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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】圧力測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01L 9/00 20060101AFI20231205BHJP
   H01L 29/84 20060101ALI20231205BHJP
   H10N 35/00 20230101ALI20231205BHJP
【FI】
G01L9/00 303A
H01L29/84 A
H01L29/84 B
H10N35/00
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020013755
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021120635
(43)【公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】徳田 智久
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-091384(JP,A)
【文献】特開2014-102171(JP,A)
【文献】特開2018-021923(JP,A)
【文献】特開平04-303724(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0154405(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 7/00-23/32
G01L 27/00-27/02
H01L 29/84
H10N 35/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力センサおよび圧力算出部を備え、
前記圧力センサは、
ダイアフラム層と、
前記ダイアフラム層に形成された受圧領域と、
前記受圧領域の外周部の前記ダイアフラム層に設けられ、ピエゾ抵抗効果により前記受圧領域の歪みを測定するピエゾ歪素子から構成されたピエゾ歪測定部と、
前記ダイアフラム層の前記受圧領域に設けられ、歪みによって磁化が変化する材料から構成されて前記受圧領域の歪みを測定する磁気歪素子から構成された磁気歪測定部と
を有し、
前記圧力算出部は、
前記ピエゾ歪測定部の測定結果より前記受圧領域が受けた圧力値を求めるように構成された第1算出機能部と、
前記磁気歪測定部の測定結果より前記受圧領域が受けた圧力値を求めるように構成された第2算出機能部と、
前記第1算出機能部が求めた圧力値が、設定されている閾値を超えるまでは、前記第2算出機能部が求めた圧力値を出力し、前記第1算出機能部が求めた圧力値が、前記閾値を超えると、前記第1算出機能部が求めた圧力値を出力するように構成された切替機能部と
を有することを特徴とする圧力測定装置。
【請求項2】
請求項1記載の圧力測定装置において、
前記ピエゾ歪測定部および前記磁気歪測定部は、前記受圧領域の、発生する応力がピークとなる位置に配置されていることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の圧力測定装置において、
前記ピエゾ歪測定部は、前記受圧領域のピエゾ効果が発生する箇所に配置されていることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の圧力測定装置において、
前記ピエゾ歪測定部は、第1ブリッジ回路を構成する第1ピエゾ歪素子、第2ピエゾ歪素子、第3ピエゾ歪素子、および第4ピエゾ歪素子から構成され、
前記磁気歪測定部は、第2ブリッジ回路を構成する第1磁気歪素子、第2磁気歪素子、第3磁気歪素子、第4磁気歪素子から構成され、
前記磁気歪測定部は、前記ピエゾ歪測定部とは異なる箇所に配置されている
ことを特徴とする圧力測定装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の圧力測定装置において、
前記受圧領域は、平面視で円形とされていることを特徴とする圧力測定装置。
【請求項6】
請求項1~4のいずれか1項に記載の圧力測定装置において、
前記受圧領域は、平面視で正方形とされていることを特徴とする圧力測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧力測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、石油、石油化学、化学プラントなどにおいて、プロセス流体の流量、圧力、液位、比重などを測定するために、ピエゾ抵抗式の圧力センサによる圧力測定装置が用いられている(特許文献1参照)。ピエゾ抵抗式の圧力センサは、応答の線形性に優れているが、圧力の小さな領域における感度が低い。この種の圧力センサでは、感度の向上のためには、ダイアフラムをより薄くする対応がある。しかしながら、ダイアフラムを薄くすると、体圧が低下し、また、測定可能な圧力の上限値が低下するなどの問題が発生する。
