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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/123 20060101AFI20231205BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G08G1/123 A
G08G1/00 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020047097
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021149350
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】河田 優佐
(72)【発明者】
【氏名】岩城 亮平
(72)【発明者】
【氏名】小倉 耕一
(72)【発明者】
【氏名】山本 憲作
(72)【発明者】
【氏名】近藤 友里恵
(72)【発明者】
【氏名】元吉 真広
【審査官】上野 博史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-082750(JP,A)
【文献】特開2019-211980(JP,A)
【文献】特開2019-215657(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G06Q 10/00-10/30
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を利用者に提供するサービスを管理する管理装置であって、
前記車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得する車両状態取得部と、
前記車両状態取得部により取得された前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を前記利用者に利用させる車両管理部と、
前記バッテリに電力を供給する充電設備の性能情報を取得する充電設備情報取得部と、を備え、
前記車両管理部は、前記充電設備情報取得部により取得された前記充電設備の性能が低いほど、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を安くする、
理装置。
【請求項2】
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を利用者に提供するサービスを管理する管理装置であって、
前記車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得する車両状態取得部と、
前記車両状態取得部により取得された前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を前記利用者に利用させる車両管理部と、を備え、
前記車両管理部は、前記車両状態取得部により前記バッテリの充電が完了したことを取得した場合に、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を、前記バッテリが充電中の利用料金よりも高くする、
理装置。
【請求項3】
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を利用者に提供するサービスを管理する管理装置であって、
前記車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得する車両状態取得部と、
前記車両状態取得部により取得された前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を前記利用者に利用させる車両管理部と、を備え、
前記車両状態取得部は、前記車両状態情報に含まれる前記バッテリのSOCに関する情報を取得し、
前記車両管理部は、
前記SOCの大きさに応じて、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる空間利用サービス用と、前記車両を走行させて前記利用者を輸送する輸送サービス用として分けて前記車両を管理し、
前記バッテリのSOCが閾値以下の場合に前記車両を前記空間利用サービス用として前記利用者に利用させ、
前記車両を前記空間利用サービス用として用いる場合に、前記バッテリのSOCが低いほど、前記車両の利用料金を安くする、
理装置。
【請求項4】
前記車両状態取得部は、前記車両状態情報に含まれる前記バッテリのSOCに関する情報を取得し、
前記車両管理部は、前記バッテリのSOCが低いほど、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を安くする、
請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項5】
前記車両管理部は、前記車両状態取得部により取得された車両状態情報に含まれる前記前記充電設備からの電力を前記バッテリに供給するための充電ケーブルと前記車両との接続状態に関する情報に基づいて、前記充電ケーブルが前記車両に接続された場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間として利用させるサービスを開始する、
請求項1から4のうち何れか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
前記車両管理部は、前記充電ケーブルが前記車両から取り外された場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間として利用させるサービスを終了する、
請求項5に記載の管理装置。
【請求項7】
前記充電ケーブルを前記車両に接続することで前記サービスが開始されること、または、前記充電ケーブルを前記車両から取り外すことで前記サービスが終了することを前記利用者に通知する情報提供部を更に備える、
請求項5または6に記載の管理装置。
【請求項8】
コンピュータが、
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得し、
取得した前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用者に利用させ、
前記バッテリに電力を供給する充電設備の性能情報を取得し、
取得した前記充電設備の性能が低いほど、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を安くする、
管理方法。
【請求項9】
コンピュータが、
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得し、
取得した前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用者に利用させ、
前記バッテリの充電が完了したことを取得した場合に、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を、前記バッテリが充電中の利用料金よりも高くする、
管理方法。
【請求項10】
コンピュータが、
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得し、
取得した前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用者に利用させ、
前記車両状態情報に含まれる前記バッテリのSOCに関する情報を取得し、
前記SOCの大きさに応じて、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる空間利用サービス用と、前記車両を走行させて前記利用者を輸送する輸送サービス用として分けて前記車両を管理し、
前記バッテリのSOCが閾値以下の場合に前記車両を前記空間利用サービス用として前記利用者に利用させ、
前記車両を前記空間利用サービス用として用いる場合に、前記バッテリのSOCが低いほど、前記車両の利用料金を安くする、
管理方法。
【請求項11】
コンピュータに、
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得させ、
取得された前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用者に利用させ、
前記バッテリに電力を供給する充電設備の性能情報を取得させ、
取得した前記充電設備の性能が低いほど、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を安くさせる、
プログラム。
【請求項12】
コンピュータに、
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得させ、
