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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】床置き型空調室内機
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/20 20060101AFI20231205BHJP
   F24F 1/0007 20190101ALI20231205BHJP
   F24F 13/22 20060101ALI20231205BHJP
   F24F 1/0063 20190101ALI20231205BHJP
   F24F 11/36 20180101ALI20231205BHJP
   F24F 11/89 20180101ALI20231205BHJP
   F25B 49/02 20060101ALN20231205BHJP
   F24F 110/65 20180101ALN20231205BHJP
【FI】
F24F1/0007 401E
F24F1/0007
F24F1/0007 361D
F24F1/0063
F24F11/36
F24F11/89
F24F13/20 205
F25B49/02 520M
F24F110:65
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020038986
(22)【出願日】2020-03-06
(65)【公開番号】P2021139581
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2020-11-02
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】弁理士法人新樹グローバル・アイピー
(72)【発明者】
【氏名】豊福 達也
(72)【発明者】
【氏名】塩濱 豪典
(72)【発明者】
【氏名】松田 善人
(72)【発明者】
【氏名】安松 太郎
(72)【発明者】
【氏名】松田 祥平
【合議体】
【審判長】間中 耕治
【審判官】鈴木 充
【審判官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/151641(WO,A1)
【文献】特開2016-75435(JP,A)
【文献】特開2017-53501(JP,A)
【文献】特開2016-70568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0007
F24F 1/005
F24F11/00-11/89
F25B49/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒の漏洩を検知するセンサユニット(100)と、
冷媒と空調対象空間の空気とを熱交換させる熱交換器(14)と、
前記熱交換器の下方に設けられるドレンパン(16)と、
前記センサユニット、前記熱交換器及び前記ドレンパンを収容するケーシング(13)と、
を備え、
前記ケーシングの側面には、前記熱交換器で熱交換を行わせる空気を吸い込む吸込口(13a)が形成されており、
前記吸込口の少なくとも一部は、前記熱交換器よりも下方に位置し、
前記吸込口が形成される前記ケーシングの側面を正面とすると、前記ドレンパンの少なくとも一部は、正面視において、前記吸込口と重なり、
前記センサユニットは、前記吸込口から前記熱交換器に至るまでの空気流路(FP)内に配置され、かつ、上面視において前記吸込口と前記ドレンパンとの間に配置され、
前記センサユニットは、
上面視において前記ドレンパンの上縁(16a)から10mm~30mmの範囲内に位置する、ように配置される、
床置き型空調室内機(10)。
【請求項2】
前記センサユニットは、
面視において前記吸込口から60mm~80mmの範囲内に位置する、ように配置される、
請求項1に記載の床置き型空調室内機(10)。
【請求項3】
前記センサユニットは、前記ドレンパンの上縁(16a)の近傍に配置される、
請求項1又は2に記載の床置き型空調室内機(10)。
【請求項4】
前記センサユニットの少なくとも一部は、正面視において、前記ドレンパンの上縁(16a)と重なる、
請求項1から3のいずれかに記載の床置き型空調室内機(10)。
【請求項5】
冷媒の漏洩を検知するセンサユニット(100)と、
冷媒と空調対象空間の空気とを熱交換させる熱交換器(14)と、
前記熱交換器の下方に設けられるドレンパン(16)と、
前記センサユニット、前記熱交換器及び前記ドレンパンを収容するケーシング(13)と、
前記ケーシングに収容され、内部に電気部品を収容する電装品箱(17)と、
を備え、
前記ケーシングの側面には、前記熱交換器で熱交換を行わせる空気を吸い込む吸込口(13a)が形成されており、
前記吸込口の少なくとも一部は、前記熱交換器よりも下方に位置し、
前記吸込口が形成される前記ケーシングの側面を正面とすると、前記ドレンパンの少なくとも一部は、正面視において、前記吸込口と重なり、
前記電装品箱は、前記吸込口から前記熱交換器に至るまでの空気流路(FP)内に配置され、
前記センサユニットは、前記吸込口から前記熱交換器に至るまでの空気流路(FP)内に配置され、かつ、上面視において前記吸込口と前記ドレンパンとの間に配置されて、前記電装品箱に取り付けられる、
床置き型空調室内機(10)。
【請求項6】
前記センサユニットは、正面視において、前記ケーシングの左端から第1寸法(D1)だけ水平方向に離れており、
前記第1寸法は、正面視における前記ケーシングの横幅寸法の10%~90%の範囲にある任意の寸法である、
請求項1から5のいずれかに記載の床置き型空調室内機(10)。
【請求項7】
前記冷媒は、可燃性又は毒性の冷媒である、
請求項1から6のいずれかに記載の床置き型空調室内機(10)。
【請求項8】
前記ケーシングに収容され、前記熱交換器で熱交換される空気の気流を発生させるファン(15)をさらに備え、