【0003】
一方、ピエゾ抵抗式に比べて50倍以上のゲージファクターを有する歪検出素子が提案されている(特許文献2参照)。この素子は、歪みによって磁化が変化する検知磁性層および参照磁性層を備え、前記検知磁性層と前記参照磁性層とがバリア層を介してトンネル接合した磁気トンネル接合構造を持つものである(磁気トンネル接合素子)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5227729号公報
【文献】特開2016-014581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、磁気トンネル接合素子を用いた圧力センサは、圧力値が小さい範囲において、高い感度を有するが、自身の検知範囲外の圧力は、応答の線形性がくずれ、精度よく圧力測定ができないという問題がある。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、圧力の小さい範囲で良好な感度で測定できるともに、より広い圧力範囲で精度よく測定ができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る圧力測定装置は、圧力センサおよび圧力算出部を備え、圧力センサは、ダイアフラム層と、ダイアフラム層に形成された受圧領域と、受圧領域の外周部のダイアフラム層に設けられ、ピエゾ抵抗効果により受圧領域の歪みを測定するピエゾ歪素子から構成されたピエゾ歪測定部と、ダイアフラム層の受圧領域に設けられ、歪みによって磁化が変化する材料から構成されて受圧領域の歪みを測定する磁気歪素子から構成された磁気歪測定部とを有し、圧力算出部は、ピエゾ歪測定部の測定結果より受圧領域が受けた圧力値を求めるように構成された第1算出機能部と、磁気歪測定部の測定結果より受圧領域が受けた圧力値を求めるように構成された第2算出機能部と、第1算出機能部が求めた圧力値が、設定されている閾値を超えるまでは、第2算出機能部が求めた圧力値を出力し、第1算出機能部が求めた圧力値が、閾値を超えると、第1算出機能部が求めた圧力値を出力するように構成された切替機能部とを有する。
【0008】
上記圧力測定装置において、ピエゾ歪測定部および磁気歪測定部は、受圧領域の、発生する応力がピークとなる位置に配置されている。
【0009】
上記圧力測定装置の一構成例において、ピエゾ歪測定部は、受圧領域のピエゾ効果が発生する箇所に配置されている。
【0010】
上記圧力測定装置の一構成例において、ピエゾ歪測定部は、第1ブリッジ回路を構成する第1ピエゾ歪素子、第2ピエゾ歪素子、第3ピエゾ歪素子、および第4ピエゾ歪素子から構成され、磁気歪測定部は、第2ブリッジ回路を構成する第1磁気歪素子、第2磁気歪素子、第3磁気歪素子、第4磁気歪素子から構成され、磁気歪測定部は、ピエゾ歪測定部とは異なる箇所に配置されている。
【0011】
上記圧力測定装置の一構成例において、受圧領域は、平面視で円形とされている。
【0012】
上記圧力測定装置の一構成例において、受圧領域は、平面視で正方形とされている。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、ダイアフラム層の受圧領域に、ピエゾ歪測定部と磁気歪測定部とを設けるようにしたので、より広い圧力範囲で精度よく測定ができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1A図1Aは、本発明の実施の形態1に係る圧力測定装置の構成を示す平面図である。
図1B図1Bは、本発明の実施の形態1に係る圧力測定装置の構成を示す断面図である。
図2A図2Aは、本発明の実施の形態2に係る圧力測定装置の構成を示す平面図である。
図2B図2Bは、本発明の実施の形態2に係る圧力測定装置の構成を示す断面図である。
図3図3は、本発明の実施の形態3に係る他の圧力測定装置の一部構成を示す平面図である。
図4図4は、本発明の実施の形態に係る圧力測定装置のハードウエア構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態に係る圧力測定装置について説明する。
【0016】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1に係る圧力測定装置について、図1A図1Bを参照して説明する。
【0017】
