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  • 特許-水ガバナ 図1
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  • 特許-水ガバナ 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】水ガバナ
(51)【国際特許分類】
   G05D 16/06 20060101AFI20231205BHJP
   F16K 47/02 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
G05D16/06 Z
F16K47/02 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020049341
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021149575
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000305
【氏名又は名称】弁理士法人青莪
(72)【発明者】
【氏名】武部 重樹
【審査官】西井 香織
(56)【参考文献】
【文献】実開昭53-013638(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 16/06
F16K 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路に介設される水ガバナであって、上流側の一次圧室と下流側の二次圧室とを連通する弁孔を形成した弁座と、前記二次圧室の前記弁座とは反対側の面を覆うダイヤフラムと、前記一次圧室に配置された、前記弁座に対向する弁体と、前記弁体から前記弁孔を通して前記ダイヤフラム側にのび、先端のフランジ部と、前記フランジ部より小径の前記フランジ部と前記弁体との間の軸部と、を有する弁軸と、前記フランジ部に係合して抜け止めされるように前記弁軸に装着されるバネ受けと、前記バネ受けと前記弁座との間に介設されるコイルバネとを備え、前記コイルバネの付勢力により前記バネ受けが前記ダイヤフラムに当接し、前記弁体が前記バネ受けと前記弁軸とを介して前記ダイヤフラムに追従して変位するようにしたものにおいて、
前記バネ受けの前記ダイヤフラムに当接する面とは反対側の面に、前記コイルバネの当接部分より径方向内側に位置させて、前記フランジ部の前記バネ受け側を向く面に対向する端壁部と、前記フランジ部を囲う周壁部と、前記フランジ部の前記弁体側を向く面に対向し、前記軸部が貫通する軸孔が形成された底壁部とを有するポケット部が設けられ、前記ポケット部の前記周壁部及び前記底壁部の周方向1箇所に、前記フランジ部及び前記軸部を径方向から挿入可能な開口が形成されることを特徴とする水ガバナ。
【請求項2】
前記ポケット部の前記底壁部に形成する前記開口の周方向幅は、前記軸部の外径よりも小さく、前記軸部が開口を押し広げながら前記軸孔に収納されることを特徴とする請求項1記載の水ガバナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器等において、水路に介設するようにして設けられる水ガバナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の水ガバナとして、上流側の一次圧室と下流側の二次圧室とを連通する弁孔を形成した弁座と、二次圧室の弁座とは反対側の面を覆うダイヤフラムと、一次圧室に配置された、弁座に対向する弁体と、弁体から弁孔を通してダイヤフラム側にのびる弁軸と、弁軸の先端部に装着されるバネ受けと、バネ受けと弁座との間に介設されるコイルバネとを備え、コイルバネの付勢力によりバネ受けがダイヤフラムに当接し、弁体がバネ受けと弁軸とを介してダイヤフラムに追従して変位するようにしたものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図4を参照して、弁軸331は、先端のフランジ部331aとフランジ部331aより小径のフランジ部331aと弁体33との間の軸部331bとを有している。上記従来例におけるバネ受けaは、ダイヤフラムに当接する面に、フランジ部331aが着座する窪み部bを有している。そして、特許文献1には明示されていないが、バネ受けaの周方向一箇所に、窪み部bからバネ受けaの外周縁に達する切欠きcを形成し、軸部331bを切欠きcに径方向から挿入して、窪み部bにフランジ部331aを着座させている。これにより、バネ受けaがフランジ部331aに係合して抜け止めされるように弁軸331に装着される。
【0004】
然し、上記従来例のものでは、バネ受けaに切欠きcを形成するため、ダイヤフラムとバネ受けaとの間に切欠きcを通して水流が浸入しやすくなる。そして、この水流の影響でバネ受けaがダイヤフラムに接離するように振動し、この振動に起因する水路内での共鳴により異常音が発生することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実公平6-10407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の点に鑑み、バネ受けの振動による異常音の発生を防止できるようにした水ガバナを提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、水路に介設される水ガバナであって、上流側の一次圧室と下流側の二次圧室とを連通する弁孔を形成した弁座と、前記二次圧室の前記弁座とは反対側の面を覆うダイヤフラムと、前記一次圧室に配置された、前記弁座に対向する弁体と、前記弁体から前記弁孔を通して前記ダイヤフラム側にのび、先端のフランジ部と、前記フランジ部より小径の前記フランジ部と前記弁体との間の軸部と、を有する弁軸と、前記フランジ部に係合して抜け止めされるように前記弁軸に装着されるバネ受けと、前記バネ受けと前記弁座との間に介設されるコイルバネとを備え、前記コイルバネの付勢力により前記バネ受けが前記ダイヤフラムに当接し、前記弁体が前記バネ受けと前記弁軸とを介して前記ダイヤフラムに追従して変位するようにしたものにおいて、前記バネ受けの前記ダイヤフラムに当接する面とは反対側の面に、前記コイルバネの当接部分より径方向内側に位置させて、前記フランジ部の前記バネ受け側を向く面に対向する端壁部と、前記フランジ部を囲う周壁部と、前記フランジ部の前記弁体側を向く面に対向し、前記軸部が貫通する軸孔が形成された底壁部とを有するポケット部が設けられ、前記ポケット部の前記周壁部及び前記底壁部の周方向1箇所に、前記フランジ部及び前記軸部を径方向から挿入可能な開口が形成されることを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、ポケット部内に開口を通して水流が浸入しても、ポケット部のダイヤフラム側の面は端壁部で閉塞されるため、バネ受けとダイヤフラムとの間に水流が浸入することはない。従って、バネ受けがダイヤフラムとの間に浸入する水流の影響でダイヤフラムに接離するように振動することを防止でき、この振動に起因する異常音の発生も防止できる。