前記ケーシングの側面には、前記熱交換器を通過した空気を前記ケーシングの外部に向かって吹き出す吹出口(13b)が形成されており、
前記吹出口を出た空気の風量は、50m/min以上である、
請求項1から7のいずれかに記載の床置き型空調室内機(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
床置き型空調室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2019-11914号公報)に、誘導部材をケーシング内に形成することで、気流の一部を冷媒漏洩センサの設置位置に誘導する空気調和機が開示されている。このような空気調和機は、ファンにより生成される気流の一部を、誘導部材によって冷媒漏洩センサが設置されている位置にまで導くことで、空気調和機が運転中であっても冷媒漏洩を検知することが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1(特開2019-11914号公報)に開示されているような空気調和機では、誘導部材を形成することで、空気調和機が運転中であっても停止中であっても冷媒漏洩の検知が可能である。しかしながら、空気調和機にこのような誘導部材を形成することは、空気調和機のコストの増加を招く恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1観点に係る床置き型空調室内機は、センサユニットと、熱交換器と、ドレンパンと、ケーシングと、を備える。センサユニットは、冷媒の漏洩を検知する。熱交換器は、冷媒と空調対象空間の空気とを熱交換させる。ドレンパンは、熱交換器の下方に設けられる。ケーシングは、センサユニット、熱交換器及びドレンパンを収容する。ケーシングの側面には、熱交換器で熱交換を行わせる空気を吸い込む吸込口が形成されている。吸込口の少なくとも一部は、熱交換器よりも下方に位置する。吸込口が形成されるケーシングの側面を正面とすると、ドレンパンの少なくとも一部は、正面視において、吸込口と重なる。センサユニットは、吸込口から熱交換器に至るまでの空気流路内に配置され、かつ、上面視において吸込口とドレンパンとの間に配置される。
【0005】
この構成によれば、誘導部材等の別部材を設けることなく運転中であっても停止中であっても冷媒漏洩を検知できるため、床置き型空調室内機のコストの増加が抑制される。
【0006】
第2観点に係る床置き型空調室内機は、第1観点に係る床置き型空調室内機であって、センサユニットは、上面視においてドレンパンの上縁から10mm~30mmの範囲内に位置するように配置される。なおかつ、センサユニットは、上面視において吸込口から60mm~80mmの範囲内に位置するように配置される。
【0007】
この構成によれば、床置き型空調室内機のコストの増加が抑制される。
【0008】
第3観点に係る床置き型空調室内機は、第1観点又は第2観点に係る床置き型空調室内機であって、センサユニットは、ドレンパンの上縁の近傍に配置される。
【0009】
この構成によれば、床置き型空調室内機において、冷媒漏洩を速やかに検知することが可能である。
【0010】
第4観点に係る床置き型空調室内機は、第1観点から第3観点のいずれかに係る床置き型空調室内機であって、センサユニットの少なくとも一部は、正面視において、ドレンパンの上縁と重なる。
【0011】
この構成によれば、床置き型空調室内機において、冷媒漏洩をより速やかに検知することが可能である。
【0012】
第5観点に係る床置き型空調室内機は、第1観点から第4観点のいずれかに係る床置き型空調室内機であって、ケーシングに収容され、内部に電気部品を収容する電装品箱をさらに備える。電装品箱は、空気流路内に配置される。センサユニットは、電装品箱に取り付けられる。
【0013】
この構成によれば、センサユニットのメンテナンス性が向上する。
【0014】
第6観点に係る床置き型空調室内機は、第1観点から第5観点のいずれかに係る床置き型空調室内機であって、センサユニットは、正面視において、ケーシングの左端から第1寸法だけ水平方向に離れている。第1寸法は、正面視におけるケーシングの横幅寸法の10%~90%の範囲にある任意の寸法である。
【0015】
この構成によれば、床置き型空調室内機において、冷媒漏洩をより速やかに検知することが可能である。
【0016】
第7観点に係る床置き型空調室内機は、第1観点から第6観点のいずれかに係る床置き型空調室内機であって、冷媒は、可燃性又は毒性の冷媒である。
【0017】
第8観点に係る床置き型空調室内機は、第1観点から第7観点のいずれかに係る床置き型空調室内機であって、ケーシングに収容され、熱交換器で熱交換される空気の気流を発生させるファンをさらに備える。ケーシングの側面には、熱交換器を通過した空気をケーシングの外部に向かって吹き出す吹出口が形成されている。吹出口を出た空気の風量は、50m/min以上である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】空気調和装置の概略構成図である。
図2】床置き型空調室内機の外観の斜視図である。
図3A】床置き型空調室内機の吸込口の周辺の概略図である。
図3B】床置き型空調室内機の吸込口の周辺の概略図である。
図4A】床置き型空調室内機の吸込口の周辺の概略斜視図である。
図4B】床置き型空調室内機の吸込口の周辺の概略斜視図である。
図4C】センサユニットの構成を示す概略図である。
図5A】床置き型空調室内機の概略側面図である。
図5B】床置き型空調室内機における空気流路を示す概略側面図である。
図6】上面視における床置き型空調室内機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(1)全体構成