この圧力測定装置は、圧力センサ100と圧力算出部105とを備える。圧力センサ100は、ダイアフラム層101と、ダイアフラム層101に形成された受圧領域102とを備える。受圧領域102は、例えば、平面視で円形とされている。受圧領域102は、ダイアフラム層101の一部の領域であり、例えば、ダイアフラム層101の平面の法線方向に、撓む(変形する)ことが可能とされている。なお、受圧領域102は、平面視の形状を正方形などの多角形とすることもできる。ダイアフラム層101は、例えば、基台111の上に形成されている。基台111には、厚さ方向に基台111を貫通する貫通孔112が形成されている。基台111は、例えば、単結晶シリコンから構成することができる。この場合、受圧領域102は、貫通孔112の空間により規定される、ダイアフラム層101の一部の領域である。
【0018】
また、圧力センサ100は、受圧領域102の外周部のダイアフラム層101に、第1ピエゾ歪素子103a、第2ピエゾ歪素子103b、第3ピエゾ歪素子103c、第4ピエゾ歪素子103dを備える。第1ピエゾ歪素子103a、第2ピエゾ歪素子103b、第3ピエゾ歪素子103c、第4ピエゾ歪素子103dの各々は、ピエゾ抵抗効果により受圧領域102の歪みを測定するピエゾ歪測定部となる。ピエゾ歪素子は、受圧領域102の、発生する応力がピークとなる位置に配置することができる。また、ピエゾ歪素子は、受圧領域102のピエゾ効果が発生する箇所に配置される。
【0019】
例えば、ダイアフラム層101は、主表面を(100)面とした単結晶シリコンから構成されている。また、単結晶シリコンから構成されているダイアフラム層101の所定の箇所に、p型不純物であるホウ素(B)が導入されたp型の領域から構成されるピエゾ抵抗領域により、ピエゾ歪素子が構成できる。
【0020】
この例では、4つの第1ピエゾ歪素子103a、第2ピエゾ歪素子103b、第3ピエゾ歪素子103c、第4ピエゾ歪素子103dは、受圧領域102の周方向に等間隔で配置されている。また、第1ピエゾ歪素子103aと第3ピエゾ歪素子103cとを結ぶ第1直線と、第2ピエゾ歪素子103bと第4ピエゾ歪素子103dとを結ぶ第2直線とは、互いに直交する。第1直線および第2直線は、ダイアフラム層101を構成している主表面を(100)面とした単結晶シリコンの110方向とされている。
【0021】
第1ピエゾ歪素子103a、第3ピエゾ歪素子103cは、平面視の形状が、単結晶シリコンの110方向に長手方向が延在する長方形に形成され、受圧領域102の撓みによって発生する歪みを測定する。この例では、第1ピエゾ歪素子103a、第3ピエゾ歪素子103cの平面視の形状は、各々の長手方向の軸が、受圧領域102の中心から径方向に向かう直線に平行な長方形とされている。
【0022】
一方、第2ピエゾ歪素子103b、第4ピエゾ歪素子103dも、平面視の形状が、単結晶シリコンの110方向に長手方向が延在する長方形に形成され、受圧領域102の撓みによって発生する歪みを測定する。この例では、第2ピエゾ歪素子103b、第4ピエゾ歪素子103dの平面視の形状は、各々の長手方向の軸が、受圧領域102の中心から径方向に向かう直線に垂直な長方形とされている。
【0023】
上記構成とすることで、受圧領域102が撓んだときの、第1ピエゾ歪素子103aおよび第3ピエゾ歪素子103cと、第2ピエゾ歪素子103bおよび第4ピエゾ歪素子103dとの、各々の抵抗値の符号が異なる状態となる。
【0024】
また、圧力センサ100は、ダイアフラム層101の受圧領域102に、第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104b、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dを備える。第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104b、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dは、歪みによって磁化が変化する材料から構成されて受圧領域102の歪みを測定する磁気歪測定部となる。磁気歪素子は、受圧領域102の、発生する応力がピークとなる位置に配置することができる。
【0025】
第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104b、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dの各々は、磁気歪素子は、歪みによって磁化が変化する検知磁性層および検知磁性層の参照となる参照磁性層を備え、検知磁性層と参照磁性層とがバリア層を介してトンネル接合し、検知磁性層と参照磁性層との間の抵抗の変化により受圧領域102の歪みを測定する。参照磁性層は、例えば、磁化が固定されている層であり、歪みによって磁化が変化しない。
【0026】
