルタリングするステップであって、前記マトリクスアレイが画像形成光学系の焦点深度よりも短い距離を置いて検出マトリクスアレイの前方に配置されていることにより像視野の各位置で形成された各基本焦点が少なくとも2個の基本フィルタをカバーし、前記基本フィルタが、前記検出波長のうち2個に等しい2個の異なる中心波長に中心を有するスペクトル帯域内の通過帯域伝送に最適化されているステップとを含んでいる。
【0033】
本発明の他の利点及び特徴は、以下の図で説明する記述内容を精査することにより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】上述のように、従来技術によるマルチチャネル赤外カメラを示す。
【
図2A】本明細書の実施形態の一例による赤外マルチスペクトル撮像用の装置の模式図を示す。
【
図2B】基本フィルタのマトリクスアレイであって、本明細書による赤外マルチスペクトル撮像用の装置に適したマトリクスアレイ内の基本金属誘電体導波モード共鳴濾過装置の配置の一例を示す。
【
図3A】本明細書による赤外マルチスペクトル撮像用の装置に適した
中空支持二原子DMG金属誘電体GMRフィルタの実施形態の一例を示す。
【
図3B】透過率のシミュレーション結果の2本の曲線を波長の関数として、及び二原子
中空支持DMGフィルタ(
図3A)の例のケースにおける(平面波への)入射角の関数として示す。
【
図3C】透過率のシミュレーション結果の2本の曲線を波長の関数として、及び二原子
中空支持DMGフィルタ(
図3A)の例のケースにおける(平面波への)入射角の関数として示す。
【
図4A】本明細書による赤外マルチスペクトル撮像用の装置に適した基板上二原子DMG金属誘電体GMRフィルタの実施形態の一例を示す。
【
図4B】透過率のシミュレーション結果の2本の曲線を波長の関数として、及び基板上二原子DMGフィルタ(
図4A)の例のケースにおける(平面波への)入射角の関数として示す。
【
図4C】透過率のシミュレーション結果の2本の曲線を波長の関数として、及び基板上二原子DMGフィルタ(
図4A)の例のケースにおける(平面波への)入射角の関数として示す。
【
図5A】前面に単一の金属化部を有する基板上金属誘電体GMRフィルタであって、本明細書による赤外マルチスペクトル撮像用の装置に適したフィルタの実施形態の一例を示す。
【
図5B】透過率のシミュレーション結果の2本の曲線を波長の関数として、及び前面金属化部を有する基板上フィルタ(
図5A)の例のケースにおける(平面波への)入射角の関数として示す。
【
図5C】透過率のシミュレーション結果の2本の曲線を波長の関数として、及び前面金属化部を有する基板上フィルタ(
図5A)の例のケースにおける(平面波への)入射角の関数として示す。
【
図6A】本明細書による赤外マルチスペクトル撮像用の装置に適していて、
中空支持二原子DMG金属誘電体GMRフィルタを含むフィルタのマトリクスアレイの実施形態の一例、及び収束ビームにより照射された際のフィルタのマトリクスアレイ内への視野の制限を示すシミュレーション結果を模式的に示す。
【
図6B】本明細書による赤外マルチスペクトル撮像用の装置に適していて、
中空支持二原子DMG金属誘電体GMRフィルタを含むフィルタのマトリクスアレイの実施形態の一例、及び収束ビームにより照射された際のフィルタのマトリクスアレイ内への視野の制限を示すシミュレーション結果を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図2Aに、本明細書による赤外マルチスペクトル撮像用の装置の一例を示す。マルチスペクトル撮像が意味するところは、少なくとも2個の異なる検出波長、又はより正確には2個の異なる検出波長に中心を有する少なくとも2個の検出スペクトル帯域での画像の形成である。赤外スペクトル帯域は本明細書において、1μm~15μmの波長の全てとして定義される。
【0036】
図2Aの20で示す赤外領域でのマルチスペクトル撮像用の装置は、例えば、チャンバ21内に、所定の寸法の基本検出器23i又はピクセルの組を含む検出マトリクスアレイ23、基本検出器23iにより配信される信号を処理する読み出し回路25、読み出し回路25に接続された処理ユニット26、及び