以下、本開示の一実施形態に係る床置き型空調室内機10について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、具体例であって、技術的範囲を限定するものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、以下の図面では各構成部品の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。
【0020】
以下の説明では、方向や位置関係を説明するために、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「前面」、「背面」といった表現を用いる場合があるが、これらの表現が示す方向は、特に断りのない限り図面中に示された矢印の方向に従う。
【0021】
床置き型空調室内機10(以下、室内機10)は、空気調和装置1に適用されている。図1は、室内機10を有する空気調和装置1の概略構成図である。空気調和装置1は、家屋等の屋内に含まれる空調対象空間において、冷房や暖房を行う装置である。空気調和装置1は、冷媒回路を含み、冷媒回路において冷媒を循環させて蒸気圧縮方式の冷凍サイクルを行うことにより、空調対象空間の冷房又は暖房を行う。冷媒回路内には、例えばR32のような、可燃性又は毒性の冷媒であり、空気よりも比重が重い冷媒が充填されている。なお、可燃性の冷媒とは、米国ANSI/ASHRAE34の規格において、2L以上に分類されている冷媒のことを指す。
【0022】
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和装置1は、利用ユニットとしての室内機10と、熱源ユニットとしての室外機20と、空気調和装置1の動作を制御する制御部40と、を備えている。室内機10は、室内(空調対象空間内)に設置されるユニットである。室内機10の構成については後述する。室外機20は、室外(空調対象空間外)に設置されるユニットであり、主に、圧縮機21、四路切換弁22、室外熱交換器23、電動弁24、アキュムレータ25、室外ファン26、室外ガス配管130a、室外液配管130b、室外ガス閉鎖弁135a、室外液閉鎖弁135bを有している。空気調和装置1では、室内機10と、室外機20とが、ガス連絡配管12a及び液連絡配管12bによって接続されることで、冷媒回路が構成されている。
【0023】
制御部40は、空気調和装置1の制御を行うために設けられたCPU(中央演算処理装置)やメモリ等を有するマイクロコンピュータや、各種電気部品を含んでいる。CPUは、メモリ等に記憶されているプログラムを読み出し、このプログラムに従って所定の演算処理を行う。さらに、CPUは、プログラムに従って、演算結果をメモリに書き込んだり、メモリに記憶されている情報を読み出したりすることができる。制御部40は、空気調和装置1の各構成機器と電気的に接続しており、各構成機器との間で、信号の送受信を行う。本実施形態において、制御部40は、後述する電装品箱17の内部に収容されている。また、以下で説明する制御部40の機能の一部は、制御部40とは別に設けられる他の制御装置により実行されてもよい。
【0024】
ここで、空気調和装置1の冷媒回路の回路構成について、図1を参照しながら簡単に説明する。図1に示すように、圧縮機21の吐出側には四路切換弁22の第1ポートが接続されている。四路切換弁22の第2ポートには室外熱交換器23の一方の出入口が接続され、第3ポートにはアキュムレータ25が接続され、第4ポートには室外ガス配管130aが接続されている。室外熱交換器23の他方の出入口は、室外液配管130b、電動弁24、室外液閉鎖弁135b、液連絡配管12b及び室内液配管120bを介して、熱交換器(室内熱交換器)14の一方の出入口に接続されている。熱交換器(室内熱交換器)14の他方の出入口は、室内ガス配管120a、ガス連絡配管12a、室外ガス閉鎖弁135a及び室外ガス配管130aを介して四路切換弁22の第4ポートに接続されている。また、圧縮機21の吸入側は、アキュムレータ25を介して四路切換弁22の第3ポートに接続されている。
【0025】
空気調和装置1が冷房運転を行う場合、四路切換弁22は、図1の実線で示されている経路に切り換えられ、第1ポートと第2ポートとの間を冷媒が流れるとともに第3ポートと第4ポートとの間を冷媒が流れる。
【0026】
空気調和装置1の冷房運転時には、圧縮機21で圧縮されて吐出された冷媒が四路切換弁22を介して室外熱交換器23に送られる。冷房運転時において、室外熱交換器23は凝縮器として働き、室外ファン26によって送られる外気との熱交換によって熱を奪われて凝縮した冷媒は、電動弁24に送られる。電動弁24は膨張機構として働き、高圧液状の冷媒が低圧の湿り蒸気の状態に変化する。電動弁24で膨張した冷媒は、室外液配管130b、室外液閉鎖弁135b、液連絡配管12b、室内液配管120bを通って熱交換器(室内熱交換器)14に入る。冷房運転時において、熱交換器(室内熱交換器)14は蒸発器として働き、冷媒の蒸発により、室内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。熱を奪って温度が上昇した冷媒は、室内ガス配管120a、ガス連絡配管12a、室外ガス閉鎖弁135a、室外ガス配管130a及び四路切換弁22を通って、圧縮機21の吸入側に接続されているアキュムレータ25に送られる。
【0027】
一方、空気調和装置1が暖房運転を行う場合、四路切換弁22は、図1の破線で示されている経路に切り換えられ、第1ポートと第4ポートとの間を冷媒が流れるとともに、第2ポートと第3ポートとの間を冷媒が流れる。
【0028】
空気調和装置1の暖房運転時には、圧縮機21で圧縮されて吐出された冷媒が四路切換弁22から室外ガス配管130a、室外ガス閉鎖弁135a、ガス連絡配管12a及び室内ガス配管120aを経由して、凝縮器として働く熱交換器(室内熱交換器)14に送られる。そして、冷房運転時とは逆の経路をたどって、蒸発器として働く室外熱交換器23を出た冷媒は圧縮機21に送られる。換言すると、圧縮機21から、四路切換弁22、室外ガス配管130a、室外ガス閉鎖弁135a、ガス連絡配管12a、室内ガス配管120a、熱交換器(室内熱交換器)14、室内液配管120b、液連絡配管12b、室外液閉鎖弁135b、室外液配管130b、電動弁24、室外熱交換器23、室外ガス配管130a、四路切換弁22、アキュムレータ25を順に経て圧縮機21に戻る経路を冷媒が循環する。
