(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】電子時計及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G04R 20/26 20130101AFI20231205BHJP
G04G 5/00 20130101ALI20231205BHJP
【FI】
G04R20/26
G04G5/00 J
(21)【出願番号】P 2020045055
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】502366745
【氏名又は名称】セイコーウオッチ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】中村 征幸
(72)【発明者】
【氏名】野邉 哲也
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159644(JP,A)
【文献】特開2015-046921(JP,A)
【文献】特開2005-257487(JP,A)
【文献】特開2016-220825(JP,A)
【文献】特開2006-258475(JP,A)
【文献】特開2014-002168(JP,A)
【文献】特開2003-169377(JP,A)
【文献】特開2001-311788(JP,A)
【文献】特開2014-190842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04G 3/00-99/00
G04C 1/00-99/00
G04R 20/00-60/14
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を表示する時刻表示部と、
前記時刻表示部が表示する時刻を計時する第1計時部と、
前記第1計時部とは独立し
た時刻であり、再接続のために用いられる時刻を計時する第2計時部と、
通信対象である携帯端末を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部と、
前記第2計時部が計時する時刻に基づくタイミングにおいて、前記識別情報記憶部に記憶された前記識別情報により識別される前記携帯端末との接続確立を所定時間試みる通信制御部と
を備え
、
前記時刻表示部は、前記第2計時部が計時した時刻に基づく表示を行わない、
電子時計。
【請求項2】
前記通信制御部が前記所定時間内に前記携帯端末から出力される信号を受信した場合、前記携帯端末から時刻を示す情報を受信する受信部と、
前記受信部が受信する前記時刻を示す情報に基づき前記第2計時部の時刻を修正する時刻修正部と
を更に備える請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
所定の操作を受け付ける操作受付部を更に備え、
前記通信制御部は、前記携帯端末との通信を切断させる操作を前記操作受付部が受け付けた場合に、前記携帯端末との通信を切断させる操作を受け付けた以降は前記携帯端末との接続を試みない
請求項1又は請求項2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記所定時間の間に前記携帯端末から出力される信号を受信しなかった場合に回数をカウントするカウント部を更に備え、
前記通信制御部は、前記カウント部によるカウント結果に応じて、前記所定時間を長くする
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の電子時計。
【請求項5】
前記通信制御部は、前記携帯端末からの通信を受け付けた場合、前記カウント部による前記カウント結果をリセットする
請求項4に記載の電子時計。
【請求項6】
前記通信制御部は、前記カウント部による前記カウント結果が所定の回数以上である場合、前記携帯端末からの通信を受け付けない
請求項4又は請求項5に記載の電子時計。
【請求項7】
コンピュータに、
時刻を表示させ時刻表示ステップと、
前記時刻表示ステップにより表示される時刻を計時する第1計時ステップと、
前記第1計時ステップとは独立し
た時刻であり、再接続のために用いられる時刻を計時する第2計時ステップと、
前記第2計時ステップにより計時される時刻に基づく周期で、通信対象となる携帯端末を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部に記憶された前記識別情報により識別される前記携帯端末からの通信を所定時間受け付ける通信制御ステップと
