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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-04
(45)【発行日】2023-12-12
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/26 20060101AFI20231205BHJP
   F28D 1/03 20060101ALI20231205BHJP
   F28F 3/06 20060101ALI20231205BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20231205BHJP
【FI】
F28F9/26
F28D1/03
F28F3/06 A
F28F3/08 301A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020056206
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021156485
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000183369
【氏名又は名称】住友精密工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100155608
【弁理士】
【氏名又は名称】大日方 崇
(72)【発明者】
【氏名】馮 典樂
(72)【発明者】
【氏名】梅山 和也
(72)【発明者】
【氏名】植田 達哉
【審査官】小川 悟史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-036193(JP,A)
【文献】特開2002-090078(JP,A)
【文献】特開昭48-057008(JP,A)
【文献】国際公開第2016/063311(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0238630(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/26
F28D 1/03
F28F 3/06
F28F 3/08
F28D 9/00
F02C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱交換を行うコア部を備え、
前記コア部は、
第1流体を流通させる第1流路と、第2流体を流通させる第2流路とを各々有し、前記第1流路を流通する前記第1流体と前記第2流路を流通する前記第2流体との間で熱交換を行う直方体状のプレートフィン型の複数の熱交換部と、
前記複数の熱交換部の間に設けられ、前記複数の熱交換部を角度を変えて接続する接続部と、を含み、
前記接続部は、前記第1流体と前記第2流体とのうちの一方を流通させる第3流路を有し、
前記コア部は、前記接続部の前記第3流路を流通する前記第1流体と前記第2流体とのうちのいずれか一方と、前記複数の熱交換部のうちの前記接続部に隣接する熱交換部を流通する前記第1流体と前記第2流体とのうちのいずれか他方との間で熱交換を行うように構成されている、熱交換器。
【請求項2】
前記接続部は、第1接続面と、前記第1接続面と所定の角度をなす第2接続面とを有し、前記複数の熱交換部を前記第1接続面と前記第2接続面とに接続することにより、前記複数の熱交換部を角度を変えて接続するように構成されている、請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記接続部は、前記第1接続面と前記第2接続面とにより、くさび形状を有するように形成されている、請求項2に記載の熱交換器。
【請求項4】
くさび形状の前記接続部は、複数設けられており、
前記コア部は、前記熱交換部とくさび形状の前記接続部とが交互に配置されることにより、湾曲状に形成されている、請求項3に記載の熱交換器。
【請求項5】
前記コア部では、前記熱交換部の前記第1流体と前記第2流体とのうちのいずれか他方が流通する流路が、前記接続部と、隣り合うように配置されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の熱交換器。
【請求項6】
前記接続部は、前記第3流路としての複数の貫通穴を含む多穴管である、請求項に記載の熱交換器。
【請求項7】
航空機エンジン用の熱交換器であり、