各磁気歪素子の検知磁性層、バリア層、および参照磁性層は、例えば、ダイアフラム層101の上に、ダイアフラム層101の厚さ方向に積層された状態で配置される。この場合、第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104bは、受圧領域102の撓みによって引っ張り歪みが発生する箇所に配置する。例えば、第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104bは、受圧領域102の外周部のダイアフラム層101に配置する。これらは、引っ張り歪みが、最も大きく発生する箇所(ピークとなる位置)に配置することで、高い感度が得られるようになる。
【0027】
一方、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dは、受圧領域102の撓みによって圧縮歪みが発生する箇所に配置する。例えば、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dは、受圧領域102の中央部に配置する。第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dは、歪みの発生しない箇所(受圧領域102以外)に配置することもできる。
【0028】
また、第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104b、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dは、第1ピエゾ歪素子103a、第2ピエゾ歪素子103b、第3ピエゾ歪素子103c、第4ピエゾ歪素子103dとは異なる箇所に配置する。例えば、第1磁気歪素子104aと第3磁気歪素子104cとを結ぶ第3直線と、第1直線とのなす角は、45°とすることができる。
【0029】
上述した圧力測定装置では、まず、第1ピエゾ歪素子103a、第2ピエゾ歪素子103b、第3ピエゾ歪素子103c、第4ピエゾ歪素子103dは、これらを抵抗素子とした第1ブリッジ回路を構成している。第1ブリッジ回路は、一定の電流が流れている状態において受圧領域102に応力が発生したとき、発生した応力による各ピエゾ歪素子(ピエゾ抵抗領域)の抵抗値の変化を電圧の変化として出力する。第1ブリッジ回路の各ノードは、ダイアフラム層101の図示しない領域の面に形成された配線パターンを介し、図示しない電極に接続されている。
【0030】
また、この圧力測定装置では、第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104b、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dは、これらを抵抗素子とした第2ブリッジ回路を構成している。第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104b、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dに対して外部磁場を印加している状態で、受圧領域102に応力が発生したとき、発生した応力による各磁気トンネル接合素子の抵抗値の変化を、電圧の変化として出力する。
【0031】
なお、磁気歪素子は、歪みによって磁化が変化する検知磁性層、非磁性材料から構成された非磁性層、および検知磁性層の参照となる参照磁性層がこれらの順に積層され、非磁性層の平面に平行な方向の抵抗の変化により受圧領域102の歪みを測定するものとすることもできる。この場合、ピエゾ歪素子の構成と同様に、4つの第1磁気歪素子、第2磁気歪素子、第3磁気歪素子、第4磁気歪素子を用いることができる。また、この場合、第1磁気歪素子、第3磁気歪素子の平面視の形状は、各々の長手方向の軸が、受圧領域102の中心から径方向に向かう直線に平行な長方形とし、第2ピエゾ歪素子、第4ピエゾ歪素子の平面視の形状は、各々の長手方向の軸が、受圧領域102の中心から径方向に向かう直線に垂直な長方形とすることができる。
【0032】
圧力算出部105は、第1算出機能部106、第2算出機能部107、および切替機能部108を備える。第1算出機能部106は、上述したピエゾ歪測定部の測定結果より受圧領域102が受けた圧力値を求める。第2算出機能部107は、磁気歪測定部の測定結果より受圧領域102が受けた圧力値を求める。
【0033】
切替機能部108は、第1算出機能部106が求めた圧力値が、設定されている閾値を超えるまでは、第2算出機能部107が求めた圧力値を出力し、第1算出機能部106が求めた圧力値が、閾値を超えると、第1算出機能部106が求めた圧力値を出力する。閾値は、磁気歪測定部(磁気歪素子)の応答が線形となる範囲を元に決定しておく。
【0034】