を実行させるためのプログラム
であって、
前記時刻表示ステップは、前記第2計時ステップが計時した時刻に基づく表示を行わない、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯端末と時計とを互いに同期させる技術があった。ここで、携帯端末と時計との同期が行われる頻度は高いことが望ましい。しかしながら、所定の通信方式により同期を行う場合、同期が行われる頻度が高いほど、電池を消耗する。一方、同期が行われる頻度が低いと、互いの状態が正しく同期されない、そこで、携帯端末と時計とがそれぞれ保持している時刻を用いて、予め決められた時刻になると互いに再接続をする技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような技術では、携帯端末の時刻と、時計の時刻とにずれが生じた場合には、互いに再接続できなくなるといった問題がある。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであって、携帯端末の時刻と、時計の時刻とがずれてしまった場合であっても、互いに再接続することが可能な電子時計及びプログラム提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電子時計は、時刻を表示する時刻表示部と、前記時刻表示部が表示する時刻を計時する第1計時部と、前記第1計時部とは独立した時刻であり、再接続のために用いられる時刻を計時する第2計時部と、通信対象である携帯端末を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部と、前記第2計時部が計時する時刻に基づくタイミングにおいて、前記識別情報記憶部に記憶された前記識別情報により識別される前記携帯端末との接続確立を所定時間試みる通信制御部とを備え、前記時刻表示部は、前記第2計時部が計時した時刻に基づく表示を行わない。
【0007】
本発明の一態様に係る電子時計は、前記通信制御部が前記所定時間内に前記携帯端末と接続を確立した場合、前記携帯端末から時刻を示す情報を受信する受信部と、前記受信部が受信する前記時刻を示す情報に基づき前記第2計時部の時刻を修正する時刻修正部とを更に備える。
【0008】
本発明の一態様に係る電子時計は、所定の操作を受け付ける操作受付部を更に備え、前記通信制御部は、前記携帯端末との通信を切断させる操作を前記操作受付部が受け付けた場合に、前記携帯端末との通信を切断させる操作を受け付けた以降は前記携帯端末からの通信を受け付けない。
【0009】
本発明の一態様に係る電子時計において、前記所定時間の間に前記携帯端末から出力される信号を受信した場合に前記携帯端末からの通信が受け付けられなかった回数をカウントするカウント部を更に備え、前記通信制御部は、前記カウント部によるカウント結果に応じて、前記所定時間を長くする。
【0010】
本発明の一態様に係る電子時計において、前記通信制御部は、前記携帯端末からの通信を受け付けた場合、前記カウント部による前記カウント結果をリセットする。
【0011】
本発明の一態様に係る電子時計において、前記通信制御部は、前記カウント部による前記カウント結果が所定の回数以上である場合、前記携帯端末との接続を試みない。
【0012】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、時刻を表示させ時刻表示ステップと、前記時刻表示ステップにより表示される時刻を計時する第1計時ステップと、前記第1計時ステップとは独立した時刻であり、再接続のために用いられる時刻を計時する第2計時ステップと、前記第2計時ステップにより計時される時刻に基づく周期で、通信対象となる携帯端末を識別する識別情報を記憶する識別情報記憶部に記憶された前記識別情報により識別される前記携帯端末との接続を試みる通信制御ステップとを実行させ、前記時刻表示ステップは、前記第2計時ステップが計時した時刻に基づく表示を行わない。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、携帯端末の時刻と、時計の時刻とにずれが生じた場合であっても、互いに再接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施形態に係る時計システムのシステム構成の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る電子時計及び携帯電子機器の機能構成の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る電子時計の動作の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る電子時計と携帯電子機器の接続タイミングの一例を説明するための図である。