取得された前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用者に利用させ、
前記バッテリの充電が完了したことが取得された場合に、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を、前記バッテリが充電中の利用料金よりも高くさせる、
プログラム。
【請求項13】
コンピュータに、
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得させ、
取得された前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用者に利用させ、
前記車両状態情報に含まれる前記バッテリのSOCに関する情報を取得させ、
前記SOCの大きさに応じて、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる空間利用サービス用と、前記車両を走行させて前記利用者を輸送する輸送サービス用として分けて前記車両を管理させ、
前記バッテリのSOCが閾値以下の場合に前記車両を前記空間利用サービス用として前記利用者に利用させ、
前記車両を前記空間利用サービス用として用いる場合に、前記バッテリのSOCが低いほど、前記車両の利用料金を安くさせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置、管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両を利用するサービスとして、ドライバーが同乗しない自動運転車両を用いた送迎サービスに関する発明が開示されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-79462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種のサービスでは、車両により利用者を輸送するだけでなく、利用者が車両を走行させずに車室内の空間を利用する利用形態も考えられる。しかしながら、車室内の空間利用を目的とした車両の管理については考慮されていなかった。
【0005】
本発明の態様は、このような事情を考慮してなされたものであり、利用者が車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合であっても、より適切に車両の管理を行うことができる管理装置、管理方法、およびプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る管理装置、管理方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る管理装置は、運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を利用者に提供するサービスを管理する管理装置であって、前記車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得する車両状態取得部と、前記車両状態取得部により取得された前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を前記利用者に利用させる車両管理部と、を備える管理装置である。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記車両状態取得部は、前記車両状態情報に含まれる前記バッテリのSOCに関する情報を取得し、前記車両管理部は、前記バッテリのSOCが低いほど、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を安くするものである。
【0008】
(3):上記(1)または(2)の態様において、前記バッテリに電力を供給する充電設備の性能情報を取得する充電設備情報取得部を更に備え、前記車両管理部は、前記充電設備情報取得部により取得された前記充電設備の性能が低いほど、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を安くするものである。
【0009】
(4):上記(1)から(3)のうち何れか一つの態様において、前記車両管理部は、前記車両状態取得部により前記バッテリの充電が完了したことを取得した場合に、前記車両を走行させずに前記車室内の空間を前記利用者に利用させる場合の利用料金を、前記バッテリが充電中の利用料金よりも高くするものである。
【0010】
(5):上記(1)から(4)のうち何れか一つの態様において、前記車両管理部は、前記車両状態取得部により取得された車両状態情報に含まれる前記前記充電設備からの電力を前記バッテリに供給するための充電ケーブルと前記車両との接続状態に関する情報に基づいて、前記充電ケーブルが前記車両に接続された場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間として利用させるサービスを開始するものである。
【0011】
(6):上記(5)の態様において、前記車両管理部は、前記充電ケーブルが前記車両から取り外された場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間として利用させるサービスを終了するものである。
【0012】
(7):上記(5)または(6)の態様において、前記充電ケーブルを前記車両に接続することで前記サービスが開始されること、または、前記充電ケーブルを前記車両から取り外すことで前記サービスが終了することを前記利用者に通知する情報提供部を更に備えるものである。
【0013】
(8):本発明の他の態様に係る管理方法は、コンピュータが、運転手が乗車せずに自律走行可能な車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得し、取得した前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用者に利用させる、管理方法である。
【0014】
(9):本発明の他の態様に係るプログラムは、コンピュータに、運転手が乗車せずに自律走行可能な車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得させ、取得された前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を利用者に利用させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0015】
上記(1)~(9)の態様によれば、利用者が車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合であっても、より適切な車両制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】管理装置400を含む管理システム1の構成図である。
図2】車両200の構成図である。
図3】管理装置400の構成図である。
図4】利用者情報482の内容の一例を示す図である。
図5】利用リクエスト一覧情報484の内容の一例を示す図である。
図6】車両情報486の内容の一例を示す図である。
図7】利用状況管理テーブル488の内容の一例を示す図である。
図8】利用スケジュール情報490の内容の一例を示す図である。
図9】充電設備管理情報492の内容の一例を示す図である。
図10】料金設定情報494の内容の一例を示す図である。
図11】充電設備の性能に基づく料金設定情報494Aの内容の一例を示す図である。
図12】利用する車両200を利用者に選択させる画像の一例を示す図である。
図13】実施形態の管理システム1による一連の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照し、本発明の管理装置、管理方法、およびプログラムの実施形態について説明する。実施形態の管理装置は、車両の輸送サービスや空間利用サービス等を含む車両利用サービスを管理する。輸送サービスとは、例えば、運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を走行させて、指定区間において利用者を車両で輸送するサービスである。指定区間とは、例えば、車両に乗車する利用者、または他の利用者によって指定された区間である。また、区間とは、例えば、乗車地点から降車地点(目的地)までの区間である。空間利用サービスとは、例えば、車両を走行させずに車室内の空間を個室として利用者に利用させるサービスである。なお、輸送サービス中における利用者の車室内の利用は、空間利用サービスには含まれないものとする。
【0018】
[全体構成]