【0029】
(2)室内機10の詳細構成
次に、空気調和装置1が有する室内機10の詳細な構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、本開示の一実施形態に係る室内機10の外観の斜視図である。図3A図3Bは、室内機10の吸込口13aからグリル30を取り外した状態で、吸込口13aの周辺を概略的に示した拡大図である。図4A図4Bは、室内機10の吸込口13aからグリル30を取り外した状態で、吸込口13aの周辺を概略的に示した斜視図である。図4Cは、室内機10が備えるセンサユニット100の構成を概略的に示した図である。図5Aは、室内機10の概略側面図であって、室内機10の各構成部品の配置位置の一例を示している。図5Bは、ファン15が発生させる気流の流路である、空気流路FPを示している。図6は、上面視における室内機10を示している。なお、図6では、天面パネル134や、ガス連絡配管12a、液連絡配管12b、室内ガス配管120a、室内液配管120b、熱交換器14、ファン15等の室内機10の構成部品の図示は省略している。
【0030】
本実施形態において、室内機10は、空調対象空間の床面に設置される床置き型の空調室内機である。室内機10は、室外機20とともに空気調和装置1の冷媒回路を構成している。室内機10は主に、ケーシング13と、熱交換器14と、ファン15と、ドレンパン16と、電装品箱17と、センサユニット100と、室内ガス配管120aと、室内液配管120bと、を有する。
【0031】
(2-1)ケーシング13
図2に示すように、室内機10は、縦長の略直方体状のケーシング13を有する。ケーシング13は、例えば室内の壁面に沿うように設置される。ケーシング13は、4つの側面パネルと、天面パネル134と、底面パネル135と、を有する。4つの側面パネルのうち、正面には前面パネル131が、右側面には右側面パネル132が、左側面には左側面パネル133が、背面には背面パネル136が、それぞれ配置されている。ケーシング13の前面パネル131には吸込口13aと吹出口13bとが形成されており、吸込口13aと吹出口13bとの間には、表示パネル19が取り付けられている。
【0032】
吸込口13aは、ケーシング13の内部に室内空気を吸い込む吸込部である。図2に示すように、吸込口13aにはグリル30が設けられている。また、図5Aに示すように、吸込口13aの少なくとも一部は、熱交換器14よりも下方に位置する。
【0033】
吹出口13bは、ケーシング13の内部で熱交換器14を通過した空気を吹き出す吹出部である。図2に示すように、吹出口13bにはフラップ31が設けられており、フラップ31により開閉を切り替えることができる。また、吹出口13bから吹き出される空気の吹出方向は、フラップ31により調整することができる。吹出口13bの少なくとも一部は、熱交換器14よりも上方に位置する。図5Aに示すように、本実施形態では、吹出口13bの全体が熱交換器14よりも上方に位置する。
【0034】
図5Aに示すように、ケーシング13の内部には、熱交換器14と、ファン15と、ドレンパン16と、電装品箱17と、センサユニット100とが収容されている。また、ケーシング13の内部には、ガス連絡配管12aと接続する室内ガス配管120aや、液連絡配管12bと接続する室内液配管120bが収容されている。ガス連絡配管12aと室内ガス配管120aとは、例えばロウ付けにより接続されており、ガス連絡配管12aと室内ガス配管120aとが接続する箇所が、第1ロウ付け箇所121aである。同様に、液連絡配管12bと室内液配管120bとは、例えばロウ付けにより接続されており、液連絡配管12bと室内液配管120bとが接続する箇所が、第2ロウ付け箇所121bである。
【0035】
(2-2)熱交換器14
熱交換器14は、冷媒の凝縮器及び/又は蒸発器として機能する。熱交換器14は、ファン15によって吸込口13aからケーシング13の内部に吸入される空調対象空間の空気と、熱交換器14の内部を流れる冷媒と、を熱交換させる。図5Aに示すように、熱交換器14は板状であって、前面側が斜め下方を向くように傾斜して、ケーシング13に収容されている。また、熱交換器14の下端部の下方には、熱交換器14から落下する結露水を受けるためのドレンパン16が設けられている。限定するものではないが、本実施形態における熱交換器14は、複数の伝熱管及び複数の伝熱フィンを有する、フィンアンドチューブ型の熱交換器である。熱交換器14は、液側が室内液配管120bに接続されており、ガス側が室内ガス配管120aに接続されている。
【0036】
本実施形態において、正面視における熱交換器14の横幅寸法は、正面視におけるケーシング13の横幅寸法よりも僅かに小さい。具体的には、正面視における熱交換器14の横幅寸法は、正面視におけるケーシング13の横幅寸法よりも、10mm~30mm小さい範囲にある。
【0037】
(2-3)ファン15
ファン15は、熱交換器14で熱交換される空気の気流を発生させる送風機である。ファン15は、ファンモータ15aを有し、ファンモータ15aが制御部40の制御によって駆動することで、気流を発生させる。ファン15が発生させる気流の流路を、空気流路FPとする。具体的には、図5Bに示すように、ファン15は、吸込口13aから熱交換器14に至り、熱交換器14からファン15に至り、ファン15から吹出口13bに至る、といった空気流路FPを発生させる。図5Aに示すように、ファン15は、熱交換器14の上方に配置されるようにして、ケーシング13に収容されている。吹出口13bから吹き出される空気の風量は、50m/min以上である。本実施形態におけるファン15は、2台のシロッコファンである。ただし、ファン15の種類及び数量は、これに限定されるものではなく、例えばターボファンや、シロッコファン、クロスフローファン又はプロペラファン等の送風機の中から、数量とともに適宜選択されればよい。