前記コア部は、前記接続部により前記複数の熱交換部を角度を変えて接続することにより、前記航空機エンジン内の湾曲面に沿った湾曲状に形成されている、請求項1~6のいずれか1項に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、熱交換器に関し、特に、コア部を備える熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コア部を備える熱交換器が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、熱交換器コアを備える熱交換器が開示されている。この熱交換器コアは、冷媒を流通させる複数の流体導管を有するチューブ長と、空気を流通させる波型フィンセグメントとを含んでいる。この熱交換器コアは、チューブ長の流体導管を流通する冷媒と、波型フィンセグメントを流通する空気との間で熱交換を行うように構成されている。また、この熱交換器コアは、平面状に形成された熱交換器コアを曲げる曲げ工程により、弓型形状に変形されて形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2017-516660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1には明記されていないが、熱交換器は、設置環境に適切に配置するために、設置環境に応じた適切な形状に形成される場合がある。しかしながら、上記特許文献1に記載されたフィンアンドチューブ型の熱交換器とは異なり、熱交換器としてプレートフィン型の熱交換器を用いる場合、プレートフィン型の熱交換器のコア部は、通常直方体状に形成されるため、コア部を設置環境に応じて曲がった形状に形成することが困難であるという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、直方体状のプレートフィン型の熱交換部を用いる場合にも、コア部を設置環境に応じて曲がった形状に形成することが可能な熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明による熱交換器は、熱交換を行うコア部を備え、コア部は、第1流体を流通させる第1流路と、第2流体を流通させる第2流路とを各々有し、第1流路を流通する第1流体と第2流路を流通する第2流体との間で熱交換を行う直方体状のプレートフィン型の複数の熱交換部と、複数の熱交換部の間に設けられ、複数の熱交換部を角度を変えて接続する接続部と、を含み、接続部は、第1流体と第2流体とのうちの一方を流通させる第3流路を有し、コア部は、接続部の第3流路を流通する第1流体と第2流体とのうちのいずれか一方と、複数の熱交換部のうちの接続部に隣接する熱交換部を流通する第1流体と第2流体とのうちのいずれか他方との間で熱交換を行うように構成されている
【0008】
この発明による熱交換器では、上記のように、直方体状のプレートフィン型の複数の熱交換部と、複数の熱交換部を角度を変えて接続する接続部とを設ける。これにより、接続部によりプレートフィン型の複数の熱交換部を角度を変えて接続することができるので、直方体状のプレートフィン型の熱交換部を用いる場合にも、接続部と複数の熱交換部とを含むコア部の全体としては設置環境に応じて曲がった形状に形成することができる。また、プレートフィン型の熱交換部を用いることにより、フィンアンドチューブなどの他の形式の熱交換器を用いる場合に比べて、体積当たりの伝熱面積を大きくすることができるので、熱交換部を含むコア部の小型化および軽量化を図ることができる。
また、接続部は、第1流体と第2流体とのうちの一方を流通させる第3流路を有し、コア部は、接続部の第3流路を流通する第1流体と第2流体とのうちのいずれか一方と、複数の熱交換部のうちの接続部に隣接する熱交換部を流通する第1流体と第2流体とのうちのいずれか他方との間で熱交換を行うように構成されている。このように構成すれば、接続部が第3流路を有さずに接続機能のみを有する場合と異なり、接続部の第3流路において熱交換を行うことができるので、コア部の伝熱性能をより高めることができる。また、接続部に第3流路として空洞部分(肉抜き部分)を設けることができるので、接続部に第3流路を設けない場合に比べて、接続部を軽量化してコア部を軽量化することができる。なお、コア部を軽量化することができることは、燃費向上のために軽量化が重要な航空機エンジン用に熱交換器を用いる場合に、非常に効果的である。
【0009】
上記発明による熱交換器において、好ましくは、接続部は、第1接続面と、第1接続面と所定の角度をなす第2接続面とを有し、複数の熱交換部を第1接続面と第2接続面とに接続することにより、複数の熱交換部を角度を変えて接続するように構成されている。このように構成すれば、単に複数の熱交換部を第1接続面と第2接続面とに接続するだけで角度を変えて接続することができる。その結果、コア部を設置環境に応じて曲がった形状に容易に形成することができる。
【0010】
この場合、好ましくは、接続部は、第1接続面と第2接続面とにより、くさび形状を有するように形成されている。このように構成すれば、接続部を簡素な形状により形成することができるので、接続部の構造を簡素化することができるとともに、接続部の製造を容易化することができる。その結果、接続部の構造の簡素化および接続部の製造の容易化を図りつつ、接続部により複数の熱交換部を角度を変えて接続することができる。なお、くさび形状とは、台形形状、三角形形状などを含む広い概念である。
【0011】