【
図5】実施形態に係る電子時計と携帯電子機器の接続タイミングにずれが生じた場合の一例を説明するための図である。
【
図6】従来技術による再接続動作の一例を説明するための図である。
【
図7】実施形態に係る再接続動作の一例を説明するための図である。
【
図8】実施形態に係る電子時計の動作の変形例の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。まず、時計システム1のシステム構成の一例について説明する。
【0016】
[時計システム1の構成]
図1は、実施形態に係る時計システム1のシステム構成の一例を示す図である。時計システム1は、電子時計100と、携帯電子機器(携帯端末)200とを備える。時計システム1において、電子時計100と携帯電子機器200とは、所定の通信方式により接続されることにより、互いに同期を行う。
この一例において、所定の通信方式とは、近距離無線通信等の通信方式を広く含む。例えば、電子時計100と、携帯電子機器200とは、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)等の規格による近距離無線通信により、互いに同期を行う。この一例において、所定の通信方式とは、ブルートゥース(登録商標)に限定されず、種々の通信方式を採用可能である。例えば、所定の通信方式とは、Wi-Fi(登録商標)、IrDA(Infrared Data Association)、TransferJet(登録商標)、ZigBee(登録商標)等であってもよい。
【0017】
電子時計100は、時刻を計時し、現在時刻を表示する時計である。
携帯電子機器200は、例えば、スマートフォンや、携帯電話機や、タブレット端末等であって、電池により動作可能な電子機器である。電子時計100と携帯電子機器200とが接続される所定の通信方式において、例えば電子時計100はペリフェラル側デバイスであり、携帯電子機器200はセントラル側デバイスである。
【0018】
[電子時計100及び携帯電子機器200の機能構成]
図2は、本実施形態における時計システム1の構成を示した概略図である。図示する例では、時計システム1は、電子時計100と、電子時計100と通信可能な携帯電子機器200とを備える。
【0019】
[電子時計100の機能構成]
図2に示す一例では、電子時計100は、制御部101と、発振回路102と、分周回路103と、操作受付部104と、記憶部105と、電池108と、無線通信制御部(通信制御部)111と、指針120と、輪列機構121と、ステッピングモータ122とを備える。
【0020】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)であり、電子時計100が備える各部の制御を行う。制御部101は、第1計時部1011と、第2計時部1012と、通信制御部1013と、情報生成部1014と、情報送信部1015と、指針制御部1017と、時刻修正部1018とを備える。
【0021】
第1計時部1011は、内部カウンタを備え、分周回路103から入力された計測信号に基づいて現在日時(日時分秒等)を計時し、計時した日時を示す針位置情報を内部カウンタに保持する。指針120と、不図示の文字盤とは、時刻表示部を構成する。指針120は、内部カウンタに備えられた針位置情報に基づき、時刻を表示する。すなわち、第1計時部1011は、時刻表示部が表示する時刻を計時する。
【0022】
第2計時部1012は、内部カウンタを備え、分周回路103から入力された計測信号に基づいて日時を計時する。第2計時部1012が計時する日時は、無線通信制御部111により取得された情報に基づき、修正される。すなわち、第2計時部1012は、第1計時部1011とは独立して時刻を計時する。
【0023】
通信制御部1013は、無線通信制御部111における通信を制御する。情報生成部1014は、携帯電子機器200に送信するデータを生成する。情報送信部1015は、情報生成部1014が生成したデータを無線通信制御部111から携帯電子機器200に送信する。
【0024】
指針制御部1017は、指針120の位置を制御する。例えば、指針制御部1017は、ステッピングモータ122に駆動パルスを出力してステッピングモータ122を駆動し、指針120を移動させる。