【0038】
(2-4)ドレンパン16
ドレンパン16は、熱交換器14における冷媒と空気との熱交換に伴い発生した結露水を一時的に貯留する容器である。また、ドレンパン16は、熱交換器14や、室内ガス配管120a、室内液配管120b、ガス連絡配管12a、液連絡配管12b、第1ロウ付け箇所121a、第2ロウ付け箇所121b等から漏洩した冷媒を、一時的に貯留する容器である。図5Aに示すように、ドレンパン16は、上縁16aと、本体部16bと、脚部16cと、からなる。上縁16aは、ドレンパン16の上端部分である。本体部16bは、上縁16aを除いたドレンパン16の凹状に形成された部分である。脚部16cは、本体部16bの下方に位置する。ドレンパン16は、結露水を室外(空調対象空間外)に排出するための排出経路(図示省略)を有する。
【0039】
図5Aに示すように、ドレンパン16は、熱交換器14の下方に設けられる。図3A図3Bに示すように、ドレンパン16の少なくとも一部は、正面視において、吸込口13aと重なる。また、図5Aに示すように、ドレンパン16は、少なくとも一部が、ガス連絡配管12aや、液連絡配管12bや、室内ガス配管120aや、室内液配管120bの下方に位置するようにして設けられる。さらに、図5Aに示すように、ドレンパン16は、第1ロウ付け箇所121a、第2ロウ付け箇所121bの下方に位置する。第1ロウ付け箇所121a、第2ロウ付け箇所121bは、冷媒漏洩が発生する可能性が高い箇所である。これにより、ケーシング13の内部で冷媒漏洩が発生した際に、漏洩した冷媒はドレンパン16に滞留する。
【0040】
(2-5)電装品箱17
電装品箱17は、内部に制御部40等の電気部品を収容する、略直方体状の箱である(図3A参照)。電装品箱17は、吸込口13aから熱交換器14に至る空気流路FP内に配置される。電装品箱17は、前面パネル131の内面に対向するように、底面パネル135の上面に載置される。電装品箱17には、センサユニット100が取り付けられている。具体的には、図4A図4Bに示すように、電装品箱17の側面にセンサユニット100が取り付けられている。このように、センサユニット100が、制御部40を内部に収容する電装品箱17の側面に取り付けられているため、センサユニット100と制御部40とを接続する電気配線(後述)の長さを短くすることが可能であり、電気配線の取り回しが容易である。
【0041】
図4A図4Bに示すように、電装品箱17には、除水部18が取り付けられている。図4A図4Bに示すように、除水部18は、ドレンパン16に伸びるように斜め下方に傾斜しており、センサユニット100の上方に取り付けられている。除水部18が、センサユニット100の屋根としての役割を果たすことで、熱交換器14で発生する結露水が熱交換器14から落下して、センサユニット100に侵入することが抑制されている。
【0042】
(2-6)センサユニット100
センサユニット100は、冷媒の漏洩を検知する冷媒漏洩センサである。センサユニット100は、センサケース101、センサ素子102、基板103、円筒管104、から構成される。センサケース101は、樹脂などからなるケースであり、センサ素子102や基板103、円筒管104を収容する。図4Cに示すように、センサケース101は、センサユニット100を覆う蓋となる第1部分101aと、基板103が取り付けられる部分である第2部分101bと、からなる。センサケース101の第1部分101aの側面のうち全ての面に、通気用の開口110が設けられており、冷媒漏洩が発生した際は、開口110を通じて、センサケース101の内部に冷媒を導入することができる。センサ素子102は、基板103に実装されており、漏洩した冷媒の有無を検知する。図示は省略するが、センサ素子102と基板103とは、コネクタや電気配線等からなる配線部によって制御部40と電気的に接続されており、センサ素子102が冷媒漏洩を検知した場合は、配線部や基板103を介して、制御部40に冷媒漏洩検知信号が送られる。図示は省略するが、センサケース101の下側面には、配線部の電気配線を通過させるための配線孔が設けられており、この配線孔を通じて電気配線がセンサケース101の外部に引き出される。円筒管104は、センサ素子102を保護する役割を果たす。円筒管104の上端面には、漏洩した冷媒がセンサ素子102に到達できるように、穴が形成されている。
【0043】
本実施形態において、センサユニット100は、電装品箱17に取り付けられることで、吸込口13aから熱交換器14に至る空気流路FP内であって、かつ、上面視において吸込口13aとドレンパン16との間に配置される(図6参照)。
【0044】
詳細には、センサユニット100は、ドレンパンの上縁16aの近傍に配置される。
【0045】
より詳細には、センサユニット100は上面視において、ドレンパンの上縁16aから10mm~30mmの範囲内に位置し、かつ、上面視において、吸込口13aから60mm~80mmの範囲内に位置するように配置される。なお、センサユニット100が上面視において、ドレンパンの上縁16aから10mm~30mmの範囲内に位置するとは、センサユニット100の少なくとも一部が、上面視において、ドレンパンの上縁16aから10mm~30mmの範囲内に位置することを意味する。同様に、センサユニット100が上面視において、吸込口13aから60mm~80mmの範囲内に位置するとは、センサユニット100の少なくとも一部が、上面視において、吸込口13aから60mm~80mmの範囲内に位置することを意味する。
【0046】
さらに詳細には、センサユニット100は、センサユニット100の少なくとも一部が、正面視においてドレンパンの上縁16aと重なるように配置される(図3A図3B参照)。
【0047】