上記接続部がくさび形状を有する構成において、好ましくは、くさび形状の接続部は、複数設けられており、コア部は、熱交換部とくさび形状の接続部とが交互に配置されることにより、湾曲状に形成されている。このように構成すれば、熱交換部とくさび形状の接続部との交互配置構造により、コア部を設置環境に応じて曲がった湾曲状に容易に形成することができる。その結果、設置環境に湾曲面がある場合に、設置環境の湾曲面に沿って湾曲状のコア部を適切に配置することができる。
【0012】
上記発明による熱交換器において、好ましくは、コア部では、熱交換部の第1流体と第2流体とのうちのいずれか他方が流通する流路が、接続部と、隣り合うように配置されている
【0013】
この場合、好ましくは、接続部は、第3流路としての複数の貫通穴を含む多穴管である。このように構成すれば、第3流路を有する接続部を簡素な形状により形成することができるので、第3流路を有する接続部の構造を簡素化することができるとともに、第3流路を有する接続部の製造を容易化することができる。その結果、接続部の構造の簡素化および接続部の製造の容易化を図りつつ、接続部の第3流路において熱交換を行うことができる。
【0014】
上記発明による熱交換器において、好ましくは、航空機エンジン用の熱交換器であり、コア部は、接続部により複数の熱交換部を角度を変えて接続することにより、航空機エンジン内の湾曲面に沿った湾曲状に形成されている。このように構成すれば、航空機エンジン内の湾曲面に沿って湾曲状のコア部を適切に配置することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、直方体状のプレートフィン型の熱交換部を用いる場合にも、コア部を設置環境に応じて曲がった形状に形成することが可能な熱交換器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態による熱交換器を示した模式的な斜視図である。
図2】一実施形態による熱交換器のプレートフィン型の熱交換部を示した模式的な斜視図である。
図3】一実施形態による熱交換器の接続部を示した模式的な斜視図である。
図4】一実施形態による熱交換器を示した模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1図4を参照して、本実施形態による熱交換器100の構成について説明する。
【0019】
(熱交換器の構成)
本実施形態による熱交換器100は、航空機エンジン用の熱交換器である。具体的には、熱交換器100は、航空機エンジン内に搭載され、航空機エンジン内の空気流により熱交換を行う空冷式の熱交換器(冷却器)として設けられている。また、航空機エンジンは、ガスタービンエンジンなど、筒状のケーシング内に外部から取り込んだ空気を利用して推進力を発生するタイプのエンジンである。このため、航空機エンジンのケーシング内には、高速の空気流が発生する。
【0020】
なお、以下の説明では、航空機エンジンの軸方向をA方向とし、航空機エンジンの周方向をB方向とし、航空機エンジンの径方向をC方向とする。
【0021】
図1に示すように、熱交換器100は、コア部10と、ヘッダ部20とを備えている。コア部10は、流体を流通させて熱交換を行うように構成されている。具体的には、コア部10は、第1流体101と、第1流体101とは異なる第2流体102との間で熱交換を行うように構成されている。コア部10は、第1流体101と第2流体102とを流通させることが可能なように構成されている。第1流体101は、航空機エンジンの推進用の空気流(空気)である。また、第2流体102は、航空機エンジンの潤滑油、航空機エンジンにより駆動される発電機の潤滑油などのオイルである。コア部10では、冷却流体(低温流体)である第1流体101により冷却対象流体(高温流体)である第2流体102が冷却される。また、コア部10は、第1流体101が航空機エンジンの軸方向(A方向)に沿って流通するとともに、第2流体102が航空機エンジンの径方向(C方向)に沿って流通するように構成されている。また、航空機エンジンの軸方向と径方向とは互いに略直交するため、コア部10では、第1流体101と第2流体102とが互いに略直交するように流通する。
【0022】
ヘッダ部20は、コア部10に熱交換用の流体を供給するように構成されている。具体的には、ヘッダ部20は、コア部10に冷却対象流体である第2流体102を供給するように構成されている。このため、ヘッダ部20は、第2流体102を取り入れるための入口部20aを含んでいる。入口部20aを介して、コア部10における熱交換前の第2流体102がヘッダ部20内に流入する。また、ヘッダ部20は、コア部10を流通した第2流体102を排出するように構成されている。このため、ヘッダ部20は、第2流体102を取り出すための出口部20bを含んでいる。出口部20bを介して、コア部10における熱交換後の第2流体102がヘッダ部20内から流出する。また、ヘッダ部20内には、入口部20aを介して流入した第2流体102の流路と、出口部20bを介して流出する第2流体102の流路とを仕切る図示しない仕切り板が設けられている。