【0009】
また、本発明において、ポケット部の底壁部に形成する開口の周方向幅は、軸部の外径よりも小さく、軸部が開口を押し広げながら軸孔に収納されることが望ましい。これによれば、フランジ部及び軸部がポケット部から開口を通して径方向外方に抜け出ることを弾力的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態の水ガバナを具備する水系バルブユニットの切断側面図。
図2】実施形態の水ガバナの弁体とバネ受けとを分離した状態の斜視図。
図3図1のIII-III線で切断した断面図。
図4】従来例の要部の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1を参照して、1は、給湯器の熱交換器に連なる水路に介設される水系バルブユニットである。この水系バルブユニット1は、入水口21と出水口22とを有するバルブケーシング2内に、上流側から順に水ガバナ3と、筒状の水量調節弁4と、ベンチュリー5とを組み込んで構成されている。また、バルブケーシング2には、水抜き栓6が装着されている。
【0012】
水ガバナ3は、入水口21に連通する上流側の一次圧室30と下流側の二次圧室30とを連通する弁孔31aを形成した弁座31と、二次圧室30の弁座31とは反対側の面を覆うダイヤフラム32と、一次圧室30に配置された、弁座31に対向する弁体33と、弁体33から弁孔31aを通してダイヤフラム32側にのび、先端のフランジ部331aとフランジ部331aより小径のフランジ部331aと弁体33との間の軸部331bとを有する弁軸331と、フランジ部331aに係合して抜け止めされるように弁軸331に装着されるバネ受け34と、バネ受け34と弁座31との間に介設されるコイルバネ35とを備えている。そして、コイルバネ35の付勢力によりバネ受け34がダイヤフラム32に当接し、弁体33がバネ受け34と弁軸331とを介してダイヤフラム32に追従して変位するようにしている。
【0013】
尚、一次圧室30は、バルブケーシング2内に装着した筒状の内ケース36内に画成されており、内ケース36の周壁部に形成した連通孔361を介して一次圧室30が入水口21に連通している。弁座31は、内ケース36の先端に形成されている。また、内ケース36内には、一次圧室30の尾方に位置するバイパス室30が設けられており、内ケース36の周壁部内周面に、一次圧室30とバイパス室30とを連通する副弁孔362aを形成した副弁座362が設けられている。
【0014】
弁体33の内部には、二次圧室30とバイパス室30とを連通するバイパス通路332が設けられている。また、弁体33の外周には、弁座31に着座して弁孔31aを閉塞する主弁部333と、主弁部333が弁座31に対し所定距離以下に接近したときに、副弁孔362aに僅かな隙間を存して挿入される副弁部334とが形成されている。そして、弁孔31aの閉塞時、一次圧室30から二次圧室30に、副弁部334と副弁座362との間の隙間で絞られた所要量の水がバイパス室30とバイパス通路332とを介して流れ、弁孔31aの開閉時の通水量の急激な変化が緩衝されるようにしている。
【0015】
ダイヤフラム32の背面には、ダイヤフラムカバー321によって背圧室322が画成されている。そして、通水時にベンチュリー5に発生する負圧が連通路51を介して背圧室322に導入されるようにしている。また、ダイヤフラムカバー321には、一端がダイヤフラム32に当接するロッド323が挿通されている。通水時には、背圧室322への負圧の導入で、ダイヤフラム32が背圧室322側に変位し、ロッド323が外方に押されて、熱交換器を加熱するバーナ用のガス弁が開弁する。
【0016】
図2図3も参照して、本実施形態では、バネ受け34を樹脂製としている。そして、バネ受け34のダイヤフラム32に当接する面とは反対側の面に、コイルバネ35の当接部分より径方向内側に位置させて、弁軸331のフランジ部331aを受け入れるポケット部341を設けている。ポケット部341は、フランジ部331aのバネ受け34側を向く面に対向する端壁部342と、フランジ部331aを囲う周壁部343と、フランジ部331aの弁体33側を向く面に対向し、弁軸331の軸部331bが貫通する軸孔344が形成された底壁部345とを有している。また、ポケット部341の周壁部343及び底壁部345の周方向1箇所には、フランジ部331a及び軸部331bを径方向から挿入可能な開口343a,345aが形成されている。
【0017】
ポケット部341の底壁部345に形成する開口345aの周方向幅は、軸部331bの外径よりも小さい。そして、軸部331bが開口345aを押し広げながら軸孔344に収納されるようにしている。これにより、フランジ部331a及び軸部331bがポケット部341から開口343a,345aを通して径方向外方に抜け出ることを弾力的に防止できる。
【0018】
本実施形態によれば、ポケット部341内に開口343a,345aを通して水流が浸入しても、ポケット部341のダイヤフラム32側の面は端壁部342で閉塞されるため、バネ受け34とダイヤフラム32との間に水流が浸入することはない。従って、バネ受け34がダイヤフラム32との間に浸入する水流の影響でダイヤフラム32に接離するように振動することを防止でき、この振動に起因する異常音の発生も防止できる。
【0019】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更することができる。
【符号の説明】
【0020】
3…水ガバナ、30…一次圧室、30…二次圧室、31…弁座、31a…弁孔、32…ダイヤフラム、33…弁体、331…弁軸、331a…フランジ部、331b…軸部、34…バネ受け、341…ポケット部、342…端壁部、343…周壁部、343a…開口、344…軸孔、345…底壁部、345a…開口、35…コイルバネ。
図1
図2
図3
図4