上述した実施の形態1に係る圧力測定装置によれば、ピエゾ歪測定部により求めた圧力値が、設定されている閾値より小さい範囲では、磁気歪測定部により求めた圧力値が選択(出力)され、ピエゾ歪測定部により求めた圧力値が大きい範囲では、ピエゾ歪測定部により求めた圧力値が選択(出力)されるので、圧力の小さい範囲で良好な感度で測定できるともに、より広い圧力範囲で精度よく測定ができるようになる。
【0035】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2に係る圧力測定装置について、図2A図2Bを参照して説明する。
【0036】
この圧力測定装置は、圧力センサ100aと圧力算出部105aを備える。圧力センサ100aは、ダイアフラム層101と、ダイアフラム層101に形成された受圧領域102とを備える。また、圧力センサ100aは、第1ピエゾ歪素子103a、第2ピエゾ歪素子103b、第3ピエゾ歪素子103c、第4ピエゾ歪素子103dを備える。また、この圧力測定装置は、第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104b、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dを備える。これらの構成は、前述した実施の形態1と同様である。
【0037】
また、圧力センサ100aは、ダイアフラム層101の受圧領域102の周囲に、第1副受圧領域202a、第2副受圧領域202b、第3副受圧領域202c、および第4副受圧領域202dが形成されている。例えば、第2副受圧領域202bおよび第4副受圧領域202dは、図2Bに示すように、基台111に形成された空洞113b、空洞113dにより規定される、ダイアフラム層101の一部の領域である。第1副受圧領域202aおよび第3副受圧領域202cも同様である。なお、図2Bは、図2Aの受圧領域102の中央部を通る線における断面を示している。第1副受圧領域202a、第2副受圧領域202b、第3副受圧領域202c、および第4副受圧領域202dの各々は、平面視で、隣り合う辺の長さが異なる長方形とされている。
【0038】
また、圧力センサ100aは、第1副受圧領域202aに、第1副ピエゾ歪素子203a、第2副ピエゾ歪素子203bが設けられている。また、第2副受圧領域202bに、第1副磁気歪素子204a、第2副磁気歪素子204bが設けられている。また、第3副受圧領域202cに、第3副ピエゾ歪素子203c、第4副ピエゾ歪素子203dが設けられている。また、第4副受圧領域202dに、第3副磁気歪素子204c、第4副磁気歪素子204dが設けられている。
【0039】
第1副ピエゾ歪素子203a、第2副ピエゾ歪素子203b、第3副ピエゾ歪素子203c、第4副ピエゾ歪素子203dは、第1ピエゾ歪素子103a、第2ピエゾ歪素子103b、第3ピエゾ歪素子103c、第4ピエゾ歪素子103dと同様であり、ピエゾ抵抗領域を備える素子である。
【0040】
第1副磁気歪素子204a、第2副磁気歪素子204b、第3副磁気歪素子204c、第4副磁気歪素子204dは、第1磁気歪素子104a、第2磁気歪素子104b、第3磁気歪素子104c、第4磁気歪素子104dと同様である。
【0041】
実施の形態2では、受圧領域102により差圧測定部を構成し、第1副受圧領域202aおよび第3副受圧領域202cにより第1静圧測定部を構成し、第2副受圧領域202bおよび第4副受圧領域202dにより、第2静圧測定部を構成する(特許文献1参照)。
【0042】
ここで、第1副ピエゾ歪素子203a、第1副磁気歪素子204a、第3副ピエゾ歪素子203c、第3副磁気歪素子204cの各々は、第1副受圧領域202a、第2副受圧領域202b、第3副受圧領域202c、第4副受圧領域202dの各々の中央に配置されている。また、第1副ピエゾ歪素子203a、第3副ピエゾ歪素子203cは、平面視で長方形の副受圧領域102の長手方向に沿って設けられている。
【0043】
また、第2副ピエゾ歪素子203b、第2副磁気歪素子204b、第4副ピエゾ歪素子203d、第4副磁気歪素子204dの各々は、第1副受圧領域202a、第2副受圧領域202b、第3副受圧領域202c、第4副受圧領域202dの各々のエッジに配置されている。また、第2副ピエゾ歪素子203b、第4副ピエゾ歪素子203dは、平面視で長方形の副受圧領域102の長手方向に沿って設けられている。
【0044】
また、圧力算出部105aは、第1算出機能部106、第2算出機能部107、切替機能部108a、第1補正機能部109、および第2補正機能部110を備える。第1算出機能部106、第2算出機能部107は、前述した実施の形態1と同様である。
【0045】