図2Bに一例を示す基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタ24iのマトリクスアレイ24を含んでいる。赤外領域のマルチスペクトル撮像用の装置は更に、チャンバ内又はチャンバ外に配置されていて赤外領域での画像形成に適して画像形成光学系22を含んでいる。
【0037】
赤外領域に適した検出マトリクスアレイは任意の種類の公知のマトリクスアレイ検出器(1D細片又は2D検出器)、例えば、MCT(水銀カドミウムテルル用)、InAs、(AlGAAs/As/GaAs)QWIP又は(InAs/GaSb)超格子検出器を含んでいてよく、これらの検出器は冷却されたチャンバ21内で動作する。例えば、マイクロボロメータ等、冷却されていない環境での動作に適した他の種類の検出器を用いてもよい。
【0038】
典型的に、1μm~50μmの間でマルチスペクトル撮像用の装置の動作用に、寸法が15μm~30μmの基本検出器が用いられる可能性があり、前記基本検出器は検出細片(例:288×4ピクセルフォーマットの)又は2次元マトリクスアレイ(例:640×480ピクセルフォーマットの)に配置されている。検出マトリクスアレイの寸法は、画像形成装置の像視野の寸法を画定する。
【0039】
画像形成光学系22は、開口数N及び焦点距離Fにより特徴付けられ、NはD/Fに等しく、Dは画像形成光学系の瞳孔径である。画像形成光学系は、注目する波長で透明な材料、例えば、ゲルマニウムからなる1個以上のレンズを含んでいてよい。
【0040】
画像形成光学系22は、検出マトリクスアレイ23上のシーンの画像形成に適している。実施に際して、任意の光学システムでも同様に、画像形成光学系に対して、所与の波長における像視野内の点での基本焦点及び焦点深度を定義することができる。
【0041】
視野内の所与の位置における焦点の形状及びサイズ並びに焦点深度(又は像視野深度)は公知のように、画像形成光学系の光幾何学的特徴により所与の波長で定義される。
【0042】
例えば、軸対称な画像形成光学系の場合、焦点の直径φは、回折限界、すなわち、
φ=2.44λN (1)
により定義できる。
ここにNは画像形成光学系の開口数(N=D/F、Dは画像形成光学系の瞳孔径、及びFは焦点距離)及びλは波長である。従って、例えば、開口数がN=3、波長がλ=4.1μmであるスペクトル撮像用の装置の場合、焦点の直径は約30μmである。
【0043】
更に、焦点深度、又は像視野深度は基本的に、使用する光学系の開口数及び波長に依存する。焦点深度は画像空間で測定された間隔として定義することができ、鮮明な画像を取得できるように検出器のマトリクスアレイを当該空間内に配置する必要がある。
【0044】
例えば、焦点深度Pfの推定値は次式で与えられる。
Pf=2Nφ (2)
【0045】
従って、開口数N=3及び焦点φ=30μmに対して、焦点深度Pf=180μmが得られる。
【0046】
実施に際して、本明細書によれば、焦点は、マトリクスアレイ23が基本検出器の行で形成されている場合は少なくとも2個の並置された基本検出器の組をカバーし、マトリクスアレイ23が基本検出器の複数の行で形成されている場合は少なくとも4個の並置された基本検出器の組をカバーすることができる。本発明による撮像用の装置が複数の波長を検出すべく意図されているため、最短検出波長λminを用いて回折点の直径φ及び焦点深度を推定することができる。
【0047】
図2Bに示すように、基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタのマトリクスアレイ24は、例えば、焦点深度よりも短い所与の距離dを置いて検出マトリクスアレイ23の前方に配置されているため、各基本フィルタと同じ高さの光ビームの過剰な発散を回避できるようになる。
【0048】
更に、基本フィルタの寸法は、像視野の各点に形成された各基本焦点が少なくとも2個の基本フィルタをカバーするように選択されていて、これら2個の基本フィルタは、2個の検出波長に等しい2個の異なる中心波長に中心を有するスペクトル帯域内の通過帯域伝送に最適化されている。従って、基本検出器は、各基本焦点と同じ高さで、異なる検出波長に中心を有するスペクトル帯域において、フィルタリングされた光束を受光する。
