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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】取付ブラケット
(51)【国際特許分類】
   F16B 5/02 20060101AFI20231205BHJP
【FI】
F16B5/02 D
F16B5/02 E
F16B5/02 Q
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020023131
(22)【出願日】2020-02-14
(65)【公開番号】P2021127807
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅弘
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-169164(JP,A)
【文献】実開昭61-003594(JP,U)
【文献】特開平10-288271(JP,A)
【文献】特開平10-173402(JP,A)
【文献】特開2005-163816(JP,A)
【文献】特開2000-018045(JP,A)
【文献】特開平06-241400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16B 5/00 - 5/12
F16B 21/04
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付対象機器を所定の取付部材に取付けるために使用される取付ブラケットであって、
前記取付対象機器は、所定の間隔を隔てて前記取付対象機器上に設けられた、ねじ頭部とねじ軸部とを有する第1取付ねじおよび第2取付ねじを有し、
前記取付ブラケットは、
板状の主板部と、
前記主板部の端部に開口して前記主板部の内側に延びる切欠きとを有し、
前記切欠きは、
前記主板部の端部に前記取付対象機器を前記主板部の主面と平行方向に前記主板部に接近させたときに、前記取付対象機器の前記第1取付ねじのねじ軸部が前記主板部の内側に入り込むことを可能とする第1取付ねじ導入用切欠主部と、
前記第1取付ねじ導入用切欠主部の内奥の内周面の一部から前記第1取付ねじ導入用切欠主部の軸線と異なる方向に延伸して前記第1取付ねじが更に前記主板部の内側に入り込むことを可能とする第1取付ねじ導入用切欠延伸部と、
前記第1取付ねじ導入用切欠主部の開口部に隣接した前記主板部の端部より前記第1取付ねじ導入用切欠主部の軸線と異なる方向であって前記軸線を挟んで前記第1取付ねじ導入用切欠延伸部とは反対側に位置するように前記主板部の内側に向けて延伸し、前記第1取付ねじが前記第1取付ねじ導入用切欠延伸部に導入されるに伴い前記取付対象機器の前記第2取付ねじのねじ軸部が前記主板部の内側に入り込むことを可能とする第2取付ねじ導入用切欠部と
を有することを特徴とする取付ブラケット。
【請求項2】
請求項1に記載の取付ブラケットにおいて、
前記第1取付ねじ導入用切欠延伸部は、独立した2個の第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部と第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部とから構成され、
前記第2取付ねじ導入用切欠部は、独立した2個の第1の第2取付ねじ導入用切欠部と第2の第2取付ねじ導入用切欠部とから構成され、
前記第1の第2取付ねじ導入用切欠部が、前記第1取付ねじ導入用切欠主部の軸線と異なる方向であって前記軸線を挟んで前記第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部とは反対側に位置するように前記主板部の内側に向けて延伸し、
前記第2の第2取付ねじ導入用切欠部が、前記第1取付ねじ導入用切欠主部の軸線と異なる方向であって前記軸線を挟んで前記第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部とは反対側に位置するように前記主板部の内側に向けて延伸し、
前記取付ブラケットに前記取付対象機器が取付けられる状態において、前記取付対象機器は、
前記第1取付ねじが前記第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部に導入されるとともに前記第2取付ねじが前記第1の第2取付ねじ導入用切欠部に導入された状態の第1の取付姿勢と、