【0023】
なお、本実施形態では、空気流である第1流体101は、コア部10に直接的に供給される。このため、第2流体102用のヘッダ部20が設けられている一方、第1流体101用のヘッダ部は設けられていない。また、ヘッダ部20は、コア部10に対して径方向(C方向)の内側に設けられている一方、コア部10に対して径方向の外側には設けられていない。本実施形態では、第2流体102のコア部10への流入および第2流体102のコア部10からの流出が同じ側(航空機エンジンの径方向の内側)において行われるためである。
【0024】
(コア部の詳細な構成)
次に、図1図4を参照して、コア部10の詳細な構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、コア部10は、複数(6つ)の熱交換部11と、複数(5つ)の接続部12とを含んでいる。なお、複数の熱交換部11は、実質的に同様の構成を有している。また、複数の接続部12は、実質的に同様の構成を有している。
【0026】
熱交換部11は、直方体状のプレートフィン型の熱交換器である。熱交換部11は、プレートおよびフィンが交互に積層される構造を有している。具体的には、図2に示すように、熱交換部11は、後述する伝熱フィン111aを有する第1流路11aと、後述する伝熱フィン112aを有する第2流路11bと、仕切り部11cとを有している。熱交換部11は、第1流路11a、仕切り部11c、第2流路11b、仕切り部11c、第1流路11a・・・というように、第1流路11aと、第2流路11bと、仕切り部11cとが積層方向(D方向)に規則的に繰り返し配置される構造を有している。また、熱交換部11は、積層方向が航空機エンジンの軸方向(A方向)および径方向(C方向)に略直交するように設けられている。
【0027】
第1流路11aは、第1流体101を流通させる流路である。第1流路11aは、航空機エンジンの軸方向(A方向)に沿って第1流体101を流通させるように構成されている。また、第1流路11aには、第1流路11aを複数の流路(チャンネル)に区切って第1流体101を流通させる伝熱フィン111aが設けられている。伝熱フィン111aは、航空機エンジンの軸方向に沿って延びるとともに、航空機エンジンの径方向(C方向)に沿って波打つ波板形状のコルゲートフィンにより構成されている。このコルゲートフィンにより、第1流路11aでは、第1流体101が直線的に流通される。また、航空機エンジンの径方向における伝熱フィン111aの両端部には、それぞれ、サイドバー111bおよび111cが配置されている。サイドバー111bおよび111cは、航空機エンジンの径方向における第1流路11aの端部を構成している。サイドバー111bおよび111cは、航空機エンジンの軸方向に沿って延びるように設けられている。
【0028】
第2流路11bは、第2流体102を流通させる流路である。第2流路11bは、航空機エンジンの軸方向(A方向)に直交する航空機エンジンの径方向(C方向)に沿って第2流体102を流通させるように構成されている。また、第2流路11bには、第2流路11bを複数の流路(チャンネル)に区切って第2流体102を流通させる伝熱フィン112aが設けられている。伝熱フィン112aは、航空機エンジンの径方向に沿って延びるとともに、航空機エンジンの軸方向に沿って波打つ波板形状のコルゲートフィンと、航空機エンジンの軸方向に沿って延びるとともに、航空機エンジンの径方向に沿って波打つ波板形状のコルゲートフィンとの2種類のコルゲートフィンにより構成されている。これらのコルゲートフィンにより、第2流路11bでは、第2流体102がU字状に(Uターンするように)流通される。なお、第2流路11bが、第1流路11aと同様に、第2流体102が直線的に流通されるように構成されていてもよい。
【0029】
また、航空機エンジンの軸方向(A方向)における伝熱フィン112aの両端部には、それぞれ、サイドバー112bおよび112cが配置されている。また、航空機エンジンの径方向(C方向)の外側の伝熱フィン112aの端部には、サイドバー112dが配置されている。サイドバー112b、112cおよび112dは、航空機エンジンの軸方向の両側および径方向の外側における第2流路11bの端部を構成する。サイドバー112bおよび112cは、航空機エンジンの径方向に沿って延びるように設けられている。また、サイドバー112dは、航空機エンジンの軸方向に沿って延びるように設けられている。また、サイドバー112b、112cおよび112dは、U字状に一体的に設けられている。また、第2流路11bには、第2流体102のU字状の流れを形成するための仕切りバー112eが設けられている。仕切りバー112eは、航空機エンジンの径方向に沿って延びるように設けられている。
【0030】