図1は、管理装置400を含む管理システム1の構成図である。管理システム1は、利用者の利用する一以上の端末装置100と、一以上の車両200と、一以上の充電設備300と、管理装置400とを含む。これらの構成要素は、ネットワークNWを介して互いに通信可能である。ネットワークNWは、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、公衆回線、プロバイダ装置、専用回線、無線基地局等を含む。
【0019】
[端末装置]
端末装置100は、例えば、スマートフォンやタブレット端末等、利用者が所持可能な携帯端末である。端末装置100では、上記の車両利用サービスを利用するためのアプリケーションプログラム、或いはブラウザ等が起動し、以下に説明する車両利用サービスをサポートする。以下の説明では端末装置100がスマートフォンであり、車両利用サービスを受けるためのアプリケーションプログラム(車両利用アプリ)が起動していることを前提とする。車両利用アプリは、利用者の操作に応じて管理装置400と通信し、利用者からの車両利用リクエストを管理装置400に送信したり、管理装置400から受信した情報に基づく情報提供を行ったりする。
【0020】
車両利用リクエストには、例えば、空間利用リクエストと輸送リクエストとを識別する識別情報である申込種別、乗車地点、降車地点、乗車希望時刻、利用人数等が含まれる。空間利用リクエストとは、車両200を走行させずに、車室内の空間を個室として利用することを要求する電子情報である。輸送リクエストとは、車両200によって利用者を、指定区間に亘って輸送することを要求する電子情報である。また、車両利用リクエストには、端末装置100の位置情報が含まれていてもよい。また、車両利用リクエストには、利用したい車載機器の情報や車室内情報が含まれていてもよい。図1の例では、三人の利用者U1、U2、U3を図示している。利用者U1は、利用者U1およびU2がサービスを受けるための車両利用リクエストを端末装置100に発信させる者である。利用者U3は、自身がサービスを受けるための車両利用リクエストを端末装置100に発信させる者である。このように様々な態様の利用者が存在してよい。
【0021】
[車両]
車両200は、少なくとも車室を備える車両である。図2は、車両200の構成図である。車両200は、例えば、監視ユニット210と、通信装置220と、ナビゲーション装置230と、車両センサ237と、HMI(Human Machine Interface)238と、車室内監視装置240と、認証装置242と、バッテリ244と、外部電力取得部246と、駆動力出力装置260と、ブレーキ装置262と、ステアリング装置264と、ドアロック装置266と、自動運転制御ユニット270とを備える。
【0022】
監視ユニット210は、例えば、車両200の外部の空間を撮像するカメラや車両200の外部を検知範囲とするレーダあるいはLIDAR(Light Detection and Ranging)、これらの出力に基づいてセンサフュージョン処理を行う物体認識装置等を含む。監視ユニット210は、車両200の周辺に存在する物体の種類(特に、車両、歩行者、および自転車)を推定し、その位置や速度の情報と共に自動運転制御ユニット270に出力する。
【0023】
通信装置220は、例えば、ネットワークNWに接続したり、他車両や利用者の端末装置100等と直接的に通信したりするための無線通信モジュールである。通信装置220は、Wi-Fi、DSRC(Dedicated Short Range Communications)、Bluetooth(登録商標)、その他の通信規格に基づいて無線通信を行う。通信装置220として、用途に応じた複数のものが用意されてもよい。
【0024】
ナビゲーション装置230は、例えば、ナビHMI232と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機234と、ナビ制御装置236とを備える。ナビHMI232は、例えば、タッチパネル式ディスプレイ装置やスピーカ、マイク等を含む。GNSS受信機234は、GNSS衛星から到来する電波に基づいて自機の位置(車両200の位置)を測位する。ナビ制御装置236は、例えば、CPU(Central Processing Unit)や各種記憶装置を備え、ナビゲーション装置230全体を制御する。記憶装置には、地図情報(ナビ地図)が格納されている。ナビ地図は、ノードとリンクで道路を表現した地図である。ナビゲーション装置230は、通信装置220を用いて、測位した位置を示す位置情報を管理装置400にアップロードする。位置情報のアップロードは、例えば、ミリ秒~秒単位で周期的に行われる。
【0025】
車両センサ237は、車両200の速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、車両200の向きを検出する方位センサ等を含む。また、車両センサ237は、車両200の位置を検出する位置センサを含んでいてもよい。位置センサは、例えばGNSS受信機234でもよく、他のGPS(Global Positioning System)装置であってもよい。また、車両センサ237は、車両200に搭載されたバッテリ244の電流値、電圧値、温度を検出するバッテリセンサを含んでいてもよい。
【0026】
HMI238は、車室内または車室外にいる利用者との間で情報授受を行うインターフェース装置である。HMI238は、例えば、表示装置、スピーカ、タッチパネル、ボタン、マウス、キーボード等の入出力インターフェースを含む。HMI238は、例えば、インストルメントパネルに設けられていてもよく、車室内の各シートの正面付近にシートごとに設けられていてもよい。
【0027】
車室内監視装置240は、例えば、車室内の空間を撮像する車室内カメラや赤外線センサ等を含む。カメラによって撮像された画像や赤外線センサによる検出結果(例えば、乗車人数等)は、自動運転制御ユニット270に出力されてもよく、通信装置220によって管理装置400にアップロードされてもよい。
【0028】
認証装置242は、車両200に乗車しようとする利用者が、正規な利用者であることを確認する(利用者を認証する)ための装置である。正規な利用者とは、管理装置400との間で乗車する取り決めがなされた利用者をいう。認証装置242は、近距離無線通信装置、生体認証装置、パスワード入力装置等、認証機能を有するものであれば任意の装置であってよい。認証装置242は、認証結果を自動運転制御ユニット270に出力する。
【0029】
バッテリ244は、主に車両200の走行用の電力を蓄える蓄電池である。バッテリ244は、例えば、リチウムイオン電池等の二次電池である。バッテリ244には、外部電力取得部246により車両200の外部の充電設備300から導入される電力を蓄え、車両200の走行のための放電を行う。また、バッテリ244は、例えば、供給される電力を用いて動力を駆動輪に出力するモータ(不図示)が、車両200の減速時に車両200の運動エネルギーを用いて発電した電力や、ブレーキ装置262が作動することで発生した回生電流によって充電されてもよい。また、バッテリ244は、車載機器等に電力を供給してもよい。
【0030】
外部電力取得部246は、充電設備300から供給される電力を取得しバッテリ244に出力する。外部電力取得部246は、例えば、充電口246Aを備えている。充電口246Aは、車両200の車体外部に向けて設けられている。充電口246Aは、充電ケーブル320を介して充電設備300に接続される。充電ケーブル320は、第1プラグ322と第2プラグ324を備える。第1プラグ322は、充電設備300に接続され、第2プラグ324は、充電口246Aに接続される。充電設備300から供給される電力は、充電ケーブル320を介して充電口246Aに供給される。外部電力取得部246は、例えば、充電口246Aに設けられたセンサにより、第2プラグ324(言い換えると、充電ケーブル320)が接続されているか否かを判定し、接続されていると判定された場合に、充電口246Aに供給された電力をバッテリ244に供給する。この場合、外部電力取得部246は、充電設備300から供給される直流電力を、第1プラグ322、充電ケーブル320、第2プラグ324、および充電口246Aを介してバッテリ244に伝達する。
【0031】
また、外部電力取得部246は、例えば、バッテリ244のSOC(State Of Charge)を検出したり、所定時間におけるSOCの増加量が所定値以上であるか否かによってバッテリ244が充電中であるか否かを判定してもよい。SOCは、例えば、充電率や充電残量である。以下では、充電率として説明する。また、外部電力取得部246は、バッテリ244の充電率が満充電(100[%])または予め決められた閾値以上(例えば、90[%]以上)となるまで充電された場合に、バッテリ244への電力の供給を停止する。また、外部電力取得部246は、バッテリ244から伝達される直流電力を、充電口246A、第2プラグ324、充電ケーブル320、第1プラグ322を介して充電設備300または外部機器(例えば、他車両)に供給してもよい。