【0049】
例えば、
図2Bに、基本フィルタ24iの2次元マトリクスアレイ24の模式図を示す。本例では、異なる検出波長に中心を有するスペクトル帯域内での検出に各々最適化された4個の基本フィルタで形成されたゾーンZiを画定することができる。実施に際して、フィルタのマトリクスアレイ24上に形成されていて、例えば、最短検出波長を用いて計算された画像形成光学系の焦点は、フレームZiに刻印された円形ゾーンをカバーするであろう。
【0050】
実施に際して、基本フィルタの寸法は、
図2Bに示す基本検出器の寸法とほぼ同一であってよい。しかし、基本フィルタが基本検出器よりも僅かに大きい又は僅かに小さいことも全くあり得る。
【0051】
例えば、基本フィルタの寸法は、基本フィルタのマトリクスアレイが画像形成光学系の焦点深度に配置されていて、且つ基本焦点内に、2個の別々の検出波長に中心を有するスペクトル帯域内の透過に適した少なくとも2個の基本フィルタが存在する前提で、2個の基本検出器(1D検出細片の場合)又は4個の基本検出器の組(2D検出マトリクスアレイの場合)のグループをカバーするようなものであってよい。
【0052】
一般に、より多数の同一又は異なる基本フィルタで形成されたゾーンZiを画定可能であるが、各ゾーンZiは、2個の検出波長に等しい2個の異なる中心波長に中心を有するスペクトル帯域内の通過帯域伝送に最適化された少なくとも2個の基本フィルタを含んでいる。基本フィルタは、各ゾーンZiの所与の配置に配置されていてよい。ゾーンZiは全て、
図2Bの例のように同一であってよい。有利な特徴として、焦点は、隣接ゾーン間で「オーバフロー」が無いように1個のゾーンZi内に含められるよう充分に小さい。例えば、焦点は円形であって1個のゾーンZi内に刻印されている。
【0053】
上述のように、基本金属誘電体導波モード共鳴(GMR)フィルタは、誘電材料からなる導波管及び入射波を導波管の導波モードに結合すべく所与の周期で反復する所与のパターンで構築された少なくとも1個の金属格子を含んでいる。従って、基本フィルタの寸法が、
図2Bに示すように基本フィルタの寸法が実施に際して金属格子のパターンの寸法の倍数であるため、基本検出器の寸法とほぼ同じ場合であっても、基本フィルタは恐らく基本検出器よりも僅かに大きいか又は僅かに小さく、その差異は検出波長よりも小さい。
【0054】
図2Aに見られるように、基本フィルタ24iは収束光ビームF
0、F
1を受光し、視野端(ビームF
1)におけるビームの収束は視野中心(ビームF
0)におけるよりも大きい。特に、基本検出器の前記マトリクスアレイに垂直な方向において基本検出器のマトリクスアレイに到達すべく意図された最大傾斜光ビームの角度として定義される、視野端角αを定義することができる。当該角度は、基本検出器のマトリクスアレイの寸法、開口数、及び画像形成光学系の焦点距離に依存する。より正確には、次式により視野端角αを定義することができる。
【数1】
ここにn
pixは(1次元の)検出ピクセルの最大数、及びt
pixはピクセルのピッチである。
【0055】
例えば、1行内の検出ピクセルの個数npix=640、ピクセルピッチtpix=15μm、形成光学系の直径D=25mm、及び焦点距離F=50mmの場合、視野端角α=19°が得られる。
【0056】
従って、基本フィルタの全て又は一部、特に視野端に位置する基本フィルタは、装置の視野端角以上の角度公差を有している可能性がある。
【0057】
従来技術で公知の各種の基本金属誘電体導波モード共鳴(GMR)フィルタを本明細書による赤外マルチスペクトル撮像用の装置の実装に用いることができる。
【0058】
本明細書によるマルチスペクトル撮像用の装置の赤外スペクトルフィルタリングに用いるGMRフィルタの寸法決めは以下のステップを含んでいてよい。
【0059】