前記第1取付ねじが前記第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部に導入されるとともに前記第2取付ねじが前記第2の第2取付ねじ導入用切欠部に導入された状態の第2の取付姿勢との何れか一方の取付姿勢で取付けられることが可能であること
を特徴とする取付ブラケット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の取付ブラケットであって、
前記第1取付けねじ導入用切欠主部は、
前記主板部の端部に開口する開口部から前記主板部の内側に向かって切欠幅が同寸法の切欠幅狭部と、
前記切欠幅狭部の内奥側端部から前記第1取付けねじ導入用切欠延伸部との接続部までの切欠幅が前記切欠幅狭部の切欠幅より広い切欠幅広部とから構成され、
前記取付ブラケットに前記取付対象機器を取付けた状態で、前記第1取付けねじ導入用切欠主部の前記切欠幅広部に前記切欠幅狭部の切欠幅よりも広くかつ、前記切欠幅広部の切欠幅よりも狭い抜止部材を前記切欠幅広部に挿入することにより、前記取付ブラケットからの前記取付対象機器の脱落防止が図られることを特徴とする取付ブラケット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取付対象機器を所定の取付部材に取付けるために使用される取付ブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取付対象機器として例えば手動で圧力を調整可能な減圧弁を取付部材としての空気圧式操作器に取付けるにあたっては、図12に示すような取付ブラケット1を用いることがある。図12に示す取付ブラケット1を用いて取付けられる減圧弁2は、ボンネット3の上端中央部に調圧用のノブ4を有しているとともに、このノブ4の周囲に第1~第4取付ねじ5~8を有している。
【0003】
この取付ブラケット1には、ノブ4を挿入するためのノブ溝9と、第1~第4取付ねじ5~8を挿入するための、4つのいわゆるだるま形の取付穴10とが形成されている。これらの取付穴10は、第1~第4取付ねじ5~8がボンネット3から外れることがない程度に緩められた状態で挿入できるように、それぞれ大小の円をずらして重ねたような形状に形成されている。この取付穴10のうち、穴径が相対的に大きい第1の穴10aは、第1~第4取付ねじ5~8のねじ頭部5a~8aを通すことができる大きさに形成されている。相対的に小さい第2の穴10bは、第1~第4取付ねじ5~8のねじ軸部5b~8bを通すことができる大きさに形成されている。
【0004】
この取付ブラケット1を介して減圧弁2を図示していない操作器に取付けるためには、先ず、ノブ溝9にノブ4を挿入し、取付穴10の第1の穴10aに第1~第4取付ねじ5~8のねじ頭部5a~8aを図の下方から挿入する。次に、減圧弁2をノブ溝9に沿って平行移動させ、第1~第4取付ねじ5~8のねじ軸部5b~8bを取付穴10の第2の穴10bに挿入する。この状態で第1~第4取付ねじ5~8を締め込むことにより、取付ブラケット1に減圧弁2が固定される。
【0005】
従来の取付ブラケットとしては、上述したように複数の取付ねじを使用する他に、例えば特許文献1に記載されているようにノブを使用するものも知られている。特許文献1に開示された取付ブラケットは、減圧弁のノブが挿入される溝を有し、ノブに螺合したナットと、ボンネットのボス部との間に挟まれるように形成されている。この場合、ナットを締め込んで取付ブラケットをナットとボス部とで挟むことによって、取付ブラケットに減圧弁が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第3833323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図12に示した取付ブラケット1では、ボンネット3が小型で第1~第4取付ねじ5~8とノブ4との距離が短い場合、ノブ溝9と取付穴10との距離が近すぎて加工が困難であったり、運転中の振動でノブ溝9と取付穴10との間の幅狭部分が破断するおそれがある。
【0008】
特許文献1に記載されている取付ブラケットでは、ナットが緩んで取付ブラケットを挟持する力が失われると、減圧弁が容易に脱落してしまう。取付ブラケットに脱落防止を図る構造は設けられていない。なお、取付ブラケットの端部を上または下に折り曲げるなどして突起を作り、ナットが緩んだ程度では突起を超えられないようにして減圧弁の脱落方向への移動を制限して脱落防止を図ることが考えられる。しかし、この構造を採るために突起を加工する分だけ取付ブラケットの製造コストが高くなってしまう。