【0032】
また、外部電力取得部246は、充電ケーブル320を介さずに、無線給電方式により非接触で充電設備300から供給される電力を取得可能な機構を備え、上記機構を用いて外部電力を取得してもよい。上述した外部電力取得部246の処理の一部または全部は、バッテリ状態管理部292による制御によって実行されてよい。外部電力取得部246は、上述した処理により得られる各種情報を自動運転制御ユニット270に出力する。
【0033】
駆動力出力装置260は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。駆動力出力装置260は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機等の組み合わせと、これらを制御するパワーECU(Electronic Control Unit)とを備える。パワーECUは、自動運転制御ユニット270から入力される情報、或いは不図示の運転操作子から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0034】
ブレーキ装置262は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、自動運転制御ユニット270から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置262は、運転操作子に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。なお、ブレーキ装置262は、上記説明した構成に限らず、自動運転制御ユニット270から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0035】
ステアリング装置264は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、自動運転制御ユニット270から入力される情報、或いは運転操作子から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0036】
ドアロック装置266は、後述するドアロック制御部284の制御等により車両200に設けられたドアを施錠状態または開錠状態にする。ドアロック装置266は、ドアを自動開閉させる機構を含んでもよい。
【0037】
自動運転制御ユニット270は、車両200の他の車載機器から得られる情報や管理装置400から送信される情報等に基づいて、車両利用サービスに関する各種制御を実行する。例えば、車両利用サービスが輸送サービスである場合、自動運転制御ユニット270は、乗員の操作に依らずに車両200の操舵または加減速のうち一方または双方を制御して自動運転における走行制御を実行する。また、自動運転制御ユニット270は、輸送サービスや空間利用サービスにおける利用者の車両200に関する利用制御等を行う。
【0038】
自動運転制御ユニット270は、例えば、経路走行制御部272と、乗降位置探索部274と、利用者認識部276と、乗降制御部280と、HMI制御部290と、バッテリ状態管理部292と、利用制御部294と、記憶部296とを備える。乗降制御部280は、例えば、停止・発進制御部282と、ドアロック制御部284とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶部296は、例えば、HDD、DVDやRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等により実現される。記憶部296には、車両利用サービスを提供するための各種情報やプログラム等の情報が記憶される。
【0039】
経路走行制御部272は、輸送サービス時において、指定された経路を車両200が走行するように、駆動力出力装置260、ブレーキ装置262、およびステアリング装置264を制御する。経路の情報(走行スケジュール等)は、通信装置220によって管理装置400から受信される。経路の情報には、利用者ごとの乗車位置や降車位置の情報が含まれる。経路走行制御部272は、例えば、管理装置400から取得した経路を高精度地図情報に当てはめ、経路上で車両200が走行すべき推奨車線を決定する。高精度地図情報は、ナビゲーション装置230が保持する地図情報よりも高精度なものであり、例えば、車線ごとの道路幅や勾配、曲率、信号の位置等の情報が含まれている。推奨車線とは、例えば、交差点等を左折する前に左側車線に寄っておく等の基準に基づいて、経路上を効率的に走行するために決定される車線である。高精度地図情報は、例えば、記憶部296に記憶されてもよく、管理装置400から取得してもよい。
【0040】
そして、経路走行制御部272は、推奨車線上を走行することを原則としつつ、監視ユニット210から位置や速度が入力された物体との接触を避けるように、車両200を自動的に走行させる。経路走行制御部272は、車両200が将来に走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、車両200の到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、所定の走行距離ごとの車両200の到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。また、軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における車両200の到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。乗降制御部280も同様に係る機能を備えている。
【0041】
乗降位置探索部274は、監視ユニット210からの入力情報や記憶部296に記憶された高精度地図情報等を参照し、管理装置400から取得された経路の情報に含まれる乗車位置や降車位置において、車両200を停止させて利用者を乗車または降車させることができる停止位置(乗降位置)を探索する。乗降位置探索部274は、監視ユニット210からの入力情報に基づいて認識可能な道路上の白線や黄線、道路標識、道路幅、歩道やガードレールの有無等に基づいて、乗降位置を探索して決定する。
【0042】
利用者認識部276は、監視ユニット210からの入力情報に基づいて、車両200に乗車しようとしている利用者を認識する。利用者認識部276は、例えば、監視ユニット210に含まれるカメラの画像を、機械学習によって学習され「乗車しようとしている利用者」を判別可能なモデルに入力することで、車両200に乗車しようとしている利用者を認識する。
【0043】
乗降制御部280の停止・発進制御部282は、乗降位置探索部274により探索され決定された乗降位置に車両200を停止させるための減速制御や操舵制御を行ったり、乗降位置から車道に向けて車両200を発進させるための減速制御や操舵制御を行ったりする。
【0044】
ドアロック制御部284は、例えば、車両200が乗降位置に停止し、且つ認証装置242から利用者の認証が成功した旨の情報が得られた場合に、ドアロック装置266の所定のドアのドアロック(鍵)を開錠状態にする。また、ドアロック制御部284は、利用者が車両200に乗車した後、停止・発進制御部282によって車両200が発進させられる前に、ドアロック装置266の所定のドアのドアロックを施錠状態にする。また、ドアロック制御部284は、停止中の車両200に接近してくる利用者が乗車しようとしている利用者である場合に、ドアロック装置266の所定のドアのドアロックを開錠状態にする制御を行ってもよい。また、ドアロック制御部284は、空間利用サービスを開始するタイミングでドアロックを開錠状態にし、空間利用サービスを終了したタイミングでドアロックを施錠状態にする制御を行ってもよい。
【0045】
HMI制御部290は、利用者に向けて各種情報を出力するようにHMI238を制御したり、HMI238が受け付けた利用者からの指示を反映させるようにHMI238や、その他の機器を制御する。
【0046】