仕切り部11cは、第1流路11aおよび第2流路11bを仕切る仕切り板(ブレージングシート)である。仕切り部11cは、積層方向(D方向)において、第1流路11aと第2流路11bとの間と、熱交換部11の両端部とに設けられている。第1流路11aと第2流路11bとの間の仕切り部11cは、第1流路11aと第2流路11bとの間を仕切るとともに、第1流路11aを流通する第1流体101と第2流路11bを流通する第2流体102との間で熱を伝達する伝熱面として機能する。また、熱交換部11の積層方向の両端部の仕切り部11cは、積層方向の最も端に配置された第1流路11aまたは第2流路11bを仕切るように構成されている。なお、図2に示す例では、熱交換部11の積層方向の両端部の仕切り部11cが、積層方向の最も端に配置された第2流路11bを仕切っている。また、第1流路11aと、第2流路11bと、仕切り部11cとは、積層方向に見て矩形形状を有するとともに、平面状に形成されている。矩形形状でかつ平面状の第1流路11aと、第2流路11bと、仕切り部11cとが、積層されることにより、熱交換部11は、直方体状(箱状)に形成されている。
【0031】
ここで、本実施形態では、図1に示すように、複数の熱交換部11の間に、接続部12が設けられている。接続部12は、複数の熱交換部11を角度を変えて接続するように構成されている。具体的には、接続部12は、熱交換部11に航空機エンジンの周方向(B方向)に隣接して設けられ、周方向の一方側および他方側においてそれぞれ接続部12に隣接する2つの熱交換部11を周方向に沿って角度を変えて接続するように構成されている。
【0032】
図3に示すように、接続部12は、第1接続面12aと、第2接続面12bと、第3流路12cとを有している。第1接続面12aは、接続部12において航空機エンジンの周方向(B方向)の一方側に配置されている。第1接続面12aは、接続部12に対して周方向の一方側に隣接する熱交換部11と接続されるように構成されている。具体的には、第1接続面12aは、周方向の一方側において周方向に対向する熱交換部11の仕切り部11cと当接して、当接した仕切り部11cに接続(接合)されるように構成されている。第1接続面12aは、周方向に見て、熱交換部11の仕切り部11cと同じ略矩形形状を有している。
【0033】
第2接続面12bは、接続部12において航空機エンジンの周方向(B方向)の他方側に配置されている。第2接続面12bは、接続部12に対して周方向の他方側に隣接する熱交換部11と接続されるように構成されている。具体的には、第2接続面12bは、周方向の他方側において周方向に対向する熱交換部11の仕切り部11cと当接して、当接した仕切り部11cに接続(接合)されるように構成されている。第2接続面12bは、周方向に見て、熱交換部11の仕切り部11cと同じ略矩形形状を有している。
【0034】
また、本実施形態では、第1接続面12aと第2接続面12bとは、所定の角度θ(>0)をなすように形成されている。所定の角度θは、航空機エンジンの軸方向(A方向)に見てV字状に形成された第1接続面12aと第2接続面12bとが、航空機エンジンの周方向(B方向)においてなす角度である。所定の角度θは、特に限られないが、たとえば90度未満とすることができる。所定の角度θを小さくすれば、後述するように円弧状のコア部10(図4参照)の曲率半径を大きくすることができるので、コア部10を曲率半径が大きい湾曲面S(図4参照)に沿って形成することができる。また、所定の角度θを大きくすれば、円弧状のコア部10の曲率半径を小さくすることができるので、コア部10を曲率半径が小さい湾曲面Sに沿って形成することができる。図3に示す例では、所定の角度θは、約6.5度である。接続部12は、複数の熱交換部11を第1接続面12aと第2接続面12bとに接続することにより、複数の熱交換部11を所定の角度θ分だけ角度を変えて接続するように構成されている。
【0035】
また、接続部12は、第1接続面12aと第2接続面12bとにより、くさび形状を有するように形成されている。具体的には、接続部12は、航空機エンジンの軸方向(A方向)に見て、航空機エンジンの径方向の外側から内側に向かうにつれて徐々に先細るくさび形状(台形形状)を有している。また、接続部12は、くさび形状が航空機エンジンの軸方向に沿って一様に延びるような四角柱形状を有している。接続部12は、航空機エンジンの軸方向に直交する断面がくさび形状となるように構成されている。
【0036】
また、本実施形態では、接続部12には、第1流体101を流通させる第3流路12cが設けられている。第3流路12cは、航空機エンジンの軸方向(A方向)に沿って第1流体101を流通させるように構成されている。第3流路12cは、航空機エンジンの軸方向(A方向)に沿って延びるとともに、接続部12を軸方向に貫通する複数の貫通穴により構成されている。この複数の貫通穴により、第3流路12cでは、第1流体101が直線的に流通される。また、接続部12は、第3流路12cとしての複数の貫通孔を含む多穴管として設けられている。多穴管としての接続部12は、たとえば、アルミニウムの押出成形により形成されている。このため、第3流路12cとしての複数の貫通穴は、航空機エンジンの軸方向において、接続部12の一端から他端まで直線状に延びるように設けられている。また、接続部12は、航空機エンジンの軸方向に直交する断面の形状が、航空機エンジンの軸方向の一端から他端まで同一になるように形成されている。また、接続部12は、単一の部材により構成されている。なお、図3では、理解の容易化のため、第3流路12cとしての複数の貫通孔のうちの1つのみを破線により接続部12を貫通するように図示している。