第1補正機能部109は、第1副受圧領域202aおよび第3副受圧領域202cにより構成される第1静圧測定部の測定結果より、第1算出機能部106が求めた圧力値を補正する。また、第2補正機能部110は、第2副受圧領域202bおよび第4副受圧領域202dにより構成される第2静圧測定部の測定結果より、第2算出機能部107が求めた圧力値を補正する。
【0046】
また、実施の形態2において、切替機能部108aは、まず、第1補正機能部109により補正された圧力値が、設定されている閾値を超えるまでは、第2補正機能部110により補正された圧力値を出力する。一方、切替機能部108aは、第1補正機能部109により補正された圧力値が、閾値を超えると、第1補正機能部109により補正された圧力値を出力する。
【0047】
上述した実施の形態2によれば、静圧測定部における発生応力を、効率よく測定することができる。この結果、静圧の測定感度を高くすることができる。また、実施の形態2によれば、静圧補正機能部で算出部で求めた圧力値を補正するので、静圧の影響が差圧・圧力に影響するなどのことにより、出力のゼロ点がシフトするというクロストークと呼ばれる問題が、抑制できるようになる。
【0048】
上述した実施の形態2においても、圧力値が小さい範囲では、磁気歪測定部により圧力が測定され、圧力値が大きい範囲では、ピエゾ歪測定部により圧力が測定されるので、圧力の小さい範囲で良好な感度で測定できるともに、より広い圧力範囲で精度よく測定ができるようになる。
【0049】
ところで、受圧領域は、平面視で正方形とすることもできる。平面視で正方形とした受圧領域102aによる圧力センサ100bについて、図3を参照して説明する。
【0050】
圧力センサ100bは、ダイアフラム層101と、ダイアフラム層101に形成された受圧領域102aとを備える。受圧領域102aは、平面視で正方形とされている。この正方形の各辺は、ダイアフラム層101を構成している主表面を(100)面とした単結晶シリコンの110方向とされている。
【0051】
また、圧力センサ100bは、第1ピエゾ歪素子123a、第2ピエゾ歪素子123b、第3ピエゾ歪素子123c、第4ピエゾ歪素子123dを備える。第1ピエゾ歪素子123aと第2ピエゾ歪素子123bとの組は、平面視正方形とされた受圧領域102aの第1辺161の中央部に配置されている。また、第3ピエゾ歪素子123cと第4ピエゾ歪素子123dとの組は、平面視正方形とされた受圧領域102aの第2辺162の中央部に配置されている。第2辺162は、第1辺161に隣り合う辺である。
【0052】
また、圧力センサ100bは、前述同様に、第1磁気歪素子124a、第2磁気歪素子124b、第3磁気歪素子124c、第4磁気歪素子124dを備える。第1磁気歪素子124aは、平面視正方形とされた受圧領域102aの第4辺164の中央部に配置されている。また、第2磁気歪素子124bは、平面視正方形とされた受圧領域102aの第3辺163の中央部に配置されている。第3辺163は、第3辺163に隣り合い、第1辺161に対向する辺である。第4辺164は、第1辺161および第3辺163に隣り合い、第2辺162に体躯する辺である。
【0053】
また、前述同様に、ダイアフラム層101の受圧領域102aの周囲に、第1副受圧領域202a、第2副受圧領域202b、第3副受圧領域202c、および第4副受圧領域202dが形成されている。
【0054】
第1副受圧領域202a、および第3副受圧領域202cは、第1辺161の中点と第3辺163の中点とを通る第1直線151の上に配置されている。また、第2副受圧領域202bおよび第4副受圧領域202dは、第2辺162の中点と第4辺164の中点とを通る第1直線152の上に配置されている。
【0055】
第1直線151の上には、第1ピエゾ歪素子123aと第2ピエゾ歪素子123bとの組が配置されている。言い換えると、第1副受圧領域202aは、受圧領域102aの中心から見て、第1ピエゾ歪素子123aと第2ピエゾ歪素子123bとの組が配置されている延長線上に配置されている。また、第1直線151の上には、第2磁気歪素子124bが配置されている。言い換えると、第4副受圧領域202dは、受圧領域102aの中心から見て、第2磁気歪素子124bが配置されている延長線上に配置されている。
【0056】
第2直線152の上には、第1磁気歪素子124aが配置されている。言い換えると、第2副受圧領域202bは、受圧領域102aの中心から見て、第1磁気歪素子124aが配置されている延長線上に配置されている。また、第2直線152の上には、第3ピエゾ歪素子123cと第4ピエゾ歪素子123dとの組が配置されている。言い換えると、第3副受圧領域202cは、受圧領域102aの中心から見て、第3ピエゾ歪素子123cと第4ピエゾ歪素子123dとの組が配置されている延長線上に配置されている。
【0057】