すなわち、指針制御部1017は、時刻表示部が表示する時刻を制御する時刻表示制御部として機能する。
時刻修正部1018は、無線通信制御部111により取得された時刻を示す情報に基づき、第2計時部1012が計時する時刻を修正する。
【0025】
発振回路102は、所定周波数(例えば、32768Hz)の発振信号を生成して分周回路103に出力する。分周回路103は、発振回路102から入力された発振信号の周波数を分周して計測の基準となる計測信号を生成し、生成した計測信号を制御部101に出力する。
【0026】
操作受付部104は、所定の操作を受け付ける。操作受付部104は、例えばスイッチを備え、操作入力を受け付ける。なお、操作受付部104は、複数のスイッチから構成されていてもよいし、1つのスイッチから構成されていてもよい。操作受付部104は、電子時計100が不図示のタッチパネルを備える場合、画面の構成要素として構成されていてもよい。
【0027】
記憶部105は、RAM(Random Access Memory、ランダムアクセスメモリ)やROM(Read Only Memory、読み出し専用メモリ)等から構成され、種々の情報を記憶する。また、記憶部105は、制御部101が実行する動作用プログラムを予め記憶している。この動作用プログラムは、制御部101の起動時に読み出される。
【0028】
電池108は、例えばリチウム電池(いわゆるボタン電池)である。電池108は、電力を、電子時計100が備える制御部101等の各部に供給する。以降、電池108を電源とも記載する。
なお、電池108は、太陽電池によって発電された電力を蓄電する蓄電池であってもよい。
【0029】
無線通信制御部111は、第2計時部1012が計時する時刻に基づくタイミングにおいて、携帯電子機器200との接続を所定時間試みる。無線通信制御部111は、所定時間の間に携帯電子機器200との通信が確立された場合には、同期が成功したと判定し、所定時間の間に携帯電子機器200との通信が確立されない場合には、同期が失敗したと判定する。
無線通信制御部111は、アンテナ1111と、近距離無線通信部1112と、カウント部1113と、識別情報記憶部1114とを備える。
【0030】
アンテナ1111は、近距離無線通信部1112が通信を行うためのアンテナである。
近距離無線通信部1112は、送信部1112Tと、受信部1112Rとを備え、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)等の規格により、通信対象である携帯電子機器200と近距離無線通信を行う。近距離通信が行われることにより電子時計100と携帯電子機器200とは同期される。受信部1112Rは、電子時計100が携帯電子機器200と再接続された場合に、携帯電子機器200から、時刻を示す情報を受信する。
【0031】
識別情報記憶部1114は、通信対象である携帯電子機器200を識別する識別情報を記憶する。識別情報記憶部1114が記憶する識別情報とは、携帯電子機器200のMACアドレス等であってもよい。
【0032】
近距離無線通信部1112は、識別情報記憶部1114が記憶する識別情報を備える携帯電子機器200と、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth)等の規格による近距離無線通信により、通信を行う。
【0033】
カウント部1113は、携帯電子機器200との同期が失敗した回数をカウントする。すなわち、カウント部1113は、携帯電子機器200と通信を試みる所定時間の間に携帯電子機器200と通信が確立しなかった場合の回数をカウントする。
【0034】
なお、無線通信制御部111は、同期が失敗する毎に、携帯電子機器200と通信を試みる所定時間を長くするよう構成してもよい。すなわち、無線通信制御部111は、カウント部1113によるカウント結果に応じて、所定時間を長くするよう構成してもよい。
【0035】
なお、カウント部1113は、携帯電子機器200との同期が成功した場合に、カウント部1113のカウント結果をリセットするよう構成してもよい。すなわち、カウント部1113は、携帯電子機器200と通信が確立した場合に、カウント部によるカウント結果をリセットするよう構成してもよい。
【0036】
なお、カウント部1113は、携帯電子機器200との同期が所定の回数以上連続して失敗した場合には、携帯電子機器200との接続を行わないよう構成してもよい。すなわち、無線通信制御部111は、カウント部1113によるカウント結果が所定の回数以上である場合、携帯電子機器200との接続を試みないよう構成してもよい。
