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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】薬液投与装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/145 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
A61M5/145 500
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020021858
(22)【出願日】2020-02-12
(65)【公開番号】P2021126249
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】近藤 晃
(72)【発明者】
【氏名】市川 義博
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-530153(JP,A)
【文献】特表2012-501771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/145
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬液を収容する容器と、
前記容器の内部の薬液を押し出す押し子と、
前記押し子を駆動させる駆動部と、
装置の状態を光により報知可能な光源部と、
前記容器、前記押し子、前記駆動部、及び前記光源部を収容可能なハウジングと、を有し、
前記ハウジングは、使用者の体表に当接可能な当接面と、
前記ハウジングに収容した前記光源部からの光を、前記当接面における前記光源部が設置された部位から法線方向に対して傾斜した傾斜方向に導く導光部と、
前記光源部からの光を視認可能な視認部と、を備え
前記光源部は、前記ハウジングにおいて前記当接面の側に配置され、
前記導光部は、前記光源部から直線的に延在し、
前記視認部は、前記当接面を体表に当接させた際に体表から離間して位置する薬液投与装置。
【請求項2】
前記傾斜方向は、前記ハウジングを平面視した際に前記容器の内部において前記押し子が移動する移動方向と交差する方向である請求項1に記載の薬液投与装置。
【請求項3】
前記導光部は、前記傾斜方向が前記ハウジングを平面視した際に前記移動方向と交差する交差方向を向く第1導光部と、前記傾斜方向が前記ハウジングを平面視した際に前記交差方向と反対の方向を向く第2導光部と、を備える請求項2に記載の薬液投与装置。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記傾斜方向の延長線上に設けられ、前記光源部からの光を散乱させる散乱部をさらに備える請求項1~3のいずれか1項に記載の薬液投与装置。
【請求項5】
前記光源部は、前記ハウジングを平面視した際に薬液が吐出される前記容器の先端から離間した位置に設けられる請求項1~のいずれか1項に記載の薬液投与装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬液投与装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、薬液容器に充填した薬液を押し子の押圧作用により生体内に投与するシリンジポンプ型の薬液投与装置が知られている。この種の薬液投与装置は、筒型の薬液容器(シリンダ)と、薬液容器内の薬液を押し出す押し子(ピストン)と、を備える(例えば、下記特許文献1を参照)。薬液容器および押し子は、ハウジング(椀状体)内に収容されている。
【0003】
特許文献1の医療機器は患者自身が注射を行なえるように設計されており、ハウジングに相当する椀状体は手で掴みやすいように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平9-294807号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような自己注射に対して医師や看護師等の医療従事者が病院等で医療機器を使用者に貼り付け、自宅等の病院以外の場所で薬液を投与する医療機器がある。このような医療機器では薬液を正常に投与する場合以外に異常が発生する場合もあり、患者等の使用者に対して医療機器の状態を適格に報知する(認識させる)必要がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、機器(装置)の状態が使用者に認識しやすい薬液投与装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る薬液投与装置は、薬液を収容する容器と、前記容器の内部の薬液を押し出す押し子と、前記押し子を駆動させる駆動部と、装置の状態を光により報知可能な光源部と、前記容器、前記押し子、前記駆動部、及び前記光源部を収容可能なハウジングと、を有し、前記ハウジングは使用者の体表に当接可能な当接面と、前記ハウジングに収容した前記光源部からの光を、前記当接面における前記光源部が設置された部位から法線方向に対して傾斜した傾斜方向に導く導光部と、前記導光部からの光を視認可能な視認部と、を備える。前記光源部は、前記ハウジングにおいて前記当接面の側に配置される。前記導光部は、前記光源部から直前的に延在する。前記視認部は、前記当接面を体表に当接させた際に体表から離間して位置する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る薬液投与装置によれば、機器(装置)の状態を使用者に認識させやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る薬液投与システムを示す図である。