【0009】
本発明の目的は、製造が容易な構造を採るとともに製造コストを低く抑えながら、運転中の振動で破断したり、取付対象機器が容易に脱落することがない取付ブラケットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的を達成するために本発明に係る取付ブラケットは、取付対象機器を所定の取付部材に取付けるために使用される取付ブラケットであって、前記取付対象機器は、所定の間隔を隔てて前記取付対象機器上に設けられた、ねじ頭部とねじ軸部とを有する第1取付ねじおよび第2取付ねじを有し、前記取付ブラケットは、板状の主板部と、前記主板部の端部に開口して前記主板部の内側に延びる切欠きとを有し、前記切欠きは、前記主板部の端部に前記取付対象機器を前記主板部の主面と平行方向に前記主板部に接近させたときに、前記取付対象機器の前記第1取付ねじのねじ軸部が前記主板部の内側に入り込むことを可能とする第1取付ねじ導入用切欠主部と、前記第1取付ねじ導入用切欠主部の内奥の内周面の一部から前記第1取付ねじ導入用切欠主部の軸線と異なる方向に延伸して前記第1取付ねじが更に前記主板部の内側に入り込むことを可能とする第1取付ねじ導入用切欠延伸部と、前記第1取付ねじ導入用切欠主部の開口部に隣接した前記主板部の端部より前記主板部の内側に向けて延伸して前記取付対象機器の前記第2取付ねじのねじ軸部が前記主板部の内側に入り込むことを可能とする第2取付ねじ導入用切欠部とを有するものである。
【0011】
本発明は、前記取付ブラケットにおいて、前記第1取付ねじ導入用切欠延伸部は、独立した2個の第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部と第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部とから構成され、前記第2取付ねじ導入用切欠部は、独立した2個の第1の第2取付ねじ導入用切欠部と第2の第2取付ねじ導入用切欠部とから構成され、前記取付ブラケットに前記取付対象機器が取付けられる状態において、前記取付対象機器は、前記第1取付ねじが前記第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部に導入されるとともに前記第2取付ねじが前記第1の第2取付ねじ導入用切欠部に導入された状態の第1の取付姿勢と、前記第1取付ねじが前記第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部に導入されるとともに前記第2取付ねじが前記第2の第2取付ねじ導入用切欠部に導入された状態の第2の取付姿勢との何れか一方の取付姿勢で取付けられることが可能であってもよい。
【0012】
本発明は、取付ブラケットにおいて、前記第1取付けねじ導入用切欠主部は、前記主板部の端部に開口する開口部から前記主板部の内側に向かって切欠幅が同寸法の切欠幅狭部と、前記切欠幅狭部の内奥側端部から前記第1取付けねじ導入用切欠延伸部との接続部までの切欠幅が前記切欠幅狭部の切欠幅より広い切欠幅広部とから構成され、前記取付ブラケットに前記取付対象機器を取付けた状態で、前記第1取付けねじ導入用切欠主部の前記切欠幅広部に前記切欠幅狭部の切欠幅よりも広くかつ、前記切欠幅広部の切欠幅よりも狭い抜止部材を前記切欠幅広部に挿入することにより、前記取付ブラケットからの前記取付対象機器の脱落防止が図られていてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る取付ブラケットおいては、取付対象機器を取付けるときに第1取付ねじおよび第2取付ねじを取付ブラケットの切欠きに挿入しながら取付対象機器を捻るように回す操作が必要である。このため、取付対象機器が取付けられた後に第1取付ねじと第2取付ねじとが緩んだとしても、取付対象機器が簡単に脱落することはない。切欠きは単純な形状であるから、取付ブラケットの製造が容易で、しかも、取付ブラケットの強度が十分に保たれるようになる。
【0014】
したがって、本発明によれば、製造が容易な構造を採るとともに製造コストを低く抑えながら、運転中の振動で破断したり、取付対象機器が容易に脱落することがない取付ブラケットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本発明に係る取付ブラケットの使用状態を示す側面図である。