バッテリ状態管理部292は、外部電力取得部246により取得された情報に基づいて、バッテリ244の充電状態やSOCを管理したり、外部電力取得部246を制御する。充電状態には、例えば、充電ケーブル320が接続されているか否かを示す接続状態や、充電中か否かを示す状態、充電が完了したか否かを示す状態等が含まれる。また、バッテリ状態管理部292は、バッテリセンサから検出されたバッテリ244の電流値、電圧値、温度等に基づいてバッテリ244の劣化度合を推定してもよい。例えば、バッテリ状態管理部292は、現在のバッテリ244の満充電の容量(現在最大容量)を取得し、取得した現在最大容量と、予め決められた初期最大容量とに基づいて、現在最大容量の初期最大容量に対する最大容量比(現在最大容量/初期最大容量)を導出する。最大容量比は、バッテリ244の劣化状態を示す情報の一例であり、最大容量比が小さいほどバッテリ244の劣化は大きくなる。また、バッテリ状態管理部292は、第1時点と第1時点から所定時間経過後の第2時点との間のバッテリ244の充電電流の積算値(△I[Ah])を、バッテリ244の第1充電率とバッテリ244の第2充電率との差分(△SOC[%])で除算した値に基づき、バッテリ244の劣化度合を導出してもよい。バッテリ状態管理部292は、バッテリ244の充電状態やSOC、劣化度合等の充電に関する情報を管理装置400に送信する。
【0047】
利用制御部294は、管理装置400から送信される制御情報に基づいて利用者に車両利用サービスを提供するための制御を行う。例えば、車両利用サービスが空間利用サービスである場合に、利用者による車両200の走行を禁止する制御を行う。この場合、利用制御部294は、車両200の走行ができないことを示す情報をHMI238から出力して利用者に通知してもよい。また、利用制御部294は、輸送サービスや空間利用サービスにおいて、利用可能な車載機器を制限してもよい。
【0048】
[充電設備]
充電設備300は、車両200に搭載されたバッテリ244を充電するための設備である。例えば、充電設備300は、自宅や商業施設の駐車場、その他の充電スポット等に設けられる。充電設備300は、例えば、電力供給時に、電力を供給した車両200やバッテリ244に関する情報を取得する。また、充電設備300は、車両200バッテリ244に関する情報や、充電設備情報を、ネットワークNWを介して管理装置400に送信する。充電設備情報とは、例えば、充電設備の性能に関する情報である。充電設備の性能とは、例えば、所定時間の最大供給電力や、急速充電設備の有無、同時利用台数、有線および無線のそれぞれにおける電力供給が可能か否か等のパフォーマンスに関する情報が含まれる。充電設備の性能が高いほど、バッテリ244は、より短時間で充電が完了する。
【0049】
充電設備300の充電ケーブル320は、車両200の利用者によって取り付け(接続)や取り外しが行われてもよく、充電設備300の管理者や従業員(サービスマン)によって取り付けや取り外しが行われてもよい。
【0050】
[管理装置]
図3は、管理装置400の構成図である。管理装置400は、例えば、通信部410と、フロント処理部420と、取得部430と、車両管理部440と、認証部450と、利用車両決定部460と、経路決定部465と、決済処理部470と、記憶部480とを備える。フロント処理部420は、例えば、受付部422と、情報提供部424とを備える。取得部430は、例えば、車両状態取得部432と、充電設備情報取得部434とを備える。これらの構成要素は、例えば、CPU等のハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPU等のハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予めHDDやフラッシュメモリ等の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROM等の着脱可能な記憶媒体(非一過性の記憶媒体)に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることで記憶装置にインストールされてもよい。記憶部480は、例えば、DVDやRAM、フラッシュメモリ等により実現される。記憶部480には、例えば、利用者情報482、利用リクエスト一覧情報484、車両情報486、利用状況管理テーブル488、利用スケジュール情報490、充電設備管理情報492、料金設定情報494、地図情報496、プログラム等の情報が記憶される。
【0051】
図4は、利用者情報482の内容の一例を示す図である。利用者情報482は、例えば、利用者を特定する認証情報に対して、氏名、性別、年齢、住所、職業、緊急連絡先等が対応付けられたものである。認証情報には、例えば、利用者を識別する識別情報である利用者IDやパスワード等が含まれる。また、認証情報には、指紋情報や虹彩情報等の生体認証情報が含まれてもよい。利用者情報482の各項目は、管理装置400が管理する車両利用サービスへの加入時等に登録される。管理装置400の各部は、利用者情報482を参照して各種処理を行う。
【0052】
図5は、利用リクエスト一覧情報484の内容の一例を示す図である。利用リクエスト一覧情報484は、例えば、利用者IDに対して、申込種別、乗車地点、降車地点、乗車希望時刻、利用人数、利用車両決定部460により利用者に利用させる車両200が決定されたか否かを示す決定済フラグ等の情報が対応付けられたものである。申込種別、乗車地点、降車地点、乗車希望時刻、および利用人数は、例えば、端末装置100からの車両利用リクエストに含まれる情報である。例えば、空間利用リクエストが申し込まれた場合、車両200は走行しないため、降車地点の情報は格納されないか、または、乗車地点と同様の地点が降車地点に格納される。また、輸送リクエストの場合には、乗車地点および降車地点が輸送に係る区間の始点および終点となる。図5の例では、空間利用リクエストが申し込まれた場合には、申込種別に「1」が格納され、輸送リクエストが申し込まれた場合には、申込種別に「2」が格納されているが、識別が可能な他の式悦情報を用いてもよい。また、図5の例では、利用者に利用させる車両200が決定された場合には決定済フラグに「1」が格納され、利用させない場合は決定済フラグに「0」が格納されるが、他の識別情報を用いてもよい。一つのリクエストに係る、1セットの申込者ID、利用者ID、乗車地点、降車地点、乗車希望時刻、および決定済フラグのことを「レコード」と称する。リクエストは、一つのレコードが生成されるのに必要な内容を含む、任意の形式の情報である。
【0053】
図6は、車両情報486の内容の一例を示す図である。車両情報486は、管理装置400が管理する車両200を識別する識別情報である車両IDに対して、車載機器情報、車室内情報、同時に乗車可能な最大乗車人数[人]等が対応付けられたものである。車載機器情報には、例えば、通常の設備とは異なる設備(例えば、高性能音響設備やDVD再生装置、テレビ電話機能)に関する情報が含まれる。車室内情報には、例えば、車室内の環境(例えば、シートの回転の可否、テーブルの有無、シートの材質、照明設備の内容)に関する情報である。車載機器情報、車室内情報、および最大乗車人数は、利用者に利用させる車両200を決定する際の基準となる情報の一例である。車両情報486は、車両200が管理装置400の管理対象となった場合に登録され、車載機器や車室内情報の変更によって更新される。
【0054】
図7は、利用状況管理テーブル488の内容の一例を示す図である。利用状況管理テーブル488は、車両IDに、現在の利用状況、現在位置、車両200が充電中であるか否を示す識別情報である充電状態フラグ、車両200に搭載されたバッテリ244の充電率が対応付けられた情報である。利用状況には、例えば、輸送サービスに利用されている状況と、空間利用サービスに利用されている状況と、利用者に利用されていない空き状況とを識別する識別情報とが含まれる。また、利用状況には、利用時間や利用者IDの情報が含まれてもよい。充電状態フラグは、図7の例では、車両200が充電中である場合に「1」が格納され、充電中でない場合に「0」が格納されているが、他の識別情報を用いてもよい。
【0055】
図8は、利用スケジュール情報490の内容の一例を示す図である。利用スケジュール情報490は、例えば、車両IDおよび利用日ごとに生成される。利用スケジュール情報490は、例えば、乗降地点、予定到着時刻、乗車か降車かを示す情報、乗降する利用者の利用者ID等の情報が時系列に並べられた情報である。図8の例では、車両ID「V001」の利用日「2020/04/30」における輸送利用のスケジュールが示されているが、空間利用についても同様にスケジュールが格納される。
【0056】
図9は、充電設備管理情報492の内容の一例を示す図である。充電設備管理情報492は、例えば、充電設備300を識別する識別情報である充電設備IDに、性能情報が対応付けられた情報である。性能情報には、例えば、各充電設備300から所定の周期またはタイミングにより取得される充電設備情報が格納される。所定のタイミングとは、例えば、充電設備300から車両200への電力の供給を開始したタイミングまたは供給が完了したタイミングである。性能情報には、電力を供給した車両200やバッテリ244に関する情報が含まれてよい。また、性能情報は、充電設備情報等に基づいて設定した性能を表す指標値(例えば、性能A、B、C等)が格納されてもよい。
【0057】