図2】薬液投与システムの使用例を模式的に示す図である。
図3】薬液投与装置の概略斜視図である。
図4】薬液投与装置の概略分解斜視図である。
図5】薬液投与装置においてハウジングの内部に収容される部品を示す概略平面図である。
図6】薬液投与装置を構成するハウジングのサイドカバーを示す斜視図である。
図7図6に示すサイドカバーを装置の内側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0011】
図1図7は薬液投与システム10、薬液投与装置100、および投与器具200の説明に供する図である。
【0012】
図面では必要に応じて直交座標を示している。直交座標系におけるXは薬液投与装置100において押し子130の移動方向または薬液投与装置100の長手方向を示し、便宜上、長手方向Xと称する。直交座標系におけるYは長手方向Xと交差し、長手方向Xとともにシャーシ122が延在する面を構成し、便宜上、幅方向Y(交差方向)と称する。直交座標系におけるZは薬液投与装置100またはシャーシ122における高さ方向に相当し、便宜上、高さ方向Zと称する。
【0013】
(薬液投与システム)
薬液投与システム10は、薬液を生体内に投与するために使用される。薬液投与システム10は、図1に示すように薬液投与装置100と、投与器具200と、を有する。
【0014】
薬液投与装置100および投与器具200は、図2に示すように使用者の体表面(皮膚)Hに貼り付けて使用するパッチタイプとして構成している。薬液投与装置100および投与器具200を取り付ける使用者の身体の部位は特に限定されないが、例えば腹部や大腿部を挙げることができる。
【0015】
薬液投与システム10は、例えば薬液投与装置100が備える薬液容器110内に充填された薬液(図示省略)を後述する押し子130による押圧作用により、比較的長い時間(例えば数分~数時間程度)をかけて持続的に生体内に投与することができる。なお、薬液投与システム10は、薬液を間欠的に生体内に投与するように構成してもよい。
【0016】
(薬液投与装置)
薬液投与装置100は、図3図4、および図5に示すように薬液が充填される筒型(バレル型)の薬液容器110と、薬液容器110を保持するハウジング120と、を備える。薬液投与装置100は、薬液容器110内の薬液を押し出す押し子130と、押し子130を薬液容器110の先端開口部へ向けて移動させる駆動機構140と、光源部150と、電源部160と、駆動機構140の動作を制御する制御部170と、を備える。薬液投与装置100は、さらに保持部材180および保持部材190を備える。駆動機構140は本明細書において駆動部に相当する。
【0017】
ハウジング120は、図3図4等に示すように薬液容器110、押し子130、駆動機構140、および光源部150等を収容可能に構成している。図3および図4に示すようにハウジング120は、内部に収容空間が形成された箱型のハウジング本体部121と、ハウジング本体部121の収容空間に収容され、ハウジング本体部121に対して固定可能なシャーシ122と、を備える。ハウジング120は、収容空間にシャーシ122を収容した状態でハウジング本体部121に取り付けられるサイドカバー123を備える。サイドカバー123は、リアケースと呼ばれる場合もある。サイドカバー123については後述する。
【0018】
図3および図4に示すようにハウジング本体部121において薬液容器110を収容する部位には、ハウジング120の外部から収容空間内を視認可能にする窓部124が形成されている。窓部124は、ハウジング本体部121の一部に透明または半透明な部分を設けることによって構成している。
【0019】
図4に示すようにハウジング本体部121の長手方向Xにおける基端側にはシャーシ122をハウジング本体部121の収容空間に挿入するための基端開口部125が形成されている。図3および図4に示すように、基端開口部125は収容空間にシャーシ122を収容した状態でサイドカバー123によって閉じられる。
【0020】
図4に示すようにハウジング本体部121の底面121bには、使用者の体表面Hに貼付可能なシート状の貼着部(図示省略)を設けている。薬液投与装置100を使用者に取り付ける前の初期状態において、貼着部の貼着面には剥離可能な保護シートを取り付けることができる。底面121bは使用者の体表に当接可能な当接面に相当する。
【0021】
シャーシ122には、薬液容器110と、押し子130と、駆動機構140(駆動部に相当)と、制御部170と、電源部160と、を保持するように搭載できる。
【0022】
薬液容器110は、いわゆるプレフィルド型の薬液容器で構成することができる。そのため、薬液は薬液容器110の内腔111内に予め充填(収容)されている。薬液としては、例えばたんぱく質製剤、麻薬性鎮痛薬、利尿薬等が挙げられる。