図2図2は、減圧弁のボンネット部分の平面図である。
図3図3は、取付ブラケットとボンネットの一部の断面図である。
図4図4は、取付ブラケットとボンネットの一部の断面図である。
図5図5は、本発明に係る取付ブラケットの平面図である。
図6図6は、取付ブラケットの切欠き部分を拡大して示す平面図である。
図7図7は、取付前の減圧弁のボンネットと取付ブラケットの一部の平面図である。
図8図8は、第1取付ねじが第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部に挿入された状態を示す減圧弁のボンネットと取付ブラケットの一部の平面図である。
図9図9は、第1の取付姿勢を示す減圧弁のボンネットと取付ブラケットの一部の平面図である。
図10図10は、第1取付ねじが第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部に挿入された状態を示す減圧弁のボンネットと取付ブラケットの一部の平面図である。
図11図11は、第2の取付姿勢を示す減圧弁のボンネットと取付ブラケットの一部の平面図である。
図12図12は、従来の取付ブラケットと減圧弁のボンネットの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る取付ブラケットの一実施の形態を図1図11を参照して詳細に説明する。
図1に示す取付ブラケット11は、取付対象機器としての減圧弁12を所定の取付部材13に取付けるためのものである。取付部材13としては、取付対象機器が減圧弁12である場合には、詳細には図示してはいないが調節弁の操作器や、空気式の操作器に操作用空気を供給するためのポジショナなどを挙げることができる。
【0017】
この実施の形態による減圧弁12は、取付部材13としてのポジショナに供給される空気の圧力を減圧するためのものである。この減圧弁12は、図示していない弁機構を収容した弁部14と、この弁部14に取付けられたボンネット15とを備えている。弁部14には、配管16が取付けられている。
【0018】
ボンネット15は、有底円筒状に形成されており、調圧用のノブ17を支持している。ボンネット15における、弁部14とは反対側の端部には、図2に示すように、後述する取付ブラケット11が取付けられる平坦面からなる取付座18が形成されている。この取付座18には、取付ブラケット11を固定するための第1取付ねじ21と第2取付ねじ22とが螺着されている。第1取付ねじ21と第2取付ねじ22は、ねじ頭部21a,22aとねじ軸部21b,22bとによって構成されている。
【0019】
第1取付ねじ21および第2取付ねじ22を締め込んでねじ頭部21a,22aで取付ブラケット11をボンネット15に押し付けることによって、取付ブラケット11に減圧弁12が固定される。取付ブラケット11を取付けるにあたっては、第1取付ねじ21と第2取付ねじ22とを緩め、ねじ軸部21b,22bが取付座18に対して垂直に起立する状態で行う。
【0020】
ノブ17は、ねじによって構成された軸からなり、ボンネット15から弁部14とは反対側に突出している。ノブ17の突出側端部にはハンドル17aが設けられている。ノブ17における、ボンネット15とハンドル17aとの間の部分には、図1図3および図4に示すように、円環状のカラー23が装着されているとともに、ナット24が螺合している。図3および図4に示すボンネットの破断位置は、図2中にIII-III線で示す位置である。カラー23は、図3および図4に示すように、中空部にノブ17が貫通する状態でノブ17に装着されている。また、カラー23は、ノブ17に対して移動自在である。
取付部材13は、取付ブラケット11を介して減圧弁12を支持している。取付ブラケット11は、その一端部(減圧弁12とは反対側の端部)において、取付用ボルト25とナット26とによって取付部材13の腕部27に取付けられている。
【0021】
取付ブラケット11は、図5に示すように、板状の主板部31と、主板部31の一端部31a(図5においては左側端部)に形成されただるま形の取付穴32と、主板部31の他端部31bに形成された切欠き33とによって構成されている。取付穴32は、取付ブラケット11を取付部材13に取付ける取付用ボルト25が通される穴である。この取付穴32は、穴径が相対的に大きい大径穴32aと、穴径が相対的に小さい小径穴32bとを重ねたような形状に形成されている。大径穴32aは、取付部材13に取付ブラケット11を取付けるための取付用ボルト25の頭部25a(図1参照)を通すことができるように形成されている。小径穴32bは、頭部25aを通すことはできないが取付用ボルト25の軸部25bは通すことができるように形成されている。