図10は、料金設定情報494の内容の一例を示す図である。料金設定情報494は、例えば、バッテリ244の充電率[%]に所定時間(例えば、1時間)あたりの車両200の利用料金[円]が対応付けられた情報である。例えば、車両管理部440は、図10に示すようにバッテリ244の充電率が低いほど、安い利用料金を設定する。図10の例では、充電率が50[%]未満(0~49[%])と、50~79[%]と、80~99[%]と、100[%](満充電)とで異なる利用料金が格納されているが、充電率や金額については、これに限定されるものではない。
【0058】
また、車両管理部440は、バッテリ244の充電率に代えて、充電設備の性能に所定時間あたりの利用料金[円]が対応付けられた情報を料金設定情報として格納してもよい。図11は、充電設備の性能に基づく料金設定情報494Aの内容の一例を示す図である。充電設備の性能に所定時間あたりの利用料金[円]が対応付けられた料金設定情報494Aの内容の一例を示す図である。例えば、車両管理部440は、図11に示すように、充電設備300の性能が低いほど、安い利用料金が設定されている。図11の例では、性能Aが充電設備の性能が最も高く、性能B、性能Cの順に充電設備の性能が低くなるものとする。なお、性能として格納される情報や金額については、これに限定されるものではなく、例えば、急速充電設備の有無や同時利用台数等の充電設備300の具体的な設備内容に応じた料金が格納されてもよい。
【0059】
地図情報496は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。また、地図情報496は、例えば、車線の中央の情報あるいは車線の境界の情報等を含んでいる。また、地図情報496には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報等が含まれてよい。地図情報496は、通信部410が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。地図情報496には、例えば、高精度地図情報が含まれる。
【0060】
通信部410は、例えば、ネットワークNWに接続するためのネットワークカードである。通信部410は、ネットワークNWを介して端末装置100や車両200、他の外部装置と通信する。
【0061】
受付部422は、通信部410を介して、利用者の端末装置100から送信された車両利用リクエストを取得し、利用リクエスト一覧情報484の1レコードとして登録する。
【0062】
情報提供部424は、利用者の端末装置100に情報を送信することで、端末装置100のアプリケーションプログラムと連携して、端末装置100に利用者に対する情報提供を行わせる。情報提供の形態はこれに限らず、電子メールやウェブページ提供の形態で行われてもよい。また、情報提供部424は、車両200に乗車中の利用者に対して車両200のHMI238を介して情報を提供してもよい。
【0063】
車両状態取得部432は、ネットワークNWを介して車両200から充電設備300によるバッテリ244の充電状態を含む車両状態を取得する。また、車両状態取得部432は、車両200から、充電設備300の充電ケーブル320と車両200との接続状態に関する情報を取得してもよい。また、車両状態取得部432は、車両200から、車両200の位置や車載機器、車室内情報、最大乗車人数、サービスの利用状況(例えば、乗車人数)に関する情報、HMI238を用いた利用者の操作内容等の情報等を取得してもよい。車両状態取得部432は、取得した情報を、車両情報486や利用状況管理テーブル488に記憶させる。
【0064】
充電設備情報取得部434は、バッテリ244に電力を供給する充電設備300の性能情報を取得する。また、充電設備情報取得部434は、現在の利用台数や、供給している車両200やバッテリ244に関する情報を取得してもよい。充電設備情報取得部434は、取得した情報を、充電設備IDに対応付けて充電設備管理情報492に記憶させる。
【0065】
車両管理部440は、車両利用サービスとして利用する車両200を管理する。例えば、車両管理部440は、車両状態取得部432により取得されたバッテリ244の充電状態に基づいて、バッテリ244が充電設備300からの電力によって充電中であると判定された場合に、その車両を空間利用サービス用として利用者に利用させる。また、車両管理部440は、バッテリ244の充電率が閾値以下の車両200を空間利用サービス用車両としてもよい。また、車両管理部440は、車両200が充電中ではなく、充電率が閾値以上である場合に、その車両を輸送サービス用として利用者に利用させる。
【0066】
また、車両管理部440は、車両利用サービスに利用する車両200の利用料金を管理する。例えば、車両管理部440は、車両200を空間利用サービスに用いる場合に、バッテリ244の充電率が低いほど、その車両200の利用料金を安くする。この場合、車両管理部440は、車両状態取得部432により取得されたバッテリ244の充電率に基づいて、料金設定情報494を参照し、バッテリ244の充電率に該当する充電率に対応付けられた利用料金を取得する。
【0067】
また、車両管理部440は、バッテリ244の充電率に代えて(または加えて)バッテリ244に電力を供給する充電設備300の性能が低いほど、その車両200の利用料金を安くしてもよい。この場合、車両管理部440は、充電設備情報取得部434により取得され、記憶部480に記憶された充電設備管理情報492に基づいて、バッテリ244に接続された充電設備300の性能を取得し、取得した性能に基づいて料金設定情報494Aを参照し、合致する性能に対応付けられた利用料金を取得する。これにより、性能の低い充電設備の利用を促進することができる。また、料金を低く設定することで、長時間の利用を促すことができる。
【0068】
また、車両管理部440は、車両状態取得部によりバッテリ244の充電が完了したこと(すなわち、バッテリ244が満充電になったこと)を取得した場合に、車両200の空間利用としての料金を、バッテリ244が充電中である場合の利用料金よりも高く設定してもよい。これにより、輸送サービスに利用可能な車両200が、空間利用サービスに利用され続けることを抑制することができる。この場合、車両管理部440は、情報提供部424により、利用料金が高くなること示す情報を端末装置100や車両200から出力させて、利用者に通知してもよい。
【0069】
また、車両管理部440は、空間利用サービスの開始や終了を、車両状態取得部432により取得される車両情報に基づいて管理してもよい。例えば、車両管理部440は、車両状態取得部432により充電ケーブル320が車両200の充電口246Aに接続されていない状態から充電ケーブル320が接続された場合に空間利用サービスを開始する。また、車両管理部440は、車両状態取得部432により充電ケーブル320が車両200に接続された状態で空間利用サービスを開始した場合に、充電ケーブル320が車両200から取り外された場合に空間利用サービスを終了する。なお、充電ケーブル320の接続(取り付け)や取り外しは、利用者によって行われてもよく、充電設備300の管理者や従業員が行ってもよい。
【0070】
また、車両管理部440は、情報提供部424により、充電ケーブル320を車両200に接続することで空間利用サービスが開始されること、または、充電ケーブル320を車両200から取り外すことで空間利用サービスが終了することを示す情報を端末装置100に送信させて、利用者に通知してもよい。これにより、空間利用サービスの開始や終了のタイミングを、より明確に利用者に把握させることができる。また、車両管理部440は、充電ケーブル320が接続されたことを検知したタイミングで、車両200のドアロックを開錠させ、利用者の乗車を可能にする制御情報を車両に送信してもよい。また、予め空間利用サービスの終了時間が利用者により設定され、その終了時間の間近(所定時間前)になってもバッテリ244の充電率が所定値以下である場合、車両管理部440は、充電ケーブル320を取り外さずに空間利用サービスを終了する制御を行ってもよい。
【0071】
また、車両管理部440は、情報提供部424により、端末装置100のディスプレイや車両200のHMI238に、空間利用サービスの開始および終了のそれぞれが選択できるGUI(Graphical User Interface)スイッチを含む画像を表示させ、サービスを開始させるためのGUIスイッチが選択された場合に空間利用サービスを開始し、サービスを終了させるためのGUIスイッチが選択された場合に空間利用サービスを終了してもよい。
【0072】
なお、輸送サービスの場合には、車両管理部440は、車両200が目的地までの走行を開始したタイミングを輸送サービスの開始タイミングとし、目的地に到着したタイミングを輸送サービスの終了タイミングとする。
【0073】