【0023】
薬液容器110の先端部112に形成された先端開口部(吐出口)には、薬液が漏洩することを防止するための封止部材(図示省略)を配置している。図3に示すように、薬液容器110の先端部112は、ハウジング本体部121から外部に突出するように配置される。また、薬液容器110においてハウジング本体部121から突出した先端部には後述するチューブ240との接続がなされる装着部115を取り付けている。
【0024】
図4に示すように薬液容器110の内腔111には、押し子130が挿入される。押し子130の先端には、薬液容器110の内壁と摺動可能なガスケット131を配置している。ガスケット131は、ガスケット131の外周部が薬液容器110の内周面と液密に密着することでガスケット131の基端側を液密に封止する。
【0025】
駆動機構140は、押し子130を駆動させる。駆動機構140は、モータ141と、減速機構142と、送りねじ143と、を備える。
【0026】
モータ141は、電源部160からの駆動電流を受けることによって回転による駆動力を生じさせる。モータ141は、一例としてDCモータ等によって構成することができる。
【0027】
減速機構142は、モータ141からの回転速度を減速して伝達する。減速機構142は、本実施形態において複数の歯車を備えるように構成している。
【0028】
送りねじ143は、減速機構142に接続されるとともに、押し子130に螺合して接続される。送りねじ143は、上記のように構成されることによって、減速機構142による回転運動を直線運動に変換して押し子130を長手方向Xに移動可能にする。
【0029】
押し子130は、薬液容器110の内部において摺動しながら移動可能に構成している。押し子130は、ガスケット131が薬液容器110に対して摺動可能な状態で薬液容器110の収容空間を減少させるように進退移動することで薬液容器110の先端開口部から薬液を吐出可能に構成している。
【0030】
光源部150は、薬液投与装置100の状態を光の色や点灯、点滅の少なくとも一つまたはこれらの組み合わせによって使用者に報知(認識)可能に構成している。ここにいう薬液投与装置100の状態とは特に限定されないが、一例として待機中、薬液の投与完了、制御部170のエラー、電源部160の電圧が落ちたり、流路に閉塞が生じたりしたことを報知したり、装置が正常であること等を意味する。
【0031】
光源部150は、電源部160からの電力の供給によって使用者に装置の状態を報知できれば特に限定されないが、一例としてLEDを採用することができる。光源部150は、図7に示すようにハウジング120において後述するサイドカバー123の面123cの側に配置している。光源部150は、図5に示すようにハウジング120を平面視した際に薬液が吐出される薬液容器110の先端部112から離間した位置に設けられる。
【0032】
電源部160は、公知の電池等で構成することができる。
【0033】
制御部170は、薬液投与装置100の薬液の送液動作を制御する。制御部170は、例えばCPU、RAM、ROM等を実装した公知のマイクロコンピュータ(電子回路素子)により構成することができる。制御部170は、駆動機構140及び電源部160の動作を統括的に制御する。
【0034】
保持部材180は、図5に示すように薬液容器110をシャーシ122に対して固定する。保持部材190は、駆動機構140を構成するモータ141をシャーシ122に固定する。保持部材180、190は、モータ141または薬液容器110をシャーシ122に対して固定できれば、具体的な構成は特に限定されない。保持部材180、190は、一例としてシャーシ122に凹部を設けた場合に、シャーシ122の凹部に係合するツメ形状とすることができる。
【0035】
(サイドカバー)
次にハウジング120を構成するサイドカバー123について説明する。図6はサイドカバー123を示す斜視図、図7はサイドカバー123を装置の内部から見た図である。
【0036】
サイドカバー123は、図6図7に示すように外面123aと、内面123bと、面123c、123d、123e、123f、123g、123h、123j、123kと、導光部123m、123nと、を備える。面123cは当接面に相当し、面123e、123f、123h、123jは視認部に相当する。導光部123mは第1導光部に相当し、導光部123nは第2導光部に相当する。
【0037】
外面123aは、図6に示すようにハウジング120の外側に位置する面であり、本実施形態では押し子130の移動方向(長手方向X)において基端側に位置する端面に相当する。内面123bは、図7に示すようにサイドカバー123において外面123aに対して反対側の面に相当する。
【0038】
ハウジング120は内部空間に部品を収容できれば具体的な形状は特に限定されないが、本実施形態では一例として略六面体として構成している。面123c、123d、123e、123f、123g、123h、123j、123kは外面123a及び内面123bと交差する位置に設けている。
【0039】
面123cは、使用者に貼り付けられる体表面と同一面であり、面123gはハウジング本体部121の上面121aと同一面に相当する。面123jは、薬液投与装置100を使用者の体表面に貼り付けた状態において上面に対応し、面123eは下面に対応する。