【0022】
切欠き33は、第1~第3の機能部によって構成されている。第1の機能部は、主板部31の他端部31b(図5においては右側の端部)から主板部31の内側に(図5においては左側に)延びる第1取付ねじ導入用切欠主部34である。第1取付ねじ導入用切欠主部34は、減圧弁12を主板部31の主面31cと平行方向に主板部31に接近させたときに第1取付ねじ21と第2取付ねじ22とのうちいずれか一方の取付ねじのねじ軸部が主板部31の内側に入り込むことを可能とする切欠きである。この実施の形態においては、第1取付ねじ21を第1取付ねじ導入用切欠主部34に挿入する場合について説明する。
【0023】
第1取付ねじ導入用切欠主部34は、図6に示すように、主板部31の他端部31bに開口する開口部34aから主板部31の内側に向かって、切欠幅D1が同寸法となるように形成された切欠幅狭部34bと、この切欠幅狭部34bより主板部31の内側に位置するように切欠幅狭部34bに接続された切欠幅広部34cとから構成されている。切欠幅広部34cには、切欠き33の第2の機能部である第1取付ねじ導入用切欠延伸部35が接続されている。
【0024】
切欠幅広部34cにおける、切欠幅狭部34bの内奥側端部から第1取付ねじ導入用切欠延伸部35との接続部までの切欠幅D2は、切欠幅狭部34bの切欠幅D1より広い。
上述したカラー23の外径は、切欠幅狭部34bの切欠幅D1よりも大きく、かつ切欠幅広部34cの切欠幅D2よりも小さい。この実施の形態においては、カラー23が本発明でいう「抜止部材」に相当する。
【0025】
第1取付ねじ導入用切欠延伸部35は、第1取付ねじ導入用切欠主部34の内奥の内周面の一部から第1取付ねじ導入用切欠主部34の軸線Cとは異なる方向に延伸しており、第1取付ねじ21のねじ軸部21bが第1取付ねじ導入用切欠主部34より更に主板部31の内側に入り込むことを可能としている。この実施の形態による第1取付ねじ導入用切欠延伸部35は、独立した2個の第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35aと、第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35bとから構成されている。第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35aと、第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35bは、上述した軸線Cを対称の軸として線対称となるように形成されている。
【0026】
切欠き33の第3の機能部は、第1取付ねじ導入用切欠主部34の開口部34aに隣接した主板部31の他端部31bより主板部31の内側に向けて延伸する第2取付ねじ導入用切欠部36である。この第2取付ねじ導入用切欠部36は、減圧弁12の第2取付ねじ22のねじ軸部22bが主板部31の内側に入り込むことを可能とする。この実施の形態による第2取付ねじ導入用切欠部36は、独立した2個の第1の第2取付ねじ導入用切欠部36aと第2の第2取付ねじ導入用切欠部36bとから構成されている。
【0027】
これらの第1の第2取付ねじ導入用切欠部36aと第2の第2取付ねじ導入用切欠部36bは、上述した軸線Cを対称の軸として線対称となるように形成されており、軸線Cに対して所定の角度で傾斜する方向に延びている。第1の第2取付ねじ導入用切欠部36aと第2の第2取付ねじ導入用切欠部36bとが軸線Cに対して傾斜する角度は、第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35aおよび第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35bが軸線Cに対して傾斜する角度とは異なっている。
【0028】
次に、上述したように構成された取付ブラケット11を使用して減圧弁12を取付部材13に取付ける手順について説明する。取付ブラケット11を取付部材13に取付けるためには、先ず、取付部材13の腕部27に保持されている取付用ボルト25を緩め、この取付用ボルト25の頭部25aを取付ブラケット11の取付穴32に挿入する。このとき、取付用ボルト25の頭部25aを取付穴32の大径穴32aに通し、その後、取付ブラケット11を平行移動させて軸部25bを小径穴32bに挿入する。この状態で取付用ボルト25とナット26とを締結させることにより、取付ブラケット11が取付部材13に固定される。