さらに詳細には、センサユニット100は、図3Bに示すように、ケーシング13の左端から第1寸法D1だけ水平方向に離れた位置に配置される。なお、ケーシング13の左端とは、吸込口13aを正面視したときの左側のことを指す。第1寸法D1とは、正面視におけるケーシング13の横幅寸法の10%~90%の範囲にある任意の寸法である。換言すると、センサユニット100は、正面視におけるケーシング13の、中央に近い位置に配置される。さらに詳細には、センサユニット100は、熱交換器14よりも下方に配置される。
【0048】
(3)センサユニット100による冷媒漏洩の検知
以下、本実施形態に係る室内機10が冷媒漏洩を検知する方法について説明する。
【0049】
一般に、室内機において冷媒漏洩が発生する状況としては、室内機が運転中である場合と、停止中である場合と、が想定される。本実施形態に係る室内機10のように、冷媒回路内に可燃性又は毒性を有する冷媒が充填されている場合は、室内機10が運転中であれ、停止中であれ、センサユニット100が冷媒漏洩を可及的速やかに検知可能であることが望ましい。
【0050】
(3-1)停止中の室内機10における冷媒漏洩の検知
本実施形態において、空気調和装置1の冷媒回路には、空気よりも比重が重い冷媒であるR32冷媒が充填されている。このため、室内機10が停止しており、ケーシング13の内部に気流が発生していない状態で、ケーシング13の内部で冷媒漏洩が発生した場合、漏洩した冷媒は、重力方向に向かうように下降する。
【0051】
本実施形態において、室内機10のドレンパン16は、熱交換器14の下方に設けられている。また、図5Aに示すように、ドレンパン16の少なくとも一部は、ガス連絡配管12aや、液連絡配管12bや、室内ガス配管120aや、室内液配管120bの下方に設けられている。さらに、図5Aに示すように、ドレンパン16は、冷媒漏洩が発生する可能性が高い箇所である、第1ロウ付け箇所121aや、第2ロウ付け箇所121bの下方に位置する。これにより、ケーシング13の内部で漏洩した冷媒は、重力方向に下降することで、一時的にドレンパン16に滞留する。また、一時的にドレンパン16に滞留した冷媒は、時間の経過とともに、ドレンパンの上縁16aから溢れて、底面パネル135に滞留する。本実施形態において、センサユニット100は、吸込口13aと、ドレンパン16との間に配置される。詳細には、センサユニット100は、ドレンパン16の近傍に配置される。より詳細には、センサユニット100は、ドレンパンの上縁16aから10mm~30mmの範囲内に位置するように配置される。さらに詳細には、センサユニット100の少なくとも一部は、正面視において、ドレンパンの上縁16aと重なるように配置される。さらに詳細には、センサユニット100は、正面視において、ケーシング13の左端から第1寸法D1だけ水平方向に離れた位置に配置される。さらに詳細には、センサユニット100は、熱交換器14よりも下方に配置される。
【0052】
このように、室内機10の停止中において、漏洩した冷媒が経由することが想定される位置に、センサユニット100を配置することで、センサユニット100は、室内機10の停止中に速やかに冷媒漏洩を検知することができる。
【0053】
あるいは、室内機10の停止中においては、冷媒の漏洩量が増大し、冷媒がケーシング13の内部に溜まることで、冷媒がセンサユニット100の位置まで上がってくる場合がある。このような場合にも、センサユニット100は冷媒漏洩が検知可能である。
【0054】
(3-2)運転中の室内機10における冷媒漏洩の検知
室内機10の運転中に、ケーシング13の内部で冷媒漏洩が発生した場合、漏洩した冷媒は、ファン15によって生成される気流により、吹出口13bを通じて一時的に空調対象空間に流入する。その後、空調対象空間に流入した冷媒は、ファン15によって生成される気流により、吸込口13aから再びケーシング13の内部に取り込まれる。
【0055】
本実施形態において、センサユニット100は、吸込口13aから熱交換器14に至るまでの空気流路FP内に配置される。詳細には、センサユニット100は、上面視において、吸込口13aから60mm~80mmの範囲内に位置するように配置される。
【0056】
このように、室内機10の運転中において、漏洩した冷媒が経由することが想定される位置に、センサユニット100を配置することで、センサユニット100は、室内機10の運転中に速やかに冷媒漏洩を検知することができる。
【0057】
(4)特徴
(4-1)
本実施形態に係る床置き型空調室内機10は、センサユニット100と、熱交換器14と、ドレンパン16と、ケーシング13と、を備える。センサユニット100は、冷媒の漏洩を検知する。熱交換器14は、冷媒と空調対象空間の空気とを熱交換させる。ドレンパン16は、熱交換器14の下方に設けられる。ケーシング13は、センサユニット100、熱交換器14及びドレンパン16を収容する。ケーシング13の側面には、熱交換器14で熱交換を行わせる空気を吸い込む吸込口13aが形成されている。吸込口13aの少なくとも一部は、熱交換器14よりも下方に位置する。吸込口13aが形成されるケーシング13の側面を正面とすると、ドレンパン16の少なくとも一部は、正面視において、吸込口13aと重なる。センサユニット100は、吸込口13aから熱交換器14に至るまでの空気流路FP内に配置され、かつ、上面視において吸込口13aとドレンパン16との間に配置される。
【0058】
床置き型空調室内機において、ケーシングの内部で冷媒が漏洩し、漏洩した冷媒が空調対象空間に流入することで、空調対象空間における冷媒の濃度が高くなる恐れがある。漏洩した冷媒が可燃性を有する冷媒の場合には着火事故が、毒性を有する冷媒の場合には中毒事故が、それぞれ発生することが考えられる。このような事故を防止するためには、床置き型空調室内機が、運転中であれ、停止中であれ、冷媒漏洩を検知可能な冷媒漏洩センサを備えることが好ましい。このため、高精度な冷媒漏洩センサを床置き型空調室内機に備えることや、気流の一部を冷媒漏洩センサの配置位置まで導く誘導部材を床置き型空調室内機に設けることが考えられるが、これらの手段はいずれも、床置き型空調室内機のコストの増加を招く。また、室内機の内部構造によって、誘導部材を設けることが難しい場合や、室内機内部の気流を阻害してしまう場合がある。