【0037】
第3流路12cとしての複数の貫通穴は、航空機エンジンの径方向に沿って配置されている。具体的には、第3流路12cとしての複数の貫通穴は、航空機エンジンの径方向の外側の接続部12の端部の近傍から内側の接続部12の端部の近傍に亘って、径方向に沿って配置されるように設けられている。また、第3流路12cとしての複数の貫通穴は、接続部12がくさび形状を有するため、航空機エンジンの径方向の外側から内側に向かうにつれて徐々に周方向の開口幅が小さくなるように設けられている。また、第3流路12cとしての複数の貫通穴は、略矩形形状の開口形状を有している。
【0038】
また、本実施形態では、コア部10(図1参照)は、接続部12の第3流路12cを流通する第1流体101と、複数の熱交換部11(図2参照)のうちの接続部12に隣接する熱交換部11を流通する第2流体102(図2参照)との間で熱交換を行うように構成されている。すなわち、コア部10は、接続部12と、熱交換部11の第2流体102が流通する第2流路11b(図2参照)とが、仕切り部11cを挟んで、航空機エンジンの周方向(B方向)に隣り合うように配置されている。接続部12と熱交換部11の第2流路11bとの間の仕切り部11cは、第3流路12cを流通する第1流体101と第2流路11bを流通する第2流体102との間で熱を伝達する伝熱面として機能する。
【0039】
また、本実施形態では、図4に示すように、コア部10は、接続部12により複数の熱交換部11を角度を変えて接続することにより、航空機エンジン内の湾曲面Sに沿った湾曲状に形成されている。具体的には、コア部10は、航空機エンジンの軸方向(A方向)に見て、航空機エンジンの周方向(B方向)に沿った円弧状でかつ湾曲状に形成されている。コア部10は、直方体状の熱交換部11とくさび形状の接続部12とが交互に配置されることにより、円弧状でかつ湾曲状に形成されている。なお、航空機エンジン内の湾曲面Sは、空気流にさらされる部位であれば航空機エンジン内のどのような部位であってもよいが、たとえば航空機エンジンのファンケーシングの内周面であり得る。
【0040】
また、コア部10は、略一定の曲率半径を有する湾曲面Sに対応するように、略一定の曲率半径を有する湾曲状に形成されている。具体的には、コア部10は、略同一形状の熱交換部11と略同一形状の接続部12とが、航空機エンジンの周方向(B方向)に沿って交互に配置されることにより、湾曲面Sに対応する略一定の曲率半径を有する湾曲状に形成されている。
【0041】
(本実施形態の効果)
本実施形態では、以下のような効果を得ることができる。
【0042】
本実施形態では、上記のように、直方体状のプレートフィン型の複数の熱交換部11と、複数の熱交換部11を角度を変えて接続する接続部12とを設けるので、接続部12によりプレートフィン型の複数の熱交換部11を角度を変えて接続することができる。これにより、直方体状のプレートフィン型の熱交換部11を用いる場合にも、接続部12と複数の熱交換部11とを含むコア部10の全体としては設置環境に応じて曲がった形状に形成することができる。また、プレートフィン型の熱交換部11を用いることにより、フィンアンドチューブなどの他の形式の熱交換器を用いる場合に比べて、体積当たりの伝熱面積を大きくすることができるので、熱交換部11を含むコア部10の小型化および軽量化を図ることができる。
【0043】
また、本実施形態では、上記のように、接続部12が、第1接続面12aと、第1接続面12aと所定の角度θをなす第2接続面12bとを有し、複数の熱交換部11を第1接続面12aと第2接続面12bとに接続することにより、複数の熱交換部11を角度を変えて接続するように構成されているので、単に複数の熱交換部11を第1接続面12aと第2接続面12bとに接続するだけで角度を変えて接続することができる。その結果、コア部10を設置環境に応じて曲がった形状に容易に形成することができる。
【0044】
また、本実施形態では、上記のように、接続部12が、第1接続面12aと第2接続面12bとにより、くさび形状を有するように形成されているので、接続部12を簡素な形状により形成することができる。これにより、接続部12の構造を簡素化することができるとともに、接続部12の製造を容易化することができる。その結果、接続部12の構造の簡素化および接続部12の製造の容易化を図りつつ、接続部12により複数の熱交換部11を角度を変えて接続することができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記のように、くさび形状の接続部12が、複数設けられている。また、コア部10が、熱交換部11とくさび形状の接続部12とが交互に配置されることにより、湾曲状に形成されているので、熱交換部11とくさび形状の接続部12との交互配置構造により、コア部10を設置環境に応じて曲がった湾曲状に容易に形成することができる。その結果、設置環境に湾曲面Sがある場合に、設置環境の湾曲面Sに沿って湾曲状のコア部10を適切に配置することができる。