【0029】
この取付ブラケット11に減圧弁12を取付けるためには、先ず、図7に示すように、第1取付ねじ21が第1取付ねじ導入用切欠主部34の開口部34aに向かうように減圧弁12を主板部31の他端部31bに接近させる。このときは、ノブ17のカラー23を図3に示すように上方に引き上げ、カラー23とボンネット15との間に取付ブラケット挿入用のスペースを形成しておく。また、第1取付ねじ21と第2取付ねじ22のねじ頭部21a,22aと取付座18と間に取付ブラケット挿入用のスペースが形成されるように、第1取付ねじ21と第2取付ねじ22をそれぞれ緩めておく。
【0030】
そして、第1取付ねじ21を第1取付ねじ導入用切欠主部34に挿入し、図8に示すように、第1取付ねじ21を第1取付ねじ導入用切欠主部34の最奥部から第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35aに挿入する。この挿入操作は、減圧弁12のノブ17が第1取付ねじ導入用切欠主部34の切欠幅狭部34bに位置付けられた状態で減圧弁12を図において時計方向に回しながら行う。このように減圧弁12を回しながら第1取付ねじ21が第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35aの最奥部まで進むことによって、図9に示すように、第1取付ねじ21が第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35aに導入されるとともに、第2取付ねじ22が第1の第2取付ねじ導入用切欠部36aに導入された第1の取付姿勢Aで減圧弁12が取付ブラケット11に保持される。
【0031】
このように第1および第2取付ねじ21,22が所定の最終位置に導入された状態でノブ17のカラー23を図4に示すように第1取付ねじ導入用切欠主部34の切欠幅広部34cに上方から挿入する。カラー23が切欠幅広部34cに挿入されることにより、取付ブラケット11からの減圧弁12の脱落防止が図られる。その後、第1取付ねじ21と第2取付ねじ22とをそれぞれ締め込む。このように第1取付ねじ21と第2取付ねじ22とが締め込まれることにより、取付ブラケット11が第1および第2取付ねじ21,22のねじ頭部21a,22aとボンネット15とによって挟まれて減圧弁12が第1の取付姿勢Aで取付ブラケット11に固定される。
【0032】
減圧弁12を取付ブラケット11に第1の取付姿勢Aで取付けた場合に減圧弁12の配管16が図示していない他の機器を干渉するような場合は、取付ブラケット11に対する減圧弁12の取付角度を変えることにより、配管16が延びる方向を90度変えることができる。この場合は、図7に示す状態から第1取付ねじ21を第1取付ねじ導入用切欠主部34に挿入した後、図10に示すように、第1取付ねじ21を第1取付ねじ導入用切欠主部34の最奥部から第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35bに挿入する。この挿入操作は、減圧弁12を上記とは反対方向、すなわち図10において反時計方向に回しながら行う。
【0033】
そして、第1取付ねじ21が第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35bの最奥部に挿入されることにより、図11に示すように、第1取付ねじ21が第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35bに導入されるとともに、第2取付ねじ22が第2の第2取付ねじ導入用切欠部36bに導入された第2の取付姿勢Bで減圧弁12が取付ブラケット11に保持される。第2の取付姿勢Bを採る場合であっても、カラー23を切欠幅広部34cに挿入し、さらに、第1取付ねじ21と第2取付ねじ22とをそれぞれ締め込む。
【0034】
このように第1取付ねじ21と第2取付ねじ22とが締め込まれることにより、取付ブラケット11が第1および第2取付ねじ21,22のねじ頭部21a,22aとボンネット15とによって挟まれて減圧弁12が第2の取付姿勢Bで取付ブラケット11に固定される。
図11に示す第2の取付姿勢Bと、図9に示す第1の取付姿勢Aは、第1取付ねじ21と第2取付ねじ22とが並ぶ方向(配管16が弁部14から突出する方向)が上方から見て90度異なっている。