【0037】
ステッピングモータ122は、輪列機構121を回転させることにより指針120を回転駆動させるためのステッピングモータである。この一例において、指針120とは、秒針と、分針と、時針とを含む。電子時計100は、不図示の文字盤を備える。時刻表示部は、指針120と、不図示の文字盤とを備える。時刻表示部は、第1計時部1011が計時する時刻を表示する。
【0038】
[携帯電子機器200の機能構成]
携帯電子機器200は、制御部201と、入力部202と、表示部203と、記憶部204と、アンテナ205と、近距離無線通信部206と、位置情報取得部207と、第1計時部208と、第2計時部209とを備える。
【0039】
制御部201は、CPUを含んで構成され、携帯電子機器200が備える各部の制御を行う。入力部202は、各種スイッチや表示部203の表示画面に設置されたタッチパネル等であり、入力を受け付ける。表示部203は、液晶ディスプレイ等であり、情報を表示する。
記憶部204は、RAMやROM等から構成され、種々の情報を記憶する。記憶部204には、電子時計100の識別情報が記憶されている。記憶部204が記憶する識別情報とは、電子時計100のMACアドレス等であってもよい。
【0040】
アンテナ205は、近距離無線通信部206が通信するためのアンテナである。近距離無線通信部206は、ブルートゥース等の規格による近距離無線通信により他の通信機器(例えば、電子時計100)と通信する。
【0041】
位置情報取得部207は、一例として、GPS(Global Positioning System)等により、協定世界時(UTC)と、現在位置を示す位置情報(例えば、緯度・経度)と、現在位置のUTCからの時差を示す時差情報とを取得する。なお、UTC、位置情報、及び時差情報を取得する方法は、GPSによって得られる情報に限定されない。
【0042】
第1計時部208は、内部カウンタを備え、現在日時(日時分秒等)を計時する。制御部201は、第1計時部208が計時する日時を表示部203に表示させる。第1計時部208が計時する時刻は、位置情報取得部207が取得した位置情報と時差情報とにより、修正される。
第2計時部209は、記憶部204に記憶された電子時計100との通信を行うための時刻を計時する。第2計時部209は、第1計時部208とは独立して時刻を計時する。
【0043】
[電子時計100の動作]
図3は、実施形態に係る電子時計の動作の一例を示す図である。同図を参照しながら、電子時計100の動作の一例について説明する。
【0044】
(ステップS10) 通信制御部1013は、第2計時部1012が計時する時刻が所定の時刻になったか否かを判定する。通信制御部1013は、第2計時部1012が計時する時刻が所定の時刻になっていない場合(ステップS10;NO)には、ステップS10を続行する。通信制御部1013は、第2計時部1012が計時する時刻が所定の時刻になった場合(ステップS10;YES)には、処理をステップS20に進める。
【0045】
(ステップS20) 通信制御部1013は、無線通信制御部111を通信確立待ち状態に制御する。
【0046】
(ステップS30) 無線通信制御部111は、所定時間の間に携帯電子機器200との通信が確立された場合には、同期が成功したと判定し(ステップS30;YES)、処理をステップS40に進める。無線通信制御部111は、所定時間の間に携帯電子機器200との通信が確立されない場合には、同期が失敗したと判定し(ステップS30;NO)、処理を終了する。
【0047】
(ステップS40) 電子時計100と携帯電子機器200との間で通信が確立されると、受信部1112Rは、携帯電子機器200から時刻を示す情報を受信する。ここで、受信部1112Rが受信する時刻を示す情報とは、携帯電子機器200の第2計時部209が計時する時刻に基づく情報である。時刻修正部1018は、受信した時刻に基づき、第2計時部1012の時刻を修正する。
【0048】
図4は、実施形態に係る電子時計100と携帯電子機器200の接続タイミングを説明するための図である。同図を参照しながら、電子時計100と携帯電子機器200の接続タイミングについて説明する。同図には、電子時計100が通信確立待ち状態となる期間と、携帯電子機器200が通信確立待ち状態となる期間とを、横軸を時間軸として示している。
【0049】
時刻t1において、電子時計100は、第2計時部1012が計時する時刻に基づき、通信確立待ち状態となる。例えば、電子時計100は、第2計時部1012が10分計時するごとに通信確立待ち状態に制御される。電子時計100は、時刻t1から時刻t4までの期間T3の間、通信確立待ち状態に制御される。例えば、期間T3は30秒である。