また、前述同様に、第1副受圧領域202aに、第1副ピエゾ歪素子203a、第2副ピエゾ歪素子203bが設けられている。また、第2副受圧領域202bに、第1副磁気歪素子204a、第2副磁気歪素子204bが設けられている。また、第3副受圧領域202cに、第3副ピエゾ歪素子203c、第4副ピエゾ歪素子203dが設けられている。また、第4副受圧領域202dに、第3副磁気歪素子204c、第4副磁気歪素子204dが設けられている。
【0058】
第1副ピエゾ歪素子203a、第2副ピエゾ歪素子203b、第3副ピエゾ歪素子203c、第4副ピエゾ歪素子203dは、第1ピエゾ歪素子123a、第2ピエゾ歪素子123b、第3ピエゾ歪素子123c、第4ピエゾ歪素子123dと同様であり、ピエゾ抵抗領域を備える素子である。
【0059】
第1副磁気歪素子204a、第2副磁気歪素子204b、第3副磁気歪素子204c、第4副磁気歪素子204dは、第1磁気歪素子124a、第2磁気歪素子124b、第3磁気歪素子124c、第4磁気歪素子124dと同様である。
【0060】
前述同様に、受圧領域102aにより差圧測定部を構成し、第1副受圧領域202a、第2副受圧領域202b、第3副受圧領域202c、および第4副受圧領域202dにより、静圧測定部を構成する(特許文献1参照)。
【0061】
ここで、第1副ピエゾ歪素子203a、第1副磁気歪素子204a、第3副ピエゾ歪素子203c、第3副磁気歪素子204cの各々は、第1副受圧領域202a、第2副受圧領域202b、第3副受圧領域202c、第4副受圧領域202dの各々の中央に配置されている。また、第1副ピエゾ歪素子203a、第3副ピエゾ歪素子203cは、平面視で長方形の副受圧領域の長手方向に沿って設けられている。
【0062】
また、第2副ピエゾ歪素子203b、第2副磁気歪素子204b、第4副ピエゾ歪素子203d、第4副磁気歪素子204dの各々は、第1副受圧領域202a、第2副受圧領域202b、第3副受圧領域202c、第4副受圧領域202dの各々のエッジに配置されている。また、第2副ピエゾ歪素子203b、第4副ピエゾ歪素子203d、平面視で長方形の副受圧領域の長手方向に沿って設けられている。
【0063】
圧力センサ100bにおいても、静圧測定部における発生応力を、効率よく測定することができる。この結果、静圧の測定感度を高くすることができる。
【0064】
なお、上述した実施の形態に係る圧力測定装置の圧力算出部は、図4に示すように、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)301と主記憶装置302と外部記憶装置303とネットワーク接続装置304となどを備えたコンピュータ機器とし、主記憶装置302に展開されたプログラムによりCPU301が動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各機能が実現されるようにすることもできる。上記プログラムは、上述した実施の形態で示した圧力算出部の機能をコンピュータが実行するためのプログラムである。ネットワーク接続装置304は、ネットワーク305に接続する。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させることもできる。
【0065】
また、上述した圧力算出部は、FPGA(field-programmable gate array)などのプログラマブルロジックデバイス(PLD:Programmable Logic Device)により構成することも可能である。例えば、FPGAのロジックエレメントに、記憶部、第1算出機能部、第2算出機能部、切替機能部、や第1補正機能部、および第2補正機能部の各々を回路として備えることで、圧力算出部として機能させることができる。記憶回路、第1算出回路、第2算出回路、切替回路、第1補正回路、第2補正回路の各々は、所定の書き込み装置を接続してFPGAに書き込むことができる。また、FPGAに書き込まれた上記の各回路は、FPGAに接続した書き込み装置により確認することができる。
【0066】
以上に説明したように、本発明によれば、ダイアフラム層の受圧領域に、ピエゾ歪測定部と磁気歪測定部とを設けるようにしたので、より広い圧力範囲で精度よく測定ができるようになる。
【0067】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0068】
100…圧力センサ、101…ダイアフラム層、102…受圧領域、103a…第1ピエゾ歪素子、103b…第2ピエゾ歪素子、103c…第3ピエゾ歪素子、103d…第4ピエゾ歪素子、104a…第1磁気歪素子、104b…第2磁気歪素子、104c…第3磁気歪素子、104d…第4磁気歪素子、105…圧力算出部、106…第1算出機能部、107…第2算出機能部、108…切替機能部、111…基台、112…貫通孔。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4