検出波長λdi及び当該検出波長での検出スペクトル帯域の幅Δλiは用途に応じて画定される。例えば、1個の特定の化学種を検出する場合、狭い検出スペクトル帯域幅(0.5μmより狭い)を探索することが有利であり得、他の用途、例えば、物体の放射率を評価する場合、より広い検出スペクトル帯域幅(1μmよりも大きい)を探索することが有利であり得る。
【0060】
検出マトリクスアレイの特徴、すなわち検出細片又は2次元マトリクスアレイ、各方向におけるピクセルの個数(npix)及び1個のピクセルのサイズ(tpix)も用途に応じて設定される。
【0061】
装置の光幾何学的特性、特に画像形成光学系の開口数N及び焦点距離Fが、観察対象のシーン、検出器(空間解像度)、及び装置に必要な最大嵩高に応じて選択される。
【0062】
求める検出波長λdi、当該検出波長での検出スペクトル帯域の幅Δλi、及び検出装置の光幾何学的パラメータに応じて、基本フィルタをどのように選択して寸法決めするかを以下に画定する。特に、後述するように、基本フィルタの所与のマトリクスアレイにおいて、1種類以上のフィルタ(DMG、二原子等)を決定することができる。
【0063】
各種類のフィルタに対して、フィルタに求められる光学的特徴、すなわち、最大透過率Tmax、共鳴波長λr、共鳴の幅Δλ及び角度公差Δθを可能にするフィルタの幾何学的パラメータの決定が求められる。実施に際して、透過率が最大Tmaxである透過スペクトル帯域の中心波長に対応する求める共鳴波長λrは検出波長λdiに等しくなる。求める共鳴の幅Δλは透過時のフィルタのスペクトル応答の半最大値における全幅に対応しており、検出スペクトル帯域の幅Δλiに等しくなり、求める角度公差Δθは装置の視野端角αに依存して画定することができる(上式(3)参照)。
【0064】
基本フィルタの角度公差Δθに関して、マトリクスアレイの全てのフィルタ、又は視野端に位置する少なくともいくつかのフィルタについて視野端角αよりも大きくなるように選択されることが有利であり得る。角度公差Δθが視野端角αよりも小さい場合、フィルタは動作し続けるが、共鳴Tmaxでの透過率が減少するため効果が減少し、品質係数Qi=λdi/Δλiが低下する恐れがある。
【0065】
ある種類のフィルタが選択されたならば、基本フィルタのパラメータの決定は以下のステップを含んでいてよい。(1)第1のパラメータの選択、(2)数値シミュレーションによる第1のパラメータの検証(波長の関数としての透過率のシミュレーション及び入射角の関数としての透過率のシミュレーション)及び(3)シミュレーション結果に応じたパラメータの変更。
【0066】
数値シミュレーションにより第1のパラメータを検証するステップ(2)に対して、収束ビームによるフィルタの伝送のシミュレーションを行うことができる。当該シミュレーションは、入射収束ビームを異なる入射角の平面波に分解し、各基本平面波の伝搬をシミュレートして、伝搬の後で基本平面波を合算するステップを含んでいる。出願人はしかし、「平面波による」フィルタの伝送のシミュレーションが用いてよいことを提示してきた。その理由は、平面波による簡素化された数値シミュレーションにより取得されたパラメータが、波の入射角がフィルタの角度公差の範囲内に残ると仮定すれば、収束ビームの透過率のシミュレーションにより得られたパラメータとほぼ類似しているためである。
【0067】
いずれの場合も、各種の公知の方法は、入射電磁波への基本フィルタの反応をシミュレートすべく用いられてよい。例えば、M.G.Moharam et al.JOSAA,12,1068(1995)に記述されている厳密な結合波解析(RCWA)等のモーダル計算法を、例えば用いることができる。例えば、COMSOL Multiphysics(登録商標)ソフトウェアパッケージに実装された有限要素方法(FEM)又はLUMERICAL(登録商標)ソフトウェアパッケージに実装された有限差時間領域(FDTD)法を用いてもよい。以下の記述に示す曲線は、モーダル計算法を用いて、より具体的には平面波及び1次元パターン(スリット)を仮定してMatlab(登録商標)のReticolo計算コード(P.Hugonin and P.Lalanne,“Reticolo software for grating analysis”,Institut d’Optique,Orsay,France(2005))用いて計算された。