【0046】
また、本実施形態では、上記のように、接続部12が、第1流体101を流通させる第3流路12cを有する。また、コア部10が、接続部12の第3流路12cを流通する第1流体101と、複数の熱交換部11のうちの接続部12に隣接する熱交換部11を流通する第2流体102との間で熱交換を行うように構成されているので、接続部12が第3流路12cを有さずに接続機能のみを有する場合と異なり、接続部12の第3流路12cにおいて熱交換を行うことができる。これにより、コア部10の伝熱性能をより高めることができる。また、接続部12に第3流路12cとして空洞部分(肉抜き部分)を設けることができるので、接続部12に第3流路12cを設けない場合に比べて、接続部12を軽量化してコア部10を軽量化することができる。なお、コア部10を軽量化することができることは、燃費向上のために軽量化が重要な航空機エンジン用に熱交換器100を用いる場合に、非常に効果的である。
【0047】
また、本実施形態では、上記のように、接続部12が、第3流路12cとしての複数の貫通穴を含む多穴管であるように構成されているので、第3流路12cを有する接続部12を簡素な形状により形成することができる。これにより、第3流路12cを有する接続部12の構造を簡素化することができるとともに、第3流路12cを有する接続部12の製造を容易化することができる。その結果、接続部12の構造の簡素化および接続部12の製造の容易化を図りつつ、接続部12の第3流路12cにおいて熱交換を行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、上記のように、熱交換器100が、航空機エンジン用の熱交換器である。また、コア部10が、接続部12により複数の熱交換部11を角度を変えて接続することにより、航空機エンジン内の湾曲面Sに沿った湾曲状に形成されているので、航空機エンジン内の湾曲面Sに沿って湾曲状のコア部10を適切に配置することができる。
【0049】
(変形例)
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0050】
たとえば、上記実施形態では、航空機エンジン用の熱交換器に、本発明が適用される例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明は、自動車用の熱交換器などの航空機エンジン用以外の熱交換器に適用されてもよい。
【0051】
また、上記実施形態では、第1流体が空気流であるとともに、第2流体がオイルである例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1流体および第2流体の種類は特に限定されない。第1流体および第2流体は、どのような流体であってもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、第1流体が冷却流体であるとともに、第2流体が冷却対象流体である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第1流体が冷却対象流体であるとともに、第2流体が冷却流体であってもよい。
【0053】
また、上記実施形態では、プレートフィン型の熱交換部が6つ設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、プレートフィン型の熱交換部が6つ以外の複数設けられていてもよい。
【0054】
また、上記実施形態では、接続部が5つ設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、接続部は熱交換部の数に応じて設けられていればよい。すなわち、接続部は、1つまたは5つ以外の複数設けられていてもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、接続部が単一の部材により構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、2つの熱交換部の間の接続部が、互いに分割された2以上の分割部材を連結することにより構成されていてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、接続部がくさび形状を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数の熱交換部を角度を変えて接続可能であれば、接続部がくさび形状以外の形状を有していてもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、コア部が、同一形状の熱交換部と同一形状の接続部とが交互に配置されることにより、略一定の曲率半径を有する湾曲状に形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コア部が、一定ではない曲率半径を有する湾曲状に形成されていてもよい。