【0050】
時刻t2において、携帯電子機器200は、第2計時部209が計時する時刻に基づき通信確立待ち状態に制御される。ここで、時刻t2は、電子時計100が通信確立待ち状態に制御される時刻t1から時刻t4までの期間の中間の時刻である。すなわち、時刻t1から時刻t2までの期間T1と、時刻t2から時刻t4までの期間T2とは、等しい。この場合、例えば、期間T3が30秒である場合、期間T1は15秒であり、期間T2は15秒である。
【0051】
携帯電子機器200が通信確立待ち状態に制御される期間T4は、電子時計100が通信確立待ち状態に制御される期間T3に比べ、短い。例えば、期間T4は5秒である。
電子時計100と、携帯電子機器200とは、通信が確立されたら、通信確立待ち状態を終了する。本実施形態においては、電子時計100を先に通信確立待ち状態とすることにより、携帯電子機器200の通信確立待ち状態となる時間を短くすることができる。すなわち、携帯電子機器200の備える不図示の電池の消費電力を小さくすることができる。
【0052】
図5は、実施形態に係る電子時計100と携帯電子機器200の接続タイミングにずれが生じた場合の一例を説明するための図である。同図を参照しながら、電子時計100と携帯電子機器200の接続タイミングにずれが生じた場合について説明する。
図4で説明した内容については、同様の符号を付すことにより、説明を省略する場合がある。
【0053】
ここで、電子時計100が備える第2計時部1012と、携帯電子機器200が備える第2計時部209との間にずれが生じる場合がある。電子時計100が備える第2計時部1012と、携帯電子機器200が備える第2計時部209との間にずれが生じることにより、同期が失敗する場合がある。具体的には、携帯電子機器200が通信確立待ち状態に制御されている期間T4が、電子時計100が通信確立待ち状態に制御されている期間T3と重複しなくなった場合に、同期が失敗する。
【0054】
図5に示す一例では、電子時計100が備える第2計時部1012と、携帯電子機器200が備える第2計時部209との間にずれが生じた結果、携帯電子機器200は、期間T3内に通信確立待ち状態に制御されるところ、時刻t2aにおいて通信確立待ち状態に制御される。したがって、電子時計100の通信確立待ち状態に制御されている期間と、携帯電子機器200の通信確立待ち状態に制御されている期間とは重複しないため、同期は失敗する。本実施形態においては、電子時計100は、同期が失敗した場合において、通信確立待ち状態となる時間を長くする。同図に示す一例では、携帯電子機器200は、期間T3に期間T5を加えた期間T6の間、通信確立待ち状態に制御される。したがって、携帯電子機器200が通信確立待ち状態に制御される時刻t2aは、電子時計100が通信確立待ち状態に制御されている期間T6の期間内であるため、同期は成功する。
【0055】
なお、電子時計100は、同期が失敗するごとに通信確立待ち状態に制御されている期間を長くするよう構成してもよい。
なお、電子時計100に代えて、携帯電子機器200の通信確立待ち状態を長くするよう構成してもよい。この場合、期間T4を長くする。また、電子時計100の通信確立待ち状態を長くすることに加え、携帯電子機器200の通信確立待ち状態を長くするよう構成してもよい。
【0056】
[従来技術による再接続動作]
図6は、従来技術による再接続動作の一例を説明するための図である。同図を参照しながら、従来技術による再接続動作の一例を説明する。同図には、携帯電子機器が計時する時刻と、電子時計が計時する時刻とを、時刻毎に説明する。
【0057】
ここで、国又は地方ごとの時差は、1時間単位又は30分単位である場合が一般的であるが、国又は地方によっては、15分単位の時差が存在する(例えば、ネパール)。本実施形態においては、日本において同期を行っていた携帯電子機器及び電子時計が、15分単位の時差があるネパールに移動した場合について説明する。本実施形態においては、携帯電子機器及び電子時計は、10分毎に同期を行う。
【0058】
時刻t11において、携帯電子機器と電子時計とは同期されているため、携帯電子機器及び電子時計が表示する時刻は“10:33:42”である。
時刻t12において、携帯電子機器と電子時計との通信は切断される。
時刻t13において、携帯電子機器の時刻はネパールの時刻(時差:-3:15)である“7:18:42”に修正される。時刻t13以降、携帯電子機器はネパールの時刻に基づき、電子時計は日本の時刻に基づき、10分毎に再接続動作を行う。