【0068】
上述のように、所与の共鳴波長λrに中心を有するスペクトル帯域内の通過帯域伝送に最適化された基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタは、本明細書の文脈で、前記波長単一モードでのみ動作可能な導波管を形成する誘電材料(屈折率nd及び厚さtd)からなる層、及び前記共鳴波長よりも短い所与の周期(p)で反復する所与のパターンで構築された少なくとも1個の金属回折格子(屈折率nm及び厚さTm)を含んでいる。回折格子は、共鳴波長での入射波を導波モードに結合するのに適している。当該パターンは所与の寸法の1個以上の開口を含み、開口は2次元(例えば、十字又は円形開口)又は1次元(スリット)であってよい。開口は誘電材料で満たされていて、当該材料は、各種フィルタのうち注目するものに応じて周辺空気又は、例えば、導波管を形成する誘電材料又は基板を形成する誘電材料等の他の誘電材料であってよい。
【0069】
本明細書によるマルチスペクトル撮像用の装置を製造するための基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタの設計の3例を以下に示す。これらの例は非限定的であり、基本導波モード共鳴フィルタを製造するのに他の幾何学的形状も使用できる。いずれの場合も、同様の方法を適用してフィルタのパラメータを定義することができる。
【0070】
第1の例について
図3A~3Cを参照しながら記述する。
【0071】
図3Aに、寸法pの1個の基本フィルタ30の1個のパターンだけを示している。実施に際して、基本フィルタは、パターンの反復を含み、従って周期pを有する回折格子の形成を示している。
【0072】
図3Aに示す基本フィルタ30は
中空支持二重金属格子(DMG)である。基本フィルタ30は、共鳴波長λ
rで単一モードでのみ動作可能な導波管を形成する誘電材料からなる層31、及び誘電材料からなる層の両側に配置された2個の金属回折格子32、33を含み、DMGは空気等の流体又は真空中に
中空支持されている。各金属格子は、共鳴波長波長よりも短い所与の周期pで反復する所与のパターンで構築されている。より正確には、
図3Aの例において、第1の金属格子32は、各々の幅がa
1及びa
2である2個のスリット321、322を有するパターンを含み、第2の金属格子33は、各々の幅が第1の格子のパターンのスリットの幅と同一のa
1及びa
2である2個のスリット331、332を有するパターンを含んでいる。
【0073】
図3Aの例において、金属格子は、パターン毎に幅が異なる2個のスリットを含んでいるため「二原子」と言われる。このような種類の基本二原子DMGフィルタは、例えば、E.Sakat et al.2013に記述されている。しかし、これらのフィルタが角度公差の観点から有利であるが、「単原子の」基本
中空支持DMGフィルタ、すなわち、例えば、C.Tardieu et al.Optics Letters 40,4(2015)に記述されているように金属回折格子のパターンが1個のスリットだけを含むフィルタを用いるマルチスペクトル撮像用の装置を設計することもできることを注記しておく。
【0074】
第1のパラメータを決定するステップ(1)において、導波管の厚さ及び屈折率t
g及びn
gを最初に選択する。t
g及びn
gは、導波管が所望の共鳴波長λ
rで単一モードでのみ動作可能であるように充分小さく選択される。従ってこれは以下の条件を満たす。
【数2】
【0075】
次に、誘電体の周期p及び屈折率ngが、共鳴波長での垂直入射の平面波が導波管内でオーダー3だけ、且つ自由空間(入射媒体又は伝送媒体)内でオーダー0だけ回析されるように調整される。これを実現すべく、透過格子の公知の法則を適用する。
【0076】
従って、この場合幅が異なる(a1≠a2)2個のスリットを求めることに留意しながらスリットの幅を調整することができる。幅広スリットでは共鳴で高い透過率が得られるが、品質係数が低下する。より狭い共鳴を得るためにより狭いスリットが必要である。
【0077】