認証部450は、車両利用サービスの申し込み時や利用開始時において、車両200の利用者の認証処理を行う。例えば、認証部450は、端末装置100から管理装置400にアクセスがあった場合に、利用者IDやパスワード等の認証情報を入力する認証画像を生成し、生成した画像を端末装置100に表示させると共に、表示された画像を用いて入力された認証情報に基づいて、記憶部480に記憶された利用者情報482を参照して、認証情報に合致する情報が格納されているか否かによって、車両利用サービスの利用を許可するか否かを判定する。例えば、認証部450は、認証情報に合致する情報が利用者情報482に含まれる場合にはサービスの利用を許可し、合致する情報が含まれていない場合にはサービスの利用を拒否するか、新規登録を行わせるための処理を行う。
【0074】
また、認証部450は、車両200に搭載された認証装置242および利用者認識部276と連携して車両200に乗車した利用者からの認証情報を受け付けて認証を行ってもよい。
【0075】
利用車両決定部460は、利用リクエスト一覧情報484に登録されたレコードに基づいて、車両管理部440による管理内容に基づき、車両情報486および利用状況管理テーブル488を参照し、利用者のリクエストに合致する車両200を決定する。例えば、利用車両決定部460は、車両利用リクエストに含まれる乗車地点または端末装置100の位置情報に基づいて、利用状況管理テーブル488の現在位置を参照し、所定距離以内にある車両であって、利用状況が空きの車両を抽出する。また、利用車両決定部460は、抽出された車両に関する情報を車両情報486から取得し、車両利用リクエストに含まれる利用人数以上の人数の乗車が可能であり、且つ、リクエストされた車載機器情報や車室内情報等の条件を満たす車両、または各条件との合致度が閾値以上の車両を抽出する。更に、利用車両決定部460は、車両管理部440により輸送サービス用または空間利用サービス用に分類された車両200の中からリクエストに対応するサービスの車両を抽出する。
【0076】
ここで、利用者のリクエストに合致する車両が複数存在する場合、利用車両決定部460は、情報提供部424により合致する複数の車両(利用候補車両)に関する情報を利用者の端末装置100に送信する。このとき、情報提供部424は、それぞれの車両200に搭載されたバッテリ244の充電率を利用状況管理テーブル488から取得し、取得した充電率に基づいて料金設定情報494を参照し、充電率に対応付けられた利用料金を取得する。そして、情報提供部424は、利用可能な車両に関する情報を利用料金順に並べた画像を生成し、生成した画像を端末装置100に表示させて、利用する車両200を利用者に選択させる。
【0077】
図12は、利用する車両200を利用者に選択させる画像の一例を示す図である。なお、画像IM1のレイアウトや表示内容等の表示態様については、以下の例に限定されるものではない。以降の画像の説明においても同様とする。図12に示す画像IM1には、車両選択画面として、例えば、候補車両表示領域A11と、スイッチ表示領域A12とが含まれる。候補車両表示領域A11には、利用車両決定部460が車両候補として抽出した利用者のリクエスト条件を満たす車両の一覧が表示される。図12の例において、候補車両表示領域A11には、候補となる車両ごとに、車両IDと、現在位置と、利用料金とが表示されているが、これに加えてバッテリ244の充電率に関する情報を表示されていてもよい。候補となる車両は、例えば、利用料金の安い順に表示される。これにより、空間利用サービスを安価に利用させ易くすることができる。また、バッテリ244の充電率が少なく輸送サービスに利用できない車両を空間利用サービスとして利用してもらい易くすることで、車両200をより有効に利用させることができる。なお、車両候補を表示させる順序は、料金の高い順でもよく、現在位置から端末装置の位置までの距離が短い順でもよい。
【0078】
また、候補車両表示領域A11には、複数の車両候補から一つを選択するためのチェックボックスCB11や各車両の詳細情報を選択するGUIスイッチIC11が表示されている。何れかの車両に対応するGUIスイッチIC11が選択された場合、情報提供部424は、選択されたGUIスイッチに対応付けられた車両IDに基づいて車両情報486の車両IDを参照し、合致する車両IDに対応付けられた車載機器情報、車室内情報、および最大乗車人数等を取得する。そして、情報提供部424は、取得した情報を含む画像を生成し、生成した画像を端末装置100のディスプレイ等に表示させる。これにより、利用者は、候補車両の詳細情報を確認しながら、より適切な車両を選択することができる。
【0079】
スイッチ表示領域A12には、例えば、アイコンIC12と、アイコンIC13とが含まれる。アイコンIC12は、候補車両表示領域A11のチェックボックスCB11にチェックした情報に基づいて管理装置400に利用対象車両を決定させることを受け付けるGUIスイッチ(図12に示すOKボタン)である。アイコンIC13は、管理装置400に車両の利用をキャンセルさせることを受け付けるGUIスイッチ(図12に示すCANCELボタン)である。
【0080】
図12の例において、アイコンIC12の選択を受け付けた場合、利用車両決定部460は、複数の車両のうち利用者により選択された車両を、利用者が利用する車両として決定する。また、アイコンIC13の選択を受け付けた場合、利用車両決定部460は、車両の決定を行わず、車両利用リクエストによる処理を終了する。また、リクエストに基づき抽出された車両が1台である場合、利用車両決定部460は、その車両を利用者が利用する車両として決定する。
【0081】
また、利用車両決定部460は、利用車両が決定した場合に、決定車両に対する利用者の利用スケジュールを決定し、決定した利用スケジュールを利用スケジュール情報490に登録する。なお、輸送リクエストに対する利用スケジュールを決定する場合、利用車両決定部460は、利用リクエスト一覧情報484の対象リクエストに含まれる乗車希望時刻に基づいて、乗車の場合の予定到着時刻を決定し、当日の交通情報並びに法定速度の情報等を加味して降車の場合の予定到着時刻を決定する。
【0082】
また、利用車両決定部460は、利用車両が決定した場合に、利用リクエスト一覧情報484に含まれる対象リクエストの決定済フラグに「1」を格納する。また、リクエストに合致する車両200が存在しない場合に、利用リクエスト一覧情報484の決定済フラグに「0」を格納する。利用車両決定部460は、決定済フラグが「0」のレコードについて、所定時間経過後に再度利用車両の検索を行ってもよい。利用車両決定部460は、車両管理部440に含まれていてもよい。
【0083】
経路決定部465は、利用者による車両200の利用態様が輸送である場合に、利用スケジュール情報490と地図情報496とに基づいて、車両200に指示する経路を決定し、通信部410を用いて車両200に経路の情報を送信する。経路決定部465の機能は、既存のナビゲーションシステムと同様である。車両200は、経路決定部465により決定された経路にしたがって、自動運転を実行し利用者を乗車させて目的地まで輸送する輸送サービスを提供する。また、経路決定部465は、利用者による車両200の利用態様が空間利用である場合に、利用スケジュール情報490と地図情報496とに基づいて、利用者が利用したい位置まで車両200を移動させるための経路を決定し、通信部410を用いて車両200に経路の情報を送信してもよい。これにより、利用者が利用したい位置に車両Mを移動させて空間利用サービスを提供することができる。
【0084】
決済処理部470は、利用者から料金を徴収するための処理を行う。例えば、決済処理部470は、車両管理部440により設定された利用料金を利用者に提示し、利用者から料金を徴収する。この場合、決済処理部470は、電子マネーやクレジットカードの決済を管理する外部装置と連携して決済処理を行ってもよい。また、決済処理部470は、空間利用サービスを利用した場合には、車両管理部440により設定された利用料金に加え、使用した車載機器、消費電力量、および利用人数のうち少なくとも一つの情報に基づいて請求金額を加算してもよい。また、決済処理部470は、輸送サービスを利用した場合、輸送距離、輸送時間、および利用人数のうち少なくとも一つの情報に基づいて請求金額を算出する。また、決済処理部470は、例えば、利用する時間帯に応じて通常の算出金額から割引または割増を行ってもよい。例えば、決済処理部470は、空き車両が多い時間帯に利用する場合や車載バッテリの充電時の車両に対して空間利用サービスを利用する場合には利用料の割引を行い、混雑する時間帯や空き車両が少ない場合での利用には利用料の割り増し等を行う。これにより、空き車両が多い状況での利用を促進させると共に、空き車両が少ない状況での利用を抑制することができる。また、決済処理部470は、車種や車両ごとの性能や、バッテリ244の劣化度合等に応じて金額を調整してもよい。