この場合、互いに異なる形状の熱交換部または接続部を用いることにより、一定ではない曲率半径を有する湾曲状にコア部を形成することができる。また、この場合、コア部をS字状などの複雑な湾曲状に形成してもよい。複数の熱交換部は互いに同一形状でなくてもよいし、複数の接続部は互いに同一形状でなくてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、接続部が、第1流体を流通させる第3流路を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、接続部が、第2流体を流通させる第3流路を有していてもよい。この場合、コア部を、接続部の第3流路を流通する第2流体と、複数の熱交換部のうちの接続部に隣接する熱交換部を流通する第1流体との間で熱交換を行うように構成することができる。また、本発明では、接続部が、第1流体および第2流体の両方を流通させる第3流路を有していてもよい。また、本発明では、接続部が、第1流体または第2流体を流通させる流路を有していなくてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、接続部が、第3流路としての複数の貫通穴を含む多穴管である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、接続部が、第3流路として1つの貫通穴のみが形成された構成であってもよい。
【0060】
また、上記実施形態では、第3流路としての複数の貫通穴が、略矩形形状の開口形状を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第3流路に流体を流通させることが可能であれば、第3流路としての複数の貫通穴が、略矩形形状以外の開口形状を有していてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、第2流体用のヘッダ部が設けられている一方、第1流体用のヘッダ部が設けられていない例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2流用のヘッダ部および第1流体用のヘッダ部の両方が設けられていてもよい。
【0062】
また、上記実施形態では、第2流体用のヘッダ部が、コア部に対して径方向の内側に設けられている一方、コア部に対して径方向の外側には設けられていない例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、第2流体のコア部への流入および第2流体のコア部からの流出を互いに反対側において行う場合、第2流体用のヘッダ部が、コア部に対して径方向の内側および外側の両方に設けられていてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、熱交換部において、第1流路と第2流路とが交互に積層されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、熱交換部において、第1流路と第2流路とが隣り合っていれば、必ずしも交互に積層されていなくてもよい。たとえば、熱交換部において、第1流路、第1流路、第2流路、第1流路・・・というように、第1流路と第2流路とが配置されていてもよいし、第1流路、第2流路、第2流路、第1流路・・・というように、第1流路と第2流路とが配置されていてもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、熱交換部が、第1流体と第2流体とが互いに略直交するように流通する直交流型の熱交換器として構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、熱交換部が、第1流体と第2流体とが互いに略平行でかつ反対向きに流通する対向流型の熱交換器として構成されていてもよいし、第1流体と第2流体とが互いに略平行でかつ同じ向きに流通する並行流型の熱交換器として構成されていてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、接続部が、複数の熱交換部の間に設けられている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、接続部が、複数の熱交換部の間だけでなく、コア部の端部(最も端の熱交換部の外側)に設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0066】
10 コア部
11 熱交換部
11a 第1流路
11b 第2流路
12 接続部
12a 第1接続面
12b 第2接続面
12c 第3流路
100 熱交換器
101 第1流体
102 第2流体
S 湾曲面
θ 所定の角度
図1
図2
図3
図4