実施に際して、出願人は、注目する検出波長(例えば、3μm~5μm)において、以下の範囲の値からフィルタのパラメータを選択できることを提示してきた。
金(Au)、銀(Ag)、又は銅(Cu)からなる金属格子32、33、
λr/100~λr/10の範囲のtm、
p<λr、
a1<λr/4、a2<λr/4、a1≠a2、
誘電材料、例えば、炭化ケイ素(SiC)又は窒化ケイ素(SiN)、
λr/20~λr/2の範囲のtd。
【0078】
最長波長のスペクトル範囲、例えば、8~12μmの範囲の場合、当然典型的な寸法はより大きくなる。
【0079】
ステップ(2)において、最初に選択されたパラメータを有する各フィルタの光学的特徴を、数値シミュレーションを用いて検証される。
【0080】
これを行うため、フィルタの共鳴時における透過率の値T
max及び共鳴波長λ
rの各々に対応する、シミュレートされた波長範囲内の最大透過率及び波長での位置(
図3B)を取得すべく当該フィルタの透過スペクトルを計算する。共鳴の半最大値Δλの全幅も取得される。決定された波長λ
rの透過率の、平面波の入射角の関数としての変化も計算される。垂直入射で透過率が半分の値に低下する角度に対応するフィルタの角度公差Δθがそこから推論される。
【0081】
図3A、3Bに示す曲線は従って、
図3Aに示すような導波モード共鳴フィルタの波長の関数としての透過率、及び入射角の関数としての透過率を以下のパラメータと共に示している。
周期p=3μm、a
1=0.2μm、a
2=0.7μm、t
m=0.1μm及びt
d=0.65μm、n
d=2.15(SiNx)であり、n
mは金のドルーデモデルにより与えられる。
【0082】
上述のフィルタに対してシミュレーションは、以下を与える。
λr=4.01μm、Tmax=75%、Δθ=17°及びΔλ=120nm
【0083】
求める特徴に応じて、フィルタを設計するステップ(3)は、最適化目的でパラメータを潜在的に変更するステップを含んでいる。例えば、周期pを短縮することにより、より低い共鳴波長が得られる。導波管の屈折率を高めることにより、より高い角度公差が得られる。2個のスリットの幅を狭めることにより、スペクトル的により狭い共鳴が得られる。しかし、1個の光学的特徴の値を変えるべくパラメータを変更する都度、他の光学的特徴が劣化する恐れがあるため、他のパラメータを再調整する必要がある。例えば、粒子群最適化等の最適化アルゴリズムを用いて最良のパラメータを発見することもできる(Mehrdad Shokooh-Saremiand et al.“Particle swarm optimization and its application to the design of diffraction grating filters”Opt.Lett.32,894-896(2007))。
【0084】
第2の例について
図4A~4Cを参照しながら記述する。
【0085】
図4Aでは
図3Aと同様に、寸法pの1個の基本フィルタ40の1個のパターンだけを示す。実施に際して、基本フィルタはパターンの反復を含み、従って周期pを有する回折格子の形成を示している。
【0086】
図4Aに示す基本フィルタ40は基板を有する二原子二重金属格子(DMG)フィルタである。当該フィルタは、共鳴波長λ
rで単一モードでのみ動作可能な導波管を形成する誘電材料41(厚さt
d、屈折率n
d)からなる層、及び誘電材料からなる層の両側に配置された2個の金属回折格子42、43(厚さt
m1、t
m1、屈折率n
m1、n
m2)を含んでいる。当該フィルタは更に、屈折率n
sub(n
sub<n
d)の基板44を含み、本例ではその上に誘電材料からなる層41及び金属回折格子42が堆積されている。各金属格子は、所与のパターンで構築されていて、当該パターンは共鳴波長よりも短い所与の周期pで各格子毎に反復する。より正確には、
図4Aの例において、第1の金属格子32は各々の幅がb
1及びb
2である2個のスリット421、422を有するパターンを含み、第2の金属格子43は各々の幅がa’
1及びa’
2である2個のスリット431、432を有するパターンを含んでいる。
【0087】