【0085】
[処理シーケンス]
以下、実施形態の管理システム1による一連の処理の流れについて説明する。なお、以下では、実施形態の管理システム1による処理として、利用者が利用する端末装置100、車両200、および管理装置400を用いた処理について説明する。また、以下では、主に車両利用リクエストが空間利用リクエストである場合を中心として説明する。
【0086】
図13は、実施形態の管理システム1による一連の処理の流れを示すシーケンス図である。図13の例において、利用者は、端末装置100から管理装置400に利用者情報の登録処理を行う(ステップS100)。また、車両200は、車両200の利用状態や現在位置を示す情報等を管理装置400に送信する(ステップS102)。管理装置400は、端末装置100から送信された利用者情報を受信し、受信した情報を利用者情報482に記憶させると共に、車両200から送信された情報を利用状況管理テーブル488や車両情報486に記憶させる(ステップS104)。ステップS104の処理において、管理装置400は、充電設備300から受信した充電設備情報を充電設備管理情報492に記憶させてもよい。また、上述したステップS102の処理は、以降の処理でも所定の周期やタイミングで継続的に実行され、その都度利用状況管理テーブル488が更新される。
【0087】
次に、利用者は、車両利用サービスを利用するため、端末装置100から管理装置400にアクセスする(ステップS110)。管理装置400は、アクセスしてきた端末装置100に対して認証情報を受け付け、受け付けた認証情報に基づいて認証処理を行う(ステップS112)。以下では、利用者によるサービスの利用が許可されたものとして説明する。次に、管理装置400は、端末装置100から利用者の空間利用リクエストを受け付け(ステップS114)、受け付けた空間利用リクエストの条件に合致または類似する利用車両の候補を抽出する(ステップS116)。ステップS116で複数の車両候補が抽出された場合、管理装置400は、例えば料金設定情報494を参照して車両候補ごとの利用料金を設定し、設定した料金順に並べた候補リストに関する画像(例えば、図12に示す画像IM1)を生成して端末装置100に送信する(ステップS118)。
【0088】
端末装置100は、管理装置400から送信された画像を表示し、利用者からの車両の選択を受け付け、受け付けた車両に関する情報を管理装置400に送信する(ステップS120)。管理装置400は、選択された車両を利用車両として決定し(ステップS122)、空間利用リクエストの内容に基づいて利用スケジュール情報490に利用車両のスケジュールを記憶し、決定した利用車両およびスケジュールに関する情報(いわゆる予約情報)を端末装置100に送信する(ステップS124)。また、管理装置400は、空間利用サービスとしての利用制御を実行するように、車両200に制御情報を送信する(ステップS126)。
【0089】
次に、利用者等により利用車両の充電口246Aに充電設備300の充電ケーブル320が接続されると、車両200は、充電ケーブル320が接続されたことを検知し(ステップS128)、検知した内容を管理装置400に送信する(ステップS130)。ステップS130の処理では、車両200は、充電ケーブル320が接続されたことを検知したタイミングで、車両200のドアの鍵を開錠して、利用者の乗車を可能にしてもよい。管理装置400は、車両200から取得した充電ケーブル320が接続されたタイミングを利用開始時刻として管理する(ステップS132)。
【0090】
次に、車両200は、空間利用サービスとしての利用制御を行う(ステップS134)。次に、利用者等により利用車両の充電口246Aに接続された充電ケーブル320が取り外されると、車両200は、充電ケーブル320が取り外されたことを検知し(ステップS136)、検知した内容を管理装置400に送信する(ステップS138)。
【0091】
管理装置400は、車両200から取得した充電ケーブル320が取り外されたタイミングを利用終了時刻として管理する(ステップS140)。利用者によるサービスの利用が終了すると、管理装置400は、利用者に対する決済処理を行う(ステップS142)。具体的には、管理装置400は、利用に関する請求金額を算出し、算出した請求金額を端末装置100に送信する(ステップS144)。端末装置100は、電子マネー等により請求金額の支払いを行い、支払いが完了したことを管理装置400に送信する(ステップS146)。これにより、実施形態の管理システム1による一連の処理は終了する。
【0092】
なお、車両利用サービスが輸送サービスである場合には、ステップS100~S126の処理が輸送リクエストに基づいて実行され、利用車両が決定すると、決定した車両がスケジュールに基づいて利用者を目的地まで輸送する処理が実行され、輸送後にステップS140~S146の決済処理が実行される。
【0093】
以上説明した実施形態によれば、利用者が車両を走行させずに車室内の空間を利用する場合であっても、より適切に車両の管理を行うことができる。具体的には、本実施形態によれば、車両200に搭載されたバッテリ244のSOC(充電率、充電残量)が低い場合には、輸送サービスではなく、空間利用サービスとして提供することで、充電中の空き車両を有効活用することができる。また、本実施形態によれば、バッテリ244のSOCが低いほど、または充電設備300の性能が低いほど、安価な利用料金を設定することで、バッテリ244が充電されるまでの長い時間の利用を促進させることができる。また、実施形態によれば、空間利用サービスの開始または終了の判断を充電設備300の充電ケーブル320が車両200に接続されたタイミング、または取り外されたタイミングで判断することで、空間利用サービス中にバッテリ244をより確実に充電させることができ、空間利用サービス後の輸送サービスへの移行を、より効率的に行うことができる。
【0094】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
運転手が乗車せずに自律走行可能な車両を利用者に提供するサービスを管理する管理システムであって、
プログラムを記憶した記憶装置と、
ハードウェアプロセッサと、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記プログラムを実行することにより、
前記車両の走行用の電力を蓄えるバッテリに電力を供給する充電設備による前記バッテリの充電状態を含む車両状態情報を取得し、
取得した前記バッテリの充電状態に基づいて、前記バッテリが前記充電設備からの電力によって充電中である場合に、前記車両を走行させずに車室内の空間を前記利用者に利用させる、
ように構成される管理装置。
【0095】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【0096】
例えば、管理装置400の構成要素のうち一部または全部は、車両200に搭載されてもよく、車両200の構成要素のうち一部または全部は、管理装置400に搭載されてもよい。また、実施形態による車両200は、遠隔地から遠隔操作される遠隔操作車両であってもよい。この場合、車両200は、監視ユニット210により取得される各種情報を通信装置220によって外部装置に送信する。外部装置では、受信した各種情報に基づいて車両200の周辺状況を示す画像を生成し(あるいは再生し)、遠隔操作者に提示する。この際に、通信による遅延をカバーするため、先読み処理によって画像等が補正されてもよい。遠隔操作者は、提示された画像に基づいて運転操作子を操作する。運転操作子に対してなされた操作は、車両200に送信され、車両200は受信した操作に基づいて走行する。
【符号の説明】
【0097】
1…管理システム、100…端末装置、200…車両、210…監視ユニット、220…通信装置、230…ナビゲーション装置、237…車両センサ、238…HMI、240…車室内監視装置、242…認証装置、244…バッテリ、246…外部電力取得部、246A…充電口、260…駆動力出力装置、262…ブレーキ装置、264…ステアリング装置、266…ドアロック装置、270…自動運転制御ユニット、272…経路走行制御部、274…乗降位置探索部、276…利用者認識部、280…乗降制御部、290…HMI制御部、292…バッテリ状態管理部、294…利用制御部、296、480…記憶部、300…充電設備、320…充電ケーブル、400…管理装置、410…通信部、420…フロント処理部、422…受付部、424…情報提供部、430…取得部、432…車両状態取得部、434…充電設備情報取得部、440…車両管理部、450…認証部、460…利用車両決定部、465…経路決定部、470…決済処理部
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