【0059】
時刻t14において、携帯電子機器は、ネパールの時刻に基づいて再接続動作を行う。時刻t14において、電子時計は、日本の時刻に基づいているため、再接続動作を行わない。したがって、時刻t14において、再接続動作は失敗し、同期は行われない。時刻t14以降、携帯電子機器は、ネパールの時刻に基づいて、10分毎に再接続動作を行う(例えば、時刻t16及び時刻t18)が、電子時計は、日本の時刻に基づいているため、時刻t14以降、再接続動作は失敗し続ける。
【0060】
時刻t15において、電子時計は、日本の時刻に基づいて再接続動作を行う。時刻t15において、携帯電子機器は、ネパールの時刻に基づいているため、再接続動作を行わない。したがって、時刻t15において、再接続動作は失敗し、同期は行われない。時刻t15以降、電子時計は、日本の時刻に基づいて、10分毎に再接続動作を行う(例えば、時刻t17)が、携帯電子機器は、ネパールの時刻に基づいているため、時刻t15以降、再接続動作は失敗し続ける。
【0061】
[実施形態に係る再接続動作]
図7は、実施形態に係る再接続動作の一例を説明するための図である。同図を参照しながら、実施形態に係る再接続動作の一例を説明する。同図には、電子時計100が計時する時刻と、携帯電子機器200が計時する時刻とを、時刻毎に説明する。
本実施形態において、電子時計100は、第1計時部1011と、第2計時部1012とを備え、それぞれ独立して時刻を計時する。第1計時部1011が計時する時刻を“表示用”として示し、第2計時部1012が計時する時刻を“再接続用”として示す。また、携帯電子機器200は、第1計時部208と、第2計時部209とを備え、それぞれ独立して時刻を計時する。第1計時部208が計時する時刻を“表示用”として示し、第2計時部209が計時する時刻を“再接続用”として示す。
【0062】
時刻t21において、携帯電子機器200と電子時計100とは同期されているため、携帯電子機器200及び電子時計100が表示する時刻は、表示用及び再接続用のいずれも“10:33:42”である。
時刻t22において、電子時計100と携帯電子機器200との通信は切断される。
時刻t23において、携帯電子機器200の時刻は、ネパールの時刻(-3:15)である“7:18:42”に修正される。ここで、本実施形態においては、携帯電子機器200は、第1計時部208と、第2計時部209とを備えており、第1計時部208が計時する時刻(表示用)のみが修正される。時刻t23以降、携帯電子機器200は、再接続用の時刻である日本の時刻に基づき、10分毎に再接続動作を行う。
【0063】
時刻t24において、携帯電子機器200は、日本の時刻(再接続用)に基づいて、再接続動作を行う。時刻t24において、電子時計100も、日本の時刻(再接続用)に基づいて接続動作を行う。したがって、時刻t24において、再接続動作が成功し、同期が行われる。
【0064】
時刻t25において、携帯電子機器200は、電子時計100に再接続用の時刻を送信する。電子時計100は、携帯電子機器200から再接続用の時刻を受信すると、表示用の時刻及び再接続用の時刻を修正する。また、携帯電子機器200は、電子時計100に再接続用の時刻を送信すると、自身の再接続用の時刻を修正する。
【0065】
[電子時計100の動作の変形例]
図8は、実施形態に係る電子時計100の動作の変形例の一例を示す図である。同図を参照しながら、電子時計100の変形例について説明する。
図3において既に説明した内容については、同様の符号を付すことにより説明を省略する。ステップS10からステップS40については、既に
図3において説明したため、説明を省略する。
【0066】
(ステップS50) 通信制御部1013は、カウント部1113の値をクリアする。
(ステップS60) 通信制御部1013は、カウント部1113の値をクリアする。
(ステップS70) 通信制御部1013は、カウント部1113の値が、所定値以内であるか否かを判定する。通信制御部1013は、カウント部1113の値が、所定値以内である場合(ステップS70;YES)には、処理をステップS80に進める。通信制御部1013は、カウント部1113の値が、所定値以内でない場合(ステップS70;NO)には、処理をステップS90に進める。
【0067】
(ステップS80) 通信制御部1013は、次回通信時の所定時間(通信確立待ち状態)を長くする。
(ステップS90) 通信制御部1013は、再接続動作を以降行わないよう設定する。