【0040】
サイドカバー123は、透明または半透明の材料によって構成している。これにより、使用者は外面123a、面123c、123d、123e、123f、123g、123h、123j、123k(特に面123e、123f、123h、123j)において光源部150からの光を視認できる。
【0041】
面123f、123hには図6図7に示すように長手方向Xに延在する凹凸形状を設け、これにより光源部150からの光を散乱させるように構成している。面123f、123hは導光部123m、123nの延長線上に位置するように構成している。
【0042】
導光部123m、123nは、図7に示すようにハウジング120に収容した光源部150からの光を面123cにおいて光源部150が設置された部位から法線方向(高さ方向Z)に対して傾斜した方向に導くように構成している。導光部123m、123nは、光源部150から直線的に延在するように構成している。導光部123m、123nは、本実施形態においてサイドカバー123に一体的に形成している。
【0043】
導光部123m、123nが向く傾斜方向とは、ハウジング120を平面視した際(図5の状態)に薬液容器110の内部において押し子130が移動する長手方向Xと交差する方向(幅方向Yと同じ又は近しい方向)に相当する。
【0044】
導光部123mは、ハウジング120を平面視した際に長手方向Xと交差する方向(幅方向Yのプラス方向)を向くように構成している。導光部123mは、図7において高さ方向Zから時計回りに傾斜した位置に傾斜して直線的に延在するように構成している。導光部123mにより、光源部150からの光は面123h、123jから視認しやすくなる。
【0045】
導光部123nは、上記傾斜方向がハウジング120を平面視した際に導光部123mと反対方向(幅方向Yのマイナス方向)を向くように構成している。導光部123nは、図7において高さ方向Zから反時計周りに傾斜した方向に直線的に延在するように構成している。導光部123nにより、光源部150からの光は面123f、123eから視認しやすくなる。
【0046】
導光部123m、123nの向きは光源部150からの光を使用者に見えやすくできれば特に限定されないが、一例として高さ方向Zから時計回りまたは反時計回りに約60~70度程度傾斜させることができる。
【0047】
(投与器具)
投与器具200は、図1図2に示すように薬液投与装置100に接続可能に構成している。
【0048】
投与器具200は、コネクタ210と、生体に穿刺される針管220と、穿刺部(カニューレハウジング)230と、チューブ240と、針管220の生体への穿刺を補助する穿刺補助具250と、を有している。
【0049】
コネクタ210は、当該コネクタ210に固定された装着部215を介して薬液投与装置100に接続可能に構成している。装着部215は、ハウジング120の外部に突出した薬液容器110の先端部112に設けられた装着部115(図3を参照)に対して外篏されることにより、薬液投与装置100と接続できる。
【0050】
装着部215の内部には、薬液容器110の先端部に配置された封止部材(図示省略)を刺通可能な接続用の針部(図示省略)が配置されている。チューブ240は、接続用の針部を介して薬液容器110の内腔111と連通される。チューブ240は、図2に示すように薬液投与システム10を使用者の腹部に装着する際に正面から見て臍の頭上に位置するように薬液投与システム10を配置することができる。
【0051】
穿刺部230の内部には、チューブ240と針管220の内腔を連通する流路(図示省略)が形成されている。チューブ240を介して穿刺部230へ送液された薬液は、穿刺部230の内部に形成された流路および針管220を通して生体内に投与される。
【0052】
使用者への送液に際して、穿刺部230には穿刺補助具250が取り付けられる。穿刺補助具250は、導入針(内針)251を保持している。導入針251は、穿刺補助具250を穿刺部230に取り付けた状態において針管220の先端から突出する。使用者は、針管220に導入針251を挿通した状態で針管220を生体の皮下等に穿刺することにより、針管220に折れ等が生じることを防止しつつ、針管220を生体に刺入することが可能になる。
【0053】
穿刺補助具250は、針管220を生体に穿刺した後、穿刺部230から取り外される。導入針251は、穿刺部230から穿刺補助具250が取り外されると、針管220の内腔から抜去される。
【0054】
針管220を生体に穿刺した後、穿刺補助具250が取り外されて、針管220が生体内で留置された状態で、穿刺部230は使用者の体表面Hに残置される。この状態で薬液投与装置100の押し子130が薬液容器110内を前進することにより、薬液容器110に充填された薬液は、チューブ240および穿刺部230の流路を経由して針管220の内腔へ送液される。
【0055】
導入針251は、例えば金属針で構成することが可能である。また、針管220は、例えば樹脂製の管状部材(カニューレ)で構成することが可能である。
【0056】