【0059】
本実施形態に係る床置き型空調室内機10においては、センサユニット100は、吸込口13aから熱交換器14に至るまでの空気流路FP内に配置される。また、センサユニット100は、上面視において吸込口13aとドレンパン16との間に配置される。これにより、床置き型空調室内機10は、安価かつ容易な構成で、運転中であれ停止中であれ、センサユニット100によって冷媒漏洩の検知が可能となっている。
【0060】
この構成によれば、床置き型空調室内機10は、誘導部材等の別部材を設けることなく、また高精度な冷媒漏洩センサを備えることなく、運転中又は停止中に発生した冷媒漏洩を検知できるため、床置き型空調室内機10の部品点数が少なくすみ、コストの増加が抑制される。
【0061】
また、床置き型空調室内機において、冷媒漏洩センサを熱交換器の下方に設ける場合、熱交換器から落下する結露水が、冷媒漏洩センサに侵入して、冷媒漏洩センサの信頼性を低下させる恐れがある。
【0062】
本実施形態に係る床置き型空調室内機10においては、センサユニット100が上面視において吸込口13aとドレンパン16との間に配置されている。このような位置にセンサユニット100を配置することで、熱交換器14から落下する結露水がセンサユニット100に侵入することが抑制されており、センサユニット100の信頼性の低下が抑制されている。
【0063】
(4-2)
本実施形態に係る床置き型空調室内機10では、センサユニット100は、上面視においてドレンパンの上縁16aから10mm~30mmの範囲内に位置するように配置される。なおかつ、センサユニット100は、上面視において吸込口13aから60mm~80mmの範囲内に位置するように配置される。
【0064】
床置き型空調室内機において、ケーシングの内部で冷媒漏洩が発生した場合、運転中であれ停止中であれ、可及的速やかに冷媒漏洩を検知する必要がある。このため、床置き型空調室内機には、高精度な冷媒漏洩センサを備えることが好ましい。しかしながら、冷媒漏洩センサは、メンテナンス等の事情により、定期的な交換を行う必要があることに鑑みると、高精度な冷媒漏洩センサの採用は、床置き型空調室内機のコストの増加を招く恐れがある。あるいは、気流の一部を冷媒漏洩センサの配置位置まで導く誘導部材を床置き型空調室内機に設けることで、速やかに冷媒漏洩を検知することも考えられるが、コストの増加を招く恐れがある。また、室内機の内部構造によって誘導部材を設けることが難しい場合や、室内機内部の気流を阻害してしまう場合がある。
【0065】
本実施形態に係る床置き型空調室内機10においては、センサユニット100が、上面視において、ドレンパンの上縁16aから10mm~30mmの範囲内に位置するように配置される。また、本実施形態に係る床置き型空調室内機10では、センサユニット100が、上面視において、吸込口13aから60mm~80mmの範囲内に位置するように配置される。このように、本実施形態に係る床置き型空調室内機10では、運転時における速やかな冷媒漏洩の検知と、停止時における速やかな冷媒漏洩の検知と、を両立できる位置に、センサユニット100を配置している。これにより、高精度な冷媒漏洩センサや、誘導部材を備えることなく、運転中又は停止中に発生した冷媒漏洩を速やかに検知可能である。
【0066】
この構成によれば、床置き型空調室内機10のコストの増加が抑制される。また部品点数を少なくすることができる。
【0067】
(4-3)
本実施形態に係る床置き型空調室内機10では、センサユニット100は、ドレンパンの上縁16aの近傍に配置される。
【0068】
床置き型空調室内機の停止中において、ケーシングの内部で冷媒漏洩が発生した場合、漏洩箇所から下降する冷媒の全てがドレンパンに滞留するとは限らず、ドレンパンの上縁の近傍を通り、底面パネルに向かうことも考えられる。このため、高精度な冷媒漏洩センサを備えない床置き型空調室内機では、冷媒漏洩センサの配置位置によっては、冷媒漏洩の検知が遅れる恐れがある。
【0069】
本実施形態に係る床置き型空調室内機10においては、センサユニット100が、ドレンパンの上縁16aの近傍に配置される。これにより、冷媒漏洩が発生した際に、ドレンパンの上縁16aから溢れた冷媒や、ドレンパンの上縁16aの近傍を通る冷媒を速やかに検知することができる。
【0070】
この構成によれば、床置き型空調室内機10において、冷媒漏洩を速やかに検知することが可能である。
【0071】
また、この構成によれば、高精度な冷媒漏洩センサを備えることなく冷媒漏洩を速やかに検知することができるため、コストの増加が抑制されている。
【0072】
(4-4)
本実施形態に係る床置き型空調室内機10では、センサユニット100の少なくとも一部は、正面視において、ドレンパンの上縁16aと重なる。
【0073】
床置き型空調室内機の停止中において、ケーシングの内部で冷媒漏洩が発生した場合、漏洩した冷媒は一時的にドレンパンに滞留し、ドレンパンの上縁から溢れることが考えられる。このため、高精度な冷媒漏洩センサを備えない床置き型空調室内機では、冷媒漏洩センサの配置位置によっては、冷媒漏洩の検知が遅れる恐れがある。
【0074】
本実施形態に係る床置き型空調室内機10においては、センサユニット100の少なくとも一部が正面視においてドレンパンの上縁16aと重なる。このように、センサユニット100とドレンパンの上縁16aとが、鉛直方向において、概ね同じ高さ位置に設けられていることで、センサユニット100は、ドレンパンの上縁16aから溢れる冷媒を速やかに検知することが可能である。
【0075】
この構成によれば、床置き型空調室内機10において、冷媒漏洩をより速やかに検知することが可能である。
【0076】
また、この構成によれば、高精度な冷媒漏洩センサを備えることなく冷媒漏洩を速やかに検知することができるため、コストの増加が抑制されている。