【0035】
上述した実施の形態による取付ブラケット11においては、減圧弁12を取付けるときに第1取付ねじ21および第2取付ねじ22を取付ブラケット11の切欠き33に挿入しながら減圧弁12を捻るように回す操作が必要である。このため、減圧弁12が取付けられた後に第1取付ねじ21と第2取付ねじ22とが仮に緩んだとしても、減圧弁12が簡単に脱落することはない。切欠き33は単純な形状であるから、取付ブラケット11の製造が容易で、しかも、取付ブラケット11の強度が十分に保たれるようになる。
【0036】
したがって、この実施の形態によれば、製造が容易な構造を採るとともに製造コストを低く抑えながら、運転中の振動で破断したり、取付対象機器が容易に脱落することがない取付ブラケットを提供することができる。
【0037】
この実施の形態による第1取付ねじ導入用切欠延伸部35は、独立した2個の第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35aと第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35bとから構成されている。第2取付ねじ導入用切欠部36は、独立した2個の第1の第2取付ねじ導入用切欠部36aと第2の第2取付ねじ導入用切欠部36bとから構成されている。
取付ブラケット11に減圧弁12が取付けられる状態において、減圧弁12は、第1の取付姿勢Aと第2の取付姿勢Bとの何れか一方の取付姿勢で取付ブラケット11に取付けられる。第1の取付姿勢Aとは、第1取付ねじ21が第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35aに導入されるとともに、第2取付ねじ22が第1の第2取付ねじ導入用切欠部36aに導入された状態の姿勢である。
【0038】
第2の取付姿勢Bとは、第1取付ねじ21が第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35bに導入されるとともに、第2取付ねじ22が第2の第2取付ねじ導入用切欠部36bに導入された状態の姿勢である。
このため、減圧弁12の取付位置の自由度が高くなるから、減圧弁12の配管16と他の機器との干渉を容易に避けることができる。
【0039】
この実施の形態による第1取付ねじ導入用切欠主部34は、主板部31の端部に開口する開口部34aから主板部31の内側に向かって切欠幅が同寸法の切欠幅狭部34bと、切欠幅狭部34bの内奥側端部から第1取付ねじ導入用切欠延伸部35との接続部までの切欠幅が切欠幅狭部34bの切欠幅より広い切欠幅広部34cとから構成されている。取付ブラケット11に減圧弁12を取付けた状態で、第1取付ねじ導入用切欠主部34の切欠幅広部34cに切欠幅狭部34bの切欠幅よりも広くかつ、切欠幅広部34cの切欠幅よりも狭いカラー23(抜止部材)を切欠幅広部34cに挿入することにより、取付ブラケット11からの減圧弁12の脱落防止が図られている。
このため、第1取付ねじ21および第2取付ねじ22が緩んだとしても減圧弁12が取付ブラケット11から外れることはないから、脱落防止の信頼性が高い取付ブラケットを提供することができる。
【0040】
上述した実施の形態においては、取付対象機器が減圧弁で、取付部材が調節弁の操作器やポジショナなどである場合の一例を示した。しかし、本発明はこのような限定にとらわれることはなく、取付対象機器や取付部材は、板状の取付ブラケットを取付けることが可能なものであればどのようなものでもよい。
【符号の説明】
【0041】
11…取付ブラケット、12…減圧弁(取付対象機器)、13…取付部材、21…第1取付ねじ、21a,22a…ねじ頭部、21b,22b…ねじ軸部、22…第2取付ねじ、23…カラー(抜止部材)、31…主板部、31b…他端部、33…切欠き、34…第1取付ねじ導入用切欠主部、34a…開口部、34b…切欠幅狭部、34c…切欠幅広部、35…第1取付ねじ導入用切欠延伸部、35a…第1の第1取付ねじ導入用切欠延伸部35a、35b…第2の第1取付ねじ導入用切欠延伸部、36…第2取付ねじ導入用切欠部、36a…第1の第2取付ねじ導入用切欠部、36b…第2の第2取付ねじ導入用切欠部、A…第1の取付姿勢、B…第2の取付姿勢。
図1
図2
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図10
図11
図12