投与器具200は、薬液投与装置100と同様に、使用者の体表面Hに貼り付けて使用するパッチタイプとして構成している。投与器具200の穿刺部230の接触面(底面)231には、体表面Hに貼着可能なシート状の貼着部(図示省略)を設けている。投与器具200を使用者に取り付ける前の初期状態において、貼着部の貼着面には剥離可能な保護シートが取り付けられる。
【0057】
以上説明したように本実施形態に係る薬液投与装置100は、薬液容器110と、押し子130と、駆動機構140と、光源部150と、ハウジング120と、を有する。薬液容器110は、薬液を収容可能に構成している。押し子130は、薬液容器110の内部の薬液を押し出すように構成している。駆動機構140は、押し子130を駆動するように構成している。光源部150は、薬液投与装置100の状態を光により報知可能に構成している。ハウジング120は、薬液容器110、押し子130、駆動機構140、及び光源部150を収容可能に構成している。ハウジング120は、面123cと、導光部123m、123nと、面123e、123f、123h、123jと、を備える。面123cは、使用者の体表面Hに当接可能に構成している。導光部123m、123nは、ハウジング120に収容した光源部150からの光を面123cにおける光源部150が設置された部位から高さ方向Zに対して傾斜した方向に導く。面123e、123f、123h、123jは、光源部150からの光を視認可能に構成している。
【0058】
このように構成することによって、薬液投与装置100を使用者の体表面Hに装着した際に、光源部150からの光を使用者の顔に向かう幅方向Yに向けて指向させることができる。これにより、光源部150からの光を使用者に視認させやすくし、薬液投与装置100の状態を使用者に認識させやすくすることができる。
【0059】
導光部123m、123nが延在する方向は、ハウジング120を平面視した際に薬液容器110の内部において押し子130が移動する長手方向Xと交差する方向であるように構成している。これにより、図2に示すように使用者(患者)が押し子130の移動方向が水平方向に近しくなるように薬液投与装置100を装着した際に、薬液投与装置100を装着中の使用者に光源部150からの光を視認させやすくすることができる。
【0060】
導光部123mは、傾斜する方向がハウジング120を平面視した際に長手方向Xと交差する幅方向Yのプラス方向を向き、導光部123nは導光部123mと反対に相当する幅方向Yのマイナス方向を向くように構成している。このように構成することによって、薬液投与装置100を使用者の体表面Hに貼着する際に面123e、123jのどちらが使用者の顔に向いても光源部150からの光を視認させやすくすることができる。
【0061】
また、ハウジング120は、導光部123m、123nの傾斜方向の延長線上に設けられ、光源部150からの光を散乱させる凹凸形状を散乱部として面123f、123hに設けるように構成している。これにより、光源部150からの光を使用者の顔に向けやすくし、光源部150からの光の視認性を向上させることができる。
【0062】
また、光源部150はハウジング120において面123cの側に配置される。導光部123m、123nは、光源部150から直線的に延在するように構成している。このように構成することによって光源部150からの光を使用者の顔に向けやすくし、光源部150からの光の視認性を向上させることができる。
【0063】
また、光源部150はハウジング120を平面視した際に薬液が吐出される薬液容器110の先端部112から離間した位置に設けるように構成している。このように構成することによって、光源部150からの光をハウジング120に収容される光源部150以外の部品によって干渉されにくくでき、光源部150からの光の視認性を良好にすることができる。
【0064】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。上記では導光部としてサイドカバー123に導光部123m、123nを設けると説明したが、これに限定されない。光源部150からの光を面123e、123jのいずれか一方から視認できるように導光部123m、123nはいずれか一方のみ設ける場合も本発明の一実施形態に含まれる。
【0065】
また、面123f、123hには複数の凹凸形状を設けて光源部150からの光を散乱させると記載したが、光源部150からの光が視認できれば面123f、123hに図6、7に示すような凹凸形状は設けなくてもよい。
【0066】
上記では薬液投与システム10を使用者に装着させる際に、チューブ240が正面から見て使用者の臍の頭上に来るように薬液投与システム10を配置すると説明したが、これに限定されない。上記以外にも薬液投与システム10は、正面から見てチューブ240が使用者の臍から上下にずれるように配置してもよい。
【符号の説明】
【0067】
110 薬液容器(容器)、
112 先端部、
120 ハウジング、
121b 底面(当接面)、
123 サイドカバー、
123c 面(当接面)、
123e、123j 面(視認部)、
123f、123h 面(視認部、散乱部)、
123m 導光部(第1導光部)、
123n 導光部(第2導光部)、
130 押し子、
140 駆動機構(駆動部)、
150 光源部、
X 長手方向、
Z 高さ方向(法線方向)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7