【0077】
(4-5)
本実施形態に係る床置き型空調室内機10では、床置き型空調室内機10は、ケーシング13に収容され、内部に電気部品を収容する電装品箱17をさらに備える。電装品箱17は、空気流路FP内に配置される。センサユニット100は、電装品箱17に取り付けられる。
【0078】
床置き型空調室内機においては、上記の通り、冷媒漏洩センサは定期的な交換を行う必要がある。このため、冷媒漏洩センサは、メンテナンス性に優れることが好ましい。
【0079】
本実施形態に係る床置き型空調室内機10においては、センサユニット100は、電装品箱17に取り付けられる。より詳細には、センサユニット100は、電装品箱17の側面に取り付けられる。電装品箱17は、吸込口13aから熱交換器14に至るまでの空気流路FP内に配置される。電装品箱17は、底面パネル135の上面に配置される。これにより、センサユニット100は、吸込口13aの近傍に配置されるため、メンテナンス時において、センサユニット100へのアクセスが容易である。
【0080】
また、本実施形態に係る床置き型空調室内機10においては、センサユニット100は、制御部40と電気配線によって電気的に接続されているが、センサユニット100が電装品箱17の側面に取り付けられることで、電気配線を短くすることが可能となり、電気配線の取り回しが容易となる。
【0081】
この構成によれば、センサユニット100のメンテナンス性が向上する。
【0082】
また、本実施形態において、センサユニット100は、吸込口13aとドレンパン16との間に配置される電装品箱17に取り付けられるため、熱交換器14で発生する結露水が熱交換器14から落下して、センサユニット100に付着することが抑制されている。
【0083】
(4-6)
本実施形態に係る床置き型空調室内機10では、センサユニット100は、正面視において、ケーシング13の左端から第1寸法D1だけ水平方向に離れている。第1寸法D1は、正面視におけるケーシング13の横幅寸法の10%~90%の範囲にある任意の寸法である。
【0084】
床置き型空調室内機において、ケーシングの内部で冷媒漏洩が発生した場合、運転中であれ停止中であれ、可及的速やかに冷媒漏洩を検知する必要がある。しかしながら、冷媒漏洩センサが配置される位置や、冷媒漏洩が発生する位置によっては、冷媒漏洩の検知が遅れる恐れがある。
【0085】
例えば、上記の通り、本実施形態に係る熱交換器14の正面視における横幅寸法は、正面視におけるケーシング13の横幅寸法よりも、10mm~30mm小さい範囲にある。このように、床置き型空調室内機が横幅寸法の大きい熱交換器を備える場合、ケーシングの内部において冷媒漏洩が発生する箇所の予測は困難である。この場合、冷媒漏洩センサの配置位置が、例えば正面視におけるケーシングの左右端等のように偏った位置に配置されていると、冷媒漏洩の検知が遅れる恐れがある。
【0086】
本実施形態に係る床置き型空調室内機10においては、センサユニット100は、正面視におけるケーシング13の左端から第1寸法D1だけ離れた位置に配置されている。第1寸法D1は、正面視におけるケーシング13の横幅寸法の10%~90%の範囲にある任意の寸法である。換言すると、センサユニット100は、正面視において、概ねケーシング13の中央に近い位置に配置されている。これにより、冷媒漏洩が発生した位置に関わりなく、冷媒漏洩を速やかに検知することができる。
【0087】
この構成によれば、床置き型空調室内機10において、冷媒漏洩をより速やかに検知することが可能である。
【0088】
(4-7)
本実施形態に係る床置き型空調室内機10においては、センサユニット100は、熱交換器14の下方に設けられている。このように、床置き型空調室内機10において冷媒漏洩が発生した場合に、漏洩した冷媒が経由することが想定される位置にセンサユニット100を配置することで、冷媒漏洩を速やかに検知することが可能である。
【0089】
この構成によれば、床置き型空調室内機10において、冷媒漏洩をより速やかに検知することが可能である。
【0090】
また、この構成によれば、高精度な冷媒漏洩センサを備えることなく冷媒漏洩を速やかに検知することができるため、コストの増加が抑制されている。
【0091】
(5)変形例
(5-1)変形例1A
上記実施形態では、室内機10の電装品箱17が、除水部18を有することで、センサユニット100に結露水が侵入することが抑制されると説明した。しかしながら、結露水の侵入対策としては、少なくともセンサユニット100が上面視において吸込口13aとドレンパン16との間に配置されていればよく、除水部18は必須の構成ではない。
【0092】
本変形例においては、センサユニット100の上方に除水部18が設けられないことにより、センサユニット100の上方に存在する冷媒の検知が容易となり、冷媒漏洩をより速やかに検知することができる。
【0093】
(5-2)変形例1B
上記実施形態では、センサユニット100が、電装品箱17の側面に支持部材を介して取り付けられる例について説明した。しかしながら、センサユニット100の配置位置はこれに限定されるものではなく、本開示に係る課題が解決される限りにおいては、センサユニット100は例えば、支持部を介して左側面パネル133に取り付けられていてもよい。
【0094】
(6)付記
以上、本開示の実施形態を説明したが、特許請求の範囲に記載された本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
【符号の説明】
【0095】
10 床置き型空調室内機(室内機)
13 ケーシング
13a 吸込口
13b 吹出口
14 熱交換器
15 ファン
16 ドレンパン
16a 上縁
17 電装品箱
100 センサユニット
D1 第1寸法
FP 空気流路
【先行技術文献】
【特許文献】
【0096】
【文献】特開2019-11914号公報
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図6