実施に際して、求める特徴を取得する意図でパラメータの第1の推定値を取得すべく、
図3Aに示すような
中空支持DMG濾過装置から開始してよい。次いで適当な基板を選択して、基板と接触している格子のスリットの幅を調整する。単一モード導波管を維持すべく、可能な最小屈折率の基板及び高屈折率の導波管を求める。周期pは、
中空支持導波管に関して、格子により回析されたオーダー0だけが基板を通って伝搬するように選択される。本例では、
図3Aの例とは逆に、格子42のスリットの幅及び/又は厚さは、基板の屈折率の変化を補償すべく格子43の幅及び/又は厚さとは異なる。このようなフィルタは、例えば、C.Tuambilangana et al.,Optics Express23,25(2015)に記述されている。
【0088】
上述のように、
図4Aの例に二原子金属格子が示されているが、単原子基板DMGフィルタ向けにパラメータを最適化することもできる。
【0089】
図4A、4B(ステップ2)に示す曲線は、
図4Aに示すような導波モード共鳴フィルタの波長の関数としての透過率、及び入射角の関数としての透過率を以下のパラメータと共に示している。
周期p=2μm、a
1=0.12μm、a
2=0.62μm、b
1=0.15μm、b
2=0.65μm、t
m1=0.1μm、t
m2=0.05μm、t
d=0.6μm、n
g=2.84(SiC)、及びn
mは金のドルーデモデルにより与えられる。
【0090】
上述のフィルタに対してシミュレーションは、以下を与える。
λr=3.98μm、Tmax=92%、Δθ=20°及びΔλ=160nm
【0091】
求める特徴に応じてパラメータを最適化すべくパラメータを変更するステップ(3)を上述のように実行することができる。
【0092】
第2の例について
図5A~5Cを参照しながら記述する。
【0093】
図5Aでは
図3Aと同様に、寸法pの1個の基本フィルタ50の1個のパターンだけを示す。実施に際して、基本フィルタはパターンの反復を含み、従って周期pを有する回折格子の形成を示している。
【0094】
図5Aに示す基本フィルタ50は前面に単一の金属化部、及び基板を有する種類のものである。当該フィルタは、共鳴波長λ
rで単一モードでのみ動作可能な導波管を形成する誘電材料(厚さt
d、屈折率n
d)からなる層51、及び今回は誘電材料からなる層の同じ側に配置された2個の金属回折格子52、33(厚さt
m1及びt
m2、屈折率n
m)を含んでいる。当該フィルタは更に、誘電材料からなる層51が堆積された屈折率n
sub(n
sub<n
g)の基板54(格子を搭載した側とは反対側の基板)を含んでいる。各金属格子は、各格子毎に共鳴波長よりも短い所与の周期pで反復する所与のパターンで構築されている。より正確には、
図5Aの例において、第1の金属格子52は同一の幅b’
1の2個のスリット521を有するパターンを含み、第2の金属格子53は幅a’’
1の単一スリット531を有するパターンを含んでいる。
【0095】
実施に際して、求める特徴を取得する意図でパラメータの第1の推定値を取得すべく、
図3Aに示すような(但し単原子構成の)
中空支持DMG濾過装置から開始してもよい。次いで適当な基板を選択して、品質係数及び角度公差を変更すべく各格子の単一スリットの幅及び厚さを調整する。
【0096】
図5A、5B(ステップ2)に示す曲線は、
図5Aに示すような導波モード共鳴フィルタの波長の関数としての透過率、及び入射角の関数としての透過率を以下のパラメータと共に示している。
周期p=1.5μm、a’’
1=0.2μm、b’
1=0.1μm、t
m1=0.1μm、t
m2=0.13μm、t
d=0.63μm、n
d=2.15(SiNx)、及びn
mは金のドルーデモデルにより与えられる。
【0097】
上述のフィルタに対してシミュレーションは、以下を与える。
λr=3.89μm、Tmax=70%、Δθ=15°及びΔλ=320nm
【0098】
求める特徴に応じてパラメータを最適化すべくパラメータを変更するステップ(3)を上述のように実行することができる。
【0099】