なお、通信制御部1013は、操作受付部104により、再接続動作の要求を受け付けた場合には、処理を再開する。
【0068】
なお、通信制御部1013は、操作受付部104により通信を切断する操作を受け付けた場合は、再接続動作を以降行わないよう設定するよう構成してもよい。すなわち、通信制御部1013は、携帯電子機器200との通信を切断させる操作を操作受付部104が受け付けた場合に、携帯電子機器200との通信を切断させる操作を受け付けた以降は携帯電子機器200からの通信を受け付けないよう構成してもよい。
【0069】
[実施形態のまとめ]
以上説明した実施形態によれば、電子時計100は、第1計時部1011と、第2計時部1012とを備えることにより、表示用の時刻と、再接続用の時刻とを独立して時刻を計時する。電子時計100は、再接続用の時刻に基づいて、識別情報記憶部1114に記憶された通信相手である携帯電子機器200と通信を行う。
携帯電子機器200は、第1計時部208と第2計時部209とを備えることにより、表示用の時刻と、再接続用の時刻とを独立して時刻を計時する。携帯電子機器200は、再接続用の時刻に基づいて、記憶部204に記憶された通信相手である電子時計100と通信を行う。
したがって、本実施形態においては、表示用の時刻が変わった場合においても、再接続用の時刻に基づいて再接続動作を行うため、再接続することができる。
【0070】
また、以上説明した実施形態によれば、電子時計100は、受信部1112Rを備えることにより、携帯電子機器200の時刻が変わった場合において、表示用の時刻及び再接続用の時刻を修正する。携帯電子機器200は、再接続用の時刻を、送信した時刻に修正する。したがって、本実施形態によれば、次に行われる通信までの時間のズレを小さくすることができる。
【0071】
また、以上説明した実施形態によれば、電子時計100は、操作受付部104を備えることにより、携帯電子機器200との通信を切断する操作を受け付ける。電子時計100は、携帯電子機器200との通信を切断する操作を受け付けた以降は、再接続動作を行わない。したがって、本実施形態によれば、携帯電子機器200との通信が切断された後は再接続動作を行わないため、不要な再接続動作を防ぐことができ、消費電力を削減することができる。
【0072】
また、以上説明した実施形態によれば、電子時計100は、カウント部1113を備えることにより、電子時計100が携帯電子機器200との同期に失敗した回数をカウントする。無線通信制御部111は、カウント部1113のカウント結果に応じて、電子時計100と通信を試みる所定時間を変化させる。したがって、再接続用の時刻にずれが生じた場合であっても、再接続することができる。
【0073】
また、以上説明した実施形態によれば、通信制御部1013は、携帯電子機器200との通信を受け付けた後、カウント部1113のカウント結果をリセットする。したがって、電子時計100は、再接続用の時刻にずれが生じていない場合は、所定時間を短くすることにより、消費電力を低くすることができる。
【0074】
また、以上説明した実施形態によれば、通信制御部1013は、カウント部1113のカウント結果が所定の値以上である場合は、再接続動作を停止する。電子時計100は、携帯電子機器200との通信再開の見込みがないタイミングでの再接続動作を停止することにより、消費電力を抑えることができる。
【0075】
なお、上述した実施形態における電子時計100または携帯電子機器200が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0076】
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0077】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1…時計システム、100…電子時計、101…制御部、104…操作受付部、105…記憶部、108…電池、110…スイッチ、111…無線通信制御部、112…表示部、120…指針、121…輪列機構、122…ステッピングモータ、1011…第1計時部、1012…第2計時部、1013…通信制御部、1014…情報生成部、1015…情報送信部、1017…指針制御部、1018…時刻修正部、1111…アンテナ、1112…近距離無線通信部、1113…カウント部、1114…識別情報記憶部、1112T…送信部、1112R…受信部、200…携帯電子機器、201…制御部、202…入力部、203…表示部、204…記憶部、205…アンテナ、206…近距離無線通信部、207…位置情報取得部、208…第1計時部、209…第2計時部