出願人は、上述の金属誘電体GMRフィルタが集光ビームにより、検出ピクセルの寸法領域にわたり動作可能であることを提示してきた。
【0100】
従って
図6Aに、本例では各々が波長λ
A、λ
Bに中心を有するスペクトル帯域の共鳴透過に適した基本フィルタ24
A、24
Bを含む基本導波モード共鳴フィルタのマトリクスアレイ24の断面図を示す。本例において、マトリクスアレイ24は、基本フィルタの行で形成されていて、基本検出器の細片を備えた赤外マルチスペクトル画像形成装置で必要とされるフィルタリングに適している。しかし、基本検出器の2Dマトリクスアレイを備えた赤外マルチスペクトル画像形成装置で必要とされるフィルタリングに適した基本フィルタの2Dマトリクスアレイでも同様である。各フィルタは、1個のフィルタの寸法が1個のピクセルの寸法とほぼ同一であるように数周期のパターンで形成された回折格子を含んでいる。
【0101】
集光ビームF0の下でのフィルタの挙動が調べられており、光ビームF0は、波長λA、λBを含む波長の全範囲を含んでいる。出願人は、共鳴時における導波管の電磁場の広がりが制限され、電磁場はフィルタ24A内で波長λA、フィルタ24B内で波長λBに局所化されていることを提示してきた。従って、フィルタのマトリクスアレイからの出力として、中心波長λA及びλBにおいて光ビームFa及びFbが各々得られる。
【0102】
従って
図6Bに、基本フィルタ内における磁場の強度を計算する数値シミュレーション結果を示しており、当該シミュレーションは
図6Aに示すような基本フィルタのマトリクスアレイにより実行された。当該シミュレーションにおいて、各フィルタ24
A、24
Bはλ
A=4μm及びλ
B=4.7μmの共鳴波長に各々最適化された(例えば、
図3Aに示す)
中空支持二原子DMGフィルタであった。
図6Aの拡大部30は1パターンに限定したフィルタ24
Aを詳細に示す。フィルタの特徴は以下の通りであった。フィルタ24
Aの場合、周期p
A=3μm、周期の個数=5、スリットの幅a
1A=0.2μm、a
2A=0.5μm。フィルタ24
Bの場合、周期p
A=3.7μm、周期の個数=4、スリットの幅a
1B=0.1μm、a
2B=0.7μm。両方のフィルタ24
A、24
Bに対して、シミュレーションはSiNで形成された誘電材料からなる層及びAuからなる金属格子を用いて実行された。更に、t
mA=t
mB=0.1μm且つt
dA=t
dB=0.65μm。
【0103】
上述のシミュレーションにおいて、フィルタは開口半角が9°の集光ビームF0により波長λBで照射された。導波モード共鳴フィルタの問題ではあるが、電磁場が実際にフィルタB内に局所化されていて、入射光だけを透過させることが分かる。
【0104】
本明細書によるマルチスペクトル撮像用の装置に適した基本金属誘電体導波モード共鳴フィルタのマトリクスアレイを、例えば、本明細書で参照する論文に記述されたような公知の方法を用いて製造することができる。マトリクスアレイは、基板上に堆積されても、又は中空支持されていてもよい。
【0105】
次いで基本検出器のマトリクスアレイに近接した基本フィルタのマトリクスアレイの配置を様々な仕方で実現することができる。基本フィルタのマトリクスアレイは、例えば、スペーサにより接着性結合無しに配置することができる。当該マトリクスアレイは、フィルタリング波長範囲内で透明な接着剤により接着結合されていてもよい。基板又は接着剤の界面での反射を防止すべく、必要ならば反射防止層を追加してもよい。接着結合は、様々な仕方で実現することができる。例えば、フィルタを反転させて上部を格子と共に検出器のマトリクスアレイに接着結合してもよい。しかし、別の例によれば、基板上フィルタの場合、典型的な厚さ(300μm超)は一般に焦点深度よりも厚く、機械研磨又は化学エッチングを介して基板を薄くして、検出器のマトリクスアレイに基板を接着結合することができる。
【0106】
実施形態の特定の数の詳細な例を通じて説明してきたが、本明細書による赤外マルチスペクトル撮像用の方法及び装置に対する各種の変型、変更及び改良は当業者には明らかであり、これら各種の変型、変更及び改良が以下の請求項により規定される本発明の範囲の一部をなすことが理解されよう。